特許第6044406号(P6044406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6044406-エンジン不停止警告装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044406
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】エンジン不停止警告装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/02 20060101AFI20161206BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   F02D29/02 L
   F02D45/00 345Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-59090(P2013-59090)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-185528(P2014-185528A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2014年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田岡 康裕
(72)【発明者】
【氏名】豊田 明美
【審査官】 戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−144904(JP,A)
【文献】 特開2003−205825(JP,A)
【文献】 特開2006−273026(JP,A)
【文献】 特開2006−273025(JP,A)
【文献】 特開2007−187031(JP,A)
【文献】 特開2005−335675(JP,A)
【文献】 特開平04−279740(JP,A)
【文献】 特開2004−008997(JP,A)
【文献】 特開2006−199168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 29/02
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン運転中に停止スイッチが所定時間継続して押下されることを条件としてエンジンを停止させるエンジン停止制御手段を搭載する車両のエンジン不停止警告装置であって、
エンジン運転中に前記停止スイッチの押下が開始された後、該押下が前記所定時間継続するか否かに基づいて、前記所定時間の経過後にエンジンが停止するか否かを判別するエンジン停止判別手段と、
前記エンジン停止判別手段が、エンジン運転中且つ車両ドアが閉じられている状況で、前記停止スイッチの押下が開始された後、該押下が前記所定時間継続しなかったことにより、前記所定時間の経過後にエンジンが停止しないと判別した場合、車両ドアが開けられるタイミングまでに車両使用者に対してエンジン不停止を警告するエンジン不停止警告手段と、を備えることを特徴とする
エンジン不停止警告装置。
【請求項2】
エンジン運転中に停止スイッチが所定時間継続して押下されることを条件としてエンジンを停止させるエンジン停止制御手段を搭載する車両のエンジン不停止警告装置であって、
エンジン運転中に前記停止スイッチが押下された後、該押下が解除されたタイミングで、該押下が前記所定時間継続したか否かに基づいて、エンジンが停止するか否かを判別するエンジン停止判別手段と、
前記エンジン停止判別手段が、エンジン運転中且つ車両ドアが閉じられている状況で、前記停止スイッチが押下された後、該押下が解除されたタイミングで、エンジンが停止しないと判別した場合、車両ドアが開けられるタイミングまでに車両使用者に対してエンジン不停止を警告するエンジン不停止警告手段と、を備え、
前記エンジン不停止警告手段は、車両使用者に対するエンジン不停止の警告を、エンジン運転中且つ車両ドアが閉じられている状況で、前記停止スイッチの押下が開始された後、該押下が解除されたタイミングで行うと共に、その後、前記停止スイッチが押下されることなく車両ドアが開けられた場合、車両ドアが開けられたタイミングで行うことを特徴とする
エンジン不停止警告装置。
【請求項3】
エンジン運転中に停止スイッチが所定時間継続して押下されることを条件としてエンジンを停止させるエンジン停止制御手段を搭載する車両のエンジン不停止警告装置であって、
エンジン運転中に前記停止スイッチが押下された後、該押下が解除されたタイミングで、エンジンからの信号に基づいて、エンジンが停止しているか否かを判別するエンジン停止判別手段と、
前記エンジン停止判別手段が、エンジン運転中且つ車両ドアが閉じられている状況で、前記停止スイッチが押下された後、該押下が解除されたタイミングで、エンジンが停止していないと判別した場合、車両ドアが開けられるタイミングまでに車両使用者に対してエンジン不停止を警告するエンジン不停止警告手段と、を備え、
前記エンジン不停止警告手段は、車両使用者に対するエンジン不停止の警告を、エンジン運転中且つ車両ドアが閉じられている状況で、前記停止スイッチの押下が開始された後、該押下が解除されたタイミングで行うと共に、その後、前記停止スイッチが押下されることなく車両ドアが開けられた場合、車両ドアが開けられたタイミングで行うことを特徴とする
エンジン不停止警告装置。
【請求項4】
前記エンジン不停止警告手段は、車両使用者に対するエンジン不停止の警告を、エンジン運転中且つ車両ドアが閉じられている状況で、前記停止スイッチの押下が開始された後、車両ドアが開けられたタイミングで行うことを特徴とする
請求項1記載のエンジン不停止警告装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン不停止警告装置に係り、特に、エンジン運転中に停止スイッチが所定時間継続して押下されることを条件として停止されるエンジンの不停止を車両使用者に対して警告するうえで好適なエンジン不停止警告装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転席のステアリング近傍に設けられたプッシュボタンの押下により車両のエンジンを始動し或いは停止するプッシュスタータ/停止システムが知られている(例えば、特許文献1、2等参照)。このシステムは、エンジン停止中にプッシュボタンが車両使用者により押下操作されることによりエンジンを始動し、また、エンジン運転中にプッシュボタンが車両使用者により押下操作されることによりエンジンを停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−273026号公報
【特許文献2】特開2009−202671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したプッシュスタータ/停止システムとして、プッシュボタンが一旦押下されても、その押下が所定時間継続して行われないと(すなわち、プッシュボタンが長押しされないと)、エンジンが停止されないものが存在する。かかるシステムにおいては、車両使用者が意図してプッシュボタンを押下しても、その押下が所定時間継続しなかった場合は、エンジンが停止されず運転したままとなる。このため、車両使用者は、プッシュボタンを押下操作した後、エンジンが運転したままであるにもかかわらず降車して車両から離れてしまう事態が生じ得る。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、車両使用者によるエンジン停止操作に対してエンジン停止がなされないときに、エンジンが運転したまま車両使用者が降車するのを抑止させることが可能なエンジン不停止警告装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、エンジン運転中に停止スイッチが所定時間継続して押下されることを条件としてエンジンを停止させるエンジン停止制御手段を搭載する車両のエンジン不停止警告装置であって、エンジン運転中に前記停止スイッチの押下が開始された後、該押下が前記所定時間継続するか否かに基づいて、前記所定時間の経過後にエンジンが停止するか否かを判別するエンジン停止判別手段と、前記エンジン停止判別手段が、エンジン運転中且つ車両ドアが閉じられている状況で、前記停止スイッチの押下が開始された後、該押下が前記所定時間継続しなかったことにより、前記所定時間の経過後にエンジンが停止しないと判別した場合、車両ドアが開けられるタイミングまでに車両使用者に対してエンジン不停止を警告するエンジン不停止警告手段と、を備えることを特徴とするエンジン不停止警告装置により達成される。
また、上記の目的は、エンジン運転中に停止スイッチが所定時間継続して押下されることを条件としてエンジンを停止させるエンジン停止制御手段を搭載する車両のエンジン不停止警告装置であって、エンジン運転中に前記停止スイッチが押下された後、該押下が解除されたタイミングで、該押下が前記所定時間継続したか否かに基づいて、エンジンが停止するか否かを判別するエンジン停止判別手段と、前記エンジン停止判別手段が、エンジン運転中且つ車両ドアが閉じられている状況で、前記停止スイッチが押下された後、該押下が解除されたタイミングで、エンジンが停止しないと判別した場合、車両ドアが開けられるタイミングまでに車両使用者に対してエンジン不停止を警告するエンジン不停止警告手段と、を備え、前記エンジン不停止警告手段は、車両使用者に対するエンジン不停止の警告を、エンジン運転中且つ車両ドアが閉じられている状況で、前記停止スイッチの押下が開始された後、該押下が解除されたタイミングで行うと共に、その後、前記停止スイッチが押下されることなく車両ドアが開けられた場合、車両ドアが開けられたタイミングで行うことを特徴とするエンジン不停止警告装置により達成される。
また、上記の目的は、エンジン運転中に停止スイッチが所定時間継続して押下されることを条件としてエンジンを停止させるエンジン停止制御手段を搭載する車両のエンジン不停止警告装置であって、エンジン運転中に前記停止スイッチが押下された後、該押下が解除されたタイミングで、エンジンからの信号に基づいて、エンジンが停止しているか否かを判別するエンジン停止判別手段と、前記エンジン停止判別手段が、エンジン運転中且つ車両ドアが閉じられている状況で、前記停止スイッチが押下された後、該押下が解除されたタイミングで、エンジンが停止していないと判別した場合、車両ドアが開けられるタイミングまでに車両使用者に対してエンジン不停止を警告するエンジン不停止警告手段と、を備え、前記エンジン不停止警告手段は、車両使用者に対するエンジン不停止の警告を、エンジン運転中且つ車両ドアが閉じられている状況で、前記停止スイッチの押下が開始された後、該押下が解除されたタイミングで行うと共に、その後、前記停止スイッチが押下されることなく車両ドアが開けられた場合、車両ドアが開けられたタイミングで行うことを特徴とするエンジン不停止警告装置により達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両使用者によるエンジン停止操作に対してエンジン停止がなされないときに、エンジンが運転したまま車両使用者が降車するのを抑止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例であるエンジン不停止警告装置を備える車載システムの構成図である。
図2】本実施例のエンジン不停止警告装置において警告制御時に実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
図3】本実施例のエンジン不停止警告装置における警告制御時の動作遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本発明に係るエンジン不停止警告装置の具体的な実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施例であるエンジン不停止警告装置10を備える車載システム12の構成図を示す。本実施例の車載システム12は、車両に搭載されており、車両の有するエンジンの運転/停止を制御するシステムである。尚、車載システム12を搭載する車両は、少なくともエンジンを有する車両であればよく、エンジンとモータとを用いて駆動されるハイブリッド車両であってもよい。
【0011】
車載システム12は、マイクロコンピュータを主体に構成された電子制御ユニット(以下、ECUと称す。)14を備えている。ECU14は、自車両の電源ポジションを制御することが可能な装置であって、例えば、電源用リレー(具体的には、ACCリレーやIGリレー14)の駆動を制御すると共に、エンジン始動信号の生成を制御する。また、ECU14は、車両使用者(主に車両運転者)に向けてエンジン停止操作にかかわらずエンジンが停止しない或いは停止していないことを警告するエンジン不停止警告装置10を構成する電子制御ユニットであって、かかる警告を制御する。
【0012】
ECU14には、パワースイッチ16が接続されている。パワースイッチ16は、車両運転席のステアリング近傍に設けられており、車両使用者により押下操作されるプッシュ式のスイッチである。パワースイッチ16は、自車両の電源ポジションをオフ状態とアクセサリオン状態とイグニションオン状態とスタータオン状態との間で切り替えるうえで押下されるスイッチである。パワースイッチ16の押下操作の有無を示す信号は、ECU14に供給される。ECU14は、パワースイッチ16から供給される信号に基づいて、そのパワースイッチ16が押下操作されたか否かを判別する。
【0013】
ECU14には、また、シフトポジションセンサ18が接続されている。シフトポジションセンサ18は、車両使用者により操作されるシフトノブが位置するシフト位置に応じた信号を出力するセンサである。シフトポジションセンサ18の出力信号は、ECU14に供給される。ECU14は、シフトポジションセンサ18から供給される信号に基づいて、車両のシフト位置を検出する。そして、ECU14は、パワースイッチ16の押下操作有無の判定結果及びシフト位置の検出結果に基づいて自車両の電源ポジションを制御する。
【0014】
ECU14には、また、エンジン20が接続されている。ECU14は、電源ポジションに従ってエンジン20などに対して指令信号を供給する機能を有し、電源ポジションをイグニションオン状態にすべき際は電源用リレーをオンし、また、電源ポジションをスタータオン状態にすべき際はエンジン20に対してエンジン始動信号を供給する。また、ECU14は、電源ポジションをイグニションオフ状態にすべき際はエンジン20に対してエンジン停止信号を供給する。
【0015】
例えば、ECU14は、スタータがオフ状態にある状況でシフトポジションがパーキングレンジ又はニュートラルレンジにあるときにパワースイッチ16が押下操作されたと判定すると、電源ポジションを、オフ状態、アクセサリオン状態、又はイグニションオン状態からスタータオン状態へ切り替える。尚、かかる電源ポジションの遷移は、自車両と正規の車両使用者が携帯する携帯キーとの間での照合が合致する場合にのみ行われるものとすればよく、また、車両使用者によりブレーキペダルがオン操作されている場合に限り行われるものとしてもよい。
【0016】
電源ポジションがスタータオン状態へ切り替えられると、ECU14にてエンジン始動信号が生成されてエンジン20に供給されることで、エンジン20が始動される。エンジン20の始動が完了すると、以後、電源ポジションがステータオフ状態となりイグニションオン状態となって、エンジン20が燃料噴射や空気吸入により運転する。
【0017】
また、ECU14は、エンジン運転中すなわちイグニションがオン状態にある状況でパワースイッチ16が押下操作されたと判定すると、電源ポジションを、イグニションオン状態からイグニションオフ状態へ切り替える。尚、かかる電源ポジションの遷移は、自車両と正規の車両使用者が携帯する携帯キーとの間での照合が合致する場合にのみ行われるものとすればよく、また、車両停車中に限り行われるものとしてもよい。かかる切り替えが行われると、ECU14にてエンジン停止信号が生成されてエンジン20に供給されることで、エンジン20の運転が停止される。
【0018】
ECU14には、また、車輪速センサ22が接続されている。車輪速センサ22は、自車両の車輪の速度に応じた信号を出力するセンサである。車輪速センサ22の出力信号は、ECU14に供給される。ECU14は、車輪速センサ22から供給される信号に基づいて車輪速度を検出すると共に、その検出結果に基づいて自車両が走行しているか或いは停車しているか否かを判別する。
【0019】
ECU14には、また、ドアカーテシランプスイッチ24が接続されている。ドアカーテシランプスイッチ24は、自車両のドアが閉じているか或いは開いているかに応じた信号を出力する。ドアカーテシランプスイッチ24の出力信号は、ECU14に供給される。ECU14は、ドアカーテシランプスイッチ24から供給される信号に基づいて、車両ドアが閉じているか或いは開いているか否かを判別する。尚、ECU14は、少なくとも、運転席側の車両ドアが閉じているか或いは開いているか否かを判別することとすればよい。
【0020】
ECU14には、更に、警告器26が接続されている。警告器26は、車内にいる車両使用者に向けて視覚や聴覚を刺激するための警告を行う機器であって、例えば、視覚を刺激するために点灯/点滅するメータ内のウォーニングランプや、聴覚を刺激するために吹鳴するブザーやスピーカなどである。ECU14は、後述の如く車両使用者に向けて警告を行うべき際に警告器26に対して作動を指令する信号(作動指令信号)を供給する。警告器26は、ECU14からの作動指令信号に従ってランプ点灯やブザー吹鳴などによって車両使用者に向けて警告を行う。
【0021】
以下、図2及び図3を参照して、本実施例のエンジン不停止警告装置10の動作について説明する。図2は、本実施例のエンジン不停止警告装置10においてECU14が警告制御時に実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。また、図3は、本実施例のエンジン不停止警告装置10における警告制御時の動作遷移図を示す。
【0022】
本実施例において、ECU14は、エンジン20の始動以後、電源ポジションをイグニションオン状態とする条件が成立するときは、エンジン20を適切な燃料噴射や空気吸入により運転させる(ステップ100)。かかるエンジン運転中にパワースイッチ16が押下操作されたと判定する(ステップ102)と、次に、電源ポジションをイグニションオン状態からイグニションオフ状態へ切り替える条件すなわちエンジン20を停止させる条件(エンジン停止条件)が成立するか否かを判別する(ステップ104)。
【0023】
上記のエンジン停止条件は、パワースイッチ16が所定時間T0継続して押下されることである。この所定時間T0は、車両使用者がパワースイッチ16を瞬間的に押下しただけでは継続しない時間であり、車両使用者がパワースイッチ16を意図して長押ししたと判断できる最小の継続時間であって、例えば0.5秒や1秒,2秒などに設定されている。ECU14は、上記ステップ104にて、一旦押下操作されたパワースイッチ16が所定時間T0継続して押下されるか否かを判別する。
【0024】
ECU14は、上記ステップ104においてパワースイッチ16が所定時間T0継続して押下されることでエンジン停止条件が成立すると判別した場合は、エンジン20を停止させるべきとして、電源ポジションをイグニションオン状態からイグニションオフ状態へ切り替えて、エンジン20に対してエンジン停止信号を供給する(ステップ106)。かかる処理が行われると、エンジン20の運転が停止される。
【0025】
一方、ECU14は、上記ステップ104においてパワースイッチ16の押下操作が所定時間T0継続せずエンジン停止条件が成立しないと判別した場合、すなわち、上記ステップ102にてパワースイッチ16の押下操作が開始されたと判定した後、その押下操作が所定時間T0継続せず、その所定時間T0が経過する前に解除されたと判定した場合は、パワースイッチ16の押下操作開始から所定時間T0が経過してもエンジン20が停止せずに運転したままであると判断し、警告器26に対して、車両使用者に向けてパワースイッチ16の押下操作に対してエンジン20が停止しないことを警告すべきとして作動指令信号を供給する(ステップ108)。
【0026】
かかる処理が行われると、警告器26は、ECU14からの作動指令信号に従って、ランプ点灯やブザー吹鳴などを行うことによって、車両使用者に向けてエンジン運転中に一旦行われたパワースイッチ16の押下操作に対してエンジン20が停止しない旨をアドバイス表示し或いはブザー吹鳴する警告を行う。この場合、車両使用者は、そのアドバイス表示を見ることにより或いはブザー吹鳴を聞くことにより、エンジン運転中に一旦パワースイッチ16の押下操作を行ったにかかわらずその押下操作が所定時間T0継続しなかったことで、エンジン20を停止させるうえで必要な条件が満たされずエンジン20が停止しないことを知ることができる。

更に、ECU14は、その後、ドアカーテシランプスイッチ24からの信号に基づいて、車両ドア(特に運転席側の車両ドア)が閉じた状態から開けられたか否かを判別する。その結果、車両ドアが開けられたと判定した場合(ステップ110)は、警告器26に対して、車両使用者に向けてパワースイッチ16の押下操作に対してエンジン20が停止していないことを警告すべきとして作動指令信号を供給する(ステップ112)。
【0027】
かかる処理が行われると、警告器26は、ECU14からの作動指令信号に従って、ランプ点灯やブザー吹鳴などを行うことによって、車両使用者に向けてエンジン運転中に一旦行われたパワースイッチ16の押下操作に対してエンジン20が停止していない旨をアドバイス表示し或いはブザー吹鳴する警告を行う。この場合、車両使用者は、車両ドアを開けて降車する際にそのアドバイス表示を見ることにより或いはブザー吹鳴を聞くことにより、エンジン運転中に一旦パワースイッチ16の押下操作を行ったにもかかわらずその押下操作が所定時間T0継続しなかったことで、エンジン20を停止させるうえで必要な条件が満たされずエンジン20が停止していないことを知ることができる。
【0028】
このように、本実施例においては、エンジン運転中にそのエンジン20を停止させるのに、車両使用者がパワースイッチ16を所定時間T0継続して押下することが必要である車両において、エンジン運転中にパワースイッチ16が一旦押下操作されたが、その後、その押下操作が所定時間T0継続しなかったことにより、所定時間T0の経過後にエンジン20が停止せず運転したままであると判定される場合、警告器26を用いて、車両使用者に向けてエンジン運転中に一旦行われたパワースイッチ16の押下操作に対してエンジン20が停止しない旨をアドバイス表示し或いはブザー吹鳴する警告を行うことができる。
【0029】
かかる警告が行われると、車両使用者に、エンジン運転中に一旦行われたパワースイッチ16の押下操作に対してエンジン20が停止しない旨を知らせる機会が与えられることとなり、この点、エンジン運転中にそのエンジン20を停止させるのに、車両使用者がパワースイッチ16を所定時間T0継続して押下することが必要である車両において、車両使用者に対してそのパワースイッチ16の押下操作についてエンジン停止のための長押しが促され、車両降車時にエンジン20を停止させることが促される。
【0030】
このため、エンジン運転中に一旦パワースイッチ16の押下操作を行った車両運転者が、エンジン20が運転したままであるにもかかわらず降車して自車両から離れるのは抑止される。従って、本実施例のエンジン不停止警告装置10によれば、車両使用者によりエンジン運転中に一旦行われたパワースイッチ16の押下操作に対してエンジン20が停止しないときに、車両使用者に対してエンジン20が停止しない旨の警告を行うことで、そのエンジン20が運転したまま車両使用者が降車するのを抑止させることができる。
【0031】
また、本実施例において、車両使用者に向けた警告器26を用いた警告は、エンジン運転中にパワースイッチ16が一旦押下操作された後、その押下操作が所定時間T0継続しなかった場合、及び、その後更に車両ドアが開けられた場合に、行われる。この点、本実施例によれば、上記した降車抑止の確実性を向上させることが可能である。
【0032】
尚、本実施例においては、車両使用者に向けて警告器26を用いた警告を行ううえで、その車両使用者がエンジン運転中にパワースイッチ16を一旦でも押下操作することが必要であり、車両使用者がエンジン運転中にパワースイッチ16を全く押下操作しないときは上記した警告の対象外である。かかるときは、車両使用者によるエンジン運転中の降車が意図的に行われたと判断できる。この点、本実施例によれば、警告器26による不要な警告を排除することができるので、適切な警告を行うことができる。
【0033】
尚、上記の実施例においては、パワースイッチ16が特許請求の範囲に記載した「停止スイッチ」に相当している。また、ECU14がエンジン運転中にパワースイッチ16が所定時間T0継続して押下されることを条件としてエンジン20を停止させることにより特許請求の範囲に記載した「エンジン停止制御手段」が、ECU14がエンジン運転中にパワースイッチ16が押下操作された後、その押下操作が所定時間T0継続するか否かに基づいて、所定時間T0の経過後にエンジン20が停止するか否かを判別することにより特許請求の範囲に記載した「エンジン停止判別手段」が、ECU14がエンジン運転中にパワースイッチ16の押下操作が開始された後、その押下操作が所定時間T0継続しなかったことにより、所定時間T0の経過後にエンジン20が停止せず運転したままであると判定される場合、警告器26を用いて、車両使用者に向けてエンジン運転中に一旦行われたパワースイッチ16の押下操作に対してエンジン20が停止しない旨をアドバイス表示し或いはブザー吹鳴する警告を行うことにより特許請求の範囲に記載した「エンジン不停止警告手段」が、それぞれ実現されている。
【0034】
ところで、上記の実施例においては、車両使用者に向けた警告器26を用いた警告を、(1)エンジン運転中にパワースイッチ16の押下操作が開始された後、その押下操作が所定時間T0継続しなかった場合、及び、(2)その後更に車両ドアが開けられた場合に行うこととしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記(1)及び(2)のうち少なくとも一方の場合に上記の警告を行うこととしてもよい。
【0035】
また、上記の実施例においては、エンジン運転中にパワースイッチ16の押下操作が開始された後、その押下操作が所定時間T0継続しなかった場合に、所定時間T0の経過後にエンジン20が停止せず運転したままであるとして、車両使用者に向けた警告器26を用いた警告を行うが、警告を行うタイミングとしては、エンジン運転中にパワースイッチ16の押下操作が開始された後、上記の所定時間T0が経過した直後のタイミングであってもよいし、また、エンジン運転中にパワースイッチ16の押下操作が開始された後、上記の所定時間T0が経過する前にその押下操作が解除された直後のタイミングであってもよい。
【0036】
また、上記の実施例においては、車両使用者に向けた警告器26を用いた警告を、エンジン運転中にパワースイッチ16の押下操作が開始された後、エンジン20が運転している状態で車両ドアが開けられた場合に、車両使用者に向けた警告器26を用いた警告を行うが、その警告を行うタイミングとしては、その車両ドアが開けられた直後のタイミングであってもよい。
【0037】
また、上記の実施例においては、ECU14が、エンジン運転中にパワースイッチ16の押下操作が開始された後、その押下操作が所定時間T0継続するか否かを判別して、その判別結果に基づいて所定時間T0の経過後にエンジン20が停止するか否かを判別する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、かかる構成に代えて、エンジン20側からECU14に対して、エンジン20が実際に停止しているか或いは運転しているかを知らせる信号(エンジン運転信号やエンジン停止信号)を供給する構成を追加したうえで、ECU14が、エンジン運転中にパワースイッチ16の押下操作が開始された後、所定時間T0が経過した後に、エンジン20側からの信号に基づいてエンジン20が停止しているか否かを判別することとしてもよい。
【0038】
かかる変形例においては、エンジン運転中にパワースイッチ16の押下操作が開始された後、所定時間T0が経過した後に、エンジン20が停止していないと判別される場合に、車両使用者に向けて警告器26を用いた警告が行われる。従って、かかる変形例においても、上記の実施例と同様の効果を得ることが可能である。
【0039】
また、上記の実施例においては、エンジン運転中にパワースイッチ16の押下操作が開始された後、その押下操作が所定時間T0継続するか否かを判別して、その判別結果に基づいて所定時間T0の経過後にエンジン20が停止するか否かを判別するが、このパワースイッチ16の押下操作が所定時間T0継続するか否かの判別は、エンジン運転中にパワースイッチ16の押下操作が開始された後、パワースイッチ16の押下操作が解除されるタイミングと、所定時間T0が経過するタイミングと、の前後を判定するものであればよく、エンジン運転中にパワースイッチ16の押下操作が開始された後、パワースイッチ16の押下操作が解除されるタイミングで所定時間T0が経過しているか否かを判別するものであればよい。
【0040】
また、上記の構成に代えて、エンジン20側からECU14に対して、エンジン20が実際に停止しているか或いは運転しているかを知らせる信号(エンジン運転信号やエンジン停止信号)を供給する構成を追加したうえで、ECU14が、エンジン運転中にパワースイッチ16の押下操作が開始された後、その押下操作が解除された際に、エンジン20側から供給される信号に基づいてエンジン20が停止しているか否かを判別することとしてもよい。
【0041】
更に、上記の実施例においては、ECU14に、エンジン20を直接に接続させてそのエンジン20の運転/停止を制御させることとしているが、ECU14に、エンジン20の運転/停止を制御するエンジンECUを接続させてそのエンジンECUに各種信号を供給させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 エンジン不停止警告装置
14 ECU
16 パワースイッチ
20 エンジン
26 警告器
図1
図2
図3