(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開口を通過した光のスペクトルの極大点が、前記分光反射特性における極大点または極小点となる、前記光学素子と前記計測対象物との間の距離を検出するステップと、
前記検出された距離を、前記変位の計測を行なうときの前記光学素子と前記計測対象物との間の基準距離に設定するステップとをさらに備える、請求項1に記載の変位計測方法。
前記検出するステップにおいて、前記分光反射特性の極値点が複数検出された場合には、前記設定するステップにおいて、前記複数の前記極値点のうち、前記光学素子と前記計測対象物との間の距離の変化の範囲である計測範囲の中心に最も近い極値点が得られる距離を前記基準距離に設定する、請求項3に記載の変位計測方法。
前記検出するステップにおいて、前記分光反射特性の極値点が複数検出された場合には、前記設定するステップにおいて、前記複数の前記極値点のうち、前記光学素子と前記計測対象物との間の距離の変化の範囲である計測範囲の中心に最も近い極大点に対応した距離を前記基準距離に設定する、請求項3または4に記載の変位計測方法。
前記光学素子が前記光を集光させる前記計測対象物の位置を変化させながら、前記光学素子と前記計測対象物との間の距離と、前記基準距離との間の差異を検出するステップをさらに備える、請求項3に記載の変位計測方法。
前記計測部は、前記光学素子と前記計測対象物との間の距離を変化させて、各距離において、前記開口を通過した光のスペクトルの極大点を取得する、請求項7に記載の変位計測装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付して、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る変位計測装置である、共焦点計測装置の構成を示す模式図である。
図1に示す共焦点計測装置100は、共焦点光学系を利用して計測対象物200の変位を計測する変位計測装置である。
【0019】
共焦点計測装置100は、ヘッド部10と、光ファイバ11と、コントローラ部20と、モニタ部30と、移動機構40とを備えている。ヘッド部10は、共焦点の光学系を有する。ヘッド部10とコントローラ部20とは、光ファイバ11によって光学的に接続される。モニタ部30は、コントローラ部20から出力される信号を表示する。
【0020】
ヘッド部10は、回折レンズ1と、対物レンズ2と、集光レンズ3とを備えている。回折レンズ1の焦点距離は、回折レンズ1から対物レンズ2までの距離と、対物レンズ2の焦点距離との差より大きくしてある。
【0021】
回折レンズ1は、後述する複数の波長の光を出射する光源(たとえば、白色光源)から出射する光に、光軸の方向に沿って軸上色収差を生じさせる光学素子である。光軸Aは、回折レンズ1の光軸を示す。なお、回折レンズ1の光軸Aは、光ファイバ11から出射される光の光軸および対物レンズ2の光軸に一致する。さらに回折レンズ1の光軸Aの方向は、共焦点計測装置100の測定軸の方向(Z方向)に一致する。
【0022】
回折レンズ1の一方の表面には、たとえばキノフォーム形状あるいはバイナリ形状(ステップ形状、階段形状)などの微細な起伏形状が周期的に形成される、あるいは、回折レンズ1の一方の表面に、光の透過率を周期的に変更する振幅型のゾーンプレートが形成される。なお、回折レンズ1の構成は、上記の記載の構成に限定されるものではない。
【0023】
回折レンズ1は、たとえば、ガラスまたは樹脂などの単一材料の基板に、光軸方向に沿って色収差を生じさせるパターンを形成した構成を有していてもよい。代わりに、回折レンズ1は、たとえばガラス基板層および樹脂層で構成されてもよい。樹脂層は、ガラス基板に紫外線硬化樹脂を塗布し、所望のパターンの型を、紫外線硬化樹脂を塗布したガラス基板の面に押し付け、紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化することで形成することができる。この方法によれば、製造コストが安価になる。さらに、環境温度による形状の変化が小さいガラス基板が構成の大部分を占めるため、温度特性がよいという利点も有する。なお、軸上色収差を生じさせる光学素子としては、回折レンズ1に限らず、たとえば複数枚のレンズを組み合わせたものであってもよい。
【0024】
対物レンズ2は、回折レンズ1で色収差を生じさせた光を計測対象物200に集光する光学素子である。また、対物レンズ2は、計測対象物200からの反射光を平行光へとコリメートする。コリメートされた光は回折レンズ1に入射される。なお、
図1に示された構成では、対物レンズ2は、回折レンズ1よりも計測対象物200側に配置されている。ただし対物レンズ2と回折レンズ1との配置関係はこのように限定されるものではない。
【0025】
複数の波長の光を出射する光源に、白色光源を用いる場合について以下に説明する。白色光源から出射する光は、光ファイバ11を介してヘッド部10に導かれている。光ファイバ11から出射する光を回折レンズ1で有効に利用するには、光ファイバ11の開口数(NA:numerical aperture)と回折レンズ1の開口数とを一致させる必要がある。そのため、光ファイバ11と回折レンズ1との間に集光レンズ3を設けて、光ファイバ11の開口数と回折レンズ1の開口数とが一致するように調整している。
【0026】
光ファイバ11は、ヘッド部10からコントローラ部20までの光路であるとともに、開口としても機能している。つまり、対物レンズ2で集光した光のうち、計測対象物200で合焦する光は、光ファイバ11の開口部で合焦することになる。そのため、光ファイバ11は、計測対象物200で合焦しない波長の光を遮光し、計測対象物200で合焦する光を通過させる開口として機能することになる。ヘッド部10からコントローラ部20までの光路に光ファイバ11を用いることで、ピンホールが不要となる。
【0027】
共焦点計測装置100は、ヘッド部10からコントローラ部20までの光路に光ファイバ11を用いない構成を有していても良い。ただし当該光路に光ファイバ11を用いることで、ヘッド部10をコントローラ部20に対してフレキシブルに移動させることが可能になる。また、ヘッド部10からコントローラ部20までの光路に光ファイバ11を用いない構成の場合、共焦点計測装置100にピンホールを備える必要がある。しかし、光ファイバ11を用いることにより、共焦点計測装置100は、ピンホールを備える必要がない。
【0028】
計測部としてのコントローラ部20は、白色光源である白色LED(Light Emitting Diode)21と、分岐光ファイバ22と、分光器23と、撮像素子24と、制御回路部25とを備えている。拡散したスペクトルを有する白色光を出射させる点状光源として白色LED21を用いているが、可視光の波長領域全般において、拡散したスペクトルを有する白色光を出射することができる点状光源であれば他の光源であってもよい。
【0029】
分岐光ファイバ22は、光ファイバ11と接続する側に一本の光ファイバ22aを有するとともに、その反対側に二本の光ファイバ22b、22cを有している。光ファイバ22bは白色LED21に光学的に接続され、光ファイバ22cは分光器23に光学的に接続される。そのため、分岐光ファイバ22は、白色LED21から出射する光を光ファイバ11に導くとともに、光ファイバ11を介してヘッド部10から戻る光を分光器23に導くことができる。
【0030】
分光器23は、ヘッド部10から戻る光を反射する凹面ミラー23aと、凹面ミラー23aで反射した光が入射する回折格子23bと、回折格子23bから出射する光を集光する集光レンズ23cとを有している。分光器23は、ヘッド部10から戻る光の撮像素子24における合焦位置を波長によって変えることができればよく、ツェルニターナ型、リトロー型などのいずれの構成であってもよい。
【0031】
撮像素子24は、分光器23から出射する光の強度を測定する。撮像素子24は、たとえばラインCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)あるいはラインCCD(Charge Coupled Device)である。共焦点計測装置100では、分光器23および撮像素子24によって、ヘッド部10から戻る光の強度を波長ごとに測定し、すなわち、ヘッド部10から戻る光のスペクトルを求め、強度のピーク値等から合焦している光の波長を特定するスペクトル測定部を構成している。合焦する光の波長と計測対象物200の変位との関係を予め得ておくことで、計測対象物200の変位を計測することができる。測定部は、ヘッド部10から戻る光の強度を波長ごとに測定することができれば、CCDなどの撮像素子24の単体で構成してもよい。また、撮像素子24は、2次元のCMOSあるいは2次元のCCDであってもよい。
【0032】
制御回路部25は、白色LED21、撮像素子24あるいは移動機構40などの動作を制御する回路である。
【0033】
モニタ部30は、撮像素子24が出力した信号を表示する。たとえば、モニタ部30は、ヘッド部10から戻る光のスペクトル波形を描画し、計測対象物の変位がたとえば123.45μmであることを表示する。
【0034】
移動機構40は、制御回路部25の制御により、ヘッド部10を、共焦点計測装置100の測定軸に沿った方向(Z方向)に移動させて、ヘッド部10を位置決めする。移動機構40によって、ヘッド部10と計測対象物200との間の距離を変更させることができる。
【0035】
制御回路部25は、移動機構40によってヘッド部10と計測対象物200との間の距離を変化させ、同時に、スペクトル測定部の受光量を示す信号をスペクトル測定部から取得する。ここで「受光量」とは、スペクトル測定部で取得された受光波形から得られる受光強度のピーク値を意味する。制御回路部25は、ヘッド部10と計測対象物200との間の距離に対する受光量の変化を示す波形の極値点に対応した位置にヘッド部10を位置決めする。このときのヘッド部10と計測対象物200との間の距離が、計測対象物200の変位を計測するときのヘッド部10と計測対象物200との間の基準距離となる。
【0036】
「受光量の極値点」とは、受光量の波形における極大点または極小点に相当する。たとえば、距離に対する受光量の変化量が一定の大きさ以下となる部分を極大点または極小点と定義することができる。「極大点」とは、たとえば距離に対する受光量の変化量が正値から次第に減少してある値以下(理想的には0)となる部分である。「極小点」とは、たとえば距離に対する受光量の変化量が負値から次第に増加して(変化量の絶対値は減少する)、ある値(理想的には0)となる部分である。
【0037】
本発明の実施の形態に係る変位計測装置である共焦点計測装置100は、計測対象物200からの反射光の受光強度が最大となる波長から変位を計測する。計測対象物の反射率の波長依存性が小さい場合には、正確に距離を計測することができる。しかしながら、たとえば干渉膜が形成された基板の計測の場合には、反射率が波長に応じて大きく変化する。したがって変位の正確な測定が困難になるという課題が生じる。
【0038】
本発明の実施の形態では、変位の計測に先立って、移動機構40によってヘッド部10と計測対象物200との間の距離を変化させて、測定部の受光量の波形を取得する。その受光量の極大点または極小点に対応する位置にヘッド部10を位置決めする。これにより計測対象物200の反射率の波長依存性が大きい場合にも、計測対象物の変位を精度よく計測することができる。
【0039】
この点について、まず、反射率が波長に応じて大きく変化する計測対象物の変位を計測する場合に起こり得る問題点を説明し、次に、本発明の実施の形態に係る共焦点計測装置100が、そのような課題を解決することができることを説明する。
【0040】
(第1の計測例およびその課題)
図2は、計測対象物200の透明薄膜との相対位置の計測に関する第1の例を説明するための図である。計測対象物200の透明薄膜との相対位置の計測は、変位の計測に対応する。
図2を参照して、計測対象物200は、基板200aおよび基板200aの表面に形成された透明薄膜200bからなる。計測開始時には、計測対象物200とヘッド部10(センサヘッド)との間の距離が、所定の距離に定められる。このときのヘッド部10の位置から計測対象物200までの距離が基準距離である。この実施の形態では、基準距離を計測中心距離として、ヘッド部10が+Z方向および−Z方向に移動可能である。ヘッド部10の移動範囲が共焦点計測装置100の「計測範囲」である。
【0041】
計測対象物200に、ヘッド部10から光を投光した場合には、透明薄膜200bの表面(透明薄膜200bと空気との界面)において反射光が生じるだけでなく、透明薄膜200bと基板200aとの界面においても反射光が生じる。これらの反射光の間で干渉が生じる。
【0042】
この実施の形態では、ヘッド部10は計測対象物200に白色光を照射する。干渉光の強度は、透明薄膜の厚さだけでなく、光の波長によっても変化することが知られている(たとえば特開2002−819196号公報を参照)。したがって
図2に示されるように、透明薄膜が形成された基板に白色光を照射して、その反射光の受光波形を取得すると、波長に応じて受光強度が変化するスペクトルが得られる(たとえば特開2002−819196号公報の
図7を参照)。
【0043】
図3は、ヘッド部(センサヘッド)の位置と、スペクトル測定部における受光波形との間の関係を示した波形図である。
図3を参照して、干渉の影響によって、受光強度のピークの高さが変化する。
図3では、異なる線種によって複数の受光波形を示す。
【0044】
図4は、
図3に示される受光波形が生じる場合における、ヘッド部10(センサヘッド)の位置と計測値との間の関係を示したグラフである。
図4に示したグラフは、受光波形のピーク位置(
図3を参照)から計測値を求めた結果であり、横軸にヘッド部10の位置を示し、縦軸に計測値を示す。センサヘッド位置に対する計測値の関係は、本来であれば直線の関係である(センサヘッド位置=計測値)。しかしながら、
図4に示されるように、干渉の影響によってセンサヘッド位置に対する計測値の関係は、直線に対してわずかにうねっている線として表される。
【0045】
図5は、ヘッド部10(センサヘッド)の位置と計測値の誤差との間の関係を示したグラフである。「計測値の誤差」とは、センサヘッド位置に対する計測値の本来の関係(直線)と、実際の関係(うねりを有する線)との間のずれに相当する。本来は、ヘッド部10(センサヘッド)の位置に関わらず、計測値の誤差は0とならなければならない。しかしながら
図5に示されるように、センサヘッド位置に応じて正方向および負方向に交互に振れる誤差が発生する。このような誤差は干渉の影響によるものである。
【0046】
図6は、受光量(
図4に示す受光波形から得られる受光強度のピーク値)と計測値誤差との関係を示した図である。
図6を参照して、受光量の極値点、すなわち、受光量の波形の極大点または極小点となる部分において、計測値誤差がほぼ0になる。なお、計測値誤差が0であるということは、計測値と真値とが等しいということである。
【0047】
図7は、計測値誤差の生じる原因を説明するための図である。
図7を参照して、受光波形は、分光反射特性と共焦点波形との積により得られる。「分光反射特性」は、スペクトル測定部での反射光の受光量の波長依存性として表すことができる。透明薄膜が無い場合、分光反射特性は波長に対して緩やかな変化しか示さない。このため、
図7には透明薄膜が無い場合の分光反射特性を示していない。
【0048】
透明薄膜が無い場合には、共焦点波形と受光波形とでは、受光強度がピークとなる波長が同じである。したがって計測誤差は0である。一方、表面に透明薄膜が形成された基板の場合には、干渉のために、波長に対する反射光の受光量が大きく変化する。共焦点波形のピークとなるワーク高さ(波長)において、分光反射特性の変化(傾き)が存在する場合、分光反射特性と共焦点波形との積の結果、受光波形と共焦点波形とで、受光強度がピークとなる波長がずれることが起こりうる。このずれが計測値誤差に相当する。
【0049】
(第2の計測例およびその課題)
図8は、計測対象物200の相対位置の計測に関する第2の例を説明するための図である。
図9は、
図8に示される構成により計測対象物の変位を計測した時の計測結果を示した図である。
【0050】
図8および
図9を参照して、計測対象物200では、基板200aの表面の一部に透明薄膜200bが形成されている。すなわち、計測対象物200の表面は、透明薄膜200bが有る部分と、透明薄膜200bが無い部分とが混在している。
【0051】
たとえば基板のそりあるいはうねりの検査のため、計測対象物200の表面内(たとえばX方向に沿って)高さ計測が行なわれる。この場合には、
図9に示されるように、透明薄膜200bが有る部分では、干渉の影響によって透明薄膜200bの厚み以上の段差が計測される。さらに、段差の計測値は、ヘッド部10の高さ位置に応じて変化する。すなわち、使う波長に応じて段差の計測値が変化するという課題がある。
【0052】
(第3の計測例およびその課題)
図10は、計測対象物200の透明薄膜との相対位置の計測に関する第3の例を説明するための図である。
図10を参照して、ガラス基板201とマスク202との間のギャップが特定の距離となるように、ガラス基板201とマスク202とが配置される。ガラス基板201の表面には、透明薄膜201bが形成されている。この構成において、ガラス基板201とマスク202との間のギャップが、上記の特定の距離を含む規格の範囲内であるかどうかが検査される。
【0053】
図11は、計測対象物200の透明薄膜との相対位置の計測に関する第4の例を説明するための図である。
図11を参照して、基板200aは、たとえばガラスなどの透明基板である。この例では、基板200a(透明基板)の厚みが計測される。
【0054】
図10に示されるように、透明薄膜のある面と、透明薄膜の無い面との間のギャップを計測する場合には、干渉の影響によって、そのギャップの計測値が実際の値からずれるという課題が生じうる。
図11に示された例においても同様に、透明基板の厚み計測を行なった場合には、干渉の影響によって、透明基板の厚みの計測値が実際の値からずれるという課題が生じうる。さらに、ヘッド部10のZ方向の位置に応じて、
図10に示すギャップの計測値あるいは
図11に示される透明基板の厚みの計測値が異なるという課題も生じ得る。
【0055】
本発明の実施の形態では、干渉の影響を受けにくい波長を選択して、変位を計測することにより、上記の課題を解決する。以下に、各実施の形態について詳細に説明する。
【0056】
[実施の形態1]
再び
図1を参照して、実施の形態1では、移動機構40によりヘッド部10をZ方向に移動させるとともにスペクトル測定部により反射光を受光する。制御回路部25は、スペクトル測定部から受光量を示す信号を受信する。この信号は、分光反射特性(干渉波形)を示す。
【0057】
制御回路部25は、移動機構40を制御して、分光反射特性(干渉波形)における受光量の極大点または極小点に対応する距離となるように、ヘッド部10と計測対象物200との間の距離を調整する。上述のようにヘッド部10の位置を変化させることにより、ヘッド部10と計測対象物200との間の距離が調整される。
【0058】
図12は、本発明の実施の形態1による変位計測の原理を説明するための図である。
図12を参照して、分光反射特性の極値点(極大点または極小点の部分)では、ワーク高さ(波長)に対する受光量の変化は小さく、ほぼ一定とみなすことができる。受光波形は、分光反射特性と共焦点波形との積により得られる。したがって受光強度がピークとなる波長を、受光波形と共焦点波形とで一致させることができる。
【0059】
これにより、実施の形態1によれば、ヘッド部10から透明薄膜200bまでの距離を正確に計測することができる。したがって透明薄膜が形成された基板の反りあるいはうねり、基板とマスクとの間のギャップ、透明基板の厚みなどを正確に計測することができる。
【0060】
図13は、本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置の変位計測方法を説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、主として制御回路部25により実行される。
図13を参照して、ステップS1において、制御回路部25は、移動機構40によりヘッド部10を移動させて、スペクトル測定部の受光量を示す信号(すなわち分光反射特性を示す信号)をスペクトル測定部から取得する。
【0061】
ステップS2において、制御回路部25は、スペクトル測定部より受信した信号に基づいて、計測範囲内における受光量の極大点または極小点を検出する。
【0062】
ステップS3において、制御回路部25は、検出された受光量の極大点または極小点の数が複数であるか否かを判定する。計測範囲内において受光量の極大点または極小点の数が1つである場合、ステップS4において、その極大点または極小点に対応する位置を計測開始時のヘッド部10の位置に決定する。このときのヘッド部10と計測対象物200との間の距離が、計測開始時の距離、すなわち計測中心距離(本発明における「基準距離」に相当)である。
【0063】
一方、計測範囲内において受光量の極大点または極小点の数が複数である場合、ステップS5において、制御回路部25は、計測範囲の中心に最も近い極大点または極小点に対応する位置を計測開始時のヘッド部10の位置に決定する。これにより計測中心距離が決定される。
【0064】
ステップS4またはステップS5の処理において、制御回路部25は、移動機構40を制御して、ヘッド部10と計測対象物200との間の距離が計測中心距離となるようにヘッド部10を位置決めする。ステップS4またはステップS5の処理に続き、ステップS6において変位が計測される。たとえば、上記第1〜第3の計測例のいずれかが実行される。なお、第3の計測例の場合には、計測対象物200をX方向に走査して、ヘッド部10が光を集光させる計測対象物200の位置を変化させながら、ヘッド部10と計測対象物20との間の距離と上記「基準距離」との間の差異が検出される。
【0065】
実施の形態1によれば、変位の計測に先立って、ヘッド部10を測定軸方向に移動させる。測定部の受光量に基づいて、分光反射特性の波形の極大点または極小点(すなわち受光量の極大点または極小点)となる位置にヘッド部10が位置決めされる。これにより、変位計測に対する分光反射特性の影響を抑えることができるので、正確な計測が可能になる。したがって、たとえば計測対象物200の透明薄膜との相対位置を正確に計測することができる。
【0066】
さらに実施の形態1によれば、計測範囲の中に受光量の極大点または極小点が複数ある場合には、計測中心に最も近い受光量の極大点または極小点に対応した位置にヘッド部10を位置決めする。これにより、白色光源の発光強度が高い波長を用いて計測ができるので、スペクトル測定部からの受光信号のS/N比を高めることができる。この結果、より正確な計測が可能となる。
【0067】
[実施の形態2]
図14は、本発明の実施の形態2に係る共焦点計測装置の変位計測方法を説明するためのフローチャートである。
図13および
図14を参照して、実施の形態2に係る変位計測方法は、ステップS5に代えてステップS5Aの処理が実行される点において実施の形態1に係る変位計測方法と異なる。ステップS5Aにおいて、制御回路部25は、計測範囲の中心に最も近い極大点に対応する位置を計測開始時のヘッド部10の位置に決定して、その位置へとヘッド部10を位置決めする。
【0068】
図15は、分光反射特性において極大点または極小点が複数ある場合に極大点を選択する理由を説明するための図である。
図15を参照して、受光強度のピーク位置を示す波長における分光反射特性の受光量をaとし、受光量aに対応する波長からわずかに短波長側にずれた波長における分光反射特性の受光量をbとし、受光量aに対応する波長からわずかに長波長側にずれた波長における分光反射特性の受光量をcとする。
【0069】
分光反射特性の極大点に相当する位置にヘッド部10の位置を調整しようとする場合には、ヘッド部10の位置が極大点に対応した位置からずれると計測値誤差が発生する。しかし、極大点からの位置ずれに対する分光反射特性の変化率が小さい。言い換えると受光量の変化の比率(|b−a|/a、または|c−a|/a)が小さい。このため計測誤差を小さくすることができる。
【0070】
一方、分光反射特性の極小点に相当する位置にヘッド部10の位置を調整しようとする場合には、ヘッド部10の位置が極小点の位置からずれたときに誤差が発生する。この場合には、分光反射特性の波形の変化率が急峻である。すなわち受光量の変化の比率(|b−a|/a、または|c−a|/a)が分光反射特性の極大点近傍における受光量の変化の比率に比べて大きい。このため計測誤差が大きくなりやすい。
【0071】
実施の形態2によれば、制御回路部25は、計測範囲の中心に最も近い極大点に対応する位置にヘッド部10を位置決めする。したがって、計測誤差をより小さくすることができる。
【0072】
続いて、上記の実施の形態に従って変位計測を測定した結果について説明する。この実施例では、透明基板のうねりの計測を行なった。
【0073】
(1)条件
ヘッド部10の計測中心距離は20mmであり、計測範囲は±1mmであった。計測対象物200に、透明薄膜が表面の一部に形成されたガラス基板を用いた。
【0074】
(2)ヘッド部の高さ調整値の算出
計測対象物200の透明薄膜部分にヘッド部10を移動させて、Z方向に21mm(計測中心距離に対して−1mm移動)から19mm(計測中心距離に対して+1mm移動)までヘッド部10を移動させて、移動中の計測値と受光量のピークとをプロットした。測定のピッチは25μmであった。
【0075】
図16は、本発明の実施の形態2に係る計測方法による計測結果を示した図である。
図16を参照して、計測中心に最も近い極大点部を求めると、計測値が0.125mmとなるところであった。
【0076】
(3)ヘッド部の高さ調整
制御回路部25により移動機構40を制御して、共焦点計測装置100の計測値が0.125mmとなるように、ヘッド部10を移動させた。
【0077】
(4)計測
計測対象物200(基板)のうねりを計測した。透明薄膜(干渉膜)の影響を受けない正確な計測が可能であることを確認できた。
【0078】
なお、実施の形態1においては、ヘッド部10の位置に対して分光反射特性の極値点が求められる。しかしながら
図16に示されるように、計測値に対して極値点を求めてもよい。このとき計測値にはわずかな誤差が含まれているが、受光量が極値点となる計測値を求めて、その極値点となる計測値が得られるように、計測値を確認しながらヘッド部10の位置を調整することによって、ヘッド部10の位置を分光反射特性の極値点に正確に合わせることができる。
【0079】
また、上記の各実施の形態では、ヘッド部10が移動される。しかし、
図17に示すように、移動機構40は、計測対象物200が載せられたステージ250をZ方向に移動させてもよい。あるいは、移動機構40は、ヘッド部10およびステージ250の両方を同時にまたは交互に移動可能であってもよい。すなわち移動機構40は、ヘッド部10と計測対象物200との間の測定軸方向の距離を変化させるものであればよい。
【0080】
また、上記の各実施の形態では、移動機構40を制御する制御回路部はコントローラ部20の内部に配置されているが、このように限定される必要はない。移動機構40を制御する制御回路部を、共焦点計測装置100の外部に設ける構成であってもよい。
【0081】
また、計測対象物の分光反射特性を求める具体的方法および構成は上述のように限定されるものではない。たとえば、特開2002−81916号公報(たとえば
図6)に開示されているような光学系を別途設けて、この光学系によって分光反射特性を求めてもよい。
【0082】
また、求められた分光反射特性を用いて、当該分光反射特性が距離の計測にもたらす誤差を軽減するようにして、ヘッド部10と計測対象物200との間の距離を求めるための具体的方法は、上述のように限定されるものではない。たとえば、計測対象物の分光反射特性を記録しておいて、それを用いて、計測対象物の分光反射特性が平坦であった場合に得られるはずの、開口を通過した光スペクトルを換算して求めて、そのピーク波長に基づいて、ヘッド部10と計測対象物200との間の距離を求めてもよい。
【0083】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。