(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自車両の周囲に存在する所定の表示対象移動体、およびその表示対象移動体以外で前記自車両の周辺に存在する移動体である非対象移動体の位置を取得する移動体位置取得部(41)と、
前記移動体位置取得部が取得した前記表示対象移動体および前記非対象移動体の位置に基づいて、前記自車両に対する前記表示対象移動体および前記非対象移動体の相対位置を決定する相対位置決定部(42)と、
表示区画として、複数の大表示区画およびその大表示区画を複数に分割した詳細表示区画を備えており、前記表示区画の一部が選択的に所定の移動体存在色で表されることで、前記相対位置決定部が決定した前記表示対象移動体の相対位置を示す移動体位置表示画像(50)を表示する表示部(30)と、
前記相対位置決定部が決定した前記表示対象移動体の相対位置に基づいて、前記移動体位置表示画像において前記移動体存在色とする一つまたは複数の表示区画を含む表示区画パターンを決定し、決定した表示区画パターンを前記移動体存在色で表示することで前記表示対象移動体の相対位置を表示する位置表示処理部(43)と、
前記相対位置決定部が決定した前記表示対象移動体の相対位置と前記非対象移動体の相対位置とに基づいて、前記表示対象移動体の視認が前記非対象移動体により遮蔽されているか否かを判断する遮蔽判断部(44)とを備え、
前記位置表示処理部は、前記遮蔽判断部が、前記表示対象移動体の視認が前記非対象移動体により遮蔽されていないと判断したことに基づいて、前記大表示区画を用いて前記表示区画パターンを決定する一方、前記遮蔽判断部が、前記表示対象移動体の視認が前記非対象移動体により遮蔽されていると判断したことに基づいて、前記詳細表示区画を用いて前記表示区画パターンを決定する、ことを特徴とする周辺移動体位置表示装置(1)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<全体構成>
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明を具体化した以下の実施形態では、緊急車両位置表示装置1を説明する。この緊急車両位置表示装置1は、自車両の周辺を緊急走行状態で走行する緊急車両を表示対象移動体とする周辺移動体位置表示装置である。
【0020】
図1に示すように、緊急車両位置表示装置1は、位置検出部10、無線通信部20、表示部30、制御部40を備えており、車両に搭載される。以下、緊急車両位置表示装置1が搭載された車両を自車両という。
【0021】
位置検出部10は、衛星からの電波に基づいて自装置の位置を検出するGNSS(Global Navigation Satellite System)で用いられるGNSS受信機を備えている。このGNSS受信機が受信した信号に基づいて、現在位置の座標を検出する。
【0022】
無線通信部20は、他車両に搭載された無線通信部20との間で無線通信を行う通信部である。また、図示しない路側機が備える無線機の通信圏内である場合には、その無線機とも無線通信を行うことができる。本実施形態の無線通信部20は、700MHz帯の周波数を用いる。ただし、それ以外の周波数帯、たとえば、5GHz帯、2.4GHz帯の周波数を用いてもよい。また、通信距離は数百mであり、同報通信を行うものとする。
【0023】
他車両の一つである緊急車両や緊急車両以外の他車両である一般他車両も、無線通信部20と位置検出部10を備えている。これら他車両は、位置検出部10が検出した現在位置を含む通知用車両情報を無線通信部20から送信する。この通知用車両情報には、車両の位置に加え、車速、車両の進行方位、緊急走行状態であるか否かを示すフラグが含まれている。緊急走行状態であるか否かを示すフラグは、緊急車両のみがオンにすることができる。自車両の無線通信部20は、他車両が送信する上記通知用車両情報を受信する。
【0024】
表示部30は、車室内の運転者が視認可能な位置に設置される。表示部30は、
図5に例示している他車両位置表示画像50を表示する。この他車両位置表示画像50は、複数(ここでは4つ)の大表示区画51〜54を備える。各大表示区画51〜54は正方形である。なお、他車両位置表示画像50は請求項の移動体位置表示画像に相当する。
【0025】
詳細表示区画51a〜51dは、大表示区画51を四等分に分割した大きさの正方形状である。また、詳細表示区画52a〜52d、詳細表示区画53a〜53d、詳細表示区画54a〜54dは、それぞれ、大表示区画52、53、54を四等分に分割した大きさの正方形状である。他車両位置表示画像50の中心には、自車両を示すマークである自車両マーク55が表示されている。この
図5に示している状態では、他車両位置表示画像50は、下側の2つの大表示区画53、54が、所定の車両存在色となっている。なお、車両存在色は請求項の移動体存在色に相当する。
【0026】
本実施形態では、緊急車両が、この他車両位置表示画像50により相対位置を表示する対象である表示対象移動体である。他車両位置表示画像50において、大表示区画51〜54、あるいは、詳細表示区画52a〜52d、53a〜53d、54a〜54dの一部を選択的に車両存在色とすることで、緊急車両の位置を表示する。
【0027】
制御部40は、位置検出部10、無線通信部20、表示部30と接続されており、これらとの間で信号の授受を行う。また、制御部40には、車速信号も入力される。この制御部40は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータであり、CPUが、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに記憶されているプログラムを実行する。このプログラムを実行することで、制御部40は、
図2に示す、他車両位置取得部41、相対位置決定部42、位置表示処理部43、遮蔽判断部44、速度取得部45として機能する。また、
図2には示していないが、制御部40は、前述した通知用車両情報を作成して、無線通信部20から送信する機能も備える。
【0028】
<制御部40の機能>
他車両位置取得部41は、自車両の周囲に存在する他車両の位置を取得する。この他車両位置取得部41は、請求項の移動体位置取得部に相当する。本実施形態では、他車両の位置は次のようにして取得する。まず、無線通信部20が受信した通知用車両情報を無線通信部20から取得し、取得した通知用車両情報から現在位置を抽出する。そして、抽出した現在位置を、通知用車両情報を送信した他車両の位置とする。
【0029】
また、位置決定に用いた通知用車両情報に、緊急走行状態であることを示すフラグが含まれていれば、その他車両を表示対象移動体とする。したがって、緊急車両であっても、緊急走行状態でない場合には、一般他車両として扱うことになる。一般他車両は請求項の非他車両移動体に相当する。なお、以下では、単に緊急車両というときは、緊急走行状態である緊急車両を意味するものとする。
【0030】
相対位置決定部42は、位置検出部10が検出した現在位置と、他車両位置取得部41が取得した他車両の位置とから、自車両に対する緊急車両および一般他車両の相対位置を決定する。
【0031】
位置表示処理部43は、表示区画決定部431と表示処理部432とを備える。表示区画決定部431は、相対位置決定部42が決定した緊急車両の相対位置に基づいて、他車両位置表示画像50において車両存在色とする一つまたは複数の区画を含む表示区画パターンを決定する。表示処理部432は、表示区画決定部431が決定した表示区画パターンが車両存在色となる他車両位置表示画像50を表示部30に表示させるための信号を、その表示部30に出力する。
【0032】
遮蔽判断部44は、相対位置決定部42が決定した緊急車両の相対位置と一般他車両の相対位置とに基づいて、緊急車両の視認が一般他車両により遮蔽されているか否かを判断する。
【0033】
速度取得部45は、緊急車両が送信した通知用車両情報から車速を抽出し、その車速を緊急車両の速度をとする。
【0034】
次に、
図3に示すフローチャートを用いて、制御部40が実行する処理をさらに説明する。
図3に示す処理は、イグニッションオンである状態で周期的に実行する。
【0035】
ステップS1では、周辺存在判定処理を行う。周辺存在判定処理は、自車両の周辺に存在する他車両の自車両に対する相対位置、および、緊急車両の速度を決定する処理であり、他車両位置取得部41、相対位置決定部42、速度取得部45が実行する処理である。この処理は、無線通信部20から取得した通知用車両情報に基づいて行う。よって、このステップS1で他車両の位置、緊急車両の速度を決定できる範囲は、無線通信部20の通信範囲内である。
【0036】
このステップS1の処理は、詳しくは、無線通信部20から取得した通知用車両情報から現在位置を抽出し、抽出した現在位置を他車両の位置とする。そして、この他車両の位置と、自車両の現在位置とから、各他車両の相対位置を決定する。また、通知用車両情報に緊急走行状態を示すフラグが含まれていれば、その他車両を緊急車両とし、その通知用情報に含まれている車速を、緊急車両の車速とする。
【0037】
ステップS2以下の処理において、ステップS11は表示処理部432の処理、
図4のステップS144は遮蔽判断部44の処理、それ以外は、表示区画決定部431の処理である。
【0038】
ステップS2では、ステップS1で行った処理において、緊急車両が含まれていたか否かを判断する。緊急車両が含まれていなければ、緊急車両なしとしてステップS3へ進み、緊急車両が含まれていれば、緊急車両ありとしてステップS5へ進む。
【0039】
ステップS3では、支援状態が支援中となっているか否かを判断する。なお、ステップS3は、ステップS2で緊急車両なしと判断した場合以外に、ステップS6、S8の判断結果がYesの場合にも実行する。ステップS3を実行する状態は、支援が不要な状態である。ステップS3の判断結果がYesである場合、支援が不要な状態であるのに、支援状態が支援中であることになる。
【0040】
そこで、ステップS4へ進み、支援状態を支援終了に設定する。また、他車両位置表示画像50を表示部30に表示している状態であれば、他車両位置表示画像50を消去する。
【0041】
ステップS3の判断結果がNoである場合には、支援が不要な状態であり、支援状態もすでに支援終了になっている。よって、ステップS4を実行する必要はないので、そのままステップS1へ戻る。
【0042】
ステップS2で緊急車両ありと判断した場合に実行するステップS5では、緊急車両が自車両の真横または正面を通過し、かつ、緊急車両の進行方位が自車両から離れる方位であるか否かを判断する。なお、真横を通過したことに代えて、自車両の真横を通過する線を自車両の車長程度前後させ、この線を通過したか否かを判断してもよい。正面についても、真正面ではなく、真正面を通る線を数m程度左右に移動させ、この線を通過したか否かを判断してもよい。
【0043】
このステップS5の判断結果がNoであればステップS7へ進み、YesであればステップS6へ進む。ステップS6では、緊急車両が自車両から視認可能であるか、換言すれば、自車両と緊急車両との間に一般他車両が存在していないかを判断する。緊急車両が自車両から視認可能であれば、ステップS3へ進む。
【0044】
表示対象移動体である緊急車両が、自車両の正面あるいは横を通過しており、かつ、自車両に接近していない場合、緊急車両に対して自車両の運転者が注意を払う必要性は低い。加えて、その緊急車両を視認可能であれば、緊急車両の位置を表示して運転者に緊急車両の位置を知らせる必要性は低い。そこで、支援を終了させるため、ステップS3へ進む。一方、ステップS6の判断結果がNoであればステップS7へ進む。
【0045】
ステップS7では、エリア判定処理を実行する。このエリア判定処理は、緊急車両が存在するエリアを判定する処理であり、緊急車両の座標と、周辺エリア60、直近エリア70の境界とを比較して決定する。
【0046】
図6に、周辺エリア60および直近エリア70を例示する。周辺エリア60は、自車両Cmを中心とする所定半径の円内であって、直近エリア70を除くエリアである。上記半径は、たとえば、150m〜200m程度の範囲で設定される。一方、本実施形態における直近エリア70は、自車両Cmを中心とする正方形のエリアであり、正方形の一辺は、たとえば、50mに設定されている。
【0047】
また、周辺エリア60は、自車両を中心とする前後左右の4つのエリア61、62、63、64に分割されている。詳しくは、自車両の正面前方を0°とする角度において、0°以上45°未満および315°以上360°(すなわち0°)未満を範囲とする前方エリア61、45°以上135°未満を範囲とする右方エリア62、135°以上225°未満を範囲とする後方エリア63、225°以上315°未満を範囲とする左方エリア64に分割されている。
【0048】
これに対して、直近エリア70は、他車両位置表示画像50の形状に対応する形状に分割されている。具体的には、直近エリア70は、大表示区画51に対応する左前直近エリア71、大表示区画52に対応する右前直近エリア72、大表示区画53に対応する右後直近エリア73、大表示区画54に対応する左後直近エリア74を備える。
【0049】
また、直近エリア70の拡大図である
図7に示すように、各直近エリア71〜74は、詳細直近エリア71a〜71d、72a〜72d、73a〜73d、74a〜74dに分割されている。これら詳細直近エリア71a〜71d、72a〜72d、73a〜73d、74a〜74dは、他車両位置表示画像50における詳細表示区画51a〜51d、52a〜52d、53a〜53d、54a〜54dにそれぞれ対応している。
【0050】
ステップS8では、ステップS7のエリア判定処理の結果、緊急車両の位置が周辺エリア60の外であるか否かを判断する。
【0051】
ステップS8の判断結果がYesであれば、前述したステップS3へ進む。ステップS8の判断結果がNoであればステップS9へ進む。ステップS9へ進む場合、緊急車両は、周辺エリア60またはその内側のエリアである直近エリア70のいずれかに位置している。そこで、ステップS9では、ステップS7のエリア判定処理の結果、緊急車両の位置が直近エリア70内であるか否かを判断する。緊急車両の位置が周辺エリア60内であれば、ステップS9の判断結果はNoとなる。この場合には、ステップS10へ進む。
【0052】
ステップS10では、緊急車両の位置に応じて定まる大表示区画51〜54の2区画分からなる表示区画パターンを、車両存在色にすることを決定する。具体的には、緊急車両の位置が前方エリア61内であれば、自車両マーク55よりも前方にある2つの大表示区画51、52を車両存在色にすると決定する。緊急車両の位置が右方エリア62内であれば、自車両マーク55よりも右方にある2つの大表示区画52、53を車両存在色にすると決定する。緊急車両の位置が後方エリア63内であれば、自車両マーク55よりも後方にある2つの大表示区画53、54を車両存在色にすると決定する。緊急車両の位置が左方エリア64内であれば、自車両マーク55よりも左方にある2つの大表示区画51、54を車両存在色にすると決定する。このようにして決定した2区画分の大表示区画51〜54からなる表示区画パターンを車両存在色とすることを、表示処理部432に指示する。
【0053】
ステップS11では、ステップS10または後述するステップS13、S14を実行することにより指示された内容で、他車両位置表示画像50を表示部30に表示する。また、支援状態を支援中とする。
【0054】
ステップS10を実行後にステップS11を実行する場合には、表示区画決定部431から指示された2区画分の大表示区画を車両存在色とした他車両位置表示画像50を表示部30に表示する。ステップS11を実行した後は、ステップS1へ戻る。
【0055】
次にステップS9でYesと判断した場合を説明する。ステップS9でYesと判断した場合、すなわち、緊急車両が直近エリア70内に存在していると判断した場合には、ステップS12へ進む。
【0056】
ステップS12では、一般他車両が存在しているか否かを判断する。この判断は、ステップS1の周辺存在判定処理の結果を用いて行う。一般他車両が存在していなければステップS13へ進む。
【0057】
ステップS13では、緊急車両の位置に応じて定まる1つの大表示区画51〜54を表示区画パターンとし、この表示区画パターンを車両存在色にすることを決定する。具体的には、緊急車両の位置が左前直近エリア71内であれば、自車両マーク55の左斜め前にある大表示区画51を車両存在色にすると決定する。緊急車両の位置が右前直近エリア72内であれば、自車両マーク55の右斜め前にある大表示区画52を車両存在色にすると決定する。緊急車両の位置が右後直近エリア73内であれば、自車両マーク55の右斜め後ろにある大表示区画53を車両存在色にすると決定する。緊急車両の位置が左後直近エリア74内であれば、自車両マーク55の左斜め後ろにある大表示区画54を、車両存在色にすると決定する。このようにして決定した1区画分の大表示区画51〜54の表示区画パターンを車両存在色とすることを、表示処理部432に指示する。
【0058】
ステップS13を実行後はステップS11へ進む。ステップS13を実行後にステップS11を実行する場合には、表示区画決定部431から指示された1区画分の大表示区画を車両存在色とした他車両位置表示画像50を表示部30に表示する。
【0059】
一方、ステップS12の判断において一般他車両ありと判断した場合には、ステップS14へ進む。ステップS14では、詳細区画判定処理を実行する。
【0060】
この詳細区画判定処理は、
図4に詳しく示す。
図4において、まずステップS141では、緊急車両と一般他車両が同一の直近エリア71〜74に存在するか否かを判定する。一般他車両が複数存在する場合には、全ての一般他車両について、緊急車両と同一の直近エリアに存在するか否かを判定する。
【0061】
ステップS142では、ステップS141の判定結果が、緊急車両と一般他車両とが同一の直近エリア71〜74に存在しているという判定結果であったか否かを判断する。緊急車両が存在する直近エリア71〜74に一般他車両が一台も存在しない場合にステップS142でNoと判断する。ステップS142でNoと判断した場合にはステップS143へ進む。
【0062】
ステップS143では、緊急車両が存在していると判定した直近エリア71〜74に対応する1つの大表示区画51〜54を表示区画パターンとし、この表示区画パターンを車両存在色にすることを、表示処理部432に支持する。このステップS143の処理は、ステップS13と同じである。よって、緊急車両の他に、自車両の周辺に一般他車両が存在しても、その一般他車両が緊急車両と同じ直近エリア71〜74に存在しない場合には、大表示区画51〜54を車両存在色とすることで、緊急車両の位置を表示することになる。
【0063】
ステップS142の判断結果がYesであった場合、すなわち、緊急車両と一般他車両が同一の直近エリア71〜74に存在していると判断したにはステップS144へ進む。ステップS144では、自車両から緊急車両の視認を遮蔽する位置に、一般他車両が存在しているか否かを判断する。この判断は、ステップS1の処理結果を用いて行う。全ての一般他車両が遮蔽位置に存在していない場合、ステップS144でNoと判断する。
【0064】
ステップS144の判断結果がNoである場合にもステップS143へ進む。よって、緊急車両と同じ直近エリア71〜74に一般他車両が存在するが、その一般他車両が緊急車両の視認を遮蔽しない場合にも、大表示区画51〜54を車両存在色とすることで、緊急車両の位置を表示することになる。
【0065】
いずれか一台でも、一般他車両が遮蔽位置に存在していれば、ステップS144でYesと判断する。ステップS144の判断結果がYesである場合、ステップS145へ進む。
【0066】
ステップS145では、緊急車両の車速が、予め設定された表示拡大速度以上であるか否かを判断する。この判断結果がNoであればステップS146に進み、YesであればステップS147へ進む。
【0067】
ステップS146では、緊急車両が存在する1つの詳細直近エリア71a〜71d、72a〜72d、73a〜73d、74a〜74dを決定する。さらに、その詳細直近エリア71a〜71d、72a〜72d、73a〜73d、74a〜74dに対応する1つの詳細表示区画51a〜51d、52a〜52d、53a〜53d、54a〜54dを表示区画パターンとする。この表示区画パターンを車両存在色にすることを、表示処理部432に指示する。
【0068】
なお、本実施形態では、詳細表示区画51a〜51d、52a〜52d、53a〜53d、54a〜54dを車両存在色とする場合、この車両存在色を、大表示区画51〜54を車両存在色とする場合とは異なる色としている。たとえば、大表示区画51〜54を車両存在色とする場合には、その車両存在色を黄色とし、詳細表示区画51a〜51d、52a〜52d、53a〜53d、54a〜54dを車両存在色とする場合には、その車両存在色を赤色とする。
【0069】
ステップS147では、2つの詳細表示区画51a〜51d、52a〜52d、53a〜53d、54a〜54dを表示区画パターンに決定する。1つの詳細表示区画51a〜51d、52a〜52d、53a〜53d、54a〜54dは、緊急車両が存在する1つの詳細直近エリア71a〜71d、72a〜72d、73a〜73d、74a〜74dに対応する詳細表示区画51a〜51d、52a〜52d、53a〜53d、54a〜54dである。もう一つは、緊急車両が存在する詳細直近エリア71a〜71d、72a〜72d、73a〜73d、74a〜74dに対して、緊急車両の進行方向前方に隣接する詳細直近エリアに対応する詳細表示区画51a〜51d、52a〜52d、53a〜53d、54a〜54dである。
【0070】
ステップS143、S146、S147のいずれかを実行したら、
図3のステップS11へ進む。
【0071】
<他車両位置表示画像50の表示変化例>
次に、
図3、4に示した処理に従った他車両位置表示画像50の表示変化例を説明する。
【0072】
<表示変化例1>
表示変化例1は、表示対象移動体である緊急車両Ceが、t1〜t7の各時点において
図8に示す位置に存在している場合における他車両位置表示画像50の表示変化例である。また、
図8において、Cmは自車両、Cgは一般他車両である。これら自車両Cm、一般他車両Cgは、緊急車両Ceの走行を邪魔しないようにするために停車している。
【0073】
t1時点では、緊急車両Ceは自車両Cmの後方に存在している。このt1時点における緊急車両Ceの位置は、周辺エリア60の一つである後方エリア63内である。よって、
図3のステップS10において、2つの大表示区画53、54を他車両存在色で表示する指示が、表示区画決定部431から表示処理部432に出される。これにより、
図9に示すように、t1時点では、他車両位置表示画像50は、大表示区画53、54が車両存在色で表示される。
【0074】
t2時点では、緊急車両Ceは自車両Cmに少し接近している。このt2時点における緊急車両Ceの位置は、右後直近エリア73である。また、t2時点における、自車両Cmから見た緊急車両Ceの方位は、一般他車両Cg1、Cg2の間の方位である。つまり、一般他車両Cgは存在するが遮蔽位置ではない。よって、ステップS144の判断結果がNoとなり、ステップS143を実行する。そのため、
図9に示すように、t2時点では、他車両位置表示画像50は、右後直近エリア73に対応する大表示区画53のみが車両存在色で表示される。
【0075】
t3時点では、緊急車両Ceはさらに自車両Cmに近づいており、詳細直近エリア73cに位置している。また、このt3時点では、一般他車両Cg2が緊急車両Ceの視認を遮蔽する位置に存在している。よって、ステップS144がYesになる。このときの緊急車両Ceの速度が表示拡大速度よりも低いとすると、ステップS146を実行することになり、詳細直近エリア73cに対応する詳細表示区画53cを車両存在色とすることが、表示区画決定部431から表示処理部432に対して指示される。これにより、
図9のt3時点に示すように、他車両位置表示画像50は、詳細表示区画53cが他車両存在色で表示される。
【0076】
t4時点では、緊急車両Ceは詳細直近エリア73bに位置している。また、一般他車両Cg3が緊急車両Ceの視認を遮蔽する位置に存在している。よって、ステップS144がYesになる。このときも緊急車両Ceの速度が表示拡大速度よりも低いとすると、ステップS146を実行する。このステップS146において、詳細直近エリア73bに対応する詳細表示区画53bを車両存在色とすることが、表示区画決定部431から表示処理部432に対して指示される。これにより、
図9のt4時点に示すように、他車両位置表示画像50は、詳細表示区画53bが他車両存在色で表示される。
【0077】
t5時点では、緊急車両Ceは自車両Cmの横位置を通過しているため、ステップS5がYesになる。しかし、自車両Cmと緊急車両Ceとの間に一般他車両Cg3、Cg4が存在していることにより、ステップS6はNoになる。このt5時点では、緊急車両Ceは、詳細直近エリア72cに位置している。また、一般他車両Cg3、Cg4が緊急車両Ceの視認を遮蔽する位置に存在している。よって、ステップS144がYesになる。このときも緊急車両Ceの速度が表示拡大速度よりも低いとすると、ステップS146を実行する。このステップS146において、詳細直近エリア72cに対応する詳細表示区画52cを車両存在色とすることが、表示区画決定部431から表示処理部432に対して指示される。これにより、
図9のt5時点に示すように、他車両位置表示画像50は、詳細表示区画52cが他車両存在色で表示される。
【0078】
t6時点でも、自車両Cmと緊急車両Ceとの間に一般他車両Cg5が存在していることにより、ステップS6はNoになる。このt6時点では、緊急車両Ceは、詳細直近エリア72aに位置しており、一般他車両Cg5が緊急車両Ceの視認を遮蔽する位置に存在している。よって、ステップS144がYesになる。このときも緊急車両Ceの速度が表示拡大速度よりも低いとすると、ステップS146において、詳細直近エリア72aに対応する詳細表示区画52aを車両存在色とすることが、表示区画決定部431から表示処理部432に対して指示される。これにより、
図9のt6時点に示すように、他車両位置表示画像50は、詳細表示区画52aが他車両存在色で表示される。
【0079】
t7時点では、自車両Cmから緊急車両Ceが視認可能である。よって、ステップS6がYesになり、ステップS3へ進む。このとき、まだ支援を実行中であるため、ステップS4へ進む。ステップS4を実行することにより、支援終了処理が行われる。これにより、
図9のt7時点に示すように、他車両位置表示画像50において、他車両存在色で表示される表示区画は存在しなくなる。なお、他車両位置表示画像50そのものを消去してもよい。
【0080】
<表示変化例2>
表示変化例2は、緊急車両Ceが、t11〜t14の各時点において
図10に示す位置に存在している場合における他車両位置表示画像50の表示変化例である。
図10の例でも、自車両Cm、一般他車両Cgは、緊急車両Ceの走行を邪魔しないようにするために停車している。
【0081】
t11時点では、緊急車両Ceは、自車両Cmの右斜め前方に位置しており、自車両Cmの前方に存在する交差点に向かって走行中である。このt1時点における緊急車両Ceの位置は、右前直近エリア72内である。また、一般他車両Cgは存在しているけれども、遮蔽位置には存在していない。よって、
図4のステップS143において、表示区画決定部431から表示処理部432に対し、1つの大表示区画52を他車両存在色で表示する指示が出される。これにより、
図11に示すように、t11時点では、他車両位置表示画像50は、大表示区画52が車両存在色で表示される。
【0082】
t12時点では、緊急車両Ceは詳細直近エリア72aに位置している。また、一般他車両Cg12、Cg13が緊急車両Ceの視認を遮蔽する位置に存在している。よって、ステップS144がYesになる。表示変化例2では、このとき緊急車両Ceの速度が表示拡大速度以上であるとする。よって、ステップS147を実行する。詳細直近エリア72a、および、その詳細直近エリア72aに対して緊急車両Ceの進行方向前方に隣接する詳細直近エリア71bには、詳細表示区画52a、51bがそれぞれ対応する。よって、ステップS147において、それら詳細表示区画52a、51bを車両存在色とすることが、表示区画決定部431から表示処理部432に対して指示される。これにより、
図11のt12時点に示すように、他車両位置表示画像50は、詳細表示区画51b、52aが他車両存在色で表示される。
【0083】
t13時点では、緊急車両Ceは詳細直近エリア71bに位置している。また、一般他車両Cg10が緊急車両Ceの視認を遮蔽する位置に存在している。よって、ステップS144がYesになる。このとき、緊急車両Ceは交差点内に位置しているので、徐行しており、緊急車両Ceの速度は表示拡大速度以下となっているとする。よって、ステップS146を実行し、詳細直近エリア71bに対応する詳細表示区画51bを車両存在色とすることが、表示区画決定部431から表示処理部432に対して指示される。これにより、
図11のt13時点に示すように、他車両位置表示画像50は、詳細表示区画51bが他車両存在色で表示される。
【0084】
t14時点では、緊急車両Ceは自車両Cmの正面を通過しており、かつ、自車両Cmから緊急車両Ceが視認可能である。よって、ステップS6がYesになり、ステップS3へ進む。このとき、まだ支援を実行中であるため、ステップS4へ進む。ステップS4を実行することにより、支援終了処理が行われる。これにより、
図11のt14時点に示すように、他車両位置表示画像50において、他車両存在色で表示される表示区画は存在しなくなる。なお、前述のように、他車両位置表示画像50そのものを消去してもよい。
【0085】
<実施形態の効果>
以上、説明した本実施形態によれば、緊急車両Ceの視認が一般他車両Cgにより遮蔽されていないと判断した場合(S144:No)、大表示区画51〜54を用いた表示区画パターンを車両存在色とする(S143、S11)。大表示区画51〜54は詳細表示区画51a〜51d、52a〜52d、53a〜53d、54a〜54dよりも大きいことから、視認性がよい。
【0086】
よって、大表示区画51〜54を用いた表示区画パターンを車両存在色とすることで、運転者は、緊急車両Ceの大雑把な位置を迅速に把握することができる。大雑把な位置であっても、運転者がすでに緊急車両Ceを視認している場合には、他車両位置表示画像50に位置が示されている緊急車両Ceが、運転者が視認している緊急車両Ceであることの確認は十分にできる。よって、運転者は、他車両位置表示画像50に大雑把な位置が示されている緊急車両Ceと、自分が視認している緊急車両Ceとを対応付けることで、迅速に、大表示区画51〜54により位置が示されている緊急車両Ceの詳細な位置を把握することができる。
【0087】
また、運転者が、緊急車両Ceを視認していないとしても、大表示区画51〜54を用いた表示区画パターンが車両存在色となっていれば、緊急車両Ceの方位を迅速に把握することはできる。方位を把握した後、その方位を視認して、直接、緊急車両Ceを視認することで、運転者は、緊急車両Ceの詳細位置を迅速に把握することができる。
【0088】
一方、本実施形態では、緊急車両Ceの視認が一般他車両Cgにより遮蔽されていると判断した場合(S144:Yes)、詳細表示区画51a〜51d、52a〜52d、53a〜53d、54a〜54dを用いた表示区画パターンを車両存在色とする。これにより、緊急車両Ceの視認が一般他車両Cgにより遮蔽されている状況でも、他車両位置表示画像50から、緊急車両Ceの詳細位置を把握することができる。
【0089】
また、本実施形態では、緊急車両Ceの視認が一般他車両Cgにより遮蔽されている場合において(S144:Yes)、緊急車両Ceの速度が表示拡大速度以上であれば(S145:Yes)、2つの詳細表示区画51a〜51d、52a〜52d、53a〜53d、54a〜54dを車両存在色とする(S147)。これにより、緊急車両Ceを視認することができない状況でも、他車両位置表示画像50から、緊急車両Ceの詳細位置に加えて、緊急車両Ceの速度が速いか遅いかも知ることができる。
【0090】
また、本実施形態では、緊急車両Ceの相対位置が周辺エリア60内である場合には(S9:No)、2つの大表示区画51〜54からなる表示区画パターンを決定する(S10)。よって、車両存在色となっている大表示区画51〜54の数が1つであるか、2つであるかにより、緊急車両Ceが自車両Cmの近くに存在しているかどうかを知ることができる。
【0091】
加えて、緊急車両Ceの相対位置が周辺エリア60内である場合に車両存在色とする大表示区画51〜54を、緊急車両Ceの相対位置が直近エリア70内である場合にも用いている。これにより、緊急車両Ceの相対位置が周辺エリア60内である場合と、直近エリア70内である場合とで別々の表示区画を用いるよりも、他車両位置表示画像50の視認性が低下することを抑制しつつ、他車両位置表示画像50を小さくすることができる。
【0092】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0093】
<変形例1>
前述の実施形態では、表示対象移動体は緊急車両Ceであったが、表示対象移動体は緊急車両Ceに限られない。前述の実施形態における一般他車両に相当する車両から特定した一台の他車両を表示対象移動体としてもよい。
【0094】
表示対象移動体とする一般他車両は、自動的に特定してもよいし、運転者が指定してもよい。運転者が指定する場合、たとえば、周辺に存在する他車両を表示部30に表示して、運転者が選択できるようにする。自動的に特定する場合、たとえば、片側三車線以上の道路で車線変更すると判断した場合において、2つ隣の車線に存在する他車両を表示対象移動体とする。また、複数台で同一の目的地に向かって走行している場合、同一の目的地に向かって走行している他車両を表示対象移動体としてもよい。
【0095】
<変形例2>
さらに、表示対象移動体は、四輪自動車に限る必要はなく、位置が取得できる移動体であれば、二輪自動車など、四輪自動車以外の自動車を表示対象移動体としてもよい。また、自転車などの軽車両を表示対象移動体としてもよいし、歩行者を表示対象移動体としてもよい。
【0096】
軽車両や歩行者の位置は、たとえば、軽車両に搭載され、あるいは、歩行者が携帯し、現在位置を逐次送信する送信機と無線通信部20との間の通信により取得する。また、路側センサが、歩行者、軽車両、自動車など種々の移動体の位置を検出しており、その路側センサとともに路側機に備えられる無線機と通信が可能な位置であれば、その無線機との路車間通信で移動体の位置を取得してもよい。
【0097】
<変形例3>
前述の実施形態では、表示対象移動体として一台の緊急車両Ceを示していたが、表示対象移動体の数が複数であってもよい。
【0098】
<変形例4>
前述の実施形態の他車両位置取得部41は、非対象移動体である一般他車両の位置も、車車間通信で取得していた。しかし、自車両の周辺に存在する一部の非対象移動体の位置を、その他の方法、たとえば、自車両が搭載する超音波センサ、レーダなどの障害物センサから取得してもよい。また、路側機が備える無線機との通信で非対象移動体の位置を取得してもよい。
【0099】
<変形例5>
前述の実施形態では、直近エリア70の形状は正方形状であったが、この形状に限られない。たとえば、周辺エリア60と同様、直近エリアを円形としてもよい。
図12に、円形とした直近エリア170を例示する。また、この
図12に示すように、詳細直近エリア171a〜171d、172a〜172d、173a〜173d、174a〜174dは、直近エリア171〜174を等分した形状でなくてもよい。
【0100】
また、詳細直近エリアの数は4つ以外の複数でもよい。また、直近エリアの数も4つに限られず、1つ以上の任意に数に設定できる。
【0101】
<変形例6>
前述の実施形態では、詳細表示区画51a〜51d、52a〜52d、53a〜53d、54a〜54dを車両存在色とする場合、この車両存在色を、大表示区画51〜54を車両存在色とする場合とは異なる色としたが、これに限られない。詳細表示区画51a〜51d、52a〜52d、53a〜53d、54a〜54dを車両存在色とする場合の車両存在色を、大表示区画51〜54を車両存在色とする場合と同じ色としてもよい。