特許第6044444号(P6044444)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044444
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   H02M3/155 H
【請求項の数】3
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-95724(P2013-95724)
(22)【出願日】2013年4月30日
(65)【公開番号】特開2014-217261(P2014-217261A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】西村 次夫
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−048830(JP,A)
【文献】 特開2004−229476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00 − 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々の一端がコイルの一端に接続されている第1及び第2スイッチと、一端が前記コイルの他端に接続されている第3スイッチと、前記コイル及び第2スイッチ夫々の他端間に接続されている第4スイッチとを各別にオン/オフすることによって、前記第1及び第2スイッチ夫々の他端間に印加された電圧を変換する変換装置において、
アノード及びカソード夫々が前記第3スイッチの一端及び他端に接続されているダイオードと、
前記電圧の変換を終了する場合に、前記第3スイッチのオフを維持する維持手段とを備え、
該維持手段が前記第3スイッチのオフを維持している間に、前記第3スイッチの他端と前記第4スイッチの前記第2スイッチ側の一端との間に流れる電流を減少させるように構成してあること
を特徴とする変換装置。
【請求項2】
前記第1及び第2スイッチを相補的にオン/オフする第1オン/オフ手段と、
前記第3及び第4スイッチを相補的にオン/オフする第2オン/オフ手段と、
前記電流に係る値の大小に応じて前記第1スイッチのオン/オフのデューティを小大に調整する第1調整手段と、
前記電流に係る値の大小に応じて前記第4スイッチのオン/オフのデューティを小大に調整する第2調整手段と
を備え、
前記維持手段は、前記電圧の変換を終了する場合に、前記第2オン/オフ手段が行う前記第3及び第4スイッチの相補的なオン/オフよりも優先して前記第3スイッチのオフを維持し、
前記第1及び第4スイッチ夫々のオン/オフのデューティを小さくすることによって前記電流を減少させるように構成してあること
を特徴とする請求項1に記載の変換装置。
【請求項3】
前記変換が終了している期間、第1及び第3スイッチ夫々をオフに維持するように構成してあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印加された電圧の昇圧及び降圧を行い、該電圧を変換する変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、バッテリの他に蓄電池が搭載されている車両が普及しており、このような車両には、バッテリの出力電圧の昇圧及び降圧を行って出力電圧を変換し、変換した電圧を蓄電池に印加する変換装置が搭載されている。
【0003】
従来の変換装置として、夫々の一端がコイルの一端に接続されている第1及び第2スイッチと、一端がコイルの他端に接続されている第3スイッチと、コイル及び第2スイッチ夫々の他端間に接続されている第4スイッチとを各別にオン/オフすることによって、第1及び第2スイッチ夫々の他端間の電圧を変換する変換装置がある。
【0004】
この従来の変換装置では、第1及び第2スイッチの他端間にバッテリが接続され、第3及び第4スイッチの他端間に蓄電池が接続されており、第1、第2、第3及び第4スイッチを各別にオン/オフすることによって、バッテリの出力電圧が変換され、変換された電圧が蓄電池に出力される。
【0005】
バッテリの出力電圧を降圧する場合、第3及び第4スイッチ夫々をオン及びオフに維持した状態で、第1及び第2スイッチ夫々がオン及びオフである状態と、第1及び第2スイッチ夫々がオフ及びオンである状態とを交互に遷移させる。
【0006】
ここで、バッテリの出力電圧を降圧するために第2スイッチをオンにした場合、蓄電池から、即ち、電圧の出力側からコイルへ電流が流れ、バッテリの出力電圧が適正に変換されない虞がある。このように、電圧の出力側からコイルへの電流の逆流を防止することができる変換装置が特許文献1に開示されている。
【0007】
特許文献1の変換装置では、第1、第2、第3及び第4スイッチに半導体スイッチが用いられており、第1、第2、第3及び第4スイッチ夫々の両端子間には寄生ダイオードが接続されている。1つの寄生ダイオードにおいて、アノードは第3スイッチの一端に接続され、カソードは第3スイッチの他端に接続されている。
【0008】
特許文献1に記載の変換装置では、バッテリの出力電圧を降圧する場合、第3スイッチをオフに維持した状態で第1、第2及び第4スイッチを各別にオン/オフすることによって出力電圧を変換する。このため、寄生ダイオードによって蓄電池からバッテリへの電流の逆流が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012−205427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の変換装置では、バッテリの出力電圧を変換している間、寄生ダイオードを介して電流が蓄電池に流れ続けているため、寄生ダイオードの電圧降下による電力の損失が大きいという問題点がある。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電圧の印加側からコイルへ十分な電流が流れている間には電圧の出力側からコイルに電流が逆流することはないことに着眼して、電圧の出力側からコイルへの電流の逆流を防止することができ、電力の損失が小さい変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る変換装置は、夫々の一端がコイルの一端に接続されている第1及び第2スイッチと、一端が前記コイルの他端に接続されている第3スイッチと、前記コイル及び第2スイッチ夫々の他端間に接続されている第4スイッチとを各別にオン/オフすることによって、前記第1及び第2スイッチ夫々の他端間に印加された電圧を変換する変換装置において、アノード及びカソード夫々が前記第3スイッチの一端及び他端に接続されているダイオードと、前記電圧の変換を終了する場合に、前記第3スイッチのオフを維持する維持手段とを備え、該維持手段が前記第3スイッチのオフを維持している間に、前記第3スイッチの他端と前記第4スイッチの前記第2スイッチ側の一端との間に流れる電流を減少させるように構成してあることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、コイルの一端に第1及び第2スイッチ夫々の一端が接続され、コイルの他端に第3及び第4スイッチ夫々の一端が接続され、第2及び第4スイッチ夫々の他端が接続されている。また、ダイオードのアノード及びカソード夫々は、第3スイッチの一端及び他端に接続されている。
【0014】
例えば、第1及び第2スイッチ夫々の他端間にバッテリが接続され、第3及び第4スイッチ夫々の他端間に蓄電池が接続されている場合、第1、第2、第3及び第4スイッチをオン/オフすることによって、バッテリの出力電圧を変換し、変換した電圧を蓄電池に出力する。
【0015】
第1、第2、第3及び第4スイッチを各別にオン/オフすることによって、第1及び第2スイッチ夫々の他端間に印加された電圧を変換している間、バッテリ、即ち、電圧の印加側からコイルに十分な電流が流れている。このため、第2及び第3スイッチがオンであっても、電流が電圧の出力側からコイルに流れることはなく、更に、ダイオードを介して電流が流れないため、電力の損失は小さい。
【0016】
第1及び第2スイッチ夫々の他端間に印加された電圧の変換を終了する場合、第3スイッチのオフを維持する。第3スイッチのオフを維持することによって、蓄電池、即ち、電圧の出力側からコイルへの電流の逆流を防止している間に、第3スイッチの他端と第4スイッチの第2スイッチ側の一端との間に流れる電流を減少させる。これにより、電圧の印加側からコイルへ流れる電流を減らして電圧変換を終了する場合であっても、電流が電圧の出力側からコイルへ逆流することはない。
【0017】
本発明に係る変換装置は、前記第1及び第2スイッチを相補的にオン/オフする第1オン/オフ手段と、前記第3及び第4スイッチを相補的にオン/オフする第2オン/オフ手段と、前記電流に係る値の大小に応じて前記第1スイッチのオン/オフのデューティを小大に調整する第1調整手段と、前記電流に係る値の大小に応じて前記第4スイッチのオン/オフのデューティを小大に調整する第2調整手段とを備え、前記維持手段は、前記電圧の変換を終了する場合に、前記第2オン/オフ手段が行う前記第3及び第4スイッチの相補的なオン/オフよりも優先して前記第3スイッチのオフを維持し、前記第1及び第4スイッチ夫々のオン/オフのデューティを小さくすることによって前記電流を減少させるように構成してあることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、第1及び第2スイッチを相補的にオン/オフし、第3及び第4スイッチを相補的にオン/オフする。例えば、第1及び第2スイッチ夫々の他端間にバッテリが接続され、第3及び第4スイッチ夫々の他端間に蓄電池が接続されている場合、第1及び第2スイッチ夫々がオン及びオフであるとき、コイルに電流が流れ、コイルにエネルギーが蓄積される。そして、第1及び第2スイッチ夫々がオン及びオフである状態から第1及び第2スイッチ夫々がオフ及びオンである状態に切替わったとき、コイルに流れる電流が途絶える。コイルは、自身に流れる電流を維持すべく、蓄積されたエネルギーを放出し、コイルから蓄電池へ電流が流れる。放出によってコイルのエネルギーが減少するにつれて、第3スイッチの他端と第4スイッチの第2スイッチ側の一端との間に流れる電流が減少し、バッテリが印加した電圧が降圧され、変換される。このとき、降圧幅は、第1スイッチのオン/オフのデューティが小さい程大きい。変換された電圧は蓄電池に印加される。
【0019】
また、第3及び第4スイッチ夫々がオフ及びオンであるとき、バッテリからコイルに多量の電流が流れ、コイルにエネルギーが蓄積される。そして、第3及び第4スイッチ夫々がオフ及びオンである状態から第3及び第4スイッチ夫々がオン及びオフである状態に切替わったとき、蓄電池を経由するため、コイルに流れる電流は低下する。このとき、コイルは自身に流れる電流を維持すべく、蓄積されたエネルギーを放出して、第1スイッチ側のコイルの一端における電圧を基準として、第3スイッチ側の他端における電圧を昇圧する。これにより、バッテリが印加した電圧は昇圧され、変換される。このとき、昇圧幅は、第4スイッチのオン/オフのデューティが小さい程小さい。変換された電圧は蓄電池へ印加される。
【0020】
第1及び第4スイッチ夫々のオン/オフのデューティは、第3スイッチの他端と第4スイッチの第2スイッチ側の一端との間に流れる電流に係る値の大小に応じて小大に調整する。これにより、第3スイッチの他端と第4スイッチの第2スイッチ側の一端との間に流れる電流が大きい程、第1及び第4スイッチ夫々のオン/オフのデューティは小さくなって、バッテリが印加した電圧の降圧幅が大きくなり、昇圧幅が小さくなる。これにより、第3スイッチの他端と第4スイッチの第2スイッチ側の一端との間に流れる電流が小さくなる。また、第3スイッチの他端と第4スイッチの第2スイッチ側の一端との間に流れる電流が小さい程、第1及び第4スイッチ夫々のオン/オフのデューティは大きくなって、バッテリが印加した電圧の降圧幅が小さくなり、昇圧幅が大きくなる。これにより、第3スイッチの他端と第4スイッチの第2スイッチ側の一端との間に流れる電流が大きくなる。従って、第3スイッチの他端と第4スイッチの第2スイッチ側の一端との間に流れる電流が一定に保たれる。
【0021】
電圧の変換を終了する場合、第3及び第4スイッチの相補的なオン/オフよりも優先して第3スイッチのオフが維持され、第3スイッチがオフである状態で、第4スイッチはオン/オフされる。そして、第1及び第4スイッチ夫々のオン/オフのデューティを小さくすることによって、該電流は前述したように減少する。
【0022】
本発明に係る変換装置は、前記変換が終了している期間、第1及び第3スイッチ夫々をオフに維持するように構成してあることを特徴とする。
【0023】
本発明にあっては、電圧の変換を終了している期間、第1及び第3スイッチ夫々をオフに維持するので、電圧の印加側及び出力側からコイルへ電流が流れることが防止され、電圧の出力側からコイルへの電流の逆流が防止される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、第1、第2、第3及び第4スイッチを各別にオン/オフすることによって電圧を変換し、電圧の変換を終了する場合に、第3スイッチをオフに維持した状態で第3スイッチの一端と、第4スイッチの第2スイッチ側の一端との間に流れる電流を減少させるので、電圧の出力側からコイルへの電流の逆流を防止することができ、電力の損失が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施の形態1における変換装置の回路図である。
図2】変換装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図3】帰還回路の回路図である。
図4】変換装置による電圧変換の終了動作を説明するためのタイミングチャートである。
図5】実施の形態2における変換装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における変換装置1の回路図である。この変換装置1は、好適に車両に搭載され、バッテリ3の正極端子及び負極端子と、蓄電池4の正極端子及び負極端子とに各別に接続されている。変換装置1は、バッテリ3によって印加された電圧の昇圧及び降圧を行って該電圧を変換し、変換した電圧を蓄電池4に印加する。これにより、蓄電池4が充電される。
【0027】
変換装置1は、Nチャネル型のFET(Field Effect Transistor)11,12,13,14、差動増幅器15、帰還回路16、制御部17、反転器18,19、遅延器20,21,22,23、AND回路24、コンデンサC1、ダイオードD1,D2,D3,D4、コイルL1及び抵抗R1を備える。
【0028】
FET11のドレインはバッテリ3の正極端子に接続され、FET12のソースはバッテリ3の負極端子に接続されている。FET11のソース、及び、FET12のドレインはコイルL1の一端に接続されている。コイルL1の他端にはFET13のソース、及び、FET14のドレインが接続されており、FET12,14夫々のソースは互いに接続されている。このように、FET14は、コイルL1の他端、及び、FET12のソース間に接続されている。
【0029】
FET11,12,13,14夫々のドレインには、ダイオードD1,D2,D3,D4のカソードが接続されており、FET11,12,13,14夫々のソースには、ダイオードD1,D2,D3,D4のアノードが接続されている。ダイオードD1,D2,D3,D4夫々は、FET11,12,13,14の寄生ダイオードである。
【0030】
FET13のドレインには、更に、コンデンサC1及び抵抗R1の一端が接続されており、抵抗R1の他端には蓄電池4の正極端子が接続されている。FET14のソースには、更に、コンデンサC1の他端、及び、蓄電池4の負極端子が接続されている。抵抗R1の一端及び他端夫々には、差動増幅器15のプラス端子及びマイナス端子が接続されており、差動増幅器15の出力端子は帰還回路16に接続されている。
【0031】
帰還回路16は、差動増幅器15の他に、制御部17と、反転器18,19夫々の入力端子と、遅延器20,23とに接続されている。反転器18,19夫々の出力端子夫々は遅延器21,22に接続されている。遅延器20,21,23夫々は、FET11,12,14のゲートに接続されている。制御部17及び遅延器22夫々は、AND回路24の2つの入力端子に接続されている。AND回路24の出力端子はFET13のゲートに接続されている。
【0032】
FET11,12,13,14夫々は、第1、第2、第3及び第4スイッチとして機能する。FET11,12,13,14夫々は、ゲートに所定電圧以上の電圧が印加された場合、電流がドレイン及びソース間を流れてオンとなり、ゲートに印加されている電圧が所定電圧未満である場合、電流がドレイン及びソース間を流れず、オフとなる。
【0033】
変換装置1では、FET11,12,13,14を各別にオン/オフすることによって、FET11のドレイン、及び、FET12のソース間にバッテリ3が印加した電圧を変換する。変換した電圧は、FET13のドレイン、及び、FET14のソースから出力され、出力された電圧は、コンデンサC1によって平滑化された後、抵抗R1を介して蓄電池4に印加される。
【0034】
差動増幅器15は、プラス端子及びマイナス端子間に印加された電圧、即ち、抵抗R1の両端間の電圧を増幅し、増幅した電圧を出力端子から帰還回路16に出力する。抵抗R1の両端間の電圧は、抵抗R1に流れる電流の大きさに比例するため、差動増幅器15が出力する電圧は、抵抗R1を介して蓄電池4に流れる出力電流の大小に応じて大小となる。
【0035】
帰還回路16には、差動増幅器15から出力電流に応じた電圧が入力され、制御部17から参照電圧Vrと、2つの三角波W1,W2とが入力されている。帰還回路16は、差動増幅器15から入力された電圧と、制御部17から入力された参照電圧Vrとから閾値V1,V2を生成する。
【0036】
帰還回路16は、生成した閾値V1と三角波W1との関係に応じて、反転器19の入力端子、及び、遅延器23にハイレベル又はローレベルの電圧を出力する。ハイレベル及びローレベルの電圧は一定であり、ハイレベルの電圧は、ローレベルの電圧よりも低い。
【0037】
また、帰還回路16は、生成した閾値V2と三角波W2との関係に応じて、反転器18の入力端子、及び、遅延器20にハイレベル又はローレベルの電圧を出力する。
【0038】
反転器18,19夫々は、帰還回路16から入力端子にハイレベルの電圧が入力された場合に、出力端子からローレベルの電圧を出力し、帰還回路16から入力端子にローレベルの電圧が入力された場合に、出力端子からハイレベルの電圧を出力する。
【0039】
遅延器20,23夫々には、帰還回路16からハイレベル又はローレベルの電圧が入力され、遅延器21,22夫々には、反転器18,19からハイレベル又はローレベルの電圧が入力される。遅延器20,21,22,23は、ハイレベルの電圧が入力された場合にハイレベルの電圧を出力し、ローレベルの電圧が入力された場合にローレベルの電圧を出力する。遅延器20,21,22,23は、ハイレベル又はローレベルの電圧を入力されてからハイレベル又はローレベルの電圧を出力するまでに遅延時間を設けており、ハイレベル又はローレベルの電圧を出力するタイミングを調整する。
【0040】
AND回路24について、一方の入力端子には、制御部17からハイレベル及びローレベルの電圧からなる逆流防止信号が入力され、他方の入力端子には、遅延器22からハイレベル又はローレベルの電圧が入力される。AND回路24は、入力された逆流防止信号がハイレベルの電圧である場合、遅延器22から入力されたハイレベル又はローレベルの電圧を、そのまま出力端子から出力する。また、AND回路24は、入力された逆流防止信号がローレベルの電圧である場合、遅延器22から入力される電圧に無関係に、ローレベルの電圧を出力端子から出力する。
【0041】
遅延器20,21,23夫々は、ハイレベル又はローレベルの電圧をFET11,12,14のゲートに出力し、AND回路24は出力端子からハイレベル又はローレベルの電圧をFET13のゲートに出力する。
【0042】
FET11,12,13,14夫々は、ゲートにハイレベルの電圧が出力された場合、ゲートに所定電圧以上の電圧が印加されてオンとなり、ゲートにローレベルの電圧が出力された場合、ゲートに所定電圧未満の電圧が印加されてオフとなる。
【0043】
FET11,12は、反転器18の作用により、相補的にオン/オフされる。具体的には、FET11がオンである場合にFET12はオフであり、FET11がオフである場合にFET12はオンである。
【0044】
また、AND回路24の一方の端子に入力されている逆流防止信号がハイレベルの電圧である場合、FET13,14は相補的にオン/オフされる。具体的には、FET13がオンである場合にFET14はオフであり、FET13がオフである場合にFET14はオンである。
【0045】
遅延器20,21夫々は、遅延時間を調整することによって、FET11,12が共にオンとなる期間が存在しないようにFET11,12のオン/オフが切替わるタイミングを調整している。また、遅延器22,23夫々も、遅延時間を調整することによって、FET13,14が共にオンとなる期間が存在しないように調整している。これにより、FET11のドレイン、及び、FET12のソース間の短絡と、FET13のドレイン、及び、FET14のソース間の短絡とが防止される。
【0046】
以上のように、帰還回路16は、差動増幅器15から入力される電圧と、制御部17から入力される参照電圧Vr及び三角波W1,W2とに応じて、ハイレベル又はローレベルの電圧を出力し、FET11,12を相補的にオン/オフし、FET13,14を相補的にオン/オフする。帰還回路16は、第1オン/オフ手段及び第2オン/オフ手段として機能する。
【0047】
制御部17は、帰還回路16に参照電圧Vr及び三角波W1,W2を出力し、AND回路24の一方の端子に逆流防止信号を出力する。
【0048】
図2は変換装置1の動作を説明するためのタイミングチャートである。以下の変換装置1の動作の説明では、AND回路24の一方の入力端子に入力される逆流防止信号はハイレベルであるとする。図2には、制御部17が帰還回路16に出力する三角波W1,W2の推移と、FET11,12,13,14夫々のゲートに印加される電圧の推移とが示されている。図2において、「H」はハイレベルの電圧を示し、「L」はローレベルの電圧を示す。
【0049】
制御部17が帰還回路16に出力する三角波W1,W2夫々は、緩やかな電圧の上昇と急速な電圧の下降を周期的に繰り返す波形であり、所謂、のこぎり波である。三角波W1,W2夫々における電圧上昇の開始時点は一致しており、三角波W1,W2夫々の周期は一定である。
【0050】
帰還回路16は、三角波W1の電圧が、生成した閾値V1未満である間、ハイレベルの電圧を反転器19の入力端子、及び、遅延器23に出力する。これにより、FET13は、ゲートにローレベルの電圧が印加されるため、オフとなり、FET14は、ゲートにハイレベルの電圧が印加されるため、オンとなる。
【0051】
帰還回路16は、三角波W1の電圧が、生成した閾値V1以上である間、ローレベルの電圧を反転器19の入力端子、及び、遅延器23に出力する。これにより、FET13は、ゲートにハイレベルの電圧が印加されるため、オンとなり、FET14は、ゲートにローレベルの電圧が印加されるため、オフとなる。
【0052】
帰還回路16は、三角波W2の電圧が、生成した閾値V2未満である間、ハイレベルの電圧を反転器18の入力端子、及び、遅延器20に出力する。これにより、FET11は、ゲートにハイレベルの電圧が印加されるため、オンとなり、FET12は、ゲートにローレベルの電圧が印加されるため、オフとなる。
【0053】
帰還回路16は、三角波W2の電圧が、生成した閾値V2以上である間、ローレベルの電圧を反転器18の入力端子、及び、遅延器20に出力する。これにより、FET11は、ゲートにローレベルの電圧が印加されるため、オフとなり、FET12は、ゲートにハイレベルの電圧が印加されるため、オンとなる。
【0054】
制御部17が帰還回路16に出力している三角波W1,W2は周期的な波形であるため、FET11,12,13,14夫々のゲートには、ハイレベル及びローレベルの電圧からなる周期的なパルス電圧が印加される。パルス電圧のデューティは、帰還回路16が生成した閾値V1,V2に応じて決まる。FET14に印加されるパルス電圧のデューティ、即ち、一周期においてFET14がオンである期間の割合は閾値V1の高低に応じて大小となり、FET11に印加されるパルス電圧のデューティ、即ち、一周期においてFET11がオンである期間の割合は閾値V2の高低に応じて大小となる。
【0055】
以上に説明したように、FET11,12,13,14がオン/オフされることによって、FET11,12,13,14は複数のオン/オフ状態間を遷移する。実施の形態1では、FET11,12,13,14は、図2からわかるように、FET11,12,13,14がオン、オフ、オフ及びオンである状態A、FET11,12,13,14がオン、オフ、オン及びオフである状態B、及び、FET11,12,13,14がオフ、オン、オン、オフである状態Cに順次遷移する。
【0056】
FET11,12,13,14が状態Aである場合、電流が、バッテリ3の正極端子からFET11、コイルL1及びFET14の順に流れ、バッテリ3の負極端子に戻る。この間、コイルL1には、多量の電流が流れてエネルギーが蓄積される。
【0057】
FET11,12,13,14のオン/オフ状態が状態Aから状態Bに遷移した場合、電流は、バッテリ3の正極端子からFET11、コイルL1、FET13、抵抗R1及び蓄電池4の順に流れ、バッテリ3の負極端子に戻る。状態Bでは、FET11,12,13,14のオン/オフ状態が状態Aである場合に流れる電流と比較して、電流は抵抗R1及び蓄電池4を流れるため、コイルL1に流れる電流は低下する。
【0058】
このとき、コイルL1は、自身に流れる電流を維持すべく、蓄積されたエネルギーを放出して、FET11側の一端における電圧を基準として、FET13側の他端における電圧を昇圧する。これにより、FET13のドレイン、及び、FET14のソース間の電圧は昇圧され、昇圧された電圧が抵抗R1を介して蓄電池4に印加される。この昇圧によって、抵抗R1に流れる電流の量が上昇する。
【0059】
その後、コイルL1のエネルギーが放出されるにつれて、FET13側の他端における電圧は徐々に低下する。FET11,12,13,14のオン/オフ状態が状態Bである場合、バッテリ3によってコイルL1に電流が流れるため、コイルL1には一定のエネルギーは蓄積されている。
【0060】
FET11,12,13,14のオン/オフ状態が状態Bから状態Cに遷移した場合、バッテリ3からコイルL1への電流が途絶えるため、コイルL1は、自身に流れる電流を維持すべく、エネルギーを放出する。これにより、電流は、コイルL1からFET13、抵抗R1、蓄電池4及びFET12の順に流れ、コイルL1に戻る。
【0061】
放出によってコイルL1のエネルギーが減少するにつれて、FET13のドレインから抵抗R1及び蓄電池4を介してFET14のソースに戻る電流の量が減少し、FET13のドレイン、及び、FET14のソース間の電圧は降圧される。
【0062】
FET11,12,13,14のオン/オフによって昇圧及び降圧が行われた電圧は、コンデンサC1によって平滑化されて、平滑化された電圧が抵抗R1を介して蓄電池4に印加される。
FET11,12,13,14のオン/オフ状態が、状態A,B,Cの順に繰り返し遷移することによって、バッテリ3が変換装置1に印加した電圧が変換され、変換された電圧が蓄電池4に印加される。
【0063】
FET11,12,13,14のオン/オフ状態が状態A,B,Cの順に繰り返し遷移している場合、状態Aの期間が長い程、電圧の昇圧幅が大きく、抵抗R1を介して蓄電池4に流れる出力電流が多く、状態Cの期間が長い程、電圧の降圧幅が大きく、出力電流が少ない。
【0064】
帰還回路16では、差動増幅器15から出力されて出力電流に比例する電圧が低い程、閾値V1,V2夫々は高い。これにより、状態Aの期間が長くなり、状態Cの期間が短くなるので、FET13のドレイン、及び、FET14のソース間の電圧の昇圧幅が大きくなり、該電圧の降圧幅が小さくなって抵抗R1に流れる電流の量が増加する。
【0065】
また、帰還回路16では、差動増幅器15から出力されて出力電流に比例する電圧が高い程、閾値V1,V2夫々が低い。これにより、状態Aの期間が短くなり、状態Cの期間が長くなるので、FET13のドレイン、及び、FET14のソース間の電圧の昇圧幅が小さくなり、該電圧の降圧幅が大きくなって抵抗R1に流れる電流の量が減少する。
【0066】
以上のように、出力電流に係る値、即ち、差動増幅器15から出力される電圧の大小に応じて、閾値V1,V2夫々が低高となり、帰還回路16は、FET11,14夫々のオン/オフのデューティを小大に調整する。帰還回路16は第1及び第2調整手段としても機能する。
【0067】
閾値V1が低下して三角波W1の最小値未満となった場合、FET13,14夫々のゲートにはハイレベル及びローレベルの電圧が常時印加されてFET13,14夫々はオン及びオフに維持されるので、FET11,12,13,14は、状態B,Cの順に繰り返し遷移し、降圧のみが行われる。
【0068】
閾値V2が上昇して三角波W2の最大値以上となった場合、FET11,12夫々のゲートにはハイレベル及びローレベルの電圧が常時印加されてFET11,12夫々はオン及びオフに維持されるので、FET11,12,13,14は、状態A,Bの順に繰り返し遷移し、昇圧のみが行われる。
【0069】
閾値V1,V2が共に、三角波W1,W2の最小値未満となった場合、FET11,14夫々のゲートにはローレベルの電圧が常時印加されてFET11,14は共にオフに維持され、FET12,13夫々のゲートにはハイレベルの電圧が常時印加されてFET12,13は共にオンに維持される。
【0070】
図3は帰還回路16の回路図である。帰還回路16は、差動増幅器61,63,65、NPN型のバイポーラトランジスタ62、コンパレータ64,66、コンデンサC2,C3,・・・,C7、ダイオードD5及び抵抗R2,R3,・・・,R11を有している。
【0071】
帰還回路16では、差動増幅器15の出力端子は抵抗R2の一端に接続され、抵抗R2の他端は、コンデンサC2及び抵抗R3夫々の一端と、差動増幅器61のプラス端子とに接続されている。抵抗R3の他端には、バイポーラトランジスタ62のエミッタが接続されている。バイポーラトランジスタ62のコレクタには、一定の電圧Vccが印加されている。バイポーラトランジスタ62のベースは抵抗R4の一端に接続され、抵抗R4の他端はコンデンサC3及び抵抗R5夫々の一端に接続されている。抵抗R5の他端にはダイオードD5のカソードに接続され、ダイオードD5のアノードは制御部17に接続されている。
【0072】
差動増幅器61のマイナス端子には、抵抗R6,R7夫々の一端が接続され、抵抗R7の他端は差動増幅器61の出力端子に接続されている。コンデンサC2,C3及び抵抗R6夫々の他端は接地されている。差動増幅器61の出力端子は、更に、抵抗R8,R9夫々の一端に接続されている。
【0073】
抵抗R8の他端は、差動増幅器63のマイナス端子と、コンデンサC4,C5夫々の一端とに接続されている。コンデンサC4の他端は、抵抗R10の一端に接続されており、コンデンサC5及び抵抗R10夫々の他端は差動増幅器63の出力端子に接続されている。差動増幅器63のプラス端子は、差動増幅器65のプラス端子、及び、制御部17に接続されている。
【0074】
差動増幅器63の出力端子は、更に、コンパレータ64のプラス端子に接続されている。コンパレータ64のマイナス端子は制御部17に接続されている。コンパレータ64の出力端子は、遅延器23に接続され、遅延器23の他に反転器19の入力端子にも接続している。
【0075】
抵抗R9の他端は、差動増幅器65のマイナス端子と、コンデンサC6,C7夫々の一端とに接続されている。コンデンサC6の他端は、抵抗R11の一端に接続されており、コンデンサC7及び抵抗R11夫々の他端は差動増幅器65の出力端子に接続されている。差動増幅器65の出力端子は、更に、コンパレータ66のプラス端子に接続されている。コンパレータ66のマイナス端子は制御部17に接続されている。コンパレータ66の出力端子は、遅延器20に接続され、遅延器20の他に反転器18の入力端子にも接続している。
【0076】
差動増幅器15が出力した電圧は、抵抗R2を介して差動増幅器61のプラス端子に入力される。コンデンサC2は、差動増幅器61のプラス端子に入力される電圧を安定させるために設けられている。
【0077】
差動増幅器61及び抵抗R6,R7は、増幅器として機能し、差動増幅器61のプラス端子に入力された電圧を増幅し、増幅した電圧を、抵抗R8を介して差動増幅器63のマイナス端子に入力する。差動増幅器61及び抵抗R6,R7からなる増幅器は、同様に、増幅した電圧を、抵抗R9を介して差動増幅器65のマイナス端子に入力する。
【0078】
差動増幅器63のプラス端子には、制御部17から参照電圧Vrが入力されている。差動増幅器63、コンデンサC4,C5及び抵抗R8,R10は、誤差増幅器として機能し、差動増幅器63のプラス端子に入力されている参照電圧Vrと、差動増幅器63のマイナス端子に入力されている電圧との差分を増幅する。この誤差増幅器の利得は、差動増幅器63のプラス端子及びマイナス端子夫々に印加された電圧の差分の周波数に応じて異なっており、低周波成分の利得は大きく、高周波成分の利得は小さい。これにより、高周波領域に存在する雑音成分を抑制することができる。
【0079】
差動増幅器63、コンデンサC4,C5及び抵抗R8,R10からなる誤差増幅器は、差分を増幅することによって閾値V1を生成し、生成した閾値V1を差動増幅器63の出力端子からコンパレータ64のプラス端子に入力する。
【0080】
差動増幅器63のマイナス端子に入力された電圧がプラス端子に入力されている参照電圧Vrよりも低ければ低い程、閾値V1は高く、差動増幅器63のマイナス端子に入力された電圧が参照電圧Vrよりも高ければ高い程、閾値V1は低い。
【0081】
コンパレータ64は、マイナス端子に入力されている三角波W1の電圧が、プラス端子に入力されている閾値V1未満である間、出力端子からハイレベルの電圧を、反転器19の入力端子、及び、遅延器23へ出力する。また、コンパレータ64は、マイナス端子に入力されている三角波W1の電圧が、プラス端子に入力されている閾値V1以上である間、出力端子からローレベルの電圧を、反転器19の入力端子、及び、遅延器23へ出力する。
【0082】
差動増幅器65のプラス端子には、制御部17から参照電圧Vrが入力されている。差動増幅器65、コンデンサC6,C7及び抵抗R9,R11は、誤差増幅器として機能し、差動増幅器65のプラス端子に入力されている参照電圧Vrと、差動増幅器65のマイナス端子に入力されている電圧との差分を増幅する。この誤差増幅器の利得は、差動増幅器65のプラス端子及びマイナス端子夫々に印加された電圧の差分の周波数に応じて異なっており、低周波成分の利得は大きく、高周波成分の利得は小さい。これにより、高周波領域に存在する雑音成分を抑制することができる。
【0083】
差動増幅器65、コンデンサC6,C7及び抵抗R9,R11からなる誤差増幅器は、差分を増幅することによって閾値V2を生成し、生成した閾値V2を差動増幅器65の出力端子からコンパレータ66のプラス端子に入力する。
【0084】
差動増幅器65のマイナス端子に入力された電圧がプラス端子に入力されている参照電圧Vrよりも低ければ低い程、閾値V2は高く、差動増幅器65のマイナス端子に入力された電圧が参照電圧Vrよりも高ければ高い程、閾値V2は低い。
【0085】
コンパレータ66は、マイナス端子に入力されている三角波W2の電圧が、プラス端子に入力されている閾値V2未満である間、出力端子からハイレベルの電圧を、反転器18の入力端子、及び、遅延器20へ出力する。また、コンパレータ66は、マイナス端子に入力されている三角波W2の電圧が、プラス端子に入力されている閾値V2以上である間、出力端子からローレベルの電圧を、反転器18の入力端子、及び、遅延器21へ出力する。
【0086】
バイポーラトランジスタ62において、コレクタ及びエミッタ間の抵抗値は、ベースに印加されている電圧の高低に応じて小大となる。バイポーラトランジスタ62のベースには、ハイレベル及びローレベルの電圧からなる制御信号がダイオードD5及び抵抗R4,R5を介して入力される。ダイオードD5は、コンデンサC3から制御部17に電流が流れることを防止している。
【0087】
制御部17から入力された制御信号がローレベルの電圧である場合、バイポーラトランジスタ62のベースに十分に低い電圧が印加される。このとき、バイポーラトランジスタ62におけるコレクタ及びエミッタ間の抵抗値は、抵抗R2,R3夫々の抵抗値と比較して十分に大きい。従って、制御信号がローレベルの電圧である場合、差動増幅器61のプラス端子には、差動増幅器15が出力端子から出力した電圧が印加される。
【0088】
制御部17から入力された制御信号がローレベルの電圧からハイレベルの電圧に切り替わった場合、電流が制御部17からダイオードD5及び抵抗R5を介してコンデンサC3に流れ込み、コンデンサC3に電荷が蓄積される。これにより、バイポーラトランジスタ62のゲートに印加されている電圧は、コンデンサC3の容量と、抵抗R5の抵抗値とによって決まる時定数に従って徐々に上昇する。
【0089】
バイポーラトランジスタ62のベースに印加されている電圧の上昇と共に、バイポーラトランジスタ62のコレクタ及びエミッタ間の抵抗値が徐々に低下し、抵抗R3のバイポーラトランジスタ62側の端子に印加してある電圧が上昇する。これにより、差動増幅器61のプラス端子には、抵抗R3のバイポーラトランジスタ62側の端子に印加されている電圧と、差動増幅器15が出力端子から出力する電圧との差分電圧を抵抗R2,R3によって分圧した電圧が印加される。コンデンサC3に電荷が蓄積されるにつれて、バイポーラトランジスタ62のベースに印加してある電圧が上昇し、抵抗R3のバイポーラトランジスタ62側の端子に印加されている電圧も上昇する。これにより、差動増幅器61のプラス端子に入力してある電圧も上昇する。
【0090】
コンデンサC3が満充電となった場合、バイポーラトランジスタ62のベースに十分に高い電圧が印加され、バイポーラトランジスタ62のコレクタ及びエミッタ間の抵抗値は、抵抗R2,R3の抵抗値と比較して無視できる程度に小さい。従って、コンデンサC3が満充電となった場合、差動増幅器61のプラス端子には、電圧Vccと差動増幅器15の出力端子から出力する電圧との差分電圧を抵抗R2,R3によって分圧した電圧が印加される。電圧Vccは差動増幅器15が出力端子から出力する電圧の最大電圧よりも十分に大きいため、差動増幅器61のプラス端子にも十分に大きな電圧が入力される。
【0091】
以上のように構成された帰還回路16において、差動増幅器61のプラス端子に入力されている電圧が差動増幅器15の出力電圧である場合、差動増幅器15が出力した電圧は、差動増幅器61及び抵抗R6,R7からなる増幅器によって増幅され、増幅された電圧は、差動増幅器63,65夫々のマイナス端子に印加される。前述したように、差動増幅器15が出力する電圧は、抵抗R1を流れる出力電流の大小に応じて大小となるため、差動増幅器63,65夫々のマイナス端子に印加される電圧も、出力電流の大小に応じて大小となる。
【0092】
差動増幅器63のマイナス端子に入力された電圧が高い程、差動増幅器63は、より低い閾値V1を出力端子から出力する。これにより、図2を用いた変換装置1の動作の説明で述べたように、状態Aの期間が短くなって、FET13のドレイン、及び、FET14のソース間の電圧の昇圧幅が小さくなり、抵抗R1を介して蓄電池4に流れる出力電流の量が減少する。
【0093】
差動増幅器63のマイナス端子に入力された電圧が低い程、差動増幅器63は、より高い閾値V1を出力端子から出力する。これにより、図2を用いた変換装置1の動作の説明で述べたように、状態Aの期間が長くなって、FET13のドレイン、及び、FET14のソース間の電圧の昇圧幅が大きくなり、抵抗R1を介して蓄電池4に流れる出力電流の量が増加する。
【0094】
差動増幅器65のマイナス端子に入力された電圧が高い程、差動増幅器65は、より低い閾値V2を出力端子から出力する。これにより、図2を用いた変換装置1の動作の説明で述べたように、状態Cの期間が長くなって、FET13のドレイン、及び、FET14のソース間の電圧の降圧幅が大きくなり、抵抗R1を介して蓄電池4に流れる出力電流の量が減少する。
【0095】
差動増幅器65のマイナス端子に入力された電圧が低い程、差動増幅器65は、より高い閾値V2を出力端子から出力する。これにより、図2を用いた変換装置1の動作の説明で述べたように、状態Cの期間が短くなって、FET13のドレイン、及び、FET14のソース間の電圧の降圧幅が小さくなり、抵抗R1を介して蓄電池4に流れる出力電流の量が増加する。
【0096】
差動増幅器61のプラス端子に印加されている電圧が差動増幅器15の出力電圧である場合、差動増幅器63のマイナス端子の電圧が、制御部17が出力している参照電圧Vrとなるように、昇圧幅が調整され、差動増幅器65のマイナス端子の電圧が、制御部17が出力している参照電圧Vrとなるように、降圧幅が調整される。このため、抵抗R1を流れる出力電流は、制御部17が出力している参照電圧Vrによって決まる電流に調整される。参照電圧Vrが大きい程、抵抗R1を流れる出力電流は、より大きな電流に調整される。
【0097】
制御信号がハイレベルの電圧であって前述したように差動増幅器61のプラス端子へ十分に大きな電圧が印加された場合、差動増幅器61及び抵抗R6,R7からなる増幅器によって増幅されて差動増幅器63,65夫々のマイナス端子に印加される電圧は、参照電圧Vrよりも十分に高い。これにより、差動増幅器63,65夫々が出力端子から出力する閾値V1,V2は、共に、制御部17から出力されている三角波W1,W2の最小値よりも低くなる。この結果、図2を用いた変換装置1の動作の説明で述べたように、FET11,14が共にオフになり、FET12,13が共にオンとなる。
【0098】
図4は変換装置1による電圧変換の終了動作を説明するためのタイミングチャートである。図4には、制御部17が出力する制御信号及び逆流防止信号の推移と、FET11,12,13,14夫々のゲートに印加される電圧の推移と、抵抗R1を介して蓄電池4に流れる出力電流の推移とが示されている。
【0099】
制御部17は、FET11,12,13,14を各別にオン/オフすることによって、バッテリ3が印加している電圧の変換を終了する場合、逆流防止信号をハイレベルの電圧からローレベルの電圧に切り替える。これにより、AND回路24は、出力端子からローレベルの電圧を出力し、逆流防止信号がローレベルの電圧である間、FET13はオフに維持され、蓄電池4からコイルL1への電流の逆流が防止される。このように、制御部17は、バッテリ3が印加している電圧の変換を終了する場合、逆流防止信号をハイレベルの電圧からローレベルの電圧に切り替えることによって、帰還回路16が行うFET13,14の相補的なオン/オフよりも優先して、FET13をオフに維持し、維持手段として機能する。また、図4では、逆流防止信号がハイレベルである場合にFET13のゲートに印加される電圧の推移を破線で示している。
【0100】
制御部17は、逆流防止信号をローレベルに維持している状態で制御信号をローレベルの電圧からハイレベルの電圧に切り替える。制御部17が制御信号をローレベルの電圧からハイレベルの電圧に切り替えた後、コンデンサC3には電荷が蓄積され、前述したように、差動増幅器61のプラス端子に印加されている電圧が徐々に上昇する。差動増幅器61のプラス端子に印加してある電圧の上昇によって、差動増幅器63,65夫々のマイナス端子に印加されている電圧が徐々に上昇し、三角波W1,W2の最小値以上及び最大値未満であった閾値V1,V2が徐々に低下する。
【0101】
閾値V1,V2夫々の低下が開始した場合、FET11,12,14の状態は、FET11,12,14夫々がオン、オフ及びオンである第1状態、FET11,12,14夫々がオン、オフ及びオフである第2状態、並びに、FET11,12,14夫々がオフ、オン及びオフである第3状態の順に遷移する。
【0102】
FET11,12,14が第1状態である場合、電流は、バッテリ3の正極端子からFET11,コイルL1及びFET14の順に流れ、バッテリ3の負極端子に戻る。この間、コイルL1にエネルギーが蓄積される。第1状態は状態Aに対応する。
【0103】
FET11,12,14が第1状態から第2状態に遷移した場合、電流は、バッテリ3の正極端子からFET11、コイルL1、ダイオードD3、抵抗R1及び蓄電池4の順に流れ、バッテリ3の負極端子に戻る。第2状態は状態Bに対応する。第1状態から第2状態に遷移した場合、状態Aから状態Bに遷移した場合と同様に、コイルL1に流れる電流が低下するので、エネルギーの放出によってコイルL1は昇圧を行い、抵抗R1を介して蓄電池4に流れる出力電流が上昇する。第1状態の期間が長い程、昇圧幅が大きく、出力電流の上昇幅が大きい。
【0104】
その後、コイルL1のエネルギーが放出されるにつれて、FET13側の他端における電圧は徐々に低下する。FET11,12,13,14のオン/オフ状態が第2状態である場合、バッテリ3によってコイルL1に電流が流れるため、コイルL1には一定のエネルギーは蓄積されている。
【0105】
FET11,12,14が第2状態から第3状態に遷移した場合、バッテリ3からコイルL1への電流が途絶えるため、コイルL1は、自身に流れる電流を維持すべく、エネルギーを放出する。これにより、電流は、コイルL1からダイオードD3、抵抗R1、蓄電池4及びFET12の順に流れ、コイルL1に戻る。第3状態は状態Cに対応する。
【0106】
放出によってコイルL1のエネルギーが減少するにつれて、コイルL1のFET13側における電圧が低くなり、ダイオードD3のカソード、及び、FET14のソース間の電圧は降圧され、抵抗R1を介して蓄電池4に流れる電流は低下する。第3状態の期間が長い程、降圧幅は大きく、出力電流が低下する幅も大きい。
【0107】
制御部17が制御信号をローレベルの電圧からハイレベルの電圧に切り替えた場合、前述したように、コンデンサC3に電荷が蓄積されて閾値V1,V2が徐々に低下する。閾値V1,V2が徐々に低下するにつれて、FET11,14夫々のオン/オフのデューティが小さくなり、FET12のオン/オフのデューティが大きくなる。これにより、第1状態が短くなり、第3状態の期間が長くなるので、昇圧幅が徐々に小さくなり、降圧幅は徐々に大きくなる。このため、FET13のドレインから抵抗R1及び蓄電池4を介してFET14のソースに戻る出力電流は徐々に減少する。
【0108】
以上のように、変換装置1では、FET11,12,13,14を各別にオン/オフすることによって、バッテリ3が印加した電圧を変換する。そして、変換装置1では、制御部17は、電圧の変換を終了する場合、逆流防止信号をローレベルの電圧に切り替えることによって、FET13のオフを維持する。制御部17は、FET13のオフを維持している間に、制御信号をローレベルの電圧からハイレベルの電圧に切り替えることによって、FET11,14夫々のオン/オフのデューティを小さくし、FET13のドレインから抵抗R1及び蓄電池4を介してFET14のソースに流れる出力電流を減少させる。
【0109】
電圧変換を行っている間、十分な電流がバッテリ3からコイルL1へ流れているので、蓄電池4、即ち、電圧の出力側からコイルL1へ電流が逆流することはなく、更に、ダイオードD3を介して電流が流れないため、電力の損失は小さい。また、電圧変換を終了する場合、FET13をオフにした状態で、バッテリ3、即ち、電圧の印加側からコイルL1へ流れる電流を減らす。
【0110】
FET13をオフに維持せずに、FET13のドレインから抵抗R1及び蓄電池4を介してFET14のソースに流れる出力電流を減少させた場合、図4に示すようにFET11,12,13,14夫々がオフ、オン、オン及びオフである期間が徐々に長くなる。そして、FET11,12,13,14夫々がオフ、オン、オン及びオフである期間に、出力電流量が一定量を下回ったとき、電流が蓄電池4の正極端子から抵抗R1及びFET13を介してコイルL1に逆流する可能性がある。電流が蓄電池4から抵抗R1及びFET13を介してコイルL1へ逆流した場合、バッテリ3の出力電圧が適正に変換されず、蓄電池4の電力が無駄に消費される虞がある。
しかしながら、変換装置1では、電圧変換を終了する場合、FET13をオフにした状態で、バッテリ3からコイルL1へ流れる電流を減らすので、電流が蓄電池4、即ち、電圧の出力側からコイルL1へ逆流することはなく、蓄電池4の電力が無駄に消費されることはない。
【0111】
また、制御部17は、電圧変換を終了している期間、逆流防止信号をローレベルの電圧に維持し、かつ、制御信号をハイレベルに維持することによって、FET11,13,14をオフに維持する。これにより、バッテリ3及び蓄電池4からコイルL1へ電流が流れることが防止される。
【0112】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2における変換装置5の回路図である。この変換装置5は、実施の形態1における変換装置1と同様に、バッテリ3の正極端子及び負極端子と、蓄電池4の正極端子及び負極端子とに各別に接続されている。変換装置5は、実施の形態1における変換装置1のように、バッテリ3によって印加された電圧を変換し、変換した電圧を蓄電池4に印加すると共に、蓄電池4によって印加された電圧を変換し、変換した電圧をバッテリ3に印加する。
【0113】
以下では、実施の形態2における変換装置5について、実施の形態1における変換装置1と異なる点を説明する。実施の形態1と共通する実施の形態2の構成には同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0114】
変換装置5は、変換装置1の構成部材を全て備え、更に、差動増幅器51、スイッチ52,53、AND回路54、切替回路55、コンデンサC8及び抵抗R12を備える。抵抗R12の一端は、バッテリ3の正極端子、及び、差動増幅器51のマイナス端子に接続され、抵抗R12の他端は、FET11のドレイン、ダイオードD1のカソード、差動増幅器51のプラス端子、及び、コンデンサC8の一端に接続されている。コンデンサC8の他端は、バッテリ3の負極端子、及び、FET12のソースに接続されている。
【0115】
差動増幅器51の出力端子はスイッチ53の一端に接続され、スイッチ53の他端は、スイッチ52の一端、及び、帰還回路16に接続されている。差動増幅器15の出力端子はスイッチ52の他端に接続されている。AND回路54の2つの入力端子夫々は、制御部17及び遅延器20に接続されており、AND回路54の出力端子はFET11のゲートに接続されている。
【0116】
切替回路55は、第1、第2、第3及び第4入力端子と、4つの出力端子とを有する。第1入力端子は、帰還回路16、及び、反転器19の入力端子に接続されている。第2入力端子は反転器19の出力端子に接続されている。第3入力端子は反転器18の出力端子に接続されている。第4入力端子は、帰還回路16、及び反転器18の入力端子に接続されている。切替回路55の4つの出力端子夫々は、遅延器20,21,22,23に接続されている。
【0117】
バッテリ3の正極端子は、抵抗R12を介してFET11のドレイン、及び、ダイオードD1のカソードに接続され、差動増幅器15,51夫々の出力端子は、スイッチ52,53を介して帰還回路16に接続され、遅延器20は、AND回路54を介してFET11のゲートに接続されている。
【0118】
コンデンサC8は、蓄電池4が変換装置5に印加した電圧を変換する場合、FET11のドレイン、及び、FET12のソース間に印加された電圧を平滑化し、平滑化した電圧を、抵抗R12を介してバッテリ3に印加する。
【0119】
差動増幅器15は、増幅した抵抗R1の両端間の電圧を、スイッチ52を介して帰還回路16に出力する。差動増幅器51は、抵抗R12の両端間の電圧を増幅し、増幅した電圧を、スイッチ53を介して帰還回路16に出力する。抵抗R12の両端間の電圧は、抵抗R12を介してバッテリ3に流れる電流の大きさに比例するため、差動増幅器51が出力する電圧は、抵抗R12を介してバッテリ3に流れる出力電流の大小に応じて大小となる。
スイッチ52,53夫々は制御部17によってオン/オフされる。切替回路55は、制御部17の指示に従って、4つの入力端子と、4つの出力端子との接続を切替える。
【0120】
AND回路54について、一方の入力端子には、制御部17からハイレベル及びローレベルの電圧からなる第2の逆流防止信号が入力され、他方の入力端子には、遅延器20からハイレベル又はローレベルの電圧が入力される。AND回路54は、入力された第2の逆流防止信号がハイレベルの電圧である場合、遅延器20から入力されたハイレベル又はローレベルの電圧をそのまま出力端子から出力する。また、AND回路54は、入力された第2の逆流防止信号がローレベルの電圧である場合、遅延器20から入力される電圧に無関係に、ローレベルの電圧を出力端子から出力する。
【0121】
AND回路54は、出力端子からハイレベル又はローレベルの電圧をFET11のゲートに出力する。AND回路54がハイレベルの電圧を出力した場合、FET11は、ゲートに所定電圧以上の電圧が印加されてオンとなり、AND回路54がローレベルの電圧を出力した場合、FET11は、ゲートに印加されている電圧が所定電圧未満となってオフとなる。
【0122】
制御部17は、バッテリ3が変換装置5に印加した電圧を変換し、変換した電圧を蓄電池4に印加する場合、スイッチ52,53夫々をオン及びオフとし、AND回路54の一方の入力端子に入力する第2の逆流防止信号をハイレベルの電圧に維持する。更に、制御部17は、切替回路55に指示して、第1入力端子を遅延器23に接続し、第2入力端子を遅延器22に接続し、第3入力端子を遅延器21に接続し、第4入力端子を遅延器20に接続する。
【0123】
これにより、変換装置5では、実施の形態1における変換装置1と同様に動作する。従って、バッテリ3によって印加された電圧を変換している間、FET11,12,13,14が各別にオン/オフされ、ダイオードD3を介して電流が流れないので電力の損失が小さい。また、バッテリ3によって印加された電圧の変換を終了する場合、FET13をオフにした状態で、抵抗R1を介して蓄電池4に流れる電流を減少させるため、逆流が防止される。
【0124】
制御部17は、電圧変換を終了している期間、逆流防止信号をローレベルの電圧に維持し、かつ、制御信号をハイレベルに維持することによって、FET11,13,14をオフに維持する。これにより、バッテリ3及び蓄電池4からコイルL1へ電流が流れることが防止され、電圧の印加側及び出力側からコイルL1への電流の逆流が防止される。
【0125】
制御部17は、蓄電池4が変換装置5に印加した電圧を変換し、変換した電圧をバッテリ3に印加する場合、スイッチ52,53夫々をオフ及びオンとし、AND回路24の一方の入力端子に入力される逆流防止信号をハイレベルの電圧にする。そして、制御部17は、第2の逆流防止信号を、バッテリ3によって印加された電圧を変換する場合における逆流防止信号と同様に制御する。
【0126】
更に、制御部17は、切替回路55に指示して、第1入力端子を遅延器21に接続し、第2入力端子を遅延器20に接続し、第3入力端子を遅延器23に接続し、第4入力端子を遅延器22に接続する。
【0127】
以上により、FET11,12,13,14及びダイオードD1夫々は、バッテリ3によって印加された電圧を変換する場合におけるFET13,14,11,12及びダイオードD3と同様に作用する。また、抵抗R12及び差動増幅器51夫々は、バッテリ3によって印加された電圧を変換する場合における抵抗R1及び差動増幅器15と同様に作用する。
【0128】
これにより、変換装置5は実施の形態1における変換装置1と同様に動作する。従って、蓄電池4によって印加された電圧を変換している間、FET11,12,13,14が各別にオン/オフされ、ダイオードD1を介して電流が流れないので電力の損失が低い。また、蓄電池4によって印加された電圧の変換を終了する場合、FET11をオフにした状態で、抵抗R12を介してバッテリ3に流れる電流を減少させるため、逆流が防止される。
【0129】
また、制御部17は、電圧変換を終了している期間、第2の逆流防止信号をローレベルの電圧に維持し、かつ、制御信号をハイレベルに維持することによって、FET11,12,13をオフに維持する。これにより、バッテリ3及び蓄電池4からコイルL1へ電流が流れることが防止され、電圧の印加側及び出力側からコイルL1への電流の逆流が防止される。
【0130】
なお、実施の形態1及び2において、FET11,12,13,14は、スイッチとして機能すればよいため、Nチャネル型のFETに限定されず、Pチャネル型のFETであってもよい。また、FET11,12,13,14の代わりにバイポーラトランジスタを用いてもよい。また、ダイオードD1,D2,D3,D4夫々は寄生ダイオードに限定されない。
【0131】
また、バッテリ3によって印加された電圧の変換を終了している期間、少なくともFET11,13をオフにすればよく、FET14をオフにしなくてもよい。同様に、蓄電池4によって印加された電圧の変換を終了している期間、少なくともFET11,13をオフにすればよく、FET12をオフにしなくてもよい。
また、制御部17が出力する三角波W1,W2はのこぎり波に限定されない。
【0132】
更に、バッテリ3が印加した電圧を変換する場合において、FET13のドレインから抵抗R1を介して蓄電池4へ流れる出力電流に係る値は、差動増幅器15から出力される電圧に限定されず、例えば、FET13のドレインから抵抗R1を介して蓄電池4へ流れる電流の値であってもよい。同様に、蓄電池4が印加した電圧を変換する場合において、FET11のドレインから抵抗R12を介してバッテリ3へ流れる出力電流に係る値は、差動増幅器51から出力される電圧に限定されず、例えば、FET11のドレインから抵抗R12を介してバッテリ3へ流れる電流の値であってもよい。
【0133】
また、バッテリ3が印加した電圧を変換する場合において、FET13のドレインから抵抗R1を介して蓄電池4へ流れる出力電流に係る値の大小に応じてFET11,14夫々のオン/オフのデューティを小大に調整しなくてもよい。例えば、蓄電池4の両端間に印加される電圧の大小に応じて、FET11,14夫々のオン/オフのデューティを小大に調整してもよい。同様に、蓄電池4が印加した電圧を変換する場合において、FET11のドレインから抵抗R12を介してバッテリ3へ流れる出力電流に係る値の大小に応じてFET13,12夫々のオン/オフのデューティを小大に調整しなくてもよい。例えば、バッテリ3の両端間に印加される電圧の大小に応じて、FET13,12夫々のオン/オフのデューティを小大に調整してもよい。
【0134】
また、FET11,12のオン/オフと、FET13,14のオン/オフとは同期していなくてもよい。実施の形態1における変換装置1では、FET11,12を相補的にオン/オフしている場合、FET13,14夫々のオン/オフ状態に無関係にバッテリ3が変換装置1に印加した電圧を降圧することができる。更に、FET13,14を相補的にオン/オフしている場合、FET11,12夫々のオン/オフ状態に無関係にバッテリ3が変換装置1に印加した電圧を昇圧することができる。実施の形態2における変換装置5では、バッテリ3が印加した電圧を変換する場合には変換装置1と同様のことを述べることができる。更に、蓄電池4が印加した電圧を変換する場合には、FET13,14を相補的にオン/オフすることによって、FET11,12のオン/オフ状態に無関係に、蓄電池4が印加した電圧を降圧することができる。また、FET11,12を相補的にオン/オフすることによって、FET13,14のオン/オフ状態に無関係に、蓄電池4が印加した電圧を昇圧することができる。
【0135】
開示された実施の形態1及び2は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0136】
1,5 変換装置
11 FET(第1又は第3スイッチに相当)
12 FET(第2又は第4スイッチに相当)
13 FET(第3又は第1スイッチに相当)
14 FET(第4又は第2スイッチに相当)
16 帰還回路(第1オン/オフ手段、第2オン/オフ手段、第1調整手段及び第2調整手段に相当)
17 制御部(維持手段に相当)
D1,D3 ダイオード
L1 コイル
図1
図2
図3
図4
図5