【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら,
図5に示された従来の装置のように,プレート220のハネ上がりによって「立ち状態」のペーパーロールを検出する場合,ペーパーロールの直径や,ペーパーロールの軸心方向の長さに応じて,プレート220の設置位置を調節する必要があった。すなわち,ペーパーロールの上下面の直径や,ペーパーロールの軸心方向の長さ等の寸法は,ペーパーロールの種類や用途に応じて変化するものである。このため,コンベアによって搬送されるペーパーロールの寸法が変わった場合,異なる種類のペーパーロールの「立ち状態」を検出するためには,プレート220を取り付ける高さを,その都度変更する必要があり,手間となっていた。
【0008】
また,従来の装置では,ペーパーロールが「倒れ状態」のときには接触せず,ペーパーロールが「立ち状態」にあるときにだけ接触する高さにプレート220を設置する必要がある。このように,従来の装置は,ペーパーロールの軸心方向の長さが,ペーパーロールの直径よりも長いことを前提として設計されたものであり,軸心方向の長さと直径の差を利用して,「立ち状態」となっているペーパーロールを検出することとしている。しかし,ペーパーロールの直径と軸心方向の長さが近い値である場合,従来の装置のようにプレート220を設置しても,「立ち状態」にあるペーパーロールを確実に検出することが困難となっていた。
【0009】
このため,現在では,コンベアによって搬送するペーパーロールの寸法が変更された場合であっても,ペーパーロールの「立ち状態」を容易に検出することのできる技術が求められている。また,ペーパーロールの直径と軸心方向の長さが近い場合であっても,確実に,「立ち状態」にあるペーパーロールを検出することのできる技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで,本発明の発明者は,上記の従来発明の問題点を解決する手段について鋭意検討した結果,コンベアによって搬送されているペーパーロールの高さを測定可能なセンサを設け,このセンサによって測定したペーパーロールの高さに基づいて,ペーパーロールが「倒れ状態」にあるのか,それとも「立ち状態」にあるのかを判断することで,コンベアによって搬送するペーパーロールの寸法が変更された場合であっても,ペーパーロールの「立ち状態」を容易に検出することのできるという知見を得た。さらに,センサから照射された測定光が,ペーパーロールの中心孔を通過したときに,ペーパーロールが「立ち状態」にあると判断することで,ペーパーロールの直径と軸心方向の長さが近い値であっても,確実に,「立ち状態」にあるペーパーロールを検出することのできるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
具体的に説明すると,本発明は,以下の構成を有する。
【0011】
本発明の第1の側面は,ペーパーロールの搬送状態検出装置に関するものである。
ここにいうペーパーロールとは,帯状のペーパーが多層巻きされた円筒状のものである。ペーパーロール1は,周面2と,上下面3を有し,軸心周りに中心孔5が形成されている。
まず,本発明の搬送状態検出装置は,コンベア10と,センサ20と,を備える。
コンベア10は,帯状のペーパーが多層巻きされた円筒状のペーパーロール1を,複数個連続して,所定方向に搬送する。
センサ20は,センサ20とコンベア10の搬送面11の間に位置するペーパーロール1の高さを測定可能するためのものである。
センサ20は,ペーパーロールが,「倒れ状態」でコンベア10により搬送されているか,又は,「立ち状態」でコンベア10により搬送されているかを判断できる。ここにいう「倒れ状態」とは,ペーパーロール1の周面2が,コンベア10の搬送面11に接している状態を意味する。また,「倒れ状態」とは,ペーパーロール1の上面3又は下面3がコンベア10の搬送面11に接している状態を意味する。
すなわち,センサ20は,コンベア10の搬送面11上のペーパーロール1の高さが,ペーパーロール1の直径と一致する場合には,当該ペーパーロール1は「倒れ状態」であると判断する。
また,センサ20は,コンベア10の搬送面11上のペーパーロール1の高さが,ペーパーロール1の軸心方向の長さと一致する場合には,当該ペーパーロール1は「立ち状態」であると判断する。
【0012】
上記構成のように,センサ20によって,コンベア10の搬送面11上に位置するペーパーロールの高さを測定し,この測定した高さに基づいて,コンベア10によって搬送されているペーパーロール1が「倒れ状態」であるか,「立ち状態」であるかを判断することにより,コンベアによって搬送するペーパーロールの寸法が変更された場合であっても,ペーパーロールの「立ち状態」を容易に検出することができる。すなわち,本発明では,コンベアによって搬送するペーパーロールの寸法が変更された場合であっても,センサ20の記憶部に記憶されているペーパーロールの直径及び軸心方向の長さの値を変更するだけで,「立ち状態」にあるペーパーロールを検出可能である。このため,従来の装置のように,「立ち状態」にあるペーパーロールを検出するプレートの取り付け位置を変更する手間が省ける。
【0013】
本発明の搬送状態検出装置において,センサ20は,コンベア10の搬送面11の上方に配置され,コンベア10の搬送面11に対して測定光を照射することで,そのセンサ20と搬送面11との間に位置するペーパーロール1の高さを測定可能であることが好ましい。この場合に,センサ20は,測定光が,ペーパーロール1の中心孔5を通過した場合に,当該ペーパーロール1は「立ち状態」であると判断するものであることが好ましい。
【0014】
上記構成のように,センサ20から照射された測定光が,ペーパーロール1の中心孔を通過したときに,そのペーパーロール1が「立ち状態」であることを検出することにより,ペーパーロールの直径と軸心方向の長さが近い場合であっても,確実に,「立ち状態」にあるペーパーロールを検出することが可能になる。すなわち,本発明の好ましい形態では,搬送面上に位置するペーパーロール1の高さだけでなく,ペーパーロール1に中心孔5が上方を向いているか否かで,ペーパーロール1の状態を判断する。ペーパーロール1は,円筒状であることから,「立ち状態」にあるときには,中心孔5が上方を向いた状態となっている。このため,仮に,ペーパーロールの直径と軸心方向の長さが近い値であり,ペーパーロールの高さだけに基づいてペーパーロールの「立ち状態」を検出できなくても,センサ20から照射される測定光によって中心孔5の向きを判別することにより,「立ち状態」にあるペーパーロールを確実に検出できるようになる。
【0015】
本発明の搬送状態検出装置において,センサ20は,コンベア10の搬送面11がペーパーロール1の直径と同じ距離を移動する時間の間に,以下の(ア)〜(ウ)の条件の検出を行ったときに,当該ペーパーロール1は「立ち状態」であると判断することが好ましい。
(ア)センサ20と搬送面11との間に位置するペーパーロール1の高さが,ペーパーロール1の軸心方向の長さと一致することを検出する。
(イ)その後,測定光がペーパーロール1の中心孔5を通過することで,ペーパーロール1の高さを検出しない。
(ウ)さらにその後,再度,センサ20と搬送面11との間に位置するペーパーロール1の高さが,ペーパーロール1の軸心方向の長さと一致することを検出する。
【0016】
上記条件に従って,センサ20と搬送面11との間に位置するペーパーロール1の高さと中心孔5の向きに基づいて,ペーパーロール1の状態を判断することで,より確実に,「立ち状態」にあるペーパーロール1を判別することができるようになる。
【0017】
本発明の搬送状態検出装置は,警告手段及び停止手段の両方又はいずれか一方を,さらに備えることが好ましい。警告手段は,センサ20が「立ち状態」のペーパーロール1又は「倒れ状態」のペーパーロールを検出したときに,アラートを出力する。アラートは,例えば,スピーカを介して放音される警告音であってもよいし,ディスプレイに表示される警告画像であってもよい。また,停止手段は,例えばセンサ20が「立ち状態」のペーパーロール1を検出したときに,コンベア10によるペーパーロール1の搬送を停止させる。
【0018】
上記構成のように,搬送状態検出装置が,警告手段及び/又は停止手段を備えることにより,例えばセンサ20が「立ち状態」のペーパーロール1を検出したときに,そのペーパーロール1を「倒れ状態」に修正するよう促すことができる。
【0019】
本発明の第2の側面は,ペーパーロールの搬送状態検出方法に関する。第2の側面に係る搬送状態検出方法は,基本的に,上述した第1の側面に係る搬送状態検出装置によって実行される。
すなわち,第2の側面に係る搬送状態検出方法は,
コンベア10により,帯状のペーパーが多層巻きされた円筒状のペーパーロール1を,複数個連続して,所定方向に搬送する搬送工程と,
搬送行程中に,ペーパーロール1が,その周面2が搬送面11に接した「倒れ状態」でコンベア10により搬送されているか,又は,その上面3又は下面4が搬送面に接した「立ち状態」でコンベア10により搬送されているかを,センサ20により判断する搬送状態検出工程と,を含む。
センサ20は,
コンベア10の搬送面11上のペーパーロール1の高さを測定可能であり,
搬送面11上のペーパーロール1の高さが,ペーパーロール1の直径と一致する場合には,当該ペーパーロール1は「倒れ状態」であると判断し,
搬送面11上のペーパーロール1の高さが,ペーパーロール1の軸心方向の長さと一致する場合には,当該ペーパーロール1は「立ち状態」であると判断する
【0020】
上記工程によれば,コンベアによって搬送するペーパーロールの寸法が変更された場合であっても,ペーパーロールの「立ち状態」を容易に検出することができる。