特許第6044458号(P6044458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044458
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】自動取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20161206BHJP
   G06Q 20/18 20120101ALI20161206BHJP
【FI】
   G07D9/00 456F
   G07D9/00 426C
   G06Q20/18
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-114773(P2013-114773)
(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公開番号】特開2014-235457(P2014-235457A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(72)【発明者】
【氏名】赤石 典久
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−191690(JP,A)
【文献】 実開昭59−122641(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
G06Q 20/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導音声を出力する受話器を有し、前記受話器により所定の連絡先と通話可能な自動取引装置であって、
前記自動取引装置の動作を制御する制御部と、
前記受話器と前記制御部を接続するための第1音声回線と、前記受話器と前記連絡先を接続するための第2音声回線との間で、回線を切り替える回線切替部と、
を備え、
前記制御部は、コマンドを所定間隔で前記回線切替部に送信し、
前記回線切替部は、前記第1音声回線に切り替わっている間に前記制御部から前記コマンドを所定時間受信しない場合には、前記第1音声回線から前記第2音声回線へ切り替える、自動取引装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引装置において、
前記制御部は、前記自動取引装置の動作の間、前記コマンドを所定間隔で前記回線切替部に送信する、自動取引装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自動取引装置において、
前記回線切替部は、前記第1音声回線から前記第2音声回線への切り替え後に前記制御部からコマンドを受信した場合には、前記制御部にエラーを応答する、自動取引装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動取引装置において、
前記制御部は、
前記第1音声回線に切り替わっている間に前記受話器から誘導音声を出力させるハンドセット機能と、
前記第2音声回線に切り替わっている間に前記受話器を介して前記連絡先と通話を行うオートホン機能と、
のいずれか一方を実行させる、自動取引装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動取引装置において、
前記回線切替部は、前記受話器からの誘導音声の出力中に前記制御部から前記コマンドを所定時間受信しない場合には、前記第1音声回線から前記第2音声回線へ切り替える、自動取引装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動取引装置において、
前記制御部は、前記第2音声回線に切り替わっている間に前記受話器のオフフック状態が検出されると、前記連絡先に発信を行う、自動取引装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動取引装置において、
前記回線切替部は、前記第1音声回線に切り替わっている間に前記回線切替部が異常状態となった場合には、前記第1音声回線から前記第2音声回線へ切り替える、自動取引装置。
【請求項8】
請求項7に記載の自動取引装置において、
前記回線切替部は、
当該回線切替部の状態を判定する状態判定部を有し、
前記状態判定部の判定結果に基づいて、前記異常状態を判断する、自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関し、より詳細には、ハンドセット機能とオートホン機能を有する自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関の営業店等に、ATM(Automated teller machine)に代表される自動取引装置が設置されている。この自動取引装置の中には、顧客が通話可能な受話器を有するものがあり、ハンドセット機能とオートホン機能を実現する(特許文献1参照)。
【0003】
ここで、ハンドセット機能は、例えば視覚障害者が取引を行う際に、視覚障害者に対して自動取引装置の操作方法等を音声で案内する機能である。オートホン機能は、例えば緊急時に、コールセンタに自動的に発信して顧客がコールセンタの係員と通話する機能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−288695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一つの受話器でハンドセット機能とオートホン機能を兼用するため、使用する機能に合わせて音声回線を切り替える必要がある。そして、従来においては、自動取引装置の制御装置の指示で、ハンドセット機能とオートホン機能の音声回線が切り替えられていた。
【0006】
しかし、上記の方法では、ハンドセット機能の音声回線に切り替えている間に自動取引装置に異常が発生した場合には、制御装置が正常に動作しないため、オートホン機能の音声回線に切り替えることができない。この結果、緊急通信手段としてのオートホン機能が、有効に活用されないことになる。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、自動取引装置に異常が発生しても音声回線を適切に切替可能な自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、誘導音声を出力する受話器を有し、前記受話器により所定の連絡先と通話可能な自動取引装置であって、前記自動取引装置の動作を制御する制御部と、前記受話器と前記制御部を接続するための第1音声回線と、前記受話器と前記連絡先を接続するための第2音声回線との間で、回線を切り替える回線切替部と、を備え、前記制御部は、コマンドを所定間隔で前記回線切替部に送信し、前記回線切替部は、前記第1音声回線に切り替わっている間に前記制御部から前記コマンドを所定時間受信しない場合には、前記第1音声回線から前記第2音声回線へ切り替える、自動取引装置が提供される。
【0009】
かかる自動取引装置においては、制御部が所定間隔でコマンドを回線切替部に送信する自動取引装置において異常が発生した場合には、制御部によるコマンドの送信が正常に行われなくなる。そこで、回線切替部は、第1音声回線に切り替わっている間に所定間隔でコマンドを送信する制御部からコマンドを所定時間受信しない場合には、第1音声回線から第2音声回線へ切り替える。これにより、自動取引装置に異常が発生した場合には、制御部が回線切替の指示を回線切替部に送らなくても、回線切替部が第1音声回線から外部の連絡先と通話可能な第2音声回線に切り替えることができる。この結果、緊急通信手段としてのオートホン機能が有効に活用され、所定の連絡先に連絡可能となる。
【0010】
また、上記の自動取引装置において、前記制御部は、前記自動取引装置の動作の間、前記コマンドを所定間隔で前記回線切替部に送信することとしても良い。
【0011】
また、上記の自動取引装置において、前記回線切替部は、前記第1音声回線から前記第2音声回線への切り替え後に前記制御部からコマンドを受信した場合には、前記制御部にエラーを応答することとしても良い。
【0012】
また、上記の自動取引装置において、前記制御部は、前記第1音声回線に切り替わっている間に前記受話器から誘導音声を出力させるハンドセット機能と、前記第2音声回線に切り替わっている間に前記受話器を介して前記連絡先と通話を行うオートホン機能と、のいずれか一方を実行させることとしても良い。
【0013】
また、上記の自動取引装置において、前記回線切替部は、前記受話器からの誘導音声の出力中に前記制御部から前記コマンドを所定時間受信しない場合には、前記第1音声回線から前記第2音声回線へ切り替えることとしても良い。
【0014】
また、上記の自動取引装置において、前記制御部は、前記第2音声回線に切り替わっている間に前記受話器のオフフック状態が検出されると、前記連絡先に発信を行うこととしても良い。
【0015】
また、上記の自動取引装置において、前記回線切替部は、前記第1音声回線に切り替わっている間に前記回線切替部が異常状態となった場合には、前記第1音声回線から前記第2音声回線へ切り替えることとしても良い。
【0016】
また、上記の自動取引装置において、前記回線切替部は、当該回線切替部の状態を判定する状態判定部を有し、前記状態判定部の判定結果に基づいて、前記異常状態を判断することとしても良い。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、自動取引装置に異常が発生しても音声回線を適切に切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る自動取引システム1の構成の一例を示す図である。
図2】比較例に係るハンドセット機能とオートホン機能の切替制御を示すフローチャートである。
図3】第1の実施形態に係る自動取引装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態に係る第1音声回線と第2音声回線の切替制御を示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態に係る自動取引装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図6】第2の実施形態に係る第1音声回線と第2音声回線の切替制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
<1.第1の実施形態>
(1−1.自動取引システムの概要)
図1を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る自動取引システムの概要について説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る自動取引システム1の構成の一例を示す図である。図1に示したように、自動取引システム1は、自動取引装置10と、専用網30と、コールセンタ40と、を含む。
【0022】
自動取引装置10は、金融機関の顧客による操作に基づいて金銭の取引を実行する顧客操作型端末である。この自動取引装置10は、金融機関の営業店、コンビニエンスストア、駅構内、ホテル、病院、アミューズメントパーク、飲食店、オフィスビルディングなどの多様な施設に設置される。
【0023】
自動取引装置10は、顧客操作表示部12と、通帳挿入部14と、カード挿入部16と、紙幣入出金部18と、硬貨入出金部20と、受話器22と、を備える。
【0024】
顧客操作表示部12は、顧客による操作の誘導画面を表示する表示部および顧客操作を検出する顧客操作部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、顧客操作部としての機能は例えばタッチパネルにより実現される。なお、図1においては表示部および顧客操作部の機能が自動取引装置10において一体的に構成される例を示しているが、表示部および顧客操作部の機能は分離して構成されてもよい。
【0025】
通帳挿入部14は、顧客の通帳の挿入および排出を行う。なお、通帳は、顧客に関する顧客情報を記録した磁気ストライプを有する。そして、通帳挿入部14に挿入された通帳の顧客情報は、装置内部のカードリーダーによって読み取られる。
【0026】
カード挿入部16は、顧客の取引カード(例えば、キャッシュカード、クレジットカード、振込カード等)の挿入および排出を行う。取引カードは、現金支払い・預け入れ等に必要な顧客情報が記録された磁気ストライプやICチップを有する。そして、カード挿入部16に挿入された取引カードの顧客情報は、装置内部のカードリーダーによって読み取られる。
【0027】
紙幣入出金部18は、顧客が入金紙幣を投入し、又は出金紙幣を受け取る入出金口を有する。例えば、紙幣入出金部18に投入された紙幣は、入金処理として装置内部において鑑別・計数されて紙幣収納部に収納される。
【0028】
硬貨入出金部20は、顧客が入金硬貨を投入し、又は出金硬貨を受け取る入出金口を有する。例えば、硬貨入出金部20に投入された硬貨は、入金処理として装置内部において鑑別・計数されて硬貨収納部に収納される。
【0029】
受話器22は、顧客が受話器22を取り上げた際に、誘導音声を出力する。例えば、受話器22は、顧客が視覚障害者の場合、自動取引装置10の操作方法等を音声で案内するハンドセット機能を有する。受話器22は、視覚障害者が受話器を取上げ及び戻しやすいように、顧客操作表示部12の横に設けられている。
【0030】
また、受話器22には、0〜9の数字キーや#等の記号キーが設けられており、キー毎に取引種類や、確認、取消などの入力情報が定義されている。例えば、視覚障害者は、音声案内中に#キーを押下することで、所定の連絡先であるコールセンタ40に自動的に発信され、コールセンタ40の係員と連絡可能である。なお、健常者も、例えば緊急時や自動取引装置10の電源OFF時に受話器22を取り上げることにより、コールセンタ40に自動的に発信される。このように、受話器22は、コールセンタ40に自動で発信しコールセンタ40との間で通話を行うことが可能なオートホン機能を有する。すなわち、受話器22は、ハンドセット機能とオートホン機能を兼用する。
【0031】
専用網30は、金融機関のネットワークであり、例えばIP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)により構成される。
【0032】
コールセンタ40は、例えば金融機関の本店等に設けられ、専用網30を介して自動取引装置10と通信する。受話器22によるオートホン機能が有効になると、自動取引装置10が自動でコールセンタ40に発信を行う。そして、顧客は、受話器22を用いて、コールセンタ40に駐在する係員と通話を行うことが可能とある。
【0033】
(1−2.ハンドセット機能とオートホン機能の切り替えについて)
上述したように、受話器22は、ハンドセット機能とオートホン機能を兼用する。このため、自動取引装置10は、使用するハンドセット機能とオートホン機能に応じて、ハンドセット機能の音声回線とオートホン機能の音声回線との間で回線を切り替える必要がある。
【0034】
以下において、図2を参照しながら、比較例に係るハンドセット機能とオートホン機能の切替制御を説明する。比較例における回線の切り替えは、自動取引装置10の制御装置の指示により行なわれる。
【0035】
図2は、比較例に係るハンドセット機能とオートホン機能の切替制御を示すフローチャートである。図2のフローチャートは、例えば自動取引装置10の電源が投入されて、ハンドセット機能が有効になったところから開始される(ステップS902)。
【0036】
次に、自動取引装置10は、電源がOFFになったか否かを判定する(ステップS904)。ステップS904で自動取引装置10の電源がOFFになっていないと判定された場合には(No)、ハンドセット機能は維持される(ステップS906)。次に、自動取引装置10は、顧客が受話器22の特定キーを押下してオートホン機能への切替操作を行ったか否かを判定する(ステップS908)。
【0037】
ステップS908で顧客が切替操作を行ったと判定された場合には(Yes)、自動取引装置10は、ハッドセット機能の音声回線からオートホン機能の音声回線へ切り替える(ステップS910)。また、ステップS904で自動取引装置10の電源がOFFになったと判定された場合には(Yes)、自動取引装置10は、ハッドセット機能の音声回線からオートホン機能の音声回線へ切り替える(ステップS910)。このように、音声回線の切替制御は、特定の処理が発生した場合に実行される。
【0038】
しかし、図2に示す比較例に係る音声回線の切替制御では、ハンドセット機能の音声回線に切り替えている間に自動取引装置10に異常が発生した場合には、自動取引装置10の制御装置が正常に動作しないため、オートホン機能の音声回線に切り替えることができない。この結果、緊急通信手段としてのオートホン機能が有効に活用されず、コールセンタ40に連絡できない。
【0039】
(1−3.自動取引装置の機能構成)
第1の実施形態に係る自動取引装置10は、自動取引装置10に異常が発生してもオートホン機能の音声回線に適切に切替できるように、図3に示す構成を有する。
【0040】
図3は、第1の実施形態に係る自動取引装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、自動取引装置10は、制御部110と、回線切替ユニット120と、回線接続ユニット130と、指示回線141と、第1音声回線142と、第2音声回線143と、を有する。なお、第1音声回線142は、制御部110と回線切替ユニット120を接続し、第2音声回線143は、回線接続ユニット130と回線切替ユニット120を接続する。なお、回線切替ユニット120と受話器22の間には、音声回線144が接続されている。
【0041】
制御部110は、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、自動取引装置10の動作全般を制御する。制御部110と回線切替ユニット120の間には、指示回線141と第1音声回線142が接続されている。そして、制御部110は、指示回線141を介して制御信号を回線切替ユニット120に送信して回線切替ユニット120の動作を制御する。また、制御部110は、ハンドセット機能の有効時に受話器22から出力する誘導音声情報を、第1音声回線142を介して回線切替ユニット120に送る。なお、誘導音声情報は、予め記憶部に記憶されている。
【0042】
第1の実施形態において、制御部110は、指示回線141を介して、制御信号であるコマンドを所定間隔で回線切替部122に送信する。例えば、制御部110は、自動取引装置10の動作の間、コマンドを所定間隔で回線切替部122に送信する。これにより、自動取引装置10が正常に動作している場合には、回線切替ユニット120は、制御部110からコマンドを受信することになる。なお、同一のコマンドが、一定間隔で回線切替ユニット120に送信される。
【0043】
制御部110は、回線切替ユニット120の切替を制御することにより、ハンドセット機能とオートホン機能のいずれか一方を実行させる。具体的には、制御部110は、第1音声回線142に切り替わっている間に受話器22から誘導音声を出力させ(ハンドセット機能)、第2音声回線143に切り替わっている間に受話器22を介してコールセンタ40と通話を行う(オートホン機能)。
【0044】
制御部110は、第2音声回線143に切り替わっている間に受話器22のオフフック状態(顧客が受話器22を持ち上げた)が検出されると、コールセンタ40に発信を行う。これにより、緊急時等に顧客が受話器22をオフフックするだけで、コールセンタ40の係員と連絡が可能となる。
【0045】
回線切替ユニット120は、第1音声回線142と第2音声回線143との間で回線を切り替える回線切替部122を有する。回線切替部122は、一端側が音声回線144に接続されたスイッチ123を有し、スイッチ123の他端側が接点aに接続されることで第1音声回線142に切り替わり、スイッチ123の他端側が接点bに接続されることで第2音声回線143に切り替わる。なお、スイッチ123以外の構成により、回線の切替が行われても良い。
【0046】
ここで、第1音声回線142は、受話器22と制御部110を接続するための回線であり、第2音声回線143は、受話器22とコールセンタ40を接続するための回線である。このため、回線切替部122が第1音声回線142に切り替えた際にハンドセット機能が有効になり、第2音声回線143に切り替えた際にオートホン機能が有効になる。
【0047】
回線切替部122は、第1音声回線142に切り替わっている間に制御部110からコマンドを所定時間受信しない場合には、第1音声回線142から第2音声回線143へ切り替える。すなわち、回線切替部122は、自動取引装置10に異常が発生し制御部110からコマンドを受信できない場合には、第1音声回線142から第2音声回線143へ切り替える。これにより、自動取引装置10に異常が発生した場合には、制御部110からの回線の切替指示が無くても、自動的に第2音声回線143に切り替わる。これにより、その後に、オートホン機能を有効に活用でき、コールセンタ40に連絡可能となる。
【0048】
また、回線切替部122は、受話器22からの誘導音声の出力中に制御部110からコマンドを所定時間受信しない場合には、第1音声回線142から第2音声回線143へ切り替えても良い。これにより、ハンドセット機能による誘導音声の出力中に自動取引装置10に異常が発生した場合にも、制御部110からの回線の切替指示が無くても、自動的に第2音声回線143に切り替わる。
【0049】
なお、回線切替ユニット120は、タイムアウト監視用のタイマを有しても良い。かかる場合に、回線切替部122は、制御部110からコマンドを受信しない時間が規定時間を超える(タイムアウト)と、第1音声回線142から第2音声回線143へ切り替える。
【0050】
回線切替部122は、第1音声回線142から第2音声回線143への切り替え後に制御部110からコマンドを受信した場合には、制御部110にエラーを応答する。これにより、自動取引装置10に異常が発生した後に仮に制御部110からのコマンドを受信しても、コマンドに対応する処理(異常処理)が実行されないので、異常処理が発生することを防止できる。
【0051】
回線接続ユニット130は、第2音声回線143により回線切替ユニット120に接続されている。また、回線接続ユニット130は、前述した専用網30を介してコールセンタ40と接続されている。このため、回線切替部122が第2音声回線143へ切り替えると、回線切替ユニット120を介してコールセンタ40との通話が可能となる。
【0052】
(1−4.第1の実施形態に係る音声回線の切替制御)
図4を参照しながら、第1の実施形態に係る音声回線の切替制御について説明する。図4は、第1の実施形態に係る第1音声回線と第2音声回線の切替制御を示すフローチャートである。
【0053】
音声回線の切替制御は、例えば制御部110のCPUが、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、実現される。なお、実行されるプログラムは、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカード等の記録媒体に記憶されても良く、インターネットを介してサーバ等からダウンロードされても良い。
【0054】
図4のフローチャートは、制御部110からの指示により、回線切替部122が第1音声回線142に切り替えた状態から開始される(ステップS102)。そして、回線切替部122は、タイムアウト監視用のカウンタをクリアする(ステップS104)。この際、制御部110は、制御信号であるコマンドを指示回線141を介して所定間隔で回線切替部122に送信する。なお、第1音声回線142に切り替わっているので、ハンドセット機能が有効な状態となっている。
【0055】
次に、回線切替部122は、制御部110からコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS106)。自動取引装置10に異常が発生していない場合には、ステップS106で回線切替部122はコマンドを受信し(Yes)、受信したコマンドに対応する処理を行う(ステップS108)。そして、回線切替部122は、タイムアウト監視用のカウンタをクリアする(ステップS110)。
【0056】
一方で、自動取引装置10に異常が発生した場合には、ステップS106で回線切替部122はコマンドを受信しない(No)。すると、回線切替部122は、カウンタを参照し、タイムアウトしたか否かを判定する(ステップS112)。例えば、カウンタの値が規定値以上になった場合には、タイムアウトと判定される。ステップS112でタイムアウトしていないと判定された場合には(No)、回線切替部122はカウンタを更新する(ステップS114)。その後、上述したステップS106の処理に戻る。
【0057】
ステップS112でタイムアウトしたと判定された場合には(Yes)、回線切替部122は、制御部110からの指示が無くても、第1音声回線142から第2音声回線143へ回線を切り替える(ステップS116)。これにより、ハンドセット機能が無効になり、オートホン機能が有効化される。この結果、顧客は、受話器22を用いてコールセンタ40に連絡することができ、自動取引装置10の異常を解消可能となる。
【0058】
第2音声回線143に切り替え後に、回線切替部122は、制御部110からコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS118)。ステップS118でコマンドを受信した場合には(Yes)、自動取引装置10の異常発生後のコマンドであるため、回線切替部122は、エラーとして制御部110に応答する(ステップS120)。
【0059】
なお、自動取引装置10の異常が解消され復旧された後に、制御部110が回線切替ユニット120にコマンドを送信すると、回線切替ユニット120は、一度異常が発生したことを把握しているため、リセットする。これにより、回線切替部122は、第2音声回線143から第1音声回線142に切り替える。
【0060】
(1−5.第1の実施形態の有効性)
上述したように、制御部110が所定間隔でコマンドを回線切替部122に送信する自動取引装置10において異常が発生した場合には、制御部110によるコマンドの送信が正常に行われなくなる。
【0061】
そこで、第1の実施形態に係る回線切替部122は、第1音声回線142に切り替わっている間に制御部110からコマンドを所定時間受信しない場合には、第1音声回線142から第2音声回線143へ切り替える。これにより、自動取引装置10に異常が発生した場合には、制御部110が回線切替の指示を回線切替部122に送らなくても、回線切替部122が第1音声回線142からコールセンタ40と通話可能な第2音声回線143に切り替えることができる。この結果、緊急通信手段としてのオートホン機能が、有効に活用されることになる。
【0062】
<2.第2の実施形態>
図5及び図6を参照しながら、第2の実施形態について説明する。
【0063】
図5は、第2の実施形態に係る自動取引装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。第2の実施形態の回線切替ユニット120の構成が、第1の実施形態と異なる。第2の実施形態に係る回線切替ユニット120は、回線切替部122に加えて、状態判定部の一例である自己診断部124を備える。なお、回線切替ユニット120以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明な省略する。
【0064】
自己診断部124は、回線切替ユニット120の状態(例えば、異常状態)を診断可能である。例えば、自己診断部124は、回線切替ユニット120におけるウォッチドッグタイマのタイムアウトや、論理エラーを検出すると、回線切替ユニット120が異常状態であると判定する。自己診断部124は、判定結果を回線切替部122に出力する。
【0065】
回線切替部122は、第1音声回線142に切り替わっている間に回線切替部122が異常状態となった場合には、第1音声回線142から第2音声回線143へ切り替える。具体的には、回線切替部122は、自己診断部124の判定結果に基づき、第1音声回線142に切り替わっている間に回線切替ユニット120が異常状態であると判断した場合には、第1音声回線142から第2音声回線143へ切り替える。すなわち、回線切替ユニット120に異常が発生した場合には、制御部110からの回線の切替指示が無くても、自動的に第2音声回線143に切り替わる。これにより、その後に、オートホン機能を有効に活用でき、コールセンタ40に連絡可能となる。
【0066】
図6は、第2の実施形態に係る第1音声回線と第2音声回線の切替制御を示すフローチャートである。図6のフローチャートは、制御部110の指示により、回線切替部122が第1音声回線142に切り替えた状態から開始される(ステップS202)。第1音声回線142に切り替わっているので、ハンドセット機能が有効な状態となっている。
【0067】
次に、自己診断部124は、回線切替ユニット120の状態を診断する(ステップS204)。次に、回線切替部122は、自己診断部124による診断結果に基づいて、回線切替ユニット120が異常であるか否かを判定する(ステップS206)。ステップS206で回線切替ユニット120が異常で無いと判定された場合には(No)、回線切替部122は第1音声回線142の切替状態を維持し、ステップS204の処理に戻る。
【0068】
一方で、ステップS206で回線切替ユニット120が異常であると判定された場合には(Yes)、回線切替部122は、第1音声回線142から第2音声回線143へ切り替える(ステップS208)。これにより、ハンドセット機能が無効になり、オートホン機能が有効化される。この結果、顧客は、受話器22を用いてコールセンタ40に連絡することができ、自動取引装置10の異常を解消可能となる。
【0069】
なお、第2の実施形態でも、回線切替部122は、第1音声回線142に切り替わっている間に制御部110からコマンドを所定時間受信しない場合には、第1音声回線142から第2音声回線143へ切り替えても良い。これにより、回線切替ユニット120以外で自動取引装置10に異常が発生しても、オートホン機能を有効に活用でき、コールセンタ40に連絡可能となる。
【0070】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0071】
また、上述した自動取引装置10の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、自動取引装置10の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0072】
また、自動取引装置10に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した自動取引装置10の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。
【符号の説明】
【0073】
10 自動取引装置
22 受話器
40 コールセンタ
110 制御部
120 回線切替ユニット
122 回線切替部
124 自己診断部
142 第1音声回線
143 第2音声回線
図1
図2
図3
図4
図5
図6