(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出力制御手段は、前記算出された推奨度の高い順に、全駐車モード数よりも少ない数の駐車モードを選択し、前記選択された駐車モードのみを出力することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の駐車支援装置。
前記出力制御手段は、前記算出された推奨度が最も高い駐車モードを、前記駐車支援手段の起動時における駐車モードとして設定させる設定指令を、前記駐車支援手段に出力することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の駐車支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る駐車支援装置を車両用駐車支援システム100Vに適用するとともに、本発明に係る駐車支援システムを車両用駐車支援システム100V及び駐車情報管理サーバ2000を備える駐車支援システム1000に適用した場合を例にして説明する。
【0010】
図1は、本発明の本実施形態に係る駐車支援システム1000のブロック構成図である。
図1に示すように、本実施形態の駐車支援システム1000は、自車両及び他車両VXに搭載された車両用駐車支援システム100Vと、駐車情報管理サーバ2000とを備える。
【0011】
本実施形態の駐車支援システム1000は、互いに情報の授受を行うことができる駐車情報管理サーバ2000と、自車両V及び複数の他車両VX(プローブ車両)に搭載された車両用駐車支援システム100Vとを備える、いわゆるプローブカーシステムを構成する。駐車情報管理サーバ2000と車両に搭載された車両用駐車支援システム100Vとの通信の手法は特に限定されない。
【0012】
車両用駐車支援システム100Vは、駐車支援装置100と、通信装置200と、ナビゲーション装置300と、車両コントローラ400と、CAN(Controller Area Network)などの車載LANとを備える。本実施形態の駐車支援装置100と上記各車載装置200、300、400とは、互いに情報の授受を行うことができるようにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
【0013】
車両に搭載された駐車支援装置100は、各種車載装置と連携し、自車両を目標駐車スペースへ移動させる駐車操作を支援する。通信装置200は、駐車情報管理サーバ2000などの外部装置との情報の授受を行う。ナビゲーション装置300は、現在位置検出装置301と、アクセス可能な地図情報303と、地図情報を参照して経路探索を実行する経路探索装置302とを備える。車両コントローラ400は、車両の駆動を制御する。駐車支援装置100が搭載された複数の他車両VXは、駐車支援管理サーバ2000へ情報を提供するプローブカーとして機能する。また、駐車支援装置100が搭載された複数の他車両VXは、駐車支援管理サーバ2000から取得した情報を利用する。
【0014】
図2は、本発明に係る実施形態の車両用駐車支援システム100Vの具体的な構成図である。車両用駐車支援システム100Vは、車両Vに搭載され、運転者が希望する駐車モード(並列駐車、縦列駐車、斜め駐車など)で、運転者が設定した目標とする駐車スペースに自車両Vを駐車する操作を支援する装置である。
図2に示すように、車両用の駐車支援システム100Vは、駐車支援処理の実行を制御する駐車支援装置100と、通信装置200と、車両コントローラ400と、カメラ1a〜1dと、画像処理装置2とを備える。さらに、車両用駐車支援システム100Vは、車両の駆動装置40と、ステアリング装置50と、車速センサ60と、現在位置検出装置301と、を備える。上記各構成はCANを介して相互に情報の授受が可能である。同図に示す駐車情報管理サーバ2000は、各車両用駐車支援装置100Vと情報の授受を行い、後述する駐車情報の管理を行うコンピュータである。
【0015】
車両用駐車支援システム100Vが備える各構成について説明する。
駐車支援装置100は、制御装置10と入出力装置20(タッチパネル式ディスプレイ)とを備えるコンピュータである。制御装置10は、起動命令に従い起動し、選択された駐車モードで自車両を目標駐車スペースへ移動させる操作(以下、駐車操作ともいう)を支援するプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、駐車支援装置100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13と、を備える。RAM12は駐車情報Pを記憶する。
【0016】
本実施形態に係る駐車支援装置100の制御装置10は、駐車支援機能と、駐車情報取得機能と、現在位置検出機能と、駐車モード選択機能と、出力制御機能とを有する。さらに、制御装置10は、推奨度算出機能と、識別子取得機能と、駐車支援起動機能を有する。本実施形態の制御装置10は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実行する。
【0017】
以下、本実施形態に係る駐車支援装置100の各機能について説明する。
【0018】
まず、駐車支援装置100の制御装置10が実行する駐車支援機能について説明する。駐車支援機能は、自車両を目標とする駐車スペースへ移動させる駐車操作を支援する機能である。具体的に、本実施形態の駐車支援機能は、駐車操作の支援を開始する際の自車両の位置と駐車スペースの位置との位置関係に応じた駐車モードに従い、自車両が駐車スペースに至る駐車経路を算出し、この駐車経路に沿って自車両を駐車スペースへ移動させる機能である。本実施形態の制御装置10は、駐車支援機能を実行するために、撮像画像取得機能と、合成画像生成機能と、駐車モード選択機能と、目標駐車スペース設定機能とをさらに備える。
【0019】
駐車支援装置100の制御装置10は、駐車支援機能を実行する駐車支援コントロールユニットを備える。駐車支援コントロールユニットは、駐車操作の支援を開始する際の自車両Vの位置と目標とする駐車スペースの位置との位置関係に応じた駐車モードに従い、自車両Vが目標とする駐車スペースに至る駐車経路を算出し、当該算出された駐車経路に沿って自車両Vを目標駐車スペースへ移動させる。
【0020】
その手法は特に限定されないが、たとえば、駐車支援コントロールユニットは、AT/CVTコントロールユニットからのシフトレンジ情報、ABSコントロールユニットからの車輪速情報、舵角センサコントロールユニットからの舵角情報、ECMからのエンジン回転数情報等に基づいて、自動転舵に関する指示情報を演算し、車両コントローラ400を介して駆動装置40、ステアリング装置50等の動作を制御することにより、車両が目標駐車スペースへ移動することを支援する。
【0021】
また、駆動装置40は、駐車支援装置100から取得したEPSコントロールユニット(車速感応式電子制御パワーステアリングシステム)に対する制御指令信号に基づいて車両Vを目標駐車スペースへ移動させる操作を補助する。例えば、駆動装置40に含まれる電動パワーステアリング(EPS)のEPSモータは、駐車支援装置100から取得した制御指令信号に基づいてステアリング装置50が備えるパワーステアリング機構を駆動して車両Vを目標駐車スペースPKへ移動する際の操作を支援する。
【0022】
さらに、ステアリング装置50のステアリングコントロールユニットは、制御装置10の制御指令に従い、ステアリングのコラムシャフトに取り付けられるモータ等の制御を実行する。具体的に、ステアリングコントロールユニットは、駐車支援装置100が算出した車両の現在位置から駐車スペースまでの駐車経路と設定車速と設定舵角に基づいて、この設定舵角に追従するように操舵を自動で行う機能を備える。なお、本実施形態では電動パワーステアリングを備える車両を例に説明するが、EPS以外にも油圧パワーステアリングやステアバイワイヤ等を備える車両でも実現可能である。駐車支援の内容及び手法は特に限定されず、出願時において知られた手法を適宜に適用することができる。
【0023】
次に、駐車情報取得機能について説明する。駐車支援装置100の制御装置10は、各駐車スペースの位置と、当該各駐車スペースに駐車する際に利用される駐車モードとが予め対応づけられた情報を含む駐車情報Pを取得する。
【0024】
以下、本実施形態の駐車情報Pについて説明する。本実施形態の駐車情報Pは、車両の駐車支援装置100側で生成してもよいし、必要な情報を各車両から収集して後述する駐車情報管理サーバ2000側で生成してもよい。
【0025】
図3Aに、本実施形態の駐車情報Pの第1例を示す。
図3Aに示すように、一の駐車スペースの位置情報と、その駐車スペースで利用可能な駐車モードとが対応づけられている。この駐車情報Pは、駐車スペースが存在する位置、つまり駐車スペースが存在することを示す情報を含む。
【0026】
駐車スペースの位置情報は、地点情報(緯度・経度)又は領域情報(緯度・経度で特定される範囲)で定義される。駐車パターンが対応づけられる駐車スペースは、一台の車両を収容可能な一台分の駐車スペースであってもよいし、一台分の駐車スペースが複数集まった駐車施設(駐車スペースの集合体)であってもよい。
【0027】
特に限定されないが、駐車情報Pにおいて、自宅の駐車場は一台分の駐車スペースとして定義し、高速道路のサービスエリアの駐車場は複数の駐車スペースの集合体(駐車施設)として定義することができる。一台分の駐車スペースの位置は基準とする地点の緯度・経度により定義し、複数の駐車スペースを含む駐車施設はその施設の領域外延上にある複数の地点の緯度・経度により定義することができる。もちろん、
図3Aに示すように、複数の駐車スペースを含むパーキングエリア(駐車施設)を広い領域で指定するとともに、より狭い領域を小領域特定情報で指定することができる。同図に示すように、複数の駐車スペースを含む施設Aの駐車場(駐車施設)を広い領域で指定するとともに、一台乃至数台分の駐車スペースを駐車場において定義された番地特定情報(ロケーション)で指定することができる。このような小領域特定情報、番地特定情報を含む位置情報は、後述する
図3B、
図3Cの駐車情報Pにも適用可能である。
【0028】
本実施形態の駐車モードは、駐車スペースに自車両を移動させる(駐車する)際の自車両と駐車スペースとの位置関係に応じた態様である。本実施形態の駐車モードは、並列駐車モードと、縦列駐車モードと、斜め駐車モードとの3態様を含む。これら各駐車モードは左右のサブモードをそれぞれ含む。つまり、本実施形態の駐車モードは、右側又は左側の並列駐車モードと、右側又は左側の縦列駐車モードと、右側又は左側の斜め駐車モードとの少なくとも六つのモードを含む。さらに、右側縦列駐車モードと左側縦列駐車モードは、駐車スペースが相対的に広い場合における第1縦列駐車モード(駐車スペースが広い場合)と駐車スペースが相対的に狭い場合における第2縦列駐車モード(駐車スペースが狭い場合)との二つのサブ駐車モードを含む。
【0029】
ところで、ある駐車スペースに駐車をする場合に利用する駐車モードは、予め決まっている場合がある。例えば、自宅の駐車スペースに駐車するときには、右側の並列駐車モードだけが利用できるという場合、高速道路のサービスエリアAの駐車スペースに駐車するときには、右側斜め駐車モード又は左側斜め駐車モードの何れか一方が利用できるという場合、ショッピングモールBの駐車スペースに駐車するときには、右側並列駐車モード、左側並列駐車モード、右側縦列駐車モードの三つの駐車モードの何れかを選択できるという場合がある。このように、ある駐車スペースに駐車しようとするときには、その駐車スペースと道路との位置関係に応じた駐車モードが特定される場合がある。つまり、各駐車スペース及び駐車スペース群(駐車施設)には、予め、利用可能な一又は複数の利用可能な駐車モードを対応づけることができる。
【0030】
本実施形態の駐車情報Pでは、位置情報により特定される駐車スペースと、その駐車スペースに駐車をする場合に利用できる駐車モードとが関係づけられている。
【0031】
本実施形態の駐車情報Pは、位置情報により特定される駐車スペースの属性・施設情報を含む。駐車スペースの属性とは、駐車スペースが道路上にあるか否かの情報、駐車スペースが属する施設の特定情報を含む。
【0032】
本実施形態の駐車情報Pは、駐車スペースが存在することを示す駐車スペース情報を含む。駐車スペース情報は、駐車スペースの位置情報である。本実施形態では、駐車スペースが存在することが、駐車支援動作の起動及び駐車モードの設定の前提となる。また、駐車情報Pには、各駐車スペースが利用可能であるか(空いているか)の利用可否情報を含ませてもよい。この利用可否情報は、駐車場の管理装置から、各駐車スペースが利用中であるか否かの情報として取得することができる。駐車情報Pが利用可否情報を含む場合には、制御装置10が取得する駐車情報Pを駐車が可能なもの(空いている駐車場)に限定してもよい。
【0033】
本実施形態の駐車情報Pは、自車両駐車履歴情報を含む。車両駐車履歴情報は、各駐車スペースについて、自車両が過去にその駐車スペースに駐車する際に利用した駐車モードを含む。この車両駐車履歴情報は、自車両が駐車支援を実行したタイミングにおける現在位置に最も近い駐車スペース(駐車した駐車スペース)の識別情報と、その駐車スペースに駐車したときに利用した駐車モードとを対応づけることにより得られる。
【0034】
図3Bに、本実施形態の駐車情報Pの第2例を示す。
図3Bに示すように、本実施形態の駐車情報Pは、各駐車スペースの位置と、この各駐車スペースに駐車する際に利用される駐車モードとが、運転者識別子ごとに対応づけられた運転者別駐車履歴情報を含む。
【0035】
図3Bに示す駐車情報Pは、駐車支援起動履歴情報を含む。駐車支援起動履歴情報は、自車両及び/又は他車両から収集された、駐車支援機能が起動された位置情報を含む駐車支援動作の実行履歴を有する。自車両の駐車支援動作の実行履歴は、過去の駐車支援機能の起動時である駐車日時と、その際に設定された駐車モードとに基づいて生成される。
図3Bに示す駐車情報Pの「自車両の駐車支援動作の実行履歴」は、直近の駐車支援動作の実行履歴と、直近の駐車支援動作が実行されるまでの履歴において最も利用頻度が高い駐車モードとを含む。
【0036】
図3Cに、本実施形態の駐車情報Pの第3例を示す。
図3Cに示すように、本実施形態の駐車情報Pは、他車両から取得された、各駐車スペースの位置情報と、その各駐車スペースに駐車する際に各他車両が利用した駐車モードとが予め対応づけられた他車両駐車履歴情報を含む。他車両駐車履歴情報は、自車両が利用したことの無い駐車スペースに関する情報をも含む。
【0037】
本実施形態の駐車情報Pは、他車両の駐車支援動作の実行履歴を含む。他車両の駐車支援動作の実行履歴は、他車両が各駐車スペースに駐車した回数、各駐車スペースに駐車する際に最も利用頻度が高い駐車モードを含む。もちろん、
図3Cに示す駐車情報Pに自車両の駐車支援動作の実行履歴をも含ませることができる。
【0038】
また、
図3Cに示す駐車情報Pは、自車両及び/又は他車両から収集され、駐車スペースのそれぞれについて、その駐車スペースに駐車する際に自車両及び/又は他車両の乗員が駐車スペースを狭いと感じたか否かについて入力した主観情報を含む。この主観情報は、各駐車スペースの駐車回数に対して、その駐車スペースが狭いと感じた旨の入力回数(オン情報)が占める割合(オン情報/全駐車回数)として表現される。主観情報は、他車両が利用したことがあれば、自車両が利用したことが無い駐車スペースについても、その駐車スペースが狭いと感じるか否かについての情報が含まれる。ちなみに、駐車スペースが狭いと感じる場合には、その駐車スペースが狭く設計されている場合と、相対的に広い駐車スペースについて利用される第1右側(左側)縦列駐車モードを用いて駐車したが、その駐車スペースが広くない場合とがある。
【0039】
駐車情報Pは、駐車情報管理サーバ2000において生成することができる。
図2に示すように、本実施形態の駐車支援システム1000の構成となる駐車情報管理サーバ2000は、情報収集装置2010と、駐車情報生成装置2020と、駐車情報記憶装置2030と、駐車情報提供装置2040とを備える。情報収集装置2010は、自車両V及び他車両VXから駐車支援の実行時における車両V,VXの現在位置と、駐車支援の実行時に選択された駐車モードとを含む情報を収集する。駐車情報生成装置2020は、収集した駐車に関する情報に基づいて、各駐車スペースの位置情報と、その駐車スペースに駐車する際に利用される駐車モードとが予め対応づけられた情報を含む駐車情報Pを生成する。生成される駐車情報Pの態様は特に限定されず、
図3A〜
図3Cに示す情報の一部又は全部を含むものであってもよい。駐車情報記憶装置2030は、生成された駐車情報Pを少なくとも一時的に記憶する。駐車情報記憶装置2030は、新たに生成された駐車情報Pを逐次記憶する。駐車情報提供装置2040は、自発的に又は要求に応じて、各車両の駐車支援装置100に駐車情報Pを提供する。
【0040】
本実施形態の現在位置検出機能について説明する。車両に搭載された現在位置検出装置70は、自車両の現在位置を検出する。現在位置検出装置301は、GPS(Global Positioning System)を備え、ジャイロセンサ及び車輪に取り付けられた距離センサから入力される測位データに基づいて現在位置を推定する自律航法を用いて自車位置を測位するものであってもよい。
【0041】
本実施形態の駐車モード選択機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、取得した駐車情報Pを参照し、自車両の現在位置と所定距離以内の位置情報を有する駐車スペース(又は駐車施設)を抽出し、今回駐車しようとしている一の駐車スペース又は複数の駐車スペース(駐車施設)に対応づけられた一又は複数の駐車モードを、今回の駐車支援処理で利用する駐車モードとして選択する。
【0042】
選択された駐車モードが一つであれば、今回の駐車支援処理で利用する駐車モードの絞り込みは十分である。他方、複数の駐車モードが選択された場合には、制御装置10が各駐車モードの推奨度を算出する。ちなみに、本実施形態の推奨度は、運転者が実際に選択する可能性の高さの程度である。推奨度が高いほど、その駐車モードが運転者に実際に選択される可能性が高い。推奨度は、後述する推奨度算出機能により算出される。
【0043】
本実施形態の推奨度算出機能について説明する。本実施形態の制御装置は、駐車情報Pを参照し、駐車スペースにおける駐車モードの推奨度を算出する。本実施形態の推奨度は、自車両と駐車スペースとの距離、運転者自身の経験(履歴)、他車両の運転者の経験(履歴)、各運転者の主観などに基づいて算出される。
以下、推奨度の各算出手法について説明する。
駐車支援装置100の制御装置10は、自車両の現在位置との距離が近い駐車スペースに対応づけられている駐車モードの推奨度を高く算出する。例えば、
図3Bを参照し、自車両が施設Aの駐車場の位置情報に含まれる位置に存在すると判断した場合を例にして説明する。第1の算出手法としては、施設Aに対応づけられた最も利用頻度の高い駐車モードは左並列であるので、左並列の推奨度を高く算出する。同じく、自車両が施設Aの駐車場内であって、自車両の位置が施設A内の番地特定情報Aで特定される駐車スペースが最も近い位置に存在すると判断した場合を例にして説明する。第2の算出手法としては、番地特定情報Aに対応づけられた最も利用頻度の高い駐車モードは右並列であるので、右並列の推奨度を高く算出する。つまり、自車両が存在する施設Aに対応づけられた駐車モードよりも、自車両に最も近い駐車スペースに対応づけられた駐車モードを高く算出する。施設A全体(施設Aに属する駐車スペース群の全部)を考慮すると左並列の駐車モードの利用頻度が最も高いが、自車両が駐車する可能性が最も高いのは自車両に最も近い駐車スペースである。このため、駐車施設(駐車スペース群)全体の駐車情報Pと個々の駐車スペースの駐車情報Pの内容が異なる場合には、自車両の位置に最も近い駐車スペースの駐車情報Pを採用する。このように、自車両との距離が近い駐車スペースに対応づけられた駐車モードの推奨値を高く算出することにより、運転者が実際に駐車する駐車スペースに適した駐車モードを推薦することができる。
【0044】
なお、駐車スペースまでの距離により駐車モードの推奨度を算出する場合は、自車両が所定速度未満の走行となり、目標駐車スペースを特定する状態(駐車支援処理を実行できる状態)になったタイミングで推奨度を算出することが好ましい。自車両は速度を落として目標駐車スペースを選択するので、車速が低下したタイミングを目標駐車スペースを選択しているタイミングと推測することができるからである。
【0045】
また、駐車支援装置100の制御装置10は、駐車情報Pに含まれる駐車履歴情報を参照し、駐車モードの推奨度を算出する。この駐車履歴情報は、自車両の駐車履歴情報と、他車両の駐車履歴情報とを含む。
【0046】
制御装置10は、自車両の駐車履歴情報に含まれる実行履歴を参照し、現在位置検出装置70により検出された自車両の現在位置に基づいて、これから行われる駐車支援処理における駐車モードの推奨度を算出する。自車両の駐車履歴を含む駐車情報Pを用いることにより、自車両の行動に応じた駐車モードを選択することができる。自車両の所属が自家用車や社用車であれば、所定の駐車場に駐車する傾向が高い。自車両の駐車履歴を含む駐車情報Pを用いることにより、自車両の過去の駐車処理に応じた駐車モードを選択することができる。
【0047】
また、制御装置10は、他車両の駐車履歴情報を参照し、検出された自車両の現在位置に基づいて、駐車モードの推奨度を算出する。たとえば、制御装置10は、他車両の駐車履歴において、最も利用頻度が高い駐車モードの推奨度を高く算出する。他車両が高い頻度で利用する駐車モードは、その駐車スペースにおいて適切な駐車モードである可能性が高いからである。他車両(他人)の駐車履歴を含む駐車情報Pを用いることにより、自分が利用した経験の無い駐車スペースであっても、他車両の履歴を参照して適切な駐車モードを選択することができる。他車両(他人)の駐車履歴を含む駐車情報Pを用いることにより、運転者が利用したことの無い駐車場において、利用される傾向の高い駐車モードを選択することができる。
【0048】
さらに、本実施形態の制御装置10は、運転者別駐車履歴情報を含む駐車情報Pを参照し、自車両Vから取得した運転者識別子と検出された自車両の現在位置とに基づいて駐車モードの推奨度を算出する。具体的に、制御装置10は、運転者の識別子が付された運転者別駐車履歴情報を参照し、自車両の現在位置と所定距離以内に存在する駐車スペースの駐車モードの推奨度を算出する。特に限定されないが、制御装置10は、直近の駐車支援動作において利用した駐車モードの推奨度を高く算出する。同一の運転者であれば、同じ駐車スペースにおいては同じ駐車モードを利用する可能性が高いからである。制御装置10は、その運転者が駐車支援動作を実行させた履歴において最も利用頻度が高い駐車頻度の推奨度を高く算出する。同一の運転者であれば、同じ駐車スペースにおいては再度同じ駐車モードを利用する可能性が高いからである。
【0049】
このように、運転者別の駐車履歴を含む駐車情報Pを用いることにより、各運転者自身の行動に応じた駐車モードを選択することができる。運転者別の駐車履歴を含む駐車情報Pを用いることにより、各運転者の好み(得意・不得意)に応じた駐車モードを選択することができる。車両が複数の運転者によって共用される場合であっても、各運転者の行動に応じた駐車モードを選択することができる。
【0050】
さらに、制御装置10は、各駐車スペースの駐車回数に対して、各乗員がその各駐車スペースが狭いと感じた主観情報が入力回数の割合が高いほど、駐車スペースに対応づけられた駐車モードの推奨度を低く算出する。運転者が駐車時に「狭い」と感じた場合には、駐車モードが実際の状況(自車両と駐車スペースとの関係)と適合していない場合が考えられる。駐車支援装置100が狭いスペースに縦列駐車をするための第2縦列駐車モードを有しているにもかかわらず、運転者が広いスペースに縦列駐車をするための第1縦列駐車モードを利用した結果、「狭い」と感じている場合がある。このような場合において、運転者の履歴のみに基づいて、広いスペースに縦列駐車をするための第1縦列駐車モードの推奨度を高く算出してしまうと、同じ選択ミスが繰り返される可能性がある。このように、運転者が「狭い」と感じた場合には、駐車スペースと駐車モードとの組み合わせが不適切である可能性があるため、その駐車モードの推奨度を低く算出する。推奨度が低く算出されれば、後述する出力制御機能により優先的に設定されることや、目立つ位置又は選択しやすい位置に表示されることを防ぐことができるので、同じ選択ミスが起こることを防止することができる。この主観情報は、先述した駐車情報管理サーバ2000により収集、生成、管理及び提供される。
【0051】
先述した駐車モード選択機能は、推奨度の高い駐車モードを選択する。選択の手法は特に限定されず、制御装置10は、推奨値が所定値以上の駐車モードを選択してもよいし、推奨値が高い順に所定数の駐車モードを選択してもよい。
【0052】
次に、出力制御機能について説明する。制御装置10は、駐車モード選択機能により選択された駐車モードを出力する。出力先は、タッチパネル式ディスプレイ20、及び/又は駐車支援機能の実行ユニットである。
【0053】
制御装置10は、算出された推奨度が高く、自車両の運転者に推奨する一又は複数の駐車モードを選択してタッチパネル式ディスプレイ20を介して提示するので、利用される可能性の高い駐車モードだけを運転者に提示できる。
【0054】
また、制御装置10は、推奨度の高い順に、全駐車モード数よりも少ない数の駐車モードを選択し、推奨度の高い駐車モードを絞りこんでタッチパネル式ディスプレイ20に出力するので、すべての駐車モードを提示される場合よりも運転者は視認しやすくなる。
【0055】
さらに、制御装置10は、算出された推奨度が最も高い駐車モードを、駐車支援機能の起動時における駐車モードとして設定させる設定指令を、駐車支援機能の実行ユニットへ出力する。これにより、推奨度が最も高い駐車モードを、実際に利用する駐車モードとして自動的に設定することができる。
【0056】
次に、駐車支援起動機能について説明する。本実施形態の駐車支援装置100の制御装置10は、駐車スペースが存在する位置情報を含む駐車情報Pを参照し、検出された自車両の現在位置に基づいて、自車両が駐車スペースから所定距離以内に存在する場合には、先述した駐車支援機能を起動させる。
また、制御装置10は、駐車スペースの位置情報とその駐車スペースが利用が可能であるか否か(利用可否)とを対応づけた利用可否情報を含む駐車情報Pを参照し、自車両が利用可能な駐車スペース(利用可能を示すフラグが付された駐車スペース)から所定距離以内に存在する場合には、先述した駐車支援機能を起動させてもよい。
この駐車支援機能を起動させるタイミングを決定する駐車スペースと自車両との距離は、任意に設定することができる。具体的に、「駐車スペースと自車両との距離」は、20m〜0.5mの範囲、好ましくは10m〜3mの範囲、より好ましくは5m〜1mの範囲、さらに好ましくは2m〜0.5mの範囲で設定することができる。この距離は、自車両の速度に応じて決定してもよい。つまり、「自車両が目標駐車スペースに到達するまでの時間」を、「駐車スペースと自車両との距離」として設定してもよい。また、この距離又は時間は、駐車施設ごとに決定することもできる。駐車施設によっては広い範囲で同じ駐車モードが利用される場合があるからである。また、駐車支援機能の起動にあたっては、「駐車スペースと自車両との距離(時間)」が所定距離(時間)以内となったという条件に、自車両の速度が所定値未満となったという条件を付加してもよい。
運転者は、利用ができない駐車スペースに駐車しようとはしない。本実施形態では、利用可否情報を参照し、自車両が利用可能な駐車スペースに近づいた場合に駐車支援機能を起動するので、運転者が実際に駐車をしようとするときに先んじて駐車支援機能を起動させることができる。
【0057】
通常、駐車支援機能は、運転者自身による入力操作をトリガに起動される。具体的に、運転者は、実際に自車両を駐車させる目標駐車スペースを特定した後に、スイッチの押圧などの入力操作を行う。この入力操作に呼応して、駐車支援機能が起動し、駐車をする目標駐車スペースの特定、利用する駐車モードの選択などを要求する。
【0058】
これに対し、本実施形態では、自車両が駐車スペースに所定距離以内に接近した場合に、駐車支援機能を自動的に起動する。つまり、自車両が目標とする駐車スペースを決めて、そこに駐車をしようとしたときに、自動的に駐車支援機能が立ちあがる。これにより、運転者自らがスイッチの押圧などの入力操作を行う必要がない。この結果、駐車支援処理の実行時の入力操作の負荷を低減することができる。
【0059】
また、本実施形態の駐車支援装置100の制御装置10は、駐車支援起動履歴情報(駐車支援動作の実行履歴)を含む駐車情報Pを参照し、検出された自車両の現在位置に基づいて、駐車支援機能が実行された位置から所定距離以内に存在する場合には、駐車支援機能を自動的に起動させる。駐車支援起動履歴情報は、自車両及び/又は他車両の駐車支援機能が起動された場所を含む。駐車支援機能が起動される場所は、駐車スペースが存在している蓋然性が高い。このため、本実施形態では、駐車支援機能が起動された場所から所定距離以内に自車両が存在している場合には、自車両が駐車スペースの近傍に存在していると判断し、駐車支援機能を起動させる。この所定距離は、上述した「駐車スペースと自車両との距離」の設定手法に準ずる。
【0060】
このように、本実施形態では、自車両が過去に駐車支援機能が起動された位置に所定距離以内に接近した場合に、駐車支援機能を自動的に起動するので、運転者自らがスイッチの押圧などの入力操作を行う必要がない。これにより、駐車支援処理の実行時の入力操作の負荷を低減することができる。
【0061】
以下、
図4Aのフローチャートに基づいて、本実施形態に係る駐車支援システム1000の駐車支援装置100の制御手順を説明する。駐車支援装置100が実行する駐車支援処理は、大きく分けて4つの処理、つまり、駐車支援アプリケーション起動(ST1)、駐車モード選択(ST2)、目標駐車スペース設定(ST3)、及び駐車支援実行(ST4)を含む。本実施形態では、駐車モード選択ST2の前に駐車支援アプリケーション起動処理ST1を実行する例を説明するが、駐車支援アプリケーションは乗員自身が起動操作をすることにより起動させ(104)、駐車モード後方の選択を行ってもよい。
【0062】
本実施形態の駐車支援装置100は、駐車支援起動機能を備える。
ステップ101において、駐車支援装置100は、現在位置及び運転者識別子(ID)を取得する。現在位置は、現在位置検出装置301により取得する。運転者を識別する手法は特に限定されない。実際の運転者の運転者識別子は、車両を開錠したキーの識別子から取得してもよい。実際の運転者の識別子は、車両に搭乗した後に調整されたシート位置に基づいて、予め運転者別に設定されたシート位置情報を参照して取得してもよい。実際の運転者の運転者識別子は、運転者が携帯する端末装置の識別子(例えば通信ID)に基づいて取得してもよい。
【0063】
ステップ102において、本実施形態の駐車支援装置100は、駐車情報P(
図3A、
図3B,
図3C)を参照する。この駐車情報Pには、駐車スペース情報、駐車支援起動履歴情報その他の駐車支援動作の実行履歴情報を含む。駐車スペース情報は駐車スペースの存在を示す情報である。駐車情報Pは、駐車スペースの利用可否情報を含む。また、駐車支援起動履歴情報は、自車両及び/又は他車両の駐車支援機能が起動された位置情報を含む。
【0064】
本実施形態の駐車情報Pは、予め取得した情報に基づいて生成してもよいし、自車両Vの駐車支援装置100が生成してもよいし、外部の駐車情報管理サーバ2000が生成してもよい。
ここで、外部の駐車情報管理サーバ2000が駐車情報Pを生成するときの処理を
図4Bに基づいて説明する。先述したように、駐車情報管理サーバ2000は、情報収集装置2010、駐車情報生成装置2020、駐車情報記憶装置2030、駐車情報提供装置2040を備える。
【0065】
図4Bに示すように、ステップ201において、駐車情報管理サーバ2000の情報収集装置2010は、各プローブ車両V(自車両及び他車両を含む)から駐車支援動作に関係する各種情報を収集する。具体的に、情報収集装置2010は、車両の識別子、運転者識別子、駐車支援動作の起動時における現在位置、駐車支援動作の実行情報、駐車スペースの広狭に関する主観情報などを含む各種情報を収集する。
【0066】
ステップ202において、駐車情報生成装置2020は、収集した各種情報に基づいて駐車情報Pを生成する。この駐車情報Pは車両別、運転者別に生成してもよい。また、駐車情報生成装置2020は、直前に利用された駐車パターンを識別する処理、過去に最も高い頻度で利用された駐車パターンを求める処理をすることができる。
【0067】
ステップ203において、駐車情報記憶装置2030は、生成された駐車情報Pを記憶する。この記憶は所定周期で更新される。
【0068】
ステップ204において、駐車情報Pの提供タイミングであるか否かを判断する。車両Vからアクセス要求があった場合、予め設定した提供タイミングとなった場合には、ステップ205へ進み駐車情報Pを提供する。駐車情報Pの提供タイミングとなるまでは、ステップ201以降の情報取得処理、生成処理、記憶処理を繰り返す。
【0069】
図4Aに戻り、ステップ103において、本実施形態の駐車支援装置100は、現在位置検出装置70により検出された現在位置情報と駐車情報Pの位置情報とを比較する。そして、自車両の現在位置が駐車スペースから所定距離以内に存在する場合には、駐車支援動作の起動タイミングであると判断し、ステップ104へ進む。他方、自車両の現在位置が駐車スペースから所定距離を超えて離隔している場合には、今現在は駐車支援動作の起動タイミングでないと判断し、ステップ101以降の処理を繰り返す。
【0070】
ステップ104において、本実施形態の駐車支援装置100は、駐車支援動作を実行するアプリケーション(処理群)を起動する。なお、本実施形態の駐車支援装置100は、ステップ101〜104の駐車支援アプリケーションの起動処理を行うことなく、運転者の起動命令のスイッチ入力等により起動し、ステップ105以降の駐車モード選択処理(ST2)処理を行うことができる。
【0071】
そして、ステップS105以降の駐車モード選択処理(ST2)へ移行する。ステップ105において、駐車支援装置100の制御装置10は、駐車情報Pを参照して、自車両の現在位置に基づいて一又は複数の駐車モードを選択する。具体的に、駐車支援装置100の制御装置10は、駐車情報Pに含まれる駐車スペースの位置と、自車両の現在位置とを比較し、自車両から所定距離以内の駐車スペースを抽出する。制御装置10は、自車両が駐車すると予測される近傍の駐車スペースに対応づけられた一又は複数の駐車モードを、駐車モード候補として選択する。本処理において、制御装置10は、自車両から最も近い一の駐車スペース、又は自車両から近い順に複数の駐車スペース(1番目から3番目までなど)を抽出し、その駐車スペースに対応づけられた一又は複数の駐車モードを、駐車モード候補として選択してもよい。
【0072】
ステップ106において、制御装置10は、一つの駐車モードが選択された場合にはステップ110へ進み、複数の駐車モードが選択された場合にはステップ107へ進む。
【0073】
ステップ107において、制御装置10は、駐車情報Pを参照して、その駐車スペースにおける駐車モードの推奨度を算出する。制御装置10は、駐車情報Pに含まれる各駐車スペースの位置情報、自車両駐車履歴情報、運転者別駐車履歴情報、他車両駐車履歴情報を参照し、駐車モードの推奨度を算出する。ステップ108において、制御装置10は、推奨度の高い順に駐車モードの選択候補を絞り込む。
【0074】
制御装置10は、ステップ105〜108までの処理と並行して、ステップ121、122の処理を行う。ステップ121において、制御装置10は、車両Vの複数個所に取り付けられたカメラ1a〜1dによって撮像された撮像画像をそれぞれ取得する。カメラ1a〜1dは、CCDカメラなどで構成され、車両Vの周囲の駐車スペースPKの像を撮像する。
図5は、車両Vに搭載するカメラ1a〜1dの配置例を示す図である。
図5に示す例では、車両Vのフロントグリル部にカメラ1aを配置し、リアバンパ近傍にカメラ1dを配置し、左右のドアミラーの下部にカメラ1b、1cを配置している。カメラ1a〜1dは視野角の広い広角カメラを使用する。
【0075】
ステップ122において、駐車支援装置100の制御装置10は画像処理装置2に俯瞰画像を生成させる。画像処理装置2は、取得した複数の撮像画像に基づいて、車両V及び当該車両Vが駐車される駐車スペースPKを含む周囲の状態を車両Vの上方の視点P(
図5参照)から見た俯瞰画像を生成する。画像処理装置2により行われる画像処理は、例えば「鈴木政康・知野見聡・高野照久,俯瞰ビューシステムの開発,自動車技術会学術講演会前刷集,116-07(2007-10), 17-22.」などに記載された方法を用いることができる。
【0076】
そして、ステップ109において、駐車モードと俯瞰画像とをタッチパネル式ディスプレイ20に提示する。
図6A〜
図6Cは、タッチパネル式ディスプレイ20に提示する画像情報の一例である。
【0077】
図6A〜
図6Cに示すように、タッチパネル式ディスプレイ20の画面の左側に俯瞰画像(トップビュー)21を表示し、右側に駐車モードを表示する。
【0078】
図6Aは、推奨度を考慮しないで全ての駐車モードを表示する例を示す。
図6Aに示す例では、駐車モードの表示領域の左側には左側の各種駐車モードが示され、駐車モードの表示領域の右側には右側の各種駐車モードが示されている。運転者は、カーソルMを移動させて、希望する駐車モードを選択する。
【0079】
図6Bは、推奨度が高い順に駐車モードを縦方向に表示する例を示す。制御装置10は、推奨度に応じて各駐車モードの配列を変更して表示する。
図6には、右側の並列駐車モードの推奨度が最も高く、左側の並列駐車モードの推奨度が次に高く、右側の斜め駐車モードの推奨度が次に高く、左側の斜め駐車モードの推奨度が次に高く、左側の広い駐車スペースへの縦列駐車モードの推奨度が次に高く、右側の広い駐車スペースへの縦列駐車の推奨度が次に高く、右側の狭い駐車スペースへの縦列駐車の推奨度が次に高く、左側の狭い駐車スペースへの縦列駐車の推奨度が最も低い場合の表示例を示している。
図6Aと異なり、駐車モードの表示領域の左側に、右側並列駐車が表示されている。
【0080】
図6Bに示す例では、推奨度の高い1位から4位までを左上から左下へ順に配置し、推奨度が5位から8位までを右上から右下へ順に配置する。この配列態様は特に限定されず、推奨度の第1位の駐車モードを左最上に、第2位の駐車モードを右最上に配置し、第3位の駐車モードを右2段目に、第4位の駐車モードを左2段目に配置し、第5位の駐車モードを右3段目に、第6位の駐車モードを左3段目に配置し、第7位を右4段目に、第8位を左4段目に配置してもよい。
【0081】
このように、推奨度の高い駐車モードを、運転者が最初に見る可能性のある駐車モード表示領域の左側に配置することにより、運転者が推奨度の高い駐車パターンを認識しやすくすることにより、運転者が推奨度の高い駐車パターンを認識しやすくすることができる。運転者が最初に見る可能性のある駐車モード表示領域は、画像コンテンツのレイアウトなどに応じて変わる可能性があるので、画像コンテンツのレイアウトに応じて適宜に決定することができる。
【0082】
本実施形態では駐車モードを選択するカーソルMのデフォルトの位置(初期表示位置)が最左上であるため、最左上に最も推奨度の高い駐車モードを配置・表示する。本実施形態のように、選択カーソルMの初期表示位置と推奨度の最も高い駐車モードの表示位置とを一致させておくことにより、運転者に確定入力を要求する場合であっても、運転者はカーソルMの位置を動かすことなく、そのまま承認入力をすればよい。このように、複数の駐車モードから目的の駐車モードを選択する必要がないので、入力操作の負荷が低減される。
【0083】
図6Cに示すように、推奨度の高い順に、全駐車モード数よりも少ない数(3つ)の駐車モードのみをタッチパネル式ディスプレイ20に表示してもよい。同図に示すように、利用される可能性の高い駐車モードのみが表示され、見やすい画像情報を提供することができる。本例では、推奨度の高い駐車モードを、運転者が最初に見る可能性の高い最上位置配置する。
【0084】
図4Aに戻り、ステップ110において、複数の駐車モードから一つの駐車モードが入力される。この入力処理には、運転者に入力操作を要求してもよいし、推奨度の最も高い駐車モードを自動的に入力してもよい。また、所定時間に渡り入力操作がされなかった場合は、推奨度の最も高い駐車モードが承認されたとして、その駐車モードを入力してもよい。選択入力された一の駐車モードの特定情報に基づいて、駐車支援処理が行われる。
【0085】
次に、ステップS111以降の目標駐車スペース設定処理(ST3)へ移行する。
【0086】
ステップS111において、制御装置10は、ステップ110で最終的に選択された駐車モードにより目標駐車スペースの設定を行う。つまり、駐車支援処理を開始するタイミングにおける自車両の現在位置と、自車両を移動させる目標駐車スペースとの位置関係を決定する。
【0087】
本実施形態の制御装置10は、目標駐車スペースの設定用画面(タッチパネル式ディスプレイ20)を運転者に提示する。
図7に俯瞰画像21を含む目標駐車スペースの設定用画面の一例を示す。
図7に示すように、俯瞰画像21には、駐車スペースPKと、自車両Vの現在位置を示す車両アイコンV(便宜上自車両と同じ符号Vを付す)とが含まれる。さらに、目標駐車スペースの設定用画面では、設定時のマークとして機能する駐車スペース設定枠F2と、障害物回避枠F3とが俯瞰画像21に重畳表示される。本実施形態の駐車スペース設定枠F2は、駐車スペースPKの形状に応じた縦長又は横長の矩形の図形で表示することができる。車両アイコンVは、駐車スペースPKの設定における基準位置となる。この目標駐車スペースの設定用画面は、先述した駐車モードの提示画面(
図6A〜
図6C参照)において提示してもよい。
【0088】
図7に示す目標駐車スペースの設定用画面20の右側には、実際にカメラ1a〜1dの撮像画像22を表示する。自車両が前進する時には前方のカメラ1aの撮像画像22を表示し、自車両が後退する時には後方のカメラ1dの撮像画像22を表示する。また、自車両が右又は左に旋回する時には右又は左のカメラ1c又は1bの撮像画像22を表示する。
【0089】
制御装置10は、俯瞰画像21に重畳表示された駐車スペース設定枠F2の位置に対応する駐車スペースPKを、車両Vを駐車させる目標駐車スペースPKとして設定する。駐車スペース設定枠F2は、車両Vに対して所定位置に表示される。つまり、駐車スペース設定枠F2は、自車両Vのアイコンの移動とともに連れ廻る。運転者は、車両Vを移動させることによって、目標駐車スペースの設定用画面に表示される駐車スペース設定枠F2の位置を任意に調節することができる。
【0090】
駐車スペース設定枠F2は自車両Vのアイコンを基準として所定位置に表示される。運転者は自車両Vを移動させることによって、駐車スペース設定枠F2の位置を調整することができる。運転者は、車両Vを移動させて駐車させたい駐車スペースPKに駐車スペース設定枠F2を重ね合わせることにより、車両Vを駐車させる目標駐車スペースPKを選択する。目標駐車スペースPKを設定する際の自車両の車速は4Km〜20km程度である。運転者は、車両を停止させた状態で、図示しない調整ボタンを操作することで、車両Vを駐車させる駐車スペース設定枠F2の位置や方向を微調整することができる。
【0091】
目標駐車スペースの設定用画面20に示す俯瞰画像21に重畳された駐車スペース設定枠F2の位置は車両Vの移動とともに変更することができる。
図7に示すように、運転者は、車両Vを移動させて駐車させたい駐車スペースPKに駐車スペース設定枠F2を重ね合わせることにより、車両Vを駐車させる目標駐車スペースPKを選択することができる。なお、運転者は車両を停止させている状態で、図示しない調整ボタンを操作することで、車両Vを駐車させる駐車スペース設定枠F2の位置を微調整することができる。
【0092】
同じく俯瞰画像21に重畳表示されている障害物回避枠F3は、駐車スペース設定枠F2の外側の車両Vに対して所定の位置に配置されており、その位置は車両Vの移動とともに変化する。障害物回避枠F3は障害物と接触する可能性が高い領域と障害物と接触する可能性が低い領域との境界を示す標識である。運転者は、障害物回避枠F3内に立体物が存在しないように車両Vを操作することにより、車両Vが障害物と接触しないように駐車を行うことができる。なお、上述した調整ボタンによる駐車スペース設定枠F2の位置を微調整すると、障害物回避枠F3は駐車スペース設定枠F2との相対的な位置関係を維持したまま、画面上を移動する。
【0093】
運転者は、駐車スペース設定枠F2の位置の調整が終了したタイミングで決定ボタンなどを操作し、駐車スペースPKの選択が完了した旨を駐車支援装置100に入力する。この入力により、駐車操作の支援を開始する際の自車両Vの位置と駐車スペースの位置との位置関係が決定する。これに続き、ステップ112以降の駐車支援の実行処理ST4が行われる。
【0094】
ステップS112では、目標駐車スペースの設定時における自車両の位置と目標駐車スペースとの位置関係に基づいて、ステップ110において設定された駐車モードに従い、自車両を目標駐車スペースへ移動させる駐車経路(自車両の移動経路)を算出する。具体的に、駐車支援装置100は、駐車支援コントロールユニットを起動して、車両Vが停止し、駐車支援を開始する現在位置と目標駐車スペースPKの位置との位置関係に基づいて駐車経路を計算する。駐車経路は左右並列駐車パターン、左右縦列駐車パターン(広・狭のパターンを含む)、左右斜め駐車パターンのそれぞれに対応した経路を1種類ずつメモリ(ROM)に記憶しておき、選択された駐車モードに対応した経路を読み込み、駐車支援処理開始時における車両Vの位置と目標駐車スペースPKの位置との位置関係に基づいて駐車経路を計算する。特に限定されないが、駐車支援コントロールユニットは、車両Vの停車位置、つまり駐車支援の開始位置から切り返し位置までの曲線と、切り返し位置から目標駐車スペースPKまでの曲線とを、駐車経路として算出する。特に限定されないが、駐車支援装置100は、目標駐車スペースPKを選択し、運転者がブレーキペダルの踏圧を緩め、所定のブレーキ踏圧が解除された場合に、取得した目標駐車スペースPKの位置及び駐車モードの選択情報に基づく駐車支援処理の実行を決定し、運転者がアクセルペダルを踏み込んだ場合に、算出した駐車経路で車両Vを目標駐車スペースPKに駐車する操作の支援の実行を開始する。
【0095】
ステップS113において、本実施形態の駐車支援装置100は、駐車支援処理を実行する。本実施形態の駐車支援装置100は、車両Vが駐車経路に沿って移動するように、車両Vのステアリングの操舵を制御する。駐車支援装置100は、計算された駐車経路に車両Vの移動軌跡が一致するようにステアリング装置50の操舵角センサ51と操舵方向センサ52との出力値をフィードバックしながらEPSモータなどの車両Vの駆動装置40への指令信号を演算し、この指令信号を駆動装置40又は駆動装置40を制御する車両コントローラ400へ送出する。
【0096】
図8A及び
図8Bに、駐車支援処理における車両Vの動きの一例を示す図である。本実施形態における駐車支援装置100は、車両Vの現在位置と駐車スペースPKの位置とに基づいて算出された駐車経路Q(
図8A、
図8Bを参照)に沿って車両Vを駐車スペースPKへ移動させる際に、運転者によるアクセル・ブレーキの操作が指定された制御車速(設定車速)に基づいて自動的に制御されるとともに、制御車速(設定車速)で移動する際に、ステアリング装置50の操作が自動で制御されるタイプの装置である。つまり、本実施形態の駐車支援時において、運転者はステアリングの操作が不要である。なお、駐車時の自車両の動作制御の手法は特に限定されず、アクセル・ブレーキ及びアクセル・ブレーキ操作の両方を自動的に行うように構成することもできる。
【0097】
図8Aに示すように、運転者は駐車スペース設定枠F2が目標駐車スペースPKに重なるように自車両Vの位置を調整する。この操作により目標駐車スペースPKが設定される。自車両Vは目標駐車スペースPKの横の位置V0に停止している。その後、運転者がアクセルを踏み込むと駐車支援動作が開始される。操舵は自動制御される。自車両Vは駐車経路Q1を辿って右斜め前方へ移動する。運転者がブレーキを踏み込んで自車両Vを位置V1で一時的に停止させる。続いて、運転者が、ギアをバックポジションに入れ替え、アクセルを踏み込むと、自車両Vは位置V1から駐車経路Q2を辿って後退し、位置V2を通過して駐車スペースPKに進入し、位置V3で停止する。駐車経路Q2を移動している間も操舵は自動制御される。この駐車支援の実行処理において、駐車支援装置100は、車両Vが駐車経路Q1を辿って移動するように予め算出した設定車速に基づいて駆動装置40を制御するとともに、予め算出した設定舵角に基づいてステアリング装置50を制御する。
【0098】
もちろん、自動操舵を行うことなく、算出した駐車経路をディスプレイ20などに表示し、車両Vの移動軌跡が駐車経路と一致するようにステアリング装置50の操舵量及び転舵のタイミング、ブレーキ又はアクセルの操作タイミングを指示することにより駐車支援を行うこともできる。なお、駐車支援の内容は、出願時において開示された手法を適宜に適用することができる。
【0099】
以上のように構成され、動作する本実施形態の駐車支援装置100は、以下の効果を奏する。
【0100】
(1)本発明の本実施形態の駐車支援装置100によれば、自車両の現在位置に基づいて、駐車しようとする目標駐車スペースに適した駐車モードが選択される。運転者が実際に選択する可能性の高い駐車モードを自動的に選択できるので、運転者は、駐車支援動作を実行させる度に、状況に応じて、提示された複数の駐車モードの中から駐車モードを選択し、選択した駐車モードを入力するためにスイッチ等の操作をする必要がない。この結果、駐車支援動作の実行時における運転者の入力操作の負荷を低減させることができる。
【0101】
(2)本発明の本実施形態の駐車支援装置100によれば、駐車履歴情報を含む駐車情報Pを参照して、駐車スペースPKにおける駐車モードの推奨度を算出し、推奨度の高い駐車モードを選択するので、運転者が実際に選択する可能性の高い駐車モードを正確に選択することができる。
推奨度の算出処理において、自車両に近い駐車スペースの駐車モードの推奨値を高く算出することにより、駐車する可能性の高い駐車スペースの適した駐車モードを推薦することができる。
推奨度の算出処理において、自車両の駐車履歴情報に含まれる実行履歴を参照することにより、自車両の行動に応じた駐車モードを選択することができる。
【0102】
(3)本発明の本実施形態の駐車支援装置100によれば、運転者識別子を含む駐車情報Pを参照して、駐車スペースPKにおける駐車モードの推奨度を算出し、推奨度の高い駐車モードを選択するので、各運転者自身の行動に応じた駐車モードを選択することができる。運転者別の駐車履歴を含む駐車情報Pを用いることにより、各運転者の好み(得意・不得意)に応じた駐車モードを選択することができる。
【0103】
(4)本発明の本実施形態の駐車支援装置100によれば、他車両駐車履歴情報を含む駐車情報Pを参照して、駐車スペースPKにおける駐車モードの推奨度を算出し、推奨度の高い駐車モードを選択するので、自分が利用した経験の無い駐車スペースであっても、他車両の履歴を参照して適切な駐車モードを選択することができる。他車両(他人)の駐車履歴を含む駐車情報Pを用いることにより、運転者が利用したことの無い駐車場において、利用される傾向の高い駐車モードを選択することができる。
【0104】
(5)本発明の本実施形態の駐車支援装置100によれば、乗員が駐車スペースを狭いと感じた主観情報の入力割合に基づいて、その駐車スペースPKに対応づけられた駐車モードの推奨度を低下させるので、過去に他の運転者が「狭い」と感じた「駐車モード」と「駐車スペース」との組み合わせの推奨度を低下させることにより、不適切な駐車モードを繰り返し選択・利用することを防止することができる。
【0105】
(6)本発明の本実施形態の駐車支援装置100によれば、推奨度の高い順に絞り込んで一又は複数の駐車モードをタッチパネル式ディスプレイ20に提示するので、利用される可能性の高い駐車モードだけを運転者に提示できる。
【0106】
(7)本発明の本実施形態の駐車支援装置100によれば、推奨度が最も高い駐車モードを、駐車支援処理における駐車モードとして自動的に設定することができる。
【0107】
(8)本発明の本実施形態の駐車支援装置100によれば、自車両が駐車スペースに所定距離以内に接近した場合に、駐車支援機能を自動的に起動するので、運転者自らがスイッチの押圧などの入力操作を行う必要がない。この結果、駐車支援処理の実行時の入力操作の負荷を低減することができる。
【0108】
(9)本発明の本実施形態の駐車支援装置100によれば、自車両が過去に駐車支援機能が起動された位置に所定距離以内に接近した場合に、駐車支援機能を自動的に起動するので、運転者が自らスイッチの押圧などの入力操作を行う必要がない。これにより、駐車支援処理の実行時の入力操作の負荷を低減することができる。
【0109】
(10)本発明の本実施形態の駐車支援システム1000によれば、プローブ車両Vから収集した情報に基づいて駐車情報Pを生成・記憶・提供することができるので、運転者が利用したことの無い駐車スペースについても駐車支援処理を行うことができる。
【0110】
(11)本発明の駐車支援方法によっても、上記駐車支援装置100、駐車支援システム1000と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0111】
なお、以上説明したすべての実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0112】
本明細書では、本発明に係る駐車支援システムの一態様として車両Vに搭載された駐車支援装置100を有する駐車支援システム1000を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0113】
本明細書では、本発明に係る駐車支援装置と、車両V(自車両及び他車両を含む)に搭載された装置とを備える駐車支援システムの一態様として、駐車支援装置100、車両Vに搭載された車両コントローラ400、駆動装置40、ステアリング装置50、車速センサ60、現在位置検出装置301を備える駐車支援システム1000を説明するがこれに限定されるものではない。
【0114】
本明細書では、本発明に係る駐車支援装置と、駐車情報管理サーバとを備える駐車支援システムの一態様として、車両用駐車支援装置100Vと、駐車情報管理サーバ2000を備える駐車支援システム1000を説明するがこれに限定されるものではない。
【0115】
また、本明細書では、駐車支援手段と、駐車情報取得手段と、現在位置検出手段と、出力制御手段と、を備える駐車支援装置の一態様として、駐車支援機能と、駐車情報取得機能と、現在位置検出装置と、出力制御機能とを実行する制御装置10を備える駐車支援装置100を説明するがこれに限定されるものではない。