(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
<一実施形態>
一実施形態を、
図1から
図9を用いて説明する。
【0022】
1.画像読取装置の機械的構成
図1に示すように、画像読取装置1は、使用者により給紙トレイ2に載置された複数の原稿シートGを排紙トレイ4に搬送するとともに、搬送中の原稿シートGを本体部3に含まれる画像読取部30を用いて読み取るシートフィードスキャナである。給紙トレイ2は、載置台の一例である。
【0023】
画像読取装置1の本体部3には、給紙トレイ2と排紙トレイ4を接続する搬送経路22が設けられており、この搬送経路22の周辺に、給紙ローラ40と、分離パッド42と、搬送ローラ44と、原稿押さえ部材46と、画像読取部30と、排紙ローラ50と、フロントセンサ(以下、Fセンサ)13を備える。
【0024】
給紙ローラ40は、モータM(
図2参照)によって回転駆動される。給紙ローラ40は、給紙トレイ2に載置された原稿シートGに当接し、摩擦力により、給紙トレイ2に載置された原稿シートGを本体部3の内部へと引き込む。この際、原稿シートGは、分離パッド42の摩擦力により各原稿シートG毎に分離され、搬送経路22へと送り出される。
【0025】
搬送ローラ44は、モータMにより回転駆動され、給紙ローラ40により本体部3の内部へと引き込まれた複数の原稿シートGを搬送経路22に沿って連続して搬送する。給紙ローラ40及び搬送ローラ44では、搬送速度が給紙ローラ40よりも搬送ローラ44のほうが速く設定されている。給紙ローラ40及び搬送ローラ44では、当該搬送速度の差を利用して、いわゆるワンウェイクラッチ機構が構成されており、後述する中央処理装置(以下、CPU)20が原稿シートGの原稿サイズを認識していなくても、原稿シートGの原稿サイズに応じて連続して搬送される原稿シートGの原稿間距離が設定される機構が構成されている。
【0026】
画像読取部30は、搬送経路22上の読取位置P1に配置され、搬送経路22に沿った搬送方向D2に搬送される原稿シートGの一方の面を読取位置P1で読み取る。また、読取位置P1の搬送経路22を挟んで画像読取部30に対向する位置には、搬送経路22上の原稿シートGを画像読取部30側に押しつける原稿押さえ部材46が配置されている。原稿押さえ部材46は、画像読取部30に対向する対向面46Aが、例えば、白色であり、その反射率は白色の原稿シートGの反射率よりも高い。画像読取部30は、また、原稿押さえ部材46の対向面46Aを読取位置P1で読み取る。原稿押さえ部材46は、対向部材の一例である。
【0027】
図1に示すように、画像読取部30は、光源31、受光部34を含む。光源31は、搬送方向D2と直交する主走査方向D1に配列され複数の発光ダイオード32(以下、LED)を含む。光源31には、青色の光を発光する青色LED32B、緑色の光を発光する緑色LED32G、赤色の光を発光する赤色LED32Rが、搬送方向D2の上流側から互いにずれた位置に配置されている。光源31は、各LED32から発光される光を、搬送経路22の上流側から下流側に斜めに出射する。
【0028】
受光部34は、主走査方向D1に直線状に配列された複数の受光素子を含む。受光部34は、各LED32から照射され、読取位置P1を通過する原稿シートGの一方の面で反射された光を各受光素子を用いて受光する。また、画像読取部30は、各LED32から照射され、原稿押さえ部材46の対向面46Aで反射された光を各受光素子を用いて受光する。
【0029】
搬送経路22上の読取位置P1よりも下流側に、排紙ローラ50が配置されている。排紙ローラ50は、給紙ローラ40及び搬送ローラ44と同様にモータMにより回転駆動され、搬送経路22上に搬送された原稿シートGを排紙トレイ4に送り出す。つまり、給紙ローラ40と搬送ローラ44と排紙ローラ50とによって、給紙トレイ2に載置された複数の原稿シートGを搬送経路22に沿って搬送する搬送部15(
図2参照)が形成されている。
【0030】
排紙トレイ4の搬送経路22側には、上側に突出した突出部52が設けられており、排紙トレイ4に送り出された原稿シートGの搬送経路22側は、突出部52に従って上側に反り上がる。そのため、搬送経路22に沿って後から搬送された原稿シートGは、先に搬送された原稿シートGであって、排紙トレイ4に送り出された結果、搬送経路22側が上側に反り上がった原稿シートGと突出部52の間、つまり先に搬送された原稿シートGの下側に潜り込むように送り出される。この結果、給紙トレイ2において一方の面が下を向いた状態で下側から順番に載置されていた複数の原稿シートGが、排紙トレイ4において一方の面が上を向いた状態で上側から順番に載置される、いわゆる潜り込み排紙機構が構成されている。
【0031】
Fセンサ13は、給紙トレイ2上に配置され、給紙トレイ2に原稿シートGが載置された場合にオンし、給紙トレイ2に原稿シートGが載置されていない場合にオフする。また、画像読取装置1には、電源スイッチや各種設定ボタンからなり、使用者からの操作指令等を受け付ける操作部11や、LEDや液晶ディスプレイからなり画像読取装置1の状況を表示する表示部12が設けられている。
【0032】
2.画像読取装置の電気的構成
図2に示すように、画像読取装置1は、CPU20と、ROM26と、RAM27と、ASIC29と、デバイス制御部23と、アナログフロントエンド(以下、AFE)24と、モータドライバ25と、画像処理部28と、を備え、これらに画像読取部30、搬送部15、操作部11、表示部12、Fセンサ13等が接続されている。
図3に実線21で示すように、CPU20と、ROM26と、RAM27と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)29とを含めたものが、制御部の一例であり、また、ROM26と、RAM27とを含めたものが、記憶部の一例である。
【0033】
ROM26には、画像読取装置1の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されており、CPU20は、ROM26から読み出したプログラムに従って各部の制御を行うとともに、必要に応じてASIC29を用いて後述する読取処理等の処理を実行する。また、ROM26には、後述する基準エッジ画素数、基準最高画素数、基準ピーク輝度等が記憶されている。
【0034】
デバイス制御部23は、画像読取部30に接続されており、CPU20からの命令に基づいて読取制御信号を画像読取部30に送信する。画像読取部30は、デバイス制御部23からの読取制御信号に基づいて、各色のLED32を各々点灯し、原稿押さえ部材46の対向面46A、及び、原稿シートGを読み取る。
【0035】
画像読取部30は、原稿押さえ部材46の対向面46A、及び、原稿シートGを読み取る際に、搬送経路22の読取位置P1において、読み取りを繰り返す。画像読取部30は、1回の読み取りで主走査方向D1に配列された各受光素子により取得された画素データの集まりである読取画像データを取得する。画像読取部30は、取得した読取画像データをAFE2
4に出力する。
【0036】
AFE24は、画像読取部30に接続されており、画像読取部30から出力されるアナログ信号の読取画像データをデジタル信号、つまり階調データの読取画像データに変換する。AFE24は、変換した読取画像データをRAM27に記憶する。
【0037】
画像処理部28は、RAM27に記憶された読取画像データに対して、2値化処理やエンハンス処理等のエッジ抽出処理を行い、エッジ画素の数を抽出する。また、RAM27に記憶された読取画像データに含まれる各画素データの輝度分布であるヒストグラムを生成する分布生成処理を行い、ヒストグラムの最大画素数、及び、当該最大画素数におけるピーク輝度を抽出する。
【0038】
モータドライバ25は、モータMに接続され、パルス信号に基づいてモータMを回転駆動する。モータMの回転駆動によって搬送部15である給紙ローラ40、搬送ローラ44、排紙ローラ50が回転し、原稿シートGが搬送される。
【0039】
3.読取処理
次に、
図3から
図9を参照して、原稿シートGの読取処理について説明する。
図3は、CPU20が所定のプログラムに従って実行する読取処理のフローチャートを示す。
【0040】
CPU20は、Fセンサ13を用いて給紙トレイ2に原稿シートGが載置されたことを確認し、操作部11を介して使用者から原稿シートGの画像読取指示が入力されると、以下の処理を開始する。
【0041】
CPU20は、読取処理を開始すると、画像読取部30に対して緑色LED32Gの点灯を指示するとともに、1ラインの読み取りを指示する(S2)。これにより、画像読取部30は、原稿シートGを読み取る(S26〜S34)に先駆けて、原稿押さえ部材46の対向面46Aを1回読み取り、読取画像データがRAM27に記憶される。
【0042】
次に、CPU20は、RAM27に記憶された読取画像データに対して、画像処理部28を用いて分布生成処理を行い、当該読取画像データにおける読取画像の最大画素数及びピーク輝度を算出する(S4)。CPU20は、算出した最大画素数及びピーク輝度を参照最大画素数及び参照ピーク輝度としてRAM27に記憶する(S6)。
【0043】
また、CPU20は、RAM27に記憶された読取画像データに対して、画像処理部28を用いてエッジ抽出処理を行い、当該読取画像データにおける読取画像のエッジ画素数を算出する(S8)。CPU20は、算出したエッジ画素数を参照エッジ画素数としてRAM27に記憶する(S10)。参照最大画素数、参照ピーク輝度、参照エッジ画素数等の参照データがRAM27に記憶されると、CPU20は、検出カウント基準値設定処理を実行する(S12)。参照データは、読取画像データの値の一例である。
【0044】
(検出カウント基準値設定処理)
検出カウント基準値設定処理において、CPU20は、RAM27に記憶された参照データをROM26に記憶された基準データと比較し、原稿シートGの搬送方向D2における先端(以下、原稿シートGの先端)の検出に用いる先端検出カウント基準値、及び、原稿シートGの搬送方向D2における後端(以下、原稿シートGの後端)の検出に用いる後端検出カウント基準値を設定する。
【0045】
ここで、基準データとは、基準最大画素数、基準ピーク輝度、基準エッジ画素数等を意味する。基準最大画素数、基準ピーク輝度、基準エッジ画素数とは、画像読取装置1の出荷時や、使用開始時等において原稿押さえ部材46の対向面46Aを読み取って取得された読取画像データにおける読取画像から算出された最大画素数、ピーク輝度、エッジ画素数である。つまり、これらの基準データは、画像読取装置1の使用初期段階であって、原稿押さえ部材46の対向面46Aにゴミ等の付着が少ない状態で取得された値である。基準データは、基準値の一例である。
【0046】
図5に示すように、検出カウント基準値設定処理において、CPU20は、まず、ROM26から基準データを読み出し(S52)、RAM27に記憶された参照最大画素数を、基準最大画素数と比較する(S54)。また、RAM27に記憶された参照ピーク輝度を、基準ピーク輝度と比較する(S56)。
【0047】
CPU20は、上記の比較において、比較する値が所定範囲において一致するかを確認する。ここで、所定範囲とは誤差範囲を意味し、所定範囲において一致する場合には、比較する値の差異が誤差程度であり、所定範囲において一致しない場合には、比較する値の差異が誤差以上であることを意味する。CPU20は、参照ピーク輝度と基準ピーク輝度とが所定範囲で一致し、且つ、参照最大画素数と基準最大画素数とが所定範囲で一致する場合(S54:YES、S56:YES)、先端検出カウント基準値及び後端検出カウント基準値を小値(
図5「小」)に設定する(S58)。小値は、1以上の自然数であり、例えば、先端検出カウント基準値の小値は、「2」であり、後端検出カウント基準値の小値は、「4」である。小値は、第2回数の一例である。
【0048】
一方、CPU20は、参照ピーク輝度と基準ピーク輝度とが所定範囲で一致しない場合(S54:NO)、又は、参照最大画素数と基準最大画素数とが所定範囲で一致しない場合、の少なくとも一方と判断された場合(S54:YES、S56:NO)、先端検出カウント基準値及び後端検出カウント基準値を大値(
図5「大」)に設定する(S60)。例えば、先端検出カウント基準値の大値は、「5」であり、後端検出カウント基準値の大値は、「8」である。大値は、第1連続回数の一例である。
【0049】
次に、CPU20は、RAM27に記憶された参照エッジ画素数を、基準エッジ画素数と比較する(S62)。CPU20は、参照エッジ画素数と基準エッジ画素数とが所定範囲で一致する場合(S62:YES)、先端検出カウント基準値及び後端検出カウント基準値を小値に維持し、検出カウント基準値設定処理を終了する。一方、参照エッジ画素数と基準エッジ画素数とが所定範囲で一致しない場合(S62:NO)、先端検出カウント基準値及び後端検出カウント基準値を大値に設定し直し、或は、大値に維持し(S64)、検出カウント基準値設定処理を終了する。
【0050】
つまり、CPU20は、参照ピーク輝度と基準ピーク輝度とが所定範囲で一致すると判断され、且つ、参照最大画素数と基準最大画素数とが所定範囲で一致すると判断され、且つ、参照エッジ画素数と基準エッジ画素数とが所定範囲で一致すると判断された場合、先端検出カウント基準値及び後端検出カウント基準値を、大値よりも小さい小値に設定する。一方、上記3つの判断のうち、少なくとも1つにおいて、所定範囲で一致しないと判断された場合、小値よりも大きい大値に設定する。そのため、大値は、2以上の自然数、つまり複数となる。
【0051】
なお、小値、大値のいずれにおいても、後端検出カウント基準値が先端検出カウント基準値よりも大きい値に設定されている。これは、画像読取部30の光源31が、搬送経路22の上流側から下流側に光を出射する構造であることに対応させて、原稿シートGの厚みにより影が、原稿シートの後端では原稿シートの先端よりも発生しにくいことによる。
【0052】
CPU20は、検出カウント基準値設定処理において先端検出カウント基準値及び後端検出カウント基準値が設定されると、動作モードを搬送モードに設定し、搬送部15に対して原稿シートGの搬送を指示し、原稿シートGの搬送を開始させる(S14)とともに、原稿シートGの搬送開始からの経過時間を計時する。次に、CPU20は、原稿有無検出処理を実行する(S16)。
【0053】
なお、搬送モードにおける原稿シートGの搬送は、後述する読取モードにおける原稿シートGの搬送と異なる。搬送モードにおける原稿シートGの搬送では、原稿有無検出処理において実行される原稿シートGの先端の検出に適した搬送速度で原稿シートGが搬送される。
【0054】
(原稿有無検出処理)
原稿有無検出処理において、CPU20は、先端検出カウント基準値を用いて原稿シートGの先端が読取位置P1に到達したことを検出する。そのため、原稿有無検出処理は、先端検出処理ということもできる。
【0055】
図6に示すように、原稿有無検出処理において、CPU20は、まず、先端検出カウント基準値との比較に用いられる先端検出カウントを「0」にリセットし(S72)、画像読取部30に対して緑色LED32Gの点灯を指示するとともに、1ラインの読み取りを指示する(S74)。つまり、CPU20は、原稿シートGの先端が読取位置P1に到達する前から、画像読取部30に読み取りを開始させる。
【0056】
CPU20は、直前のS74においてRAM27に記憶された読取画像データに対して、画像処理部28を用いて分布生成処理を行い、当該読取画像データにおける読取画像の最大画素数及びピーク輝度を算出する(S76)。以下、RAM27に記憶された読取画像データを説明する場合、その読取画像データは、指定された処理において最も新しくRAM27に記憶された読取画像データを意味するものとする。
【0057】
また、CPU20は、直前のS74においてRAM27に記憶された読取画像データに対して、画像処理部28を用いてエッジ抽出処理を行い、当該読取画像データにおける読取画像のエッジ画素数を算出する(S78)。S76、78で算出される最大画素数、ピーク輝度、及び、エッジ画素数は、読取処理によって取得された読取画像データの値の一例である。
【0058】
次に、CPU20は、算出したエッジ画素数をRAM27に記憶された参照エッジ画素数と比較し(S80)、算出したエッジ画素数がRAM27に記憶された参照エッジ画素数よりも閾値以上大きいかを確認する。閾値は、第1規定値の一例である。CPU20は、算出したエッジ画素数と参照エッジ画素数との差が閾値よりも小さい場合(S80:NO)、更に、算出した最大画素数とRAM27に記憶された参照最大画素数とを比較し、算出したピーク輝度とRAM27に記憶された参照ピーク輝度とを比較する(S82)。
【0059】
CPU20は、算出した最大画素数と参照最大画素数算出とが所定範囲で一致し、算出したピーク輝度と参照ピーク輝度とが指定範囲で一致する場合(S82:YES)、先端検出カウントを再度、「0」にリセットする(S86)。指定範囲は、第2規定値の一例である。つまり、CPU20は、算出したエッジ画素数、最大画素数、ピーク輝度等の算出データの全てが、参照データに対して閾値や指定範囲など、予め定められた規定値以上異ならない値のまま維持されていると判断した場合、先端検出カウントをリセットする。
【0060】
一方、CPU20は、算出したエッジ画素数と参照エッジ画素数との差が閾値以上である場合(S80:YES)、或は、算出した最大画素数と参照最大画素数算出とが所定範囲で一致しない場合、或は、算出したピーク輝度と参照ピーク輝度とが指定範囲で一致しない場合(S80:NO、S82:NO)、先端検出カウントを「1」増加させる(S84)。つまり、CPU20は、少なくとも1つの算出データが、対応する参照データに対して規定値以上異なる値に変化したと判断した場合、先端検出カウントを増加させる。算出したエッジ画素数と参照エッジ画素数との差が閾値以上に変化することが、エッジ条件の一例であり、算出した最大画素数と参照最大画素数算出とが所定範囲で一致しないことが、濃度条件の一例であり、算出したピーク輝度と参照ピーク輝度とが指定範囲で一致しないことが、濃度条件の別例である。
【0061】
CPU20は、先端検出カウントを増加させると、増加後の先端検出カウントを先端検出カウント基準値と比較する(S88)。CPU20は、増加後の先端検出カウントが先端検出カウント基準値よりも小さい場合(S88:NO)、或は、先端検出カウントがリセットされた場合(S86)、S74でRAM27に記憶された読取画像データは、原稿押さえ部材46の対向面46Aを読み取った読取画像データであると判断する。つまり、CPU20は、原稿シートGの先端が読取位置P1に到達していないと判断する。
【0062】
この場合、CPU20は、原稿シートGの搬送開始からの経過時間を確認する(S90)。ROM26には、原稿シートGの搬送速度に基づいて、原稿シートGの先端が読取位置P1まで搬送される第1基準搬送時間が記憶されており、CPU20は、原稿シートGの搬送開始からの経過時間を第1基準搬送時間と比較する。CPU20は、原稿シートGの搬送開始からの経過時間が第1基準搬送時間よりも短い場合(S90:NO)、S74からの処理を繰り返す。
【0063】
一方、原稿シートGの搬送開始からの経過時間が第1基準搬送時間以上である場合(S90:YES)、原稿シートGが搬送経路22を通過できずにジャムが発生している可能性が高い。この場合、CPU20は、表示部12にジャムエラーの発生の表示を指示し(S94)、原稿有無検出処理を終了するとともに、更に、
図4に示す読み取り処理において、搬送部15に対して原稿シートGの搬送停止を指示し(S38)、読取処理を終了する。
【0064】
また、CPU20は、増加後の先端検出カウントが先端検出カウント基準値以上である場合(S88:YES)、つまり、先端検出カウントを増加させる算出データの変化が先端検出カウント基準値以上連続した場合、S74でRAM27に記憶された読取画像データが、原稿シートGを読み取った読取画像データに切り換わったと判断する。この場合、CPU20は、当該読取画像データが読み取られたタイミングにおいて、原稿シートGの先端が読取位置P1に到達したと判断し、つまり、当該読取画像データが、原稿シートGの先端を読み取った読取画像データと判断し(S92)、原稿有無検出処理を終了する。
【0065】
図3において、CPU20は、原稿有無検出処理において原稿シートGの先端を検出すると、搬送部15に対して原稿シートGの搬送停止を指示し、原稿シートGの搬送を停止させる(S18)。次に、
図4において、CPU20は、動作モードを搬送モードから読取モードに変更し(S20)、後端検出カウント基準値との比較に用いられる
後端検出カウントを「0」にリセットする(S22)。
【0066】
そして、CPU20は、搬送部15に対して原稿シートGの搬送を指示し、読取モードでの原稿シートGの搬送を開始させ(S24)、画像読取部30に対して原稿シートGの読取開始を指示する(S26)。CPU20は、原稿シートGの読み取りを開始すると、所定時間毎に1ラインの読み取りを指示する(S28)。これにより、画像読取部30は、1回の1ラインの読み取りにおいて、各色のLED32を個別に点灯させ、各LED32の点灯期間において1回づつ読み取り、各色に対応する読取画像データをRAM27に記憶する。次に、CPU20は、後端検出処理を実行する(S30)。
【0067】
(後端検出処理)
後端検出処理において、CPU20は、S28においてRAM27に記憶された読取画像データ及び後端検出カウント基準値を用いて原稿シートGの後端が読取位置P1に到達したことを検出する。
【0068】
図7に示すように、後端検出処理において、CPU20は、まず、RAM27に記憶された各色の読取画像データに対して、画像処理部28を用いて分布生成処理を行い、各色の読取画像データにおける読取画像の最大画素数及びピーク輝度を算出する(S102)。また、CPU20は、RAM27に記憶された各色の読取画像データに対して、画像処理部28を用いてエッジ抽出処理を行い、各色の読取画像データにおける読取画像のエッジ画素数を算出する(S104)。S102、104で算出される最大画素数、ピーク輝度、及び、エッジ画素数は、読取処理によって取得された読取画像データの値の別例である。
【0069】
次に、CPU20は、算出した各色のエッジ画素数をRAM27に記憶された参照エッジ画素数と比較し(S106)、算出した各色のエッジ画素数がRAM27に記憶された参照エッジ画素数よりも閾値以上大きいかを確認する。CPU20は、算出した全色のエッジ画素数と参照エッジ画素数との差が閾値以上よりも小さい場合(S106:NO)、更に、算出した各色の最大画素数とRAM27に記憶された参照最大画素数とを比較し、算出した各色のピーク輝度とRAM27に記憶された参照ピーク輝度とを比較する(S108)。
【0070】
CPU20は、算出した少なくとも一色のエッジ画素数と参照エッジ画素数との差が閾値以上である場合(S106:YES)、或は、算出した少なくとも一色の最大画素数と参照最大画素数算出とが所定範囲で一致しない場合、或は、算出した少なくとも一色のピーク輝度と参照ピーク輝度とが指定範囲で一致しない場合(S106:NO、S108:NO)、後端検出カウントを再度、「0」にリセットする(S112)。つまり、CPU20は、少なくとも1つの算出データが、対応する参照データに対して規定値以上異なる値のまま維持されていると判断した場合、後端検出カウントをリセットする。
【0071】
一方、CPU20は、算出した全色の最大画素数と参照最大画素数算出とが所定範囲で一致し、且つ、算出した全色のピーク輝度と参照ピーク輝度とが所定範囲で一致する場合(S108:YES)、後端検出カウントを「1」増加させる(S110)。つまり、CPU20は、全ての算出データが、規定値以上異ならない値に変化したと判断した場合、後端検出カウントを増加させる。
【0072】
CPU20は、後端検出カウントを増加させると、増加後の後端検出カウントを後端検出カウント基準値と比較する(S114)。CPU20は、増加後の後端検出カウントが後端検出カウント基準値よりも小さい場合(S114:NO)、或は、先端検出カウントがリセットされた場合(S112)、S28でRAM27に記憶された読取画像データは、原稿シートGを読み取った読取画像データであると判断する。つまり、CPU20は、原稿シートGの後端が読取位置P1に到達しておらず、原稿シートGの後端を検出していないと判断し(S118)、後端検出処理を終了する。
【0073】
CPU20は、算出した最大画素数と参照最大画素数算出とが所定範囲で一致し、算出したピーク輝度と参照ピーク輝度とが所定範囲で一致する場合(S78:YES)、S10でRAM27に記憶された読取画像データが、原稿押さえ部材46の対向面46Aを読み取った読取画像データに切り換わったと判断する。この場合、CPU20は、当該読取画像データが読み取られたタイミングにおいて、原稿シートGの後端が読取位置P1に到達したと判断し、つまり、当該読取画像データが、原稿シートGの後端を読み取った読取画像データと判断し(S80)、後端検出処理を終了する。
【0074】
一方、CPU20は、増加後の後端検出カウントが後端検出カウント基準値以上である場合(S114:YES)、つまり、後端検出カウントを増加させる算出データの変化が後端検出カウント基準値以上連続した場合、S28でRAM27に記憶された読取画像データが、原稿シートGを読み取った読取画像データに切り換わったと判断する。この場合、CPU20は、当該読取画像データが読み取られたタイミングにおいて、原稿シートGの後端が読取位置P1に到達したと判断し、つまり、当該読取画像データが、原稿シートGの後端を読み取った読取画像データと判断し(S116)、後端検出処理を終了する。
【0075】
後端検出処理終了後、CPU20は、
図4に示す読取処理において、後端検出処理において後端が検出されたか否かを確認する(S32)。CPU20は、後端が検出されていない場合(S32:NO)、原稿シートGの搬送開始からの経過時間を確認する(S40)。ROM26には、原稿シートGの搬送速度に基づいて、原稿シートGの後端が読取位置P1まで搬送される第2基準搬送時間が記憶されており、CPU20は、原稿シートGの搬送開始からの経過時間を第2基準搬送時間と比較する。CPU20は、原稿シートGの搬送開始からの経過時間が第2基準搬送時間よりも短い場合(S40:NO)、S28からの処理を繰り返す。
【0076】
また、原稿シートGの搬送開始からの経過時間が第2基準搬送時間以上である場合(S40:YES)、原稿シートGが搬送経路22を通過できずにジャムが発生している可能性が高い。この場合、CPU20は、表示部12にジャムエラーの発生の表示を指示する(S42)。そして、CPU20は、画像読取部30に対して原稿シートGの読取停止を指示する(S44)とともに、搬送部15に対して原稿シートGの搬送停止を指示し(S38)、読取処理を終了する。
【0077】
一方、後端が検出されている場合(S32:YES)、CPU20は、画像読取部30に対して原稿シートGの読取停止を指示する(S34)。次に、CPU70は、Fセンサ13の状態を確認し(S36)、Fセンサ13がオンしている場合(S36:YES)、つまり、給紙トレイ2に原稿シートGが残っている場合には、S16からの処理を繰り返す。一方、Fセンサ13がオフしている場合(S18:NO)、搬送部15に対して原稿シートGの搬送停止を指示して(S38)、読取処理を終了する。
【0078】
4.本実施形態の効果
(1)本実施形態の画像読取装置1では、原稿シートGの先端を判断するのに用いられる先端検出カウント基準値、及び、原稿シートGの後端を判断するのに用いられる後端検出カウント基準値を設定する際に、原稿シートGが読取位置P1に搬送される前の原稿押さえ部材46の対向面46Aを読み取った読取画像データから算出される参照データをROM26に記憶された基準データと比較し、その比較結果に基づいて先端検出カウント基準値及び後端検出カウント基準値を設定する。
【0079】
画像読取装置1の使用初期段階では、原稿押さえ部材46の対向面46Aに付着しているゴミや汚れ等が比較的少ないことから、参照データと基準データとがほぼ一致する。そのため、
図8にエッジ画素数を用いて示すように、使用初期段階の上図では、参照エッジ画素数に基づいて当該参照エッジ画素数より閾値だけ大きい上限値を設定したとしても、原稿シートGを読み取った読取画像データから算出されるエッジ画素数と上限値との間には、十分な差異が存在している。
【0080】
従って、
図8に印54に示すように、原稿シートGに記載されたパターンによって、原稿シートGを読み取った読取画像データから算出されるエッジ画素数が変化した場合でも、その値が上限値を超えて下回ることが生じなかった。また、原稿押さえ部材46の対向面46Aに付着しているゴミや汚れ等が比較的少ないことから、原稿押さえ部材46の対向面46Aを読み取った読取画像データから算出されるエッジ画素数が上限値を超えて上回ることがなかった。
【0081】
しかし、矢印62で示すように、画像読取装置1の使用期間が長くなると、原稿押さえ部材46の対向面46Aに付着しているゴミや汚れ等が増大し、
図8の下図に示すように、参照データと基準データ(
図8二点鎖線参照)とが所定範囲内で一致しなくなる。その結果、原稿シートGを読み取った読取画像データから算出されるエッジ画素数と上限値との間の差異が小さくなり、
図8に印56に示すように、原稿シートGに記載されたパターンによっては、原稿シートGを読み取った読取画像データから算出されるエッジ画素数が上限値を超えて下回ることが生じていた。また、
図8に印58に示すように、原稿押さえ部材46の対向面46Aに付着しているゴミ等による乱反射により、原稿押さえ部材46の対向面46Aを読み取った読取画像データから算出されるエッジ画素数が上限値を超えて上回ることが生じていた。
【0082】
そのため、参照エッジ画素数と基準エッジ画素数とが所定範囲で一致しない場合に、原稿押さえ部材46の対向面46Aを読み取った読取画像データから算出されるエッジ画素数が上限値を超えて上昇する異常事象が1回生じただけで、原稿シートGの先端が読取位置P1に到達したと判断すると、原稿シートGの先端を誤判断してしまう。また、原稿シートGを読み取った読取画像データから算出されるエッジ画素数が上限値を超えて下回る異常事象が1回生じただけで、原稿シートGの後端が読取位置P1に到達したと判断すると、原稿シートGの後端を誤判断してしまう問題が生じていた。
【0083】
また、
図9に示すように、画像読取装置1の使用初期段階では、原稿押さえ部材46の対向面46Aに付着しているゴミや汚れ等が比較的少ないことから、原稿押さえ部材46の対向面46Aを読み取って生成されたヒストグラムが、
図9の上図に示すように、原稿押さえ部材46の対向面46Aの反射率に対応するピーク輝度に集中するヒストグラムとなり、参照最高画素数と基準最高画素数とがほぼ一致する。そのため、参照最高画素数に基づいて所定範囲を設定した場合、仮に原稿シートGを読み取った読取画像データから算出されるピーク輝度と参照ピーク輝度が一致場合であっても、原稿シートGを読み取った読取画像データ(
図9破線参照)から算出される最高画素数と参照最高画素数とが所定範囲内で一致することはない。
【0084】
しかし、矢印64で示すように、画像読取装置1の使用期間が長くなると、原稿押さえ部材46の対向面46Aに付着しているゴミや汚れ等が増大し、ゴミ等の影響によって、参照最高画素数が減少し、参照最高画素数と基準最高画素数(
図9二点鎖線参照)とが所定範囲内で一致しなくなる。その結果、
図9の下図に印60で示すように、原稿シートGに記載されたパターンによっては、原稿シートGを読み取った読取画像データから算出される最高画素数と参照最高画素数とが指定範囲内で一致する異常事象が生じることがある。これにより、原稿シートGの後端が読取位置P1に到達したと判断すると、原稿シートGの後端を誤判断してしまう。
【0085】
本実施形態の画像読取装置1では、参照データと基準データとが所定範囲で一致しない場合に、先端検出カウント基準値及び後端検出カウント基準値を大値、つまり、複数に設定する。これにより、異常事象が1回生じただけでは、原稿シートGの先端や後端が誤判断されることがない。また、異常事象は、複数回連続して生じることは稀である。そのため、読取画像データを用いて原稿シートGの先端や後端が読取位置P1に到達したことを正確に判断することができる。
【0086】
(2)その一方、参照データと基準データとが所定範囲で一致する場合、先端検出カウント基準値及び後端検出カウント基準値を増大させておく必要がない。先端検出カウント基準値及び後端検出カウント基準値を増大させておくと、例えば、原稿シートGの先端を検出する際に、先端検出カウントが先端検出カウント基準値となるまで1ラインの読み取りを繰り返す必要があり、原稿シートGの先端を検出するまでの時間が遅延する。また、先端検出カウントが先端検出カウント基準値となるまで原稿シートGは搬送し続けられていることから、原稿シートGの先端を検出した際には、原稿シートGの先端が読取位置P1を通過してから先端検出カウント基準値に相当する距離だけ搬送されており、原稿シートGの先端の位置に誤差が生じる。これは、原稿シートGの後端を検出する際も同様である。
【0087】
本実施形態の画像読取装置1では、参照データと基準データとが所定範囲で一致しない場合に、先端検出カウント基準値及び後端検出カウント基準値を大値よりも小さい小値に設定する。これにより、原稿シートGの先端及び後端を検出するまでの時間の遅延や、原稿シートGの先端及び後端を検出する際の誤差の発生を抑制することができる。
【0088】
(3)本実施形態の画像読取装置1では、先端検出カウント基準値及び後端検出カウント基準値を設定する際の基準データとして、エッジ画素数、最高画素数、及び、ピーク輝度を用いる。そのため、原稿シートGの先端及び後端が読取位置P1に到達したときのこれらの値の変化、又は、変化の組み合わせから、原稿シートGの先端及び後端を検出することができる。
【0089】
(4)本実施形態の画像読取装置1では、先端検出カウントを増加させる条件を、後端検出カウントを増加させる条件と異ならせ、先端検出カウントにおいては、算出したエッジ画素数、最大画素数、ピーク輝度等の算出データの少なくとも1つが、規定値以上異なる値に変化した場合、先端検出カウントを増加させる。一方、後端検出カウントにおいては、算出データの全てが、規定値以上異ならない値に変化した場合、後端検出カウントを増加させる。つまり、後端検出カウントを増加させる条件を先端検出カウントを増加させる条件より厳しく設定している。
【0090】
原稿シートGの後端の判断では、原稿シートGに記載されたパターンの影響を受けるため、原稿シートGの先端の判断に比べて、判断が難しい。例えば、原稿シートに記載されたパターンが黒一色のベタパターンである場合、エッジ画素が存在しないことからエッジ画素数が減少し、このエッジ画素数の減少に伴って原稿シートGの後端が判断されると、原稿シートGの後端を誤判断されてしまう。この画像読取装置1では、後端検出カウントを増加させる条件を先端検出カウントを増加させる条件より厳しく設定することで、原稿シートGの後端が誤判断されるのを抑制することができる。また、先端検出カウントを増加させる条件を後端検出カウントを増加させる条件より緩く設定することで、原稿シートGの先端の判断に係る装置負担を軽減することができる。
【0091】
(5)本実施形態の画像読取装置1では、後端検出カウント基準値を先端検出カウント基準値よりも大きい値に設定している。本実施形態の画像読取装置1のように、画像読取部30の光源31が、搬送経路22の上流側から下流側に光を出射する構造である場合、原稿シートGの厚みにより影が、原稿シートの後端では原稿シートGの先端に比べて発生しにくく、算出データの変化が検出しづらい。この画像読取装置1では、後端検出カウント基準値を先端検出カウント基準値よりも大きい値に設定することで、原稿シートGの後端が読取位置P1に到達したことを精度良く判断することができる。
【0092】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、スキャナ機能を備えた画像読取装置1を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られず、プリンタ機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを備えた複合機であっても良い。
【0093】
(2)上記実施形態では、画像読取装置1が1つのCPU20及び1つのASIC29を有し、このCPU20が必要に応じてASIC29を用いて読取処理等の各種処理を実行する制御部が構成される例を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。例えば、CPUのみにより制御部が実行する処理を実行してもよければ、ASICのみにより制御部が実行する処理を実行していてもよい。さらには、単数又は複数のCPU及びASICによって、制御部が実行する処理を実行していてもよい。
【0094】
(3)また、CPU20が実行するプログラムは必ずしもROM26に記憶されている必要はなく、CPU20自身に記憶されていてもよければ、他の記憶装置に記憶されていても良い。
【0095】
(4)上記実施形態では、後端検出カウント基準値を先端検出カウント基準値よりも大きい値に設定する例を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。例えば、画像読取部30の光源31が、搬送経路22の下流側から上流側に光を出射する構造である場合、先端検出カウント基準値を後端検出カウント基準値よりも大きい値に設定しても良い。また、画像読取部30の構造に関わらず、先端検出カウント基準値と後端検出カウント基準値とを等しい値に設定してもよい。
【0096】
(5)上記実施形態では、後端検出カウントを増加させる条件を先端検出カウントを増加させる条件より厳しく設定する例を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。例えば、先端検出カウントを増加させる条件を後端検出カウントを増加させる条件と同様に厳しく設定してもよい。これにより、原稿シートGの後端が誤判断されるのを抑制することができる。
【0097】
(6)上記実施形態では、先端検出カウント基準値及び後端検出カウント基準値の小値が複数である例を用いて説明を行ったが、単数に設定されていてもよい。単数に設定することで、原稿シートGの先端及び後端を検出するまでの時間の遅延や、原稿シートGの先端及び後端を検出する際の誤差の発生を抑制することができる。