特許第6044359号(P6044359)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6044359車両装置と携帯端末との動作適合化方法、車両装置と携帯端末とを備える車両システム、携帯端末、及び情報センタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044359
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】車両装置と携帯端末との動作適合化方法、車両装置と携帯端末とを備える車両システム、携帯端末、及び情報センタ
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20161206BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20161206BHJP
   H04W 92/08 20090101ALI20161206BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20161206BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20161206BHJP
【FI】
   H04M1/00 V
   H04M11/00 302
   H04W92/08 110
   H04W88/02 131
   H04W88/06
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-7122(P2013-7122)
(22)【出願日】2013年1月18日
(65)【公開番号】特開2014-138360(P2014-138360A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】越智 光
【審査官】 高野 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−159924(JP,A)
【文献】 特開2005−32158(JP,A)
【文献】 特開2009−25254(JP,A)
【文献】 特開2003−244343(JP,A)
【文献】 特開2012−60396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F13/00
B60R11/02
G01C21/00
G06F9/445
H04L29/06
H04M1/00
H04M11/00
H04Q7/38
H04W88/02
H04W88/06
H04W92/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車両装置(10)と、携帯端末(30)とを備え、前記車両装置からの指令により前記携帯端末の機能が実現される車両システムにおいて、
前記携帯端末が、前記車両装置から前記車両装置に対応する情報センタ(20)のアドレスを取得する手順と、
前記携帯端末が、取得した前記アドレスを用いて前記情報センタにアクセスし、前記携帯端末のOSで動作可能なアプリケーション(40)の送信を要求する手順と、
前記情報センタが、前記携帯端末による前記送信の要求に応じて、前記アプリケーションを前記携帯端末に送信する手順と、
前記携帯端末が、前記情報センタから受信した前記アプリケーションを実行することにより、前記携帯端末の機種を特定可能な特定情報を前記携帯端末から取得して前記情報センタに送信する手順と、
前記情報センタが、前記携帯端末から受信した前記特定情報に基づいて、前記車両装置と前記携帯端末との動作を適合化するデータ(50)を前記携帯端末に送信する手順と、
前記携帯端末が、前記アプリケーションを実行することにより、前記情報センタから受信した前記データを前記車両装置に送信する手順と、
前記車両装置が、前記携帯端末から受信した前記データに基づいて、前記携帯端末に前記指令を送信する手順と、を備えることを特徴とする車両装置と携帯端末との動作適合化方法。
【請求項2】
前記携帯端末が、前記アプリケーションを実行することにより、前記携帯端末の状態を取得して前記車両装置に送信する手順を備え、
前記携帯端末に前記指令を送信する手順において、前記車両装置は、前記携帯端末から受信した前記データ及び前記携帯端末の状態に基づいて、前記携帯端末に前記指令を送信する請求項1に記載の車両装置と携帯端末との動作適合化方法。
【請求項3】
前記データを前記車両装置に送信する手順は、前記携帯端末が、前記アプリケーションを実行することにより、前記車両装置と前記携帯端末との接続設定を行う手順を含む請求項1又は2に記載の車両装置と携帯端末との動作適合化方法。
【請求項4】
前記データは、前記車両装置と前記携帯端末との接続を設定するデータを含み、
前記データを前記車両装置に送信する手順は、前記携帯端末が、前記データに基づいて前記車両装置と前記携帯端末との接続設定を行う手順を含む請求項1又は2に記載の車両装置と携帯端末との動作適合化方法。
【請求項5】
前記携帯端末の状態は、前記携帯端末による前記アプリケーションとは異なるアプリケーションの実行状態を含む請求項2〜4のいずれかに記載の車両装置と携帯端末との動作適合化方法。
【請求項6】
前記アドレスを取得する手順において、前記携帯端末は、QRコードの読み取り、NFC規格による通信、及び赤外線通信のいずれか1つを行うことにより、前記車両装置から前記アドレスを取得する請求項1〜5のいずれかに記載の車両装置と携帯端末との動作適合化方法。
【請求項7】
前記特定情報は、前記携帯端末の機種名及び前記携帯端末に割り当てられた型番号の少なくともいずれかを含む請求項1〜6のいずれかに記載の車両装置と携帯端末との動作適合化方法。
【請求項8】
車両に搭載された車両装置(10)と、携帯端末(30)とを備え、前記車両装置からの指令により前記携帯端末の機能が実現される車両システムにおいて、
前記携帯端末は、
前記車両装置から前記車両装置に対応する情報センタ(20)のアドレスを取得する取得手段(33)と、
取得した前記アドレスを用いて前記情報センタにアクセスし、前記携帯端末のOSで動作可能なアプリケーション(40)の送信を要求する要求手段(32,35)と、
前記情報センタにより前記送信の要求に応じて送信された前記アプリケーションを受信するアプリケーション受信手段(32,34,35)と、
前記情報センタから受信した前記アプリケーションを実行することにより、前記携帯端末の機種を特定可能な特定情報を前記携帯端末から取得して前記情報センタに送信する情報送信手段(32,35)と、
前記情報センタにより前記特定情報に基づいて送信された前記車両装置と前記携帯端末との動作を適合化するデータ(50)を受信するデータ受信手段(32,35)と、
前記アプリケーションを実行することにより、前記情報センタから受信した前記データを前記車両装置に送信するデータ送信手段(31,35)と、を備え、
前記車両装置は、
前記携帯端末から受信した前記データに基づいて、前記携帯端末に前記指令を送信する指令送信手段(11,13,14)、を備えることを特徴とする車両システム。
【請求項9】
車両に搭載された車両装置(10)からの指令により自端末の機能が実現される携帯端末(30)であって、
前記車両装置から前記車両装置に対応する情報センタ(20)のアドレスを取得する取得手段(33)と、
取得した前記アドレスを用いて前記情報センタにアクセスし、前記携帯端末のOSで動作可能なアプリケーション(40)の送信を要求する要求手段(32,35)と、
前記情報センタにより前記送信の要求に応じて送信された前記アプリケーションを受信するアプリケーション受信手段(32,34,35)と、
前記情報センタから受信した前記アプリケーションを実行することにより、前記携帯端末の機種を特定可能な特定情報を前記携帯端末から取得して前記情報センタに送信する情報送信手段(32,35)と、
前記情報センタにより前記特定情報に基づいて送信された前記車両装置と前記携帯端末との動作を適合化するデータ(50)を受信するデータ受信手段(32,35)と、
前記アプリケーションを実行することにより、前記情報センタから受信した前記データを前記車両装置に送信するデータ送信手段(31,35)と、
前記車両装置により前記データに基づいて送信された指令により、自端末の機能を実現する制御手段(35)と、を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項10】
携帯端末(30)に指令を送信して前記携帯端末の機能を実現させる車両装置(10)に、対応する情報センタ(20)であって、
前記携帯端末の機種を特定可能な特定情報に応じて設定された、前記車両装置と前記携帯端末との動作を適合化するデータ(50)、及び、前記携帯端末のOSで動作可能なアプリケーション(40)であって、前記携帯端末が実行することにより、前記特定情報を前記携帯端末から取得して前記情報センタに送信するとともに、前記情報センタから受信した前記データを前記車両装置に送信するアプリケーションを格納する記憶手段(22)と、
前記携帯端末の要求に応じて、前記アプリケーションを前記携帯端末に送信するアプリケーション送信手段(21,22,23)と、
前記アプリケーションを実行した携帯端末により送信された前記特定情報に基づいて、前記データを前記携帯端末に送信するデータ送信手段(21,22,23)と、を備える情報センタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両装置からの指令により携帯端末の機能が実現される車両システムにおいて、車両装置と携帯端末との動作を適合化する方法、車両装置と携帯端末とを備える車両システム、その携帯端末、及び車両装置に対応する情報センタに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される車両装置には、車両装置と接続した携帯端末にコマンド送信等することにより、携帯端末の機能を実現させるものがある。このような車両装置に接続される携帯端末の機種及びOS(Operating System)は多数ある。それゆえ、携帯端末の所定の機能を実現させるために車両装置が標準化されたコマンド送信をしても、携帯端末の機種及びOSによっては所定の機能が実現されるとは限らず、不具合が生じるおそれがある。
【0003】
特許文献1において、上記車両装置の一種であるハンズフリー装置は、ハンズフリー装置と接続した携帯端末に機種名を問い合わせるコマンドを送信し、携帯端末の機種名を示す情報を取得している。そして、ハンズフリー装置は、携帯端末の機種に依存する不具合が存在する場合に、不具合を是正するための処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−74409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において、ハンズフリー装置は携帯端末に機種名を問い合わせるコマンドを送信しているが、機種名を問い合わせるコマンドは、標準化されたコマンドに通常含まれていない。このため、携帯端末が問い合わせに応答して機種名を返信するとは限らず、ハンズフリー装置は携帯端末の機種名を取得できないおそれがある。また、ハンズフリー装置は、携帯端末の機種名しか認識していないため、OSの違いによる不具合が発生しても是正できないおそれがある。
【0006】
本発明は、上記実情を鑑み、携帯端末の機種及びOSにかかわらず、車両装置と携帯端末との動作を適合化することのできる適合化方法、車両装置と携帯端末とを備える車両システム、携帯端末、及び情報センタを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の車両装置と携帯端末との動作適合化方法は、車両に搭載された車両装置と、携帯端末とを備え、前記車両装置からの指令により前記携帯端末の機能が実現される車両システムにおいて、前記携帯端末が、前記車両装置から前記車両装置に対応する情報センタのアドレスを取得する手順と、前記携帯端末が、取得した前記アドレスを用いて前記情報センタにアクセスし、前記携帯端末のOSで動作可能なアプリケーションの送信を要求する手順と、前記情報センタが、前記携帯端末による前記送信の要求に応じて、前記アプリケーションを前記携帯端末に送信する手順と、前記携帯端末が、前記情報センタから受信した前記アプリケーションを実行することにより、前記携帯端末の機種を特定可能な特定情報を前記携帯端末から取得して前記情報センタに送信する手順と、前記情報センタが、前記携帯端末から受信した前記特定情報に基づいて、前記車両装置と前記携帯端末との動作を適合化するデータを前記携帯端末に送信する手順と、前記携帯端末が、前記アプリケーションを実行することにより、前記情報センタから受信した前記データを前記車両装置に送信する手順と、前記車両装置が、前記携帯端末から受信した前記データに基づいて、前記携帯端末に前記指令を送信する手順と、を備える。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、携帯端末は、車両装置から車両装置に対応する情報センタのアドレスを取得し、取得したアドレスを用いて情報センタにアクセスする。そして、携帯端末は、自端末のOSで動作可能なアプリケーションの送信を情報センタに要求する。情報センタは、携帯端末に要求されたアプリケーションを携帯端末に送信する。携帯端末は、情報センタから受信したアプリケーションを実行することにより、自端末の機種を特定可能な特定情報を自端末から取得して情報センタに送信する。よって、情報センタは、携帯端末の機種及びOSの情報を確実に取得できる。
【0009】
情報センタは、受信した携帯端末の機種情報に基づいて、車両装置と携帯端末との動作を適合化するデータを携帯端末に送信する。携帯端末は、情報センタから受信したアプリケーションを実行することにより、情報センタから受信したデータを車両装置に送信する。よって、車両装置は、携帯端末の機種及びOSに応じて車両装置と携帯端末との動作を適合化するデータを、携帯端末を介して情報センタから取得できる。
【0010】
車両装置は、携帯端末から受信したデータに基づいて、携帯端末の機能を実現させる指令を携帯端末に送信する。したがって、携帯端末の機種及びOSにかかわらず、車両装置と携帯端末との動作を適合化することができる。
【0011】
請求項8に記載の発明は、車両に搭載された車両装置と、携帯端末とを備え、前記車両装置からの指令により前記携帯端末の機能が実現される車両システムにおいて、前記携帯端末は、前記車両装置から前記車両装置に対応する情報センタのアドレスを取得する取得手段と、取得した前記アドレスを用いて前記情報センタにアクセスし、前記携帯端末のOSで動作可能なアプリケーションの送信を要求する要求手段と、前記情報センタにより前記送信の要求に応じて送信された前記アプリケーションを受信するアプリケーション受信手段と、前記情報センタから受信した前記アプリケーションを実行することにより、前記携帯端末の機種を特定可能な特定情報を前記携帯端末から取得して前記情報センタに送信する情報送信手段と、前記情報センタにより前記特定情報に基づいて送信された前記車両装置と前記携帯端末との動作を適合化するデータを受信するデータ受信手段と、前記アプリケーションを実行することにより、前記情報センタから受信した前記データを前記車両装置に送信するデータ送信手段と、を備え、前記車両装置は、前記携帯端末から受信した前記データに基づいて、前記携帯端末に前記指令を送信する指令送信手段、を備える。
【0012】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1と同様に、携帯端末の機種及びOSにかかわらず、車両装置と携帯端末との動作を適合化することができる。
【0013】
請求項9に記載の発明は、車両に搭載された車両装置からの指令により自端末の機能が実現される携帯端末であって、前記車両装置から前記車両装置に対応する情報センタのアドレスを取得する取得手段と、取得した前記アドレスを用いて前記情報センタにアクセスし、前記携帯端末のOSで動作可能なアプリケーションの送信を要求する要求手段と、前記情報センタにより前記送信の要求に応じて送信された前記アプリケーションを受信するアプリケーション受信手段と、前記情報センタから受信した前記アプリケーションを実行することにより、前記携帯端末の機種を特定可能な特定情報を前記携帯端末から取得して前記情報センタに送信する情報送信手段と、前記情報センタにより前記特定情報に基づいて送信された前記車両装置と前記携帯端末との動作を適合化するデータを受信するデータ受信手段と、前記アプリケーションを実行することにより、前記情報センタから受信した前記データを前記車両装置に送信するデータ送信手段と、前記車両装置により前記データに基づいて送信された指令により、自端末の機能を実現する制御手段と、を備える。
【0014】
請求項9に記載の発明によれば、請求項1と同様に、自端末の機種及びOSにかかわらず、車両装置と自端末との動作を適合化することができる。
【0015】
請求項10に記載の発明は、携帯端末に指令を送信して前記携帯端末の機能を実現させる車両装置に、対応する情報センタであって、前記携帯端末の機種を特定可能な特定情報に応じて設定された、前記車両装置と前記携帯端末との動作を適合化するデータ、及び、前記携帯端末のOSで動作可能なアプリケーションであって、前記携帯端末が実行することにより、前記特定情報を前記携帯端末から取得して前記情報センタに送信するとともに、前記情報センタから受信した前記データを前記車両装置に送信するアプリケーションを格納する記憶手段と、前記携帯端末の要求に応じて、前記アプリケーションを前記携帯端末に送信するアプリケーション送信手段と、前記アプリケーションを実行した携帯端末により送信された前記特定情報に基づいて、前記データを前記携帯端末に送信するデータ送信手段と、を備える。
【0016】
請求項10に記載の発明によれば、携帯端末が情報センタから受信したアプリケーションを実行することにより、情報センタは携帯端末の機種情報を取得する。そして、情報センタは、取得した携帯端末の機種情報に基づいて、車両装置と携帯端末との動作を適合化するデータを携帯端末に送信する。そして、携帯端末がアプリケーションを実行することにより、携帯端末は情報センタから受信したデータを車両装置に送信する。よって、携帯端末の機種及びOSにかかわらず、情報センタに対応する車両装置と携帯端末との動作を適合化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る車両システム及び情報センタの構成を示すブロック図。
図2】車両装置と携帯端末との動作を適合化する処理手順を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、車両に搭載された車両装置と携帯端末との動作適合化方法を適用する車両システムの構成について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る車両システムは、図1に示すように、車両装置10と、携帯端末30とから構成され、車両装置10からの指令により、オーディオ、ハンズフリー電話、メール等の携帯端末30の機能が実現される。携帯端末30は、インターネットを介して、情報センタ20と通信可能となっている。
【0019】
情報センタ20は、車両装置10に対応する情報センタであり、インターネット通信部21、記憶部22(記憶手段)、制御部23を備える。また、インターネット通信部21、記憶部22、及び制御部23によって、アプリケーション送信手段及びデータ送信手段が構成されている。
【0020】
インターネット通信部21は、Wi-Fi(登録商標)等の通信方式を用いて、インターネットとの接続を可能とする。
【0021】
記憶部22は、ハードディスク装置などから構成された記憶装置又は記憶領域である。記憶部22には、携帯端末30のOSごとに、各OSで動作可能な専用アプリ40(アプリケーション)が記憶されている。また、記憶部22には、携帯端末30の機種及びOSごとに、車両装置10と携帯端末30との動作を適合化するデータ50が記憶されている。データ50は、車両装置10と携帯端末30間で、どのような順番及びタイミングで、どのような指令を送信するべきかという通信手順が記されたデータテーブルである。この通信手順は、携帯端末30の状態、及び実現させる携帯端末30の機能に応じて設定されている。なお、携帯端末30の状態とは、携帯端末30による専用アプリ40以外のアプリの実行状態や、車両装置10以外の装置との接続状態等である。
【0022】
制御部23は、CPU、RAM、ROM、I/O、及びこれらを接続するバスライン等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。制御部23は、インターネット通信部21を介して携帯端末30から専用アプリ40の送信要求を受けると、携帯端末30のOSで動作可能な専用アプリ40を、記憶部22から取得する。そして、制御部23は、記憶部22から取得した専用アプリ40を、インターネット通信部21を介して携帯端末30に送信する。また、制御部23は、インターネット通信部21を介して、携帯端末30から携帯端末30の機種を特定可能な特定情報を受信すると、受信した特定情報に基づいて、車両装置10と携帯端末30との動作を適合化するデータ50を、記憶部22から取得する。そして、制御部23は、記憶部22から取得したデータ50を、インターネット通信部21を介して携帯端末30に送信する。
【0023】
携帯端末30は、スマートフォンや携帯電話、タブレット端末等であり、近距離通信部31、インターネット通信部32、情報取得部33(取得手段)、記憶部34、制御部35(制御手段)を備える。また、インターネット通信部32、制御部35によって、要求手段、情報送信手段、データ受信手段が構成されている。インターネット通信部32、記憶部34、制御部35によって、アプリケーション受信手段が構成されている。近距離通信部31、制御部35によって、データ送信手段が構成されている。
【0024】
近距離通信部31は、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi等の通信方式を用いて、車両装置10との無線接続を可能とする。インターネット通信部32は、Wi-Fi、LTE(Long Term Evolution)、3G等の通信方式を用いて、インターネットとの接続を可能とする。
【0025】
情報取得部33は、携帯端末30の機種及びOSに依存しない方法により、車両装置10から情報センタ20のアドレスを取得する。具体的には、情報取得部33は、QRコード(登録商標)を読み取り可能なカメラ、NFC(Near Field Communication)規格の通信装置、及び赤外線通信装置等である。情報取得部33は、QRコード化されたアドレスの読み取り、NFC規格による通信、及び赤外線通信のいずれかを行うことにより、車両装置10から情報センタ20のアドレスを取得する。
【0026】
記憶部34は、フラッシュメモリ等から構成された記憶装置又は記憶領域である。記憶部34には、インターネット通信部32を介して情報センタ20から受信した専用アプリ40が記憶される。
【0027】
制御部35は、CPU、RAM、ROM、I/O、及びこれらを接続するバスライン等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。制御部35は、専用アプリ40を実行することにより、携帯端末30の機種を特定可能な特定情報を携帯端末30から取得し、取得した特定情報を、インターネット通信部32を介して情報センタ20へ送信する。特定情報は、携帯端末30の機種名及びメーカにより携帯端末30に割り当てられた型番号の少なくとも1つを含む。
【0028】
また、制御部35は、専用アプリ40を実行することにより、近距離通信部31と後述する車両装置10の近距離通信部11との接続設定を行うとともに、インターネット通信部32を介して情報センタ20から受信したデータ50を、近距離通信部31を介して車両装置10へ送信する。さらに、制御部35は、専用アプリ40を実行することにより、携帯端末30の状態を取得して、取得した状態を、近距離通信部31を介して車両装置10へ送信する。すなわち、専用アプリ40は、制御部35に実行されることにより、特定情報を情報センタ30に送信する機能、データ50を車両装置10に送信する機能、及び携帯端末30の状態を車両装置10に送信する機能、の3つの機能を実現するアプリケーションである。
【0029】
車両装置10は、近距離通信部11、情報通知部12、記憶部13、制御部14を備える。近距離通信部11、記憶部13、制御部14によって、指令送信手段が構成されている。
【0030】
近距離通信部11は、BluetoothやWi-Fi等の通信方式を用いて、携帯端末30との無線接続を可能とする。情報通知部12は、携帯端末30に情報センタ20のアドレスを通知する。具体的には、情報通知部12は、情報センタ20のアドレスを表すQRコード、NFC規格による通信を行う通信装置、及び赤外線通信を行う通信装置等である。
【0031】
記憶部13は、ハードディスク装置やDVD装置などから構成された記憶装置又は記憶領域である。記憶部13には、近距離通信部11を介して携帯端末30から受信したデータ50が記憶される。
【0032】
制御部14は、CPU、RAM、ROM、I/O、及びこれらを接続するバスライン等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。制御部14は、記憶部13に記憶されているデータ50、及び携帯端末30から受信した携帯端末30の状態に基づいて、携帯端末30の機能を実現させるために、携帯端末30に指令を送信する。
【0033】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る車両システムが、Bluetoothで接続された車両装置10と携帯端末30との動作の適合化を行う処理手順について説明する。
【0034】
車両装置10が、Bluetoothで接続された携帯端末30の機能を利用する場合、利用する機能ごとに車両装置10と携帯端末30間の通信手順が標準化されている。しかしながら、携帯端末30の機種、OS、及び状態によっては、標準化された手順に従って車両装置10から携帯端末30に指令を送っても、携帯端末30の所望の機能を利用できない不具合が生じることがある。
【0035】
例えば、車両装置10が、携帯端末30のオーディオ機能の早送り又は巻戻しをするために、Bluetoothで標準化された手順に従って、早送り又は巻戻しのpressコマンドを2秒間隔で携帯端末30に送信すると、早送り又は巻戻しと通常再生とが2秒間隔で繰り返されるという問題が発生することがある。そこで、本実施形態に係る車両システムは、携帯端末30の機種、OS、及び状態に応じて、車両装置10と携帯端末30との動作の適合化を行う。
【0036】
まずS10では、車両装置10にBluetoothによる接続を許可するデバイスとして携帯端末30を登録するために、ユーザが車両装置10を操作すると、車両装置10の画面表示は登録画面に変わる。そして、車両装置10は接続対象をサーチして携帯端末30を検出する。
【0037】
続いてS11で、NFC規格による通信や、赤外線通信により車両装置10から携帯端末30へ情報センタ20のアドレスが送信され、携帯端末30は情報センタ20のアドレスを取得する。あるいは、ユーザが携帯端末30を操作して情報通知部12のQRコードを読み取ることにより、携帯端末30は情報センタ20のアドレスを取得する。
【0038】
続いてS12では、携帯端末30は、取得したアドレスを用いて情報センタ20にアクセスし、ユーザの操作に応じて、携帯端末30のOSで動作可能な専用アプリ40の送信を、情報センタ20に要求する。なお、ユーザは、携帯端末30のOSを指定する。
【0039】
続いてS13では、情報センタ20は、携帯端末30による専用アプリ40の送信要求に応じて、携帯端末30のOSに応じた専用アプリ40を携帯端末30に送信する。
【0040】
続いてS14では、携帯端末30は、情報センタ20から受信した専用アプリ40をインストールして実行する。S15、S17、S19、S21、及びS22の処理は、携帯端末30が、専用アプリ40を実行することにより行う処理である。
【0041】
S15では、携帯端末30は、専用アプリ40を実行することにより、特定情報を自端末から取得し、取得した特定情報を情報センタ20に送信する。続いて、S16では、情報センタ20は、携帯端末30から受信した特定情報、及びOS情報に基づいて、携帯端末30の機種及びOSに対応したデータ50を、携帯端末30に送信する。
【0042】
続いてS17〜S21では、携帯端末30が専用アプリ40を実行することにより、情報センタ20から受信したデータ50を車両装置10に送信する。まずS17〜S21では、携帯端末30が専用アプリ40を実行することにより、携帯端末30の機種及びOSに応じて、車両装置10と携帯端末30との接続設定を行う。車両装置10と携帯端末30とをBluetooth等により接続する場合、標準化された手順に従っても希に接続設定を失敗することがある。そこで、携帯端末30が情報センタ20から受信した専用アプリ40を実行することにより、携帯端末30の機種及びOSにかかわらず、車両装置10と携帯端末30との接続設定を確実に行う。
【0043】
S17で、携帯端末30は車両装置10に自端末の登録を要求する。S18で、車両装置10は、登録の要求を受け入れ、携帯端末30とペアリング処理を実施する。これにより、車両装置10及び携帯端末30は、互いを通信相手として認識する。続いて、S19で、携帯端末30は車両装置10にSPP(Serial Port Profile)接続を要求する。S20で、車両装置10は、SPP接続の要求を受け入れ、携帯端末30とSPP接続処理を実施する。これにより、車両装置10と携帯端末30との間で、安定したBluetoothシリアル通信を行う環境が整う。続いて、S21では、携帯端末30は、情報センタ20から受信したデータ50をBluetoothシリアル通信により車両装置10に送信する。
【0044】
続いて、S22では、携帯端末30は、専用アプリ40を実行することにより、専用アプリ40以外のアプリの実行状態を含む自端末の状態を取得して、取得した自端末の状態をBluetoothシリアル通信により車両装置10に送信する。携帯端末30の状態によっては、車両装置10が携帯端末30に同じ指令を送信しても、車両装置10と携帯端末30との動作を適合化できない場合がある。そこで、携帯端末30は、情報センタ20から受信した専用アプリ40の実行により、適宜自端末の状態を取得し、取得した自端末の状態を車両装置10に送信する。
【0045】
続いて、S23では、車両装置10は、携帯端末30から受信したデータ50及び携帯端末30の状態に基づいて、携帯端末30の機能を実現させるために、携帯端末30に指令を送信する。以上により、適合化処理を終了する。
【0046】
適合化処理を実行することにより、標準化された手順に従うと上記例のような問題が発生する場合でも、早送り又は巻き戻しのpressコマンドを一度だけ送信するようになり、早送り又は巻き戻しが正常に実行できるようになる。なお、本処理を実行した後、車両装置10と携帯端末30とを再度Bluetoothで接続する場合は、携帯端末30の機種又はOSが変更しない限り、S10〜S18及びS21の処理を省略できる。
【0047】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0048】
・携帯端末30は、情報センタ20から受信した専用アプリ40を実行することにより、特定情報を自端末から取得して情報センタ20に送信する。このため、情報センタ20は、携帯端末30の機種の情報を確実に取得できる。
【0049】
・情報センタ20は、受信した携帯端末30の機種情報、及びOS情報に基づいて、データ50を携帯端末30に送信し、携帯端末30は、専用アプリ40を実行することにより、情報センタ20から受信したデータ50を車両装置10に送信する。このため、車両装置10は、携帯端末30の機種及びOSに応じたデータ50を、携帯端末30を介して情報センタ20から取得できる。
【0050】
・携帯端末30は、専用アプリ40を実行することにより、専用アプリ40以外のアプリの実行状態を含む自端末の状態を取得し、取得した自端末の状態を車両装置10に送信する。このため、車両装置10は、携帯端末30の状態を取得できる。
【0051】
・車両装置10は、携帯端末30から受信したデータ50及び携帯端末30の状態に基づいて、携帯端末30の機能を実現させる指令を携帯端末30に送信する。このため、携帯端末30の機種、OS、及び状態にかかわらず、車両装置10と携帯端末30との動作を適合化することができる。
【0052】
・携帯端末30が専用アプリ40を実行することにより、携帯端末30の機種及びOSに応じて、車両装置10と携帯端末30との接続設定を行っている。このため、携帯端末30の機種及びOSにかかわらず、車両装置10と携帯端末30との接続設定を確実に行うことができる。
【0053】
・携帯端末30は、QRコードや、NFC規格による通信、赤外線通信等の携帯端末30の機種及びOSに依存しない方法により、車両装置10から情報センタ20のアドレスを取得する。このため、携帯端末30は、機種及びOSにかかわらず、確実に情報センタ20にアクセスできる。ひいては、携帯端末30は、情報センタ20から車両装置10と携帯端末30との動作を適合化するデータを確実に取得し、車両装置10に送信できる。
【0054】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。
【0055】
・S11において、ユーザが携帯端末30に情報センタ20のアドレスを直接入力することにより、携帯端末30が情報センタ20のアドレスを取得するようにしてもよい。
【0056】
・データ50が、車両装置10と携帯端末30との接続を設定するデータを含むようにし、S17〜S21において、携帯端末30がデータ50に基づいて車両装置10と携帯端末30との接続設定を行うようにしてもよい。このようにしても、携帯端末30と機種及びOSにかかわらず、車両装置10と携帯端末30との接続設定を確実に行うことができる。
【0057】
・S22の処理を省略して、S23において、車両装置10は、携帯端末30から受信したデータ50に基づいて、携帯端末30に指令を送信するようにしてもよい。このようにしても、S22の処理を実行する場合ほど確実ではないが、車両装置10と携帯端末30との動作を適合化できる。
【0058】
・S12において、携帯端末30は、ユーザの操作によらず自動的に、自端末のOSで動作可能な専用アプリ40の送信を情報センタ20に要求するようにしてもよい。具体的には、携帯端末30のOSに応じて情報センタ20の専用アドレスを設定しておくことにより、その専用アドレスにアクセスすることで携帯端末30のOSで動作可能な専用アプリ40を要求する。情報センタ20では、専用アドレス毎に携帯端末30のOSに応じた専用アプリ40が設定されており、アクセスされた専用アドレスに対応する専用アプリ40を携帯端末30に送信する。さらに、S10において、車両装置10が携帯端末30を検出した後、ユーザが携帯端末30のOSを指定することにより、車両装置10が携帯端末30に指定されたOSに応じて専用アドレスを送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…車両装置、11,31…近距離通信部、12…情報通知部、20…情報センタ、21,32…インターネット通信部、30…携帯端末、33…情報取得部、40…専用アプリ、50…データ。
図1
図2