特許第6044355号(P6044355)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044355
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】車載電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20161206BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   G06F3/041 600
   G06F3/02 310K
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-5202(P2013-5202)
(22)【出願日】2013年1月16日
(65)【公開番号】特開2014-137666(P2014-137666A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】深谷 隆
【審査官】 菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−068626(JP,A)
【文献】 特開2000−126124(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/061554(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 1/24
G06F 3/02
B06R 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示面を有する表示装置を有する車載電子機器であって、
前記画像表示面に加えられた力に起因して生じる前記画像表示面の物理量を検出する検出手段と、
前記検出された物理量が予め定められた閾値を上回ったときに前記車載電子機器の初期化を行なう初期化手段と、
を備えることを特徴とする車載電子機器。
【請求項2】
前記物理量は、前記画像表示面の前記直交する方向に沿った変位量であり、
前記表示装置を前記画像表示面と直交する方向に変位可能に支持する支持手段をさらに備え、
前記検出手段は、前記直交する方向における前記画像表示面の変位を検出する変位検出手段である、
ことを特徴とする請求項1記載の車載電子機器。
【請求項3】
前記車載電子機器は、前記表示装置を収容する筐体を有し、
前記支持手段は、前記筐体の内部で前記表示装置と前記筐体との間に設けられている、
ことを特徴とする請求項2記載の車載電子機器。
【請求項4】
前記表示装置は矩形板状を呈し、
前記変位検出手段は、前記表示装置の前記画像表示面と反対側に位置する後面の対角線上に位置する2つの箇所によって押圧可能に設けられた第1のリミットスイッチと第2のリミットスイッチとで構成され、
前記初期化手段は、前記第1のリミットスイッチおよび前記第2のリミットスイッチの双方が同時にオンすると前記車載電子機器の初期化を行なう、
ことを特徴とする請求項3記載の車載電子機器。
【請求項5】
前記車載電子機器は、前記表示装置を収容する筐体を有し、
前記支持手段は、前記筐体と、前記筐体が組み込まれる車室内の部分との間に設けられている、
ことを特徴とする請求項2記載の車載電子機器。
【請求項6】
前記表示装置は矩形板状を呈し、
前記変位検出手段は、前記表示装置の前記画像表示面の対角線上に位置する2つの箇所に対応する前記筐体の箇所によって押圧可能に設けられた第1のリミットスイッチと第2のリミットスイッチとで構成され、
前記初期化手段は、前記第1のリミットスイッチおよび前記第2のリミットスイッチの双方が同時にオンすると前記車載電子機器の初期化を行なう、
ことを特徴とする請求項5記載の車載電子機器。
【請求項7】
前記物理量は、前記画像表示面と直交する方向に沿った加速度であり、
前記検出手段は、前記表示装置に設けられた加速度センサである、
ことを特徴とする請求項1記載の車載電子機器。
【請求項8】
前記表示装置は、前記画像表示面上にタッチパネルスイッチが設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜7に何れか1項記載の車載電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される車載電子機器として、カーナビゲーション装置やカーオーディオ装置などのようにECUを備えるものが提供されている。
ECUは、何らかの原因、例えば、電磁ノイズや静電ノイズあるいはソフトウェア(制御プログラム)の暴走などによって、例えば無限ループに入ってしまい、操作スイッチの操作を受け付けなくなったり、あるいは、意図しない動作を繰り返して実行するなどの不具合を生じる場合がある。
そこで、特許文献1、2に示されるようなリセットスイッチを車載電子機器に設け、このリセットスイッチを操作することで車載電子機器(ECU)を強制的に初期化し、正常動作に復帰させるようにしている。
車載電子機器は、その表示装置の画像表示面の周囲を覆うエスカッション枠に複数の操作用スイッチであるエスカッションスイッチが設けられていることが多く、リセットスイッチもこのエスカッション枠に設けられている。この場合、誤操作を防止するため、リセットスイッチはペン先などを用いて操作するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−307509号公報
【特許文献2】特開平6−188075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、車載電子機器の表示装置として画像表示面にタッチパネルスイッチを設け、ハードウェアとしてのエスカッションスイッチを廃止する傾向にある。
この場合、画像表示面に操作ボタンを表示する都合上、画像表示面をなるべく大きく確保する必要がある。そのため、エスカッション枠が狭くなり、リセットスイッチを設けるスペースを確保することが困難となる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示装置の画像表示面の拡大を図りつつ初期化の操作を容易に行なう上で有利な車載電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、画像表示面を有する表示装置を有する車載電子機器であって、前記画像表示面に加えられた力に起因して生じる前記画像表示面の物理量を検出する検出手段と、前記検出された物理量が予め定められた閾値を上回ったときに前記車載電子機器の初期化を行なう初期化手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、画像表示面に加えられた力に起因して生じる画像表示面の物理量を検出し、検出された物理量が予め定められた閾値を上回ったときに車載電子機器の初期化を行なうようにした。
したがって、リセットスイッチを設けるスペースを画像表示面の周囲の箇所に確保することなく、簡単な操作により車載電子機器を初期化することができるため、表示装置の画像表示面の拡大化を図りつつ初期化の操作を容易に行なう上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、画像表示面を画像表示面と直交する方向に変位させるという簡単な操作で車載電子機器を初期化することができ操作性の向上を図る上で有利となる。
請求項3記載の発明によれば、表示装置を支持する支持手段を、筐体の内部で表示装置と筐体との間に設けたので、車載電子機器を車室内への取り付けたり、取り外したりする際に支持手段を考慮する必要がなく、車載電子機器の取り付け取り外し作業の容易化を図る上で有利となる。
請求項4記載の発明によれば、画像表示面の2箇所を同時に押圧するという操作を行なうことで初めて車載電子機器の初期化がなされるため、誤操作による初期化を抑制する上で有利となる。
請求項5記載の発明によれば、表示装置を支持する支持手段を、筐体と、筐体が組み込まれる車室内の部分との間に設けたので、筐体内部の構成を簡素化する上で有利となる。
請求項6記載の発明によれば、画像表示面の2箇所を同時に押圧するという操作を行なうことで初めて車載電子機器の初期化がなされるため、誤操作による初期化を抑制する上で有利となる。
請求項7記載の発明によれば、画像表示面を手で叩打するという操作を行なうことで初めて車載電子機器の初期化がなされるため、誤操作による初期化を抑制する上で有利となる。
請求項8記載の発明によれば、操作用のスイッチを設けるスペースを画像表示面の周囲の箇所に確保する必要がないため、画像表示面の拡大を図る上でより一層有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態の車載電子機器10Aの正面図である。
図2図1のAA線断面図である。
図3】第1の実施の形態の車載電子機器10Aの制御系の構成を示すブロック図である。
図4】第2の実施の形態の車載電子機器10Bの取り付け状態を示す断面図である。
図5】第3の実施の形態の車載電子機器10Cの正面図である。
図6図5のAA線断面図である。
図7】第3の実施の形態の車載電子機器10Cの制御系の構成を示すブロック図である。
図8】第3の実施の形態の変形例における車載電子機器10Cの取り付け状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態では、車載電子機器がカーナビゲーション装置である場合について説明する。
まず、車載電子機器の制御系の構成について説明する。
図3に示すように、車載電子機器10Aは車両に搭載されるものであり、表示装置12、タッチパネルスイッチ14、測位部16、地図データベース18、音声出力部20、第1、第2のリミットスイッチ22A、22B、AND回路24、ECU26などを含んで構成されている。
【0009】
表示装置12は、ECU26の制御に基づいて画像表示面1202(図1図2)に文字やアイコン、地図などを含む情報を表示するものであり、矩形板状を呈している。
本実施の形態では、表示装置12が液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイである場合について説明する。なお、表示装置12は、情報を表示するものであればよく、従来公知の様々なディスプレイが使用可能である。
【0010】
タッチパネルスイッチ14は、表示装置12と共にタッチパネルを構成するものである。
タッチパネルスイッチ14は、透明なシート状を呈し、表示装置12の画像表示面1202を視認可能に覆うように設けられている。
タッチパネルスイッチ14は、画像表示面1202に操作用ボタンが表示された状態で、使用者の指先が操作用ボタンに対応するタッチパネルスイッチ14の箇所をタッチすることにより操作用ボタンに対応する検出信号を生成しECU26に供給するものである。
なお、本実施の形態では、画像表示面1202にタッチパネルスイッチ14が設けられている場合について説明するが、画像表示面1202にタッチパネルスイッチ14が設けられていない場合にも本発明は無論適用可能である。
【0011】
測位部16は、GPS衛星などの測位衛星から受信した測位信号に基づいて、あるいは、加速度センサやジャイロの検出結果、車両から得られた車速情報などに基づいて、車両の位置を測位するものである。
【0012】
地図データベース18は、道路、施設、店舗、地形などの様々な情報を位置情報と対応付けた地図情報を格納するものである。
【0013】
音声出力部20は、ECU26の制御に基づいて経路案内などの音声ガイダンス、あるいは、警告音などを発生するものである。
【0014】
ECU26は、CPU、制御プログラム等を格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
そして、CPUが前記の制御プログラムを実行することにより、ナビゲーション装置としての機能が実現される。
すなわち、CPUは、測位部16から得た車両の位置情報に基づいて地図データベース18から読み出した地図情報を表示装置12に表示させる。
また、CPUは、タッチパネルスイッチ14のタッチ操作に基づいて行き先を決定し、現在位置から行き先までの経路を探索し、探索結果に基づいて経路案内の表示を表示装置12に行なわせると共に、音声出力部20による経路案内の音声ガイダンスを行なわせる。
【0015】
また、ECU26は、リセット信号を受け付けるリセット入力端PRを備えている。
ECU26は、リセット入力端PRに加わるリセット信号が有効(例えば「H」レベル)になると、自らの初期化動作を実行する。
ECU26は、例えば、電磁ノイズや静電ノイズあるいはソフトウェア(制御プログラム)の暴走などによって、例えば無限ループに入ってしまい、前記の操作用ボタンのタッチ操作を受け付けなくなったり、あるいは、意図しない動作を繰り返して実行するなどの不具合を生じた場合、ECU26が初期化動作を実行すると、車載電子機器10Aが初期化され正常な状態に復帰する。
【0016】
第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bは、後述するように押圧操作されることでオンするものである。
AND回路24は、第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bが同時にオンした状態でのみ、ECU26のリセット信号のリセット入力端PRに与えるリセット信号を有効とするように構成され、第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bの何れか一方あるいは双方がオフの状態ではリセット信号を無効とするように構成されている。
【0017】
次に、図1図2を参照して車載電子機器10Aの構造について説明する。
図1図2に示すように、車載電子機器10Aは、さらに、筐体28と、電装部30と、支持手段32とを含んで構成されている。
【0018】
筐体28は、表示装置12および電装部30を収容保持するものであり、筐体28は、不図示の取り付け部材を用いて車室内の適宜箇所、例えば、不図示の吸盤装置を介してインストルメントパネルの上面に着脱可能に取着される。
筐体28は、矩形板状の後壁2802と、後壁2802の4辺から起立する4つの側壁2804と、各側壁2804の前縁に沿って矩形枠状に延在する枠部2806とを含んで構成され、枠部2806の内側が画像表示面1202を前方に露出させる開口2808となっている。
【0019】
電装部30は、前述した測位部16、地図データベース18、音声出力部20、AND回路24、ECU26を構成するものであり、例えば、LSIやICなどの電子部品がプリント配線基板に実装されることで構成されている。本実施の形態では、電装部30は、後壁2802の中央部分に取着されている。
【0020】
表示装置12は、枠部2806の内側の開口2808に画像表示面1202が位置するように、筐体28の内部に、画像表示面1202と直交する方向に変位可能に配置されている。
【0021】
支持手段32は、表示装置12を画像表示面1202と直交する方向に変位可能に支持するものである。
本実施の形態では、支持手段32は、弾性変形可能な弾性材料で構成され、断面が均一の矩形状を呈し、表示装置12の輪郭よりも一回り小さい矩形枠状となるように延在形成されている。弾性材料としては、ゴムや発泡ウレタンなどの従来公知の様々な材料が使用可能である。また、支持手段32は、表示装置12を画像表示面1202と直交する方向に変位可能に支持できればよく、弾性材料に代えてばねを用いるなど任意である。
支持手段32は、筐体28の内部で、4辺を表示装置12の4辺と平行させて、表示装置12の画像表示面1202と反対側に位置する後面1204と筐体28の後壁2802とにそれぞれ接着剤により取着されている。
支持手段32は、表示装置12の画像表示面1202が枠部2806に当接した状態で圧縮変形されており、したがって、支持手段32は、画像表示面1202が枠部2806に当接した状態を維持するように表示装置12を前方に向けて付勢している。
【0022】
第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bは、表示装置12の後面1204の対角線上に位置する2つの角部近傍の箇所によって押圧可能となるように配置され、後壁2802にそれぞれ取着されている。
第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bは、スイッチ本体2202と、スイッチ本体2202の一端から突出するプランジャ2204とを含んで構成され、プランジャ2204がその軸方向に沿ってスイッチ本体2202に没入する向きに予め定められた閾値変位量だけ変位されるとオン動作する。
本実施の形態では、第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bは同一のものであり、閾値変位量も同一である。また、第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bは、プランジャ2204の変位方向が画像表示面1202と直交するように設けられており、画像表示面1202が枠部2806に当接した状態でプランジャ2204の先端は表示装置12の後面1204に当接している。
したがって、第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bは、画像表示面1202に加えられた力に起因して生じる画像表示面1202の物理量を検出する検出手段を構成する。
言い換えると、物理量は、画像表示面1202の画像表示面1202と直交する方向に沿った変位量であり、第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bは、画像表示面1202が画像表示面1202と直交する方向に閾値変位量を上回って変位したことを検出する変位検出手段を構成する。
【0023】
次に、車載電子機器10Aを初期化する際の動作について説明する。
何らかの原因によりECU26が暴走し、画像表示面1202に表示された操作ボタンに対する操作が不能となるなどの不具合が発生したものとする。
使用者は、図1に示すように、画像表示面1202の対角線上に位置する2つの角部近傍の画像表示面1202の箇所、すなわち、第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bに対応する画像表示面1202の箇所を左右の手の指でそれぞれ同時に押圧し、画像表示面1202を後方に変位させる。
【0024】
これにより、支持手段32が圧縮変形されつつ表示装置12の後面1204が後方に変位して第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bのプランジャ2204を変位させ、プランジャ2204の変位量が閾値変位量を上回ると、第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bの双方が同時にオンとなる。
AND回路24は、第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bの双方が同時にオンとなることでリセット信号を有効な状態としてECU26のリセット信号のリセット入力端PRに供給する。
ECU26は、リセット信号が有効となることにより初期化動作を実行し、これにより車載電子機器10Aが初期化され正常な状態に復帰する。
本実施の形態では、AND回路24およびECU26は、検出手段で検出された物理量が予め定められた閾値を上回ったときに車載電子機器10Aの初期化を行なう初期化手段を構成している。
言い換えると、AND回路24およびECU26は、第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bの双方が同時にオンすると車載電子機器10Aの初期化を行なう初期化手段を構成している。
【0025】
本実施の形態によれば、画像表示面1202に加えられた力に起因して生じる画像表示面1202の物理量を検出し、検出された物理量が予め定められた閾値を上回ったときに車載電子機器10Aの初期化を行なうようにした。
したがって、従来のようにリセットスイッチを設けるスペースを画像表示面1202の周囲の箇所に確保することなく、簡単な操作により車載電子機器10Aを初期化することができる。そのため、表示装置12の画像表示面1202の拡大化を図りつつ車載電子機器10Aの初期化の操作を容易に行なう上で有利となる。
また、画像表示面1202上にタッチパネルスイッチ14を設けたので、画像表示面1202の周囲の箇所の操作用スイッチを廃止することができる。そのため、操作用スイッチを設けるスペースを画像表示面1202の周囲の箇所に確保する必要がないため、画像表示面1202の拡大を図る上でより一層有利となる。
【0026】
また、物理量は画像表示面1202の前記直交する方向に沿った変位量であり、表示装置12を画像表示面1202と直交する方向に変位可能に支持し、前記直交する方向における画像表示面1202の変位を検出する変位検出手段を設けた。
したがって、画像表示面1202を画像表示面1202と直交する方向に変位させるという簡単な操作で車載電子機器10Aを初期化することができ操作性の向上を図る上で有利となる。
【0027】
また、変位検出手段は、表示装置12の後面1204の対角線上に位置する2つの角部近傍の後面1204の箇所によって押圧可能に設けられた第1のリミットスイッチ22Aと第2のリミットスイッチ22Bとで構成され、それらリミットスイッチ22A、22Bの双方が同時にオンすると初期化手段により車載電子機器10Aの初期化を行なうようにした。
したがって、タッチパネルスイッチ14に指をタッチするという通常の操作と明らかに異なる、画像表示面1202の2箇所を同時に押圧するという操作を行なうことで初めて車載電子機器10Aの初期化がなされるため、誤操作による初期化を抑制する上で有利となる。
なお、本実施の形態では、変位検出手段が2つのリミットスイッチ22A、22Bで構成される場合について説明したが、変位検出手段としてリミットスイッチ以外の従来公知の様々な変位センサを用いることができる。
また、変位検出手段は、1つのリミットスイッチで構成しても、3つ以上のリミットスイッチで構成してもよい。
しかしながら、本実施の形態のように変位検出手段を2つのリミットスイッチ22A、22Bで構成すると、変位検出手段の構成を簡素化しつつ誤操作による初期化を抑制する上で有利となる。
【0028】
また、表示装置12を支持する支持手段32を、筐体28の内部で表示装置12と筐体28との間に設けたので、車載電子機器10Aを車室内への取り付けたり、取り外したりする際に支持手段32を考慮する必要がなく、車載電子機器10Aの取り付け取り外し作業の容易化を図る上で有利となる。
【0029】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、支持手段32が筐体28内部でなく筐体28の外部に設けられている点が第1の実施の形態と異なっている。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同一あるいは同様の部分については同一の符号を付してその説明を省略し、第1の実施の形態と相違する部分について重点的に説明する。
図4に示すように、第2の実施の形態の車載電子機器10Bは、表示装置12と、電装部30と、これら表示装置12および電装部30を収容保持する筐体28とを備え、車両のインストルメントパネル34に形成された取り付け用の凹部36に組み込まれている。
【0030】
筐体28は、矩形板状の後壁2802と、後壁2802の4辺から起立する4つの側壁2804と、各側壁2804の前縁に沿って矩形枠状に延在する枠部2806と、枠部2806の後方に間隔をおいて4つの側壁2804に沿って間隔をおいて設けられた複数の取り付け部材38とを含んで構成されている。
電装部30は、後壁2802の中央部分に取着されている。
表示装置12は、筐体28内部において、画像表示面1202および後面1204が枠部2806および取り付け部材38により挟持されることで、筐体28に対して移動不能に取着されている。
【0031】
取り付け用の凹部36は、筐体28の輪郭よりも一回り大きな輪郭の矩形状を呈する底壁3602と、底壁3602の4辺から起立する4つの側壁3604とを備え、4つの側壁3604の先部は、インストルメントパネル34に接続されている。
凹部36は、筐体28の厚さよりも大きな寸法の深さを有している。
筐体28の後壁2802と凹部36の底壁3602との間に、すなわち、筐体28と該筐体28が組み込まれる車室内の部分との間に、表示装置12を画像表示面1202と直交する方向に変位可能に支持する支持手段40が設けられている。
本実施の形態では、支持手段40は、第1の実施の形態の支持手段32と同様に、弾性変形可能な弾性材料で構成され、断面が均一の矩形状を呈し、表示装置12の輪郭よりも一回り小さい矩形枠状となるように延在形成されている。
支持手段40は、4辺を表示装置12の4辺と平行させて、筐体28の後壁2802と凹部36の底壁3602とにそれぞれ接着剤により取着されている。
【0032】
第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bは、表示装置12の画像表示面1202の対角線上に位置する2つの角部近傍に対応する筐体28の後壁2802の箇所によって押圧可能に設けられ、凹部36の底壁3602にそれぞれ取着されている。
第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bは、第1の実施の形態と同様に構成され、表示装置12が支持手段40を介して凹部36に取着された状態でプランジャ2204の先端は筐体28の後壁2802に当接している。
したがって、第1の実施の形態と同様に、第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bは検出手段および変位検出手段を構成する。
【0033】
車載電子機器10Bを初期化する際は、使用者は、第1の実施の形態と同様に、画像表示面1202の対角線上に位置する2つの角部近傍の画像表示面1202の箇所、すなわち、第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bに対応する画像表示面1202の箇所を左右の手の指でそれぞれ同時に押圧し、画像表示面1202を後方に変位させる。
これにより、支持手段40が圧縮されつつ筐体28の後壁2802が後方に変位して第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bのプランジャ2204を変位させ、プランジャ2204の変位量が閾値変位量を上回ると、第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bの双方が同時にオンとなる。
これ以降は、第1の実施の形態と同様に、図3に示すように、AND回路24は、第1、第2のリミットスイッチ22A、22Bの双方が同時にオンとなることでリセット信号を有効な状態としてECU26のリセット信号のリセット入力端PRに供給する。
ECU26は、リセット信号が有効となることにより初期化動作を実行し、これにより車載電子機器10Bが初期化され正常な状態に復帰する。
【0034】
第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
また、第2の実施の形態では、表示装置12を画像表示面1202と直交する方向に変位可能に支持する支持手段40を、筐体28と、筐体28が組み込まれる車室内の部分との間に設けたので、筐体28内部の構成を簡素化する上で有利となる。
【0035】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態は、表示装置12の変位量に基づいて初期化を行ったが、第3の実施の形態は、表示装置12に加わる加速度に基づいて初期化を行なう点が第1の実施の形態と異なっている。
図7に示すように、第3の実施の形態の車載電子機器10Cは、第1、第2の実施の形態の第1、第2のリミットスイッチ22A、22B、AND回路24に代えて後述する加速度センサ44、判定回路46を備えている。
【0036】
図5図6に示すように、表示装置12と筐体28の構成は、第2の実施の形態と同様であり、表示装置12は取り付け部材38を介して筐体28の内部に変位不能に取着されている。
【0037】
加速度センサ44は、画像表示面1202に加えられた力に起因して生じる画像表示面1202の物理量を検出する検出手段を構成しており、この場合、物理量は、画像表示面1202と直交する方向に沿った加速度である。
加速度センサ44は、表示装置12の後面1204に1つ設けられ、本実施の形態では、後面1204の中央に設けられている。なお、加速度センサ44は、画像表示面1202の振動を検出できればよいのであり、その配置位置、個数は任意である。
【0038】
図7に示すように、判定回路46は、加速度センサ44で検出された加速度が閾値に相当する閾値加速度を上回るか否かを判定し、上回った場合に、リセット信号を有効な状態としてECU26のリセット信号のリセット入力端PRに供給する。
上記閾値加速度は、車両の発進や停止などの挙動に起因して画像表示面1202に加わる加速度によって誤判定を行なわず、かつ、画像表示面1202を手で叩打したことを的確に判定できるように設定される。
したがって、第3の実施の形態では、閾値判定回路46およびECU26が、検出手段で検出された物理量が予め定められた閾値を上回ったときに車載電子機器10Cの初期化を行なう初期化手段を構成している。
【0039】
車載電子機器10Cを初期化する際、使用者は、図5図6に示すように、画像表示面1202を手の指、あるいは、拳などで叩打する。これにより、画像表示面1202で発生した振動が加速度センサ44により検出される。
加速度センサ44によって検出された加速度が閾値加速度を上回ると、判定回路46は、リセット信号を有効な状態としてECU26のリセット信号のリセット入力端PRに供給する。
ECU26は、リセット信号が有効となることにより初期化動作を実行し、これにより車載電子機器10Cが初期化され正常な状態に復帰する。
なお、第3の実施の形態では、車載電子機器10Cの配置箇所は特に限定されず、例えば、吸盤装置を介してインストルメントパネル34の上面に配置されてもよく、図8に示すように、インストルメントパネル34の凹部36に取り付け部材42を介して組み込まれても良い。
【0040】
第3の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
また、第3の実施の形態では、画像表示面1202を手で叩打するという簡単な操作で車載電子機器10Cを初期化できるため操作性の向上を図る上で有利となる。
また、タッチパネルスイッチ14に指をタッチするという通常の操作と明らかに異なる、画像表示面1202を手で叩打するという操作を行なうことで初めて車載電子機器10Cの初期化がなされるため、誤操作による初期化を抑制する上で有利となる。
【0041】
また、実施の形態では、車載電子機器がナビゲーション装置である場合について説明したが、本発明は、車載電子機器が表示装置を備えるものであればよく、例えば、カーオーディオ装置にも無論適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
10A〜10C……車載電子機器、12……表示装置、1202……画像表示面、1204……後面、14……タッチパネルスイッチ、22A……第1のリミットスイッチ、22B……第2のリミットスイッチ、26……ECU、28……筐体、32……支持手段、34……インストルメントパネル、36……凹部、40……支持手段、44……加速度センサ、46……判定回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8