特許第6044543号(P6044543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6044543接続体、接続体の製造方法、蓄電素子及び蓄電素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044543
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】接続体、接続体の製造方法、蓄電素子及び蓄電素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/30 20060101AFI20161206BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20161206BHJP
   H01M 2/22 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H01M2/30 D
   H01M2/26 A
   H01M2/22 D
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-531324(P2013-531324)
(86)(22)【出願日】2012年8月28日
(86)【国際出願番号】JP2012071676
(87)【国際公開番号】WO2013031761
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年5月15日
(31)【優先権主張番号】特願2011-185878(P2011-185878)
(32)【優先日】2011年8月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100154782
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 知二
(72)【発明者】
【氏名】胸永 訓良
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓
(72)【発明者】
【氏名】益子 渉
(72)【発明者】
【氏名】田才 博志
【審査官】 大畑 通隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−076885(JP,A)
【文献】 特開2003−092103(JP,A)
【文献】 特開2009−076394(JP,A)
【文献】 実開平04−074854(JP,U)
【文献】 特開2010−073336(JP,A)
【文献】 特開2010−033766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H01M 2/20− 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電要素と前記発電要素を収納する素子容器の表面に位置する電極端子とを電気的に接続する接続体であって、
前記素子容器の表面に位置する板部と、
前記板部の表面上の前記電極端子の位置に対し偏心する位置において、先端が前記発電要素に対向して突出するとともに、根元の周縁が前記板部の主面に囲まれている凸部とを備え、
前記板部及び前記凸部は、塑性を有する金属性の単一の素体の異なる部位として形成されている、
接続体。
【請求項2】
前記板部の、前記素子容器の表面に露出している側の主面は平坦である、請求項1に記載の接続体。
【請求項3】
前記板部の、前記凸部が突出している側の前記主面は、前記凸部の前記根元の全周縁から前記板部の縁端まで一様に平坦である、請求項1又は2に記載の接続体。
【請求項4】
前記板部における前記凸部が突出している位置と前記電極端子の位置との間には前記板部の重心がある、請求項1から3のいずれかに記載の接続体。
【請求項5】
前記凸部は、突出する方向において前記先端から前記根元まで一様な断面形状を有する、請求項1から4のいずれかに記載の接続体。
【請求項6】
前記凸部は、先端の外周の長さが前記板部寄りの側から前記先端寄りの側に向かって連続的又は非連続的に小さくなっている部分を有する、請求項1から4のいずれかに記載の接続体。
【請求項7】
前記凸部の外周の長さは、前記板部の前記表面から先端に向かって連続的又は非連続的に小さくなっている、請求項1から6のいずれかに記載の接続体。
【請求項8】
発電要素と、
前記発電要素を収納する素子容器と、
前記発電要素の正極及び負極にそれぞれ接続された集電接続体と、
電極端子と前記集電接続体とを電気的に接続する接続体とを備え、
前記接続体として、請求項1から7のいずれかに記載の接続体を有し、
前記凸部は前記集電接続体に接続されており、
前記板部は前記素子容器の表面に露出している、蓄電素子。
【請求項9】
前記凸部は前記集電接続体の貫通孔を貫通してその先端がかしめられており、
前記凸部のかしめられた前記先端及び前記板部が、少なくとも前記素子容器の壁体を挟みこんでいる、請求項8に記載の蓄電素子。
【請求項10】
前記接続体の前記板部に対応した形状の載置面、及び前記載置面上に開口された前記接続体の前記凸部に対応した形状の貫通孔が形成された本体部と、
前記本体部の前記貫通孔と連通する筒部とを有する絶縁封止材を備え、
前記本体部は、前記載置面に前記接続体の前記板部を載置した状態で、前記素子容器の壁体とともに前記凸部のかしめられた前記先端及び前記板部との間に挟み込まれており、
前記筒部内には前記接続体の前記凸部が位置している、請求項9に記載の蓄電素子。
【請求項11】
前記絶縁封止材と前記接続体とは、
前記本体部の前記載置面と前記板部の前記主面とが面接触している、請求項10に記載の蓄電素子。
【請求項12】
前記絶縁封止材の前記本体部は、
前記載置面の周囲に形成された、前記載置面よりも背高な枠体を有し、
前記接続体の前記板部は前記枠体に囲まれている、請求項10又は11に記載の蓄電素子。
【請求項13】
前記板部の表面における前記凸部の位置は前記電極端子の位置より前記素子容器の重心に近い、請求項8から12のいずれかに記載の蓄電素子。
【請求項14】
発電要素と、前記発電要素を収納する、蓋部及び容器本体を含む素子容器と、前記発電要素の正極及び負極にそれぞれ接続された集電接続体と、電極端子と前記集電接続体とを電気的に接続する接続体とを有する蓄電素子の製造方法であって、
前記接続体として、請求項1から7のいずれかに記載の接続体を用い、
前記接続体の前記凸部を、少なくとも前記発電要素の前記正極及び前記負極に接続された前記集電接続体の貫通孔と前記蓋部の貫通孔とに貫通させる第1の工程と、
前記凸部の先端をかしめ加工することにより、前記板部と前記凸部の前記先端との間に前記集電接続体及び前記素子容器の壁体を挟み込み、前記接続体、前記集電接続体及び前記蓋部を一体的に固定する第2の工程とを備えた、蓄電素子の製造方法。
【請求項15】
発電要素と前記発電要素を収納する素子容器の表面に位置する電極端子とを電気的に接続する、前記素子容器の表面に位置する板部及び前記板部の表面上の、前記電極端子の位置に対し偏心する位置から前記発電要素に対向して突出する凸部を有する接続体の製造方法であって、
板状の金属部材の一部分を絞り加工することにより前記凸部を形成する絞り加工工程と、
前記絞り加工工程と同時又はその前若しくは後に実行される、前記金属部材の前記板状の形状を保持した他の部分を所定形状に鍛造加工することにより前記板部を形成する鍛造加工工程とを備えた、接続体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばリチウムイオン電池のような二次電池その他の電池等の蓄電素子の電極における接続体及びその製造方法、並びにそれを用いた蓄電素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、一次電池の置きかえ用途はもとより、携帯電話、IT機器などの電子機器の電源として広く普及している。とりわけ、リチウムイオン電池に代表される非水電解質二次電池は、高エネルギー密度であることから、電気自動車などの産業用大型電気機器への応用も進められている。
【0003】
図13は、従来の技術による非水電解質二次電池の分解斜視図である(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
図13に示すように、非水電解質二次電池100は、開口10xを有する金属製の容器本体10内に発電要素11を収納し、開口10xを蓋部20で塞いで、レーザ溶接等により密閉した構成を有する。
【0005】
発電要素11は、帯状の電極である正極と負極を、セパレータを介して長円筒形に巻回した構成を有する。巻回された状態において、正極及び負極は巻回軸の両端の異なる方向に位置ずれして、これらの端部は発電要素11の両端にそれぞれ位置する。更に、各電極の端部は活物質が担持されておらず、基材である金属箔が露出している。発電要素11の両端部にそれぞれはみ出した金属箔11a、11a´には、導電性の金属板である、正極側の集電接続体12及び負極側の集電接続体12´がそれぞれ接続される。
【0006】
集電接続体12の一端は、発電要素11の表面と平行に延伸し、その表面には貫通孔12aが形成されている。又、他端は発電要素11の側面に向かって屈曲し、発電要素11の側面に露出した巻回状態の金属箔11aと共に挟持板14に挟まれて超音波溶接等により接続、固定されている。負極側の集電接続体12´も同様の構成を有する。
【0007】
蓋部20の両端には端子引出用の貫通孔が開口されている。なお、図13においては、正極側の貫通孔20aのみを示し、負極側の貫通孔は後述する部品の陰に隠れるため図示されない。蓋部20と発電要素11の集電接続体12との間には絶縁封止材13が位置している。絶縁封止材13は合成樹脂等の絶縁性及び一定の弾性を備えた合成樹脂製の部材であり、その表面には蓋部20の貫通孔20a及び集電接続体12の貫通孔12aと同心円をなす貫通孔13aが形成されている。
【0008】
更に、蓋部20の短辺側の端部近傍と重なるように絶縁封止材21が位置している。絶縁封止材21は絶縁封止材13と同様の合成樹脂製の部材であり、その表面には蓋部20の貫通孔20aと同心円をなす貫通孔21bが形成されている。又、絶縁封止材21の、蓋部20と対向する側には筒部21cが形成されており、貫通孔21bは筒部21c内を延伸している。筒部21cは貫通孔20a及び13aに対応した外形を有し、これら各貫通孔に嵌り込むようになっている。
【0009】
更に、絶縁封止材21の主面上には凹部21aが形成されている。又、凹部21aに嵌り込むように接続部材32が、貫通孔21bを貫くように固定部材31がそれぞれ配置されている。そしてこれら各部材を蔽うように、端子部材30が配置されている。端子部材30は貫通孔21bと同心円状の貫通孔30b及び接続部材32が貫通するための貫通孔30aが設けられた、アルミニウム又はアルミニウム合金、その他の導電性の金属製の板状の部材である。
【0010】
固定部材31は、アルミニウム、銅又はそれらの合金等の導電性の金属製部品であり、端子部材30と発電要素11の集電接続体12とを電気的に接続するとともに、蓋部20と発電要素11とを機械的に結合するための部材である。
【0011】
接続部材32は、非水電解質二次電池100を外部負荷と電気的に接続するための、鉄やステンレス鋼、クロムモリブデン鋼等の鋼、その他の強度の高い導電性の金属部材である。接続部材32は、表面にネジが切られたボルト部32aとボルト部32aの一端に設けられた周り止め部32bとから構成される。周り止め部32bは、絶縁封止材21の凹部21aに対応した方形の形状を有し、凹部21aに嵌り込むことで、ボルト部32aの回転軸周りの回転を規制し、接続部材32が空回りするのを防ぐ役割を果たす。
【0012】
次に、図14(a)(b)を参照して、従来の非水電解質二次電池100の、電極部23周辺の構成を説明する。ここで電極部23とは、端子部材30、固定部材31、接続部材32から構成される要素を指す。ただし、図14(a)は非水電解質二次電池100の要部平面図、図14(b)は、図14(a)のA−A直線による要部断面図である。
【0013】
図14(a)に示すように、電極部23の固定部材31及び接続部材32のボルト部32aは、蓋部20の長辺と平行な一直線上に配列されている。
【0014】
又、図14(b)に示すように、蓋部20の貫通孔20a及び絶縁封止材13の貫通孔13aには、絶縁封止材21の筒部21cが貫通しており、筒部21cの端面は、絶縁封止材13の主面とともに集電接続体12の主面に接している。そして、固定部材31は、端子部材30の貫通孔30b、絶縁封止材21の貫通孔21b及び集電接続体12の貫通孔12aを貫通した状態で、蓋部20上に露出する一端と、集電接続体12側に露出する他端とがそれぞれかしめられ、かしめ端31a及び31bとして整形される。
【0015】
かしめ端31a及び31bの外径はそれぞれ各貫通孔より大きいため、端子部材30、絶縁封止材21,蓋部20、絶縁封止材13及び集電接続体12はかしめ端31a及び31bにより挟まれることで互いに圧着され、一体的に固定される。又、集電接続体12及び端子部材30は固定部材31により接続されることで電気的にも接続される。なお、固定部材31の側面は絶縁封止材21の筒部21cによって蔽われているため、蓋部20と固定部材31との間は絶縁状態が確保されている。
【0016】
これにより、発電要素11にて発生した電力が電極部23を通して容器本体10の外に取り出される。具体的には、図示しない外部負荷の配線の圧着端子をボルト部32aに装着し、ボルト部32aのネジに対応したナットの締付けにより当該圧着端子を端子部材30に固定することにより、非水電解質二次電池100と外部負荷との電気的接続を完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2003−92103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従来の技術による非水電解質二次電池の構成は以上のようなものであるが、上記従来の技術においては、以下のような問題があった。
【0019】
すなわち、図14(a)に示すように、非水電解質二次電池100と外部負荷との接続又は分離は、貫通孔30aから露出する接続部材32のボルト部32aに対する、ナットの着脱により行われるが、このとき、図中矢印で示すような、ボルト部32a周りに加えられるトルクにより、板状の端子部材30には、ボルト部32aを回動の中心とする応力が加えられる。
【0020】
この応力は、図14(b)に示す貫通孔30bを介して圧着されている固定部材31と端子部材30との接合部分cにも加えられ、固定部材31と端子部材30との接続に緩みを生じさせる。この緩みは、電極部23の電気抵抗を上昇させ、安定した動作の妨げとなる。さらに、経年使用においては緩みの程度が大きくなり、蓋部20を含めた電池容器全体の密閉性を低下させる恐れがある。
【0021】
このように、従来の技術による非水電解質二次電池は、電池の動作面及び構造面といった観点から、耐久性が低いという課題があった。
【0022】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、電池等の蓄電素子の耐久性を向上させる接続体及び接続体の製造方法、並びにそれらを用いた蓄電素子及び蓄電素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、
発電要素と前記発電要素を収納する素子容器の表面に位置する電極端子とを電気的に接続する接続体であって、
前記素子容器の表面に位置する板部と、
前記板部の表面上の前記電極端子の位置に対し偏心する位置において、先端が前記発電要素に対向して突出するとともに、根元の周縁が前記板部の主面に囲まれている凸部とを備え
前記板部及び前記凸部は、塑性を有する金属性の単一の素体の異なる部位として形成されている、
接続体である。
【0025】
又、本発明の第2の側面は、
前記板部の、前記素子容器の表面に露出している側の主面は平坦である、本発明の第1の側面の接続体である。
【0026】
又、本発明の第の側面は、
前記板部の、前記凸部が突出している側の前記主面は、前記凸部の前記根元の全周縁から前記板部の縁端まで一様に平坦である、本発明の第1又は第2の側面の接続体である。
【0027】
又、本発明の第の側面は、
前記板部における前記凸部が突出している位置と前記電極端子の位置との間には前記板部の重心がある、本発明の第1から第のいずれかの側面の接続体である。
【0028】
又、本発明の第の側面は、
前記凸部は、突出する方向において前記先端から前記根元まで一様な断面形状を有する、本発明の第1から第のいずれかの側面の接続体である。
【0029】
又、本発明の第6の側面は、
前記凸部は、先端の外周の長さが前記板部寄りの側から前記先端寄りの側に向かって連続的又は非連続的に小さくなっている部分を有する、本発明の第1から第のいずれかの側面の接続体である。
【0030】
又、本発明の第の側面は、
前記凸部の外周の長さは、前記板部の前記表面から先端に向かって連続的又は非連続的に小さくなっている、本発明の第1から第のいずれかの側面の接続体である。
【0031】
又、本発明の第の側面は、
発電要素と、
前記発電要素を収納する素子容器と、
前記発電要素の正極及び負極にそれぞれ接続された集電接続体と、
電極端子と前記集電接続体とを電気的に接続する接続体とを備え、
前記接続体として、本発明の第1から第のいずれかの側面の接続体を有し、
前記凸部は前記集電接続体に接続されており、
前記板部は前記素子容器の表面に露出している、蓄電素子である。
【0032】
又、本発明の第の側面は、
前記凸部は前記集電接続体の貫通孔を貫通してその先端がかしめられており、
前記凸部のかしめられた前記先端及び前記板部が、少なくとも前記素子容器の壁体を挟みこんでいる、本発明の第の側面の蓄電素子である。
【0033】
又、本発明の第10の側面は、
前記接続体の前記板部に対応した形状の載置面、及び前記載置面上に開口された前記接続体の前記凸部に対応した形状の貫通孔が形成された本体部と、
前記本体部の前記貫通孔と連通する筒部とを有する絶縁封止材を備え、
前記本体部は、前記載置面に前記接続体の前記板部を載置した状態で、前記素子容器の壁体とともに前記凸部のかしめられた前記先端及び前記板部との間に挟み込まれており、
前記筒部内には前記接続体の前記凸部が位置している、本発明の第の側面の蓄電素子である。
【0034】
又、本発明の第11の側面は、
前記絶縁封止材と前記接続体とは、
前記本体部の前記載置面と前記板部の前記主面とが面接触している、本発明の第10の側面の蓄電素子である。
【0035】
又、本発明の第12の側面は、
前記絶縁封止材の前記本体部は、
前記載置面の周囲に形成された、前記載置面よりも背高な枠体を有し、
前記接続体の前記板部は前記枠体に囲まれている、本発明の第10又は第11の側面の蓄電素子である。
【0036】
又、本発明の第13の側面は、
前記板部の表面における前記凸部の位置は前記電極端子の位置より前記素子容器の重心に近い、本発明の第から第14のいずれかの側面の蓄電素子である。
【0037】
又、本発明の第14の側面は、
発電要素と、前記発電要素を収納する、蓋部及び容器本体を含む素子容器と、前記発電要素の正極及び負極にそれぞれ接続された集電接続体と、電極端子と前記集電接続体とを電気的に接続する接続体とを有する蓄電素子の製造方法であって、
前記接続体として、本発明の第1から第7のいずれかの側面の接続体を用い、
前記接続体の前記凸部を、少なくとも前記発電要素の前記正極及び前記負極に接続された前記集電接続体の貫通孔と前記蓋部の貫通孔とに貫通させる第1の工程と、
前記凸部の先端をかしめ加工することにより、前記板部と前記凸部の前記先端との間に前記集電接続体及び前記素子容器の壁体を挟み込み、前記接続体、前記集電接続体及び前記蓋部を一体的に固定する第2の工程とを備えた、
蓄電素子の製造方法である。
【0038】
又、本発明の第15の側面は、
発電要素と前記発電要素を収納する素子容器の表面に位置する電極端子とを電気的に接続する、前記素子容器の表面に位置する板部及び前記板部の表面上の、前記電極端子の位置に対し偏心する位置から前記発電要素に対向して突出する凸部を有する接続体の製造方法であって、
板状の金属部材の一部分を絞り加工することにより前記凸部を形成する絞り加工工程と、
前記絞り加工工程と同時又はその前若しくは後に実行される、前記金属部材の前記板状の形状を保持した他の部分を所定形状に鍛造加工することにより前記板部を形成する鍛造加工工程とを備えた、
接続体の製造方法である。
【0039】
なお、本発明は、他の側面として、
前記板部の電極端子の位置には貫通孔が設けられている接続体であってもよい。
【0040】
又、前記凸部の先端に凹みが形成された本発明の上記側面の接続体であってもよい。
【0041】
又、前記凸部の内部に空洞が形成された本発明の上記側面の接続体であってもよい。
【0042】
又、前記接続体が本発明の他の側面の、前記板部の電極端子の位置には貫通孔が設けられている接続体であって、
前記電極端子は、一端が前記貫通孔を介して前記素子容器の表面から突出しており、
他端は前記素子容器の壁体及び前記板部との間に固定されている、棒状の部材である、本発明の上記側面の蓄電素子であってもよい。
【0043】
又、前記接続体が、前記板部の、前記素子容器の表面に露出している側の主面は平坦である、本発明の上記側面の接続体であって、
前記電極端子は前記板部の表面に固定されている、本発明の上記側面の蓄電素子であってもよい。
【0044】
又、前記接続体が本発明の他の側面の、前記板部の電極端子の位置には貫通孔が設けられている接続体であって、
前記電極端子は、一端が前記貫通孔を介して前記素子容器の表面から突出しており、
他端は前記素子容器の壁体及び前記板部との間に固定されている、棒状の部材である、本発明の上記側面の蓄電素子であってもよい。
【0045】
又、前記接続体が、前記板部の、前記素子容器の表面に露出している側の主面は平坦である、本発明の上記側面の接続体であって、
前記電極端子は前記板部の表面に固定されている、
本発明の上記側面の蓄電素子であってもよい。
【0046】
又、前記接続体が、前記板部の、前記素子容器の表面に露出している側の主面は平坦である、本発明の上記側面の接続体を用い、
その一端が前記貫通孔を介して前記素子容器の表面から突出しており、他端の外形が前記一端の外形よりも大きい棒状の部材である前記電極端子を用い、
前記電極端子の前記一端を前記接続体の前記板部の前記貫通孔に挿入し、前記他端を前記蓋部と前記板部との間に配置した状態で、前記第1の工程を実行する、本発明の上記側面の蓄電素子の製造方法であってもよい。
【発明の効果】
【0047】
以上のような本発明によれば、電池等の蓄電素子の耐久性を向上させるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明の実施の形態1に係る非水電解質二次電池の構成を示す分解斜視図
図2】本発明の実施の形態1に係る接続体の構成を示す斜視図
図3】(a)本発明の実施の形態1に係る非水電解質二次電池の構成を示す要部平面図(b)本発明の実施の形態1に係る非水電解質二次電池の構成を示す要部断面図
図4】本発明の実施の形態1に係る接続体の他の構成例を示す斜視図
図5】(a)本発明の実施の形態1に係る接続体の他の構成例を示す斜視図(b)本発明の実施の形態1に係る接続体の他の構成例を用いた非水電解質二次電池の構成を示す要部断面図
図6】(a)本発明の実施の形態1に係る接続体の他の構成例を示す斜視図(b)本発明の実施の形態1に係る接続体の他の構成例を示す断面図
図7】本発明の実施の形態2に係る接続体の製造方法を説明するための図
図8】(a)本発明の実施の形態2に係る接続体の製造方法を説明するための図(b)本発明の実施の形態2に係る接続体の製造方法を説明するための図
図9】(a)本発明の接続体の他の構成例を示す斜視図(b)本発明の接続体の他の構成例を示す断面図
図10】(a)本発明の接続体の他の構成例を示す斜視図(b)本発明の接続体の他の構成例を示す斜視図(c)本発明の接続体の他の構成例を示す斜視図
図11】本発明の蓄電素子の他の構成例を示す分解斜視図
図12】(a)本発明の蓄電素子に用いられる絶縁封止材の他の構成例を示す斜視図(b)本発明の蓄電素子に用いられる絶縁封止材の他の構成例を示す斜視図(c)本発明の蓄電素子に用いられる絶縁封止材の他の構成例を示す斜視図
図13】従来の技術による非水電解質二次電池の構成を示す分解斜視図
図14】(a)従来の技術による非水電解質二次電池の構成を示す要部平面図(b)従来の技術による非水電解質二次電池の構成を示す要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0050】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る非水電解質二次電池1の構成を示す分解斜視図である。ただし、図13に示す従来例と同一又は相当部分については、同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0051】
図1に示すように、本実施の形態1の非水電解質二次電池1は、容器本体10、発電要素11及び蓋部20の主要な構成は、図13に示す従来の非水電解質二次電池100と同様であるが、電極部23の構成において、発電要素11と接続部材32とを直接接続する接続体2を備えたことを特徴とする。
【0052】
すなわち、非水電解質二次電池1における電極部23は、従来の固定部材31及び端子部材30に代えて、絶縁封止材21の上部に位置し、接続部材32のボルト部32aが貫通する貫通孔2cが形成された板部2aと、絶縁封止材21の貫通孔21b、蓋部20の貫通孔20a、絶縁封止材13の貫通孔13a及び集電接続体12の貫通孔12aを介して集電接続体12と電気的、機械的に接続される凸部2bとを有する接続体2を備える。
【0053】
ここで図2に接続体2の構成を示す。接続体2において、板部2aは従来の端子部材30と同一の、矩形の形状を有する板状の部材であり、凸部2bは、板部2aの主面上の根元2b2から図中直下に延伸して形成された棒状の部材である。
【0054】
板部2aは、蓋部20に対向して絶縁封止材21に接する側の主面2a2の形状として、貫通孔2c周縁の形状を除いて、後述する板部2aの根元2b2から、外縁をなす矩形の各辺まで、段差、凹凸や湾曲のない一様な平坦面を形成している。同様に、図1に示す蓋部20上にて露出する側の主面2a1の形状も、貫通孔2c周縁の形状を除いて、平坦面を形成している。更に、図1中の蓋部20寄りの短手側の一辺の中央はタブ2a3として他の部分から突出している。なお、タブ2a3は、板部2aの向きを確認する目印や、後述する絶縁封止材21との仮合わせのガイドとして用いられる。
【0055】
次に、凸部2bは、板部2aの主面2a2上に位置し、根元2b2の周縁はそのまま板部の主面2a2との境界を成し、根元2b2と主面2a2とは継ぎ目無く連続して形成されている。換言すれば、根元2b2の周縁が凸部2bの側面主面2a2に囲まれた態様を有する。
【0056】
又、根元2b2から先端2b1までの長さ及びその断面形状は従来の固定部材31の、かしめ加工前における、端子部材30の厚みを除いた寸法に対応しており、図示においては円柱状の形状を有する。
【0057】
なお、図1図2中においては凸部2bの先端2b1は円柱状の端面として示したが、後述するように、組立てられた電池においては、先端2b1はかしめられ、貫通孔12aその他貫通孔の外径より大きな外径を有することになる。又、接続体2の材料としては、電極部23の極性に応じてアルミニウム又は銅又はそれらの合金が用いられる。
【0058】
又、図1に示すように、接続体2が配置される絶縁封止材21は、表面であって板部2aが載置される載置面21xと、載置面21xの周囲に形成された、載置面21xよりも背高な枠体21yとを有する本体部21zと、本体部21zの載置面21x上の貫通孔21bと連通して図中下方に形成された筒部21cとを備える。なお、枠体21yの一部には、接続体2のタブ2b3の位置及び形状に対応した切り欠き21y1が形成されている。
【0059】
なお、図1において、接続体2の凸部2bの根元2b2の位置を、板部2aの主面2a1に点線として示したが、これは説明のための仮想的な表示であって、実際の主面2a1における当該位置に凸部2bの根元2b2の痕跡が存在することはなく、平坦面として形成されている。
【0060】
以上の構成において、接続体2は本発明の接続体に相当し、板部2aは本発明の板部に、凸部2bは本発明の凸部にそれぞれ相当する。また、貫通孔2cは本発明の貫通孔に相当する。更に発電要素11は本発明の発電要素に相当し、容器本体10及び蓋部20の組合せは本発明の素子容器に相当し、接続部材32は本発明の電極端子に相当し、非水電解質二次電池1は本発明の蓄電素子に相当する。
【0061】
又、凸部2bの先端2b1及び根元2b2はそれぞれ本発明の凸部の先端及び根元に相当し、絶縁封止材21は本発明の絶縁封止材に相当し、本体部21z及び筒部はそれぞれ本発明の本体部及び筒部に相当し、載置面21x、枠体21yはそれぞれ本発明の載置面及び枠体に相当する。
【0062】
このような本実施の形態1における接続体2は、板部2aと凸部2bとが一体的に形成されており、かつ、凸部2bが円柱形状であって、板部2aが円柱状の凸部2bの根元2b2において、凸部2bの断面形状よりも大きく、又、周縁が主面2a2に囲まれることで、根元2b2の周縁から広がった面を有するよう形成されていることで、板部2aを頭部とし、凸部2bを軸部とする、一個のリベットとして機能することを特徴とする。
【0063】
すなわち板部2a及び凸部2bは、素材である単一の金属性材料の塑性加工後の、互いに部位の異なる形状であって、別個の素材が接合された状態にあるものではない。したがって、接続体2において、板部2aの主面とそこから突出する凸部2bの根元2b2との間に継ぎ目や接合面は形成されていない。
【0064】
このような接続体2により構成された、非水電解質二次電池1の電極部23近傍の状態を、図3(a)の要部平面図に、図3(b)の、図3(a)のA−A直線による要部断面図にそれぞれ示す。
【0065】
図3(b)に示すように、接続体2は、板部2aが絶縁封止材21の主面に重なる一方で、絶縁封止材21の主面と対向する表面から突出した凸部2bは、絶縁封止材21の筒部21c内の貫通孔21b内を延伸し、蓋部20の貫通孔20、絶縁封止材13の貫通孔13a及び集電接続体12の貫通孔12aを貫通した状態で、集電接続体12の主面上に露出する端部がかしめられ、かしめ端2dとして整形される。
【0066】
なお、接続部材32の固定は以下のように行われる。すなわち、板部2aの貫通孔2cに接続部材32のボルト部32aを挿入し、回り止め部32bが板部2aと絶縁封止材21との間に挟まれた状態となるように、貫通孔21bに凸部2bを挿入する。
【0067】
上述のように、かしめ端2dの外径はそれぞれ各貫通孔の外径より大きくなるため、かしめ端2dの成形に伴い、絶縁封止材21、蓋部20、絶縁封止材13及び集電接続体12は接続体2の板部2aと凸部2bのかしめ端2dとの間に挟まれることで互いに圧着され、一体的に固定される。換言すれば、板部2aがリベットの頭部として、凸部2bがリベットの軸部としてそれぞれ機能することで、絶縁封止材21〜集電接続体12の各部がかしめ固定されている。
【0068】
又、接続体2と集電接続体12は電気的にも接続される。なお、凸部2bの側面は絶縁封止材21の筒部21cによって蔽われているため、蓋部20と接続体2との間は絶縁状態が確保される。
【0069】
なお、図3(b)に示す構成を完成させるための、絶縁封止材21〜集電接続体12の各貫通孔に接続体2の凸部2bを貫通させる工程は、本発明の第1の工程に相当し、凸部2bの先端をかしめ端2dとして整形する工程は、本発明の第2の工程に相当する。更に、接続部材32を固定するための工程も本発明の第1の工程に含まれる。
【0070】
以上の構成を有する電極部23に対する外部負荷の着脱において、図3(a)の図中矢印に示すように接続部材32のボルト部32a周りにトルクが生じた場合、接続体2の板部2aには、ボルト部32aを回動の中心とする応力が加えられるが、図3(b)に示し、かつ上述したように、板部2aと凸部2bの間は機械的性質において一様であるため、緩みが生ずることがない。したがって、電極部23への継続的な外部負荷の着脱がなされても電気抵抗の上昇や電池容器全体の密閉性を保つことができ、ひいては非水電解質二次電池1の耐久性を向上させることが可能となる。
【0071】
さらに、本実施の形態1においては、図3(b)に示すように、接続体2のかしめによる絶縁封止材21、蓋部20、絶縁封止材13及び集電接続体12の締結が、板部2aの、絶縁封止材21に接する主面2a2全体を介した圧接によりなされることで、以下の効果を奏する。
【0072】
図14に示す従来例においては、絶縁封止材21への圧接は、端子部材30の表面と接する面積が微少なかしめ端31aのみを介してなされるため、板部2aから絶縁封止材21への押圧は、面上の分布において不均衡が生ずる。更に、かしめ端31aは、板部を平坦面にする等の目的で除去される場合があり、この場合、端子部材30と固定部材31との接合は、端子部材30の貫通孔30bと固定部材31の端部との境界が溶接のみによって保持されることなり、これは緩みの原因となるに止まらず、電極部23において著しい強度の低下を招く。
【0073】
これに対し、本実施の形態1の接続体2による圧接においては、絶縁封止材21は載置面21xが主面2a2から押圧されることで、自らの全面もまた蓋部20の表面に押圧されることとなる。
【0074】
さらに、主面2a2はその表面に段差、凹凸や湾曲のない一様な平坦面であることから、主面2a2からの圧力はそのまま絶縁封止材21の載置面21xへとほぼ均一に伝達される。加えて、絶縁封止材21と接続体2との固定後においても主面2a2と載置面21xとは互いに変形することなく面接触の状態を保持されることとなり、枠体21yと主面2a1との間からの異物等の侵入、若しくは電池容器からの電解液等の漏出を防ぐ密閉性が獲得される。なお、凸部2bは貫通孔21b内に位置することで主面2a2からの圧接に影響を与えることはない。
【0075】
さらに、接続体2の板部2aの周縁は、絶縁封止材21上において、本体部21zの枠体21yに囲まれている。これにより、電極部23の仮組時や完成後において、接続体2が凸部2bを回転軸として載置面21x上で回動することを抑制する。又、接続部材32への外部端子の着脱時における凸部2bへのトルクを抑制する効果も奏する。
【0076】
これらにより、絶縁封止材21を蓋部20上に強固に固定して電池容器の密閉性を高め、耐久性を向上させることができる。
【0077】
さらに、図3(a)及び(b)に示すように、接続体2において、凸部2bの根元の位置は板部2aの重心gより蓋部20の中央寄りにシフトしている。又、貫通孔2cは板部2aの重心gより蓋部20の外延寄りにシフトしている。これにより、板部2a上にて接続部材32を配置するのに十分な位置及び面積を確保することができ、かつ、板部2aの全面がほぼ均等な押圧で接続部材32のボルト部32aの回りを封止して、接続部材32を安定して固定することが可能となる。
【0078】
このように、本発明の実施の形態1に係る接続体2aは、非水電解質二次電池1の耐久性を向上させることができる。又、板部2aと凸部2bとがあらかじめ一体であるため、非水電解質二次電池1の製造工程を簡略化することができる。
【0079】
なお、上記の説明において、接続体2は、板部2aの主面2a2との境目になる根元2b2からかしめ端2dとして形成される先端2b1までは、一様な断面形状の円柱形状の凸部2bを備えるものとしたが、本発明は、図4に示すように、根元3b2から、図中破線領域の、端部3dが先端に向かって尖った形状の先端3b1を備えた接続体3としてもよい。接続体3においては、電極部23の組立てに際し、先端3b1を有する端部3dを貫通孔21内の任意の箇所に位置させることにより、凸部3bを貫通孔内に速やかに挿入させることができる。したがって、接続体2aを蓋部20に組み込むときの、両者の位置合わせの厳密性を緩和して、製造工程の効率を上げることが可能となる。
【0080】
また、本発明は、図5(a)に示すように、根元4b2から先端4b1に向かって徐々にその断面形状が小さくなるよう変化する、円錐状の形状である凸部4bを備えた接続体4であるとしてもよい。特に凸部4bの根元4b2の外径Dは、図3に示す凸部2bの外径よりも若干大きく定めておくことが望ましい。この構成においては、図5(b)に示すように、絶縁封止材21の貫通孔21bに挿入された凸部4bが挿入の向きに向かって貫通孔21bの内径を広げるため、押し広げられた筒部21cの外面が、蓋部20の貫通孔20a及び絶縁封止材13の貫通孔13aの縁部に圧接される。したがって、接続体4を組み込んだ電極部23は各部の結合がより緊密となり、より高い密封性を確保して、非水電解質二次電池の耐久性を更に向上させることが可能となる。
【0081】
更に、本発明は、図6(a)(b)に示すように、根元5b2から突出する先端5b1の端面に凹部5dが形成された凸部5bを備えた接続体5であるとしてもよい。但し図6(b)は、図6(a)の、凸部5bの中心軸を含み板部2aの長辺に平行な直線による断面図である。
【0082】
接続体5においては、凹部5dを半球状の凹みとして形成したことにより、凸部5bの強度がかしめ加工に好適に減じられている。したがって、接続体4を組み込んだ電極部23は、より高い密封性を確保することが可能となり、非水電解質二次電池の耐久性を更に向上させることができる。更に、加工後のかしめ端の大きさ、厚みもより小さくすることができるため、かしめ端の直下にある発電要素11の体積をより大きくとることができ、非水電解質二次電池の容量を高めることが可能となる。なお、凹部の形状は、半球状に限定するものではなく、円筒状等の任意の形状であって良い。
【0083】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、本発明の接続体の製造方法である。以下、図7、8を参照して説明を行うとともに、これにより、本発明の接続体の一実施の形態について説明を行う。
【0084】
図7は、本発明の接続体の製造方法を実行するための金型及び素体を示す斜視図である。図7に示すように、本発明の接続体の製造方法は、素体である矩形の金属板8を雄型81及び雌型82の間にプレスすることにより接続体を得るものである。
【0085】
雄型81は、雌型82と対向する側の主面に設けられたパンチ81a及び81bを備え、パンチ81aは接続体の貫通孔に対応する形状を有し、パンチ81bは凸部の位置に対応して設けられている。又、雄型81は、雌型82と対向する側の主面に形成された、パンチ81a及び81bにそれぞれ対応するダイ82a及び82bを備える。
【0086】
ここで図8(a)の側面図を参照して、パンチとダイの位置関係及び形状を詳細に説明する。雌型82において、ダイ81aは雌型82を貫通しており、又ダイ82bは凸部の断面形状及び全長の反転形状としての凹部として形成されている。又、雄型81において、パンチ81aの全長は雌型82の厚み以上でる。一方、パンチ81bは、ダイ82の径より小さな外径を有し、かつ全長はダイ82bの深さより短い。
【0087】
したがって雄型81と雌型82との組み合わせにおいては、パンチ81a及びダイ82aにより剪断加工がなされ、パンチ81b及びダイ82bにより絞り加工がなされる。
【0088】
以上のような構成の雄型81及び雌型82を用いて金属板8をプレスすると、図8(b)に示すように、金属板8は所定厚みに成形された上で、パンチ81a及びダイ82aにより破片8bが剪断されて貫通孔8aが、パンチ81b及びダイ82bにより凸部8cが同時に一括して形成される。
【0089】
このようにして作成された、本発明の接続体の他の構成例を図9(a)の斜視図及び(b)の断面図に示す。接続体6は、実施の形態1の接続体2と同様の板部2a及び貫通孔2cを有する一方、パンチ81b及びダイ82bの反転形状である凸部8cが、板部2aの主面2a2に根元6b2が位置し、先端6b1が突出した凸部6bとして構成されることにより、その内部に空洞6dが形成されている。空洞6dはその一端が板部2aの主面上に開口として解放されている。
【0090】
このような構成を有する接続体6においても、接続体2と同様、主部である板部2a及び凸部6bは単一の素体としての金属板8の鍛造によって形成されており、これらの間は機械的性質において一様な状態を獲得できている。したがって、実施の形態1の接続体2と同様、電極部23への継続的な外部負荷の着脱に抗して、非水電解質二次電池1の耐久性を向上させることが可能となる。又、空洞6dを有することにより、実施の形態1の場合と同様、電極部23の高い密封性の確保や、非水電解質二次電池の容量を高めることが可能となる効果を有する。
【0091】
なお、上記の説明においては、板部2aを形成する工程と凸部6bを形成する工程とは、同時に行うものとしたが、それぞれ独立して順不同に実行しても良い。特に凸部6bが複雑な形状を有する場合に好適である。図8(a)(b)に示す鍛造の工程は、本発明の絞り加工工程及び鍛造加工工程に相当する。
【0092】
なお、空洞6dは、凸部6dの端部まで貫通する貫通孔として形成してもよい。ただし非水電解質二次電池1を組立てる際には、その内部に異物が侵入しないように、当該端部6dの端部をかしめて、必ず貫通孔が連通しない状態にする。又、空洞6dを貫通孔としない場合であっても、開口6d1は封止し、板部2aの主面2a1と面一となるよう整えることが望ましい。又、パンチ81b及びダイ82bの形状を調製することにより、図4図5に示す各構成例の接続体3〜5も同様に作成することができる。
【0093】
このように、本発明の接続体及びその製造方法によれば、外部負荷の着脱に起因する接続端子への負荷に抗して、非水電解質二次電池の耐久性を向上させることが可能となる。
【0094】
しかしながら、本発明は上記の各実施の形態に限定されるものではない。上記の説明においては、電極部23は、接続体2及び接続部材32から構成される要素であるとしたが、接続体2の貫通孔2cを塞いだ主面上に直接接続部材32を設けた構成としてもよい。又、接続体2と接続部材32との接続は、貫通孔2cに接続部材32が嵌り込むものとしたが、貫通孔に代えてスリット等の構成であってもよい。又、板部2aの形状は外形矩形状であるとしたが、蓋部20の形状等に応じて、円形、多角形等の任意の平面形状をとってよい。
【0095】
更に、電極部23は、接続体2単体から構成される要素であるとしてもよい。
【0096】
この場合、本発明の接続体は、図10(a)に示す接続体2´のように、板部2aにおいて貫通孔を省略した構成として実現される。板部2a´は主面2a2及び図11に示す主面2a1を有する平板状の部材として構成され、主面2a2と対向する絶縁封止材21´は、凹部21aを省略した、より簡素な構成となっている。なお、図11は、接続体2´を電極部23として備えた非水電解質二次電池1´の分解斜視図である。
【0097】
この構成においては、主面2a1の、外部負荷と貫通孔2cの開口位置に対応する位置に外部負荷に接続可能な端子を直接溶接して固定することにより、非水電解質二次電池1´と外部負荷との電気的接続を完成する。凸部2bと端子の固定位置とが離隔していることで、溶接時に凸部2b回りのトルクが生じるが、実施の形態1にて説明したのと同様、凸部2bと板部2a´とが一体として形成されていることにより、この固定作業に起因する緩みが生ずることはない。又、板部2a´と絶縁封止材21´が完全に面接触することにより、電極体23の機械的強度が一層確保される。
【0098】
なお、図10(a)及び図11に示す構成においては、本発明の電極端子は、上記外部負荷に接続可能な端子に相当する。
【0099】
又、上記の説明においては、接続体2において、凸部2bの根元の位置及び貫通孔2cの位置は、図3(a)等に示すように、板部2aの重心gを間に挟んで、凸部2bが蓋部20の中央寄りにシフトしているとしたが、図10(b)に示すように、凸部2bが蓋部20の外延寄りにシフトしてした構成であるとしてもよいし、図10(c)に示すように、凸部2bの根元の位置が板部2aの重心gと一致した構成であるとしてもよい。特に、図10(c)に示す構成によれば、凸部2b周りに板部2bが等方向に広がって形成されていることで、押圧時の圧力又は電池容器に加わる震動、衝撃等を板部2b上にて均等に分散させて、電極部23の耐久性を一層向上させることができる。
【0100】
又、上記の説明においては、接続体2と組み合わせられる絶縁封止材21は、図1に示すように、一部に板部2aのタブ2a3に対応した切り欠き21y1を有する枠体21yが形成された構成としたが、上述のように、板部2bの平面形状、すなわち主面2a1及び2a2の形状が任意であってよいことから、載置面21x及び枠体21yの形状も、これら主面の形状に対応して任意の形状であるとしてもよい。
【0101】
絶縁封止材21の、図12(a)に示す構成例は、主面2a1及び2a2の形状がタブを有さない矩形であることに対応して、枠体21yが切り欠きを有さず、完全に板部2aを収納可能としたものである。この構成においては、載置面21xと主面2a2との接合線が全て枠体21yにより覆われることで、より気密性を高めることが可能となる。
【0102】
又、枠体21yは、図12(b)に示すように板部2aの長手方向にのみ対応した一対の柵状の態様や、図12(c)に示すように板部2aの角の部分に対応する部分のみ設けた態様として実現しても良く、これらの構成においても凸部2b周りの回動を抑制する効果が得られる。なお、図12(b)においては長手方向にのみ枠体21yが設けられた構成としたが、短手方向のみに設ける構成としてもよい。ただし、図12(b)に示す構成のほうが、板部2aと枠体21yの接触部分が大きくなることから有利であり、より好適である。
【0103】
要するに、本発明の枠体は、載置面よりも背高であって板部2bの回動を抑制し、又は載置面21xと主面2a2との接合線を覆うことが可能であれば好ましく、その具体的な態様によって限定されるものではない。
【0104】
このように、発明の接続体の板部及びこれを用いた発電素子は、その主面の特定位置であって、凸部が形成された位置からは偏心した位置に接続部材を固定できる構成であれば、その手法や構造の具体的な構成によって限定されるものではない。
【0105】
又、図4及び5に示す接続体3、4の構成において、凸部3bの先端である端部3dと凸部4bとはいずれも外径が徐々に細くなる円錐形状を有するものとして説明を行ったが、凸部又はその端部の外径は、段差をもって段階的に小さく変化する、又は一定長毎に小さくなるなど、非連続的に変化する構成であってもよい。さらに、断面形状も、円形の他、楕円、長円、矩形等、任意の形状であってよく、この場合、外径の変化は、円形以外の場合は断面の周の長さの変化になる。
【0106】
更に、上記の各実施の形態においては、本発明の接続体は、同一の金属性の素体の形状を加工することにより、板部及び凸部が、加工後の形状のそれぞれ異なる部分として構成されるものとしたが、板部及び凸部は、同種類又は互いに異なる金属性の素体により作成し、一体成形して接続体とする構成であってもよい。この場合、板部の主面と凸部の主面とが溶接(鍛接、圧接)等により直接面接合することで一体化する。図13(b)に示す従来の電極部23における、固定部材31と端子部材30との接合がかしめによる圧着であるのに対し、両者がより強固に結合されていることから、電極部23への継続的な外部負荷の着脱に対しても従来例より向上した一定の耐久性を得ることができる。
【0107】
又、上記の各実施の形態において、本発明の接続体は鍛造により製造されるものとしたが、板部及び凸部の形成は、鋳造や切削によってもよい。要するに、本発明の接続体は、製造方法の具体的な手法によって限定されるものではない。
【0108】
又、上記の各実施の形態において、本発明の接続体は非水電解質二次電池の電極部分に用いられるものとしたが、本発明の蓄電素子としては、他の種類の二次電池、一次電池、又は電気二重層キャパシタが相当し、これらの蓄電素子に対して本発明を用いてもよく、また、本発明の接続体が用いられた蓄電素子は、本発明の蓄電素子に相当するものである。
【0109】
要するに、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内であれば、以上説明したものを含め、上記各実施の形態に種々の変更を加えたものとして実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0110】
以上のような本発明は、電池等の蓄電素子の耐久性を向上させることが可能な効果を有し、例えば二次電池の電極部分又は二次電池において有用である。
【符号の説明】
【0111】
1 非水電解質二次電池
2、3、4、5、6 接続体
2a 板部
2a1、2a2 主面
2b、3b、4b、6b 凸部
2b1 先端
2b2 根元
2c 貫通孔
2d かしめ端
3d 端部
5d 凹部
6d 空隙
8 金属板
23 電極部
32 接続端子
32a ボルト部
32b 周り止め部
図1
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