(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
<1.第1の実施形態>
(1−1.硬貨処理装置の構成)
図1を参照しながら、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1の構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1の内部構成を示す概略図である。なお、
図1(a)は、硬貨処理装置1の正面側から内部を見た図であり、
図1(b)は、側面側から内部を見た図である。
【0024】
硬貨処理装置1は、店舗等に設置されたレジスターで取り扱われる硬貨を管理する。硬貨処理装置1は、硬貨を一括して受け入れた後、各硬貨の硬貨認識を行って金種を判別する。その後、硬貨処理装置1は、判別結果に応じて金種毎に硬貨を選別し、選別した硬貨を収納した後に出金する。
【0025】
図1に示すように、硬貨処理装置1は、硬貨受領部10と、硬貨繰り出し部12と、硬貨判別部14と、硬貨選別部の一例である選別搬送部20と、リジェクト硬貨収容部26と、収容部材の一例である一時保留部30と、返却箱34と、金種別ホッパ36と、搬送ゲート38と、出金箱40と、回収庫44と、制御ユニット90とを有する。
【0026】
硬貨受領部10は、投入される硬貨Cを受ける部分である。硬貨受領部10は、硬貨処理装置1の上方、かつ前面側に位置する。硬貨受領部10は、硬貨が投入される投入口11を有する。投入口11は、硬貨を一括して投入し易いように、広く開口している。硬貨受領部10に投入された硬貨は、硬貨繰り出し部12に落下する。
【0027】
硬貨繰り出し部12は、硬貨受領部10の下方に位置し、硬貨受領部10から落下した硬貨を一枚ずつ繰り出す。硬貨繰り出し部12内には、例えば回転円盤(不図示)が設けられている。硬貨繰り出し部12内の硬貨は、回転円盤が回転する際の遠心力により移動して、一枚ずつ硬貨判別部14へ繰り出される。
【0028】
硬貨判別部14は、硬貨繰り出し部12から繰り出された硬貨の真偽、金種等の判別を行う。硬貨判別部14は、硬貨を認識するセンサ(不図示)を有し、センサで検出した硬貨の特徴に基づいて、硬貨の真偽、金種等を判別する。硬貨判別部14は、判別した硬貨を選別搬送路20に搬送する。
【0029】
選別搬送部20は、硬貨判別部14による判別結果に基づいて、硬貨を選別して搬送する。選別搬送部20は、リジェクト口21と、金種別の受入口22a〜22fとを有する。硬貨判別部14において真貨で無いと判別された硬貨は、リジェクト口21を通過する。真貨であると判別された硬貨は、金種別に受入口22a〜22fを通過する。なお、
図1では、リジェクト口21と金種別の受入口22a〜22fが列状に配置されているように示されているが、実際には、リジェクト口21と金種別の受入口22a〜22fは環状に配置されている。
【0030】
図2は、リジェクト口21と、受入口22a〜22fの周辺部の構成を示す斜視図である。リジェクト口21と、受入口22a〜22fの周辺部の構成は同様であるので、ここでは受入口22aを例に挙げて説明する。なお、
図2(a)は、受入口22a等が硬貨を受け入れ無い(排出させない)状態を示し、
図2(b)は、受入口22a等が硬貨を受け入れる(排出させる)状態を示す。
【0031】
受入口22aの周辺には、選別ゲート24が設けられている。選別ゲート24は、例えばソレノイド等によって軸24aを中心に回動することで、受入口22aを閉じ、又は受入口22aを開放する。
図2(a)に示すように選別ゲート24が受入口22aを閉じた状態(通常時)にある時は、硬貨Cは選別ゲート24上を通過する。一方で、
図2(b)に示すように選別ゲート24が受入口22aを開放する状態へ動作した時は、硬貨Cが受入口22aに導かれて落下する(排出される)。
【0032】
リジェクト硬貨収容部26は、リジェクト口21を通過した硬貨を収容する。リジェクト口21の下方には、リジェクト口21を通過した硬貨をリジェクト硬貨収容部26へ導くリジェクトシュートが配置(
図1に示す矢印Rのルートで配置)されている。リジェクト硬貨収容部26は、硬貨処理装置1の前面に開閉可能な扉28を有する。扉28が開いた際に、操作者はリジェクト硬貨収容部26を装置外へ引き出し可能である。
【0033】
一時保留部30は、金種別の受入口22a〜22fから排出された硬貨を、金種別に一時的に収容する。受入口22a〜22fの下方には、受入口22a〜22fから排出された硬貨を一時保留部30へ導くシュート51a〜51fが設けられている。例えば、シュート51aは、受入口22aから排出された硬貨を下方に設けられた一時保留部30の保留部31aへ導く。
【0034】
図3は、金種別の一時保留部30の構成を示す斜視図である。
図3に示すように、一時保留部30は、周囲の4面を囲むフレーム内を金種別に区切って直線状に並んだ金種別の収容部の一例である保留部31a〜31fを含む。保留部31a〜31fは、対応するシュート51a〜51fから導かられた硬貨を収容する。また、一時保留部30は、底部を成すガイド32に対して、
図3に示す矢印H及び矢印Sで示す方向に移動可能である。
【0035】
返却箱34は、一時保留部30が矢印H方向に移動した際に、一時保留部30から落下する硬貨を収容する。返却箱34は、使用者によって硬貨処理装置1の正面から装置外へ引き出し可能になっている。
【0036】
金種別ホッパ36は、一時保留部30が矢印S方向に移動した際に、一時保留部30から落下する硬貨を金種別に収納する。金種別ホッパ36は、金種別の保留部31a〜31fに対応するように直線状に並べられた複数の金種別ホッパ36a〜36fで構成されている。金種別ホッパ36a〜36fは、硬貨を一枚ずつ繰り出す繰り出し部も有する。
【0037】
搬送ゲート38は、金種別ホッパ36a〜36fの各々に対して設けられ、金種別ホッパ36a〜36fから繰り出された硬貨の搬送先を分岐する。搬送ゲート38は、搬送先として、
図1の矢印Tで示すルートと矢印Uで示すルートとに分岐する。
【0038】
出金箱40は、出金される硬貨を収容する。出金箱40には、金種別ホッパ36a〜36fから繰り出されて搬送ゲート38により矢印Tのルートで搬送された硬貨が収容される。出金箱40は、装置本体に対して着脱可能に設けられている。
【0039】
図4は、金種別の出金箱40の構成を示す斜視図である。
図4に示すように、出金箱40には、個々に硬貨を取り出すことができる金種別の出金小箱42a〜42fが直線状に並べて収納されている。出金小箱42a〜42fは、金種別ホッパ36a〜36fに対応して設けられている。
【0040】
回収庫44は、回収される硬貨を収容する。回収庫44には、金種別ホッパ36a〜36fから繰り出されて搬送ゲート38により矢印Uのルートで搬送された硬貨が収容される。
【0041】
制御ユニット90は、硬貨処理装置1の全体動作を制御する。制御ユニット90は、上述した各構成要素の動作を制御する制御部と、制御部が実行するプログラムや各種のデータを記憶する記憶部と、を有する。
【0042】
(1−2.選別搬送部の詳細構成)
図5を参照しながら、選別搬送部20の詳細構成について説明する。
図5は、選別搬送部20の詳細構成を説明するための図であり、
図5(a)は選別搬送部20を示す平面図であり、
図5(b)は選別搬送部20を示す断面図である。
【0043】
選別搬送部20は、硬貨判別部14による判別結果に基づいて、硬貨を選別して搬送する。選別搬送部20は、ハウジング110と、回転ディスク120と、回動部材の一例である選別ゲート140(
図2の選別ゲート24に該当)とを有する。
【0044】
ハウジング110は、円筒状の部材であり、底面112と側壁114とにより構成されている。底面112は、硬貨判別部14の搬送路181の搬送面とほぼ同じ位置に設定されている。側壁114には、硬貨判別部14の判別センサ182による判別後に搬送ベルト183によって搬送された硬貨が搬入される搬入口115が形成されている。
【0045】
回転ディスク120は、樹脂製の円板形状の部材であり、回転することによりハウジング110上の硬貨を搬送する。回転ディスク120は、モータ151からの回転駆動力を例えばベルト152を介して受けて、回転軸121を回転中心として所定方向(
図5(a)の矢印の方向)に回転する。また、回転ディスク120の底面側には、硬貨を搬送するための搬送凹部122が複数形成されている。複数の搬送凹部122は、回転ディスク120の円周方向に沿って所定間隔で形成されている。搬送凹部122は、回転ディスク120の回転に伴い、硬貨を1枚ずつ保持しながら搬送する。
【0046】
ハウジング110の底面112には、円周方向に沿って環状(円周状)に、回転ディスク120により搬送される硬貨が落下可能な矩形状の第1リジェクト口131(
図1のリジェクト口21に該当)、排出口の一例である受入口132a〜132f(
図1の受入口22a〜22fに該当)、及び第2リジェクト口133が形成されている。
【0047】
第1リジェクト口131は、硬貨判別部14で偽貨と認識されたリジェクト硬貨や、ゴミ等の異物を排出する排出口である。受入口132a〜132fは、それぞれ異なる金種の硬貨(例えば、1円、5円、10円、50円、100円、500円の真性硬貨)を、回転ディスク120の回転中に排出する排出口である。第2リジェクト口133は、本来なら受入口132a〜132fから排出されるべき硬貨が受入口132a〜132fから排出されずに通過した場合に、受入口132a〜132fを通過した硬貨を排出する排出口である。
【0048】
第1リジェクト口131から排出された硬貨は、下方のリジェクトシュート(
図1に示す矢印Rのルートで配置)に落下し、リジェクト硬貨収容部26(
図1)に導かれる。受入口132a〜132fから排出された硬貨は、下方のシュート部50(
図1)に落下し、一時保留部30に導かれる。第2リジェクト口133から排出された硬貨は、下方にリジェクトシュートに落下し、例えばリジェクト硬貨収容部26に導かれる。
【0049】
図6は、受入口132a〜132fとシュート部50との関係を説明するための図である。
図6(a)は、受入口132a〜132fとシュート部50のシュート入口52a〜52fの位置関係を示し、
図6(b)は、落下シュートの概略構成例を示す。
図6に示すように、受入口132a〜132fの直下には、それぞれ硬貨が落下するシュート51a〜51fが設けられている。受入口132a〜132fが円周状に形成されているため、シュート51a〜51fのシュート入口52a〜52fも円周状に配置されている。なお、
図6では、説明の便宜上、第1リジェクト口131及び第2リジェクト口133の直下に設けられたシュートが図示されていない。
【0050】
選別ゲート140は、第1リジェクト口131及び受入口132a〜132fに、回動可能にそれぞれ設けられている。選別ゲード140は、回転軸140aを中心に、第1リジェクト口131及び受入口132a〜132fを塞ぐ閉位置と、第1リジェクト口131及び受入口132a〜132fを開放する開位置と、の間で回動する(
図2参照)。なお、開位置が、受入口132a〜132fから硬貨を排出させる第1位置に該当し、閉位置が、受入口132a〜132fから硬貨を排出させない第2位置に該当する。選別ゲート140は、硬貨の選別処理を早くするために、回転ディスク120の回転中に回動可能な構成となっている。選別ゲート140は、第1リジェクト口131や受入口132a〜132fへ落下する硬貨をガイドする機能も有する。
【0051】
第2リジェクト口133には、回動する選別ゲート140とは異なり、固定ガイド144が設けられている。第2リジェクト口133に至った硬貨は、固定ガイド144にガイドされて、第2リジェクト口133から落下する。
【0052】
(1−3.シュート部50の詳細構成)
図7は、シュート部50と一時保留部30との関係を説明するための図である。
図8は、
図7のA−A断面図である。
図9は、
図7のB−B断面図である。
【0053】
シュート部50は、選別搬送部20と一時保留部30の間に位置し、選別搬送部20の金種別の受入口132a〜132fから排出された硬貨を、一時保留部30(具体的には、保留部31a〜31f)に導く。
【0054】
ここで、一時保留部30は、
図7に示すベルト33によって、保留部31a〜31fの配列方向と交差する所定方向(
図7のX方向)に移動可能である。一時保留部30が
図7に示す位置に位置する際に、シュート部50から一時保留部30へ硬貨が落下する。なお、一時保留部30がX方向の一端であって返却箱34の上方の位置に移動した際に、一時保留部30から返却箱34へ硬貨が落下する。また、一時保留部30がX方向の他端の位置であって金種別ホッパ36の上方の位置に移動した際に、一時保留部30から金種別ホッパ36へ硬貨が落下する。本実施形態では、返却箱34と金種別ホッパ36が収納庫に該当する。
【0055】
シュート部50は、円周状(環状)に形成された受入口132a〜132fと、直線状に配列された保留部31a〜31fとを繋ぐように、構成されている。
【0056】
図10〜
図12を参照しながら、第1の実施形態に係るシュート部50の詳細構成について説明する。
図10は、シュート部50の外観構成例を示す斜視図である。
図11は、
図10のシュート部50の側面図である。
図12は、
図10のシュート部50を底面側から見た図である。
【0057】
シュート部50は、例えば樹脂製であり、シュート51a〜51fと、入口連結部55と、出口連結部56a、56bとを有する。
【0058】
シュート51a〜51fは、環状に配置されたシュート入口52a〜52fと、列状に配置されたシュート出口53a〜53fを有し、受入口132a〜132fから排出された硬貨を、対応する複数の保留部31a〜31fに導く。シュート51a〜51fは、それぞれ筒状に形成され、内部を硬貨が落下可能な構成となっている。具体的には、シュート51a〜51fは、円筒状に形成されている。これにより、硬貨がシュート51a〜51fの内壁面に点接触することになり、面接触する場合に比べて摩擦が小さいので、シュート51a〜51fの内部で硬貨が詰まることを抑制できる。
【0059】
シュート51a〜51fの内径は、硬貨が落下しやすいように、硬貨の直径よりも大きく設定されている。なお、シュート51a〜51fの断面形状は、同一で無くても良く、例えば内部を通過する硬貨の金種に応じて断面形状を異ならせても良い。本実施形態では、シュート51a〜51fには、シュートの長手方向と直交する直交面における断面形状が楕円であるシュートが含まれる。そして、断面形状が楕円であるシュートに直径が大きい硬貨(例えば、500円硬貨)を落下させることにより、直径が大きい硬貨が連続して落下する際にシュート内で重なって詰まることを抑制できる。また、断面形状だけで無く、硬貨の直径に応じてシュートの内径を変更しても良い。
【0060】
シュート51a〜51fは、
図10に示すように、それぞれ鉛直方向に対して交差するように配置されている。このため、硬貨は、シュート51a〜51fの内壁面に接触しながら斜めに落下する。
【0061】
シュート51a〜51fは、
図10に示すように、各々の長手方向(軸方向)が互いに違えるように、配置されている。また、シュート51a〜51fの隣り合うシュートは、
図11に示すように、長手方向に沿って隣接するように配置されている。これにより、限られたスペースの中で、円周状に形成された受入口132a〜132fから排出される硬貨を、直線状に配列された保留部31a〜31fに導くことが可能となる。また、シュート51a〜51fは、真っ直ぐな形状をしており、シュートの長手方向の長さを短くすると共に、硬貨がシュートの内部を詰まることを抑制している。
【0062】
シュート部50は、
図11に示すように、シュート51a〜51fの隣り合うシュートの外周面同士をシュートの長手方向に沿って連結するように形成された外周連結部54a〜54dを有する。例えば、外周連結部54aは、シュート51a、51bの外周面同士を連結し、外周連結部54b〜54dは、シュート51c〜51fの隣り合うシュートの外周面同士を連結する。外周連結部54a〜54dを設けることにより、シュート部50の剛性を向上できる。
【0063】
入口連結部55は、
図10に示すように、シュート51a〜51fのシュート入口52a〜52f側を連結する。入口連結部55は、例えば平板状の部材で構成される。入口連結部55を設けることにより、シュート51a〜51fの位置決めが精度良くなり、製造時の組立が容易となる。また、シュート部50の剛性を向上できる。
【0064】
出口連結部56aは、
図12に示すように、シュート51a、51bのシュート出口53a、53b側を連結する。出口連結部56bは、シュート51c〜51fのシュート出口53c〜53f側を連結する。出口連結部56a、56bを設けることにより、シュート部50の剛性を向上できる。本実施形態では、入口連結部55、出口連結部56a、及び出口連結部56bが、シュートの各端部を連結する端部連結部に該当する。
【0065】
また、外周連結部54a〜54d、入口連結部55、及び出口連結部56aを設けたことにより、シュート51a〜51fのうちの一のシュートで発生した振動等を他のシュートに伝達することが可能となる。これにより、仮に他のシュートで硬貨が詰まっていても、一のシュートで振動が発生する場合には、当該振動が他のシュートに伝達されることで、他のシュート内の硬貨が伝達された振動に起因して変動して、硬貨の詰まりを解消することが可能となる。
【0066】
なお、上記では、シュート51a〜51fのうちの隣り合うシュート同士を連結する連結部として、外周連結部54a〜54dと、入口連結部55と、出口連結部56a、56bを設けていることとしたが、これに限定されない。例えば、外周連結部54a〜54d、入口連結部55と、及び出口連結部56a、56bのうちの少なくとも何れか一つが設けられていれば、上述した効果が奏される。
【0067】
(1−4.入金処理例)
上述した構成の硬貨処理装置1の入金処理例について説明する。入金処理は、制御ユニット90の制御部によって実行される。すなわち、制御部は、記憶部に記憶されたプログラムを実行することで、下記に説明する動作を実行する。
【0068】
硬貨受領部10に硬貨が一括して投入されると、投入された硬貨は硬貨繰り出し部12に落下する。硬貨繰り出し部12は、落下した硬貨を一枚ずつ分離して硬貨判別部14に繰り出す。硬貨判別部14は、繰り出された硬貨の真偽、金種等を判別し、判別した硬貨を選別搬送部20に搬送する。
【0069】
選別搬送部20のリジェクト口21と、受入口132a〜132fの選別ゲート24(選別ゲート140)は、通常は閉じているが、硬貨判別部14による判別結果に応じて開閉される。例えば、硬貨判別部14により真貨で無いと判別された硬貨は、リジェクト口21の選別ゲート24が開くことで、リジェクト口21からリジェクト硬貨収容部26に落下する。
【0070】
一方で、真貨であると判別された硬貨は、金種別の受入口132a〜132fの中で対応する受入口(例えば、受入口132aとする)の選別ゲート24が開くことで、受入口22aから排出される。排出された硬貨は、シュート部50の対応するシュート51aに導かれて、一時保留部30の対応する保留部31aに落下する。本実施形態では、シュート51a〜51fが、円周状に形成された受入口132a〜132fから排出された硬貨を、直線状に配列された保留部31a〜31fに導く。保留部31a〜31fに落下した硬貨は、ガイド32上に集積される。
【0071】
一時保留部30のいずれかの保留部31a〜31fの硬貨の集積量(又は集積枚数)が、所定の設定量(設定枚数)に達した場合、又は硬貨繰り出し部12内の硬貨が無くなった場合には、硬貨繰り出し部12の動作が停止する。その後、選別搬送路20における硬貨の搬送動作、硬貨判別部14による硬貨の判別動作が終了してから、一旦処理を終了する。
【0072】
その後、表示部(不図示)に、計数結果に基づく金種別の金額や合計金額等が表示される。表示部を見た使用者は、現在の処理が入金処理の場合には、表示画面中の操作ボタンにより硬貨の収納の可否を選択して入力する。
【0073】
使用者によって収納可の入力が行われた場合には、一時保留部30はガイド32上から矢印S方向(
図3参照)に移動する。これにより、ガイド32上に集積された硬貨は、落下して、金種別ホッパ36a〜36fに金種別に収納される。硬貨の金種別ホッパ36a〜36fへの収納完了後に、一時保留部30は、矢印S方向の逆方向に移動して、ガイド32上に戻る。
【0074】
一方で、使用者によって収納否(すなわち、収納の取り消し)の入力が行われた場合、現在の処理が計数処理の場合、入金処理中にジャム等が発生した場合には、一時保留部30はガイド32上から矢印H方向(
図3参照)に移動する。これにより、ガイド32上に集積された硬貨は、落下して、返却箱34に収納される。硬貨の返却箱34への収納完了後に、一時保留部30は、矢印H方向の逆方向に移動して、ガイド32上に戻る。
【0075】
(1−5.第1の実施形態の有効性)
上述した第1の実施形態に係る硬貨処理装置1において、シュート部50の複数のシュート51a〜51fは、環状に形成された受入口132a〜132fから排出された硬貨を、列状に配列された対応する複数の保留部31a〜31fに導く。そして、複数のシュート51a〜51fは、各々の長手方向が互いに違えるように配置されている。これにより、選別搬送部20や一時保留部30の構成を複雑にすることになく、環状に形成された受入口132a〜132fから排出された硬貨を、列状に配列された保留部31a〜31fへ適切に導くことができる。
【0076】
<2.第2の実施形態>
図13を参照しながら、第2の実施形態について説明する。
図13は、第2の実施形態に係る硬貨処理装置1の構成例を説明するための図である。
図13(a)は、第2の実施形態に係る選別ゲート140、及びシュート部50の構成例を示す斜視図であり、
図13(b)は、選別ゲート140、及びシュート部50の構成例を示す断面図である。
【0077】
第2の実施形態の選別ゲート140、及びシュート部50の構成が、第1の実施形態と異なり、他の構成は第1の実施形態と同様である。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0078】
第2の実施形態の選別ゲート140は、
図13に示すように、ゲート部141の両側にシュートに接触してシュートに衝撃を付与する衝撃付与部材の一例である衝撃付与部142が設けられている。衝撃付与部142は、ゲート部141と共に選別ゲート140の回転軸140aに取り付けられており、ゲート部141と共に回動する。衝撃付与部142は、シュート部50のシュート51a〜51fの外壁面に形成された凸部58に接触することで、凸部58が形成されたシュートに衝撃を付与する。
【0079】
これにより、凸部58が形成されたシュートを振動させることができるため、仮に凸部58が形成されたシュートの内部で硬貨が詰まっていても、シュートの振動により硬貨の詰まりを解消し、硬貨を適切に一時保留部30に落下させることができる。また、第1の実施形態で説明したように、シュート51a〜51fを互いに連結しているので、選別ゲート140が接触した凸部58のシュートだけで無く、他のシュートも振動させることが可能となり、シュート51a〜51f内の硬貨の詰まりを効果的に解消できる。この結果、一時保留部30の所望枚数の硬貨が適切に収容されることになる。
【0080】
図14は、選別ゲート140の回動状態を説明するための図である。
図14(a)は開位置に位置する選別ゲート140を示し、
図14(b)は閉位置に位置する選別ゲート140を示す。衝撃付与部142は、選別ゲート140が閉位置に位置する際に凸部58と接触するように、回転軸140aに取り付けられている。そして、衝撃付与部142は、
図14(a)の開位置から
図14(b)の閉位置に移動する際に、凸部58に接触して衝撃を付与する。すなわち、受入口132a〜132fから排出された硬貨が、シュート51a〜51fに落下した後に、衝撃付与部142がシュート51a〜51fに衝撃を付与する。
【0081】
衝撃付与部142は、開位置から閉位置へ複数回移動することとしても良い。これにより、シュート51a〜51fに確実に衝撃を付与できるので、シュート内の硬貨の詰まりを効果的に抑制できる。
【0082】
衝撃付与部材として、
図14に示すように選別ゲート140に回動に連動して回動する衝撃付与部142を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、衝撃付与部は、選別ゲートとは独立して回動しても良い。また、衝撃付与部の形状も、
図14に示す形状に限られず、シュートに衝撃を付与できる形状であれば、どのような形状であっても良い。
【0083】
上記では、シュート51a〜51fを、外周連結部54a〜54d、入口連結部55、及び出口連結部56a、56bで連結することとしたが、これに限定されず、例えば
図15に示すようにシュート51a〜51fを連結しないこととしても良い。かかる場合にも、円周状に形成された受入口132a〜132fから排出された硬貨を、直線状に配列された保留部31a〜31fに円滑に導くことが可能となる。なお、
図15は、その他の実施形態に係るシュート部50の構成を説明するための模式図である。
【0084】
また、上記では、選別搬送部20の受入口132a〜132fから排出された硬貨が、移動可能な一時保留部30の保留部31a〜31fにシュート部50を介して落下することとしたが、これに限定されない。例えば、一時保留部30が移動しないこととしても良い。また、シュート部50は、一時保留部30を介さずに、金種別ホッパ36に硬貨を落下させることとしても良い。かかる場合には、金種別ホッパ36が収容部材に該当することになる。
【0085】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。