(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の羽根を被測定部とする回転体と、前記複数の被測定部を電気的に検出する検出部とを有し、前記被測定部を所定の回数計測するごとに、計測時間に応じたパルスを1パルス出力し、出力されたパルス幅から前記回転体の回転数を計算するターボ過給器付きエンジンの異常検出装置であって、
前記回転体の回転数が所定の回転数を超える領域において、前回計測された第1のパルス幅と今回計測された第2のパルス幅との差が所定の割合を超えると判定された場合に、前記羽根の異常又は前記検出部における電磁ノイズ異常を検出することを特徴とするターボ過給器付きエンジンの異常検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、小型のターボ過給器を用いた場合、高出力時には、耐久限界付近の高回転領域を使用することとなり、耐久限界の回転を超えないように管理及び制御することが重要となる。例えば、コンプレッサ翼車の羽根の1枚が破損した場合、この羽根の1枚ごとに検出信号を出力していれば、回転検出の間隔が破損部分に限定されるため、即座に異常の判定を行うことができる。しかしながら、電子制御ユニット(ECU)を構成する中央演算ユニット(CPU)の負荷の軽減を図るため、複数枚の羽根のカウント数をまとめて、すなわち分周したカウント時間に応じたパルスを1パルスとして出力し、そのパルス幅からコンプレッサの回転数を算出する場合は、上記のような異常検出を行うことができない。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、回転体の異常検出において、CPUの負荷を軽減しつつ、回転体の破損及び電磁ノイズ異常等による回転異常の検出を的確に判定できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は、回転体に設けられた被測定部からの検出信号を分周によりその周波数を低減したパルスとし、パルス幅の遅延により回転体の異常を検出することを特徴とする。
【0010】
具体的には、本発明は、ターボ過給器付きエンジンの異常検出装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0011】
すなわち、第1の発明は、複数の羽根を被測定部とする回転体と、複数の被測定部を電気的に検出する検出部とを有し、被測定部を所定の回数計測するごとに、計測時間に応じたパルスを1パルス出力し、出力されたパルス幅から回転体の回転数を計算するターボ過給器付きエンジンの異常検出装置を対象とし、回転体の回転数が所定の回転数を超える領域において、前回計測された第1のパルス幅と今回計測された第2のパルス幅との差が所定の割合を超えると判定された場合に、羽根の異常又は検出部における電磁ノイズ異常を検出するものである。
【0012】
これによれば、被測定部を所定の回数計測するごとに、計測時間に応じたパルスを1パルス出力し、出力されたパルス幅から回転体の回転数を計算し、回転体の回転数が所定の回転数を超える領域において、前回計測された第1のパルス幅と今回計測された第2のパルス幅との差が所定の割合(変化率)を超えると判定された場合に、羽根の異常又は検出部における電磁ノイズ異常を検出するため、CPUの負荷を軽減しつつ、羽根の破損及び電磁ノイズ異常による回転異常を的確に検出して判定することができる。
【0013】
第2の発明は、上記第1の発明において、回転体は、ターボ過給器を構成するタービン又はコンプレッサであり、第1のパルス幅と第2のパルス幅との差が所定の割合を超えると判定された場合に、過給器への過給圧が所定値を超えて低下する際には羽根の異常と判定し、過給圧が所定値を超えて低下しない際には電磁ノイズ異常と判定するものである。
【0014】
これによれば、検出異常の原因を過給圧に基づいて適切に判断することができる。
【0015】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、第1のパルス幅と第2のパルス幅との差が所定の割合を超えるとの判定は、複数回の判定を行い、所定の割合を連続して超えた場合に異常を確定するものである。
【0016】
これによれば、複数回の判定を行うことにより、検出異常の信頼性を向上することができる。
【0017】
第4の発明は、上記第3の発明において、第1のパルス幅と前記第2のパルス幅との差が所定の割合を超えるとの判定は、複数回の判定に要する時間を超える所定時間を経過した後に正常と判定された場合に、異常が電磁ノイズ異常であると判定するものである。
【0018】
これによれば、所定時間を経過した後に正常の判定されたことに基づいて、その前の異常が羽根の破損ではなく電磁ノイズによる異常であったと確定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、回転体の異常検出において、CPUの負荷を軽減しつつ、回転体の破損及び電磁ノイズ異常等による回転異常の検出を的確に判定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0022】
(一実施形態)
本発明の一実施形態に係るターボ過給器付きエンジンの異常検出装置について
図1を参照しながら説明する。
【0023】
−エンジン制御装置の概略構成−
まず、エンジン及び該エンジンの制御装置の概略構成を説明する。
【0024】
図1は本発明の一実施形態に係るエンジン及びその制御装置の全体構成を示す。ここで、エンジンEは、例えば直噴式のディーゼルエンジンである。エンジンEは、本体部1の内部に複数の気筒2,2,…(1つのみ図示する。)が形成され、各気筒2内には、往復動可能にピストン3が嵌挿されており、各ピストン3の頂面により燃焼室4の床部が区画されている。一方、ピストン3の頂面に対向する燃焼室4の天井部には、先端部を燃焼室4に臨ませてインジェクタ5が配設されており、該インジェクタ5の先端部から高圧の燃料が噴射される。
【0025】
インジェクタ5の基端部は、各気筒2,2,…に共通のコモンレール6に対して分岐管6a,6a,…(1つのみ図示する。)により個別に接続されている。コモンレール6には燃圧センサ7が配設されている。また、コモンレール6には、燃料供給管8によって高圧供給ポンプ9が接続されている。高圧供給ポンプ9からコモンレール6への燃料の供給量が燃圧センサ7による燃料圧力の検出値に応じて制御されることにより、コモンレール6内の燃料が所定の高圧状態に保持される。
【0026】
エンジンEのクランクケース内には、コネクティングロッドによってピストン3に駆動連結されたクランク軸10が配設されている。また、クランクケース内には、クランク軸10と一体に回転する被検出用プレートの回転角度、すなわちクランク角を検出する電磁ピックアップ式のエンジン回転数センサ(クランク角センサ)11が配設されている。また、エンジンEの冷却水温度を検出するエンジン水温センサ13が、ウォータジャケットに臨んで配設されている。
【0027】
図1に示すエンジンEの右側には、各気筒2の燃焼室4にエアクリーナ15で濾過された空気を供給する吸気通路16が設けられている。吸気通路16の下流端部にはサージタンク17が設けられ、該サージタンク17から分岐した各通路がそれぞれ吸気ポートにより各気筒2の燃焼室4と連通している。サージタンク17には、吸気の圧力状態を検出する吸気圧センサ18と、過給圧センサ42とが設けられている。
【0028】
吸気通路16には上流側から下流側に向かって順に、外部からエンジンEに吸入される空気(新気)の流量を検出するホットフィルム式エアフローセンサ19と、後述するタービン27により駆動されて吸気を圧縮するコンプレッサ(回転体)20と、該コンプレッサ20により圧縮された吸気を冷却するインタークーラ21と、吸気シャッタ弁22とが設けられている。
図1の例では、吸気シャッタ弁22は、ダイヤフラム23に作用する負圧の大きさが電磁弁24により調節されることによって、全閉から全開までの間に位置づけられる。
【0029】
図1に示すエンジンEの左側には、各気筒2の燃焼室4からそれぞれ既燃ガスを排出するように排気通路26が設けられている。排気通路26の上流端部は各気筒2に分岐して、それぞれ排気ポートにより燃焼室4に連通する排気マニホルドであり、該排気マニホルドよりも下流の排気通路26には上流側から下流側に向かって順に、排気流を受けて回転するタービン(回転体)27と、排気中の有害成分を浄化可能な触媒コンバータ28とが配設されている。
【0030】
タービン27と上述したコンプレッサ20とからなるターボ過給機30は、タービン27の全周を囲むように複数の可動式のフラップ31,31,…が設けられ、これらのフラップ31によりタービン27への排気の流通断面積(ノズル断面積)を変化させるようにした可変容量ターボ(VGT)である。
図1の例では、フラップ31は、ダイヤフラム32に作用する負圧の大きさが電磁弁33により調節され、アクチュエータによって回動される。また、アクチュエータの位置により、フラップ31の開度を検出するポジションセンサ43が設けられている。また、ターボ過給機30には、コンプレッサ20の回転数を検出するターボ回転数センサ(検出部)44が設けられている。
【0031】
排気通路26におけるタービン27よりも排気上流側の部位には、排気の一部を吸気側に還流させる高圧排気還流通路(以下、HP−EGR通路と呼ぶ。)34の上流端が分岐接続されている。HP−EGR通路34の下流端は、吸気シャッタ弁22とサージタンク17との間の吸気通路16と接続されており、タービン27を通過する前の排気通路26から取り出された排気の一部を吸気通路16に還流させる。また、HP−EGR通路34の途中の下流側には、開度調節可能な排気還流量調節弁(以下、HP−EGR弁と呼ぶ。)35が配置されている。
【0032】
図1において、HP−EGR弁35は、上述した吸気シャッタ弁22及びターボ過給機30のフラップ31と同様に、ダイヤフラムに作用する負圧の大きさが電磁弁36により調節されることによって作動し、HP−EGR通路34の通路断面積を連続的に変化させて吸気通路16に還流される排気の流量を調節する。すなわち、HP−EGR通路34及びHP−EGR弁35によって、エンジンEの排気の一部を吸気系に還流させる高圧排気還流手段が構成されている。また、
図1に示すように、排気通路26におけるディーゼル酸化触媒(DOC)28a及びディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)28bよりも排気下流側の部位には、排気の一部を吸気側に還流させる低圧排気還流通路(以下、LP−EGR通路と呼ぶ。)37の上流端が分岐接続され、さらに、該分岐接続部の下流には、排気シャッタ弁29が配設されている。LP−EGR通路34の下流端は、ホットフィルム式エアフローセンサ19とコンプレッサ20との間の吸気通路16と接続されており、タービン27を通過した後の排気通路26から取り出された排気の一部を吸気通路16に還流させる。LP−EGR通路37の途中には、フィルタ38、EGRクーラ39及び開度調節可能なLP−EGR弁46がそれぞれが配設されており、LP−EGRの還流量の調節は、排気シャッタ弁29及びLP−EGR弁46の開度調節により行われる。
【0033】
インジェクタ5、高圧供給ポンプ9、吸気シャッタ弁22、排気シャッタ弁29、ターボ過給機30、HP−EGR弁35及びLP−EGR弁46等は、いずれも電子制御ユニット(Electronic Control Unit:以下、ECUと呼ぶ。)40からの制御信号を受けて作動する。一方、ECU40には、上述した燃圧センサ7、クランク角センサ11、エンジン水温センサ13、吸気圧センサ18、及びエアフローセンサ19等からの出力信号がそれぞれ入力される。
【0034】
また、ECU40には、アクセルペダルの踏み操作量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ41、過給圧を計測する過給圧センサ42、フラップ31の開度を検出するポジションセンサ43、コンプレッサ20の回転数を検出するターボ回転数センサ44及びエンジンEの回転数を検出するエンジン回転数センサ11等からもそれぞれ出力信号が入力される。
【0035】
−異常の検出−
本実施形態においては、ターボ過給器30を構成するコンプレッサ20の羽根(翼)は、例えば12枚が設けられている。ターボ回転数センサ44は、コンプレッサ20の羽根を1枚ずつ検出し、検出された1つの信号は波形成形回路によって1つの方形波に成形される。成形された方形波は、分周回路によって、その128個分が1つのパルスとして出力される。このようにして、CPUの負荷が軽減される。なお、タービン27とコンプレッサ20とは、同軸上に配設されているため、ターボ回転数センサ44は、タービン27の羽根を検出するセンサであってもよい。
【0036】
図2(a)は、正常時におけるターボ回転数センサ44からの出力信号Aと、分周後の電圧変化Bとを模式的に表している。ここでは、説明を簡単にするため、コンプレッサ20の羽根の12枚がすべて正常に検出され、12枚の羽根の128枚分のデータが1つのパルスに成形されたことを示している。また、ターボ回転数センサ44によりコンプレッサ20の羽根が正常に検出されるとは、ターボ回転数センサ44からの出力信号Aの電圧値がすべて所定の閾値を上方に超えており、この閾値を超えた電圧値が受信回路に入力されることをいう。
【0037】
図2(b)は、異常時におけるターボ回転数センサ44からの出力信号Aと、分周後の電圧変化Bとを模式的に表している。
図2(b)に示す例では、領域C1に含まれるターボ回転数センサ44からの出力信号Aの4つ分が、閾値よりも低い電圧値を出力している。このため、128枚分の羽根のデータが揃うには、さらに4枚分の羽根のデータを受信する必要があり、4枚分の羽根の遅延が生じている。
【0038】
なお、ターボ回転数センサ44からの出力信号Aが閾値に達しなくなる理由は、コンプレッサ20の羽根とターボ回転数センサ44との隙間が許容範囲を超えた場合、すなわち、羽根の欠損等による。
【0039】
図3は、電磁ノイズ等によって、所定の期間T
0だけ、ターボ回転数センサ44からの出力信号Aが高電位側にシフトした場合の異常を表している。
図3に示すように、この場合は、領域C2において、4枚分の羽根のデータが1つの信号に縮退することから、3枚分の羽根の遅延が生じる。
【0040】
−制御方法−
本実施形態に係るターボ過給器付きエンジンの異常検出装置の制御方法について
図4〜
図6を参照しながら説明する。
【0041】
図4はターボ過給器付きエンジンの異常検出とその後の制御方法を示すフローである。
図4に示すように、まず、ステップS01において、判定ルーチンが初回であることを表すフラグFを0に初期化する。
【0042】
次に、ステップS02において、
図2(a)、
図2(b)及び
図3に示したパルスBのうち今回検出されたパルスのパルス幅Tnを読み込む。ここで、パルス幅Tn(単位:秒)は、回転数をNtn(単位:rpm)とすると、1コンプレッサ当たり12枚の羽根があり、この羽根の128枚分の信号の幅であるから、以下の式(1)で表される。
【0043】
(1) Tn = (1/Ntn)・(128/12)×60
次に、ステップS03において、フラグFの値が0の場合は、次のステップS04に進み、フラグFの値が1の場合は、ステップS11に進む。
【0044】
次に、ステップS04において、今回のパルス幅Tnと前回のパルス幅Tn−1との差ΔT1を式(1)から算出する。
【0045】
次に、ステップS05において、前回のパルス幅Tn−1と算出した差ΔT1とを用いて、式(1)から、ターボ回転数の変化率(ここでは回転マイナス変化率と呼ぶ。)ΔNtを算出する。
【0046】
次に、ステップS06において、回転マイナス変化率ΔNtの絶対値が所定の回転マイナス変化率ΔNtAを超えているか否かを判定する。回転マイナス変化率ΔNtの絶対値が、所定の回転マイナス変化率ΔNtAを超えていない場合はステップS02に戻り、所定の回転マイナス変化率ΔNtAを超えている場合は、次のステップS07に進む。
【0047】
次に、ステップS07において、前回分のパルス幅Tn−1から求まるターボ回転数Ntn−1が所定の回転数NtBを超えているか否かを判定する。前回分のターボ回転数Ntn−1の値が、所定の回転数NtBを超えていない場合はステップS02に戻り、所定の回転数NtBを超えている場合は、次のステップS08に進む。
【0048】
次に、ステップS08において、フラグFの値を1に設定する。
【0049】
次に、ステップS09において、異常を検出した今回分のパルス幅Tnの基準となる前回分のパルス幅Tn−1を初期値Tmとして、メモリ回路の所定の領域に記憶する。
【0050】
次に、ステップS10において、カウンタCに初期値1を設定する。以上のステップS08〜ステップS10により、異常検出処理の第1段階が完了する。
【0051】
図5を用いて、ステップS06及びステップS07の処理の一例を説明する。
図5に示すように、ステップS06において、所定の回転マイナス変化率ΔNtAを、例えば1%とすると、回転マイナス変化率ΔNtの絶対値が1%を超えた場合に、異常を検出したと判定する。例えば、前回分のパルス幅Tn−1から求まるターボ回転数Ntn−1が2.0×10
5rpmの場合は、回転マイナス変化率ΔNtが2000rpmを超えた場合に、異常を検出したと判定する。また、ターボ回転数Ntn−1が1.5×10
5rpmの場合は、回転マイナス変化率ΔNtが1500rpmを超えた場合に、異常を検出したと判定する。
【0052】
ステップS07においては、前回分のパルス幅Tn−1から求まるターボ回転数Ntn−1が、所定の回転数NtBを超えるか否かを判定する。コンプレッサ20は、低回転の場合よりも高回転で作動している場合に異常が生じやすく、また、相対的に低い回転での作動中は、コンプレッサ20の回転が短時間に変動しやすいことから、異常検出の有効性を考慮して所定の回転数NtBを超える領域で異常の検出を行う。
【0053】
次に、
図4に示すステップS10からステップS02に戻る。ステップS02においては、新たに検出されたパルスのパルス幅Tnを読み込む。
【0054】
次に、ステップS11において、今回のパルス幅Tnと記憶したパルス幅Tmとの差ΔT2を式(1)から算出する。
【0055】
次に、ステップS12において、記憶したパルス幅Tmと算出した差ΔT1とを用いて、式(1)から、回転マイナス変化率ΔNtを算出する。
【0056】
次に、ステップS13において、ステップS06と同様に、回転マイナス変化率ΔNtの絶対値が所定の回転マイナス変化率ΔNtAを超えているか否かを判定する。回転マイナス変化率ΔNtの絶対値が、所定の回転マイナス変化率ΔNtAを超えていない場合はステップS19に進み、フラグFの値を0にリセットして、ステップS02に戻る。また、所定の回転マイナス変化率ΔNtAを超えている場合は、次のステップS14に進む。
【0057】
次に、ステップS14において、カウンタCの値を1つ増やす。
【0058】
次に、ステップS15において、カウンタCの値が5を超えたか否かを判定する。カウンタCの値が5を超えていない場合は、ステップS02に戻り、カウンタCの値が5を超えている場合は、次のステップS16に進む。なお、カウンタCの閾値の5は、一例であり、適宜変更可能である。
【0059】
次に、ステップS16において、異常と判断するカウンタCの閾値の5を超えているため、ターボ回転数センサ44による異常と判定する。このステップS16では、コンプレッサ20の羽根の異常であるか、電磁ノイズによる異常であるかは判定できない。
【0060】
次に、ステップS17において、異常部位を確定する。異常部位の確定は、
図6に示すフローチャートに表している。
【0061】
図6に示すように、まず、ステップS20において、過給圧センサ42から出力される過給圧が目標値(設計値)である所定値よりも低いか否かを判定する。過給圧が所定値よりも高いか同等の場合は、ステップS23に進み、電磁ノイズの異常と断定する。また、過給圧が所定値よりも低い場合は、次のステップS21に進む。
【0062】
次に、ステップS21において、所定時間が経過した後に、異常の状態から正常の状態に回復しているか否かを判定する。正常な状態に回復したと判定された場合は、ステップS23に進み、電磁ノイズによる異常と断定する。また、正常な状態に回復していないと判定された場合は、コンプレッサ20の羽根の異常と断定する。ここで、所定時間の経過後に、異常の状態から正常の状態に回復したか否かの判定には、所望の時間、例えば、数秒間程度のタイマを設定した後に、
図4に示すステップS02、S11、S12及びS13と同様の処理を行えばよい。また、ステップS02、S11、S12と同様の処理を所望の時間だけループさせて実行し、その後、ステップS13の判定を行えばよい。なお、ステップS20とステップS21とは、その実行順序を互いに入れ替えてもよい。続いて、
図4に示すフローに戻る。
【0063】
次に、
図4のステップS18において、過給圧を目標値(設計値)よりも低い値に設定する。すなわち、ターボ過給器30をセーフティ過給圧により制御する。セーフティ過給圧による制御とは、例えば、過給圧における目標値の50%〜60%程度とする過給圧制御をいう。
【0064】
以上により、本実施形態に係るターボ過給器付きエンジンの異常検出装置における異常検出とその制御が完了する。
【0065】
なお、本実施形態においては、エンジンEの一例として、ターボ過給器にVGT(Variable Geometry Turbo)を用いたが、本発明はVGTに限られない。
【0066】
また、本実施形態においては、エンジンEの一例として、ディーゼルエンジンを用いたが、本発明はディーゼルエンジンに限られず、ガソリンエンジンにも適用可能である。
【0067】
−効果−
以上より、本実施形態によれば、回転体であるタービン27又はコンプレッサ20に設けられた各羽根を検出する検出信号を分周によりその周波数を低減したパルスとし、タービン27又はコンプレッサ20の回転数が所定の回転数NtBを超える領域において、前回計測されたパルス幅Tn−1と今回計測されたパルス幅Tnとの差が所定の割合(変化率)を超えると判定された場合(必要なら複数回連続して判定された場合)に、タービン27又はコンプレッサ20の羽根の異常、又はターボ回転数センサ44における電磁ノイズ異常を検出することができる。すなわち、回転体の異常検出において、CPUの負荷を軽減しつつ、回転体の破損及び電磁ノイズ異常等による回転異常の検出を的確に判定することができる。