(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、参照する図面において、本発明を構成する部材の寸法は、説明を明確にするために誇張して表現されている場合がある。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0013】
[第1実施形態]
≪第1実施形態に係る媒体取扱装置の構成≫
媒体取扱装置は、例えば、通帳等の媒体に印字を行う記帳機や、遠隔地に設置されたホストコンピュータと通信して現金取引を行う自動取引装置などがある。本実施形態では、
図1に示すように記帳機を想定して説明する。ここで、
図1は、第1実施形態に係る記帳機100の概略斜視図である。
【0014】
記帳機100は、箱型の筺体1Aの前面に図示せぬ顧客(又はオペレータ)が操作するタッチパネル1Bと、通帳等の媒体をセットするステージ1Cを有する媒体挿入口1Dとを備えて構成される。記帳機100の操作者である顧客は、タッチパネル1Bの表示に従い、ステージ1Cの上を摺動させるようにして媒体挿入口1Dから通帳や伝票等の媒体を筺体1Aの内部に挿入する。そして、記帳機100は、媒体に対して印字などを実行し、媒体挿入口1Dから印字後の媒体を返却する。なお、記帳機100の全体の制御は、図示しない主制御部により行われる。
【0015】
続いて、
図2を参照して、第1実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100の内部構成を説明する。
図2は、第1実施形態に係る記帳機100の概略内部構成図である。
図2(a)は
図1のA−A断面図(媒体挿入口1D上部の横断面図)であり、
図2(b)は
図2(a)のB−B断面図である。
【0016】
記帳機100には、ステージ1Cから後部に向かって平坦面状に形成された走行路(搬送路)1Eが設けられ、通帳等の媒体2が走行路1Eをα1,α2方向に搬送される。ステージ1Cや走行路1Eの走行路幅は、記帳機100が取り扱い可能な媒体の最大サイズに対応する長さに設定されている。本実施形態では、挿入される媒体の最大サイズの幅として241mmを想定しているので、走行路幅を245mmに設計している。
【0017】
走行路1Eには、通帳等の媒体2の挿入を検知する挿入検知センサSC01〜04と、通帳等の媒体2の走行方向に対する傾きを修正する整列シャッタ6と、整列シャッタ6により媒体2の傾きが修正されたことを検知する整列検知センサSC11〜18と、走行路1E上の媒体2を搬送する第1搬送ローラ4及び第2搬送ローラ8と、媒体2の位置を検知する反射センサ10を実装し、かつ、媒体2の印字領域に印字を行うプリントヘッド7と、媒体2の開かれている頁を示す頁マーク2Aを読み取る読取センサ11と、媒体2の裏面にある磁気ストライプ2Bに記録された情報の読み取り及び書き込みをするMSヘッド12と、が設けられている。プリントヘッド7、読取センサ11、及びMSヘッド12は、α3,α4方向に往復動可能である。
【0018】
反射センサ10(プリントヘッド7)は、整列シャッタ6が整列した媒体2の位置を検知するので、整列シャッタ6の下流かつ近傍に配置するのがよい。また、読取センサ11は、反射センサ10が検知した媒体2の位置に基づいて動作するので、反射センサ10(プリントヘッド7)の下流かつ近傍に配置するのがよい。以下では、記帳機100の各構成について詳細に説明する。
【0019】
(挿入検知センサ)
挿入検知センサSC01〜04(以下、まとめて「SC00」と呼ぶ場合がある)は、本実施形態では、走行路1Eの幅方向に4つ並べて配置されている。本実施形態では、発光素子と受光素子が同一直線上に配置される透過型センサを想定しているが、これに限定されるものではない。挿入検知センサSC00は、筺体内部への通帳等の媒体2の挿入を検知し、検知した情報を制御部20に送信する。
【0020】
(整列シャッタ)
整列シャッタ6は、走行路1Eを閉鎖する閉鎖位置と走行路1Eを開放する開放位置とに移動可能な板材であり、本実施形態では、走行路1Eの幅方向に8つ並べて配置されている。本実施形態では、図示しないモータの駆動力により整列シャッタ6が上昇することで走行路1Eを閉鎖し、媒体2が走行路1Eを前進(α1方向に搬送)することが不可能となる。一方、図示しないモータの駆動力により整列シャッタ6が下降することで走行路1Eを開放し、媒体2が走行路1Eを前進(α1方向に搬送)することが可能になる。走行方向に対して傾いた状態で挿入された媒体2は、上辺が閉鎖位置にある整列シャッタ6にぶつかることで、媒体2が走行方向に対して傾くことなくまっすぐに整列される。つまり、媒体2の左辺及び右辺は、走行方向に対して平行になる。
【0021】
(整列検知センサ)
整列検知センサSC11〜18(以下、まとめて「SC10」と呼ぶ場合がある)は、本実施形態では、走行路1Eの幅方向に8つ並べて配置されている。本実施形態では、発光素子と受光素子が同一直線上に配置される透過型センサを想定しているが、これに限定されるものではない。整列検知センサSC10は、媒体2の走行方向に対する傾きが整列シャッタ6により修正されたか否かを検知し、検知した情報を制御部20に送信する。
【0022】
(搬送ローラ)
第1搬送ローラ4及び第2搬送ローラ8は、上下のローラが一組で構成され、本実施形態では、走行路1Eの幅方向に各々6つ並べて配置されている。第1搬送ローラ4や第2搬送ローラ8は、媒体2を上下のローラで挟んだ状態で図示せぬモータの駆動力により回動し、媒体2をα1方向又はα2方向に移動させる。
【0023】
(プリントヘッド、反射センサ)
プリントヘッド7は、α3,α4方向に移動しながら、媒体2の印字領域に印字を行う。また、プリントヘッド7は、反射センサ10を実装している。反射センサ10は、プリンタヘッド10がα3,α4方向に移動することで、読取センサ11が頁マーク2Aを検出するための基準となる基準位置を媒体2の特定部位から検出する。本実施形態では、反射センサ10は、媒体2のエッジライン(媒体2の左辺)を検出し、その情報を制御部20に送信することで、制御部20は媒体2の頁マーク2Aを検出するための基準となる基準位置を算出する。また、反射センサ10は、通帳の反対側のエッジライン(媒体2の右辺)をさらに検出し、その情報を制御部20に送信することで、制御部20は媒体2の幅を算出する。なお、以下では、反射センサ10を基準位置検出センサと呼ぶ場合がある。
【0024】
(読取センサ)
読取センサ11は、α3,α4方向に往復動可能なPSキャリッジ9に実装されており、媒体2の頁マーク2Aまで移動することで頁マーク2Aを読み取る。読取センサ11の視野範囲は、媒体2に印字される頁マーク2Aのサイズに対応させる。本実施形態では、媒体2として想定する通帳の頁マーク(バーコード)の長手方向の長さが十数mmなので、読取センサ11の視野範囲は走行路1Eの幅方向に対して25mmとする。しかしながら、これに限定されるものではなく、媒体2に印字される頁マーク2Aが30〜40mmであれば、読取センサ11の視野範囲は走行路1Eの幅方向に対して50mm程度にすればよい。なお、読取センサ11は、LED素子及び単一の読取素子で構成することもできる。以下では、読取センサ11をマーク検出センサと呼ぶ場合がある。
【0025】
(MSヘッド)
MSヘッド12は、α3,α4方向に往復動可能であり、媒体2の裏面にある磁気ストライプ2Bを走査することにより、磁気ストライプ2Bから情報を読み取る。MSヘッド12により読み取られた情報は、デジタル信号に変換されて制御部20に送信される。また、MSヘッド12は、プリントヘッド7により媒体2への印字が行われた後に、制御部20からその情報を受信し、受信した情報を磁気ストライプ2Bに書き込む。
【0026】
(制御部、記憶部)
制御部20は、記帳機100の全体を制御する図示しない主制御部の指示に従い、挿入検知センサSC01〜04、整列シャッタ6、整列検知センサSC11〜18、第1搬送ローラ4、第2搬送ローラ8、プリントヘッド7、読取センサ11、及びMSヘッド12を制御するマイコンである。制御部20の詳細は、媒体取扱装置の動作で説明する。
【0027】
また、制御部20は、記憶部30を備える。記憶部30には、記帳機100が取り扱う媒体2の種類(仕様を含む)毎に、媒体2の頁マーク2Aの位置が記憶されている。本実施形態では、媒体2として矩形状の通帳を取り扱う場合を想定しているが、媒体2の種類(仕様を含む)により頁マーク2Aの位置が異なる。ここで、
図3を参照し、本実施形態に係る記帳機100が取り扱う媒体2の構成について説明する。
図3(a)はA仕様の通帳2aの開状態の平面図であり、
図3(b)はB仕様の通帳2bの開状態の平面図である。A仕様の通帳2aは、頁マーク2Aが左辺に近傍する位置に印字されており、一方、B仕様の通帳2bは、頁マーク2Aが右辺に近傍する位置に印字されている。ここで言う頁マーク2Aは、例えばバーコードである。
【0028】
記帳機100が複数の仕様(A仕様やB仕様)の通帳を取り扱う理由としては、例えば、金融機関によって頁マーク2Aの位置が異なる通帳を採用している場合(A銀行がA仕様の通帳を使用し、B銀行がB仕様の通帳を使用する場合)や、金融機関の合併などによって同一の金融機関で頁マーク2Aの位置が異なる複数種類の通帳を採用している場合(A銀行とB銀行とが合併してC銀行となった場合において、旧A銀行でA仕様の通帳を採用し、旧B銀行でB仕様の通帳を採用し、C銀行で両方の通帳の使用を許容するとき)が想定される。
【0029】
頁マーク2Aの特定方法には種々のものが考えられるが、本実施形態では、媒体2の左辺(挿入する方向の辺に直交する辺であれば右辺でもよい)、及び媒体2の上辺(挿入する方向の辺)から頁マーク2Aまでの距離を用いて頁マーク2Aの位置を特定することにする。
図4に、本実施形態に係る記帳機100の記憶部30に記憶される情報のデータ構成図を示す。なお、
図4に示す記憶部30の各レコードをマーク位置の候補と呼ぶ場合がある。
【0030】
なお、記憶部30には、
図4に示す情報の他に、媒体2の長さや幅等のサイズに関する情報を合わせて記憶しておき、制御部20が種々のセンサから受信した情報と記憶部30に記憶されたサイズに関する情報とに基づいて、記帳機100に挿入された媒体2の通帳仕様を判定するようにしてもよい。この場合に、制御部20は、通帳仕様として同じサイズの仕様がある場合(例えばA仕様とB仕様)に、サイズが同じ通帳仕様のデータを記憶部30から頁マークが付されている位置の候補として抽出し(例えばA仕様とB仕様を抽出)、抽出した位置を読取センサ11で順番に読み取らせることで頁マーク2Aを検出するようにしてもよい。
以上で、第1実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100の構成についての説明を終了する。
【0031】
≪第1実施形態に係る媒体取扱装置の動作≫
図2を参照し、第1実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100の頁判定動作について説明する。なお、頁判定動作に関連しない動作については説明を省略する。
【0032】
<頁判定動作>
媒体2は、記帳機100の操作を行う図示せぬ顧客(又はオペレータ)により、ステージ1Cの走行路幅に対して任意の位置で記帳機100の内部(α1方向)に挿入される。それにより、挿入検知センサSC01〜04の何れか(
図2ではSC03及びSC04)が媒体2により光路を遮られると、制御部20は媒体2が挿入されたと判定する。続いて、制御部20は、媒体2が挿入されたと判定すると、図示せぬモータを駆動させ、その駆動力により第1搬送ローラ4及び第2搬送ローラ8を回転させる。
【0033】
顧客により挿入された媒体2が回転状態の第1搬送ラーラ4まで到達すると、第1搬送ローラ4は、媒体2をさらに記帳機100の内部(α1方向)へ搬送し、媒体2の上辺(
図3参照)が第1搬送ローラ4の後方(下流側)に配置される整列シャッタ6に当接する。仮に、媒体2が走行方向に対して傾いた状態で挿入された場合、媒体2の上辺が整列シャッタ6にぶつかることで、媒体2が走行方向に対して傾くことなくまっすぐに整列される。
【0034】
続いて、整列検出センサSC11〜18の内の複数個(
図2ではSC14〜SC17)が媒体2により光路が遮られることで、制御部20は媒体2が傾くことなくまっすぐに整列されている状態であると判定する。制御部20は、媒体2が整列されたと判定すると、図示せぬモータを駆動させ、その駆動力により整列シャッタ6を下降させることで、走行路1Eを開放状態にする。これにより、媒体2が走行路1Eをα1方向に前進することが可能になる。
【0035】
続いて、制御部20は、第1搬送ローラ4を用いて媒体2をプリントヘッド7よりも奥側の位置(
図2(a)の破線位置)まで搬送し、この位置で搬送を停止させる。ここで、プリントヘッド7は、媒体2が搬送されるときに、
図2(a)に示す筐体1A内部の左側の位置で停止している。制御部20は、媒体2をプリントヘッド7よりも奥側の位置(
図2(a)の破線位置)で停止させたら、プリントヘッド7を右側へ移動させる。
【0036】
このときに、プリントヘッド7に実装されている反射センサ10を用いて、媒体2の左辺(エッジライン)が何処にあるのかを検出する。制御部20は、この反射センサ10の動作に基づいて、媒体2が走行路幅のどの位置にあるかを判定する。また、制御部20は、反射センサ10がさらに検出する右辺の位置や、搬送ローラ4,8の回転数などから媒体2のサイズを判定する。
【0037】
制御部20は、媒体2の位置判定後、頁マーク読み取り処理の為に記憶部30を参照し、検出した媒体2の位置及び記憶部30に記憶される頁マーク位置に基づいて、PSキャリッジ9、読取センサ11、及び搬送ローラ4,8を制御する。具体的には、制御部20は、走行路1Eの幅方向に対する媒体2の頁マーク2Aの位置を算出し、PSキャリッジ9の読取センサ11が頁マーク2Aの位置に来るように移動させる。
【0038】
そして、制御部20は、搬送ローラ4,8を回転させることで媒体2を前進させ、頁マーク2Aが移動した読取センサ11の下方を通過するように(又は読取センサ11の下方の位置に来るように)媒体2を搬送する。読取センサ11は、搬送中(又は停止中)の頁マーク2Aを読み取り、制御部20は読み取った頁マーク2Aに基づいて頁マークの判定(解析)を行う。
以上で、第1実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100の動作についての説明を終了する。
【0039】
このような第1実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100は、読取センサ11を実装させることで通帳に印刷されている頁マーク2Aを読み取ることが可能になり、挿入された頁の正誤を判定することができる。このため、第1実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100は、想定していない頁への誤印字を防止することが可能になる。
また、第1実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100は、反射センサ10と組み合わせることで、媒体2の挿入位置(ステージ1の何処に挿入されているか)を判定することができる。このため、第1実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100は、媒体2の挿入位置が限定されず、何処に挿入してもよいという利便性を損なうことなく頁マークを読み取ることが可能であり、記帳機としての正確な処理を実現することができる。
【0040】
以上の通り、第1実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100によれば、媒体の挿入位置を特定しない場合においても、媒体2に印字されるマークを読み取ることができる。
【0041】
[第2実施形態]
第1実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100は、マーク検出センサとしての読取センサ11をPSキャリッジ9に実装することで、読取センサ11が移動可能となり、所定の位置に移動することで頁マークを読み取っていた。
ここで、PSキャリッジ9のような移動機構は、装置が大きくなったり、コストが増大してしまう場合がある。そのため、移動可能な読取センサ11を実装する代わりに、汎用のラインセンサを用いてもよい。第2実施形態では、このようなマーク検出センサとして汎用のラインセンサを用いる構成を説明する。
【0042】
≪第2実施形態に係る媒体取扱装置の構成≫
図5を参照して、第2実施形態に係る記帳機100bの構成を説明する。
図5は、第2実施形態に係る記帳機100bの概略内部構成図であり、
図5(a)は
図1のA−A断面図(媒体挿入口1D上部の横断面図)であり、
図5(b)は縦断面図である。
【0043】
第1実施形態に係る記帳機100と第2実施形態に係る記帳機100bとの違いは、第1実施形態では、PSキャリッジ9及びPSキャリッジ9の内部に読取センサ11を実装する構成としたが(
図2参照)、第2実施形態では、これらの代わりに固定スキャナ13を備える構成である。また、それに伴い制御部20bの制御についても一部異なる。
【0044】
(固定スキャナ)
マーク検出センサとしての固定スキャナ13は、長手方向の長さがA4サイズに対応するラインセンサと、該ラインセンサに光を照射する光源を含む。固定スキャナ13は、走行路1Eの幅方向に対して全域を覆う形で実装されている。ここで、固定スキャナ13を構成するラインセンサは、読取エリアが制御部20bにより複数ブロックに論理的に分割されている。本実施形態では、制御部20bが読取エリアをエリアA〜エリアDの4ブロックに分割する場合を想定する。なお、分割数はこれに限定されない。また、ブロックによる分割ではなく、任意範囲を指定する構成でもよい。また、制御部20bが論理的に分割しなくとも、複数のセンサを走行路1Eの幅方向に並べて配置するように構成してもよい。なお、固定スキャナ13は、伝票をスキャンして画像を読み取ることにも使用することができる。
以上で、第2実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100bの構成についての説明を終了する。
【0045】
≪第2実施形態に係る媒体取扱装置の動作≫
図5を参照し、第2実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100bの頁判定動作について説明する。なお、頁判定動作に関連しない動作については説明を省略する。
【0046】
<頁判定動作>
ここでは、媒体2が、記帳機100bの操作を行う図示せぬ顧客(又はオペレータ)により、ステージ1Cの走行路幅に対して左基準に沿うように記帳機100の内部(α1方向)に挿入される場合を想定する(
図5(a)参照)。
媒体2の挿入後の動作について、媒体2の位置判定の処理までは第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0047】
制御部20bは、媒体2の位置判定後、頁マーク2Aの読み取り処理の為に記憶部30を参照し、検出した媒体2の位置及び記憶部30に記憶される頁マーク位置に基づいて、固定スキャナ13、及び搬送ローラ4,8を制御する。具体的には、制御部20bは、搬送ローラ4,8を回転させることで媒体2を前進させ、頁マーク2Aが移動した固定スキャナ13の下方を通過するように(又は固定スキャナ13の下方の位置に来るように)媒体2を搬送する。固定スキャナ13は、搬送中(又は停止中)の頁マーク2Aを読み取り、制御部20bは読み取った頁マーク2Aの判定(解析)を行う。
【0048】
例えば、制御部20bは、固定スキャン13のデータを取り込む際に走行路1Eの幅方向に対する媒体2の頁マーク2Aの位置を算出し、固定スキャナ13の対応するブロック(
図5(a)ではAブロック)のデータのみを読み込み、頁マーク2Aの判定(解析)を行う。また、制御部20bは、ステージ1Cの走行路幅に対して任意の位置から媒体2が記帳機100bの内部(α1方向)に挿入された場合(例えば、
図6(a)参照)、固定スキャナ13の対応するブロック(
図6(a)ではCブロック)のデータのみを読み込み、頁マーク2Aの判定(解析)を行う。
以上で、第2実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100bの動作についての説明を終了する。
【0049】
以上のように、第2実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100bは、固定スキャナ13の読取エリアを複数に分割することにより、頁マーク2Aのある部分のみのデータを読み込むことができる。このため、第2実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100bは、データ転送、頁マーク解析等において無駄な部分の作業をすることがなくなり、処理速度の向上(時間短縮を含む)を実現できる。
また、第2実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100bは、固定スキャナ13をA4版に対応するスキャナとして活用することができるという効果がある。
【0050】
[第3実施形態]
第1実施形態及び第2実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100,100bは、プリントヘッド7に走行方向に直交する直交方向(走行路1Eの幅方向)に移動可能な反射センサ10を実装することで、任意の位置に挿入された媒体2の頁マーク2Aを検出するための基準となる基準位置を媒体2の一部である左辺から検出していた。
ここで、通帳に印字される頁マーク2Aの位置は、左辺からの距離は通帳仕様により異なるが、上辺からの距離は通帳仕様に関わらずほぼ決まっていることが多い。そのため、走行路1Eの幅方向に移動可能な反射センサ10が、通帳仕様に関わらず頁マーク2Aの上部を通過させることが可能になる。
【0051】
第3実施形態では、プリントヘッド7に実装される反射センサ10を用いて、媒体2の頁マーク2Aを検出するための基準となる基準位置の検出に加えて、読取センサ11又は固定スキャナ13で頁マーク2Aを読み取る動作に先がけて、頁マーク2Aの有無を事前にプレ検出する。
【0052】
≪第3実施形態に係る媒体取扱装置の構成≫
図7を参照して、第3実施形態に係る記帳機100cの構成を説明する。
図7は、第3実施形態に係る記帳機100cの概略内部構成図であり、
図7(a)は
図1のA−A断面図(媒体挿入口1D上部の横断面図)であり、
図7(b)は縦断面図である。
【0053】
第3実施形態に係る記帳機100cは、第1実施形態及び第2実施形態に係る記帳機100,100bと同様の構成であり、制御部20cによる制御のみが異なる。本実施形態では、第2実施形態と同様の構成の場合を例示して説明する。
【0054】
≪第3実施形態に係る媒体取扱装置の動作≫
図7を参照し、第3実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100cの頁判定動作について説明する。なお、頁判定動作に関連しない動作については説明を省略する。
【0055】
<頁判定動作>
ここでは、媒体2が、記帳機100cの操作を行う図示せぬ顧客(又はオペレータ)により、ステージ1Cの走行路幅に対して任意の位置から記帳機100cの内部(α1方向)に挿入される場合を想定する(例えば、
図7(a)参照)。
媒体2の挿入後の動作について、媒体2を整列させる処理までは、第1実施形態や第2実施形態と同様なので説明を省略する。
【0056】
制御部20cは、媒体2が整列されたと判定した場合に、図示せぬモータを駆動させ、その駆動力により整列シャッタ6を下降させることで、走行路1Eを開放状態にする。これにより、媒体2が走行路1Eを前進することが可能になる。第1搬送ローラ4は、頁マーク2Aのある位置が反射センサ10の走行ライン上になるように媒体2を搬送し、この位置で搬送を停止する(
図7(a)の破線位置)。
【0057】
続いて、制御部20cは、媒体2をこの位置で停止させたら、プリントヘッド7を右側へ移動させる。このときに、制御部20cは、プリントヘッド7に実装されている反射センサ10を用いて、媒体2の左辺(エッジライン)が何処にあるのか、及び頁マーク2Aを検出させる。具体的には、制御部20cは、媒体2の左辺から黒色の塊(頁マーク)が存在する位置までの距離及び大きさから頁マーク2Aと思われるものが存在することを認識できる。つまり、制御部20cは、走行路1Eの幅方向に対する媒体2の位置の検出に加えて、読取センサ11又は固定スキャナ13で頁マークを読み取る動作に先がけて、頁マークの有無を事前にプレ検出する。
【0058】
例えば、媒体2が表裏逆に挿入された場合、又は上下逆に挿入された場合、頁マークのプレ検出処理において、反射センサ10は、媒体2の左辺(エッジライン)を検出することができるが、黒色の塊を検出することができない。制御部20cは、このような状態の場合で、かつ、頁マークの解析指示を受信したときに、プレ検出結果を確認し、頁マークが無いと判定している場合には即座に頁マーク検出ができない旨の警告をタッチパネル1B(
図1参照)に表示する。
【0059】
以上のように、第3実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100cは、読取センサ10や固定スキャナ13を用いた頁マーク解析処理前に反射センサ10を用いたプレ検出で頁マークの有無を事前に検出することができる。このため、第3実施形態に係る媒体取扱装置としての記帳機100cは、早期に媒体2の誤挿入を検出しアラームを出すことで無駄な処理(本格的な頁解析を実施したが読めなかった等)を防止することができる。
【0060】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲で実施することができる。実施形態の変形例を以下に示す。
【0061】
(媒体取扱装置)
第1実施形態ないし第3実施形態では、媒体取扱装置として通帳等の媒体に印字を行う記帳機を想定して説明したが、遠隔地に設置されたホストコンピュータと通信して現金取引を行う自動取引装置(ATM)として構成してもよい(
図8参照)。なお、第2実施形態に係る記帳機100b(
図5参照)は、画像をスキャンすることができる、通帳伝票プリンタとして構成されてもよい。
【0062】
(基準位置検出センサ)
第1実施形態ないし第3実施形態では、基準位置検出センサとしての反射センサ10が、任意の位置に挿入された媒体2の頁マーク2Aを検出するための基準となる基準位置を挿入された媒体2の特定部位である左辺から検出していた。しかしながら、反射センサ10による基準位置の検出はこれに限定されるものではなく、特定部位が媒体2の一部であれば、右辺、上辺、下辺、角等から基準位置を検出してもよい。この場合、記憶部30には、頁マーク2Aの位置が媒体2の右辺、上辺、下辺、角等からの距離として記憶される。
【0063】
(基準位置検出センサ、マーク検出センサ)
第1実施形態ないし第3実施形態では、基準位置検出センサとしての反射センサ10と、マーク検出センサとしての読取センサ11や固定スキャナ13とを別の構成としていたが、1つの機構として構成してもよい。
【0064】
(マーク検出センサ)
第2実施形態及び第3実施形態では、固定スキャナ13(ラインセンサ)が、走行路1Eの幅方向に対して全域を覆う形で実装されていたが、頁マーク2Aが通過しない領域が事前に分かっていれば、その領域を覆わない形にしてもよい。