特許第6044529号(P6044529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044529
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】廃熱回収装置
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/32 20060101AFI20161206BHJP
   F01K 23/06 20060101ALI20161206BHJP
   F02G 5/02 20060101ALI20161206BHJP
   F01K 13/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   F01D25/32 A
   F01K23/06 P
   F02G5/02 B
   F01K13/00 B
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-251803(P2013-251803)
(22)【出願日】2013年12月5日
(65)【公開番号】特開2015-108339(P2015-108339A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100134511
【弁理士】
【氏名又は名称】八田 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100128565
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼林 芳孝
(72)【発明者】
【氏名】小林 日出夫
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−174166(JP,A)
【文献】 特開2002−115504(JP,A)
【文献】 特開2009−191725(JP,A)
【文献】 特開2011−149386(JP,A)
【文献】 特開2011−208524(JP,A)
【文献】 特開2005−146990(JP,A)
【文献】 特開2006−316704(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0271677(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/32
F01K 13/00
F01K 23/00−18
F02G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源からの熱で作動流体を蒸発させて蒸気を生成する熱交換器と、
生成した蒸気の熱エネルギーを動力として回収する膨張器と、
前記膨張器の出口部よりも上方に入口部が配置され、前記膨張器を通過した蒸気を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器で液化した作動流体を貯留する第1のタンクと、
前記第1のタンク内の液相状態の作動流体を前記熱交換器に還流する還流部と、
前記膨張器の前記出口部と前記凝縮器の前記入口部とを接続する第1の通路部と、
前記第1の通路部と前記第1のタンクとを接続する第2の通路部を備える廃熱回収装置。
【請求項2】
請求項1記載の廃熱回収装置であって、
前記第1の通路部が、前記膨張器の前記出口部よりも低い位置を経由して前記凝縮器の前記入口部に接続され、
前記第2の通路部が、前記第1の通路部のうち前記膨張器の前記出口部よりも低い部分に接続される廃熱回収装置。
【請求項3】
請求項1記載の廃熱回収装置であって、
前記第2の通路部が、前記第1の通路部の最下部に接続される廃熱回収装置。
【請求項4】
請求項1記載の廃熱回収装置であって、
前記第1の通路部のうち前記第2の通路部が接続する部分が、液相状態の作動流体を貯留する第2のタンクである廃熱回収装置。
【請求項5】
請求項1記載の廃熱回収装置であって、
前記第2の通路部に設けられ、前記第2の通路部を流通する作動流体を熱交換によって冷却する冷却器をさらに備える廃熱回収装置。
【請求項6】
請求項5記載の廃熱回収装置であって、
前記冷却器が、前記第2の通路部を流通する作動流体と、前記還流部を流通する作動流体との間で熱交換を行う廃熱回収装置。
【請求項7】
請求項6記載の廃熱回収装置であって、
前記還流部を流通する作動流体であって、前記冷却器を通過した後の作動流体を熱交換によって加熱する加熱器をさらに備える廃熱回収装置。
【請求項8】
請求項1記載の廃熱回収装置であって、
前記第2の通路部が、前記第1の通路部のうち前記第2の通路部が接続される部分より下流側の部分よりも小さな通路断面積を有する廃熱回収装置。
【請求項9】
請求項1記載の廃熱回収装置であって、
前記第2の通路部における作動流体の蒸気の流通を制限する制限弁をさらに備える廃熱回収装置。
【請求項10】
請求項9記載の廃熱回収装置であって、
前記制限弁が、前記第1の通路部における液相状態の作動流体の貯留量に応じて動作する廃熱回収装置。
【請求項11】
請求項10記載の廃熱回収装置であって、
前記制限弁が前記第1の通路部に設けられ、液相状態の作動流体よりも比重が小さいフロートで動作するフロート弁である廃熱回収装置。
【請求項12】
請求項1から11いずれか1項記載の廃熱回収装置であって、
前記熱交換器が内燃機関であり、車両に設けられる廃熱回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃熱回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱源からの熱で作動流体を蒸発させて蒸気を生成し、生成した蒸気の熱エネルギーを動力として回収する廃熱回収装置が知られている。かかる廃熱回収装置は例えば特許文献1から3で開示されている。特許文献1では、車両に搭載されたランキンサイクルシステムが開示されている。特許文献1では、凝縮器の入口部が膨張器の出口部よりも上方に配置された例が図面で開示されている。特許文献2では、膨張器の暖機を促進し、膨張器における蒸気の凝縮を回避するランキンサイクルシステムが開示されている。特許文献3では、タービンの下方にコンデンサを設けた廃熱回収装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−174166号公報
【特許文献2】実開2011−149386号公報
【特許文献3】実開2010−285893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
廃熱回収装置において、膨張器を通過した蒸気は凝縮器で凝縮される。ところが、凝縮器の入口部は上述したように膨張器の出口部よりも上方に配置されることがある。そして、膨張器を通過し低温低圧となった蒸気は、更なる温度低下によって凝縮器に流入する前に凝縮することがある。このため、かかる構成の廃熱回収装置では、膨張器の出口部付近に凝縮した作動流体が溜まり、膨張器内に浸入する虞がある。結果、膨張器の出力低下を招く虞がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑み、膨張器の出口部および凝縮器の入口部の配置に起因する膨張器の出力低下の防止或いは抑制を可能にする廃熱回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は熱源からの熱で作動流体を蒸発させて蒸気を生成する熱交換器と、生成した蒸気の熱エネルギーを動力として回収する膨張器と、前記膨張器の出口部よりも上方に入口部が配置され、前記膨張器を通過した蒸気を凝縮する凝縮器と、前記凝縮器で液化した作動流体を貯留する第1のタンクと、前記第1のタンク内の液相状態の作動流体を前記熱交換器に還流する還流部と、前記膨張器の前記出口部と前記凝縮器の前記入口部とを接続する第1の通路部と、前記第1の通路部と前記第1のタンクとを接続する第2の通路部を備える廃熱回収装置である。
【0007】
本発明は前記第1の通路部が、前記膨張器の前記出口部よりも低い位置を経由して前記凝縮器の前記入口部に接続され、前記第2の通路部が、前記第1の通路部のうち前記膨張器の前記出口部よりも低い部分に接続される構成とすることができる。
【0008】
本発明は前記第2の通路部が、前記第1の通路部の最下部に接続される構成とすることができる。
【0009】
本発明は前記第1の通路部のうち前記第2の通路部が接続する部分が、液相状態の作動流体を貯留する第2のタンクである構成とすることができる。
【0010】
本発明は前記第2の通路部に設けられ、前記第2の通路部を流通する作動流体を熱交換によって冷却する冷却器をさらに備える構成とすることができる。
【0011】
本発明は前記冷却器が、前記第2の通路部を流通する作動流体と、前記還流部を流通する作動流体との間で熱交換を行う構成とすることができる。
【0012】
本発明は前記還流部を流通する作動流体であって、前記冷却器を通過した後の作動流体を熱交換によって加熱する加熱器をさらに備える構成とすることができる。
【0013】
本発明は前記第2の通路部が、前記第1の通路部のうち前記第2の通路部が接続される部分より下流側の部分よりも小さな通路断面積を有する構成とすることができる。
【0014】
本発明は前記第2の通路部における作動流体の蒸気の流通を制限する制限弁をさらに備える構成とすることができる。
【0015】
本発明は前記制限弁が、前記第1の通路部における液相状態の作動流体の貯留量に応じて動作する構成とすることができる。
【0016】
本発明は前記制限弁が前記第1の通路部に設けられ、液相状態の作動流体よりも比重が小さいフロートで動作するフロート弁である構成とすることができる。
【0017】
本発明は前記熱交換器が内燃機関であり、車両に設けられる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、膨張器の出口部および凝縮器の入口部の配置に起因する膨張器の出力低下の防止或いは抑制を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1の廃熱回収装置の概略構成図である。
図2】圧力比とタービン出力比の関係を例示する図である。
図3】コンデンサの説明図である。
図4】飽和蒸気圧と凝縮温度の関係を示す図である。
図5】実施例2の廃熱回収装置の概略構成図である。
図6】実施例3の廃熱回収装置の概略構成図である。
図7】実施例4の廃熱回収装置の概略構成図である。
図8】実施例5の廃熱回収装置の概略構成図である。
図9】実施例1の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は廃熱回収装置1Aの概略構成図である。点線で示す配管は、主に蒸気が流通する配管を示す。実線で示す配管は、主に液相状態の作動流体が流通する配管を示す。配管には作動流体の流通方向を併せて示す。図1では、各部の作動流体の温度および圧力を括弧書きで併せて示す。廃熱回収装置1Aは、内燃機関2と、気液分離器3と、過熱器4と、タービン5と、コンデンサ6と、タンク7と、ポンプ8、9と、タンク10と、冷却器11と、通路部21、22、23とを備えている。廃熱回収装置1Aは車両50に設けられている。
【0022】
内燃機関2は、熱源からの熱で作動流体を蒸発させて蒸気を生成する熱交換器の一例である。熱源は具体的には燃焼ガスである。作動流体は具体的には内燃機関2の冷却液である。内燃機関2で生成された蒸気は、内燃機関2内から出口部2bを介して排出される。排出された蒸気は気液分離器3に供給される。
【0023】
気液分離器3内には、気液分離器3の入口部3aを介して作動流体が流入する。気液分離器3は、内燃機関2から供給された作動流体を蒸気と液相状態の作動流体とに分離する。分離された蒸気は、気液分離器3の出口部3bを介して気液分離器3から排出される。入口部3aと出口部3bとは、気液分離器3の上部に設けられている。入口部3aは気液分離器3の第1の入口部であり、出口部3bは気液分離器3の第1の出口部である。
【0024】
気液分離器3から排出された蒸気は、過熱器4に供給される。過熱器4内には、過熱器4の入口部4aを介して蒸気が流入する。過熱器4は蒸気を過熱する。過熱された蒸気は、過熱器4の出口部4bを介して過熱器4から排出される。出口部4bは、入口部4aよりも上方に配置されている。排出された蒸気はタービン5に供給される。
【0025】
タービン5内には、タービン5の入口部5aを介して蒸気が噴出される。タービン5は、生成した蒸気の熱エネルギーを動力として回収する膨張器の一例である。熱エネルギーが回収された蒸気は、タービン5の出口部5bを介してタービン5内から排出される。タービン5から排出された蒸気は、コンデンサ6に供給される。コンデンサ6内には、コンデンサ6の入口部6aを介して蒸気が流入する。
【0026】
コンデンサ6、タービン5を通過した蒸気を凝縮する凝縮器の一例である。コンデンサ6内からは、コンデンサ6の出口部6bを介して液化した作動流体が排出される。出口部6bは入口部6aよりも下方に設けられている。コンデンサ6は、作動流体が下方に向かって流通するように設けられている。このため、コンデンサ6内では、液化した作動流体を重力によって出口部6bに導くことができる。作動流体が下方に向かって流通するようにコンデンサ6を設けている理由については、後に詳しく説明する。
【0027】
出口部6bはタンク7の入口部7aに接続されている。入口部7aは出口部6bよりも下方に配置されている。出口部6bから入口部7aには、コンデンサ6で液化した作動流体を重力によって導くことができる。入口部7aはタンク7の第1の入口部であり、タンク7の上部に設けられている。コンデンサ6で液化した作動流体は、入口部7aを介してタンク7内に流入する。
【0028】
タンク7は第1のタンクであり、コンデンサ6で液化した作動流体を貯留する。タンク7内からは、タンク7の出口部7bを介して液相状態の作動流体が排出される。出口部7bは、タンク7の下部に設けられている。出口部7bはタンク7の底壁部に開口している。出口部7bはタンク7の底壁部に開口することが好ましいが、タンク7の側壁部に開口してもよい。出口部7bはポンプ8の入口部8aに接続されている。入口部8aは出口部7bよりも下方に配置されている。出口部7bから入口部8aには、タンク7に貯留された液相状態の作動流体を重力によって導くことができる。
【0029】
ポンプ8は第1のポンプであり、タンク7から気液分離器3に液相状態の作動流体を供給する。ポンプ9は第2のポンプであり、気液分離器3に貯留された液相状態の作動流体を内燃機関2に供給する。ポンプ9が供給する作動流体は、内燃機関2の入口部2aを介して内燃機関2内に流入する。内燃機関2では沸騰冷却を行うことで、蒸気を生成する。
【0030】
通路部21は第1の通路部であり、配管21a、配管21bおよびタンク10を備えている。通路部21は、タービン5とコンデンサ6とを接続する。具体的には、配管21aが出口部5bとタンク10の入口部10aとを接続する。また、配管21bがタンク10の出口部10bと入口部6aとを接続する。配管21aは出口部5bから下方に向かって延びている。配管21aは、タンク10から上方に向かって延びた状態で出口部5bに接続されている。配管21bは、タンク10から上方に向かって延びた状態で入口部6aに接続されている。通路部21は、出口部5bよりも低い位置を経由して入口部6aに接続されている。
【0031】
タンク10は第2のタンクであり、液相状態の作動流体を貯留する。入口部10aと出口部10bとは、タンク10の上部に設けられている。出口部10cは、タンク10の下部に設けられている。出口部10bはタンク10の第1の出口部であり、出口部10cはタンク10の第2の出口部である。出口部10cはタンク10の底壁部に開口している。出口部10cはタンク10の底壁部に開口することが好ましいが、タンク10の側壁部に開口してもよい。
【0032】
通路部22は第2の通路部であり、配管22a、配管22bおよび冷却器11を備えている。通路部22はタンク10とタンク7とを接続する。具体的には、配管22aが出口部10cと冷却器11の入口部11aaとを接続する。また、配管22bが冷却器11の出口部11abとタンク7の入口部7cとを接続する。入口部11aaは冷却器11の熱交換通路部11aの入口部であり、出口部11abは冷却器11の熱交換通路部11aの出口部である。入口部7cはタンク7の第2の入口部であり、タンク7の上部に設けられている。
【0033】
通路部23は還流部であり、タンク7内の液相状態の作動流体を内燃機関2に還流する。通路部23は、配管23a、配管23b、配管23c、配管23d、ポンプ8、冷却器11およびポンプ9を備えている。通路部23はタンク7と内燃機関2とを接続する。具体的には、配管23aが出口部7bと入口部8aとを接続する。また、配管23bがポンプ8の出口部8bと冷却器11の入口部11baを接続する。また、配管23cが冷却器11の出口部11bbと気液分離器3の入口部3cとを接続する。また、配管23dが気液分離器3の出口部3dとポンプ9の入口部9aとを接続する。ポンプ9の出口部9bは、内燃機関2の入口部2aに直接接続される。
【0034】
入口部11baは、冷却器11の熱交換通路部11bの入口部である。出口部11bbは、冷却器11の熱交換通路部11bの出口部である。入口部3cは、気液分離器3の第2の入口部である。出口部3dは、気液分離器3の第2の出口部である。入口部3cと出口部3dとは、気液分離器3の下部に設けられている。
【0035】
冷却器11は通路部22に設けられている。具体的には、冷却器11のうち熱交換通路部11aが、通路部22に設けられている。したがって、通路部22は具体的には、冷却器11のうち熱交換通路部11aを備えている。冷却器11はさらに通路部23に設けられている。具体的には、冷却器11のうち熱交換通路部11bが、通路部23に設けられている。したがって、通路部23は具体的には、冷却器11のうち熱交換通路部11bを備えている。熱交換通路部11aは第1の熱交換通路部であり、熱交換通路部11bは第2の熱交換通路部である。
【0036】
冷却器11は、通路部22を流通する作動流体を熱交換によって冷却する。具体的には、冷却器11は、熱交換通路部11aを流通する作動流体と、熱交換通路部11bを流通する作動流体との間で熱交換を行う。したがって、冷却器11は、通路部22を流通する作動流体と、通路部23を流通する作動流体との間で熱交換を行う。
【0037】
タンク10は、通路部21のうち通路部22が接続する部分を構成している。タンク10は出口部5bよりも下方に位置している。このため、通路部22は、通路部21のうち出口部5bよりも低い部分に接続されている。タンク10は、同時に通路部21の最下部を構成している。このため、通路部22は、通路部21の最下部に接続されている。タンク10は、タンク7よりも上方に位置している。
【0038】
配管21bは、通路部21のうち通路部22が接続される部分であるタンク10より下流側の部分を構成している。配管22aは、配管21bよりも小さな通路断面積を有している。配管21b、配管22aおよび配管22bの通路断面積それぞれは、一定であってよい。さらに、配管22bの通路断面積は、配管22aの通路断面積と同じであってよい。通路部22は、少なくともいずれかの部分において、配管21bのうち最も通路断面積が小さい部分よりも小さな通路断面積を有することができる。
【0039】
次の式(1)、式(2)は、作動流体の温度T1から温度T7間における主な温度の高低関係を示す。式(3)は、作動流体の圧力P1から圧力P7間における主な圧力の高低関係を示す。以下では、液化した作動流体や液相状態の作動流体を単に液体とも称す。
T6<T7<T1<<T2 ・・・(1)
T2>>T3>>T4 ・・・(2)
P6≒P7≒P1>P2>>P3>P4≒P5 ・・・(3)
【0040】
温度T1と圧力P1は、内燃機関2から気液分離器3に流入する作動流体の状態(すなわち、温度と圧力)を示す。温度T2と圧力P2は、タービン5に流入する蒸気の状態を示す。温度T3と圧力P3は、タンク10内の蒸気の状態を示す。温度T4と圧力P4は、コンデンサ6からタンク7に流入する液体の状態を示す。温度T5と圧力P5は、冷却器11からタンク7に流入する液体の状態を示す。温度T6と圧力P6は、ポンプ8から冷却器11に流入する液体の状態を示す。温度T7と圧力P7は、冷却器11から気液分離器3に流入する液体の状態を示す。
【0041】
ところで、タービン5、コンデンサ6間において、蒸気は通路部21の低温部で冷却される。低温部は例えば、配管21bの通路壁面である。結果、コンデンサ6に流入する直前の蒸気は、温度T3´および圧力P3´を有する。温度T3´および圧力P3´は、タンク10内の蒸気の温度T3および圧力P3よりも低い。
【0042】
通路部21では、上述のようにして蒸気が冷却される結果、冷却された蒸気が凝縮することがある。そして、液化した作動流体は、出口部5bおよび入口部6aの配置に起因して、通路部21からタービン5内に浸入することがある。具体的には例えば、液化した作動流体は、出口部5bから上方に向かって延びた状態で入口部6aに配管を接続した場合に、通路部21からタービン5内に浸入することがある。液化した作動流体が、通路部21からタービン5内に浸入すると、タービン5のブレードの回転が妨げられる。このため、通路部21からタービン5内への液体の浸入は、タービン5の出力低下の原因となる。
【0043】
このような事情に鑑み、廃熱回収装置1Aは、通路部21とタンク7とを接続する通路部22を備えている。この場合、廃熱回収装置1Aは、通路部21からの液体の排出を可能にする。このため、廃熱回収装置1Aは、出口部5bおよび入口部6aの配置に起因するタービン5の出力低下の防止或いは抑制を可能にする。
【0044】
液体は重力によって下方に向かって流通する。したがって、通路部21からタービン5内に浸入しようとする液体は、通路部21のうち出口部5bよりも低い部分で捕捉可能といえる。このような事情に鑑み、廃熱回収装置1Aは具体的には、通路部21が出口部5bよりも低い位置を経由して入口部6aに接続され、通路部22が上記部分としてのタンク10に接続される構成となっている。この場合、廃熱回収装置1Aは、通路部21からタービン5内に浸入しようとする液体の捕捉を可能にする。
【0045】
この場合、廃熱回収装置1Aはさらに具体的には、通路部21が、上記部分としてのタンク10から上方に向かって延びた状態で、出口部5bおよび入口部6aのうち少なくともいずれかに接続する構成であることが好ましい。また、上記部分としてのタンク10が、タンク7よりも上方に位置する構成であることが好ましい。
【0046】
通路部21が、上記部分としてのタンク10から上方に向かって延びた状態で、出口部5bに接続する場合、通路部22は気液分離器3から過熱器4およびタービン5を介して通路部21に流入した液体を捕捉できる。このような液体の流入は、内燃機関2の負荷が急変した場合に発生することがある。通路部21が、上記部分としてのタンク10から上方に向かって延びた状態で、入口部6aに接続する場合、通路部22は配管21bで液化した作動流体を捕捉できる。
【0047】
通路部21が、上記部分としてのタンク10から上方に向かって延びた状態で、出口部5bおよび入口部6aそれぞれに接続する場合、通路部22は気液分離器3から通路部21に流入した液体と、配管21bで液化した作動流体とを捕捉できる。このため、廃熱回収装置1Aはこのような構成であることがより好ましい。この場合、タンク10は同時に通路部21の最下部を構成する。上記部分としてのタンク10が、タンク7よりも上方に位置する場合、重力によってタンク10からタンク7に液体を導くことが可能になる。
【0048】
通路部21の最下部としてのタンク10は、作動流体が溜まり易い部分といえる。かかる事情に鑑み、廃熱回収装置1Aは具体的には、通路部22が、最下部としてのタンク10に接続される構成となっている。この場合、廃熱回収装置1Aは、通路部21からの液体の排出を好適に可能にする。
【0049】
この場合、廃熱回収装置1Aはさらに具体的には、最下部としてのタンク10が、出口部5bよりも下方に位置する構成であることが好ましい。また、最下部としてのタンク10が、タンク7よりも上方に位置する構成であることが好ましい。また、通路部21が、最下部としてのタンク10から上方に向かって延びた状態で、出口部5bおよび入口部6aのうち少なくともいずれかに接続する構成であることが好ましい。
【0050】
廃熱回収装置1Aは具体的には、通路部21のうち通路部22が接続する部分が、液相状態の作動流体を貯留するタンク10である構成となっている。この場合、廃熱回収装置1Aは、タンク10に貯留された液体をタンク7に排出することを可能にする。結果、通路部22への蒸気の流入を防止或いは抑制しつつ、通路部21からの液体の排出を可能にする。この場合、廃熱回収装置1Aはさらに具体的には、タンク10が、上述した最下部としてのタンク10と同様に構成されることが好ましい。
【0051】
廃熱回収装置1Aは具体的には、通路部22を流通する作動流体を熱交換によって冷却する冷却器11を備える構成となっている。この場合、廃熱回収装置1Aは、タンク7内の温度および圧力上昇を防止或いは抑制できる。結果、タービン5の出力低下を防止或いは抑制できる。タンク7内の温度および圧力上昇によって、タービン5の出力が低下する理由については後述する。
【0052】
廃熱回収装置1Aは具体的には、冷却器11が、通路部22を流通する作動流体と、通路部23を流通する作動流体との間で熱交換を行う構成となっている。この場合、廃熱回収装置1Aは、内燃機関2に還流する作動流体の温度を高めることができる。結果、内燃機関2での蒸気発生量を増やすことで、タービン5の出力向上に寄与することもできる。
【0053】
廃熱回収装置1Aは具体的には、配管22aが配管21bよりも小さな通路断面積を有する構成となっている。すなわち、通路部22が、通路部21のうち通路部22が接続される部分であるタンク10より下流側の部分よりも小さな通路断面積を有する構成となっている。この場合、廃熱回収装置1Aは、通路部21および通路部22を蒸気が流通可能な状況において、通路部22への蒸気の流入を抑制可能にする。廃熱回収装置1Aは、通路部22への蒸気の流入を抑制することで、タンク7内の温度および圧力上昇を防止或いは抑制できる。結果、タービン5の出力低下を防止或いは抑制できる。
【0054】
廃熱回収装置1Aは具体的には車両50に設けられ、蒸気を生成する熱交換器を内燃機関2としている。このような場合には、車両50における搭載スペースの制約上、入口部6aが出口部5bよりも上方に配置される蓋然性が高くなる。したがって、廃熱回収装置1Aはこのような場合に適している。
【0055】
ところで、前述した通り、コンデンサ6は作動流体が下方に向かって流通するように設けられている。また、タービン5の出力は、タンク7内の温度および圧力上昇によって低下する。以下ではこれらの理由について詳しく説明するが、そのためにまず圧力比Pi/Poとタービン5の出力の関係について説明する。圧力比Pi/Poは、タービン出口圧Poを分母とする高圧側のタービン入口圧Piと、低圧側のタービン出口圧Poとの圧力比である。
【0056】
ここで、タービン5でより大きな出力を発生させるためには、圧力比Pi/Poを大きくすることが必要とされる。ところが、タービン出口圧Poはもともと小さい。これは、タービン出口圧Poが、コンデンサ6の内圧に由来するためである。具体的には、コンデンサ6内では、凝縮によって体積が大幅に小さくなる作動流体によって低圧状態が作り出される。そして、タービン出口圧Poは、このようにして低圧状態を作り出すコンデンサ6の内圧に由来するため、もともと小さい。
【0057】
このため、タービン出口圧Poが少しでも上昇すると、圧力比Pi/Poは大幅に小さくなる。結果、タービン5の出力が大きく低下する。圧力比Pi/Poとタービン5の出力の関係は具体的には例えば、次の通りである。
【0058】
図2は圧力比Pi/Poとタービン出力比の関係を例示する図である。図2では、内燃機関2を中負荷運転している場合の上記関係を例示する。矢印Aは、タービン出口圧Poが上昇する変化の方向を示す。点Bは、ベース条件の圧力比Pi/Poおよびタービン出力比を示す。タービン出力比は、ベース条件におけるタービン5の出力で、タービン5の出力を除算した値である。したがって、点Bが示すタービン出力比は1である。図2に示すように、タービン出口圧Poが上昇すると、タービン出力比が低下する。すなわち、タービン5の出力が低下する。
【0059】
上記を踏まえ、次に作動流体が下方に向かって流通するようにコンデンサ6を設ける理由について、図3を用いて説明する。図3はコンデンサ6の説明図である。図3では説明の都合上、敢えてコンデンサ6内に液体が滞留した状態を示す。図3に示すように、コンデンサ6内には、冷却通路部6cが設けられている。冷却通路部6cは周囲に設けられたフィンによって冷却される。入口部6a側では、冷却通路部6cの通路壁面が蒸気を直接冷却する。結果、入口部6a側では蒸気が盛んに凝縮する。凝縮によってできた液体は、冷却通路部6cの通路壁面に沿って出口部6bに向かう。
【0060】
ところが、コンデンサ6内からの液体の排出が滞ると、出口部6b側から入口部6a側に向かって、液体が次第に冷却通路部6c内に滞留する。液体が滞留した部分では、冷却通路部6cの通路壁面および蒸気間の伝熱抵抗が大きくなる。このため、コンデンサ6内からの液体の排出が滞ると、出口部6b側から入口部6a側に向かって、コンデンサ6の冷却性能が次第に低下する。
【0061】
このような事情に鑑み、廃熱回収装置1Aでは、作動流体が下方に向かって流通するようにコンデンサ6が設けられている。これにより、コンデンサ6内からの液体の排出が重力によって促進され、コンデンサ6の冷却性能低下が防止或いは抑制される。コンデンサ6の冷却性能低下が防止或いは抑制されると、コンデンサ6の内圧上昇が防止或いは抑制される。したがって、タービン出口圧Poの低下が防止或いは抑制される結果、タービン5の出力低下が防止或いは抑制される。
【0062】
このようにコンデンサ6が設けられる場合、車両50における搭載スペースの制約と相俟って、入口部6aが出口部5bよりも上方に配置される蓋然性が、さらに高くなる。したがって、廃熱回収装置1Aは、車両50に設けられ、蒸気を生成する熱交換器を内燃機関2とし、作動流体が下方に向かって流通するようにコンデンサ6が設けられる場合に特に適している。
【0063】
タンク7内の温度および圧力上昇によって、タービン5の出力が低下する理由は、次の通りである。すなわち、コンデンサ6内はタンク7内に連通している。したがって、タンク7内の温度および圧力が上昇すると、コンデンサ6の内圧上昇を招く。そして、コンデンサ6の内圧上昇が、タービン出口圧Poの上昇を招く結果、タービン5の出力が低下する。或いは、タンク7内の温度および圧力が上昇すると、コンデンサ6からの液体の排出が阻害される。結果、コンデンサ6の冷却性能が低下し、コンデンサ6の内圧が上昇する。したがって、タービン5の出力が低下する。高温の液体がタンク7内に流入した場合、タンク7内の温度および圧力は、具体的には次のように上昇する。
【0064】
図4は飽和蒸気圧と凝縮温度の関係を示す図である。領域Cはコンデンサ6の通常時の作動領域を示す。矢印Aは前述の通りである。タンク10からタンク7内に高温の液体が流入すると、タンク7に貯留された液体の温度が高まる。結果、タンク7内の飽和蒸気圧が高まる。そして、このようにして高まったタンク7内の飽和蒸気圧が、例えば上述したようにタービン出口圧Poの上昇を招く。
【0065】
なお、タンク7内の温度および圧力上昇は、通路部21から排出される液体や蒸気に起因する。通路部21から蒸気が排出されることは、通路部21から液体を排出することに起因する。通路部21から液体を排出することは、出口部5bおよび入口部6aの配置に起因する。したがって、タンク7内の温度および圧力上昇によるタービン5の出力低下は、出口部5bおよび入口部6aの配置に起因する。
【実施例2】
【0066】
図5は廃熱回収装置1Bの概略構成図である。廃熱回収装置1Bは、絞り弁31をさらに備える点以外、廃熱回収装置1Aと実質的に同一である。絞り弁31は通路部22に設けられている。具体的には、絞り弁31は配管22aに介在するかたちで設けられている。絞り弁31は、通路部22における作動流体の蒸気の流通を制限する制限弁の一例である。廃熱回収装置1Bでは、蒸気が通路部21および通路部22を流通可能な状況において、絞り弁31が通路部22への蒸気の流入を抑制する。このため、廃熱回収装置1Bは、タンク7内の温度および圧力上昇を防止或いは抑制できる。結果、タービン5の出力低下を防止或いは抑制できる。
【0067】
なお、廃熱回収装置1Bにおいて、通路部22は絞り弁31をさらに備える構成として把握されてもよい。また、配管22aは配管21bよりも小さな通路断面積を有しなくてもよい。
【実施例3】
【0068】
図6は廃熱回収装置1Cの概略構成図である。廃熱回収装置1Cは、電磁弁32およびECU40をさらに備える点以外、廃熱回収装置1Aと実質的に同一である。電磁弁32は通路部22に設けられている。具体的には、電磁弁32は配管22aに介在するかたちで設けられている。電磁弁32は制限弁の一例である。
【0069】
ECU40は電子制御装置である。ECU40には、電磁弁32が制御対象として電気的に接続されている。ECU40には、センサ45が電気的に接続されている。センサ45は、通路部21における液体の貯留量を検出する。液体の貯留量は具体的には、通路部21のうち通路部22が接続される部分における液体の貯留量である。したがって、センサ45は具体的には、タンク10における液体の貯留量を検出する。センサ45は、液体の貯留量のレベルを検知するレベルセンサとなっている。センサ45は例えば、液体の貯留量に応じて変化する圧力を検知する圧力センサであってもよい。
【0070】
ECU40はセンサ45の出力に基づき、電磁弁32を制御する。結果、電磁弁32は、通路部21における液体の貯留量に応じて動作する。電磁弁32は具体的には、通路部21における液体の貯留量が、所定値よりも小さい場合に閉弁し、当該所定値よりも大きい場合に開弁する。液体の貯留量が当該所定値である場合は、いずれかの場合に含むことができる。この場合、廃熱回収装置1Cは、タンク10からタンク7への蒸気の流通を防止できる。電磁弁32は、通路部21における液体の貯留量がゼロである場合に閉弁し、ゼロでない場合に開弁してもよい。この場合でも、廃熱回収装置1Cは、タンク10からタンク7への蒸気の流通を防止或いは抑制できる。
【0071】
なお、廃熱回収装置1Cにおいて、通路部22は電磁弁32をさらに備える構成として把握されてもよい。また、配管22aは配管21bよりも小さな通路断面積を有しなくてもよい。廃熱回収装置1Cは、電磁弁32の代わりに例えば流量調節弁を備えてもよい。
【実施例4】
【0072】
図7は廃熱回収装置1Dの概略構成図である。廃熱回収装置1Dは、フロート弁33をさらに備える点以外、廃熱回収装置1Aと実質的に同一である。フロート弁33は通路部21に設けられている。具体的には、フロート弁33はタンク10内に設けられている。フロート弁33は出口部10cに設けられている。フロート弁33は、液体よりも比重が小さいフロート33aで動作する。このようなフロート弁33は、通路部21における液体の貯留量に応じて動作する。具体的には、タンク10における液体の貯留量に応じて動作する。フロート弁33は制限弁の一例であり、出口部10cを開閉することで、通路部22における蒸気の流通を制限する。廃熱回収装置1Dは、フロート弁33で出口部10cを閉じることで、タンク10からタンク7への蒸気の流通を防止或いは抑制できる。
【0073】
なお、廃熱回収装置1Dにおいて、通路部21はフロート弁33をさらに備える構成として把握されてもよい。また、配管22aは配管21bよりも小さな通路断面積を有しなくてもよい。
【実施例5】
【0074】
図8は廃熱回収装置1Eの概略構成図である。廃熱回収装置1Eは、加熱器12、ポンプ13および通路部24をさらに備える点以外、廃熱回収装置1Aと実質的に同一である。同様の変更は、廃熱回収装置1B、1C、1Dに対して行われてもよい。
【0075】
ポンプ13はオイルポンプである。ポンプ13の入口部13aは、内燃機関2の出口部2dに直接接続されている。出口部2dは、エンジオイルの出口部である。ポンプ13は、出口部2dを介してオイルパン2eからエンジンオイルを吸引する。また、吸引したエンジンオイルを通路部24に圧送する。入口部13aは、出口部2dに間接的に接続されてもよい。通路部24はオイル通路部であり、エンジンオイルを流通させる。通路部24は具体的には配管である。通路部24は、ポンプ13の出口部13bと、内燃機関2の入口部2cとを接続する。入口部2cは、エンジンオイルの入口部である。入口部2cからは、内燃機関2の各部にエンジンオイルが供給される。
【0076】
加熱器12は通路部23に設けられている。具体的には、加熱器12が備える熱交換通路部12aが、通路部23に設けられている。熱交換通路部12aは加熱器12の第1の熱交換通路部であり、配管23cに介在するかたちで設けられている。配管23cのうち加熱器12よりも上流側の部分は、入口部11baと、熱交換通路部12aの入口部12aaとを接続している。配管23cのうち加熱器12よりも下流側の部分は、熱交換通路部12aの出口部12abと、入口部3cとを接続している。
【0077】
加熱器12は、さらに通路部24に設けられている。具体的には、加熱器12が備える熱交換通路部12bが、通路部24に設けられている。熱交換通路部12bは加熱器12の第2の熱交換通路部であり、通路部24に介在するかたちで設けられている。通路部24のうち加熱器12よりも上流側の部分は、出口部13bと、熱交換通路部12bの入口部12baとを接続している。通路部24のうち加熱器12よりも下流側の部分は、熱交換通路部12bの出口部12bbと、入口部2cとを接続している。
【0078】
加熱器12は、通路部23を流通する作動流体であって、冷却器11を通過した後の作動流体を熱交換によって加熱する。具体的には、加熱器12は、熱交換通路部12aを流通する作動流体と、熱交換通路部12bを流通するエンジンオイルとの間で熱交換を行う。したがって、加熱器12は、通路部23を流通する作動流体と、通路部24を流通するエンジンオイルとの間で熱交換を行う。
【0079】
廃熱回収装置1Eは、加熱器12が、通路部23を流通する作動流体であって、冷却器11を通過した後の作動流体を熱交換によって加熱する構成となっている。この場合、廃熱回収装置1Eは、内燃機関2に還流する作動流体の温度を高めることができる。結果、内燃機関2での蒸気発生量を増やすことで、タービン5の出力向上に寄与することもできる。
【0080】
廃熱回収装置1Eは具体的には、加熱器12が、通路部23を流通する作動流体と、通路部24を流通するエンジンオイルとの間で熱交換を行うことで、作動流体を加熱する構成となっている。この場合、廃熱回収装置1Eは、作動流体の温度を高めるのと同時にエンジンオイルを冷却することができる。結果、内燃機関2の信頼性を高めることもできる。かかる構成の廃熱回収装置1Eは、内燃機関2で蒸気を生成するために沸騰冷却を行うことと相俟って、高温になり易いエンジンオイルを冷却できる点で好適である。
【0081】
なお、廃熱回収装置1Eにおいて、通路部23は加熱器12をさらに備える構成として把握されてもよい。また、通路部24はエンジンオイルを流通させる配管に加えて、さらに加熱器12とポンプ13とオイル配管とを備える構成として把握されてもよい。
【0082】
上記実施形態は本発明を実施するための一例にすぎない。よって本発明はこれらに限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0083】
例えば、第1の通路部のうち第2の通路部が接続する部分は、複数の部分であってもよい。この場合、第2の通路部を複数の部分に分岐して接続することができる。第1の通路部のうち第2の通路部が接続する部分は、斜めに延びた配管であってもよい。この場合、下降段階で液体を捕捉できる。このように、第1の通路部のうち第2の通路部が接続する部分は、例えば配管であってもよい。
【0084】
図9は廃熱回収装置1Aの変形例である廃熱回収装置1A´を示す図である。廃熱回収装置1A´は通路部21の代わりに通路部21´を備える点以外、廃熱回収装置1Aと実質的に同一である。通路部21´はタンク10の代わりに配管21cを備える点以外、通路部21と実質的に同一である。配管21cは、通路部21´のうち通路部22が接続する部分を構成している。配管21cは、同時に通路部21´のうち出口部5bよりも低い部分と、通路部21´の最下部を構成している。廃熱回収装置1A´も、出口部5bおよび入口部6aの配置に起因するタービン5の出力低下の防止或いは抑制を可能にする。
【符号の説明】
【0085】
廃熱回収装置 1A、1A´、1B、1C、1D、1E
内燃機関 2
タービン 5
コンデンサ 6
タンク(第1のタンク) 7
ポンプ(第1のポンプ) 8
ポンプ(第2のポンプ) 9
タンク(第2のタンク) 10
冷却器 11
加熱器 12
通路部(第1の通路部) 21
通路部(第2の通路部) 22
通路部(還流部) 23
通路部(オイル通路部) 24
絞り弁 31
電磁弁 32
フロート弁 33
車両 50
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9