特許第6044404号(P6044404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6044404ペーパーロールの搬送状態検出装置及び搬送状態検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044404
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】ペーパーロールの搬送状態検出装置及び搬送状態検出方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20161206BHJP
   B65G 43/08 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B65G47/14 N
   B65G43/08 F
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-57345(P2013-57345)
(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-181117(P2014-181117A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(74)【代理人】
【識別番号】100185649
【弁理士】
【氏名又は名称】長江 太一
(72)【発明者】
【氏名】伊神 雅
(72)【発明者】
【氏名】廣木 正雄
(72)【発明者】
【氏名】今野 真
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0168887(US,A1)
【文献】 実開平03−059917(JP,U)
【文献】 特開2003−072930(JP,A)
【文献】 特開2010−037023(JP,A)
【文献】 特開平08−264565(JP,A)
【文献】 特開昭60−006516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00−47/20
B65G 47/22−47/32
B65G 43/00−43/10
G01B 11/00−11/30
B07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のペーパーが多層巻きされた円筒状のペーパーロール(1)を,複数個連続して,所定方向に搬送するコンベア(10)と,
前記ペーパーロール(1)が,その周面(2)が前記コンベア(10)の搬送面(11)に接した倒れ状態で搬送されているか,又は,その上面又は下面が前記コンベア(10)の搬送面(11)に接した立ち状態で搬送されているかを判断するセンサ(20)と,を備え,
前記センサ(20)は,
前記コンベア(10)の搬送面(11)の上方に配置され,前記コンベア(10)の搬送面(11)に対して測定光を照射することで,前記センサ(20)と前記搬送面(11)との間に位置するペーパーロール(1)の高さを測定可能であり,
前記コンベア(10)の搬送面(11)が,前記ペーパーロール(1)の直径と同じ距離を移動する時間の間に,
前記センサ(20)と前記搬送面(11)との間に位置するペーパーロール(1)の高さが,前記ペーパーロール(1)の軸心方向の長さと一致することを検出し,
その後,前記測定光が前記ペーパーロール(1)の中心孔(5)を通過することで,前記ペーパーロール(1)の高さを検出せず,
さらにその後,再度,前記センサ(20)と前記搬送面(11)との間に位置するペーパーロール(1)の高さが,前記ペーパーロール(1)の軸心方向の長さと一致することを検出した場合に,
当該ペーパーロール(1)は前記立ち状態であると判断する
ペーパーロールの搬送状態検出装置。
【請求項2】
前記センサ(20)が前記立ち状態のペーパーロール(1)又は前記倒れ状態のペーパーロール(1)を検出したときに,アラートを出力する警告手段,及び,前記コンベア(10)による前記ペーパーロール(1)の搬送を停止させる停止手段の両方又はいずれか一方を,さらに備える
請求項1に記載の搬送状態検出装置。
【請求項3】
コンベア(10)により,帯状のペーパーが多層巻きされた円筒状のペーパーロール(1)を,複数個連続して,所定方向に搬送する搬送工程と,
前記搬送行程中に,前記ペーパーロール(1)が,その周面(2)が前記コンベア(10)の搬送面(11)に接した倒れ状態で搬送されているか,又は,その上面又は下面が前記コンベア(10)の搬送面(11)に接した立ち状態で搬送されているかを,センサ(20)により判断する搬送状態検出工程と,を含み,
前記センサ(20)は,
前記コンベア(10)の搬送面(11)の上方に配置され,前記コンベア(10)の搬送面(11)に対して測定光を照射することで,前記センサ(20)と前記搬送面(11)との間に位置するペーパーロール(1)の高さを測定可能であり,
前記コンベア(10)の搬送面(11)が,前記ペーパーロール(1)の直径と同じ距離を移動する時間の間に,
前記センサ(20)と前記搬送面(11)との間に位置するペーパーロール(1)の高さが,前記ペーパーロール(1)の軸心方向の長さと一致することを検出し,
その後,前記測定光が前記ペーパーロール(1)の中心孔(5)を通過することで,前記ペーパーロール(1)の高さを検出せず,
さらにその後,再度,前記センサ(20)と前記搬送面(11)との間に位置するペーパーロール(1)の高さが,前記ペーパーロール(1)の軸心方向の長さと一致することを検出した場合に,
当該ペーパーロール(1)は前記立ち状態であると判断する
ペーパーロールの搬送状態検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,コンベアによって搬送されている円筒状のペーパーロールが,立ち状態であるか又は倒れ状態であるかを検出することができる搬送状態検出装置及び搬送状態検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から,トイレットペーパーロールやキッチンペーパーロールに代表されるペーパーロールが製造されている。ペーパーロールは,長尺のペーパーが周方向に多層巻きされることで,中心孔を有する円筒状に形成されている。ペーパーロールは,製造された後,コンベアによって連続して包装装置まで搬送され,この包装装置により,複数個を一組として陳列した状態で包装フィルム内に袋詰めされて出荷される(例えば,特許文献1,特許文献2,特許文献3等参考)。
【0003】
また,包装装置によって,複数個のペーパーロールを綺麗に陳列して袋詰めするためには,コンベアによる搬送工程において,複数個のペーパーロールの向きを一定に揃える必要がある。一般的に,複数個のペーパーロールは,周面がコンベアの搬送面に当接した「倒れ状態」となり,且つ,軸心方向がコンベアの搬送方向に一致した状態で,コンベアによって搬送されていることが好ましいとされている。このように,複数個のペーパーロールの軸心の向きを揃えて搬送しておくことで,流れ作業的に,ペーパーロールを袋詰めすることが容易になる。特に,複数個のペーパーロールを「倒れ状態」としておくことで,ペーパーロールの搬送を安定的に行うことができる。
【0004】
しかし,ペーパーロールは,コンベアによる搬送工程において,時折,「立ち状態」となって搬送されることがある。ここにいう「立ち状態」とは,円筒状のペーパーロールの上面又は下面が,コンベアの搬送面に当接し,ペーパーロールが起立した状態となっていることを意味する。例えば,ペーパーロールは,コンベア上に供給される際に,うまく転がらずに「立ち状態」となってしまったり,コンベアのカーブ部分で前後のペーパーロールに接触して「立ち状態」となってしまったりすることがある。このように,ペーパーロールが「立ち状態」で搬送されるアクシデントが発生すると,包装装置によって複数個のペーパーロールを袋詰めする際に,ペーパーロールの軸心方向が不揃いとなり,うまくフィルムで包んで収納することができなくなるという不具合があった。
【0005】
ここで,上記の不具合を解消するために,従来から,図5に示されるような装置が提案されている。図5に示した従来の装置200は,「立ち状態」となって搬送されているペーパーロールを検出するためのものである。図5に示されるように,従来の装置200は,コンベア210の搬送面211の上方に,プレート220を有している。プレート220は,「倒れ状態」のペーパーロールには接触しないものの,「立ち状態」のペーパーロールには接触するように,その設置高さが調節されている。そして,「立ち状態」となって搬送されてきたペーパーロールが,プレート220に接触すると,支持棒を基点としてプレート220が上方にハネ上がる。このようにプレート220がハネ上がった際に,ペーパーロールが「立ち状態」であると判断され,例えば警告音が鳴ったり,コンベアが停止するようになっている。その後,「立ち状態」であると判断されたペーパーロールは,例えば,人手によって「倒れ状態」に修正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−087788号公報
【特許文献2】特開2008−189460号公報
【特許文献3】特開2012−159291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら,図5に示された従来の装置のように,プレート220のハネ上がりによって「立ち状態」のペーパーロールを検出する場合,ペーパーロールの直径や,ペーパーロールの軸心方向の長さに応じて,プレート220の設置位置を調節する必要があった。すなわち,ペーパーロールの上下面の直径や,ペーパーロールの軸心方向の長さ等の寸法は,ペーパーロールの種類や用途に応じて変化するものである。このため,コンベアによって搬送されるペーパーロールの寸法が変わった場合,異なる種類のペーパーロールの「立ち状態」を検出するためには,プレート220を取り付ける高さを,その都度変更する必要があり,手間となっていた。
【0008】
また,従来の装置では,ペーパーロールが「倒れ状態」のときには接触せず,ペーパーロールが「立ち状態」にあるときにだけ接触する高さにプレート220を設置する必要がある。このように,従来の装置は,ペーパーロールの軸心方向の長さが,ペーパーロールの直径よりも長いことを前提として設計されたものであり,軸心方向の長さと直径の差を利用して,「立ち状態」となっているペーパーロールを検出することとしている。しかし,ペーパーロールの直径と軸心方向の長さが近い値である場合,従来の装置のようにプレート220を設置しても,「立ち状態」にあるペーパーロールを確実に検出することが困難となっていた。
【0009】
このため,現在では,コンベアによって搬送するペーパーロールの寸法が変更された場合であっても,ペーパーロールの「立ち状態」を容易に検出することのできる技術が求められている。また,ペーパーロールの直径と軸心方向の長さが近い場合であっても,確実に,「立ち状態」にあるペーパーロールを検出することのできる技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで,本発明の発明者は,上記の従来発明の問題点を解決する手段について鋭意検討した結果,コンベアによって搬送されているペーパーロールの高さを測定可能なセンサを設け,このセンサによって測定したペーパーロールの高さに基づいて,ペーパーロールが「倒れ状態」にあるのか,それとも「立ち状態」にあるのかを判断することで,コンベアによって搬送するペーパーロールの寸法が変更された場合であっても,ペーパーロールの「立ち状態」を容易に検出することのできるという知見を得た。さらに,センサから照射された測定光が,ペーパーロールの中心孔を通過したときに,ペーパーロールが「立ち状態」にあると判断することで,ペーパーロールの直径と軸心方向の長さが近い値であっても,確実に,「立ち状態」にあるペーパーロールを検出することのできるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
具体的に説明すると,本発明は,以下の構成を有する。
【0011】
本発明の第1の側面は,ペーパーロールの搬送状態検出装置に関するものである。
ここにいうペーパーロールとは,帯状のペーパーが多層巻きされた円筒状のものである。ペーパーロール1は,周面2と,上下面3を有し,軸心周りに中心孔5が形成されている。
まず,本発明の搬送状態検出装置は,コンベア10と,センサ20と,を備える。
コンベア10は,帯状のペーパーが多層巻きされた円筒状のペーパーロール1を,複数個連続して,所定方向に搬送する。
センサ20は,センサ20とコンベア10の搬送面11の間に位置するペーパーロール1の高さを測定可能するためのものである。
センサ20は,ペーパーロールが,「倒れ状態」でコンベア10により搬送されているか,又は,「立ち状態」でコンベア10により搬送されているかを判断できる。ここにいう「倒れ状態」とは,ペーパーロール1の周面2が,コンベア10の搬送面11に接している状態を意味する。また,「倒れ状態」とは,ペーパーロール1の上面3又は下面3がコンベア10の搬送面11に接している状態を意味する。
すなわち,センサ20は,コンベア10の搬送面11上のペーパーロール1の高さが,ペーパーロール1の直径と一致する場合には,当該ペーパーロール1は「倒れ状態」であると判断する。
また,センサ20は,コンベア10の搬送面11上のペーパーロール1の高さが,ペーパーロール1の軸心方向の長さと一致する場合には,当該ペーパーロール1は「立ち状態」であると判断する。
【0012】
上記構成のように,センサ20によって,コンベア10の搬送面11上に位置するペーパーロールの高さを測定し,この測定した高さに基づいて,コンベア10によって搬送されているペーパーロール1が「倒れ状態」であるか,「立ち状態」であるかを判断することにより,コンベアによって搬送するペーパーロールの寸法が変更された場合であっても,ペーパーロールの「立ち状態」を容易に検出することができる。すなわち,本発明では,コンベアによって搬送するペーパーロールの寸法が変更された場合であっても,センサ20の記憶部に記憶されているペーパーロールの直径及び軸心方向の長さの値を変更するだけで,「立ち状態」にあるペーパーロールを検出可能である。このため,従来の装置のように,「立ち状態」にあるペーパーロールを検出するプレートの取り付け位置を変更する手間が省ける。
【0013】
本発明の搬送状態検出装置において,センサ20は,コンベア10の搬送面11の上方に配置され,コンベア10の搬送面11に対して測定光を照射することで,そのセンサ20と搬送面11との間に位置するペーパーロール1の高さを測定可能であることが好ましい。この場合に,センサ20は,測定光が,ペーパーロール1の中心孔5を通過した場合に,当該ペーパーロール1は「立ち状態」であると判断するものであることが好ましい。
【0014】
上記構成のように,センサ20から照射された測定光が,ペーパーロール1の中心孔を通過したときに,そのペーパーロール1が「立ち状態」であることを検出することにより,ペーパーロールの直径と軸心方向の長さが近い場合であっても,確実に,「立ち状態」にあるペーパーロールを検出することが可能になる。すなわち,本発明の好ましい形態では,搬送面上に位置するペーパーロール1の高さだけでなく,ペーパーロール1に中心孔5が上方を向いているか否かで,ペーパーロール1の状態を判断する。ペーパーロール1は,円筒状であることから,「立ち状態」にあるときには,中心孔5が上方を向いた状態となっている。このため,仮に,ペーパーロールの直径と軸心方向の長さが近い値であり,ペーパーロールの高さだけに基づいてペーパーロールの「立ち状態」を検出できなくても,センサ20から照射される測定光によって中心孔5の向きを判別することにより,「立ち状態」にあるペーパーロールを確実に検出できるようになる。
【0015】
本発明の搬送状態検出装置において,センサ20は,コンベア10の搬送面11がペーパーロール1の直径と同じ距離を移動する時間の間に,以下の(ア)〜(ウ)の条件の検出を行ったときに,当該ペーパーロール1は「立ち状態」であると判断することが好ましい。
(ア)センサ20と搬送面11との間に位置するペーパーロール1の高さが,ペーパーロール1の軸心方向の長さと一致することを検出する。
(イ)その後,測定光がペーパーロール1の中心孔5を通過することで,ペーパーロール1の高さを検出しない。
(ウ)さらにその後,再度,センサ20と搬送面11との間に位置するペーパーロール1の高さが,ペーパーロール1の軸心方向の長さと一致することを検出する。
【0016】
上記条件に従って,センサ20と搬送面11との間に位置するペーパーロール1の高さと中心孔5の向きに基づいて,ペーパーロール1の状態を判断することで,より確実に,「立ち状態」にあるペーパーロール1を判別することができるようになる。
【0017】
本発明の搬送状態検出装置は,警告手段及び停止手段の両方又はいずれか一方を,さらに備えることが好ましい。警告手段は,センサ20が「立ち状態」のペーパーロール1又は「倒れ状態」のペーパーロールを検出したときに,アラートを出力する。アラートは,例えば,スピーカを介して放音される警告音であってもよいし,ディスプレイに表示される警告画像であってもよい。また,停止手段は,例えばセンサ20が「立ち状態」のペーパーロール1を検出したときに,コンベア10によるペーパーロール1の搬送を停止させる。
【0018】
上記構成のように,搬送状態検出装置が,警告手段及び/又は停止手段を備えることにより,例えばセンサ20が「立ち状態」のペーパーロール1を検出したときに,そのペーパーロール1を「倒れ状態」に修正するよう促すことができる。
【0019】
本発明の第2の側面は,ペーパーロールの搬送状態検出方法に関する。第2の側面に係る搬送状態検出方法は,基本的に,上述した第1の側面に係る搬送状態検出装置によって実行される。
すなわち,第2の側面に係る搬送状態検出方法は,
コンベア10により,帯状のペーパーが多層巻きされた円筒状のペーパーロール1を,複数個連続して,所定方向に搬送する搬送工程と,
搬送行程中に,ペーパーロール1が,その周面2が搬送面11に接した「倒れ状態」でコンベア10により搬送されているか,又は,その上面3又は下面4が搬送面に接した「立ち状態」でコンベア10により搬送されているかを,センサ20により判断する搬送状態検出工程と,を含む。
センサ20は,
コンベア10の搬送面11上のペーパーロール1の高さを測定可能であり,
搬送面11上のペーパーロール1の高さが,ペーパーロール1の直径と一致する場合には,当該ペーパーロール1は「倒れ状態」であると判断し,
搬送面11上のペーパーロール1の高さが,ペーパーロール1の軸心方向の長さと一致する場合には,当該ペーパーロール1は「立ち状態」であると判断する
【0020】
上記工程によれば,コンベアによって搬送するペーパーロールの寸法が変更された場合であっても,ペーパーロールの「立ち状態」を容易に検出することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は,コンベアによって搬送するペーパーロールの寸法が変更された場合であっても,ペーパーロールの「立ち状態」を容易に検出することが可能な技術を提供することができる。また,本発明は,ペーパーロールの直径と軸心方向の長さが近い場合であっても,確実に,「立ち状態」にあるペーパーロールを検出することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は,ペーパーロールを製造してから袋詰するまでの工程を示した模式図である。
図2図2は,搬送状態検出装置の概要を示す斜視図である。
図3図3は,ペーパーロールの形状を示す斜視図である。
図4図4は,搬送状態検出装置の搬送方向の断面図である。
図5図5は,従来の搬送状態検出装置の概要を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0024】
図1は,本発明のペーパーロールを製造して袋詰めするまでフローを示す模式図である。
図1に示されるように,巻き替え工程(ステップS1)では,原反ロール101から長尺広幅の原紙を繰り出し,繰り出した原紙を紙管に巻き付けることで,ペーパーログ102を形成する。ペーパーログ102は,最終的に製造されるペーパーロール1が,軸心方向に複数個連結した形状となっている。このため,この段階において,ペーパーログ102の直径と,最終製品であるペーパーロール1の直径は一致している。得られたペーパーログ102は,調整工程(ステップS2)を経て,切断工程(ステップS3)へと送られる。切断工程(ステップS3)において,ペーパーログ102は,ログソー103によって所定長さに切断される。これにより,一本のペーパーログ102から,複数個のペーパーロール1が得られる。得られた複数個のペーパーロール1は,コンベアによる搬送工程(ステップS4)によって,包装装置104まで搬送される。この搬送工程(ステップS4)では,後述するように,ペーパーロール1の搬送状態がチェックされている。すなわち,搬送工程(ステップS4)では,「倒れ状態」のペーパーロール1が正常な状態であり,「立ち状態」のペーパーロール1が異常な状態であるとされており,「立ち状態」にあるペーパーロール1が検出されると,警告音がスピーカによって放音されたり,警告画像がディスプレイに表示されたり,コンベアによる搬送が停止したりするようになっている。複数個のペーパーロール1は,搬送工程(ステップS4)を経て,包装工程(ステップS5)へと送られる。包装工程(ステップS5)では,ペーパーロール1は,複数個を一組として,包装装置104によりビニールフィルム等に袋詰めされる。包装装置104によって得られたペーパーロール1の包装体105は,箱詰め工程(ステップS6)へと送られ,箱詰め装置106により,複数個をひとまとめにして包装箱107に箱詰めされる。その後,この包装箱107は,製品倉庫へと搬送され,貯蔵される。
【0025】
図2は,上記図1に示した搬送工程(ステップS4)に備えられた搬送状態検出装置100の構成を模式的に示した斜視図である。図2に示されるように,搬送状態検出装置100は,基本的に,複数個のペーパーロール1を所定方向に搬送するためのコンベア10と,コンベア10によって搬送されているペーパーロール1の状態を検出するためのセンサ20とを備えている。
【0026】
コンベア10は,搬送面11に載置された物品(ペーパーロール1)を搬送するための装置である。コンベア10としては,公知の構成のものを採用することができる。コンベア10は,例えば,ベルトコンベア,チェーンコンベア,又はローラコンベア等,搬送面11を形成して物品を搬送可能なものであれば,公知のコンベアを用いることができる。この中でも,本発明は,コンベア10として,ベルトコンベアを用いることが特に好ましい。ベルトコンベアとしては,例えば,ゴムベルトコンベア,スチールベルトコンベア,金属ベルトコンベア,ケーブルベルトコンベア,マグネットベルトコンベア等を用いることができる。
【0027】
また,コンベア10は,搬送面11の左右両側方に,一対の側壁12が設けられていることが好ましい。一対の側壁12は,搬送面11からペーパーロール1が脱落することを防止できる高さで形成されている。また,搬送面11の両側方に一対の側壁12を形成することで,図2に示されるように,搬送面11上にペーパーロール1が一つずつ並んで,搬送されるようになる。すなわち,一対の側壁12の間の距離は,ペーパーロール1の直径以上であり,ペーパーロール1の軸心方向の長さ以下に設定されていることが好ましい。これにより,ペーパーロール1が搬送面11上に供給されると,基本的には,ペーパーロール1は,その周面2が搬送面11に当接した「倒れ状態」となり,その軸心方向が搬送方向を向いた状態で,コンベア10によって搬送されることとなる。ペーパーロール1をコンベア10によって搬送する際には,一般的に,この「倒れ状態」を正常な状態として搬送することが好ましい。図1において,「倒れ状態」にあるペーパーロールは,符号1Aで示されている。
【0028】
他方,図2に示されるように,コンベア10の搬送面11上において,ペーパーロール1は,「立ち状態」となることもある。「立ち状態」とは,ペーパーロール1の上面2又は下面3が,コンベア10の搬送面11に当接した状態である。図1において,「立ち状態」にあるペーパーロールは,符号1Bで示されている。例えば,ペーパーロール1は,コンベア10の搬送面11に供給された際の弾みで立ち上がり,「立ち状態」となることが考えられる。また,ペーパーロール1は,コンベア10の搬送経路がカーブしている場合,このカーブ部分で,その前後に位置するペーパーロール1に接して立ち上がり,「立ち状態」となることもある。上述した通り,コンベア10によって搬送されるペーパーロール1の殆どは,「倒れ状態」となって搬送される。その中に,「立ち状態」となったペーパーロール1が,稀に紛れていると,搬送工程の後に行われる包装工程において,効率的にペーパーロール1を袋詰めすることができなくなる。
【0029】
そこで,本発明の搬送状態検出装置100には,コンベア10によって搬送されているペーパーロール1の搬送状態を検出するためのセンサ20が備えられている。図2に示された実施形態において,センサ20は,コンベア10の搬送面11の上方に設置されている。具体的には,センサ20は,コンベア10の搬送面11に対し立体的に直交する方向の上方の位置に配置される。なお,図2では図示は省略しているが,センサ20は,架台(図示省略)によって支持されて,搬送面11の上方に設置されている。センサ20は,搬送面11のペーパーロール1のそれぞれについて,「倒れ状態」にあるか,「立ち状態」にあるかを判別する。すなわち,センサ20の設置位置は固定であるが,ペーパーロール1がコンベア10によって搬送されているため,センサ20は,そのセンサ20と搬送面11との間に存在するペーパーロール1の状態を随時検出できることとなる。
【0030】
センサ20は,搬送面11との間に存在するペーパーロール1の高さを測定可能な構成を備える。ここにいうペーパーロール1の「高さ」とは,搬送面11と立体的に直交する方向の高さである。センサ20としては,物体の高さを検出可能な公知の測定装置を用いることができる。具体的に説明すると,センサ20は,搬送面11の上方に設置され,搬送面11に対して測定光を照射することにより,そのセンサ20と搬送面11との間に存在する物品(ペーパーロール1)の高さを測定することが好ましい。
【0031】
例えば,センサ20は,測定光を照射する照射部と,測定光がペーパーロール1に当って反射した反射光を受光する受光部と,受光した反射光に基づいてセンサ20からペーパーロール1までの距離などを測定する演算部と,種々のデータを記憶する記憶部と,これらの要素の制御を行う制御部とを備える。記憶部には,例えば,センサ20から搬送面11の距離や,現在搬送されている種類のペーパーロール1の直径,ペーパーロール1の軸心方向の長さ,コンベア10の搬送面11の移動速度等に関するデータが記憶されており,これら記憶部に記憶されているデータは,制御部を介して適宜変更可能となっている。また,記憶部には,演算部による測定結果が記憶されてもよい。制御部は,記憶部のメインメモリからプログラムを読み出し,読み出したプログラムに従って,演算部に所定の演算を実行させる。演算部は,例えば,照射部が測定光を照射して受光部がその反射光を受光するまでの時間や,受光した反射光の周波数等に基づいて,センサからペーパーロール1までの距離を測定できる。また,演算部は,センサ20からペーパーロール1までの距離と,センサ20から搬送面11までの距離とに基づいて,搬送面上に載置されているペーパーロール1の高さを求めることとができる。さらに,制御部は,演算部によって測定されたペーパーロール1の高さ等のデータに基づいて,高さを測定したペーパーロール1が,正常な「倒れ状態」にあるのか,異常な「立ち状態」にあるかを判断できる。また,センサ20は,警告音を放音するスピーカや,警告画像を表示するためのディスプレイを備えていてもよく,これらのスピーカやディスプレイは,制御部による制御に基づいて駆動する。
【0032】
続いて,センサ20によって,ペーパーロール1の搬送状態を判別する方法について詳しく説明する。
まず,図3には,ペーパーロール1の形状が模式的に示されている。ペーパーロール1は,センサ20により搬送状態が判別される対象である。図3に示されるように,ペーパーロール1は,帯状のペーパーが周方向に多層巻きされることで,円筒状に形成されている。ペーパーロール1は,ペーパーの表面によって形成された周面2と,ペーパーが複数層に積層することで形成された上面3及び下面4と,上面3から下面4にかけて軸心周りに形成された中心孔5とを有している。また,ペーパーロール1は,ペーパーが巻き付けられる円筒状のロール芯を有していてもよい。図3では,ペーパーロール1の軸心方向(図中上下方向)の長さを,符号αで示している。また,図3では,ペーパーロール1の上面3及び下面4の直径(巻径)を,符号βで示している。さらに,図3では,ペーパーロール1の中心孔5の直径を,符号γで示している。一般的なペーパーロール1を想定すると,軸心方向の長さαの値は,直径βの値よりも大きいことが好ましい(α>β)。ペーパーロール1の軸心方向の長さαと直径βは,その種類(トイレットペーパーやキッチンペーパー等)に応じて,JIS企画の標準サイズなど,適宜一般的な値を採用すればよい。ただし,本発明では,ペーパーロール1の軸心方向の長さαが直径βと同じ値である場合や,軸心方向の長さαが直径βよりも小さい値であっても,特に問題はない(α≦β)。また,ペーパーロール1の中心孔5の直径γは,例えば,20mm〜40mmm,又は35mm〜38mm程度とすればよい。
【0033】
次に,図4は,ペーパーロール1が搬送されている状態のコンベア10とセンサ20の断面図を模式的に示している。また,図4では,断面図の下方に,センサ20により測定したペーパーロールの高さのグラフを示している。図4に示されるように,センサ20は,コンベア10の搬送面11に対して測定光を照射する。これにより,センサ20は,実際に計測を行った測定値や,記憶部に記憶されているデータに基づいて,そのセンサ20と搬送面11の間に位置するペーパーロール1の高さを測定する。センサ20の記憶部には,センサ20から搬送面11までの距離Hが記憶されている。また,センサ20の記憶部には,ペーパーロール1の軸心方向の長さα,ペーパーロール1の直径β,コンベア10の搬送面11の移動速度等に関するデータも記憶されている。
【0034】
ここで,例えば,センサ20が,ペーパーロール1に測定光を照射して,その反射光を受光することにより,センサ20からペーパーロール1までの距離として,(H−β)に相当する距離を測定したとする。そうすると,センサ20は,この測定結果に基づいて,センサ20と搬送面11の間に位置するペーパーロール1の高さは,その直径βに相当する高さであると判断できる。このように,ペーパーロール1の高さが,β(直径)に一致するものである場合,そのペーパーロール1は,周面2を搬送面11に当接させた「倒れ状態」になっていると判別される。
【0035】
他方,センサ20が,ペーパーロール1に測定光を照射して,その反射光を受光することにより,センサ20からペーパーロール1までの距離として,(H−α)に相当する距離を測定したとする。そうすると,センサ20は,この測定結果に基づいて,センサ20と搬送面11の間に位置するペーパーロール1の高さは,その軸心方向の長さαに相当する高さであると判断できる。このように,ペーパーロール1の高さが,α(軸心方向の長さα)に一致するものである場合,そのペーパーロール1は,上面3又は下面4を搬送面11に当接させた「立ち状態」になっていると判別される。
【0036】
また,センサ20は,連続的に搬送面11に測定光を照射し続け,その反射光を受光することにより,(H−α)という距離を測定した後,Hという距離を測定することがある。ここにいう距離Hは,センサ20から搬送面11までの距離に相当する。すなわち,通常の状態では,センサ20が距離Hを測定した場合,センサ20と搬送面11の間には,何も存在していないことを意味する。ただし,センサ20が,距離(H−α)を測定した直後に,距離Hを測定した場合には,センサ20から照射された測定光が,ペーパーロール1の中心孔5を通過して,搬送面11で反射したと推定できる。このように,センサ20が,距離(H−α)を測定した直後に距離Hを測定した場合,ペーパーロール1の中心孔5が上向きになっていると推定でき,その結果,センサ20は,当該ペーパーロール1が「立ち状態」になっていると判別できる。
【0037】
また,センサ20は,連続的に搬送面11に測定光を照射し続け,その反射光を受光することにより,距離(H−α)の測定した直後に,距離Hを測定し,そのさらに直後に,再度,距離(H−α)を測定することがある。特に,この距離(H−α),距離H,及び距離(H−α)の測定が,コンベア10の搬送面11がペーパーロール1の直径βに相当する距離を移動する時間内に行われることがある。このような場合,センサ20から照射された測定光が,ペーパーロール1の上面3又は下面3で反射した後,ペーパーロール1の中心孔5を通過して搬送面11で反射し,さらにその後,再度,ペーパーロール1の上面3又は下面3で反射したことがわかる。このように,センサ20が,距離(H−α),距離H,及び距離(H−α)を,コンベアが距離βを移動する時間内に測定した場合,ペーパーロール1の中心孔5が上向きになっていることがわかる。その結果,センサ20は,当該ペーパーロール1が「立ち状態」になっていると判別できる。また,このような条件で,ペーパーロール1が「立ち状態」にあるか否かを判別する手法では,ペーパーロール1の軸心方向の長さαと直径βが近い値であっても,確実に,「立ち状態」にあるペーパーロール1の存在を検出できる。
【0038】
上記のようにして,センサ20が「立ち状態」にあるペーパーロール1の存在を検出した場合,センサ20は,スピーカによって警告音を放音することとしてもよいし,ディスプレイに警告画像を表示することとしてもよい。また,センサ20が「立ち状態」のペーパーロール1を検出した場合,コンベア10の制御装置(図示省略)に指令を送出して,搬送面11の駆動を停止することとしてもよい。これにより,ペーパーロール1の搬送工程の監視者は,「立ち状態」のペーパーロール1を直ちに確認することができ,その状態を「立ち状態」から「倒れ状態」に修正することができる。
【0039】
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態を中心に説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
【0040】
例えば,上記実施形態では,ペーパーロールの正常な状態を「倒れ状態」とし,異常な状態を「立ち状態」として説明したが,本発明では,ペーパーロールの正常な状態を「立ち状態」とし,異常な状態を「倒れ状態」とすることも可能である。例えば,ペーパーロール1の直径が,軸心方向の長さよりも大きい値である場合,「立ち状態」を正常な状態とし,「倒れ状態」を異常な状態に設定して,コンベア10によって搬送すればよい。
【0041】
また,センサ20は,上記実施形態のように,搬送面11の上方に設置されたものに限られず,例えば,コンベア10の側壁12に取り付けられ,ペーパーロール1の左右側方において,そのペーパーロール1の高さを測定するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は,ペーパーロールの搬送状態検出装置及び搬送状態検出方法に関する。このため,本発明は,例えばトイレットペーパーやキッチンペーパー等の製造業において好適に利用し得る。
【符号の説明】
【0043】
1…ペーパーロール 2…周面 3…上面 4…下面 5…中心孔
10…コンベア 11…搬送面 12…側壁 20…センサ
100…搬送状態検出装置
α…軸心方向の長さ β…直径 H…センサが設置されている高さ
図1
図2
図3
図4
図5