特許第6044273号(P6044273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044273
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】自動小燃焼機構付き石油燃焼機
(51)【国際特許分類】
   F23D 3/28 20060101AFI20161206BHJP
   F23D 3/32 20060101ALI20161206BHJP
   F23N 5/20 20060101ALI20161206BHJP
   F23N 5/00 20060101ALI20161206BHJP
   F23N 5/24 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   F23D3/28 C
   F23D3/32 C
   F23D3/32 610K
   F23N5/20 K
   F23N5/00 Q
   F23N5/24 101C
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-240508(P2012-240508)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-89026(P2014-89026A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003229
【氏名又は名称】株式会社トヨトミ
(72)【発明者】
【氏名】中垣内 徹
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−201422(JP,A)
【文献】 特開昭63−83510(JP,A)
【文献】 特開2006−71152(JP,A)
【文献】 特開平1−111132(JP,A)
【文献】 実開昭63−159639(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 3/28
F23D 3/32
F23N 5/00
F23N 5/20
F23N 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯上下操作を行う芯上下軸(1)と、室温を検知するサーミスタ(2)とを設け、前記芯上下軸(1)の回動によって芯(3)が上下動すると共に、最大・最小燃焼範囲の間で芯高さが変更可能となっており、
前記サーミスタ(2)が所定温度以上を検出した信号に基づいて芯上下軸(1)を芯下げ方向に回動して芯高さを最小燃焼位置に変更する燃焼量調節機構(4)を備えた石油燃焼器において、
前記燃焼量調節機構(4)は、前記芯上下軸(1)を中心に回動自在に設けた駆動板(5)と、該駆動板(5)を駆動する正逆回転機能を備えたモータ(6)と、芯上げ操作時に前記芯上下軸(1)の回転動作を駆動板(5)に伝える係止部(7)と、前記芯上下軸(1)が最小燃焼位置に回動したときに作動するスイッチ(8)とを設け、
前記駆動板(5)は芯上下軸(1)の芯上げ操作時に前記係止部(7)に押し上げられて前記燃焼量調節機構(4)の初期設定位置Aで停止し、
前記サーミスタ(2)が所定温度以上を検出した信号によって前記モータ(6)に回転信号を出力して前記駆動板(5)が駆動し、前記駆動板(5)は係止部(7)を介して前記芯上下軸(1)を芯下げ方向に回動し、
前記スイッチ(8)の作動信号によって前記モータ(6)に通電停止信号を出力して、前記芯上下軸(1)を最小燃焼位置に止めると共に、
前記モータ(6)の通電開始から所定時間内に前記スイッチ(8)の作動信号が検出されないときに、前記モータ(6)に逆回転信号を出力して前記駆動板(5)を前記初期設定位置Aまで回動したあと、再度前記モータ(6)に回転信号を出力するロック検出手段(9)を備えたことを特徴とする自動小燃焼機構付き石油燃焼器。
【請求項2】
前記燃焼量調節機構(4)には、前記ロック検出手段(9)がモータ(6)の停止を検出して前記駆動板(5)が前記初期設定位置Aに戻されたときにカウント加算するカウンタ手段(10)と、該カウンタ手段(10)のカウント回数が指定回数に到達したときに作動して警報を出力する異常報知手段(11)とを設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動小燃焼機構付き石油燃焼器。
【請求項3】
前記燃焼量調節機構(4)には前記モータ(6)への通電時間をカウントする積算手段(12)と、該積算手段(12)のカウント時間が指定時間に到達したときに作動して警報を出力する異常報知手段(11)とを設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動小燃焼機構付き石油燃焼器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、芯上下式石油燃焼器の使用中に、一定の室温上昇で火力を自動的に落とす機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
芯上下式の石油燃焼器はダイヤルや操作レバーによって手動で芯上下軸を操作して芯を燃焼位置まで上昇し、点火器に通電すると芯に点火して燃焼を行うものである。また、燃焼中に使用者が望む室温になると、手動で芯上下軸を操作して燃焼量の調節範囲内で芯を下げて燃焼量の調節を行うことができ、更に芯を消火位置まで下げると消火することができるものである。
【0003】
芯上下式の石油燃焼器は点火装置用の電源に乾電池を使用しており、家庭用の交流電源を使用しないためポータブル性を生かしたストーブとして好まれている。最近では乾電池を電源とする芯上下式石油燃焼器でも室内温度によって自動で燃焼量を可変できる燃焼量調節機構を備えたものがあり、室内温度を検出するサーミスタと、ソレノイドやモータを用いて燃焼量調節機構を構成し、サーミスタが設定温度を検出するとソレノイドやモータが作動して芯上下軸を回動して芯を下げ、自動で燃焼量を低下することができるようになっている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平7−19414号 公報
【特許文献2】特開平1−266421号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成は、ソレノイドが作動するとバネの力によってリセット板が操作レバーを駆動して芯上下軸を回動し、芯を大燃焼位置から小燃焼位置に下げるものではあるが、バネの力で駆動すると、芯上下軸が惰性で回転して必要以上に芯を下げてしまうことがある。また、芯にタールが付着して芯の硬さや厚みが増したときには、芯の上下操作を行うときに強い力が必要となり、バネの力だけでは芯を下げることができないことがあり、期待した効果を得られなくなってしまう恐れがあった。
【0005】
一方、特許文献2はモータが芯上下軸を駆動して芯を上下動するものであり、トルクの大きなモータを使用することで芯にタールが付着して芯の硬さや厚みが増したときでも芯上下軸を回動して芯を小燃焼位置に下げることができる。しかし、モータのトルクが大きくなれば消費電力も増大し、乾電池の消耗も激しくなるため、1シーズン中に乾電池の交換が数回必要となってしまう可能性がある。また、乾電池の容量が減ってくると点火器による点火はできても、電圧不足によってモータのトルクが低下して芯上下軸が回動できなくなり、芯を下げることができなくなることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記の課題を解決するもので、芯上下操作を行う芯上下軸1と、室温を検知するサーミスタ2とを設け、前記芯上下軸1の回動によって芯3が上下動すると共に、最大・最小燃焼範囲の間で芯高さが変更可能となっており、前記サーミスタ2が所定温度以上を検出した信号に基づいて芯上下軸1を芯下げ方向に回動して芯高さを最小燃焼位置に変更する燃焼量調節機構4を備えた石油燃焼器において、前記燃焼量調節機構4は、前記芯上下軸1を中心に回動自在に設けた駆動板5と、該駆動板5を駆動する正逆回転機能を備えたモータ6と、芯上げ操作時に前記芯上下軸1の回転動作を駆動板5に伝える係止部7と、前記芯上下軸1が最小燃焼位置に回動したときに作動するスイッチ8とを設け、
前記駆動板5は芯上下軸1の芯上げ操作時に前記係止部7に押し上げられて前記燃焼量調節機構4の初期設定位置Aで停止し、前記サーミスタ2が所定温度以上を検出した信号によって前記モータ6に回転信号を出力して前記駆動板5が駆動し、前記駆動板5は係止部7を介して前記芯上下軸1を芯下げ方向に回動し、前記スイッチ8の作動信号によって前記モータ6に通電停止信号を出力して、前記芯上下軸1を最小燃焼位置に止めると共に、
前記モータ6の通電開始から所定時間内に前記スイッチ8の作動信号が検出されないときに、前記モータ6に逆回転信号を出力して前記駆動板5を前記初期設定位置Aまで回動したあと、再度前記モータ6に回転信号を出力するロック検出手段9を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、前記燃焼量調節機構4には、前記ロック検出手段9がモータ6の停止を検出して前記駆動板5が前記初期設定位置Aに戻されたときにカウント加算するカウンタ手段10と、該カウンタ手段10のカウント回数が指定回数に到達したときに作動して警報を出力する異常報知手段11とを設けたから、芯3の上下動に障害が発生していることを使用者へ知らせるものである。
【0008】
また、前記燃焼量調節機構4には前記モータ6への通電時間をカウントする積算手段12と、該積算手段12のカウント時間が指定時間に到達したときに作動して警報を出力する異常報知手段11とを設けたことで、芯3の上下動に障害が発生していることを使用者に知らせるものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の燃焼量調節機構4は、芯上げ操作時に芯上下軸1を回動すると係止部7を介して駆動板5が駆動して初期設定位置Aにセットされ、石油燃焼器を使用中に室温を検知するサーミスタ2が所定温度以上を検出するとモータ6に回転信号が出力されて駆動板5が駆動し、係止部7を介して芯上下軸1を芯下げ方向に回動し、最小燃焼位置まで回動するとスイッチ8が作動してモータ6が停止して、芯3が最小燃焼位置に変更されるので、燃焼量を自動で低下して暖めすぎを防止できるものである。
【0010】
また、芯3にタールが付着するなどして、芯3が上下動するときの抵抗が大きくなるとモータ6に負荷が加わって停止し、芯上下軸1の回動が途中で止まってしまうことがある。この発明では、芯上下軸1の回動が途中で止まってしまいモータ6への通電開始から所定時間内にスイッチ8の作動信号が検出されないときは、モータ6に逆回転信号を出力して駆動板5を逆方向に駆動して、初期設定位置Aまで戻した後、再度モータ6に回転信号を出力して駆動板5を駆動するものであり、駆動板5が係止部7にあたるときにはモータ6は回転しており最大トルクを発生しているので、芯上下軸1に打撃力を与えて回動させることで芯3を押し下げることができ、スイッチ8の作動信号が検出されるまでこの動作を繰り返すことで確実に芯を下げることができるものとなった。更に、トルクの小さいモータ6を使用することができ、消費電力を抑えて乾電池の長寿命化が期待できる。
【0011】
また、ロック検出手段9がモータ6の停止を検出して前記駆動板5が初期設定位置Aに戻された回数をカウンタ手段10によってカウントしており、ロック検出手段9が繰り返しモータ6の停止を検出してカウンタ手段10のカウント数が指定回数に到達したときは異常報知手段11が警報を出力するので使用者に異常を知らせることができ、芯3の上下動に障害が発生しているときは使用者が対応して原因を取り除くことができると共に、無駄な乾電池の消耗を防ぐことができるものとなった。
【0012】
また、モータ6への通電時間を積算手段12によってカウントしており、ロック検出手段9が繰り返しモータ6の停止を検出してモータ6への通電時間が指定時間に達したときに異常報知手段11が作動する構成でもよく、この方法でも使用者に芯3の上下動に障害が発生していることを知らせることができるので、使用者が対応して原因を取り除くことができると共に、無駄な乾電池の消耗を防ぐことができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の実施例の燃焼量調節機構4の初期設定位置にセットした状態を示す石油燃焼器の要部正面図である。
図2】この発明の実施例の燃焼量調節機構4の最小燃焼位置に変更した状態を示す石油燃焼器の要部正面図である。
図3】この発明の実施例を示す石油燃焼器の要部上面図である。
図4】この発明の実施例を示すブロック図である。
図5】この発明の実施例を示すフローチャートである。
図6】この発明の他の実施例を示すフローチャートである。
図7】この発明の他の実施例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図に示すダイヤル式の石油燃焼器によってこの発明を説明すると、13は油タンク、14は油タンク13から立設した芯収容筒、3は芯収容筒14内に上下動自在に挿通した芯であり、油タンク13の燃料は芯3の下端で吸い上げられ、芯3の上端に供給される。
【0015】
1は芯上下操作を行う芯上下軸、15は芯収容筒14の上方に配置した燃焼部であり、芯上下軸1を芯上げ方向に回動して芯3の上端を燃焼部15の下部にのぞませ、点火ヒータなどの点火装置によって芯3に点火すると、芯3の下端で吸い上げられた油タンク13の燃料が芯3の上端で燃焼を開始し、発生する燃焼炎と燃焼ガスは燃焼部15で空気の供給をうけて燃焼を完了する。
【0016】
16は芯上下軸1に遊嵌して芯上下軸1を中心に回動する歯車で構成した回動板、1aは芯上下軸1に設けた係止片、16aは回動板16に設けた突部であり、芯上下軸1を芯上げ方向に回動すると係止片1aが回動板16の突部16aを押すので、芯上下軸1と回動板16とが一緒に回動する。
【0017】
図3において、17は回動板16と芯収容筒14との間に取付けた戻しバネ、18は芯上げ方向に回動時の回動板16に係合するストッパー、16bは回動板16に設けたストッパー18との係合部であり、回動板16は芯上げ動作時に戻しバネ17を巻き上げ、回動板16の係合部16bがストッパー18に係合すると回動板16には戻しバネ17による芯下げ方向への回転力が保持される。
【0018】
19はストッパー18と連動する感振器であり、感振器19が振動を検出するとストッパー18を可動して係合部16bとストッパー18との係合を外し、ストッパー18が外れた回動板16は戻しバネ17によって芯下げ方向に回動し、回動板16の突部16aが係止片1aを押すから芯上下軸1が回動板16と一緒に芯下げ方向に回動し、芯3が芯収容筒14内に急速に降下して消火する。
【0019】
また、芯上下軸1は回動板16とストッパー18とが係合状態の時に芯上下軸1の操作によって係止片1aが突部16aから離れて芯下げ方向に独立して回動可能に設けてあり、燃焼中は最大燃焼と最小燃焼位置の間で芯上下軸1の操作によって芯高さを変更することで燃焼量の調節を行い、芯上下軸1を手動で消火位置まで回動すると芯3が芯収容筒14内に降下して消火する。
【0020】
感振器が作動するときは、芯3が急速に降下して短時間で消火するため、緊急時の自動消火装置として有効であるが、多量の未燃ガスが放出されて悪臭を発生させる欠点がある。そのため、芯上下軸1を手動で回動して消火するときの芯降下位置を緊急時の消火位置よりも高く設定し、通常消火時間は未燃ガスを燃焼させながらゆっくり消火することで悪臭を発生させない消火を行っている。
【0021】
この発明は室内の温度が上昇したときに自動的に燃焼量を低下させて室内の暖めすぎを防いで快適な温度を維持するための燃焼量調節機構を備えたものであり、2は室内温度を検出するサーミスタ、4はサーミスタ2の検出する室温データに基づいて作動する燃焼量調節機構、20はサーミスタ2の信号を入力して燃焼量調節機構4の駆動を制御する制御装置、21は芯上下操作と連動して制御装置20に運転・停止を出力する運転スイッチ、1bは運転スイッチ21を可動して接点を切り替える芯上下軸1に取り付けた作動板であり、芯上下軸1が消火位置にあるとき運転スイッチ21はOFFとなっている。芯上下軸1を消火位置から芯上げ方向に回動して通常消火位置をこえたところで作動板1bが運転スイッチ21を可動し、運転スイッチ21の接点がON側に切替わって制御装置20に通電し、制御装置20はサーミスタ2を作動して室温の検出を開始し、室温データが制御装置20に出力される。また、芯上下軸1を芯下げ方向に回動すると、通常消火位置の手前で作動板1bが運転スイッチ21を可動し、運転スイッチ21の接点がOFF側に切替わって制御装置20への通電が停止する。
【0022】
そして、燃焼中に室温が上昇してサーミスタ2が所定温度以上を検出すると制御装置20は燃焼量調節機構4に作動信号を出力し、燃焼量調節機構4は芯上下軸1を芯下げ方向に回動して最小燃焼位置に変更するものであり、燃焼量を低下することにより、室内の温度上昇が抑えられ、快適な温度で使用できるものとなった。
【0023】
燃焼量調節機構4の具体的な構成として、5は回動板16の外周縁に沿って所定の間隔を空けて配置した円弧状に形成した駆動板、22は駆動板5を取付けるためのベースであり、ベース22と対向する駆動板5の裏面には凹状の溝部を形成している。22aは駆動板5の溝部と嵌合するようにベース22に設けた案内レールであり、駆動板5はこの案内レール22aに沿って移動する。
5aは駆動板5の外周縁に設けた駆動ギア、6は駆動板5を駆動させる正逆回転するモータ、6aはモータ軸に設けたモータギア、23は駆動板5の駆動ギア5aとモータギア6aに噛合してモータ6と駆動板5とを連結駆動する減速機構であり、モータ6が駆動するとモータ6のトルクを増幅して駆動板5に伝達し、駆動板5は芯上下軸1を回転中心とする円周上を移動する。
【0024】
7は芯上下軸1と駆動板5とを連動する係止部、5bは駆動板5から芯上下軸1の回転中心に向けて伸びる突起であり、実施例では芯上下軸1の係止片1aの先端を延ばして駆動板5の突起5bと芯上下軸1の係止片1aとが接触することで係止部7を構成している。
【0025】
前記駆動板5の突起5bは、芯上下軸1が最大燃焼位置から最小燃焼位置までの範囲を回動するときに係止片1aと接触するように設定されており、芯上下軸1を消火位置から芯上げ方向に回動し、最小燃焼位置まで回動すると芯上下軸1の係止片1aが駆動板5の突起5bとぶつかり、芯上げ方向に回動する芯上下軸1と一緒に駆動板5が駆動する。そして、芯上下軸1が最大燃焼位置まで回動して芯上下操作を止めると駆動板5も停止して、駆動板5が初期設定位置Aにセットされるものである。
【0026】
そして、図示しない点火装置によって芯3に点火すると燃焼を開始し、燃焼中はサーミスタ2から出力される温度データを制御装置20に入力しており、室温が上昇してサーミスタ2が所定温度以上を検出すると制御装置20からモータ6に回転信号が出力される。モータ6が回転すると減速機構23を介して駆動板5が駆動し、駆動板5の突起5bが芯上下軸1の係止片1aを押して芯上下軸1が芯下げ方向に回動する。
【0027】
8は駆動板5の端部5cと接離して切替わるスイッチであり、駆動板5によって芯上下軸1が芯下げ方向に回動し、駆動板5の端部5cがスイッチ8に接触するとスイッチ8が切替わり、スイッチ8の作動信号が出力されると制御装置20からモータ6に停止信号が出力され、モータ6が停止すると駆動板5が停止して芯上下軸1の回動も停止する。駆動板5の停止位置が最小燃焼位置に設定されているから、芯3が最小燃焼位置まで下がっており、自動で燃焼量を低下することができる。
【0028】
最大燃焼で燃焼を継続すると室温が上昇することがあるが、この発明では室内が所定温度になると自動で燃焼量を低下するので、室内の暖めすぎを防いで快適な温度を保つことができる。また、芯3の高さを自動で最小燃焼位置まで下げることができるから、手動で芯上下軸1を操作するときのように芯3を下げすぎて燃焼状態を悪化させるという問題も起こらず、安心して使用することができる。
【0029】
ところで、石油燃焼器は使用期間の経過とともに芯3の先端にタールが付着して芯3の厚さが増し、芯3が芯収容筒14の間隙内に収容しにくくなって芯上下操作が重くなることがある。芯3の厚みが増して抵抗が大きくなっていると、モータ6に回転信号が出力されて駆動板5が駆動しても芯上下軸1の回動が途中で止まってしまい、芯高さを変更できなくなる心配がある。
この問題はトルクの大きいモータ6を使用すれば解消できる可能性はあるが、モータ6のトルクを上げると消費電力が大きくなり、乾電池の寿命が短くなってしまう。また、手動で芯上下軸1を回動して芯上げ操作を行う際、駆動板5が一緒に回動するときにモータ6による抵抗が大きくなり操作性が悪くなるという別の問題が生じる。
【0030】
9は燃焼量調節機構4の作動状態を検出するロック検出手段、9aはロック検出手段9に備えたタイマーであり、ロック検出手段9は制御装置20からモータ6に回転信号が出力されたときに作動してタイマー9aがカウント開始し、スイッチ8の作動信号が出力されるとタイマー9aのカウントを終了して作動停止する。ロック検出手段9はモータ6に回転信号が出力されてからスイッチ8の作動信号が出力されるまでの時間を計時しており、タイマー9aが所定時間Tをカウントする前にスイッチ8の作動信号が出力されると、制御装置20を停止すると共にモータ6が停止すると共にロック検出手段9が停止する。
【0031】
一方、芯上下軸1の回動が途中で止まってしまい、スイッチ8の作動信号が出力されないままタイマー9aが所定時間Tをカウントすると、ロック検出手段9はモータ6のロックを検出し、制御装置20からモータ6に逆回転信号が出力され、モータ6が逆回転すると駆動板5が芯上下軸1から離れて芯上げ方向に駆動する。制御装置20にはモータ6に逆回転信号を出力する時間が予め設定されており、設定された時間で駆動板5が初期設定位置Aまで戻るようになっている。そして、モータ6に予め設定された時間逆回転信号を出力した後、再度モータ6に回転信号を出力する。
【0032】
モータ6に回転信号が出力されたとき駆動板5は初期設定位置Aまで戻されており、駆動板5は初期設定位置Aから再び芯下げ方向に駆動し、前回芯上下軸1が停止した位置で駆動板5の突起5bが芯上下軸1の係止片1aにあたるが、駆動板5の突起5bが芯上下軸1の係止片1aとあたる前にモータ6は回転していて最大トルクを発生しており、芯上下軸1に打撃力を与えることで芯上下軸1を前回停止した位置よりも芯下げ方向に回動させて芯3を下げることができる。
【0033】
また、ロック検出手段9はモータ6に回転信号が出力されたときにタイマー9aのカウントを開始しており、芯上下軸1がそのまま芯下げ方向に回動してタイマー9aが所定時間Tをカウントする前にスイッチ8の作動信号が出力されたときは制御装置20がモータ6を停止すると共にロック検出手段9が停止する。一方、芯上下軸1の回動が再び途中で止まってしまい、モータ6の停止信号が出力されないままタイマー9aが所定時間Tをカウントすると、ロック検出手段9は再びモータ6のロックと判断しモータ6に逆回転信号を出力して駆動板5を初期設定位置Aまで戻し、再度モータ6に回転信号を出力するものであり、スイッチ8の作動信号が出力されるまでこの動作を繰り返すことで、芯3を確実に最小燃焼位置まで下げることができるものである。
【0034】
芯上下軸1の回動が途中で止まった後、駆動板5の突起5bが芯上下軸1の係止片1aと接触した状態のままで駆動板5が駆動を続けるとモータ6にかかる負荷が増大し、やがてモータ6の発生トルクが不足状態になってしまうが、この発明の構成ではモータ6の再回転時の十分なトルクを得た状態で利用できるので、最大トルクの小さいモータ6を使用することができる。トルクの小さいモータ6を使用することで消費電力を下げて乾電池の消耗を抑えることができ、また、芯上げ操作時に駆動板5とモータ6を一緒に回動するときも芯上下軸1を軽い力で操作でき、操作性を悪化させることなく実施できた。
【0035】
また、芯3に付着するタールの量が増えて更に芯の厚さが増すと、点火しても炎が大きくならなかったり、消火時に芯が下がらず火が消えなかったりすることがある。このような状態になる前に芯3の空焼きを行ってタールを除去することが望ましいが、使用者では芯3の空焼きを行うタイミングがわかりづらいものであった。さらに、燃焼量調節機構4が作動したときに芯3を最小燃焼位置まで下げることができなくなってしまうと、燃焼量調節機構4がいつまでも作動を続けてしまい、乾電池を無駄に消耗することになってしまう。
【0036】
10はロック検出手段9の作動回数を検出するカウンタ手段であり、カウンタ手段10はロック検出手段9がモータ6のロックを検出して駆動板5が初期設定位置Aに戻されたときにカウント加算し、制御装置20はカウント数が指定回数に達しているか確認し、指定回数未満であればモータ6へ回転信号が出力される。カウンタ手段10が指定回数になる前にスイッチ8の作動信号が出力されたときは、制御装置20がモータ6を停止すると共にロック検出手段9が停止し、カウンタ手段10のカウント数がリセットされる。
11は警告ランプや警報ブザーで構成する異常報知手段であり、カウンタ手段10のカウント数が所定回数に達したときは、芯3の上下動に障害が発生したと判断し、モータ6への通電とロック検出手段9の作動を停止すると共に異常報知手段11の作動信号が出力される。
【0037】
また、図7に示す他の実施例において、12はモータ6の通電時間をカウントする積算手段であり、積算手段12はサーミスタ2が所定温度を検出してモータ6への回転信号が出力されてから、スイッチ8の作動信号が出力されるまで作動するものであり、実施例ではロック検出手段9のタイマー9aのカウント時間を積算して記憶している。
積算手段12の積算時間が指定時間に達する前にスイッチ8の作動信号が出力されたときは制御装置20がモータ6を停止すると共にロック検出手段9が停止し積算手段12に記憶されたデータがリセットされる。一方、スイッチ8の作動信号が出力されないときは、ロック検出手段9がモータ6のロックを検出してモータ6への回転信号と逆回転信号が繰り返し出力されるが、スイッチ8の作動信号が出力される前に積算手段12の積算時間が指定時間(Tx)に達したときは、芯3の上下動に障害が発生したと判断し、モータ6への通電とロック検出手段9の作動を停止すると共に異常報知手段11の作動信号が出力される。
【0038】
上記のように芯3の上下動に障害が発生して芯3を最小燃焼位置まで下げることができないときは、モータ6がいつまでも作動を繰り返すことはなく、モータ6への通電を停止するので無駄な電池の消耗を抑えることができるものである。また、異常報知手段11が作動することで、使用者は芯上下動に障害が発生していることを知らせることができ、芯の空焼きや芯交換など、障害の原因を取り除く対応を行うので、点火ができなくなったり消火時に芯が下がらず火が消えなくなったりする重大なトラブルを起こすことはなくなり、安心して使うことができるようになった。
【符号の説明】
【0039】
1 芯上下軸
2 サーミスタ
3 芯
4 燃焼量調節機構
5 駆動板
6 モータ
7 係止部
8 スイッチ
9 ロック検出手段
10 カウンタ手段
11 異常報知手段
12 積算手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7