(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、蓄電装置の電極に用いられる箔部材のような、薄くて柔らかいシート状部材は、限界ゲージでの検査時に反りや浮きが生じ易く、容易にかつ正確に検査することはできない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、シート状部材であっても、正確かつ簡易に寸法を確認することが可能な寸法検査器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るシート状部材の寸法検査器具は、シート状部材である被検査物の寸法を検査する寸法検査器具であって、第1挟持部材と、第1挟持部材との間で被検査物を挟持する第2挟持部材と、厚み方向に貫通し、厚み方向から見た平面形状が被検査物の最大許容寸法及び最小許容寸法にそれぞれ形成された貫通部を有する最大許容寸法検査用ゲージ部及び最小許容寸法検査用ゲージ部の少なくとも一方と、被検査物に対する最大許容寸法検査用ゲージ部及び最小許容寸法検査用ゲージ部の位置決めを行う位置決め部と、を備える。位置決め部は、第1挟持部材及び第2挟持部材に挟持された被検査物の外縁部の一部が接触され、更に、最大許容寸法検査用ゲージ部又は最小許容寸法検査用ゲージ部の外縁部の一部が接触されたときに、被検査物の外縁部の一部の位置と、最大許容寸法検査用ゲージ部又は最小許容寸法検査用ゲージ部における貫通部の縁部の一部の位置とが、厚み方向から見て平面的に一致するように形成されている。
【0007】
この構成の寸法検査器具では、被検査物が第1挟持部材及び第2挟持部材によって挟持されるので、シート状部材に特有な反りや浮きを抑えることができる。また、位置決め部に対して、第1挟持部材及び第2挟持部材によって挟持された被検査物の一部、及び、最大許容寸法検査用ゲージ部又は最小許容寸法検査用ゲージ部の一部を接触させるだけの簡易な操作で、被検査物の外縁部の一部の位置と、最大許容寸法検査用ゲージ部又は最小許容寸法検査用ゲージ部における貫通部の縁部の一部の位置とを、厚み方向から見て平面的に一致させることができる。このような状態に被検査物がセットされた寸法検査器具では、被検査物の外縁部と最大許容寸法検査用ゲージ部又は最小許容寸法検査用ゲージ部の貫通部の縁部との間の隙間の有無を観察するだけで、容易に寸法形状を検査できる。この結果、シート状部材であっても、正確かつ簡易に寸法を確認することができる。
【0008】
本発明の一側面に係るシート状部材の寸法検査器具は、シート状部材である被検査物の寸法を検査する寸法検査器具であって、第1挟持部材と、第1挟持部材との間で被検査物を挟持する第2挟持部材と、厚み方向に貫通する貫通部を有し、貫通部の縁部が、対辺を基準とする寸法が被検査物の最大許容寸法である部分と、対辺を基準とする寸法が被検査物の最小許容寸法である部分との両方を有している、寸法検査用ゲージ部と、被検査物に対する寸法検査用ゲージ部の位置決めを行う位置決め部と、を備える。位置決め部は、第1挟持部材及び第2挟持部材に挟持された被検査物の外縁部の一部が接触され、更に、寸法検査用ゲージ部の外縁部の一部が接触されたときに、被検査物の外縁部の一部の位置と、寸法検査用ゲージ部における貫通部の縁部の一部の位置とが、厚み方向から見て平面的に一致するように形成されている。
【0009】
この構成の寸法検査器具では、被検査物が第1挟持部材及び第2挟持部材によって挟持されるので、シート状部材に特有な反りや浮きを抑えることができる。また、位置決め部に対して、第1挟持部材及び第2挟持部材によって挟持された被検査物の一部、及び、寸法検査用ゲージ部の一部を接触させるだけの簡易な操作で、被検査物の外縁部の一部の位置と、寸法検査用ゲージ部における貫通部の縁部の一部の位置とを、厚み方向から見て平面的に一致させることができる。このような状態に被検査物がセットされた寸法検査器具では、被検査物の外縁部と寸法検査用ゲージ部の貫通部の縁部との間の隙間の有無を観察するだけで、容易に寸法形状を検査できる。この結果、シート状部材であっても、正確かつ簡易に寸法を確認することができる。
【0010】
また、一実施形態において、第2挟持部は、厚み方向に開口する開口部が設けられていてもよい。
【0011】
この寸法検査器具では、第1挟持部材と第2挟持部材とによって挟持される被検査物を指などで簡単に動かすことできる。これにより、位置決め部に対する被検査物の位置を容易に調整することができる。
【0012】
また、一実施形態において、第1挟持部は、透光性部材により形成されていてもよい。
【0013】
この寸法検査器具では、被検査物の外縁部と、最大許容寸法検査用ゲージ部、最小許容寸法検査用ゲージ部及び寸法検査用ゲージ部の貫通部の縁部との間の隙間部分が明るくなるので、隙間の有無の観察が容易となる。
【0014】
また、一実施形態において、第1挟持部材における被検査物の載置面とは反対側の面と対向する位置に設けられ、第1挟持部材側に光を出射する光源部を更に備えていてもよい。
【0015】
この寸法検査器具では、被検査物の外縁部と最大許容寸法検査用ゲージ部、最小許容寸法検査用ゲージ部及び寸法検査用ゲージ部の貫通部の縁部との間の隙間部分がより明るくなるので、隙間の有無の観察が容易となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シート状部材であっても、正確かつ簡易に寸法を確認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して一実施形態に係るシート状部材の寸法検査器具1について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。説明の便宜のため、
図1においてXYZ座標を設定する。
【0019】
図1は、一実施形態に係る寸法検査器具1を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す寸法検査器具1の構成を分解して示した模式図である。寸法検査器具1は、例えば、蓄電装置を構成する電極を形成する金属箔部品など、シート状部材の被検査物70の寸法形状の検査を行うための器械である。
【0020】
図1及び
図2に示すように、寸法検査器具1は、載置板(第1挟持部材)10と、位置決め部20と、挟持板(第2挟持部材)30と、最大許容寸法検査用ゲージ部40と、最小許容寸法検査用ゲージ部50と、を備えている。寸法検査器具1は、被検査物70が最大許容寸法にあるか否かを検査する場合には最大許容寸法検査用ゲージ部40を用い、被検査物70が最小許容寸法にあるか否かを検査する場合には、最大許容寸法検査用ゲージ部40に代えて最小許容寸法検査用ゲージ部50を用いる。
【0021】
載置板10は、被検査物70を載置する部分である。載置板10は、被検査物70を載置する第1載置面11と、後段にて詳述する位置決め部20を載置する、L字型に形成された第2載置面13を有している。第1載置面11と第2載置面13との間には、厚み方向に段差15(15a、15b)が形成されている。載置板10は、透明のアクリル樹脂により形成することができる。
【0022】
位置決め部20は、後述する最大許容寸法検査用ゲージ部40及び最小許容寸法検査用ゲージ部50の一部と、被検査物70の一部とが接触されることにより、被検査物70に対する最大許容寸法検査用ゲージ部40及び最小許容寸法検査用ゲージ部50の位置合わせを行う部分である。本実施形態の位置決め部20は、後述する被検査物70と、最大許容寸法検査用ゲージ部40の外縁部の二辺47a,47b又は最小許容寸法検査用ゲージ部50の外縁部の二辺57a,57bと接触可能なようにL字型に形成されている。
【0023】
本実施形態の寸法検査器具1では、被検査物70の外縁部(側部)の二辺75a,75b(
図3参照)と、位置決め部20の第1基準面25a,25bとを接触させ、かつ、最大許容寸法検査用ゲージ部40の外縁部(側部)の二辺47a,47bと、位置決め部20の第2基準面27a,27bとを接触させることにより、被検査物70に対する最大許容寸法検査用ゲージ部40の位置合わせを行い、被検査物70の外縁部の二辺75a,75bと、位置決め部20の第1基準面25a,25bとを接触させ、かつ、最小許容寸法検査用ゲージ部50の外縁部(側部)の二辺57a,57bと、位置決め部20の第2基準面27a,27bとを接触させることにより、被検査物70に対する最小許容寸法検査用ゲージ部50の位置合わせを行う。
【0024】
なお、本実施形態の位置決め部20には、第2基準面27a,27bにそれぞれ凹部27c,27dが設けられている。凹部27c,27dは、被検査物70がセットされた際に、後述する最大許容寸法検査用ゲージ部40及び最小許容寸法検査用ゲージ部50それぞれの取り扱いを容易にするためのものである。
【0025】
挟持板30は、載置板10との間で、被検査物70を挟持する部分である。本実施形態の寸法検査器具1では、被検査物70を載置板10と挟持板30とで挟むことにより、被検査物70を浮き及び反りのない状態にすることができる。挟持板30には、開口部31が設けられている。開口部31は、載置板10と挟持板30とで挟まれた被検査物70を指などで動かすために設けられている。開口部31が設けられることにより、被検査物70の位置調整が容易に行える。挟持板30は、例えば、透明のアクリル樹脂により形成することができる。
【0026】
最大許容寸法検査用ゲージ部40は、厚み方向に貫通する貫通部41が形成されている。貫通部41の厚み方向から見た平面形状は、被検査物70の最大許容寸法と同一の形状に形成されている。最大許容寸法検査用ゲージ部40は、最大許容寸法検査用ゲージ部40の外縁部の二辺47a,47bを位置決め部20の第2基準面27a,27bに接触させたときに、貫通部41の一辺である第1ゲージ基準面43aの位置と、位置決め部20の第1基準面25aの位置とが、Y軸方向において一致し(
図4(A)参照)、貫通部41の一辺である第2ゲージ基準面43bの位置と、位置決め部20の第1基準面25bの位置とがX軸方向において一致する(
図4(B)参照)。
【0027】
最小許容寸法検査用ゲージ部50は、厚み方向に貫通する貫通部51が形成されている。貫通部51の厚み方向から見た平面形状は、被検査物70の最小許容寸法と同一の形状に形成されている。最小許容寸法検査用ゲージ部50は、最小許容寸法検査用ゲージ部50の外縁部の二辺57a,57bを位置決め部20の第2基準面27a,27bに接触させたときに、貫通部51の一辺である第1ゲージ基準面53aの位置と、位置決め部20の第1基準面25aの位置とが、Y軸方向において一致し(
図4(A)参照)、貫通部41の一辺である第2ゲージ基準面53bの位置と、位置決め部20の第1基準面25bの位置とがX軸方向において一致する(
図4(B)参照)。
【0028】
次に、主に
図3〜
図5を用いて、本実施形態の寸法検査器具1によって被検査物70の寸法を検査する方法について詳細に説明する。
図3は、寸法検査器具1での検査方法を示した説明図である。
図4は、
図1に示すIVA−IVA線における断面図、IVB−IVB線における断面図である。
図5は、被検査物70に対する最大許容寸法の検査方法及び最小許容寸法の検査方法をそれぞれ説明するための図である。
【0029】
最初に、被検査物70が最大許容寸法に形成されているか否かを検査する方法について説明する。まず、寸法検査器具1へ被検査物70をセットする。
図3に示すように、載置板10の上に位置決め部20を載置する。具体的には、載置板10の段差15a,15bと、位置決め部20の第1基準面25a,25bとが互いに接触するように、位置決め部20を載置板10の上に載置する。
【0030】
次に、被検査物70を載置板10の上に載置する。具体的には、被検査物70における外縁部の二辺75a,75bと、位置決め部20の第1基準面25a,25bとが互いに接触するように、被検査物70を載置板10の上に載置する。
【0031】
次に、挟持板30を被検査物70の上に載置して、載置板10との間で被検査物70を挟持する。具体的には、挟持板30における外縁部の二辺35a,35bと、位置決め部20の第1基準面25a,25bとが互いに接触するように、挟持板30を被検査物70の上に載置する。
【0032】
次に、最大許容寸法検査用ゲージ部40を、挟持板30の上に配置する。具体的には、最大許容寸法検査用ゲージ部40における外縁部の二辺47a,47bと、位置決め部20の第2基準面27a,27bとが互いに接触するように、最大許容寸法検査用ゲージ部40を挟持板30の上に配置する。
【0033】
以上に説明した工程を経ることにより、寸法検査器具1に対する被検査物70のセットが完了する。最大許容寸法検査用ゲージ部40は、最大許容寸法検査用ゲージ部40の外縁部の一辺47aを位置決め部20における第2基準面27aに接触させて位置合わせされる。このとき、Z軸方向から見た平面視において、最大許容寸法検査用ゲージ部40における第1ゲージ基準面43aの位置と、位置決め部20の第1基準面25aの位置とが一致する。被検査物70は、被検査物70における一辺75aが位置決め部20における第1基準面25aに接触させて位置合わせされるので、Z軸方向から見た平面視において、最大許容寸法検査用ゲージ部40における第1ゲージ基準面43aの位置と、被検査物70における一辺75aの位置とが一致する。
【0034】
また、最大許容寸法検査用ゲージ部40は、最大許容寸法検査用ゲージ部40の一辺47bを位置決め部20における第2基準面27bに接触させて位置合わせされる。このとき、Z軸方向から見た平面視において、最大許容寸法検査用ゲージ部40における第1ゲージ基準面43bの位置と、位置決め部20の第1基準面25bの位置とが一致する。被検査物70は、被検査物70における一辺75bが位置決め部20における第1基準面25bに接触させて位置合わせされるので、Z軸方向から見た平面視において、最大許容寸法検査用ゲージ部40における第1ゲージ基準面43bの位置と、被検査物70における一辺75bの位置とが一致する。
【0035】
このように、被検査物70に対して最大許容寸法検査用ゲージ部40が位置決めされた状態の寸法検査器具1において、以下に示す観点で目視検査を行う。すなわち、
図5(A)に示すように、被検査物70の外縁部70aと、最大許容寸法検査用ゲージ部40の貫通部41の縁部41aとの間に連続する隙間Gがあるか否かを確認する。連続する隙間Gとは、被検査物70の外縁部70aと最大許容寸法検査用ゲージ部40における貫通部41の縁部41aとに沿って連続して延びる、上記外縁部70aと上記縁部41aとの間の隙間という。
【0036】
ここで、最大許容寸法検査用ゲージ部40の貫通部41の縁部41aとの間に連続する隙間がある場合には、被検査物70は、最大許容寸法以下となる寸法形状に形成されていると判定(検査合格)する。一方、最大許容寸法検査用ゲージ部40の貫通部41の縁部41aとの間に隙間がない場合には、被検査物70は、最大許容寸法よりも大きな寸法形状に形成されていると判定(検査不合格)する。
【0037】
次に、被検査物70が最小許容寸法に形成されているか否かを検査する方法について説明する。被検査物70が最大許容寸法に形成されているか否かを検査する方法と異なる点は、最大許容寸法検査用ゲージ部40の代わりに最小許容寸法検査用ゲージ部50を用いる点である。すなわち、最小許容寸法検査用ゲージ部50における外縁部の二辺57a,57bと、位置決め部20の第2基準面27a,27bとが互いに接触するように、最小許容寸法検査用ゲージ部50を挟持板30の上に配置する。この場合も、Y軸方向において、被検査物70の一辺75aの位置が最小許容寸法検査用ゲージ部50の第1ゲージ基準面53aの位置に位置合わせされる。
【0038】
このように、被検査物70に対して最小許容寸法検査用ゲージ部50が位置決めされた状態の寸法検査器具1において、以下に示す観点で目視検査を行う。すなわち、
図5(B)に示すように、被検査物70の外縁部70aと、最小許容寸法検査用ゲージ部50の貫通部51の縁部51aとの間に連続する隙間Gがあるか否かを確認する。
【0039】
ここで、最小許容寸法検査用ゲージ部50の貫通部51の縁部51aとの間に連続する隙間がない場合には、被検査物70は、最小許容寸法以上となる寸法形状に形成されていると判定(検査合格)する。一方、最小許容寸法検査用ゲージ部50の貫通部51の縁部51aとの間に隙間がある場合には、被検査物70は、最小許容寸法よりも小さな寸法形状に形成されていると判定(検査不合格)する。
【0040】
以上に説明した寸法検査器具1では、被検査物70が載置板10及び挟持板30によって挟持されるので、シート状部材に特有な反りや浮きを抑えることができる。また、位置決め部20に対して、載置板10及び挟持板30によって挟持された被検査物70の外縁部の二辺75a、75b、及び、最大許容寸法検査用ゲージ部40又は最小許容寸法検査用ゲージ部50の外縁部の二辺47a,47b,57a,57bを接触させるだけの簡易な操作で、被検査物70の外縁部の二辺75a,75bの位置と、最大許容寸法検査用ゲージ部40又は最小許容寸法検査用ゲージ部50における貫通部41,51の二辺(第1ゲージ基準面43a,53a及び第2ゲージ基準面43b,53b)の位置とを、Z軸方向から見て平面的に一致させることができる。このような状態に被検査物70がセットされた寸法検査器具1では、
図5(A)及び
図5(B)に示すように、被検査物70の外縁部70aと最大許容寸法検査用ゲージ部40又は最小許容寸法検査用ゲージ部50の貫通部41,51の縁部41a,51aとの間の隙間Gの有無を観察するだけで、容易に寸法形状を検査できる。この結果、シート状部材であっても、正確かつ簡易に寸法を確認することができる。
【0041】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0042】
上記実施形態の寸法検査器具1では、最大許容寸法検査用ゲージ部40と最小許容寸法検査用ゲージ部50とをそれぞれ有しており、それぞれのゲージ部40,50を変えることにより、被検査物70の寸法形状が最大許容寸法及び最小許容寸法を満たしているかについて検査する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、以下に説明する寸法検査用ゲージ部140を用いることにより、被検査物170の寸法形状が最大許容寸法及び最小許容寸法を満たしているかについて一度に検査することができる。
【0043】
図6は、他の実施形態に係る寸法検査器具1が備える寸法検査用ゲージ部の平面図である。
図6に示すように、寸法検査用ゲージ部140は、厚み方向に貫通する貫通部141が形成されている。この寸法検査用ゲージ部140は、貫通部141の厚み方向から見た平面形状に特徴がある。
【0044】
すなわち、
図7に示すように、貫通部141の縁部の一部には、内寸として最大許容寸法が確保できる部分である最大許容寸法検査部141aと、内寸として最小許容寸法が確保できる部分である最小許容寸法検査部141bとが形成されている。寸法検査用ゲージ部140は、寸法検査用ゲージ部140の外縁部(側部)の二辺147a,147bを位置決め部20の第2基準面27a,27bに接触させたときに、貫通部141の一辺である第1ゲージ基準面143aの位置と、位置決め部20の第1基準面25aの位置とが、Y軸方向において一致し、貫通部141の一辺である第2ゲージ基準面143bの位置と、位置決め部20の第1基準面25bの位置とがX軸方向において一致する。
【0045】
このような寸法検査用ゲージ部140を、寸法検査用ゲージ部140における外縁部の二辺147a,147bと、位置決め部20の第2基準面27a,27bとが互いに接触するように挟持板30の上に配置して、寸法検査器具1に対する被検査物170のセットが完了する。
【0046】
このとき、寸法検査用ゲージ部140は、寸法検査用ゲージ部140の外縁部の一辺147aを位置決め部20における第2基準面27aに接触させて位置合わせされる。このとき、Z軸方向から見た平面視において、寸法検査用ゲージ部140における第1ゲージ基準面143aの位置と、位置決め部20の第1基準面25aの位置とが一致する。被検査物170は、被検査物170における一辺175aが位置決め部20における第1基準面25aに接触させて位置合わせされるので、Z軸方向から見た平面視において、寸法検査用ゲージ部140における第1ゲージ基準面143aの位置と、被検査物170における一辺175aの位置とが一致する。
【0047】
また、寸法検査用ゲージ部140は、寸法検査用ゲージ部140の一辺147bを位置決め部20における第2基準面27bに接触させて位置合わせされる。このとき、Z軸方向から見た平面視において、寸法検査用ゲージ部140における第1ゲージ基準面143bの位置と、位置決め部20の第1基準面25bの位置とが一致する。被検査物170は、被検査物170における一辺175bが位置決め部20における第1基準面25bに接触させて位置合わせされるので、Z軸方向から見た平面視において、寸法検査用ゲージ部140における第1ゲージ基準面143bの位置と、被検査物170における一辺175bの位置とが一致する。
【0048】
このように、被検査物170に対して寸法検査用ゲージ部140が位置決めされた状態の寸法検査器具1において、以下に示す観点で目視検査を行う。すなわち、
図8(A)〜(C)に示すように、被検査物170の外縁部170aと、寸法検査用ゲージ部140の貫通部141の縁部(最大許容寸法検査部141a及び最小許容寸法検査部141b)との間の隙間の発生状況を確認する。
【0049】
ここで、
図8(A)に示すように、被検査物170の外縁部170aと、寸法検査用ゲージ部140の貫通部141の縁部(最大許容寸法検査部141a及び最小許容寸法検査部141b)との間に点在する隙間G1があることが確認できた場合には、被検査物170は、最大許容寸法以下の寸法形状に形成されていると共に、最小許容寸法以上の寸法形状に形成されていると判定(検査合格)する。
【0050】
図8(B)に示すように、被検査物170の外縁部170aと、寸法検査用ゲージ部140の貫通部141の縁部(最大許容寸法検査部141a及び最小許容寸法検査部141b)との間に連続部分を有する隙間G2があることが確認できた場合には、被検査物170は、最小許容寸法よりも小さい寸法形状に形成されていると判定(検査不合格)する。
【0051】
図8(C)に示すように、被検査物170の外縁部170aと、寸法検査用ゲージ部140の貫通部141の縁部(最大許容寸法検査部141a及び最小許容寸法検査部141b)との間に隙間が確認できない場合には、被検査物170は、最大許容寸法よりも大きい寸法形状に形成されていると判定(検査不合格)する。
【0052】
この寸法検査器具1では、被検査物170が載置板10及び挟持板30によって挟持されるので、シート状部材に特有な反りや浮きを抑えることができる。また、位置決め部20に対して、載置板10及び挟持板30によって挟持された被検査物170、及び、寸法検査用ゲージ部140を接触させるだけの簡易な操作で、被検査物170の外縁部の二辺170a,170bの位置と、寸法検査用ゲージ部140における貫通部141の縁部の二辺(第1ゲージ基準面143a及び第2ゲージ基準面143b)の位置とを、Z軸方向から見て平面的に一致させることができる。このような状態に被検査物170がセットされた寸法検査器具1では、
図8(A)〜(C)に示すように、被検査物170の外縁部170aと寸法検査用ゲージ部140の貫通部141の縁部(最大許容寸法検査部141a及び最小許容寸法検査部141b)との間の隙間G1,G2の有無を観察するだけで、容易に寸法形状を検査できる。この結果、シート状部材であっても、正確かつ簡易に寸法を確認することができる。
【0053】
また、上記実施形態の寸法検査器具1の構成に加えて、
図9に示すような、光源部80を備える寸法検査器具201としてもよい。光源部80は、載置板10における被検査物70(170)の載置する面とは反対側の面と対向する位置に設けられ、載置板10側に光を出射する部分である。光源部80は、筐体81の中に光源83が配置されており、その光源83は、載置板10に向けて(Z軸方向上向き)光を出射する。筐体81の上面85は、光源83から出射される光を面状の光とすることができる透光性材料で形成されることが望ましい。光源部80を備えることにより、隙間G(G1、G2)の有無をより一層確認しやすい寸法検査器具201とすることができる。
【0054】
また、上記実施形態の寸法検査器具1,201では、載置板10と、位置決め部20と、挟持板30と、最大許容寸法検査用ゲージ部40と、最小許容寸法検査用ゲージ部50と、寸法検査用ゲージ部140とが、それぞれ別の部材として構成されている例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、載置板10と位置決め部20とが一体的に形成される構成であってもよいし、載置板10と、位置決め部20と、挟持板30と、寸法検査用ゲージ部140とが、一体的に形成される構成であってもよい。載置板10と、位置決め部20と、挟持板30と、寸法検査用ゲージ部140とが一体的に形成する場合には、載置板10と挟持板30とを所定の距離をあけて配置する。被検査物70(170)は、例えば、載置板10及び挟持板30の側方部分から、例えばスライドさせながら挿入して、所定の位置にセットする。