特許第6044382号(P6044382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044382
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】マルチギャップ型回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/16 20060101AFI20161206BHJP
   H02K 3/04 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H02K1/16 Z
   H02K3/04 E
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-31183(P2013-31183)
(22)【出願日】2013年2月20日
(65)【公開番号】特開2014-161180(P2014-161180A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2015年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100080045
【弁理士】
【氏名又は名称】石黒 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100124752
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 真司
(72)【発明者】
【氏名】福島 明
(72)【発明者】
【氏名】草瀬 新
(72)【発明者】
【氏名】前川 武雄
(72)【発明者】
【氏名】近藤 啓次
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−080692(JP,A)
【文献】 特開2011−250508(JP,A)
【文献】 特開2003−324876(JP,A)
【文献】 特開2003−134751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/16
H02K 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に連結される環状のロータ(6)と、
このロータ(6)の少なくとも径方向の内側と外側とにそれぞれギャップを介して配置される内側コア(8)と外側コア(9)を有するステータコアと、
このステータコアに巻装される多相のステータ巻線(7)とを備え、
前記ステータコアは、前記内側コア(8)および前記外側コア(9)にそれぞれ複数のスロットが周方向等ピッチに形成され、前記内側コア(8)に形成される前記スロットを内側スロット(8s)と呼び、前記外側コア(9)に形成される前記スロットを外側スロット(9s)と呼ぶ時に、前記内側スロット(8s)および前記外側スロット(9s)は、半閉スロットまたは閉スロットであり、
前記ステータ巻線(7)の各相コイルは、それぞれ、前記内側スロット(8s)に挿入される内側コイル辺(11a)と、前記外側スロット(9s)に挿入される外側コイル辺(11b)と、前記ステータコアの軸方向一端側で前記内側コイル辺(11a)と前記外側コイル辺(11b)の一端同士を径方向に連結する連結コイル辺(11c)とを有する複数のコの字状導体(11)を周方向に連接して形成され、
前記コの字状導体(11)は、
前記内側スロット(8s)より軸方向に突き出る前記内側コイル辺(11a)の先端側を周方向に折り曲げて形成される内側コイルエンド部(11d)と、前記外側スロット(9s)より軸方向に突き出る前記外側コイル辺(11b)の先端側を周方向に折り曲げて形成される外側コイルエンド部(11e)とを有し、所定スロット数毎に前記内側スロット(8s)および前記外側スロット(9s)より取り出される前記内側コイルエンド部(11d)の端部同士および前記外側コイルエンド部(11e)の端部同士が接合されて周方向に連接されるマルチギャップ型回転電機であって、
前記ステータコアは、前記ロータ(6)の軸方向一端側にギャップを有して配置される側面コア(10)を有し、この側面コア(10)は、前記内側コア(8)と前記外側コア(9)とに軸方向の一端側で機械的に結合され、且つ、前記内側スロット(8s)と前記外側スロット(9s)に連通して前記側面コア(10)を軸方向に貫通する側面スロット(10s)を有し、
前記コの字状導体(11)は、前記連結コイル辺(11c)が前記側面スロット(10s)に収納されることを特徴とするマルチギャップ型回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載したマルチギャップ型回転電機(1)において、
前記内側コイルエンド部(11d)は、前記内側スロット(8s)より軸方向に突き出る前記内側コイル辺(11a)の先端側を周方向の一方側へ折り曲げて形成され、
前記外側コイルエンド部(11e)は、前記外側スロット(9s)より軸方向に突き出る前記外側コイル辺(11b)の先端側を周方向の他方側へ折り曲げて形成されることを特徴とするマルチギャップ型回転電機。
【請求項3】
請求項1または2に記載したマルチギャップ型回転電機(1)において、
前記ステータ巻線(7)は、各相毎に複数の前記コの字状導体(11)を周方向に連接して形成されて並列回路を構成する第1巻線部(7A)と第2巻線部(7B)を有し、
前記第1巻線部(7A)および前記第2巻線部(7B)は、それぞれ各相毎に前記内側コイル辺(11a)および前記外側コイル辺(11b)が所定スロット数毎に前記内側スロット(8s)内および前記外側スロット(9s)内で径方向に転位配置して収納されることを特徴とするマルチギャップ型回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用、とりわけハイブリッド自動車用の高性能な小型モータに用いて好適なマルチギャップ型回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、特許文献1に開示されたマルチギャップ型回転電機がある。
この回転電機は、回転軸に連結される環状のロータと、このロータの内径側と外径側および軸方向の一端側にそれぞれ磁気ギャップを介して配置される内側コアと外側コアおよび側面コアから成るステータコアと、このステータコアに巻装されるステータ巻線とを備える。この回転電機は、ロータと内側コアおよび外側コアとの間に形成される径方向のギャップに加えて、ロータと側面コアとの間に軸方向ギャップを形成する三面ギャップ構造であり、側面コアを持たない二面ギャップ構造の回転電機と比較して、高トルク化が可能である。
【0003】
三面ギャップ構造の回転電機に使用するステータ巻線は、例えばスター結線された三相コイルであり、各相のコイル毎にコイル導体を円環状に連接して形成されている。
具体的には、内側コアと外側コアおよび側面コアの各スロット内に収納されるスロット内導体部と、1磁極ピッチ毎に配設されるスロット内導体部同士を内側スロットの外部で周方向に連結する内側渡り部と、外側スロットの外部で周方向に連結する外側渡り部とを有している。このステータ巻線は、ステータコアに対して、円環状に連接されたコイル導体を側面コアと反対側から組み付けることにより、各コアのスロット内にスロット内導体部を収納できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−80692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の従来技術では、ステータ巻線をステータコアに巻装する際に、円環状に連接されたコイル導体を側面コアと反対側からステータコアに組み付ける必要がある。このため、ステータコアは、コイル導体を軸方向から挿入するために開放スロット(オープンスロットとも呼ばれる)とする必要があり、トルクリップルを抑えるために通常の倍以上の多スロットにするなど、製作面で課題があった。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、適正スロット数でトルクリップルを低減できるマルチギャップ型回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1に係る発明)
本発明のマルチギャップ型回転電機は、回転軸に連結される環状のロータと、このロータの少なくとも径方向の内側と外側とにそれぞれギャップを介して配置される内側コアと外側コアを有するステータコアと、このステータコアに巻装される多相のステータ巻線とを備え、ステータコアは、内側コアおよび外側コアにそれぞれ複数のスロットが周方向等ピッチに形成され、内側コアに形成されるスロットを内側スロットと呼び、外側コアに形成されるスロットを外側スロットと呼ぶ時に、内側スロットおよび外側スロットは、半閉スロットまたは閉スロットである。
【0007】
ステータ巻線の各相コイルは、それぞれ、内側スロットに挿入される内側コイル辺と、外側スロットに挿入される外側コイル辺と、ステータコアの軸方向一端側で内側コイル辺と外側コイル辺の一端同士を径方向に連結する連結コイル辺とを有する複数のコの字状導体を周方向に連接して形成される。
コの字状導体は、内側スロットより軸方向に突き出る内側コイル辺の先端側を周方向に折り曲げて形成される内側コイルエンド部と、外側スロットより軸方向に突き出る外側コイル辺の先端側を周方向に折り曲げて形成される外側コイルエンド部とを有し、所定スロット数毎に内側スロットおよび外側スロットより取り出される内側コイルエンド部の端部同士および外側コイルエンド部の端部同士が接合されて周方向に連接される
ステータコアは、ロータの軸方向一端側にギャップを有して配置される側面コアを有し、この側面コアは、内側コアと外側コアとに軸方向の一端側で機械的に結合され、且つ、内側スロットと外側スロットに連通して側面コアを軸方向に貫通する側面スロットを有し、コの字状導体は、連結コイル辺が側面スロットに収納されることを特徴とする。
【0008】
本発明のステータ巻線は、各相コイルを構成する複数のコの字状導体をステータコアに組み付けた後、互いの内側コイルエンド部および外側コイルエンド部の端部同士が接合されて形成される。
上記の構成によれば、ステータコアの軸方向一端側から、コの字状導体の内側コイル辺と外側コイル辺をそれぞれ内側スロットと外側スロットに挿入できるので、内側スロットおよび外側スロットをそれぞれ半閉スロットまたは閉スロットに形成できる。これにより、トルクリップルを抑えるために通常の倍以上の多スロットにする必要はなく、適正スロット数でトルクリップルを低減できる。
【0009】
また、接合部となる内側コイルエンド部および外側コイルエンド部の端部同士は、いずれもステータコアの軸方向他端側に設けられる。つまり、内側コアおよび外側コアに対し軸方向の同一側に接合箇所が揃っているので、全ての接合箇所をまとめて接合できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係るステータコアと、同ステータコアに組み付けられたコの字状導体の接続状態を示す斜視図である。
図2】実施例1に係るステータコアにコの字状導体を組み付けた状態を示す斜視図である。
図3図2に示すステータコアを軸方向の反側面コア側から見た平面図である。
図4図3に示すステータコアのIV−IV断面図である。
図5図3に示すステータコアのV−V断面図である。
図6】実施例1に係るモータの構成を模式的に示した断面図である。
図7】実施例2に係るステータコアの構成を示す側面図である。
図8】実施例3に係る第1巻線部と第2巻線部の結線図である。
図9】実施例3に係る第1巻線部と第2巻線部のU相コイルの巻線図である。
図10】実施例3に係る第1巻線部のU相コイルの巻線図である。
図11】実施例3に係る第2巻線部のU相コイルの巻線図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態を以下の実施例により詳細に説明する。
【実施例】
【0012】
(実施例1)
実施例1は、本発明のマルチギャップ型回転電機をハイブリッド自動車のエンジンと変速機との間に配置される走行用モータに適用した事例を説明する。
実施例1のモータ1は、図6に示す様に、モータハウジング2と、このモータハウジング2に一組の軸受3を介して回転自在に支持されるシャフト4と、このシャフト4にロータディスク5を介して支持される環状のロータ6と、モータハウジング2に固定されるステータコア(後述する)と、このステータコアに巻装される三相のステータ巻線7とを備える。
シャフト4は、エンジンのクランク軸に直結、またはクラッチ(図示せず)を介して連結される。
ロータディスク5は、例えば、非磁性SUS材によって形成され、シャフト4の外周に嵌合して、シャフト4と同軸にロータ6を支持している。
【0013】
ロータ6は、例えば、プレスでリング状に打ち抜いた複数枚の電磁鋼板を軸方向に積層して構成されるロータ鉄心を有し、このロータ鉄心に突極構造を設けた突極型ロータ、あるいはロータ鉄心に永久磁石を埋設した永久磁石型ロータとして構成される。
ステータコアは、ロータ6の内径側にギャップを有して配置される内側コア8と、ロータ6の外径側にギャップを有して配置される外側コア9と、ロータ6の軸方向一端側にギャップを有して配置される側面コア10とを有する。
内側コア8と外側コア9および側面コア10は、それぞれのコア形状にプレスで打ち抜いた複数枚の電磁鋼板を軸方向に積層して構成される。また、内側コア8と外側コア9は、軸方向の一端側で側面コア10と機械的に結合されてロータ6と同軸に配置される。
【0014】
内側コア8と外側コア9には、図3に示す様に、それぞれ軸方向に貫通する複数のスロットが周方向等ピッチに形成されている。以下、内側コア8に形成されるスロットを内側スロット8sと呼び、外側コア9に形成されるスロットを外側スロット9sと呼ぶ。
内側スロット8sは、内側コア8の外周面に開口するスロット開口部の幅(以下、スロット開口幅Saと呼ぶ)がスロット幅Sbより狭い半閉スロットとして形成されている。つまり、周方向に隣り合う内側スロット8s同士の間に形成されるティース8aの先端両側に周方向へ突き出る鍔部8bが設けられ、隣り合う一方のティース8aと他方のティース8aの鍔部8b同士の間隔がスロット開口幅Saである。
外側スロット9sは、内側スロット8sと同様に、外側コア9の内周面に開口するスロット開口幅Saがスロット幅Sbより狭い半閉スロットとして形成されている。
【0015】
内側スロット8sの数と外側スロット9sの数は同数であり、例えば、磁極数を16、毎極毎相のスロット数を2として、合計96個ずつ形成される。また、内側スロット8sと外側スロット9sは、図3に示す様に、内側コア8と外側コア9の周方向で同一角度位置に形成され、互いのスロット開口部が径方向に対向している。
側面コア10には、内側コア8の内側スロット8sと外側コア9の外側スロット9sとを径方向に連通する側面スロット10sが周方向等ピッチに96個形成されている。この側面スロット10sは、側面コア10の積層方向(図6に示す左右方向)に側面コア10を貫通して形成され、且つ、内側スロット8sおよび外側スロット9sのスロット幅Sbと同一寸法のスロット幅Sbを有している。
【0016】
ステータ巻線7は、例えば、星型結線された三相コイルによって形成され、各相のコイルが以下に説明するコの字状導体11を周方向に連接して構成される。
コの字状導体11は、図2に示す様に、断面矩形の平角線をコの字型に折り曲げて形成され、内側スロット8sに挿入される内側コイル辺11aと、外側スロット9sに挿入される外側コイル辺11bと、両コイル辺の一端同士を連結する連結コイル辺11cとを有する。なお、内側コイル辺11aおよび外側コイル辺11aの長さは、それぞれ内側コア8および外側コア9の軸方向長さ(積み厚)より長く形成される。
このコの字状導体11は、ステータコアの側面コア10側(軸方向の一端側)から組み付けられる。すなわち、ステータコアの側面コア10側から側面スロット10sを通って内側コイル辺11aおよび外側コイル辺11bをそれぞれ内側スロット8sおよび外側スロット9sに挿入し、連結コイル辺11cを側面スロット10sに収納して組み付けられる。
【0017】
なお、図2は、4本のコの字状導体11を板厚方向に重ね合わせてステータコアに組み付けた状態を示している。すなわち、一つの内側スロット8sおよび外側スロット9sにそれぞれ内側コイル辺11aおよび外側コイル辺11bが4本ずつ挿入されている。この場合、コの字状導体11の連結コイル辺11cは、軸方向に4本重なるため、その4本の連結コイル辺11cが全て側面スロット10sの内部に収納されるとは限らない。例えば、図4および図5に示す様に、最も外側に配置される1本の連結コイル辺11cが側面スロット10sの内部に納まることはなく、側面コア10の外側(図示左側)にはみ出ている。但し、全ての連結コイル辺11cが側面スロット10sの内部に納まる様に、側面コア10の積み厚を厚くすることも出来る。
【0018】
ステータコアに組み付けられたコの字状導体11は、図2に示す様に、内側コイル辺11aおよび外側コイル辺11bの先端側(軸方向の他端側)が、内側スロット8sおよび外側スロット9sより軸方向へ突き出ている。この軸方向へ突き出た内側コイル辺11aの先端側を内側コア8に対して周方向の一方側へ折り曲げることで内側コイルエンド部11dが形成され、外側コイル辺11bの先端側を外側コア9に対して周方向の他方側へ折り曲げることで外側コイルエンド部11eが形成される(図1参照)。但し、同一の内側スロット8sに挿入される4本の内側コイル辺11aは、図1に示す様に、互いの内側コイルエンド部11dが交互に周方向の反対側へ折り曲げられている。同様に、4本の外側コイル辺11bは、互いの外側コイルエンド部11eが交互に周方向の反対側へ折り曲げられている。
【0019】
各相のコイルは、それぞれ周方向に所定スロット数(実施例1では6スロット)毎に離れて配列されるコの字状導体11同士で互いの内側コイルエンド部11dの端部同士および外側コイルエンド部11eの端部同士を接合(例えば溶接)して形成される。
具体的に図1を参照して説明する。なお、以下の説明において、内側スロット8sおよび外側スロット9sの深さ方向で、それぞれロータ6とのギャップ側(スロット開口部側)から反ギャップ側へ向かって順に第1層、第2層、第3層、および第4層と呼ぶ。また、周方向に6スロット離れた二つの内側スロット8sを一方の内側スロット8sおよび他方の内側スロット8sと呼び、同様に、周方向に6スロット離れた二つの外側スロット9sを一方の外側スロット9sおよび他方の外側スロット9sと呼ぶ。
【0020】
内側スロット8sより取り出される4本の内側コイルエンド部11dは、第1層と第3層とが内側コア8の周方向で一方側に折り曲げられ、第2層と第4層とが内側コア8の周方向で他方側に折り曲げられている。つまり、第1層から第4層まで交互に周方向の反対側へ折り曲げられている。よって、一方の内側スロット8sより取り出される第1層の内側コイルエンド部11dと、他方の内側スロット8sより取り出される第2層の内側コイルエンド部11dとが周方向に向かい合い、互いの端部同士が重なり合った状態で接合される。同様に、一方の内側スロット8sより取り出される第3層の内側コイルエンド部11dと、他方の内側スロット8sより取り出される第4層の内側コイルエンド部11dとが互いの端部同士で接合される。
4本の外側コイルエンド部11eは、一方の外側スロット9sより取り出される第2層の外側コイルエンド部11eと、他方の外側スロット9sより取り出される第1層の外側コイルエンド部11eとが互いの端部同士で接合される。同様に、一方の外側スロット9sより取り出される第4層の外側コイルエンド部11eと、他方の外側スロット9sより取り出される第3層の外側コイルエンド部11eとが互いの端部同士で接合される。
【0021】
(実施例1の作用および効果)
ステータ巻線7の各相コイルを構成する複数のコの字状導体11は、内側スロット8sおよび外側スロット9sに内側コイル辺11aおよび外側コイル辺11bを挿入した後、周方向に向かい合う内側コイルエンド部11dの端部同士および外側コイルエンド部11eの端部同士を接合して周方向に連接される。
また、内側コイルエンド部11dと外側コイルエンド部11eは、それぞれ内側スロット8sおよび外側スロット9sから突き出る内側コイル辺11aおよび外側コイル辺11bの先端側を周方向に折り曲げて形成される。つまり、内側コイル辺11aおよび外側コイル辺11bを内側スロット8sおよび外側スロット9sに挿入した後に、内側コイルエンド部11dおよび外側コイルエンド部11eが形成される。
【0022】
上記の構成によれば、ステータコアの側面コア10側からコの字状導体11を軸方向に組み付けることができる。この場合、内側スロット8sおよび外側スロット9sに連結コイル辺11cを通す必要がないので、内側スロット8sおよび外側スロット9sをそれぞれ半閉スロットに形成できる。これにより、トルクリップルを抑えるために通常の倍以上の多スロットにする必要はなく、適正スロット数でトルクリップルの低減を図ることができる。なお、「適正スロット数」とは、実施例1に記載した3相モータであれば、毎極毎相のスロット数が2〜3(実施例1では2)となる。その理由は、毎極毎相のスロット数が1の場合は、スロット数が少ないためにトルクリップルが大きくなる。一方、毎極毎相のスロット数が4以上の場合は、スロット数が多くなることで、巻線が難しくなる割りにトルクリップルの低減効果も頭打ちになるためである。
【0023】
また、周方向に向かい合う一方の内側コイルエンド部11dと他方の内側コイルエンド部11dの端部同士および一方の外側コイルエンド部11eと他方の外側コイルエンド部11eの端部同士は、いずれもステータコアの反側面コア側(軸方向の他端側)で接合される。つまり、内側コア8および外側コア9に対し軸方向の同一側に接合箇所が揃っているので、全ての接合箇所をまとめて接合できる。
さらに、ステータコアは、内側コア8と外側コア9とが側面コア10によって機械的に結合された一体構造となっているので、コの字状導体11の内側コイル辺11aおよび外側コイル辺11bを内側スロット8sおよび外側スロット9sに同時に挿入できる。
【0024】
また、実施例1では、ロータ6の軸方向一端側にギャップを有して側面コア10を配置し、その側面コア10に形成される側面スロット10sにコの字状導体11の連結コイル辺11cを収納しているので、ステータコアを軸方向に延ばすことなく、側面コア10による磁気回路を形成できる。すなわち、ロータ6と内側コア8および外側コア9との間に形成される径方向のギャップに加えて、ロータ6と側面コア10との間に軸方向ギャップを形成する三面ギャップ構造とすることで、モータ1を高トルク化できる。
【0025】
以下、本発明に係る他の実施例(実施例2、3)を説明する。
なお、実施例1と同一名称で記載した部品については、実施例1と同一番号を付与し、重複する説明は省略する。
(実施例2)
この実施例2は、側面コア10をスロットレス構造とした事例である。
上記の実施例1では、側面コア10に側面スロット10sを形成しているが、側面スロット10sを有していないスロットレス構造の側面コア10を採用することもできる。
【0026】
スロットレス構造の側面コア10は、図7に示す様に、内側コア8および外側コア9に巻装されるステータ巻線7の連結コイル辺11cに当接して配置される。
この実施例2の構成でも、実施例1と同じく、内側スロット8sおよび外側スロット9sを半閉スロットにできるので、適正スロット数でトルクリップルの低減を図ることができる。また、側面コア10にティースが形成されることはないが、側面コア10に磁気回路としての機能を持たせることはできるので、側面コア10を持たない二面ギャップ構造のモータと比較して高トルク化が可能である。
【0027】
(実施例3)
この実施例3は、ステータ巻線7が二組の三相コイル(以下、二組の三相コイルを第1巻線部7A、第2巻線部7Bと呼ぶ)を有し、その第1巻線部7Aと第2巻線部7Bとが並列回路を構成する事例である。
好ましい事例は、実施例1に記載した3相、16極、1極当たりスロット数=6、スロット内導体数=4であるが、ここでは、巻線仕様を簡略化して説明するために、3相、4極、1極当たりスロット数=3、スロット内導体数=2とする。なお、スロット内導体数とは、一つの内側スロット8sおよび外側スロット9sに挿入される内側コイル辺11aおよび外側コイル辺11bの本数(層数)を言う。
【0028】
第1巻線部7Aと第2巻線部7Bは、図8に示す様に、それぞれ星型結線されたU相コイル、V相コイル、W相コイルを有する。
この第1巻線部7Aと第2巻線部7Bは、それぞれ1相分(例えばU相)だけを図示すると、図9の巻線図で模式的に表すことができる。また、第1巻線部7AのU相は、図10の巻線図で表すことができ、第2巻線部7BのU相は、図11の巻線図で表すことができる。なお、図9図11は、それぞれ内側コア8および外側コア9のスロット開口部側を紙面手前側として図示している。
ここで、内側スロット8sおよび外側スロット9sの深さ方向で、それぞれロータ6に対向するギャップ側(スロットの開口部側)を第1層、反ギャップ側(スロットの底部側)を第2層と呼ぶ時、図9図11に示す破線が第1層、実線が第2層に対応する。
【0029】
また、図9図11には、第1巻線部7Aと第2巻線部7BのU相引き出し線をそれぞれUa、Ub、第1巻線部7Aと第2巻線部7Bの中性点接続部をそれぞれNa、Nbと表記し、巻線図の中央部にはステータコアのスロットに番号(1〜12)を付している。以下、スロットを述べる時は、番号を付して記載する。例えば、番号7のスロットをスロット7と記載する。
さらに、図9図11に示すU相巻線図は、図示左側に表記した外側コイルエンド接合部、外側コイルエンド部、外側スロット部、連結コイル部、内側スロット部、内側コイルエンド部、内側コイルエンド接合部に対応している。
【0030】
なお、外側スロット部は、外側スロット9sに挿入される外側コイル辺11b、内側スロット部は、内側スロット8sに挿入される内側コイル辺11a、連結コイル部は、側面スロット10sに収納される連結コイル辺11cに該当する。以下、外側スロット部、連結コイル部、および内側スロット部を総称してスロット内導体部と呼ぶ。但し、ステータコアに側面スロット10sが形成されていない場合、例えば、側面コア10を持たない場合は、連結コイル辺11aがスロット内に収納されることはないが、ここでは、便宜上、スロット内導体部の一部として説明する。
【0031】
第1巻線部7AのU相は、図10に示す様に、スロット7の第1層、スロット4の第2層、スロット1の第1層、およびスロット10の第2層にそれぞれスロット内導体部が挿入される4本のコの字状導体11を波状に接合して形成される。以下、スロット7に挿入されるコの字状導体11を第1コイル導体と呼び、スロット4に挿入されるコの字状導体11を第2コイル導体と呼び、スロット1に挿入されるコの字状導体11を第3コイル導体と呼び、スロット10に挿入されるコの字状導体11を第4コイル導体と呼ぶ。
【0032】
第1コイル導体は、外側コイルエンド部11eがU相引き出し線Uaに接合または一つながりの線として延長され、内側コイルエンド部11dが第2コイル導体の内側コイルエンド部11dと互いの端部同士で接合される。
第2コイル導体は、外側コイルエンド部11eが第3コイル導体の外側コイルエンド部11eと互いの端部同士で接合される。
第3コイル導体は、内側コイルエンド部11dが第4コイル導体の内側コイルエンド部11dと互いの端部同士で接合される。
第4コイル導体は、外側コイルエンド部11eが中性点接続部Naに接合または一つながりの線として延長される。
【0033】
第2巻線部7BのU相は、図11に示す様に、スロット1の第2層、スロット4の第1層、スロット7の第2層、およびスロット10の第1層にそれぞれスロット内導体部が挿入される4本のコの字状導体11を波状に接合して形成される。以下、スロット1に挿入されるコの字状導体11を第1コイル導体と呼び、スロット4に挿入されるコの字状導体11を第2コイル導体と呼び、スロット7に挿入されるコの字状導体11を第3コイル導体と呼び、スロット10に挿入されるコの字状導体11を第4コイル導体と呼ぶ。
【0034】
第1コイル導体は、外側コイルエンド部11eがU相引き出し線Ubに接合または一つながりの線として延長され、内側コイルエンド部11dが第2コイル導体の内側コイルエンド部11dと互いの端部同士で接合される。
第2コイル導体は、外側コイルエンド部11eが第3コイル導体の外側コイルエンド部11eと互いの端部同士で接合される。
第3コイル導体は、内側コイルエンド部11dが第4コイル導体の内側コイルエンド部11dと互いの端部同士で接合される。
第4コイル導体は、外側コイルエンド部11eが中性点接続部Nbに接合または一つながりの線として延長される。
【0035】
以上のように、第1巻線部7Aを構成する第1〜第4コイル導体、および、第2巻線部7Bを構成する第1〜第4コイル導体は、それぞれのスロット内導体部が各スロット内の第1層と第2層とを交互に同じ総数だけ配置される。いわゆる転位配置されている。これは、内側コア8と外側コア9の両方に内外コイルエンド接合部を設けたことで実現可能となったものである。
なお、第1巻線部7Aおよび第2巻線部7BのU相以外、つまり、V相、W相についても、U相と同様に結線される。
【0036】
ここで、第1巻線部7AのU相は、図10に示した様に、U相引き出し線Uaからスロット7→スロット4→スロット1→スロット10を通って中性点接続部Naに接合されるまでの巻線経路が、紙面右側から左側に進行している(回転機としては、ステータコアをロータ6側から見て反時計周りに進行している)。
一方、第2巻線部7BのU相は、図11に示した様に、U相引き出し線Ubからスロット1→スロット4→スロット7→スロット10を通って中性点接続部Nbに接合されるまでの巻線経路が、紙面左側から右側に進行している(回転機としては、ステータコアをロータ6側から見て時計周りに進行している)。
【0037】
この様に、第1巻線部7Aおよび第2巻線部7Bを構成する第1〜第4コイル導体は、互いに異なる周方向に対称な形で波状に連なり、且つ、前述した様に、各スロット内の第1層と第2層とに交互に同じ総数だけ転位配置されている。この構成によれば、第1巻線部7Aと第2巻線部7Bの導体長さ(全長)を同等にできるので、電気抵抗の差は無視できる程小さい。また、磁気的な特性(インダクタンス)の差も小さい。
以上のように、電気磁気特性の差が少ない第1巻線部7Aと第2巻線部7Bとを並列接続して並列回路を構成しているので、製作誤差などによりステータコアとロータ6との間にギャップアンバランスが生じても、並列回路間の循環電流を無くすことができる。その結果、良好なモータ効率を維持することができる優れた効果を発揮する。
【0038】
また、並列回路に替えて導体断面積を2倍にした場合に比べて、コイルの加工性が良く、コイルエンドも短く製作できる効果がある。
なお、実施例3では、巻線仕様を簡略化するためにスロット内導体数=2として説明したが、実施例1の事例と同じく、スロット内導体数=4の場合でも、第1巻線部7Aと第2巻線部7Bとで並列回路を構成できる。すなわち、各スロット内の第1層と第2層および第3層と第4層とで交互に同じ総数だけ転位配置して第1巻線部7Aと第2巻線部7Bとを並列接続することで並列回路を構成できる。
【0039】
(変形例)
実施例1では、内側コア8に形成される内側スロット8sおよび外側コア9に形成される外側スロット9sを半閉スロットとしたが、スロット開口部を有していない閉スロットとすることもできる。
実施例1、2に記載したモータ1は、ステータコアに側面コア10を設けているが、請求項1に係る本発明は、側面コア10を持たないステータコアにも適用できる。あるいは、側面コア10に替えて内側コア8および外側コア9と機械的に結合されてロータ6と同軸に連結する連結部材を設けることもできる。この連結部材は、例えば、ステンレス等の非磁性材によって形成される。なお、連結部材には、側面コア10の側面スロット10sに相当する連通溝が形成され、この連通溝が内側コア8の内側スロット8sと外側コア9の外側スロット9sとに連通する。
【符号の説明】
【0040】
1 モータ(マルチギャップ型回転電機)
4 シャフト(回転軸)
6 ロータ
7 ステータ巻線
7A 第1巻線部
7B 第2巻線部
8 内側コア(ステータコア)
8s 内側スロット
9 外側コア(ステータコア)
9s 外側スロット
10 側面コア(連結部材、ステータコア)
10s 側面スロット
11 コの字状導体
11a 内側コイル辺
11b 外側コイル辺
11c 連結コイル辺
11d 内側コイルエンド部
11e 外側コイルエンド部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11