【実施例1】
【0011】
<空気調和機>
図1に示すように、空気調和機1は、図示しない送風ファン、熱交換器、エアフィルタなどを内部に収容した箱状の筺体10と、筺体10の前面に取付けられる吸込グリル20とからなり、筺体10および吸込グリル20の上部の吸込口11から吸込んだ空気を熱交換器で熱交換し、送風ファンにより吹出口から風向板12で風向を調整して室内に吹き出す構造になっている。
【0012】
<吸込グリル>
吸込グリル20は、
図1乃至
図4に示すように、筺体10に合わせ左右方向に長い矩形に形成された樹脂製であり、メンテナンス時には取り外し可能となっている。
吸込グリル20の前面側はフラットな形状であり、前面の一部に空気調和機1のブランド名やペットネームのロゴやマークなどの図柄(表示パターンP)を表示する装飾部2を備える。
【0013】
装飾部2は、表示パターンPの外形線に合わせて、吸込グリル20を打ち抜いた1つ以上の抜き孔21と、抜き孔21に合わせて吸込グリル20の背面に取付けられる取付板30と、抜き孔21と取付板30との間に挟まれる装飾シート40とからなる。
吸込グリル20は、本実施形態において装飾板になっている。
【0014】
表示パターンPは、本実施形態ではロゴで「aircon」となるローマ字のa、i、r、c、o、nを並べたものであり、それぞれの外形線に合わせて吸込グリル20の厚さ方向に貫通した抜き孔21が左から順に間隔を置いて形成されている。
【0015】
吸込グリル20には、
図3および
図4に示すように、吸込グリル20の背面から前面側に凹んだ凹部22を備える。凹部22は、左右方向に並んだ抜き孔21を囲むように、上下方向に比べて左右方向に長い矩形に形成されている。凹部底面220は、抜き孔21の上下方向の中央部Mが最も谷となるよう曲面状に形成されている。
【0016】
吸込グリル20の裏面には、取付板30を係止する複数の係止爪23が形成されている。
係止爪23は、
図3乃至
図5に示すように、吸込グリル20の背面側から突出するように形成された弾性を有する爪であって、吸込グリル20を背面から見たとき、凹部22の周縁221よりも外側にあり、周縁221の上縁221aと下縁221bに沿って間隔を置いて形成されている。係止爪23は、凹部22に向けて引っ掛かり部分が形成されている。
【0017】
<取付板>
取付板30は、吸込グリル20の係止爪23の間隔に合わせた大きさで断面弓形の矩形状に形成された、吸込グリル20と同じ色彩の樹脂製であり、吸込グリル20に備えられた凹部22に嵌め込まれ、凹部22と略同じ大きさに形成された取付部31と、取付部31の前面に形成された1つ以上の突起部32と、取付部31の上下端に吸込グリル20の係止爪23により係止される係止片33とを備えている。
【0018】
取付部31は、吸込グリル20の凹部底面220と曲率を合わせ、取付部前面310が吸込グリル20の前面側へ山となるように曲面状に形成されている。
【0019】
突起部32は、表示パターンPの外形線に表れない部分、
図4では「a」の中の丸形状部分と「o」の中の丸形状部分を形作る。また、丸形状に限らず、例えば、大文字の「A」の場合は三角形状となり、カタカナの「ロ」の場合は四角形状となる。
本実施形態では、突起部32は、取付部前面310から突出するように形成され、取付部31の上下方向の中央部であって左右方向に間隔を置いて形成されている。突起部32は、高さの寸法が吸込グリル20と組み合されたときに吸込グリル20の表面と揃うように形成されている。突起部32は、吸込グリル20に形成された表示パターンPの外形線に合わせた抜き孔21との組み合わせで表示パターンPを構成している。
【0020】
すなわち、突起部32は、
図2に示すように、抜き孔21の中で、ローマ字のaとoの表示パターンPの外形線に合わせた抜き孔21に挿入されたとき、ローマ字のaとoの表示パターンPを構成する。なお、突起部32は、ローマ字のaとoのように、島部を有する表示パターンPを構成するようにしたが、本発明はこれに限らず、抜き孔21の中で、ローマ字のcやnのように、島部を有しない表示パターンを構成する場合、抜き孔21の一部を分割線Cで分割した分割部Dを、凸部31に形成される突起部32にしてもよい。
【0021】
係止片33は、取付部31の上下端の側面から一体に形成され左右方向に延びる突片であり、吸込グリル20に備えられた凹部22に嵌め合わせたとき、凹部22の周縁221から外側で吸込グリル20の背面に突き当たるように形成されている。
【0022】
<装飾シート>
装飾シート40は、
図3および
図4に示すように、吸込グリル20に備えられた凹部22と取付板30の取付部31の大きさよりも少し小さく、上下方向に比べて左右方向に長い矩形のシート状であり、透明フィルムに蒸着された金属蒸着層を備えた金属蒸着フィルムであり、これにより、装飾部2を見た時、メタリック感を与える。また、これに限らず、吸込グリル20と異なった色調を有するものであれば塩ビシートでも紙製でもよい。
【0023】
装飾シート40には、取付板30の突起部32に合わせた突起部用孔41が設けられている。突起部用孔41は、取付板30の突起部32に嵌め込むことで、装飾シート40を取付板30に合わせるガイドとなり、吸込みグリル20の凹部底面220と取付板30の取付部前面310との間に挟まれる。
これにより、装飾シート40は、
図2に示すように、吸込グリル20を正面から見たとき、吸込グリル20の抜き孔21から露出する。装飾シート40と抜き孔21との間に奥行きが形成されるので、表示パターンPが抜き孔21と突起部32によるローマ字のa、i、r、c、o、nの立体的な装飾部2となる。
【0024】
<組立>
次に、吸込グリル20に取付板30と装飾シート40を固定する方法について説明する。
図4および
図5に示すように、取付板30の取付部前面310に形成された突起部32に、装飾シート40に設けられた突起部用孔41を嵌め込む。これにより、取付板30に装飾シート40が位置合わせされる。
【0025】
次に、装飾シート40が位置合わせされた状態の取付板30の取付部31を、吸込グリル20の凹部22に嵌め込む。その後、取付板30の係止片33を吸込グリル20の係止爪23に係止させることで、
図5(d)に示すように、吸込グリル20の背面に取付板30が取付けられる。
【0026】
装飾シート40は、吸込グリル20の背面に取付板30が取付けられると、
図3に示すように、吸込グリル20の凹部底面220と、取付板30の取付部前面310との間に挟まれる。このとき、装飾シート40は、凹部底面220が曲面状に形成され、取付部前面310が曲面状に形成されているため、前面側に湾曲した状態で挟まれる。
【0027】
また、取付板30に形成された突起部32は、
図2および
図3(b)に示すように、装飾部2の抜き孔21のうち、ローマ字のaとoの表示パターンの外形線に合わせた抜き孔21に挿入される。これにより、突起部32と抜き孔21の組み合わせにより、島部を有するローマ字のaとoの表示パターンが形成される。
【0028】
以上説明してきた実施形態による空気調和機1によれば、装飾部2の抜き孔21と取付板30の突起部32と装飾シート40の組み合わせで表示パターンPを構成するようにした。このため、吸込グリル20に直接ロゴや絵柄などの表示パターンを設けても、吸込グリル20自体にホットスタンプを施すことがないので、ホットスタンプの打ち損じが生じた時に、吸込グリル20を廃棄しなくて済むため、歩留りが改善され製品コストを抑えることができる。
また、吸込グリル20の厚さにより装飾部2の抜き孔21に奥行きができるため、吸込グリル20の表面の表示パターンPの部分を清掃しても、吸込グリル20と取付板30との間に挟まれた装飾シート40に傷がつきにくくすることができる。
【0029】
また、装飾部2の抜き孔21と取付板30の突起部32と装飾シート40との組み合わせにより、ローマ字のa、i、r、c、o、nの表示パターンPが立体的にメタリック調に光り輝き、空気調和機1の意匠性に高級感を与える。
さらに、取付板30の突起部32に合わせて装飾シート40に突起部用孔41を形成したので、吸込グリル20と取付板30との間に装飾シート40を挟み込む際、装飾シート40の位置ズレや、位置ズレに伴うシワの発生を防ぐことができる。
【0030】
また、以上説明してきた実施形態による空気調和機1によれば、吸込グリル20の凹部底面220である装飾シート40を挟む面が前面側へ谷となる曲面状に形成され、取付板30の取付部前面310である装飾シート40を挟む面が前面側へ山となる曲面状に形成されるようにした。このため、ローマ字のa、i、r、c、o、nの表示パターンPは、装飾シート40が凹部底面220と取付部前面310との間に湾曲状態で挟まれるため、湾曲せずに挟まれる場合に比べて、外部からの入射光が乱反射するので、メタリック調の光り輝きを際立たせ、空気調和機1の意匠性に高級感を与える。
【0031】
なお、本実施形態による空気調和機1では、吸込グリル20に凹部22と、取付板30に凹部22に合わせた取付部31を設けて、取付板30を吸込グリル20に嵌め易くしているが、これに限らず、吸込グリル20に抜き孔21のみを形成し、取付板30に突起部32のみを形成して、取付板30を吸込グリル20に突き合わせてもよい。
また、吸込グリル20と取付板30は樹脂製であるが、これに限らず、吸込グリル20と取付板30が板金製であり、吸込グリル20に打ち抜き加工で抜き孔21を形成し、取付板30にプレス加工で突起部32を形成して、装飾シート40を挟み、取付板30を吸込グリル20に両面テープや接着剤等で貼り合わせてもよい。
【実施例2】
【0032】
次に、その他の実施形態による装飾部2について
図6を用いて説明する。なお、前述の実施形態と同じ構成については同一符号を付し、その説明を省略する。この装飾部2の前述の実施形態と相違する点は、
図6に示すように、取付板50の構造が相違するとともに光源70を備えたところである。
【0033】
取付板50は、前述と同様に、取付部51と突起部52と係止片53とを備え、取付部51には、突起部52以外の吸込グリル20の抜き孔21の形成範囲に合わせて1つ以上の光通過孔54が形成されている。
【0034】
装飾シート60は、透明フィルムに金属を蒸着して透過性の反射層を備えたハーフミラー状のシートである。装飾シート60は、前述と同様に、突起部用孔61を取付板50の突起部52に嵌め込み、吸込グリル20の凹部底面220と取付板50の取付部前面510との間に挟まれる。
【0035】
光源70は、取付板50の光通過孔54に対向する位置に配置されたLEDからなる。この光源70は、吸込グリル20の複数の抜き孔21に合わせて複数のLEDが左右方向に並んで配置される。
【0036】
次に、光源70の点灯と消灯による作用を説明する。光源70を点灯させると、光源70から発光された光は取付部51の光通過孔54を通過し、装飾シート60の反射層を透過して、吸込グリル20の突起部52以外の抜き孔21から外部に照射される。これにより、吸込グリル20を正面から見たとき、光源70の光により表示パターンPの全体が光って見える。
【0037】
一方、光源70を消灯させると、吸込グリル20を正面から見たとき、装飾シート60の反射層が鏡のようになり、抜き孔21に入射する外部からの入射光が反射層で反射し、取付部51の光通過孔54が視認されることはなく、空気調和機の意匠性を損ねることがない。
【0038】
以上説明してきた本実施形態についても、前述の実施形態と同様な効果を得ることができる。さらに、光源70を点灯することにより表示パターンPの電飾効果を得ることができ、この電飾効果を空気調和機の運転状態を表示するインジケータに用いることもできる。