特許第6044554号(P6044554)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044554
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】飲食品にコク味を付与するための組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/20 20160101AFI20161206BHJP
【FI】
   A23L27/20 D
【請求項の数】13
【全頁数】57
(21)【出願番号】特願2013-557532(P2013-557532)
(86)(22)【出願日】2013年2月6日
(86)【国際出願番号】JP2013052668
(87)【国際公開番号】WO2013118742
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2015年10月2日
(31)【優先権主張番号】特願2012-23551(P2012-23551)
(32)【優先日】2012年2月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100117743
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 美由紀
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(72)【発明者】
【氏名】麻生 唯白
(72)【発明者】
【氏名】長崎 浩明
(72)【発明者】
【氏名】徐 首一
【審査官】 飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−514791(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/030650(WO,A1)
【文献】 特開2005−015683(JP,A)
【文献】 特開2005−015684(JP,A)
【文献】 特開2010−158210(JP,A)
【文献】 J.AGR.FOOD CHEM., 1972, Vol.20, p.741-747
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00
WPIDS/WPIX(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コク味付与物質と、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンと、(i)低級脂肪酸類及びメチオナール、並びに/あるいは、(ii)オクタン酸及びデカン酸とを含有
コク味付与物質が、γ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Val−Y(Yはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ-Glu−Abu、γ-Glu−N−Val、γ−Glu−Ala、γ−Glu−Gly、γ−Glu−Cys、γ−Glu−Met、γ−Glu−Thr、γ−Glu−Val、γ−Glu−Orn、Asp−Gly、Cys−Gly、Cys−Met、Glu−Cys、Gly−Cys、Leu−Asp、D−Cys、γ−Glu−Met(O)、γ−Glu−γ−Glu−Val、γ−Glu−Val−NH、γ−Glu−Val−ol、γ−Glu−Ser、γ−Glu−Tau、γ−Glu−Cys(S−Me)(O)、γ−Glu−Leu、γ−Glu−Ile、γ−Glu−t−Leu及びγ−Glu−Cys(S−Me)からなる群より選択される1種又は2種以上である、飲食品にコク味を付与するための組成物。
【請求項2】
1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上、且つ、0.91重量ppm以下となるように飲食品に添加するための、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上、且つ、0.91重量ppm以下となり、
低級脂肪酸類の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上、且つ、19.3重量ppm以下となり、且つ、
メチオナールの飲食品に対する添加濃度が0.00001重量ppm以上、且つ、150重量ppm以下となるように飲食品に添加するための、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上、且つ、0.91重量ppm以下となり、
オクタン酸の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上、且つ、130重量ppm以下となり、且つ、
デカン酸の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上、且つ、390重量ppm以下となるように飲食品に添加するための、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
低級脂肪酸類が、イソ吉草酸である、請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記Xが、Val、N−Val、Cys、Cys(SNO)、Cys(S−allyl)、Gly、Cys(S−Me)、t−Leu、Abu及びSerからなる群より選択される1種であり、前記Yが、Gly、Val、Glu、Lys、Phe、Ser、Pro、Arg、Asp、Met、Thr、His、Orn、Asn、Cys及びGlnからなる群より選択される1種である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
風味調味料又は天然系調味料である、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
コク味付与物質と、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンと、(i)低級脂肪酸類及びメチオナール、並びに/あるいは、(ii)オクタン酸及びデカン酸とを添加する工程を含
コク味付与物質が、γ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Val−Y(Yはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ-Glu−Abu、γ-Glu−N−Val、γ−Glu−Ala、γ−Glu−Gly、γ−Glu−Cys、γ−Glu−Met、γ−Glu−Thr、γ−Glu−Val、γ−Glu−Orn、Asp−Gly、Cys−Gly、Cys−Met、Glu−Cys、Gly−Cys、Leu−Asp、D−Cys、γ−Glu−Met(O)、γ−Glu−γ−Glu−Val、γ−Glu−Val−NH、γ−Glu−Val−ol、γ−Glu−Ser、γ−Glu−Tau、γ−Glu−Cys(S−Me)(O)、γ−Glu−Leu、γ−Glu−Ile、γ−Glu−t−Leu及びγ−Glu−Cys(S−Me)からなる群より選択される1種又は2種以上である、飲食品の製造方法。
【請求項9】
1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上、且つ、0.91重量ppm以下である、請求項記載の方法。
【請求項10】
1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上、且つ、0.91重量ppm以下であり、
低級脂肪酸類の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上、且つ、19.3重量ppm以下であり、且つ、
メチオナールの飲食品に対する添加濃度が0.00001重量ppm以上、且つ、150重量ppm以下である、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上、且つ、0.91重量ppm以下であり、
オクタン酸の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上、且つ、130重量ppm以下であり、且つ、
デカン酸の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上、且つ、390重量ppm以下である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
低級脂肪酸類が、イソ吉草酸である、請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記Xが、Val、N−Val、Cys、Cys(SNO)、Cys(S−allyl)、Gly、Cys(S−Me)、t−Leu、Abu及びSerからなる群より選択される1種であり、前記Yが、Gly、Val、Glu、Lys、Phe、Ser、Pro、Arg、Asp、Met、Thr、His、Orn、Asn、Cys及びGlnからなる群より選択される1種である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食品のトップの香気及び/又は風味をマスクせず、且つ、ラストの香気及び/又は風味を切らずに、飲食品に対し濃厚で持続性のあるコク味を付与することのできる組成物に関する。
また、本発明は、トップの香気及び/又は風味、並びに、ラストの香気及び/又は風味を十分に有し、且つ、濃厚で持続性のあるコク味を付与された飲食品、並びに当該飲食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品領域では呈味物質が古くから応用されてきた。特に、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味で表される5基本味を有する物質やこれらを増強する物質が調味料として広く利用されている。
【0003】
一方、上記5基本味では表せない感覚として「コク味」がある。コク味とは、上記5基本味では表せない感覚を意味し、基本味だけではなく、厚み、ひろがり、持続性、まとまりなど基本味の周辺の味や風味をも増強した状態をいう。従来、飲食品等にコク味を付与するための物質(コク味付与物質)はいくつか報告されており、グルタチオン(特許文献1)、ゼラチン及びトロポミオシンの加熱物(特許文献2)、スルホン基含有化合物(特許文献3)、Asn−His配列を含有するペプチド(特許文献4)などが報告されている。
【0004】
このように、従来より、各種コク味付与物質の開発が試みられ、天然物の抽出物を中心に商品化がなされてきたが、天然物抽出物からコク味成分を純粋に分離した例はグルタチオンやN−(4−methyl−5−oxo−1−imidazolin−2−yl)sarcosineなど極めて少ないのが現状である。
【0005】
従って、今後、高性能で、安全かつ安価なコク味付与物質の開発が必要とされている。
【0006】
特許文献5、6には、高性能で、安全かつ安価なコク味付与剤、コク味が付与された食品、調味料、飲料等の飲食品の製造方法、及びコク味が付与された飲食品などが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第1464928号公報
【特許文献2】特開平10−276709号公報
【特許文献3】特開平8−289760号公報
【特許文献4】国際公開第2004/096836号パンフレット
【特許文献5】特許第4798293号公報
【特許文献6】特開2011−115186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献5、6には、コク味付与剤を使用することによって塩味、うま味、甘味または酸味の少なくとも一種を増強し得ることが報告されている。しかし、コク味付与剤を使用すると、飲食品のトップの香気及び/又は風味をマスクし、ラストの香気及び/又は風味を切ってしまうという課題が発見された。当該課題解決のため、天然系調味料などを併用して、トップの香気及び/又は風味及びラストの香気及び/又は風味を補填強化することが試みられたが、トップの香気及び/又は風味、並びにラストの香気及び/又は風味として、好ましい香気及び/又は風味を十分に付与するに至らなかった。
【0009】
上記の背景下において、本発明の目的は、飲食品のトップの香気及び/又は風味をマスクせず、且つ、ラストの香気及び/又は風味を切らずに、飲食品に対し濃厚で持続性のあるコク味を付与することのできる組成物を提供することにある。
また、本発明の目的は、トップの香気及び/又は風味、並びに、ラストの香気及び/又は風味を十分に有し、且つ、濃厚で持続性のあるコク味を付与された飲食品、並びに当該飲食品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、驚くべき事に、コク味付与物質と1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンとを併用することにより、飲食品のトップの香気及び/又は風味をマスクせず、且つ、ラストの香気及び/又は風味を切らずに、飲食品に対し濃厚で持続性のあるコク味を付与し得ることを見出した。
更に、本発明者らは、驚くべき事に、コク味付与物質、並びに、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類及びメチオナールを更に併用することによって、より一層好ましいトップの香気及び/又は風味を飲食品に付与し得ることを見出した。
また、本発明者らは、驚くべき事に、コク味付与物質、並びに、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、オクタン酸及びデカン酸を更に併用することによって、より一層好ましいラストの香気及び/又は風味を飲食品に付与し得ることを見出した。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を進めることによって本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0011】
[1] コク味付与物質並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンを含有する、飲食品にコク味を付与するための組成物。
[2] 1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上、且つ、0.91重量ppm以下となるように飲食品に添加するための、上記[1]記載の組成物。
[3] 低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸からなる群より選択される少なくとも1種以上を更に含有する、上記[1]又は[2]記載の組成物。
[4] 低級脂肪酸類及びメチオナールを含有する、上記[1]又は[2]記載の組成物。
[5] 1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上、且つ、0.91重量ppm以下となり、
低級脂肪酸類の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上、且つ、19.3重量ppm以下となり、且つ、
メチオナールの飲食品に対する添加濃度が0.00001重量ppm以上、且つ、150重量ppm以下となるように飲食品に添加するための、上記[4]記載の組成物。
[6] オクタン酸及びデカン酸を含有する、上記[1]又は[2]記載の組成物。
[7] 1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上、且つ、0.91重量ppm以下となり、
オクタン酸の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上、且つ、130重量ppm以下となり、且つ、
デカン酸の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上、且つ、390重量ppm以下となるように飲食品に添加するための、上記[6]記載の組成物。
[8] 低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸を含有する、上記[1]又は[2]記載の組成物。
[9] 低級脂肪酸類が、イソ吉草酸である、上記[3]〜[5]及び[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] コク味付与物質が、γ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Val−Y(Yはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ-Glu−Abu、γ-Glu−N−Val、γ−Glu−Ala、γ−Glu−Gly、γ−Glu−Cys、γ−Glu−Met、γ−Glu−Thr、γ−Glu−Val、γ−Glu−Orn、Asp−Gly、Cys−Gly、Cys−Met、Glu−Cys、Gly−Cys、Leu−Asp、D−Cys、γ−Glu−Met(O)、γ−Glu−γ−Glu−Val、γ−Glu−Val−NH、γ−Glu−Val−ol、γ−Glu−Ser、γ−Glu−Tau、γ−Glu−Cys(S−Me)(O)、γ−Glu−Leu、γ−Glu−Ile、γ−Glu−t−Leu及びγ−Glu−Cys(S−Me)からなる群より選択される1種又は2種以上である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物。
[11] 前記Xが、Val、N−Val、Cys、Cys(SNO)、Cys(S−allyl)、Gly、Cys(S−Me)、t−Leu、Abu及びSerからなる群より選択される1種であり、前記Yが、Gly、Val、Glu、Lys、Phe、Ser、Pro、Arg、Asp、Met、Thr、His、Orn、Asn、Cys及びGlnからなる群より選択される1種である、上記[10]記載の組成物。
[12] 風味調味料又は天然系調味料である、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の組成物。
[13] コク味付与物質並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンを添加する工程を含む、飲食品の製造方法。
[14] 1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上、且つ、0.91重量ppm以下である、上記[13]記載の方法。
[15] 更に、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸からなる群より選択される少なくとも1種以上を添加する工程を含む、上記[13]又は[14]記載の方法。
[16] 更に、低級脂肪酸類及びメチオナールを添加する工程を含む、上記[13]又は[14]記載の方法。
[17] 1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上、且つ、0.91重量ppm以下であり、
低級脂肪酸類の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上、且つ、19.3重量ppm以下であり、且つ、
メチオナールの飲食品に対する添加濃度が0.00001重量ppm以上、且つ、150重量ppm以下である、上記[16]記載の方法。
[18] 更に、オクタン酸及びデカン酸を添加する工程を含む、上記[13]又は[14]記載の方法。
[19] 1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上、且つ、0.91重量ppm以下であり、
オクタン酸の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上、且つ、130重量ppm以下であり、且つ、
デカン酸の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上、且つ、390重量ppm以下である、上記[18]記載の方法。
[20] 低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸を添加する工程を含む、上記[13]又は[14]記載の方法。
[21] 低級脂肪酸類が、イソ吉草酸である、上記[15]〜[17]及び[20]のいずれかに記載の方法。
[22] コク味付与物質が、γ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Val−Y(Yはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Abu、γ−Glu−N−Val、γ−Glu−Ala、γ−Glu−Gly、γ−Glu−Cys、γ−Glu−Met、γ−Glu−Thr、γ−Glu−Val、γ−Glu−Orn、Asp−Gly、Cys−Gly、Cys−Met、Glu−Cys、Gly−Cys、Leu−Asp、D−Cys、γ−Glu−Met(O)、γ−Glu−γ−Glu−Val、γ−Glu−Val−NH、γ−Glu−Val−ol、γ−Glu−Ser、γ−Glu−Tau、γ−Glu−Cys(S−Me)(O)、γ−Glu−Leu、γ−Glu−Ile、γ−Glu−t−Leu及びγ−Glu−Cys(S−Me)からなる群より選択される1種又は2種以上である、上記[13]〜[21]のいずれかに記載の方法。
[23] 前記Xが、Val、N−Val、Cys、Cys(SNO)、Cys(S−allyl)、Gly、Cys(S−Me)、t−Leu、Abu及びSerからなる群より選択される1種であり、前記Yが、Gly、Val、Glu、Lys、Phe、Ser、Pro、Arg、Asp、Met、Thr、His、Orn、Asn、Cys及びGlnからなる群より選択される1種である、上記[22]記載の方法。
[24] 上記[13]〜[23]のいずれかに記載の方法により製造される、飲食品。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、飲食品のトップの香気及び/又は風味をマスクせず、且つ、ラストの香気及び/又は風味を切らずに、飲食品に対し濃厚で持続性のあるコク味を付与することのできる組成物を提供し得る。
また、本発明によれば、トップの香気及び/又は風味、並びに、ラストの香気及び/又は風味を十分に有し、且つ、濃厚で持続性のあるコク味を付与された飲食品、並びに当該飲食品の製造方法を提供し得る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書中において、「コク味」とは、甘味(sweet taste)、塩味(salty taste)、酸味(sour taste)、苦味(bitter taste)、うま味(umami)で表される5基本味(five basic tastes)のみでは表せない感覚を意味し、基本味だけではなく、厚み(thickness)、ひろがり(growth(mouthfulness))、持続性(continuity)、まとまり(harmony)など基本味の周辺の味(marginal tastes)や風味(marginal flavor)をも増強した状態をいう。また、「飲食品にコク味を付与するための組成物」及び「コク味付与物質」とは、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味で表される5基本味の増強と、それに伴う厚み、ひろがり、持続性、まとまりなど基本味の周辺の味や風味を増強することができる組成物及び物質をいう。従って、本発明の組成物は、甘味増強剤、塩味増強剤、酸味増強剤、苦味増強剤、うま味増強剤としても使用することができる。
本明細書中において、「香気」とは、飲食せずに鼻だけで感じられる香り(オルソネーザルフレーバー)を意味する。「風味」とは、飲食時の口腔内から鼻へ抜ける香り(レトロネーザルフレーバー)を意味する。
本明細書中において、「トップの香気及び/又は風味」とは、喫食後0秒から2秒未満に感じる香気及び/又は風味を意味し、「トップの香気及び/又は風味をマスクする」とは、トップの香気及び/又は風味を弱め、感じにくい状態とすることを意味する。また、「ラストの香気及び/又は風味」とは、喫食後5秒以降に感じる香気及び/又は風味を意味し、「ラストの香気及び/又は風味を切る」とは、ラストの香気及び/又は風味を弱め、感じにくい状態とすることを意味する。
本明細書中において各アミノ酸及び各ペプチドを構成するアミノ酸は、特に断わらない限りいずれもL−体である。
【0014】
[飲食品にコク味を付与するための組成物]
本発明の飲食品にコク味を付与するための組成物(以下、「本発明の組成物」とも称する)は、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンを含有するものである。
【0015】
(コク味付与物質)
本発明の組成物に用いられるコク味付与物質としては、例えば、グルタチオン、国際公開第2007/055393号パンフレット記載のペプチド類、国際公開第2010/114022号パンフレット記載のペプチド類、国際公開第2011/081185号パンフレット記載のペプチド類、国際公開第2011/081186号パンフレット記載のペプチド類等が挙げられる。具体的には、例えば、γ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Val−Y(Yはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ-Glu−Abu、γ-Glu−N−Val、γ−Glu−Ala、γ−Glu−Gly、γ−Glu−Cys、γ−Glu−Met、γ−Glu−Thr、γ−Glu−Val、γ−Glu−Orn、Asp−Gly、Cys−Gly、Cys−Met、Glu−Cys、Gly−Cys、Leu−Asp、D−Cys、γ−Glu−Met(O)、γ−Glu−γ−Glu−Val、γ−Glu−Val−NH、γ−Glu−Val−ol、γ−Glu−Ser、γ−Glu−Tau、γ−Glu−Cys(S−Me)(O)、γ−Glu−Leu、γ−Glu−Ile、γ−Glu−t−Leu及びγ−Glu−Cys(S−Me)からなる群より選択される1種又は2種以上が挙げられる(以下、「本発明に用いられるペプチド及びアミノ酸」とも称する)。
【0016】
「γ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)」のXとしては、Val、N−Val、Cys、Cys(SNO)、Cys(S−allyl)、Gly、Cys(S−Me)、t−Leu、Abu及びSerからなる群より選択される1種が好ましい。
【0017】
「γ−Glu−Val−Y(Yはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)」のYとしては、Gly、Val、Glu、Lys、Phe、Ser、Pro、Arg、Asp、Met、Thr、His、Orn、Asn、Cys及びGlnからなる群より選択される1種が好ましい。
【0018】
本発明に用いられるペプチド及びアミノ酸の中でも、γ−Glu−X−Gly(XはVal、N−Val、Cys、Cys(SNO)、Cys(S−allyl)、Gly、Cys(S−Me)、t−Leu、Abu又はSerである)、又はγ−Glu−Val−Y(YはGly、Val、Glu、Lys、Phe、Ser、Pro、Arg、Asp、Met、Thr、His、Orn、Asn、Cys又はGlnである)、γ−Glu−Abu、γ−Glu−N−Valが好ましい。
ここに、アミノ酸とは、例えば、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Ser、Thr、Cys、Met、Asn、Gln、Pro、Hyp等の中性アミノ酸;Asp、Glu等の酸性アミノ酸;Lys、Arg、His等の塩基性アミノ酸;Phe、Tyr、Trp等の芳香族アミノ酸;ホモセリン、シトルリン、オルニチン、α−アミノ酪酸、ノルバリン、ノルロイシン、タウリン等を含むものをいう。
【0019】
本明細書においてアミノ基残基の略号は以下のアミノ酸を意味する。
(1)Gly:グリシン
(2)Ala:アラニン
(3)Val:バリン
(4)Leu:ロイシン
(5)Ile:イソロイシン
(6)Met:メチオニン
(7)Phe:フェニルアラニン
(8)Tyr:チロシン
(9)Trp:トリプトファン
(10)His:ヒスチジン
(11)Lys:リジン
(12)Arg:アルギニン
(13)Ser:セリン
(14)Thr:トレオニン
(15)Asp:アスパラギン酸
(16)Glu:グルタミン酸
(17)Asn:アスパラギン
(18)Gln:グルタミン
(19)Cys:システイン
(20)Pro:プロリン
(21)Orn:オルニチン
(22)Sar:サルコシン
(23)Cit:シトルリン
(24)N−Val:ノルバリン
(25)N−Leu:ノルロイシン
(26)Abu:α−アミノ酪酸
(27)Tau:タウリン
(28)Hyp:ヒドロキシプロリン
(29)t−Leu:tert−ロイシン
【0020】
また、アミノ酸誘導体とは、上記アミノ酸の各種誘導体であって、例えば、特殊アミノ酸、非天然アミノ酸、アミノアルコール、あるいは、末端カルボニル基、アミノ基、システインのチオール基等のアミノ酸側鎖が各種置換基により置換したものが挙げられる。当該置換基としては、例えば、アルキル基、アシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、スルフォニル基や各種保護基等が挙げられる。当該のアミノ酸誘導体の具体例としては、Arg(NO):N−γ−ニトロアルギニン、Cys(SNO):S−ニトロシステイン、Cys(S−Me):S−メチルシステイン、Cys(S−allyl):S−アリルシステイン、Val−NH:バリンアミド、Val−ol:バリノール(2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール)等が挙げられる。
【0021】
本明細書において、γ−Glu−Cys(SNO)−Glyは下記の構造式を有するものである。上記γ−Glu−Met(O)およびγ−Glu−Cys(S−Me)(O)中の(O)とは、スルフォキシド構造であることを意味する。γ−Glu中の(γ)とは、グルタミン酸のγ位のカルボキシル基を介して他のアミノ酸が結合していることを意味する。
【0022】
【化1】
【0023】
本発明に用いられるペプチド及びアミノ酸は、市販されているものであれば、市販品を用いることが可能である。また、ペプチドは、(1)化学的に合成する方法、又は(2)酵素的な反応により合成する方法等の公知手法を適宜用いることによって取得することができる。本発明において用いられるペプチドは、含まれるアミノ酸の残基数が2〜3残基と比較的短いので、化学的に合成する方法が簡便である。化学的に合成する場合は、該オリゴペプチドをペプチド合成機を用いて合成あるいは半合成することにより行うことができる。化学的に合成する方法としては、例えばペプチド固相合成法が挙げられる。そのようにして合成したペプチドは通常の手段、例えばイオン交換クロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等によって精製することができる。このようなペプチド固相合成法、およびそれに続くペプチド精製はこの技術分野においてよく知られたものである。
【0024】
また、本発明において用いられるペプチドを、酵素的な反応により生産することも出来る。例えば、国際公開第2004/011653号パンフレットに記載の方法を用いることが出来る。即ち、一方のアミノ酸又はジペプチドのカルボキシル末端をエステル化又はアミド化したアミノ酸又はジペプチドと、アミノ基がフリーの状態であるアミノ酸(例えばカルボキシル基が保護されたアミノ酸)とを、ペプチド生成酵素の存在下において反応せしめ、生成したジペプチド又はトリペプチドを精製することによって生産することもできる。ペプチド生成酵素としては、例えば、ペプチドを生成する能力を有する微生物の培養物、該培養物より分離した微生物菌体、該微生物の菌体処理物、又は、該微生物に由来するペプチド生成酵素が挙げられる。
【0025】
また、本発明に用いられるペプチド及びアミノ酸は、例えば、特許第4798293号公報、特開2011−115186号公報等に記載のスクリーニング方法を利用して得ることもできる。
【0026】
本発明に用いられるペプチド及びアミノ酸は塩の形態をも包含する。本発明に用いられるペプチド及びアミノ酸が塩の形態である場合、その塩は薬理学的に許容されるものであればよく、例えば、カルボキシル基等の酸性基に対しては、アンモニウム塩;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩;アルミニウム塩;亜鉛塩;トリエチルアミン、エタノールアミン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ジシクロへキシルアミン等の有機アミンとの塩;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸との塩等を挙げることができる。また、塩基性基に対しては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸などの無機酸との塩;酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、タンニン酸、酪酸、ヒベンズ酸、パモ酸、エナント酸、デカン酸、テオクル酸、サリチル酸、乳酸、シュウ酸、マンデル酸、リンゴ酸等の有機カルボン酸との塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸との塩等を挙げることができる。
【0027】
本発明の組成物に用いられるコク味付与物質は、γ−Glu−Val−Gly、γ−Glu−Cys−Gly(グルタチオン)、γ−Glu−N−Val又はγ−Glu−N−Val−Glyが好ましく、γ−Glu−Val−Gly又はグルタチオンが特に好ましい。γ−Glu−Val−Glyはグルタミン酸(Glu)、バリン(Val)及びグリシン(Gly)の3種類のアミノ酸が結合した既存のペプチドである。具体的には、グルタミン酸のγ位のカルボキシル基にバリンのアミノ基がペプチド結合し、バリンのカルボキシル基にグリシンのアミノ基がペプチド結合しており、グルタミン酸、バリン、グリシンの順に配列したペプチドである。その構造式は、以下の通り示される。なお、本発明において、γ−Glu−Val−Glyには、任意の光学異性体が包含される。
グルタチオンは、グルタミン酸(Glu)、システイン(Cys)及びグリシン(Gly)の3種類のアミノ酸が結合した既存のペプチドである。具体的には、グルタミン酸のγ位のカルボキシル基にシステインのアミノ基がペプチド結合し、システインのカルボキシル基にグリシンのアミノ基がペプチド結合しており、グルタミン酸、システイン、グリシンの順に配列したペプチドである。なお、本発明において、グルタチオンには、任意の光学異性体が包含される。
【0028】
【化2】
【0029】
γ−Glu−Val−Gly及びグルタチオンは既知のペプチドであり、例えば、(1)化学的に合成する方法、又は(2)酵素的な反応により合成する方法等の公知の手法を適宜用いることによって取得することができる。また、γ−Glu−Val−Glyは国際公開第2007/055393号パンフレットに記載の方法に準じて製造することもできる。また、γ−Glu−N−Valは国際公開第2011/081185号パンフレット、γ−Glu−N−Val−Glyは国際公開第2011/081186号パンフレットに記載の方法に準じて製造することもできる。
【0030】
γ−Glu−Val−Gly及びグルタチオンは塩の形態であってもよい。γ−Glu−Val−Gly及びグルタチオンの塩としては、可食性の塩、又は薬理学的に許容される塩であれば特に限定されないが、例えば、カルボキシル基等の酸性基に対しては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;アルミニウム塩;亜鉛塩;トリエチルアミン、エタノールアミン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ジシクロヘキシルアミン等の有機アミンとの塩;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸との塩を挙げることができる。また、アミノ基等の塩基性基に対しては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸等の無機酸との塩;酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、タンニン酸、酪酸、ヒベンズ酸、パモ酸、エナント酸、デカン酸、デオクル酸、サリチル酸、乳酸、シュウ酸、マンデル酸、リンゴ酸等の有機カルボン酸との塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸との塩を挙げることができる。
【0031】
本発明の組成物に用いられるコク味付与物質として、酵母エキスや家畜家禽肉エキスなどのエキス類、発酵調味料、魚醤、たん白酵素分解物やアミノ酸液などのたん白加水分解物等も用いることができる。本明細書中、「家畜家禽肉」とは、家畜肉(例、牛肉、豚肉、馬肉、鹿肉、羊肉及び山羊肉等)及び家禽肉(例、鶏肉、鴨肉、ダチョウ肉、アヒル肉、スズメ肉等)を含むものを意味する。
【0032】
本発明の組成物は、コク味付与物質の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上(好ましくは0.005重量ppm以上、より好ましくは0.01重量ppm以上、さらに好ましくは0.1重量ppm以上、特に好ましくは2重量ppm以上)、且つ、99.9重量%以下(好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下)となるように飲食品に添加するためのものであることが好ましい。
本明細書において、「飲食品に対する添加濃度」とは、飲食品の全重量に対する、該飲食品に添加される物(例えば、コク味付与物質、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オン、本発明の組成物等)の重量の割合をいう。尚、飲食品が、飲食品に添加される物と同様のものを添加前から予め含有する場合、該飲食品が予め含有するものの重量は、飲食品に添加される物の重量に含めない。
【0033】
本発明の組成物における、コク味付与物質の含有量は、コク味付与物質の飲食品に対する添加濃度が上記の範囲内となるように適宜設定すればよいが、通常0.001重量ppm以上(好ましくは0.005重量ppm以上、より好ましくは0.01重量ppm以上、さらに好ましくは0.1重量ppm以上、特に好ましくは1重量ppm以上)、且つ、99.9重量%以下(好ましくは50重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下)である。
本明細書において、「本発明の組成物における、コク味付与物質の含有量」とは、本発明の組成物の全重量(コク味付与物質の重量も含む)に対する、本発明の組成物に含まれるコク味付与物質の重量の割合をいう。尚、本明細書の他の部分に記載される「含有量」も、これに準じた方法で算出される。
【0034】
(1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オン)
1−オクテン−3−オル及び1−オクテン−3−オンは、いずれか一方を用いてもよいし、両方を併用してもよいが、より自然な香気及び/又は風味を付与し得る点で、1−オクテン−3−オルが好ましく用いられる。
【0035】
1−オクテン−3−オルには、立体異性体である(R)(−)−体と(S)(+)−体及びラセミ体が存在し、これらの少なくとも1種を用いることができるが、(R)(−)−体、ラセミ体を用いることが好ましく、ラセミ体を用いることが特に好ましい。
【0036】
本発明の組成物は、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上(好ましくは0.0003重量ppm以上、より好ましくは0.0015重量ppm以上、特に好ましくは0.003重量ppm以上)、且つ、0.91重量ppm以下(好ましくは0.02重量ppm以下、より好ましくは0.015重量ppm以下、特に好ましくは0.01重量ppm以下)となるように飲食品に添加するためのものであることが好ましい。
【0037】
本発明の組成物における、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの含有量は、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が上記の範囲内となるように適宜設定すればよいが、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの含有量は、通常0.000005重量ppm〜99.9重量%(好ましくは0.00032重量ppm〜31重量%、より好ましくは0.0016重量ppm〜21重量%、特に好ましくは0.0032重量ppm〜15重量%)である。
【0038】
本発明の組成物の飲食品に対する添加濃度は、コク味付与物質、並びに、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が上記の範囲内となるように適宜設定すればよいが、通常0.000001重量ppm〜99.9重量%(好ましくは0.005重量ppm〜31重量%、より好ましくは0.01重量ppm〜21重量%、特に好ましくは0.1重量ppm〜15重量%)である。
【0039】
本発明の組成物は、コク味付与物質並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸からなる群より選択される少なくとも1種以上を更に含有してもよい。例えば、本発明の組成物は、コク味付与物質並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類及びメチオナールを更に含有してもよく、オクタン酸及びデカン酸を更に含有してもよく、或いは、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸を更に含有してもよい。
【0040】
(低級脂肪酸類)
低級脂肪酸類としては、炭素数3〜7(好ましくは、4〜6)の飽和又は不飽和のモノカルボン酸が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよく、例えば、イソ吉草酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸等が挙げられるが、イソ吉草酸及び吉草酸が好ましく、特にイソ吉草酸が好ましい。
【0041】
本発明の組成物は、コク味付与物質(好ましくはγ−Glu−Val−Gly、グルタチオン、γ−Glu−N−Val又はγ−Glu−N−Val−Gly、特に好ましくはγ−Glu−Val−Gly又はグルタチオン)、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類(好ましくはイソ吉草酸又は吉草酸、特に好ましくはイソ吉草酸)及びメチオナールを更に含有することにより、より一層好ましいトップの香気及び/又は風味を飲食品に付与することができる。
【0042】
本発明の組成物は、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類及びメチオナールを更に含有するとき、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上(好ましくは0.0003重量ppm以上、より好ましくは0.0015重量ppm以上、特に好ましくは0.003重量ppm以上)、且つ、0.91重量ppm以下(好ましくは0.02重量ppm以下、より好ましくは0.015重量ppm以下、特に好ましくは0.01重量ppm以下)となり、低級脂肪酸類の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上(好ましくは0.006重量ppm以上、より好ましくは0.03重量ppm以上、特に好ましくは0.06重量ppm以上)、且つ、19.3重量ppm以下(好ましくは0.4重量ppm以下、より好ましくは0.3重量ppm以下、特に好ましくは0.25重量ppm以下)となり、且つ、メチオナールの飲食品に対する添加濃度が0.00001重量ppm以上(好ましくは2重量ppm以上、より好ましくは10.5重量ppm以上、特に好ましくは20重量ppm以上)、且つ、150重量ppm以下(好ましくは120重量ppm以下、より好ましくは95重量ppm以下、特に好ましくは70重量ppm以下)となるように飲食品に添加するためのものであることが好ましい。
【0043】
本発明の組成物が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類及びメチオナールを更に含有するとき、本発明の組成物における1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オン、低級脂肪酸類、並びにメチオナールの含有量は、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オン、低級脂肪酸類、並びにメチオナールの飲食品に対する添加濃度が、それぞれ上記の範囲内となるように適宜設定すればよいが、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの含有量は、通常0.000005重量ppm〜99.9重量%(好ましくは0.00032重量ppm〜31重量%、より好ましくは0.0016重量ppm〜21重量%、特に好ましくは0.0032重量ppm〜15重量%)であり、低級脂肪酸類の含有量は、通常0.001重量ppm〜99.9重量%(好ましくは0.0068重量ppm〜31重量%、より好ましくは0.034重量ppm〜21重量%、特に好ましくは0.068重量ppm〜15重量%)であり、メチオナールの含有量は、通常0.00001重量ppm〜99.9重量%(好ましくは10重量ppm〜31重量%、より好ましくは10.5重量ppm〜21重量%、特に好ましくは20重量ppm〜15重量%)である。
【0044】
本発明の組成物が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類及びメチオナールを更に含有するとき、本発明の組成物の飲食品に対する添加濃度は、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オン、低級脂肪酸類、並びにメチオナールの飲食品に対する添加濃度が上記の範囲内となるように適宜設定すればよいが、通常0.006重量ppm〜99.9重量%(好ましくは10重量ppm〜31重量%、より好ましくは11重量ppm〜21重量%、特に好ましくは21重量ppm〜15重量%)である。
【0045】
本発明の組成物は、コク味付与物質(好ましくはγ−Glu−Val−Gly、グルタチオン、γ−Glu−N−Val又はγ−Glu−N−Val−Gly、特に好ましくはγ−Glu−Val−Gly又はグルタチオン)並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、オクタン酸及びデカン酸を更に含有することにより、より一層好ましいラストの香気及び/又は風味を飲食品に付与することができる。
【0046】
本発明の組成物は、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、オクタン酸及びデカン酸を更に含有するとき、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上(好ましくは0.0001重量ppm以上、より好ましくは0.0007重量ppm以上、特に好ましくは0.001重量ppm以上)、且つ、0.91重量ppm以下(好ましくは0.005重量ppm以下、より好ましくは0.003重量ppm以下、特に好ましくは0.0015重量ppm以下)となり、オクタン酸の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上(好ましくは0.02重量ppm以上、より好ましくは0.1重量ppm以上特に好ましくは0.15重量ppm以上)、且つ、130重量ppm以下(好ましくは0.7重量ppm以下、より好ましくは0.5重量ppm以下、特に好ましくは0.3重量ppm以下)となり、且つ、デカン酸の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上(好ましくは0.06重量ppm以上、より好ましくは0.3重量ppm以上、特に好ましくは0.4重量ppm以上)、且つ、390重量ppm以下(好ましくは2重量ppm以下、より好ましくは1.5重量ppm以下、特に好ましくは0.7重量ppm以下)となるように飲食品に添加するためのものであることが好ましい。
【0047】
本発明の組成物が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、オクタン酸及びデカン酸を更に含有するとき、本発明の組成物における1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オン、オクタン酸、並びにデカン酸の含有量は、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オン、オクタン酸、並びにデカン酸の飲食品に対する添加濃度が、それぞれ上記の範囲内となるように適宜設定すればよいが、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの含有量は、通常0.000005重量ppm〜99.9重量%(好ましくは0.00032重量ppm〜31重量%、より好ましくは0.0016重量ppm〜21重量%、特に好ましくは0.0032重量ppm〜15重量%)であり、オクタン酸の含有量は、通常0.001重量ppm〜99.9重量%(好ましくは0.02重量ppm〜31重量%、より好ましくは0.1重量ppm〜21重量%、特に好ましくは0.15重量ppm〜15重量%)であり、デカン酸の含有量は、0.001重量ppm〜99.9重量%(好ましくは0.06重量ppm〜31重量%、より好ましくは0.3重量ppm〜21重量%、特に好ましくは0.4重量ppm〜15重量%)である。
【0048】
本発明の組成物が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、オクタン酸及びデカン酸を更に含有するとき、本発明の組成物の飲食品に対する添加濃度は、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オン、オクタン酸、並びにデカン酸の飲食品に対する添加濃度が上記の範囲内となるように適宜設定すればよいが、通常0.007重量ppm〜99.9重量%(好ましくは0.09重量ppm〜31重量%、より好ましくは0.5重量ppm〜21重量%、特に好ましくは1.5重量ppm〜15重量%)である。
【0049】
本発明の組成物は、コク味付与物質(好ましくはγ−Glu−Val−Gly、グルタチオン、γ−Glu−N−Val又はγ−Glu−N−Val−Gly、特に好ましくはγ−Glu−Val−Gly又はグルタチオン)、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類(好ましくはイソ吉草酸又は吉草酸、特に好ましくはイソ吉草酸)、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸を更に含有することにより、より一層好ましいトップの香気及び/又は風味、並びに、より一層好ましいラストの香気及び/又は風味を飲食品に付与することができる。
【0050】
本発明の組成物は、コク味付与物質並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸を更に含有するとき、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上(好ましくは0.0003重量ppm以上、より好ましくは0.0015重量ppm以上、特に好ましくは0.003重量ppm以上)、且つ、0.91重量ppm以下(好ましくは0.01重量ppm以下、より好ましくは0.007重量ppm以下、特に好ましくは0.005重量ppm以下)となり、低級脂肪酸類の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上(好ましくは0.006重量ppm以上、より好ましくは0.03重量ppm以上、特に好ましくは0.05重量ppm以上)、且つ、19.3重量ppm以下(好ましくは0.25重量ppm以下、より好ましくは0.15重量ppm以下、特に好ましくは0.08重量ppm以下)となり、且つ、メチオナールの飲食品に対する添加濃度が0.00001重量ppm以上(好ましくは2重量ppm以上、より好ましくは10.5重量ppm以上、特に好ましくは20重量ppm以上)、且つ、150重量ppm以下(好ましくは70重量ppm以下、より好ましくは50重量ppm以下、特に好ましくは30重量ppm以下)、オクタン酸の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上(好ましくは0.02重量ppm以上、より好ましくは0.1重量ppm以上、特に好ましくは0.15重量ppm以上)、且つ、130重量ppm以下(好ましくは0.7重量ppm以下、より好ましくは0.5重量ppm以下、特に好ましくは0.3重量ppm以下)となり、且つ、デカン酸の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上(好ましくは0.06重量ppm以上、より好ましくは0.3重量ppm以上、特に好ましくは0.5重量ppm以上)、且つ、390重量ppm以下(好ましくは2重量ppm以下、より好ましくは1.5重量ppm以下、特に好ましくは0.7重量ppm以下)となるように飲食品に添加するためのものであることが好ましい。
【0051】
本発明の組成物が、コク味付与物質並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸を更に含有するとき、本発明の組成物における、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オン、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸、並びに、デカン酸の含有量は、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オン、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸、並びにデカン酸の飲食品に対する添加濃度が、それぞれ上記の範囲内となるように適宜設定すればよいが、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの含有量は、通常0.000005重量ppm〜99.9重量%(好ましくは0.00032重量ppm〜31重量%、より好ましくは0.0016重量ppm〜21重量%、特に好ましくは0.0032重量ppm〜15重量%)であり、低級脂肪酸類の含有量は、通常0.001重量ppm〜99.9重量%(好ましくは0.0068重量ppm〜31重量%、より好ましくは0.034重量ppm〜21重量%、特に好ましくは0.068重量ppm〜15重量%)であり、メチオナールの含有量は、通常0.00001重量ppm〜99.9重量%(好ましくは10重量ppm〜31重量%、より好ましくは10.5重量ppm〜21重量%、特に好ましくは20重量ppm〜15重量%)であり、オクタン酸の含有量は、通常0.001重量ppm〜99.9重量%(好ましくは0.02重量ppm〜31重量%、より好ましくは0.1重量ppm〜21重量%、特に好ましくは0.15重量ppm〜15重量%)であり、デカン酸の含有量は、0.001重量ppm〜99.9重量%(好ましくは0.06重量ppm〜31重量%、より好ましくは0.3重量ppm〜21重量%、特に好ましくは0.4重量ppm〜15重量%)である。
【0052】
本発明の組成物が、コク味付与物質並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸を更に含有するとき、本発明の組成物の飲食品に対する添加濃度は、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オン、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸、並びにデカン酸の飲食品に対する添加濃度が上記の範囲内となるように適宜設定すればよいが、通常0.008重量ppm〜99.9重量%(好ましくは10重量ppm〜31重量%、より好ましくは11重量ppm〜21重量%、特に好ましくは21重量ppm〜15重量%)である。
【0053】
本発明の組成物は、本発明の目的を損なわない限りにおいて、上記した以外の他の成分を含有してもよい。当該他の成分としては、例えば、香料、糖類、甘味料、食物繊維類、ビタミン類、グルタミン酸ナトリウム(MSG)などのアミノ酸類、イノシン一リン酸(IMP)などの核酸類、塩化ナトリウムなどの無機塩類、クエン酸などの有機酸類、クレアチン、クレアチニン、マルトール、ジメチルトリスルフィド、シネオール等が挙げられる。
【0054】
本発明の組成物の各成分は、飲食品に使用できるものであれば、例えば、合成品、抽出品等であってよく、各成分を高含有する食品素材を用いてもよい。
【0055】
本発明の組成物の形態は、特に制限されないが、例えば、固体状(粉末状、顆粒状等を含む)、液体状(スラリー状等を含む)、ゲル状、ペースト状等が挙げられる。
【0056】
本発明の組成物は、さらに食品原料(アミノ酸系うま味調味料(例、グルタミン酸ナトリウム等);核酸系うま味調味料(例、イノシン酸ナトリウム等);食品添加物(例、クエン酸等);アミノ酸(例、グリシン、アラニン等);たん白加水分解物;家畜家禽肉、魚介、野菜、酵母由来のエキス(例、チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス、酵母エキス等);アミノ酸と糖の加熱褐変反応(アミノカルボニル反応またはメイラード反応)を利用した加工食品;生肉を原料に使用した加工食品;酵素等で分解した加工食品;コク味を付与する機能を持つペプチド類等を配合した加工食品等)を1種以上(好ましくは1種類〜100種類)混合することにより、天然系調味料又は風味調味料として調製してもよい。本明細書中、「天然系調味料」とは、アミノ酸系うま味調味料(例、グルタミン酸ナトリウム等);核酸系うま味調味料(例、イノシン酸ナトリウム等);食品添加物(例、クエン酸等);アミノ酸(例、グリシン、アラニン等);たん白加水分解物;家畜家禽肉、魚介、野菜、酵母由来のエキス(例、チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス、酵母エキス等);アミノ酸と糖の加熱褐変反応(アミノカルボニル反応またはメイラード反応)を利用した加工食品;生肉を原料に使用した加工食品;酵素等で分解した加工食品;コク味を付与する機能を持つペプチド類等を配合した加工食品等の食品原料を1種以上(好ましくは1種類〜100種類)含有してなる調味料である。天然系調味料の形態としては、例えば、液状、ペースト状、粉末状、顆粒状等が挙げられる。また、「風味調味料」とは、天然系調味料に砂糖類、食塩等を加えた調味料であり、飲食品に風味原料の香気、風味及び味を付与するために用いられる。風味調味料の形態としては、例えば、液状、ペースト状、粉末状、顆粒状等が挙げられる。
【0057】
本発明の組成物を天然系調味料として調製するとき、天然系調味料中の1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの含有量は、通常0.01重量ppm〜0.182重量%(好ましくは0.1重量ppm〜0.1重量%、より好ましくは1重量ppm〜100重量ppm、特に好ましくは2重量ppm〜20重量ppm)である。
本発明の組成物が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類及びメチオナールを更に添加されてなるものである場合、天然系調味料中の1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの含有量は、通常0.01重量ppm〜0.182重量%(好ましくは0.6重量ppm〜40重量ppm、より好ましくは3重量ppm〜30重量ppm、特に好ましくは6重量ppm〜20重量ppm)であり、低級脂肪酸類の含有量は、通常2重量ppm〜3.86重量%(好ましくは12重量ppm〜800重量ppm、より好ましくは60重量ppm〜600重量ppm、特に好ましくは120重量ppm〜500重量ppm)であり、メチオナール含有量は、通常0.02重量ppm〜30重量%(好ましくは0.4重量%〜24重量%、より好ましくは2.1重量%〜19重量%、特に好ましくは4重量%〜14重量%)である。
本発明の組成物が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、オクタン酸及びデカン酸を更に添加されてなるものである場合、天然系調味料中の1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの含有量は、通常0.01重量ppm〜0.182重量%(好ましくは0.2重量ppm〜10重量ppm、より好ましくは1.4重量ppm〜6重量ppm、特に好ましくは2重量ppm〜3重量ppm)であり、オクタン酸の含有量は、通常2重量ppm〜26重量%(好ましくは40重量ppm〜0.14重量%、より好ましくは200重量ppm〜0.1重量%、特に好ましくは300重量ppm〜600重量ppm)であり、デカン酸の含有量は、通常2重量ppm〜78重量%(好ましくは120重量ppm〜0.4重量%、より好ましくは600重量ppm〜0.3重量%、特に好ましくは800重量ppm〜0.14重量%)である。
本発明の組成物が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸を更に添加されてなるものである場合、天然系調味料中の1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの含有量は、通常0.01重量ppm〜0.182重量%(好ましくは0.6重量ppm〜20重量ppm、より好ましくは3重量ppm〜14重量ppm、特に好ましくは6重量ppm〜10重量ppm)であり、低級脂肪酸類の含有量は、通常2重量ppm〜3.86重量%(好ましくは12重量ppm〜500重量ppm、より好ましくは60重量ppm〜300重量ppm、特に好ましくは100重量ppm〜160重量ppm)であり、メチオナール含有量は、通常0.02重量ppm〜30重量%(好ましくは0.4重量%〜14重量%、より好ましくは2.1重量%〜10重量%、特に好ましくは4重量%〜6重量%)であり、オクタン酸の含有量は、通常2重量ppm〜26重量%(好ましくは40重量ppm〜0.14重量%、より好ましくは200重量ppm〜0.1重量%、特に好ましくは300重量ppm〜600重量ppm)であり、デカン酸の含有量は、通常2重量ppm〜78重量%(好ましくは120重量ppm〜0.4重量%、より好ましくは600重量ppm〜0.3重量%、特に好ましくは0.1重量%〜0.14重量%)である。
【0058】
本発明の組成物を風味調味料として調製するとき、風味調味料中の1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの含有量は、通常0.00033重量ppm〜60.67重量ppm(好ましくは0.0033重量ppm〜33.33重量ppm、より好ましくは0.033重量ppm〜3.33重量ppm、特に好ましくは0.067重量ppm〜0.33重量ppm)である。
本発明の組成物が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類及びメチオナールを更に添加されてなるものである場合、風味調味料中の1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの含有量は、通常0.00033重量ppm〜60.67重量ppm(好ましくは0.02重量ppm〜1.33重量ppm、より好ましくは0.1重量ppm〜1重量ppm、特に好ましくは0.2重量ppm〜0.67重量ppm)であり、低級脂肪酸類の含有量は、通常0.067重量ppm〜0.13重量%(好ましくは0.4重量ppm〜26.67重量ppm、より好ましくは2重量ppm〜20重量ppm、特に好ましくは4重量ppm〜16.67重量ppm)であり、メチオナール含有量は、通常0.00067重量ppm〜1重量%(好ましくは133.33重量ppm〜0.8重量%、より好ましくは700重量ppm〜0.63重量%、特に好ましくは0.13重量%〜0.47重量%)である。
本発明の組成物が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、オクタン酸及びデカン酸を更に添加されてなるものである場合、風味調味料中の1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの含有量は、通常0.00033重量ppm〜60.67重量%(好ましくは0.0067重量ppm〜0.33重量ppm、より好ましくは0.047重量ppm〜0.2重量ppm、特に好ましくは0.067重量ppm〜0.1重量ppm)であり、オクタン酸の含有量は、通常0.067重量ppm〜0.87重量%(好ましくは1.33重量ppm〜48.67重量ppm、より好ましくは6.67重量ppm〜33.33重量ppm、特に好ましくは10重量ppm〜20重量ppm)であり、デカン酸の含有量は、通常0.067重量ppm〜2.6重量%(好ましくは4重量ppm〜133.33重量ppm、より好ましくは20重量ppm〜100重量ppm、特に好ましくは26.67重量ppm〜48.67重量ppm)である。
本発明の組成物が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸を更に添加されてなるものである場合、風味調味料中の1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの含有量は、通常0.00033重量ppm〜60.67重量%(好ましくは0.02重量ppm〜0.67重量ppm、より好ましくは0.1重量ppm〜0.47重量ppm、特に好ましくは0.2重量ppm〜0.33重量ppm)であり、低級脂肪酸類の含有量は、通常0.067重量ppm〜0.13重量%(好ましくは0.4重量ppm〜16.67重量ppm、より好ましくは2重量ppm〜10重量ppm、特に好ましくは3.33重量ppm〜5.33重量ppm)であり、メチオナール含有量は、通常0.00067重量ppm〜1重量%(好ましくは133.33重量ppm〜0.47重量%、より好ましくは700重量ppm〜0.33重量%、特に好ましくは0.13重量%〜0.2重量%)であり、オクタン酸の含有量は、通常0.067重量ppm〜0.87重量%(好ましくは1.33重量ppm〜46.67重量ppm、より好ましくは6.67重量ppm〜33.33重量ppm、特に好ましくは10重量ppm〜20重量ppm)であり、デカン酸の含有量は、通常0.067重量ppm〜2.6重量%(好ましくは4重量ppm〜133.33重量ppm、より好ましくは20重量ppm〜100重量ppm、特に好ましくは33.33重量ppm〜46.67重量ppm)である。
【0059】
本発明の組成物を天然系調味料として調製するとき、当該天然系調味料の飲食品に対する添加濃度は、通常0.0001〜1重量%(好ましくは0.0005〜0.5重量%、より好ましくは0.01〜0.1重量%)である。
また、本発明の組成物を風味調味料として調製するとき、当該風味調味料の飲食品に対する添加濃度は、通常0.01〜20重量%(好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%)である。
【0060】
本発明の組成物の製造は、既知の手法により行い得る。例えば、原料を自体公知の方法を用いて混合することにより製造することができる。
【0061】
本発明の組成物が添加される飲食品は特に制限されないが、例えば、チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス、かつお節等の家畜家禽肉又は魚介由来の飲食品素材;チキンコンソメ、丸鶏ガラスープ、豚骨スープ、オイスターソース、ロブスタービスク、カニカマ、ハム、ソーセージ等の家畜家禽肉又は魚介由来の飲食品素材(肉、骨等を含む)を原料として加工される飲食品;生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、クリーム、生クリーム、バター、バターオイル、チーズ(例、ナチユラルチーズ、プロセスチーズ、カッテージチーズ等)、濃縮ホエイ、アイスクリーム類(例、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス等)、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、たんぱく質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、ホワイトソース、ヨーグルト等の乳及び乳製品;醤油(例、濃口醤油、淡口醤油、たまり醤油、再仕込醤油、白醤油、魚醤、めんつゆ、鍋用つゆ等)、味噌(例、赤味噌、白味噌、仙台味噌、八丁味噌、麦味噌、米味噌、味噌汁、テンメンジャン、コチュジャン等)、ソース(例、ウスターソース、デミグラスソース、トマトソース等)、ドレッシング(例、フレンチドレッシング、イタリアンドレッシング、シーザードレッシング等)、風味調味料(例、チキン風味調味料、ポーク風味調味料、ビーフ風味調味料等)等の調味料;ガーリック、オニオン、生姜、ねぎ、ニラ、セリ、茗荷、セロリ、しそ、みつば、わさび等の香味野菜及び香味野菜を原料として加工される飲食品(例、スープ等);マッシュルームスープ、コーンスープ、卵スープ、カレー、シチュー、コーヒー(例、ミルクコーヒー、ドリップコーヒー等)等が挙げられる。尚、「家畜家禽肉又は魚介由来の飲食品素材を原料として加工される飲食品」の「加工」とは、製造、調理等を含む概念である。
【0062】
本発明の組成物が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類及びメチオナールを更に含有するとき、本発明の組成物が添加される飲食品としては、チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス、かつお節等の家畜家禽肉又は魚介由来の飲食品素材;チキンコンソメ、丸鶏ガラスープ、豚骨スープ、オイスターソース、ロブスタービスク、カニカマ、ハム、ソーセージ等の家畜家禽肉又は魚介由来の飲食品素材(肉、骨等を含む)を原料として加工される飲食品;醤油(例、濃口醤油、淡口醤油、たまり醤油、再仕込醤油、白醤油、魚醤、めんつゆ、鍋用つゆ等)、味噌(例、赤味噌、白味噌、仙台味噌、八丁味噌、麦味噌、米味噌、味噌汁、テンメンジャン、コチュジャン等)、ソース(例、ウスターソース、デミグラスソース、トマトソース等)、ドレッシング(例、フレンチドレッシング、イタリアンドレッシング、シーザードレッシング等)、風味調味料(例、チキン風味調味料、ポーク風味調味料、ビーフ風味調味料等)等の調味料;ガーリック、オニオン、生姜、ねぎ、ニラ、セリ、茗荷、セロリ、しそ、みつば、わさび等の香味野菜及び香味野菜を原料として加工される飲食品(例、スープ等);マッシュルームスープ、コーンスープ、卵スープ、カレー、シチュー等が好ましい。
【0063】
本発明の組成物が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、オクタン酸及びデカン酸を更に含有するとき、本発明の組成物が添加される飲食品としては、チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス、かつお節等の家畜家禽肉又は魚介由来の飲食品素材;チキンコンソメ、丸鶏ガラスープ、豚骨スープ、ハム、ソーセージ等の家畜家禽肉由来の飲食品素材(肉、骨等を含む)を原料として加工される飲食品;生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、クリーム、生クリーム、バター、バターオイル、チーズ(例、ナチユラルチーズ、プロセスチーズ、カッテージチーズ等)、濃縮ホエイ、アイスクリーム類(例、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス等)、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、たんぱく質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、ホワイトソース、ヨーグルト等の乳及び乳製品、風味調味料(例、チキン風味調味料、ポーク風味調味料、ビーフ風味調味料等)等の調味料;ガーリック、オニオン、生姜、ねぎ、ニラ、セリ、茗荷、セロリ、しそ、みつば、わさび等の香味野菜及び香味野菜を原料として加工される飲食品(例、スープ等);マッシュルームスープ、コーンスープ、卵スープ、カレー、シチュー、コーヒー(例、ミルクコーヒー、ドリップコーヒー等)等が好ましい。
【0064】
本発明の組成物が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸を更に含有するとき、本発明の組成物が添加される飲食品としては、チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス、かつお節等の家畜家禽肉又は魚介由来の飲食品素材;チキンコンソメ、丸鶏ガラスープ、豚骨スープ、オイスターソース、ロブスタービスク、カニカマ、ハム、ソーセージ等の家畜家禽肉又は魚介由来の飲食品素材(肉、骨等を含む)を原料として加工される飲食品、風味調味料(例、チキン風味調味料、ポーク風味調味料、ビーフ風味調味料等)等の調味料;ガーリック、オニオン、生姜、ねぎ、ニラ、セリ、茗荷、セロリ、しそ、みつば、わさび等の香味野菜及び香味野菜を原料として加工される飲食品(例、スープ等);マッシュルームスープ、コーンスープ、卵スープ、カレー、シチュー等が好ましい。
【0065】
本発明の組成物を飲食品に対して添加する時期は特に制限されず、例えば、飲食品を調理、製造する際に他の原料と併せて添加してもよいし、飲食品の完成後に添加してもよいし、飲食品の喫食直前及び/又は喫食中に添加してもよい。
【0066】
[本発明の飲食品]
本発明の飲食品は、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンを添加する工程を含む製造方法により製造されるものである。
【0067】
本発明の飲食品に用いられるコク味付与物質としては、上述の本発明の組成物に用いられるコク味付与物質と同様のものを用いることができ、その好適な態様も本発明の組成物のものと同様である。
【0068】
コク味付与物質の飲食品に対する添加濃度は、0.001重量ppm以上(好ましくは0.005重量ppm以上、より好ましくは0.01重量ppm以上、さらに好ましくは0.1重量ppm以上、特に好ましくは2重量ppm以上)、且つ、99.9重量%以下(好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下)であることが好ましい。
【0069】
本発明の飲食品に用いられる1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンとしては、上述の本発明の組成物に用いられる1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンと同様のものを用いることができ、その好適な態様も本発明の組成物のものと同様である。
【0070】
本発明の飲食品は、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上(好ましくは0.0003重量ppm以上、より好ましくは0.0015重量ppm以上、特に好ましくは0.003重量ppm以上)、且つ、0.91重量ppm以下(好ましくは0.02重量ppm以下、より好ましくは0.015重量ppm以下、特に好ましくは0.01重量ppm以下)であることが好ましい。
【0071】
本発明の飲食品は、コク味付与物質並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンを添加する工程に加え、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸からなる群より選択される少なくとも1種以上を添加する工程を更に含む製造方法により製造されるものであってもよい。例えば、本発明の飲食品は、コク味付与物質並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンを添加する工程に加え、(1)低級脂肪酸類及びメチオナールを添加する工程を更に含む製造方法により製造されるものであってもよく、(2)オクタン酸及びデカン酸を添加する工程を更に含む製造方法により製造されるものであってもよく、或いは、(3)低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸を添加する工程を更に含む製造方法により製造されるものであってもよい。
【0072】
本発明の飲食品に用いられる低級脂肪酸類としては、上述の本発明の組成物に用いられる低級脂肪酸類と同様のものを用いることができ、その好適な態様も本発明の組成物のものと同様である。
【0073】
本発明の飲食品は、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類及びメチオナールを更に添加されてなることにより、より一層好ましいトップの香気及び/又は風味が付与される。
【0074】
本発明の飲食品は、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンを添加する工程に加え、更に、低級脂肪酸類及びメチオナールを添加する工程を含む製造方法により製造されるものであるとき、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上(好ましくは0.0003重量ppm以上、より好ましくは0.0015重量ppm以上、特に好ましくは0.003重量ppm以上)、且つ、0.91重量ppm以下(好ましくは0.02重量ppm以下、より好ましくは0.015重量ppm以下、特に好ましくは0.01重量ppm以下)であり、低級脂肪酸類の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上(好ましくは0.006重量ppm以上、より好ましくは0.03重量ppm以上、特に好ましくは0.06重量ppm以上)、且つ、19.3重量ppm以下(好ましくは0.4重量ppm以下、より好ましくは0.3重量ppm以下、特に好ましくは0.25重量ppm以下)であり、且つ、メチオナールの飲食品に対する添加濃度が0.00001重量ppm以上(好ましくは2重量ppm以上、より好ましくは10.5重量ppm以上、特に好ましくは20重量ppm以上)、且つ、150重量ppm以下(好ましくは120重量ppm以下、より好ましくは95重量ppm以下、特に好ましくは70重量ppm以下)であることが好ましい。
【0075】
本発明の飲食品は、コク味付与物質並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、オクタン酸及びデカン酸を更に添加されてなることにより、より一層好ましいラストの香気及び/又は風味が付与される。
【0076】
本発明の飲食品は、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンを添加する工程に加え、更に、オクタン酸及びデカン酸を添加する工程を含む製造方法により製造されるものであるとき、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.000005重量ppm以上(好ましくは0.0001重量ppm以上、より好ましくは0.0007重量ppm以上、特に好ましくは0.001重量ppm以上)、且つ、0.91重量ppm以下(好ましくは0.005重量ppm以下、より好ましくは0.003重量ppm以下、特に好ましくは0.0015重量ppm以下)であり、オクタン酸の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上(好ましくは0.02重量ppm以上、より好ましくは0.1重量ppm以上、特に好ましくは0.15重量ppm以上)、且つ、130重量ppm以下(好ましくは0.7重量ppm以下、より好ましくは0.5重量ppm以下、特に好ましくは0.3重量ppm以下)であり、且つ、デカン酸の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上(好ましくは0.06重量ppm以上、より好ましくは0.3重量ppm以上、特に好ましくは0.4重量ppm以上)、且つ、390重量ppm以下(好ましくは2重量ppm以下、より好ましくは1.5重量ppm以下、特に好ましくは0.7重量ppm以下)であることが好ましい。
【0077】
本発明の飲食品は、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸を更に添加されてなることにより、より一層好ましいトップの香気及び/又は風味、並びに、より一層好ましいラストの香気及び/又は風味が付与される。
【0078】
本発明の飲食品は、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンを添加する工程に加え、更に、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸を添加する工程を含む製造方法により製造されるものであるとき、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンの飲食品に対する添加濃度が0.00005重量ppm以上(好ましくは0.0003重量ppm以上、より好ましくは0.0015重量ppm以上、特に好ましくは0.003重量ppm以上)、且つ、0.91重量ppm以下(好ましくは0.01重量ppm以下、より好ましくは0.007重量ppm以下、特に好ましくは0.005重量ppm以下)であり、低級脂肪酸類の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上(好ましくは0.006重量ppm以上、より好ましくは0.03重量ppm以上、特に好ましくは0.05重量ppm以上)、且つ、19.3重量ppm以下(好ましくは0.25重量ppm以下、より好ましくは0.15重量ppm以下、特に好ましくは0.08重量ppm以下)であり、メチオナールの飲食品に対する添加濃度が0.00001重量ppm以上(好ましくは2重量ppm以上、より好ましくは10.5重量ppm以上、特に好ましくは20重量ppm以上)、且つ、150重量ppm以下(好ましくは70重量ppm以下、より好ましくは50重量ppm以下、特に好ましくは30重量ppm以下)、オクタン酸の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上(好ましくは0.02重量ppm以上、より好ましくは0.1重量ppm以上、特に好ましくは0.15重量ppm以上)、且つ、130重量ppm以下(好ましくは0.7重量ppm以下、より好ましくは0.5重量ppm以下、特に好ましくは0.3重量ppm以下)であり、且つ、デカン酸の飲食品に対する添加濃度が0.001重量ppm以上(好ましくは0.06重量ppm以上、より好ましくは0.3重量ppm以上、特に好ましくは0.5重量ppm以上)、且つ、390重量ppm以下(好ましくは2重量ppm以下、より好ましくは1.5重量ppm以下、特に好ましくは0.7重量ppm以下)であることが好ましい。
【0079】
本発明の飲食品は、本発明の目的を損なわない限りにおいて、上記した以外の他の成分を添加してなるものであってもよい。当該他の成分としては、例えば、香料、糖類、甘味料、食物繊維類、ビタミン類、グルタミン酸ナトリウム(MSG)などのアミノ酸類、イノシン一リン酸(IMP)などの核酸類、塩化ナトリウムなどの無機塩類、クエン酸などの有機酸類、クレアチン、クレアチニン、マルトール、ジメチルトリスルフィド、シネオール等が挙げられる。
【0080】
本発明の飲食品に添加される各成分は、飲食品に使用できるものであれば、例えば、合成品、抽出品等であってよく、各成分を高含有する食品素材を用いてもよい。
【0081】
本発明の飲食品は特に制限されないが、例えば、前掲の本発明の組成物が添加される飲食品と同様のものが挙げられる。
【0082】
本発明の飲食品が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンを添加する工程に加え、更に、低級脂肪酸類及びメチオナールを添加する工程を含む製造方法により製造されるものであるとき、本発明の飲食品としては、前掲の本発明の組成物が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類及びメチオナールを更に含有するときに本発明の組成物が好ましく添加される飲食品と同様のものが挙げられる。
【0083】
本発明の飲食品が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンを添加する工程に加え、更に、オクタン酸及びデカン酸を添加する工程を含む製造方法により製造されるものであるとき、本発明の飲食品としては、前掲の本発明の組成物が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、オクタン酸及びデカン酸を更に含有するときに本発明の組成物が好ましく添加される飲食品と同様のものが挙げられる。
【0084】
本発明の飲食品が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンを添加する工程に加え、更に、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸を添加する工程を含む製造方法により製造されるものであるとき、本発明の飲食品としては、前掲の本発明の組成物が、コク味付与物質、並びに1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンに加え、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸を更に含有するときに本発明の組成物が好ましく添加される飲食品と同様のものがあげられる。
【0085】
本発明の飲食品は、コク味付与物質、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オンを添加する工程、並びに、所望により低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸からなる群より選択される少なくとも1種以上を添加する工程を含む以外は、公知の飲食品と同様の原料を用い、公知の製造方法によって製造することができる。
【0086】
コク味付与物質、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オン、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸並びにデカン酸を飲食品に添加する方法は特に制限されず、例えば、それぞれの化合物を別個に添加してもよいし、コク味付与物質、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オン、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸並びにデカン酸の少なくとも1種を含有する食品素材を添加してもよい。あるいは、前掲の本発明の組成物を調製し、これを飲食品に添加してもよい。
【0087】
本発明の飲食品に、コク味付与物質、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オン、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸並びにデカン酸の各化合物、あるいはこれらを含有する食品素材を添加する際の形態は特に制限されず、例えば、乾燥粉末、ペースト、溶液等が挙げられる。
【0088】
本発明の飲食品に対して、コク味付与物質、1−オクテン−3−オル及び/又は1−オクテン−3−オン、低級脂肪酸類、メチオナール、オクタン酸並びにデカン酸を添加する時期は特に制限されず、例えば、飲食品を調理、製造する際に他の原料と併せて添加してもよいし、飲食品の完成後に添加してもよいし、飲食品の喫食直前及び/又は喫食中に添加してもよい。
【0089】
以下、本発明について実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
【実施例】
【0090】
実施例1〜39で使用したコク味付与物質は、γ−Glu−Val−Gly(味の素株式会社製)である。
実施例40〜68で使用したコク味付与物質は、グルタチオン(興人社製)である。 実施例69〜76で使用したコク味付与物質は、γ−Glu−N−Val−Gly(味の素株式会社製)である。

実施例77〜84で使用したコク味付与物質は、γ−Glu−N−Val(味の素株式会社製)である。
また、実施例で使用した1−オクテン−3−オル、1−オクテン−3−オン、イソ吉草酸、メチオナール、オクタン酸並びにデカン酸は、いずれもシグマアルドリッチジャパン(株)製である。1−オクテン−3−オルは、ラセミ体を用いた。
【0091】
実施例で使用した飲食品を表1−1、表1−2及び表1−3に示す。
【0092】
【表1-1】
【0093】
【表1-2】
【0094】
【表1-3】
【0095】
表1−1、表1−2及び表1−3に示す飲食品のうち、風味調味料(チキン風味調味料、ポーク風味調味料、ビーフ風味調味料)は、それぞれ下表2〜4に示す通り配合した後、熱水を加えて1.5重量%熱水水溶液として調製した。
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
表1−1、表1−2及び表1−3に示す飲食品のうち、風味調味料以外は、市販品をそのまま使用するか、又は商品パッケージ等に記載された所定の調製方法に従って調製した。
【0100】
(実施例1〜4の調製)
表1−1、表1−2及び表1−3に示す飲食品の一部をそれぞれ100mlずつ計量し、計量した各飲食品にコク味付与物質、1−オクテン−3−オル又は1−オクテン−3−オンを、表5に示す添加濃度となるように添加した。
【0101】
【表5】
【0102】
(実施例1〜4の評価)
評価は、2〜6名の専門パネルが各飲食品を食し、コントロールと比較して下記の基準に従って行った。コントロールには、コク味付与物質のみを添加した各飲食品を用いた。また、下記基準の「期待される効果」とは、トップの香気及び/又は風味、並びにラストの香気及び/又は風味が付与され、かつ、これらの香気及び/又は風味が付与されることによって、飲食品の品質が向上することである。
[評価基準]
×:コントロールに比べ、香気及び/又は風味の品質が低下した。
−:コントロールとほぼ同じ(期待される効果なし)。
△:期待される効果が弱い。
○:期待される効果が高い。
◎:期待される効果が非常に高い。
【0103】
結果を表6に示す。
【0104】
【表6】
【0105】
実施例1〜4のいずれにおいても、添加した全ての飲食品に対しトップの香気及び/又は風味、並びにラストの香気及び/又は風味が十分に付与され、かつ、これらの香気及び/又は風味が付与されたことによって、飲食品の品質が向上したことが確認された。
【0106】
(実施例5〜14の調製)
表1−1、表1−2及び表1−3に示す飲食品の一部をそれぞれ100mlずつ計量し、計量した各飲食品にコク味付与物質、1−オクテン−3−オル、デカン酸及びオクタン酸を、表7−1及び表7−2に示す添加濃度となるように添加した。
【0107】
【表7-1】
【0108】
【表7-2】
【0109】
(実施例5〜14の評価)
評価は、2〜6名の専門パネルが各飲食品を食し、コントロールと比較して下記の基準に従って行った。コントロールには、コク味付与物質のみを添加した各飲食品を用いた。また、下記基準の「期待される効果」とは、ラストの香気及び/又は風味が付与され、かつ、当該香気及び/又は風味が付与されることによって、飲食品の品質が向上することである。
[評価基準]
×:コントロールに比べ、香気及び/又は風味の品質が低下した。
−:コントロールとほぼ同じ(期待される効果なし)。
△:期待される効果が弱い。
○:期待される効果が高い。
◎:期待される効果が非常に高い。
【0110】
結果を表8−1及び表8−2に示す。
【0111】
【表8-1】
【0112】
【表8-2】
【0113】
実施例5〜14のいずれにおいても、添加した殆どの飲食品に対し、ラストの香気及び/又は風味が十分に付与され、かつ、当該香気及び/又は風味が付与されたことによって、飲食品の品質が向上したことが確認された。中でも、実施例7〜12では、多くの飲食品に対して非常に高い効果が確認された。
【0114】
(実施例15〜29の調製)
表1−1、表1−2及び表1−3に示す飲食品の一部をそれぞれ100mlずつ計量し、計量した各飲食品にコク味付与物質、1−オクテン−3−オル、イソ吉草酸及びメチオナールを、表9−1、表9−2及び表9−3に示す添加濃度となるように添加した。
【0115】
【表9-1】
【0116】
【表9-2】
【0117】
【表9-3】
【0118】
(実施例15〜29の評価)
評価は、2〜6名の専門パネルが各飲食品を食し、コントロールと比較して下記の基準に従って行った。コントロールには、コク味付与物質のみを添加した各飲食品を用いた。また、下記基準の「期待される効果」とは、トップの香気及び/又は風味が付与され、かつ、当該香気及び/又は風味が付与されることによって、飲食品の品質が向上することである。
[評価基準]
×:コントロールに比べ、香気及び/又は風味の品質が低下した。
−:コントロールとほぼ同じ(期待される効果なし)。
△:期待される効果が弱い。
○:期待される効果が高い。
◎:期待される効果が非常に高い。
【0119】
結果を表10−1、表10−2及び表10−3に示す。
【0120】
【表10-1】
【0121】
【表10-2】
【0122】
【表10-3】
【0123】
実施例15〜29のいずれにおいても、添加した殆どの飲食品に対し、トップの香気及び/又は風味が十分に付与され、かつ、当該香気及び/又は風味が付与されたことによって、飲食品の品質が向上したことが確認された。中でも、実施例17〜25では、多くの飲食品に対して非常に高い効果が確認された。
【0124】
(実施例30〜39の調製)
表1−2に示す風味調味料の一部をそれぞれ100mlずつ計量し、計量した各風味調味料にコク味付与物質、1−オクテン−3−オル、イソ吉草酸、メチオナール、オクタン酸及びデカン酸を、表11−1及び表11−2に示す添加濃度となるように添加した。
【0125】
【表11-1】
【0126】
【表11-2】
【0127】
(実施例30〜39の評価)
評価は、2〜6名の専門パネルが各飲食品を食し、コントロールと比較して下記の基準に従って行った。コントロールには、コク味付与物質のみを添加した各飲食品を用いた。また、下記基準の「期待される効果」とは、トップの香気及び/又は風味、並びに、ラストの香気及び/又は風味が付与され、かつ、これらの香気及び/又は風味が付与されることによって、飲食品の品質が向上することである。
[評価基準]
×:コントロールに比べ、香気及び/又は風味の品質が低下した。
−:コントロールとほぼ同じ(期待される効果なし)。
△:期待される効果が弱い。
○:期待される効果が高い。
◎:期待される効果が非常に高い。
【0128】
結果を表12−1及び表12−2に示す。
【0129】
【表12-1】
【0130】
【表12-2】
【0131】
実施例30〜39のいずれにおいても、添加した全ての飲食品に対しトップの香気及び/又は風味、並びに、ラストの香気及び/又は風味が付与され、かつ、これらの香気及び/又は風味が付与されたことによって、飲食品の品質が向上したことが確認された。中でも実施例32〜38では、高い効果が確認され、特に実施例34及び35では、非常に高い効果が確認された。
【0132】
(実施例40〜54の調製)
表1−1及び表1−2に示す飲食品の一部(チキンコンソメ、めんつゆ、すりおろしにんにく)をそれぞれ100mlずつ計量し、計量した各飲食品にコク味付与物質、1−オクテン−3−オル、イソ吉草酸及びメチオナールを、表13−1、表13−2及び表13−3に示す添加濃度となるように添加した。
【0133】
【表13-1】
【0134】
【表13-2】
【0135】
【表13-3】
【0136】
(実施例40〜54の評価)
評価は、2〜6名の専門パネルが各飲食品を食し、コントロールと比較して下記の基準に従って行った。コントロールには、コク味付与物質のみを添加した各飲食品を用いた。また、下記基準の「期待される効果」とは、トップの香気及び/又は風味が付与され、かつ、当該香気及び/又は風味が付与されることによって、飲食品の品質が向上することである。
[評価基準]
×:コントロールに比べ、香気及び/又は風味の品質が低下した。
−:コントロールとほぼ同じ(期待される効果なし)。
△:期待される効果が弱い。
○:期待される効果が高い。
◎:期待される効果が非常に高い。
【0137】
結果を表14−1、表14−2及び表14−3に示す。
【0138】
【表14-1】
【0139】
【表14-2】
【0140】
【表14-3】
【0141】
実施例40〜54のいずれにおいても、添加した全ての飲食品に対しトップの香気及び/又は風味が付与され、かつ、当該香気及び/又は風味が付与されたことによって、飲食品の品質が向上したことが確認された。中でも実施例42〜50では、高い効果が確認された。
【0142】
(実施例55〜64の調製)
表1−1及び表1−2に示す飲食品の一部(チキンコンソメ、牛乳、すりおろしにんにく)をそれぞれ100mlずつ計量し、計量した各飲食品にコク味付与物質、1−オクテン−3−オル、デカン酸及びオクタン酸を、表15−1及び表15−2に示す添加濃度となるように添加した。
【0143】
【表15-1】
【0144】
【表15-2】
【0145】
(実施例55〜64の評価)
評価は、2〜6名の専門パネルが各飲食品を食し、コントロールと比較して下記の基準に従って行った。コントロールには、コク味付与物質のみを添加した各飲食品を用いた。また、下記基準の「期待される効果」とは、ラストの香気及び/又は風味が付与され、かつ、当該香気及び/又は風味が付与されることによって、飲食品の品質が向上することである。
[評価基準]
×:コントロールに比べ、香気及び/又は風味の品質が低下した。
−:コントロールとほぼ同じ(期待される効果なし)。
△:期待される効果が弱い。
○:期待される効果が高い。
◎:期待される効果が非常に高い。
【0146】
結果を表16−1及び表16−2に示す。
【0147】
【表16-1】
【0148】
【表16-2】
【0149】
実施例55〜64のいずれにおいても、添加した全ての飲食品に対し、ラストの香気及び/又は風味が付与され、かつ、当該香気及び/又は風味が付与されることによって、飲食品の品質が向上したことが確認された。中でも実施例57〜64では、高い効果が確認された。
【0150】
(実施例65〜68の調製)
表1−2に示す飲食品の一部(チキン風味調味料の1.5重量%水溶液)を100ml計量し、計量した飲食品にコク味付与物質、1−オクテン−3−オル又は1−オクテン−3−オンを、表17に示す濃度となるように添加した。
【0151】
【表17】
【0152】
(実施例65〜68の評価)
評価は、2〜6名の専門パネルが各飲食品を食し、コントロールと比較して下記の基準に従って行った。コントロールには、コク味付与物質のみを添加した各飲食品を用いた。また、下記基準の「期待される効果」とは、トップの香気及び/又は風味、並びにラストの香気及び/又は風味が付与され、かつ、これらの香気及び/又は風味が付与されることによって、飲食品の品質が向上することである。
[評価基準]
×:コントロールに比べ、香気及び/又は風味の品質が低下した。
−:コントロールとほぼ同じ(期待される効果なし)。
△:期待される効果が弱い。
○:期待される効果が高い。
◎:期待される効果が非常に高い。
【0153】
結果を表18に示す。
【0154】
【表18】
【0155】
実施例65〜68のいずれにおいても、添加した飲食品に対しトップの香気及び/又は風味、並びにラストの香気及び/又は風味が十分に付与され、かつ、これらの香気及び/又は風味が付与されたことによって、飲食品の品質が向上したことが確認された。
【0156】
(実施例69〜72の調製)
表1−2に示す飲食品の一部(チキン風味調味料の1.5重量%水溶液)を100ml計量し、計量した飲食品にコク味付与物質、1−オクテン−3−オル又は1−オクテン−3−オンを、表19に示す濃度となるように添加した。
【0157】
【表19】
【0158】
(実施例69〜72の評価)
評価は、2〜6名の専門パネルが各飲食品を食し、コントロールと比較して下記の基準に従って行った。コントロールには、コク味付与物質のみを添加した各飲食品を用いた。また、下記基準の「期待される効果」とは、トップの香気及び/又は風味、並びにラストの香気及び/又は風味が付与され、かつ、これらの香気及び/又は風味が付与されることによって、飲食品の品質が向上することである。
[評価基準]
×:コントロールに比べ、香気及び/又は風味の品質が低下した。
−:コントロールとほぼ同じ(期待される効果なし)。
△:期待される効果が弱い。
○:期待される効果が高い。
◎:期待される効果が非常に高い。
【0159】
結果を表20に示す。
【0160】
【表20】
【0161】
実施例69〜72のいずれにおいても、添加した飲食品に対し、トップの香気及び/又は風味、並びにラストの香気及び/又は風味が十分に付与され、かつ、これらの香気及び/又は風味が付与されたことによって、飲食品の品質が向上したことが確認された。
【0162】
(実施例73〜74の調製)
表1−1及び表1−2に示す飲食品の一部(オイスターソース、めんつゆ、チキン風味調味料の1.5重量%水溶液)をそれぞれ100mlずつ計量し、計量した各飲食品にコク味付与物質、1−オクテン−3−オル、イソ吉草酸及びメチオナールを、表21に示す添加濃度となるように添加した。
【0163】
【表21】
【0164】
(実施例73〜74の評価)
評価は、2〜6名の専門パネルが各飲食品を食し、コントロールと比較して下記の基準に従って行った。コントロールには、コク味付与物質のみを添加した各飲食品を用いた。また、下記基準の「期待される効果」とは、トップの香気及び/又は風味が付与され、かつ、当該香気及び/又は風味が付与されることによって、飲食品の品質が向上することである。
[評価基準]
×:コントロールに比べ、香気及び/又は風味の品質が低下した。
−:コントロールとほぼ同じ(期待される効果なし)。
△:期待される効果が弱い。
○:期待される効果が高い。
◎:期待される効果が非常に高い。
【0165】
結果を表22に示す。
【0166】
【表22】
【0167】
実施例73、74のいずれにおいても、添加した全ての飲食品に対しトップの香気及び/又は風味が付与され、かつ、当該香気及び/又は風味が付与されたことによって、飲食品の品質が向上し、高い効果があることが確認された。
【0168】
(実施例75〜76の調製)
表1−1及び表1−2に示す飲食品の一部(牛乳、チキン風味調味料の1.5重量%水溶液)をそれぞれ100mlずつ計量し、計量した各飲食品にコク味付与物質、1−オクテン−3−オル、デカン酸及びオクタン酸を、表23に示す添加濃度となるように添加した。
【0169】
【表23】
【0170】
(実施例75〜76の評価)
評価は、2〜6名の専門パネルが各飲食品を食し、コントロールと比較して下記の基準に従って行った。コントロールには、コク味付与物質のみを添加した各飲食品を用いた。また、下記基準の「期待される効果」とは、ラストの香気及び/又は風味が付与され、かつ、当該香気及び/又は風味が付与されることによって、飲食品の品質が向上することである。
[評価基準]
×:コントロールに比べ、香気及び/又は風味の品質が低下した。
−:コントロールとほぼ同じ(期待される効果なし)。
△:期待される効果が弱い。
○:期待される効果が高い。
◎:期待される効果が非常に高い。
【0171】
結果を表24に示す。
【0172】
【表24】
【0173】
実施例75、76のいずれにおいても、添加した全ての飲食品に対しラストの香気及び/又は風味が付与され、かつ、当該香気及び/又は風味が付与されたことによって、飲食品の品質が向上し、高い効果があることが確認された。
【0174】
(実施例77〜80の調製)
表1−2に示す飲食品の一部(チキン風味調味料の1.5重量%水溶液)をそれぞれ100mlずつ計量し、計量した各飲食品にコク味付与物質、1−オクテン−3−オル又は1−オクテン−3−オンを、表25に示す添加濃度となるように添加した。
【0175】
【表25】
【0176】
(実施例77〜80の評価)
評価は、2〜6名の専門パネルが各飲食品を食し、コントロールと比較して下記の基準に従って行った。コントロールには、コク味付与物質のみを添加した各飲食品を用いた。また、下記基準の「期待される効果」とは、トップの香気及び/又は風味、並びにラストの香気及び/又は風味が付与され、かつ、これらの香気及び/又は風味が付与されることによって、飲食品の品質が向上することである。
[評価基準]
×:コントロールに比べ、香気及び/又は風味の品質が低下した。
−:コントロールとほぼ同じ(期待される効果なし)。
△:期待される効果が弱い。
○:期待される効果が高い。
◎:期待される効果が非常に高い。
【0177】
結果を表26に示す。
【0178】
【表26】
【0179】
実施例77〜80のいずれにおいても、添加した全ての飲食品に対しトップの香気及び/又は風味、並びにラストの香気及び/又は風味が十分に付与され、かつ、これらの香気及び/又は風味が付与されたことによって、飲食品の品質が向上したことが確認された。
【0180】
(実施例81〜82の調製)
表1−1及び表1−2に示す飲食品の一部(オイスターソース、めんつゆ、チキン風味調味料の1.5重量%水溶液)をそれぞれ100mlずつ計量し、計量した各飲食品にコク味付与物質、1−オクテン−3−オル、イソ吉草酸及びメチオナールを、表27に示す添加濃度となるように添加した。
【0181】
【表27】
【0182】
(実施例81〜82の評価)
評価は、2〜6名の専門パネルが各飲食品を食し、コントロールと比較して下記の基準に従って行った。コントロールには、コク味付与物質のみを添加した各飲食品を用いた。また、下記基準の「期待される効果」とは、トップの香気及び/又は風味が付与され、かつ、当該香気及び/又は風味が付与されることによって、飲食品の品質が向上することである。
[評価基準]
×:コントロールに比べ、香気及び/又は風味の品質が低下した。
−:コントロールとほぼ同じ(期待される効果なし)。
△:期待される効果が弱い。
○:期待される効果が高い。
◎:期待される効果が非常に高い。
【0183】
結果を表28に示す。
【0184】
【表28】
【0185】
実施例81、82のいずれにおいても、添加した全ての飲食品に対しトップの香気及び/又は風味が付与され、かつ、当該香気及び/又は風味が付与されたことによって、飲食品の品質が向上し、高い効果があることが確認された。
【0186】
(実施例83〜84の調製)
表1−1及び表1−2に示す飲食品の一部(牛乳、チキン風味調味料の1.5%溶液)をそれぞれ100mlずつ計量し、計量した各飲食品にコク味付与物質、1−オクテン−3−オル、デカン酸及びオクタン酸を、表29に示す添加濃度となるように添加した。
【0187】
【表29】
【0188】
(実施例83〜84の評価)
評価は、2〜6名の専門パネルが各飲食品を食し、コントロールと比較して下記の基準に従って行った。コントロールには、コク味付与物質のみを添加した各飲食品を用いた。また、下記基準の「期待される効果」とは、ラストの香気及び/又は風味が付与され、かつ、当該香気及び/又は風味が付与されることによって、飲食品の品質が向上することである。
[評価基準]
×:コントロールに比べ、香気及び/又は風味の品質が低下した。
−:コントロールとほぼ同じ(期待される効果なし)。
△:期待される効果が弱い。
○:期待される効果が高い。
◎:期待される効果が非常に高い。
【0189】
結果を表30に示す。
【0190】
【表30】
【0191】
実施例83、84のいずれにおいても、添加した全ての飲食品に対しラストの香気及び/又は風味が付与され、かつ、当該香気及び/又は風味が付与されたことによって、飲食品の品質が向上し、高い効果があることが確認された。
【0192】
(製造例1)
コク味付与物質(γ−Glu−Val−Gly、味の素株式会社製)をラボミキサー混合機(ホソカワミクロン株式会社製)にて、回転数10〜60rpmで攪拌した。攪拌中のコク味付与物質100gに対し、1−オクテン−3−オルをその含有量が27重量ppmとなるように添加して混合し、本発明の組成物を調製した。
【0193】
(製造例2)
コク味付与物質(γ−Glu−Val−Gly、味の素株式会社製)をラボミキサー混合機(ホソカワミクロン株式会社製)にて、回転数10〜60rpmで攪拌した。攪拌中のコク味付与物質97.7gに対し、1−オクテン−3−オル及び1−オクテン−3−オンの含有量が27重量ppmとなり、イソ吉草酸の含有量が63重量ppmとなり、メチオナールの含有量が2.3重量%となるように、それぞれを添加して混合し、本発明の組成物を調製した。
【0194】
(製造例3)
コク味付与物質(γ−Glu−Val−Gly、味の素株式会社製)をラボミキサー混合機(ホソカワミクロン株式会社製)にて、回転数10〜60rpmで攪拌した。攪拌中のコク味付与物質100gに対し、1−オクテン−3−オルの含有量が27重量ppmとなり、オクタン酸の含有量が194重量ppmとなり、デカン酸の含有量が570重量ppmとなるように、それぞれを添加して混合し、本発明の組成物を調製した。
【0195】
(製造例4)
コク味付与物質(γ−Glu−Val−Gly、味の素株式会社製)をラボミキサー混合機(ホソカワミクロン株式会社製)にて、回転数10〜60rpmで攪拌した。攪拌中のコク味付与物質97.7gに対し、1−オクテン−3−オル及び1−オクテン−3−オンの含有量が27重量ppmとなり、イソ吉草酸の含有量が63重量ppmとなり、メチオナールの含有量が2.3重量%となり、オクタン酸の含有量が194重量ppmとなり、デカン酸の含有量が570重量ppmとなるように、それぞれを添加して混合し、本発明の組成物を調製した。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明によれば、飲食品のトップの香気及び/又は風味をマスクせず、且つ、ラストの香気及び/又は風味を切らずに、飲食品に対し濃厚で持続性のあるコク味を付与することのできる組成物を提供し得る。
また、本発明によれば、トップの香気及び/又は風味、並びに、ラストの香気及び/又は風味を十分に有し、且つ、濃厚で持続性のあるコク味を付与された飲食品、並びにその製造方法を提供し得る。
【0197】
本出願は、日本で出願された特願2012-23551を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。