特許第6044429号(P6044429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044429
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】駐車支援装置、及び駐車支援方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/00 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   B60R21/00 628D
   B60R21/00 621C
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-80478(P2013-80478)
(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公開番号】特開2014-201255(P2014-201255A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2015年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】林 和美
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−055098(JP,A)
【文献】 特開2007−315956(JP,A)
【文献】 特開2009−083680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00
G08G 1/14
B60W 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画線により区画された複数の駐車区域を備える駐車場において、設定された目標駐車位置への車両の運転を支援する駐車支援装置(15)であって、
前記複数の駐車区域のうち前記車両を駐車させる対象となる対象区域を選択する対象区域選択部と、
前記対象区域選択部により選択された前記対象区域における区画線の位置を取得する区画線位置取得部(17)と、
前記対象区域に隣接する駐車区域に駐車されている他車両の区画線に対する偏りを取得する偏り取得部と、
前記区画線位置取得部により取得された前記対象区域における区画線の位置及び前記偏り取得部により取得された前記偏りに基づいて、前記目標駐車位置を設定する設定部(18)と、
を備え
前記設定部は、前記偏り取得部により取得された、前記隣接する駐車区域における前記対象区域と反対側の区画線側への前記他車両の偏りが大きいほど、前記他車両に近付ける側に前記目標駐車位置を設定することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記偏り取得部により取得された、前記対象区域と前記隣接する駐車区域とを区画する区画線側への前記他車両の偏りが大きいほど、前記他車両から離す側に前記目標駐車位置を設定する請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記区画線位置取得部により取得された前記対象区域における区画線の位置及び前記偏り取得部により取得された前記偏りに基づいて、前記対象区域内に前記目標駐車位置を設定する請求項1又は2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記区画線位置取得部により取得された前記対象区域における区画線の位置及び前記偏り取得部により取得された前記偏りに基づいて、前記対象区域の内外にかかわらず前記目標駐車位置を設定する請求項1又は2に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記偏り取得部は、前記対象区域に隣接する駐車区域に駐車されている前記他車両の左右の区画線に対する偏りを取得する請求項1〜のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記偏り取得部は、前記対象区域に隣接する駐車区域に駐車されている前記他車両の前後の区画線に対する偏りを取得する請求項1〜のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項7】
前記設定部は、
前記区画線位置取得部により取得された前記対象区域における区画線の位置に基づいて、前記目標駐車位置の基本となる基本位置を算出する基本位置算出部(18a)と、
前記偏り取得部により取得された前記偏りに基づいて、前記基本位置算出部により算出された前記基本位置を補正する補正部(18b)と、
を備える請求項1〜のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項8】
前記目標駐車位置への前記車両の運転支援を開始する際に、設定された開始位置まで前記車両を移動させる移動部(18c)を備え、
前記移動部は、前記区画線位置取得部により取得された前記対象区域における区画線の位置及び前記偏り取得部により取得された前記偏りに基づいて、前記開始位置を設定する請求項1〜のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項9】
前記偏り取得部は、前記他車両と車車間通信を行って、前記他車両が有する情報に基づいて前記偏りを取得する請求項1〜のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項10】
前記他車両が有する情報は、前記他車両に搭載されたカメラ(40)により撮影された画像である請求項に記載の駐車支援装置。
【請求項11】
前記偏り取得部は、搭載するバッテリが充電されている最中の前記他車両と前記車車間通信を行う請求項又は10に記載の駐車支援装置。
【請求項12】
前記偏り取得部は、前記駐車場に設けられたサーバ(90)と路車間通信を行って、前記サーバが有する情報に基づいて前記偏りを取得する請求項1〜11のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項13】
前記サーバが有する情報は前記偏りである請求項12に記載の駐車支援装置。
【請求項14】
前記偏り取得部は、前記車両に搭載されたカメラ(40)により撮影された画像に基づいて、前記偏りを算出する請求項1〜13のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項15】
区画線により区画された複数の駐車区域を備える駐車場において、設定された目標駐車位置への車両の運転を支援する駐車支援方法であって、
前記複数の駐車区域のうち前記車両を駐車させる対象となる対象区域を選択する対象区域選択工程と、
前記対象区域選択工程で選択された前記対象区域における区画線の位置を取得する区画線位置取得工程と、
前記対象区域に隣接する駐車区域に駐車されている他車両の区画線に対する偏りを取得する偏り取得工程と、
前記区画線位置取得工程で取得された前記対象区域における区画線の位置及び前記偏り取得工程で取得された前記偏りに基づいて、前記目標駐車位置を設定する設定工程と、
を備え
前記設定工程では、前記偏り取得工程で取得された、前記隣接する駐車区域における前記対象区域と反対側の区画線側への前記他車両の偏りが大きいほど、前記他車両に近付ける側に前記目標駐車位置を設定することを特徴とする駐車支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場において目標駐車位置への車両の運転を支援する駐車支援装置及び駐車支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の駐車支援装置において、白線等により描かれた駐車区画線を撮影画像において認識し、認識した駐車区画線の画像上の位置を基準として目標駐車位置を設定するものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4853220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両を駐車させる対象となる対象区域に隣接する駐車区域において、他車両が一方の駐車区画線に寄って駐車されている場合がある。この場合、駐車区画線を基準として目標駐車位置を設定すると、自車両と他車両との間隔が狭くなるおそれがある。
【0005】
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、対象区域に隣接する駐車区域の他車両が区画線に対して偏って駐車されている場合であっても、自車両を適切な位置に駐車させることのできる駐車支援装置及び駐車支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
【0007】
第1の発明は、区画線により区画された複数の駐車区域を備える駐車場において、設定された目標駐車位置への車両の運転を支援する駐車支援装置であって、前記複数の駐車区域のうち前記車両を駐車させる対象となる対象区域を選択する対象区域選択部と、前記対象区域選択部により選択された前記対象区域における区画線の位置を取得する区画線位置取得部と、前記対象区域に隣接する駐車区域に駐車されている他車両の区画線に対する偏りを取得する偏り取得部と、前記区画線位置取得部により取得された前記対象区域における区画線の位置及び前記偏り取得部により取得された前記偏りに基づいて、前記目標駐車位置を設定する設定部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、駐車場において区画線により区画された複数の駐車区域のうち、車両を駐車させる対象となる対象区域が選択される。そして、選択された対象区域における区画線の位置が取得される。
【0009】
ここで、対象区域に隣接する駐車区域に駐車されている他車両の区画線に対する偏りが取得される。そして、取得された対象区域における区画線の位置及び取得された他車両の偏りに基づいて、目標駐車位置が設定される。このため、対象区域に隣接する駐車区域の他車両が区画線に対して偏って駐車されていたとしても、その偏りを考慮して目標駐車位置を設定することができる。その結果、目標駐車位置へ車両の運転が支援されることにより、車両を適切な位置に駐車させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】駐車支援システムの構成を示すブロック図。
図2】駐車支援用ECUの主要な機能ブロックを示すブロック図。
図3】第1実施形態に係る駐車支援制御の処理手順を示すフローチャート。
図4図4の駐車支援制御の態様を示す俯瞰図。
図5】第2実施形態に係る駐車支援制御の処理手順を示すフローチャート。
図6図5の駐車支援制御の態様を示す俯瞰図。
図7】第3実施形態に係る駐車支援制御の態様を示す俯瞰図。
図8】第4実施形態に係る駐車支援制御の処理手順を示すフローチャート。
図9図8の駐車支援制御の態様を示す俯瞰図。
図10】駐車支援制御の態様の変更例を示す俯瞰図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、目標駐車位置へ車両を自動運転する駐車支援システムとして具体化している。
【0012】
図1に示すように、車両に搭載された駐車支援システム10は、駐車支援用ECU15(駐車支援装置)、車速センサ20、クリアランスソナー22、路車間通信機24、車車間通信機26、GPS受信機27、ステアリング装置30、カメラ40、シフト位置センサ50、ハイトセンサ60、マルチディスプレイ70、及びスピーカ80を備えている。
【0013】
駐車支援用ECU(Electronic Control Unit)15は、例えば、CPUを中心として、プログラム等を格納するROMやRAM等がバスを介して相互に接続されたコンピュータユニットである。駐車支援用ECU15は、ハードディスクやDVD(Digital Versatile Disk)、CD−ROM、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の読書き可能なメモリ10a、入出力インターフェイス、タイマ、カウンタ等を備えている。
【0014】
駐車支援用ECU15には、CAN(Controller Area Network)等の適切な通信プロトコルを利用したバスを介して、車速センサ20、クリアランスソナー22、路車間通信機24、車車間通信機26、ステアリング装置30を構成する操舵角センサ32、コントローラ38等が接続されている。
【0015】
車速センサ20は、例えば、車両の各車輪に取り付けられた車輪速センサとスキッドコントロールコンピュータから構成されている。スキッドコントロールコンピュータは、車輪速センサが出力する車輪速パルス信号を、車速矩形波パルス信号(車速信号)に変換して出力する。
【0016】
クリアランスソナー22は、超音波等を用いて、車両の周辺物体と車両との距離を検出する。クリアランスソナー22は、車両の前後左右に向けて配置されている。なお、クリアランスソナー22は、車両の左前、右前、左後、右後等の斜め方向に向けて配置されていてもよい。
【0017】
路車間通信機24は、アンテナや、送信部、受信部、信号処理回路等を備えている。路車間通信機24は、駐車場に設置されているサーバとの通信により、空き駐車区域の位置、駐車区域の大きさ、駐車させる対象となる対象区域の周辺車両等に関する情報を取得する。
【0018】
車車間通信機26は、アンテナや、送信部、受信部、信号処理回路等を備えている。車車間通信機26は、自車両の周囲の車両との通信により、空き駐車区域の位置、駐車区域の大きさ、駐車させる対象となる対象区域の周辺車両等に関する情報を取得する。
【0019】
GPS受信機27は、GPS衛星からGPS信号を受信して、車両の現在位置を検出する。
【0020】
ステアリング装置30は、例えば、操舵角センサ32と、トルクセンサ34と、アシストモータ36と、ステアリング装置30全体を制御するコントローラ38と、を備えている。操舵角センサ32は、例えば、ステアリングコラム内部に配設され、操舵角信号をコントローラ38及び駐車支援用ECU15に送信する。トルクセンサ34は、例えば、ステアリングコラム内部に配設され、入力軸と出力軸との間に取り付けられたトーションバーの捩れを検出することにより、ステアリングトルクに応じた信号をコントローラ38に送信する。アシストモータ36は、例えば、コラムハウジング部に配設された直流モータであり、車両の操舵に必要なトルクを出力して運転者のステアリング操作をアシストする。アシストモータ36が出力するトルクは、ウォームギヤ及びホイールギヤによって偏向されると共に減速されてコラムシャフトに伝達され、最終的に車輪の向きを変える。
【0021】
コントローラ38は、駐車支援制御が行なわれない通常時には、トルクセンサ34からのステアリングトルク信号やその他の車両状態信号(車速やヨーレート等)に基づいて、車両の操舵に必要なトルクを出力するように、アシストモータ36の駆動回路に制御信号を出力する。また、駐車支援制御が行なわれている時には、駐車支援用ECU15からの指示信号に基づいて、アシストモータ36を制御する。
【0022】
また、駐車支援用ECU15には、カメラ40、シフト位置センサ50、駐車スイッチ52、ハイトセンサ60、マルチディスプレイ70、及びスピーカ80が接続されている。
【0023】
カメラ40は、CCD(charge-coupled device)やCMOS(complementary metal oxide semiconductor)等の撮像素子及び広角レンズを備え、車両の左右部及び後部に取り付けられている。カメラ40のうち、後部に取り付けられたバックモニタカメラの取り付け角度や画角(視角)は、車両を中心として略左右対称に所定角度で車両後方の風景が撮影されるように設定されている。左右部に取り付けられたカメラは、車両を中心として所定角度で車両左右方の風景がそれぞれ撮影されるように設定されている。
【0024】
駐車スイッチ52は、車室内に設けられ、運転者による操作が可能となっている。駐車スイッチ52は、平常オフ状態に維持されており、運転者の操作によりオン状態となる。また、駐車スイッチ52は、インジケーターランプを備え、駐車支援制御の作動状態を表示する。また、ハイトセンサ60は、例えば、リヤクロスメンバーに取り付けられ、車高の変化を検出する。
【0025】
マルチディスプレイ70は、グラフィックシステムとしてVGA(Video Graphics Array)を採用して動画を含む画像表示を行なうと共に、タッチパネルとして運転者による各種の入力操作を可能に構成されたディスプレイ装置である。マルチディスプレイ70は、その表面に運転者がタッチ操作したことによる電圧の変化を検出して、タッチ操作された位置を認識する。マルチディスプレイ70やスピーカ80は、車載ナビゲーション装置と共用されていてもよい。この場合、駐車支援制御が作動している際には駐車支援制御の機能を実行し、それ以外のときにはナビゲーション装置の経路案内等に用いられるように切り替えられるとよい。
【0026】
駐車支援用ECU15は、駐車スイッチ52の出力信号に基づいて駐車支援制御を開始する。すなわち、駐車スイッチ52からの出力信号がオン状態を示す場合に、駐車支援制御を開始する。なお、駐車支援制御は、並列駐車制御や縦列駐車制御、車庫入れ制御等、複数の制御モードから選択されてよいが、以下では並列駐車を支援する駐車支援制御について説明する。
【0027】
図2は、駐車支援用ECU15の主要な機能ブロックを示すブロック図である。駐車支援用ECU15は、解析領域設定部16、区画線認識部17、車両誘導部18、及び情報出力制御部19を備えている。以下、これらの機能ブロックの機能の概略を説明する。
【0028】
解析領域設定部16(対象区域選択部)は、区画線認識部17が画像解析を行なう解析領域を設定する。詳しくは、解析領域設定部16は、制御用の実座標系(上空から車両や駐車区画線を見た座標系)において、車両の停止位置に対して例えば左斜め後方に仮解析領域を設定する。そして、解析領域設定部16は、実座標系上で設定された仮解析領域をマルチディスプレイ70の画像座標系に写像して解析領域とする。ここで、実座標系上の領域と画像座標系上の領域の間の相互写像は、カメラ40の設置パラメータ(ロール、パン、ピッチ、設置された高さ、焦点距離等)に基づき予め決定された写像用のマップに、ハイトセンサ60の出力値を加味して行なわれる。
【0029】
区画線認識部17(区画線位置取得部)は、解析領域において区画線認識処理を行う。詳しくは、区画線認識部17は、解析領域内で特徴点(輝度変化が閾値を超える点)を抽出する。そして、画像上の特徴点の位置を実座標系上の位置に写像し、ハフ変換等の直線抽出手法を用いて認識された直線状に並んだ特徴点を、駐車区画線の輪郭線であると認識する。
【0030】
車両誘導部18(設定部)は、区画線認識部17により認識された区画線の輪郭線に基づいて、ステアリング装置30の制御を行って車両を目標駐車位置に駐車させる。詳しくは、車両誘導部18は、後述する基本位置算出部18a、補正部18b、及び移動部18cを備えている。
【0031】
情報出力制御部19は、マルチディスプレイ70及びスピーカ80を通じて、駐車支援制御の状態を運転者に報知させる。詳しくは、情報出力制御部19は、カメラ40により撮影される画像をマルチディスプレイ70に表示させたり、自動運転中である旨をスピーカ80により音声出力させたりする。
【0032】
図4に示すように、駐車場にはサーバ90が設置されている。サーバ90は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクやDVD等の記憶装置、入出力インターフェイス、路車間通信機91(図示せず)、車両検出装置等を備えている。路車間通信機91は、上述した路車間通信機24と同様に構成されており、車両との通信機能を有する。車両検出装置は、駐車場の各駐車区域に設置されたセンサやカメラ等により、各駐車区域に車両が駐車しているか否か検出する。また、車両B,Cは、上述した車両と同様の構成を備えており、同様の制御を実行可能となっている。
【0033】
次に、図3,4を参照して、区画線により区画された複数の駐車区域を備える駐車場において、設定された目標駐車位置への車両の運転を支援する駐車支援制御について説明する。図3は、駐車支援制御の処理手順を示すフローチャートであり、車両A及びサーバ90によりそれぞれ実行される。図4は、駐車支援制御の態様を示す俯瞰図である。
【0034】
まず、運転者により車両Aが駐車場に入場させられ駐車スイッチ52がオン状態に操作されると(S11)、駐車支援用ECU15は、路車間通信機24を通じてサーバ90へ入場した旨及び車両Aの車両情報を送信させる(S12,S13)。サーバ90は、路車間通信機91を通じて車両Aが駐車場に入場した旨及び車両Aの車両情報を受信すると(S41,S42)、路車間通信機91を通じて以下の各種情報を車両Aへ送信する(S43〜S47)。
【0035】
図4(a)に示すように、サーバ90は、駐車場内の空き駐車区域Xの位置情報(S43)、駐車区域Xに隣接する駐車区域Y,Zに駐車されている車両B,Cの車両情報(S44)、車両B,Cの位置情報(S45)、車両Bから車両Cまでの距離情報(S46)、及び車両B(C)の区画線YL,YR(区画線ZL,ZR)に対する偏りを送信する。
【0036】
その前提として、サーバ90の記憶装置には、駐車場内の各駐車区域の位置情報が記憶されている。サーバ90は、車両検出装置により各駐車区域の車両の有無を検出し、空き駐車区域を把握している。そして、サーバ90は、把握している空き駐車区域の位置情報を、車両Aに送信する(S43)。
【0037】
サーバ90は、既に駐車されている車両B,Cと予め路車間通信を行っており、車両B,Cの車両情報、車両B,Cの位置情報、及び車両B,Cの偏り情報を受信している。車両情報は、車両の形状及び寸法を含む情報である。車両の位置情報は、GPS受信機27により検出された車両の現在位置を含む情報である。車両の偏り情報は、車両の駐車されている駐車区域の区画線に対する車両の偏りを含む情報である。例えば、車両Bは駐車区域Yに駐車されており、駐車区域Yの左側の区画線YL及び右側の区画線YRに対する車両Bの偏り算出されている。なお、区画線YRは、駐車区域Xの左側の区画線XLと同一である。ここでは、車両Bは区画線YLに対して近付く側、すなわち区画線YR(XL)に対して離れる側に偏っている。この偏りは、車両Bの駐車時において、車両Bのカメラ40により撮影された画像に基づいて、車両BのECU15により算出されている。
【0038】
そして、車両AのECU15は、路車間通信機24を通じて、上記の各種情報を受信する(S14〜S18)。続いて、ECU15は、これらの各種情報に基づいて、駐車の開始位置、目標駐車位置、及び自動運転ルートを算出する(S19)。詳しくは、ECU15は、受信した空き駐車区域のうち、GPS受信機27により検出された車両Aの現在位置に最も近い空き駐車区域Xを、車両Aを駐車させる対象となる対象区域として選択する。ECU15は、選択した駐車区域Xにおける区画線XL,XRの位置を、カメラ40により撮影された画像に基づき算出する。そして、ECU15は、算出した駐車区域Xにおける区画線XL,XRの位置及び受信した車両B,Cの偏りに基づいて、目標駐車位置を設定する。
【0039】
目標駐車位置の設定は、上述した基本位置算出部18a及び補正部18bにより行われる。基本位置算出部18aは、区画線認識部17により取得された対象区域における区画線の位置に基づいて、目標駐車位置の基本となる基本位置を算出する。補正部18bは、受信した車両B,Cの偏りに基づいて、基本位置算出部18aにより算出された基本位置を補正する。
【0040】
詳しくは、補正部18bは、区画線認識部17により取得された、駐車区域Xと隣接する駐車区域Y,Zとをそれぞれ区画する区画線XL,XR側への車両B,Cのそれぞれの偏りが大きいほど、車両B,Cから離す側に基本位置を補正する。また、補正部18bは、区画線認識部17により取得された、隣接する駐車区域Y,Zにおける駐車区域Xと反対側の区画線YL,ZR側への車両B,Cのそれぞれの偏りが大きいほど、車両B,Cに近付ける側に基本位置を補正する。図4(a)の例では、車両Bに近付ける側且つ車両Cから離す側に、基本位置が補正されて目標駐車位置が設定される。さらに、ECU15は、駐車区域X内に目標駐車位置を設定する。すなわち、ECU15は、駐車区域X(対象区域)内において左右両側の車両B,C間の中央付近に目標駐車位置を設定する。
【0041】
なお、補正部18bは、受信した車両B,Cの位置、及び車両B,Cの形状及び寸法に基づいて、基本位置を補正してもよい。例えば、これらに基づいて、車両B,Cとの間隔が狭くなる場合は車両B,Cから離れる側に基本位置を補正し、車両B,Cとの間隔が広くなる場合は車両B,Cに近付ける側に基本位置を補正すればよい。
【0042】
ECU15は、上述したように、目標駐車位置への車両Aの運転支援を開始する際に、設定された開始位置まで車両Aを移動させる移動部18cを備えている。移動部18cは、区画線認識部17により取得された駐車区域Xにおける区画線XL,XRの位置及び受信した車両B,Cの偏りに基づいて、開始位置を設定する。すなわち、車両B,Cの偏りを考慮して設定された目標駐車位置に対応させて開始位置を設定する。
【0043】
そして、ECU15は、設定された開始位置から目標駐車位置までの自動運転ルートを算出する。この場合も、受信した車両B,Cの位置、及び車両B,Cの形状及び寸法に基づいて、自動運転ルートを補正してもよい。
【0044】
続いて、移動部18cは、自動運転による駐車の開始位置まで、車両Aを自動運転で移動させて停車させる(S20)。詳しくは、移動部18cは、車両Aの現在位置及び設定された開始位置に基づいて、ステアリング装置30の制御を行って車両を開始位置まで移動させて停車させる。そして、ECU15は、マルチディスプレイ70に、自動駐車支援の実行中であること、開始位置に停車したこと等を表示させる(S21)。
【0045】
続いて、車両Aの変速機のギアがバックギアに入れられる(S22)。この動作は、ECU15の制御に基づき行われてもよいし、運転者の手動操作により行われてもよい。ECU15は、路車間通信機24を通じてサーバ90へ、目標駐車位置までの自動駐車支援が開始された旨を送信する(S23)。サーバ90は、路車間通信機91を通じて、目標駐車位置までの自動駐車支援が開始された旨を受信する(S48)。
【0046】
続いて、ECU15の上述した車両誘導部18は、区画線認識部17により認識された区画線の輪郭線に基づいて、ステアリング装置30の制御を行って車両を目標駐車位置に駐車させる(S24〜S27)。この目標駐車位置への駐車方法は従来技術と同様であるため、詳細な説明を省略する。その際に、車両Aのブレーキペダルが操作された場合(S26:YES)、自動駐車支援制御を終了する(S32)。
【0047】
車両Aを目標駐車位置まで移動させた場合(S27:YES)、ECU15は車両Aの位置及び偏りを測定する(S28)。詳しくは、ECU15は、GPS受信機27により車両Aの現在位置を検出させる。また、ECU15は、車両Aのカメラ40により撮影された画像に基づいて、駐車区域Xの区画線XL,XRに対する車両Aの偏りを算出する。なお、ECU15は、加速度センサ等の検出値に基づいて、車両Aの傾き、すなわち駐車区域Xの傾きを検出してもよい。
【0048】
続いて、図4(b)に示すように、ECU15は、路車間通信機24を通じてサーバ90へ、測定された車両Aの位置及び偏りを送信する(S29,30)。サーバ90は、路車間通信機91を通じて、車両Aの位置及び偏りを受信する(S49,S51)。サーバ90は、記憶装置に記憶している車両D,Eの位置並びに車両D,Eの形状及び寸法と、受信した車両Aの形状及び寸法並びに車両Aの位置及び偏りとに基づいて、車両Aと車両Dとの距離、及び車両Aと車両Eとの距離を算出する(S50)。これらの車両A,D間の距離及び車両A,E間の距離は、車両B,Cがそれぞれ駐車区域Y,Zから発車した後に、駐車区域Y,Zに他車両が駐車する場合に利用される。
【0049】
続いて、ECU15は、路車間通信機24を通じてサーバ90へ、車両Aの目標駐車位置への駐車が終了した旨を送信する(S31)。サーバ90は、路車間通信機91を通じて、車両Aの目標駐車位置への駐車が終了した旨を受信する(S52)。そして、ECU15は、自動駐車支援制御を終了する(S32)。
【0050】
なお、S18の処理が偏り取得部としての処理(偏り取得工程)に相当し、S19の処理が対象区域選択部、区画線位置取得部、及び設定部としての処理(対象区域選択工程、区画線位置取得工程、及び設定工程)に相当し、S20の処理が移動部としての処理(移動工程)に相当し、S11〜S32の処理が駐車支援方法に相当する。
【0051】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0052】
・駐車区域X(対象区域)に隣接する駐車区域Y(Z)に駐車されている他車両B(C)の区画線YL,YR(ZL,ZR)に対する偏りが取得される。そして、取得された駐車区域Xにおける区画線XL,XRの位置及び取得された他車両B(C)の偏りに基づいて、目標駐車位置が設定される。このため、駐車区域Xに隣接する駐車区域Y(Z)の他車両B(C)が区画線YL,YR(ZL,ZR)に対して偏って駐車されていたとしても、その偏りを考慮して目標駐車位置を設定することができる。その結果、目標駐車位置へ車両Aの運転が支援されることにより、車両Aを適切な位置に駐車させることができる。
【0053】
・駐車区域Xと隣接する駐車区域Zとを区画する区画線XR側への他車両Cの偏りが大きいほど、すなわち駐車区域X側に他車両Cが大きく偏っているほど、他車両Cから離す側に目標駐車位置が設定される。このため、他車両Cが駐車区域X側へ偏っている度合いに応じて、他車両Cとの間隔を適切にとって目標駐車位置を設定することができる。
【0054】
・隣接する駐車区域Yにおける駐車区域Xと反対側の区画線YL側への他車両Bの偏りが大きいほど、すなわち駐車区域Xと反対側に他車両Bが大きく偏っているほど、他車両Bに近付ける側に目標駐車位置が設定される。このため、他車両Bが駐車区域Xと反対側へ偏っている度合いに応じて、他車両Bとの間隔を適切にとって目標駐車位置を設定することができる。
【0055】
・取得された駐車区域Xにおける区画線XL,XRの位置及び取得された他車両B,Cの偏りに基づいて、駐車区域X内に目標駐車位置が設定される。したがって、駐車区域Xから外れない範囲で、他車両B,Cの偏りを考慮して目標駐車位置を設定することができる。
【0056】
・駐車区域Xに隣接する駐車区域Y(Z)に駐車されている他車両B(C)の左右の区画線に対する偏りが取得される。このため、駐車区域Xに隣接する駐車区域Y(Z)の他車両B(C)が左右の区画線YL,YR(ZL,ZR)に対して偏って駐車されていたとしても、その偏りを考慮して目標駐車位置を設定することができる。
【0057】
・取得された駐車区域Xにおける区画線XL,XRの位置に基づいて、目標駐車位置の基本となる基本位置が算出される。そして、取得された他車両B,Cの偏りに基づいて、算出された基本位置が補正される。このため、従来と同様の方法により目標駐車位置の基本位置を算出し、この基本位置を他車両B,Cの偏りに基づいて補正することにより、目標駐車位置を適切に設定することができる。
【0058】
・目標駐車位置への車両Aの運転支援が開始される際に、設定された開始位置まで車両Aが移動される。ここで、取得された駐車区域Xにおける区画線XL,XRの位置及び取得された他車両B,Cの偏りに基づいて、開始位置が設定される。このため、他車両B,Cの偏りを考慮して運転支援の開始位置を設定することができ、目標駐車位置への車両Aの運転支援が容易となる。
【0059】
・駐車場に設けられたサーバ90と路車間通信が行われ、サーバ90が有する情報に基づいて他車両B,Cの偏りが取得される。このため、駐車場に設けられたサーバ90が有する情報を利用して、他車両B,Cの偏りの情報を取得することができる。
【0060】
・サーバ90が有する情報として、他車両B,Cの偏りが取得される。このため、ECU15は、他車両B,Cの偏りを算出する処理を省略することができる。
【0061】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図6に示すように、車両Aは、駐車場に設けられたサーバ90との路車間通信を行わず、車両B,Cとの車車間通信を行っている。車両Cは、電気自動車又はハイブリッド自動車である。駐車場には充電機92が設けられており、車両Cのバッテリが充電機92により充電されている最中である。
【0062】
図5は、駐車支援制御の処理手順を示すフローチャートであり、車両A及び車両B,Cによりそれぞれ実行される。図6は、駐車支援制御の態様を示す俯瞰図である。第1実施形態と同一の処理については、同一のステップ番号を付すことにより説明を省略する。
【0063】
まず、S11〜S13,S41〜S42では、通信相手のみ変更して、第1実施形態と同一の処理を行う。車両B,Cは、車車間通信機26を通じて以下の各種情報を車両Aへ送信する(S143,S44,S45,S47)。
【0064】
図6(a)に示すように、車両B,Cはそれぞれ、駐車場内の空き駐車区域Xの位置情報(S143)、車両B,Cの車両情報(S44)、車両B,Cの位置情報(S45)、及び車両Bの区画線YL,YRに対する偏りと車両Cの区画線ZL,ZRに対する偏り(S47)とを送信する。
【0065】
その前提として、車両B,Cのメモリ10aには、駐車場内の隣接する駐車区域の位置情報が記憶されている。車両B,Cは、カメラ40により隣接する駐車区域V,X、及び隣接する駐車区域X,Wの車両の有無をそれぞれ検出し、空き駐車区域Xを把握している。また、車両B,Cは、GPS受信機27により、現在位置をそれぞれ検出している。そして、車両B,Cは、把握している空き駐車区域X及び検出した現在位置に基づいて、空き駐車区域の位置情報を、車両Aに送信する(S143)。
【0066】
そして、車両AのECU15は、路車間通信機24を通じて、上記の各種情報を受信する(S14〜S16,S18)。ここで、ECU15は、受信した車両B,Cの車両情報(形状及び寸法)、及び車両B,Cの位置情報に基づいて、空き駐車区域Xの両側の車両Bと車両Cとの距離を計算する(S117)。
【0067】
続いて、S19〜S32、S48〜S52では、通信相手のみ変更して第1実施形態と同一の処理を行う。
【0068】
なお、S18の処理が偏り取得部としての処理(偏り取得工程)に相当し、S19の処理が対象区域選択部、区画線位置取得部、及び設定部としての処理(対象区域選択工程、区画線位置取得工程、及び設定工程)に相当し、S20の処理が移動部としての処理(移動工程)に相当し、S11〜S32(S117を含む)の処理が駐車支援方法に相当する。
【0069】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第1実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0070】
・他車両B,Cと車車間通信が行われ、他車両B,Cが有する情報に基づいて他車両B,Cの偏りが取得される。このため、他車両B,Cが有する情報を利用して、他車両B,Cの偏りの情報を取得することができる。
【0071】
・搭載するバッテリが充電されている最中の他車両Cと車車間通信が行われるため、他車両Cに車車間通信を行わせて電力を消費させたとしても、消費させた電力を充電により補わせることができる。したがって、他車両Cのバッテリ残量が減少することを抑制することができる。
【0072】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図7に示すように、車両Aは、駐車場に設けられたサーバ90及び車両Bとの通信を行わず、車両Cとの車車間通信を行っている。また、車両Bと車両Cとは車車間通信を行っている。
【0073】
本実施形態では、通信相手のみ変更して、第1実施形態と同一の処理を行う。詳しくは、第1実施形態でサーバ90が行っていた処理を、車両CのECU15が行う。ただし、図3のS19の処理において、以下の点が第1実施形態と相違している。
【0074】
ECU15は、算出した駐車区域Xにおける区画線XL,XRの位置及び受信した車両B,Cの偏りに基づいて、目標駐車位置を設定する(S19)。ここで、ECU15は、駐車区域Xの内外にかかわらず目標駐車位置を設定する。すなわち、ECU15は、駐車区域X(対象区域)の内外にかかわらず、左右両側の車両B,C間の中央付近に目標駐車位置を設定する。
【0075】
なお、S18の処理が偏り取得部としての処理(偏り取得工程)に相当し、S19の処理が対象区域選択部、区画線位置取得部、及び設定部としての処理(対象区域選択工程、区画線位置取得工程、及び設定工程)に相当し、S20の処理が移動部としての処理(移動工程)に相当し、S11〜S32の処理が駐車支援方法に相当する。
【0076】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第1実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0077】
・取得された駐車区域X(対象区域)における区画線XL,XRの位置及び取得された他車両B,Cの偏りに基づいて、駐車区域Xの内外にかかわらず目標駐車位置が設定される。したがって、駐車区域X内では車両Aを適切に駐車させることができない場合に、駐車区域X外まで利用して目標駐車位置を設定することができる。
【0078】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図9に示すように、車両Aは、目標駐車位置への駐車後に、左右両側の車両B,Cとの距離に基づいて、左右両側の1台離れた車両D,Eとの距離を計算する。
【0079】
図8は、駐車支援制御の処理手順を示すフローチャートであり、車両A及び車両B,Cによりそれぞれ実行される。図9は、駐車支援制御の態様を示す俯瞰図である。S11〜S27,S41〜S48の処理は、通信相手を除いて第1実施形態と同一であるため、ここでは省略する。
【0080】
車両Aを目標駐車位置まで移動させた場合(S27:YES)、ECU15は車両Aの位置及び偏りを測定する(S28)。続いて、車両AのECU15は、車車間通信機26を通じて車両B,Cへ、目標駐車位置までの移動が完了した旨を送信する(S229)。車両B,CのECU15は、車車間通信機26を通じて、目標駐車位置までの車両Aの移動が完了した旨を受信する(S249)。
【0081】
続いて、車両AのECU15は、クリアランスソナー22により、車両B,Cと車両Aとの距離をそれぞれ検出させる(S230)。また、車両B(C)のECU15は、クリアランスソナー22により、車両Dと車両Bとの距離(車両Aと車両Cとの距離)、及び車両Aと車両Bとの距離(車両Eと車両Cとの距離)を検出させる。(S250)。
【0082】
続いて、車両AのECU15は、車車間通信機26を通じて車両B,Cへ、車両B,Cと車両Aとの距離をそれぞれ送信する(S231)。車両BのECU15は、車車間通信機26を通じて、車両B,Cと車両Aとの距離をそれぞれ受信する(S251)。また、車両B(C)のECU15は、車車間通信機26を通じて車両Aへ、車両D,Aと車両Bとの距離(車両A,Eと車両Cとの距離)をそれぞれ送信する(S252)。車両AのECU15は、車車間通信機26を通じて、車両D,Aと車両Bとの距離(車両A,Eと車両Cとの距離)を受信する(S232)。
【0083】
続いて、車両AのECU15は、受信した車両B(C)の寸法及び形状、検出した車両B(C)と車両Aとの距離、並びに受信した車両Dと車両Bとの距離(車両Eと車両Cとの距離)に基づいて、車両Dと車両Aとの距離(車両Eと車両Aとの距離)を算出する(S233)。S29〜S32,S49〜S52では、通信相手のみ変更して、第1実施形態と同一の処理を行う。
【0084】
なお、S18の処理が偏り取得部としての処理(偏り取得工程)に相当し、S19の処理が対象区域選択部、区画線位置取得部、及び設定部としての処理(対象区域選択工程、区画線位置取得工程、及び設定工程)に相当し、S20の処理が移動部としての処理(移動工程)に相当し、S11〜S32(S229〜233を含む)の処理が駐車支援方法に相当する。
【0085】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第1実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0086】
・クリアランスソナー22により車両同士の距離が検出されるため、車両同士の距離を正確に検出することができる。
【0087】
・車車間通信を行うことにより、クリアランスソナー22により検出される車両同士の距離に基づいて、左右両側の1台離れた車両D,Eと車両Aとの距離を計算することができる。
【0088】
なお、上記の各実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部材については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0089】
・他車両B,Cが有する情報として、他車両B,Cに搭載されたカメラ40により撮影された画像を取得してもよい。こうした構成によれば、他車両の偏りを算出するのに適した情報を利用して、他車両の偏りを正確に算出することができる。
【0090】
・車両Aに搭載されたカメラ40により撮影された画像に基づいて、車両Bの区画線YRに対する偏りや、車両Cの区画線ZLに対する偏りを算出することもできる。こうした構成によれば、車両Aに搭載されたカメラ40により撮影された画像に基づいて、他車両B、Cの偏りが算出される。したがって、車両Aの装置のみを用いて他車両B,Cの偏りを算出することが可能となる。
【0091】
・車両B,Cに搭載されたカメラ40により撮影された画像に基づいて、車両AのECU15が車両B,Cの区画線に対する偏りを算出することもできる。また、駐車場に設けられたカメラにより撮影された画像に基づいて、車両AのECU15が車両B,Cの区画線に対する偏りを算出することもできる。あるいは、駐車場内の各駐車区域の位置と、GPS受信機27により検出された車両B,Cの位置とに基づいて、車両B,Cの区画線に対する偏りを算出することもできる。
【0092】
図10に示すように、駐車区域X(対象区域)に隣接する駐車区域Vに駐車されている他車両Fの前後の区画線VF,VRに対する偏りを取得し、この偏りに基づいて目標駐車位置を設定することもできる。こうした構成によれば、駐車区域Vの他車両Fが前後の区画線VF,VRに対して偏って駐車されていたとしても、その偏りを考慮して目標駐車位置を設定することができる。
【0093】
・車両Aを駐車させる対象となる対象区域を、車両Aのカメラ40により撮影された画像に基づいて選択したり、運転者の手動操作(指示)により選択したりすることもできる。
【0094】
・目標駐車位置への車両Aの運転支援として、自動運転に限らず、マルチディスプレイ70に目標駐車位置を表示させ、運転者がその表示に基づいて目標駐車位置まで運転するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
10…駐車支援システム、15…駐車支援用ECU(駐車支援装置)、18…車両誘導部(設定部)、18a…基本位置算出部、18b…補正部、18c…移動部、40…カメラ、90…サーバ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10