特許第6044582号(P6044582)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6044582アクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044582
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】アクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   H02M3/28 H
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-92232(P2014-92232)
(22)【出願日】2014年4月28日
(65)【公開番号】特開2015-211566(P2015-211566A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2015年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】モイセエフ セルゲイ
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−084337(JP,A)
【文献】 特開2004−088941(JP,A)
【文献】 米国特許第05282123(US,A)
【文献】 特開2009−165119(JP,A)
【文献】 特開2010−226931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路の絶縁トランスの一次側に設けられるスイッチング回路であって、
前記スイッチング回路は、
第1、第2のスイッチ素子が直列に接続される第1の回路と、
前記第1の回路に並列に接続され、第3、第4のスイッチ素子、第1、第2の蓄電素子が直列に接続される第2の回路と、
前記第1、第2のスイッチ素子の接続点にアノード側が接続され、前記第1、第2の蓄電素子の接続点にカソード側が接続される第1の整流素子と、
を備え、
前記第1、第2のスイッチ素子は同時にオン/オフ制御し、前記第3、第4のスイッチ素子は同時にオン/オフ制御する、
ことを特徴とするアクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路。
【請求項2】
請求項1に記載のアクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路であって、
前記第1、第2のスイッチ素子の接続点と、前記第3、第4のスイッチ素子の接続点と、に第3の蓄電素子が接続される、ことを特徴とするアクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路。
【請求項3】
アクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路の絶縁トランスの一次側に設けられるスイッチング回路であって、
前記スイッチング回路は、
第1、第2のスイッチ素子が直列に接続される第1の回路と、
前記第1の回路に並列に接続され、第3、第4のスイッチ素子、第1、第2の蓄電素子が直列に接続される第2の回路と、
前記第3、第4のスイッチ素子の接続点にカソード側が接続され、前記第1第2の蓄電素子の接続点にアノード側が接続される第2の整流素子と、
を備え、
前記第1、第2のスイッチ素子は同時にオン/オフ制御し、前記第3、第4のスイッチ素子は同時にオン/オフ制御する、
ことを特徴とするアクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路。
【請求項4】
請求項3に記載のアクティブクランプ方式のフォワード形回路であって、
前記第1、第2のスイッチ素子の接続点と、前記第3、第4のスイッチ素子の接続点と、に第3の蓄電素子が接続される、ことを特徴とするアクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路(以降、ACF回路と呼ぶ)として、例えば、絶縁トランスT1、蓄電素子C1(例えば、入力コンデンサ)、スイッチ素子Q11、Q21(例えば、NチャネルMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor))、蓄電素子Cr、整流素子D1、D2、インダクタL1、蓄電素子C2(例えば、出力コンデンサ)、制御部を備える回路が知られている。
【0003】
このようなACF回路の絶縁トランスT1の一次側の構成は次のようになっている。電源入力端子IN1、IN2の間に蓄電素子C1が接続され、電源入力端子IN1と蓄電素子C1の一方の端子は絶縁トランスT1の一次側巻線の一方の端子に接続されている。絶縁トランスT1の一次側巻線の他方の端子は、スイッチ素子Q11のドレインとスイッチ素子Q21のソースの接続点に接続されている。また、スイッチ素子Q21のドレインと蓄電素子Crの一方の端子が接続される補助回路は、スイッチ素子Q11に並列に接続されている。スイッチ素子Q11のソースと蓄電素子Crの他方の端子の接続点は、蓄電素子C1の他方の端子と電源入力端子IN2に接続されている。ここで、スイッチ素子Q21のドレインと蓄電素子Crの一方の端子が接続される補助回路は、スイッチ素子Q11を補助するための回路で、スイッチ素子Q11がオフの期間にスイッチ素子Q21をオンにして、絶縁トランスT1の一次側をリセットするとともに、絶縁トランスT1の一次側に存在する励磁インダクタンスに起因するサージを抑える。なお、制御部はスイッチ素子Q11、Q21のゲートにオン/オフ信号を送り、スイッチ素子Q11、Q21のオン/オフ制御を行う。
【0004】
絶縁トランスT1の二次側の構成は次のようになっている。絶縁トランスT1の二次側巻線の一方の端子に整流素子D1のアノード側が接続され、絶縁トランスT1の二次側巻線の他方の端子には整流素子D2のアノード側が接続されている。整流素子D1、D2のカソード側はともにインダクタL1の一方の端子に接続され、インダクタL1の他方の端子は、蓄電素子C2の一方の端子と出力端子OUT1に接続される。蓄電素子C2の他方の端子は、整流素子D2のアノード側と出力端子OUT2に接続される。絶縁トランスT1の二次側では、整流素子D1、D2およびインダクタL1を用いてエネルギーを蓄積し、蓄電素子C2でリップルを平滑して出力する。
【0005】
ところが、このようなACF回路に接続される電源の入力電圧が高い場合、スイッチ素子Q11、Q21に印加される電圧(印加電圧)が高くなるため、耐圧の高い高価なスイッチ素子を使用しなければならないことがある。そこで、耐圧の低いスイッチ素子を用いる方法として、スイッチ素子Q11、Q21を複数のスイッチ素子を用いて構成させる方法が知られている。すなわち、スイッチ素子Q11のドレインに新たに設けるスイッチ素子Q12のソースを接続させ、そのスイッチ素子Q12のドレインとスイッチ素子Q21のソースと絶縁トランスT1の一次側巻線の他方の端子を接続させ、スイッチ素子Q21のドレインと新たに設けるスイッチ素子Q22のソースを接続させ、スイッチ素子Q22のドレインと蓄電素子Crの一方の端子とを接続させる。このように、スイッチ素子を直列にして用いることで、スイッチ素子Q11、Q21に印加される電圧を、新たに設けたスイッチ素子Q12、Q22により分散できるので、スイッチ素子それぞれにかかる印加電圧が低くなり、耐圧の高い高価なスイッチ素子を使用しなくてもよくなる。
【0006】
しかしながら、上記方法によりスイッチ素子Q11、Q12、Q21、Q22それぞれに印加される電圧を低くすることはできるが、スイッチ素子Q11、Q12、Q21、Q22それぞれに特性のバラツキがある場合には、特性のバラツキにより、スイッチ素子Q11、Q12、Q21、Q22それぞれに印加される電圧がアンバランスになるという問題がある。
【0007】
なお、特許文献1の図1の共振コンバータ2には、第1の容量エネルギー蓄積部C1と、第1の容量エネルギー蓄積部C1と直列に接続されている第2の容量エネルギー蓄積部C2と、第3の容量エネルギー蓄積部C3と、第1、第2、第3及び第4の駆動可能な双方向電力半導体スイッチS1、S2、S3、S4とを持ち、駆動可能な双方向電力半導体スイッチS1、S2、S3、S4が、直列に接続されている回路が開示されている。また、第1の容量エネルギー蓄積部C1は、第1の駆動可能な双方向電力半導体スイッチS1に接続されており、第2の容量エネルギー蓄積部C2は、第4の駆動可能な双方向電力半導体スイッチS4に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−165119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、アクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路に用いる複数のスイッチ素子に掛かる印加電圧が所定電圧以上にならないようにすることで、より低い耐圧のスイッチ素子を使用可能にするアクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施の態様のひとつであるアクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路の絶縁トランスの一次側に設けられるスイッチング回路は、第1、第2のスイッチ素子が直列に接続される第1の回路と、第1の回路に並列に接続され、第3、第4のスイッチ素子、第1、第2の蓄電素子が直列に接続される第2の回路と、第1、第2のスイッチ素子の接続点にアノード側が接続され、第1、第2の蓄電素子の接続点にカソード側が接続される第1の整流素子と、を備え、第1、第2のスイッチ素子は同時にオン/オフ制御し、第3、第4のスイッチ素子は同時にオン/オフ制御する。
【0011】
また、他の実施の態様のひとつであるアクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路の絶縁トランスの一次側に設けられるスイッチング回路は、第1、第2のスイッチ素子が直列に接続される第1の回路と、第1の回路に並列に接続され、第3、第4のスイッチ素子、第1、第2の蓄電素子が直列に接続される第2の回路と、第3、第4のスイッチ素子の接続点にカソード側が接続され、第1、第2の蓄電素子の接続点にアノード側が接続される第2の整流素子と、を備え、第1、第2のスイッチ素子は同時にオン/オフ制御し、第3、第4のスイッチ素子は同時にオン/オフ制御する。
【0012】
また、アクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路のスイッチング回路には、第1、第2のスイッチ素子の接続点と、第3、第4のスイッチ素子の接続点と、に第3の蓄電素子を接続させてもよい。
【発明の効果】
【0013】
実施の態様によれば、アクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路に用いる複数のスイッチ素子に掛かる印加電圧が所定電圧以上にならないようにすることで、より低い耐圧のスイッチ素子を使用可能にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、アクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路の一実施例を示す図である。
図2図2は、モード1の期間の動作を説明するための図である。
図3図3は、モード3、4の期間の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面に基づいて実施形態について詳細に説明する。
図1は、アクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路の一実施例を示す図である。図1に示すACF回路1は、例えば、絶縁トランスT1、蓄電素子C1(例えば、入力コンデンサ)、スイッチ素子Q11、Q12、Q21、Q22(例えば、NチャネルMOSFET:第1、2、3、4のスイッチ素子)、蓄電素子Cr1、Cr2(第1、2の蓄電素子)、整流素子D12、D21(第1、2の整流素子)、蓄電素子Ca(第3の蓄電素子)、整流素子D1、D2、インダクタL1、蓄電素子C2(例えば、出力コンデンサ)、制御部2を備える。
【0016】
ACF回路1の絶縁トランスT1の一次側の構成について説明する。
絶縁トランスT1の一次側の構成は、電源入力端子IN1、IN2の間に蓄電素子C1が接続され、電源入力端子IN1と蓄電素子C1の一方の端子は絶縁トランスT1の一次側巻線の一方の端子に接続されている。
【0017】
絶縁トランスT1の一次側巻線の他方の端子は、スイッチ素子Q12のドレインとスイッチ素子Q21のソースとの接続点に接続されている。スイッチ素子Q11のドレインはスイッチ素子Q12のソースに接続されている(第1の回路)。スイッチ素子Q21のドレインはスイッチ素子Q22のソースに接続され、スイッチ素子Q22のドレインは蓄電素子Cr2の一方の端子と接続され、蓄電素子Cr2の他方の端子は蓄電素子Cr1の一方の端子と接続され、蓄電素子Cr1の他方の端子はスイッチ素子Q11のソースと接続されている(第2の回路)。
【0018】
蓄電素子Cr1の一方の端子と蓄電素子Cr2の他方の端子との接続点は、整流素子D12のカソード側と整流素子D21のアノード側との接続点に、接続されている。蓄電素子Caの一方の端子は、整流素子D21のカソード側と、スイッチ素子Q21のドレインとスイッチ素子Q22のソースとの接続点と、に接続されている。蓄電素子Caの他方の端子は、整流素子D12のアノード側と、スイッチ素子Q11のドレインとスイッチ素子Q12のソースとの接続点と、に接続されている。
【0019】
スイッチ素子Q11のソースと蓄電素子Cr1の他方の端子との接続点は、蓄電素子C1の他方の端子と電源入力端子IN2とに接続されている。
ここで、図1のスイッチング回路3(破線部内)は、スイッチ素子Q11、Q12と、スイッチ素子Q11、Q12を補助するための補助回路から構成されている。補助回路は、スイッチ素子Q11、Q12がオフの期間にスイッチ素子Q21、Q22をオンにさせて、絶縁トランスT1の一次側をリセットするとともに、絶縁トランスT1の一次側に存在する励磁インダクタンスに起因するサージを抑える。蓄電素子Cr1、Cr2は、従来のAFC回路に設けられている蓄電素子Crを分割したもので、スイッチ素子に掛かる印加電圧を分割する。蓄電素子Cr1、Cr2の容量は、蓄電素子Crの容量の1/2であることが望ましい。
【0020】
制御部2は、スイッチ素子Q11、Q12、Q21、Q22のゲートに、オン/オフ信号を送る信号線で接続されている。
なお、本例ではスイッチ素子Q11、Q12、Q21、Q22としてNチャネルMOSFETを用いているが、NチャネルMOSFETに限定されるものではない。
【0021】
ACF回路1の絶縁トランスT1の二次側の構成について説明する。
絶縁トランスT1の二次側の構成は、絶縁トランスT1の二次側巻線の一方の端子が整流素子D1のアノード側に接続され、絶縁トランスT1の二次側巻線の他方の端子は整流素子D2のアノード側に接続されている。整流素子D1、D2のカソード側はともにインダクタL1の一方の端子に接続され、インダクタL1の他方の端子は、蓄電素子C2の一方の端子と出力端子OUT1に接続される。蓄電素子C2の他方の端子は、整流素子D2のアノード側と出力端子OUT2に接続される。絶縁トランスT1の二次側では、整流素子D1、D2およびインダクタL1を用いてエネルギーを蓄積し、蓄電素子C2でリップルを平滑して出力する。
【0022】
ACF回路1の動作について説明する。
AFC回路1は、例えば、制御部2が所定周期Tにおいてスイッチ素子Q11、Q12、Q21、Q22をオン/オフ制御することにより、決められた出力電圧Voutの電力を出力する。所定周期Tは、後述する期間T1+期間T2+期間T3+期間T4で表すことができる。オン/オフ制御は、期間T1においてスイッチ素子Q11、Q12をオンにし、スイッチ素子Q21、Q22をオフにする(Q11、Q12:オン、Q21、Q22:オフ)。続いて、期間T2においてスイッチ素子Q11、Q12をオンからオフにする(Q11、Q12:オフ、Q21、Q22:オフ)。続いて、期間T3においてスイッチ素子Q21、Q22をオフからオンにする(Q11、Q12:オフ、Q21、Q22:オン)。期間T4においてスイッチ素子Q21、Q22をオンからオフにする(Q11、Q12:オフ、Q21、Q22:オフ)。
【0023】
期間T1(モード1の期間)では、絶縁トランスT1の一次巻線線からスイッチ素子Q11、Q12に電流が流れる。絶縁トランスT1の一次側に入力電圧Vinが印加され、絶縁トランスT1の二次側巻線の入力電圧はVin×巻線比Nになり、エネルギーが一次側から二次側に伝達される。モード1の期間は電力が出力されるモードである。
【0024】
期間T2(モード2の期間)では、スイッチ素子Q11、Q12、Q21、Q22の有する容量CQ11、CQ12、CQ21、CQ22に充電がされる。モード2の期間はスイッチングモードである。
【0025】
期間T3(モード3、4の期間)では、モード3の期間において、絶縁トランスT1の一次巻線からの電流は、スイッチ素子Q21、Q22、蓄電素子Cr1、Cr2を流れ、蓄電素子Cr1、Cr2にエネルギーが伝達される。モード3の期間はリセットモードである。モード4の期間において、蓄電素子Cr1、Cr2の電圧が上昇することにより、蓄電素子Cr2、Cr1からスイッチ素子Q22、Q21と絶縁トランスT1の一次巻線線を介して、モード1の期間と反対方向に電流が流れる。
【0026】
期間T4(モード5、6の期間)では、モード5の期間において、蓄電素子Cr1、Cr2、スイッチ素子Q11、Q12、Q21、Q22の有する容量CQ11、CQ12、CQ21、CQ22の放電がされる。モード6の期間において、スイッチ素子Q12、Q11から絶縁トランスT1の一次巻線へ電流が流れる。モード5、6の期間はスイッチングモードである。
【0027】
モード1の期間T1の動作について詳細に説明する。
図2は、モード1の期間の動作を説明するための図である。モード1の期間T1では、スイッチ素子Q11、Q12がオンになり、スイッチ素子Q21、Q22がオフになるので、絶縁トランスT1の一次巻線からスイッチ素子Q11、Q12に電流が流れる。そうすると、図1のスイッチング回路3は、図2に示す蓄電素子Cr1、Cr2、スイッチ素子Q21、Q22、整流素子D21、蓄電素子Caから構成される回路と等価となる。
【0028】
なお、図2ではスイッチ素子Q21、Q22を蓄電素子(容量CQ21、CQ22)と等価とみなして表している。スイッチ素子Q21、Q22の容量CQ21、CQ22は、例えば、スイッチ素子Q21、Q22がMOSFETの場合、ゲート−ソース間の酸化膜により決まる静電容量Cgsと、ゲート−ドレイン間の酸化膜により決まる静電容量Cgdと、ソース−ドレイン間の内蔵ダイオードの接合容量により決まる静電容量Cdsと、により決まる寄生容量である。
【0029】
また、本例では容量CQ21、CQ22は寄生容量を用いて説明するが、実際の回路ではスイッチ素子Q21、Q22それぞれのドレイン−ソース間に外付けのスナバ回路など(コンデンサを有するCRスナバ回路、CDRスナバ回路)が接続されることがあるので、スナバ回路の容量を加味して容量CQ21、CQ22を決めることが望ましい。
【0030】
また、図2の電圧VCQ21、VCQ22は、スイッチ素子Q21、Q22のドレイン−ソース間の電圧である。図2の電圧VCr1、VCr2は、蓄電素子Cr1、Cr2の両端の電圧である。
【0031】
図2に示す回路において、蓄電素子Cr1、Cr2の容量が同じ場合には電圧VCr1と電圧VCr2は同じになり(VCr1=VCr2)、スイッチ素子Q21、Q22に掛かる印加電圧は分割されて均等になる。
【0032】
また、図2の回路においてスイッチ素子Q21、Q22に特性のバラツキがある場合には、(1)容量CQ21>容量CQ22の場合(蓄電素子Caがなくてもよい場合)、(2)容量CQ21<容量CQ22であるので、容量CQ21+蓄電素子Caの容量CQa>容量CQ22とする場合(蓄電素子Caを用いる場合)、が考えられる。
【0033】
(1)においては、蓄電素子Caがなくても容量CQ21>容量CQ22が成立しているので、VCQ21/VCQ22=CQ22/CQ21が成り立ち、図2の接続点TP1、TP2の電圧はVTP1>VTP2となる。そうすると、整流素子D21が導通してVCQ21は(VCr1+VCr2)/2(所定電圧)となる(VCQ21=(VCr1+VCr2)/2)。すなわち、スイッチ素子Q21、Q22に特性のバラツキがある場合でも、(1)の条件が成り立てば、スイッチ素子Q21、Q22に掛かる印加電圧が、電圧(VCr1+VCr2)/2)以上にならないようにできる。また、従来のACF回路より印加電圧を低減できるので、より低い耐圧のスイッチ素子を利用できるようになる。さらに、低い耐圧のスイッチ素子は一般に高い耐圧のスイッチ素子よりスイッチング特性がよいため、低い耐圧のスイッチ素子を使用することで、スイッチング損失も低減することができる。また、高い耐圧のスイッチ素子より、体格を小さくすることができる。
【0034】
(2)においては、容量CQ21<容量CQ22であっても、スイッチ素子Q21に並列に蓄電素子Caが接続されているので、容量CQ21+容量CQa>容量CQ22であるので、VCQ21/VCQ22=CQ22/(CQ21+CQa)が成り立ち、図2の接続点TP1、TP2の電圧はVTP1>VTP2となる。そうすると、整流素子D21が導通してVCQ21は(VCr1+VCr2)/2(所定電圧)となる(VCQ21=(VCr1+VCr2)/2)。すなわち、スイッチ素子Q21、Q22に特性のバラツキがある場合でも、(2)の条件が成り立てば、スイッチ素子Q21、Q22に掛かる印加電圧が、電圧(VCr1+VCr2)/2)以上にならないようにできる。また、従来のACF回路より印加電圧を低減できるので、より低い耐圧のスイッチ素子を利用できるようになる。さらに、低い耐圧のスイッチ素子は一般に高い耐圧のスイッチ素子よりスイッチング特性がよいため、低い耐圧のスイッチ素子を使用することで、スイッチング損失も低減することができる。また、高い耐圧のスイッチ素子より、体格を小さくすることができる。
【0035】
モード3、4の期間T3の動作について詳細に説明する。
図3は、モード3、4の期間の動作を説明するための図である。モード3、4の期間T3では、スイッチ素子Q21、Q22がオンになり、スイッチ素子Q11、Q12がオフになるので、図1のスイッチング回路3は、図3に示す蓄電素子Cr1、Cr2、スイッチ素子Q11、Q12、整流素子D12、蓄電素子Caから構成される回路と等価となる。
【0036】
なお、図3ではスイッチ素子Q11、Q12を蓄電素子(容量CQ11、CQ12)と等価とみなして表している。スイッチ素子Q11、Q12の容量CQ11、CQ12は、例えば、スイッチ素子Q11、Q12がMOSFETの場合、ゲート−ソース間の酸化膜により決まる静電容量Cgsと、ゲート−ドレイン間の酸化膜により決まる静電容量Cgdと、ソース−ドレイン間の内蔵ダイオードの接合容量により決まる静電容量Cdsと、により決まる寄生容量である。
【0037】
また、本例では容量CQ11、CQ12は寄生容量を用いて説明するが、実際の回路ではスイッチ素子Q11、Q12それぞれのドレイン−ソース間に外付けのスナバ回路(コンデンサを有するCRスナバ回路、CDRスナバ回路)が接続されることがあるので、スナバ回路の容量を加味して容量CQ11、CQ12を決めることが望ましい。
【0038】
また、図3の電圧VCQ11、VCQ12は、スイッチ素子Q11、Q12のドレイン−ソース間の電圧である。図3の電圧VCr1、VCr2は、蓄電素子Cr1、Cr2の両端の電圧である。
【0039】
図3に示す回路において、蓄電素子Cr1、Cr2の容量が同じ場合には電圧VCr1と電圧VCr2は同じになり(VCr1=VCr2)、スイッチ素子Q11、Q12に掛かる印加電圧は分割されて均等になる。
【0040】
また、図3の回路においてスイッチ素子Q11、Q12に特性のバラツキがある場合には、(3)容量CQ11>容量CQ12の場合(蓄電素子Caがなくてもよい場合)、(4)容量CQ11<容量CQ12であるので、容量CQ11+蓄電素子Caの容量CQa>容量CQ12とする場合(蓄電素子Caを用いる場合)、が考えられる。
【0041】
(3)においては、蓄電素子Caがなくても容量CQ11>容量CQ12が成立しているので、VCQ11/VCQ12=CQ12/CQ11が成り立ち、図3の接続点TP3、TP4の電圧はVTP3<VTP4となる。そうすると、整流素子D12が導通してVCQ11は(VCr1+VCr2)/2(所定電圧)となる(VCQ11=(VCr1+VCr2)/2)。すなわち、スイッチ素子Q11、Q12に特性のバラツキがある場合でも、(3)の条件が成り立てば、スイッチ素子Q11、Q12に掛かる印加電圧が、電圧(VCr1+VCr2)/2)以上にならないようにできる。また、従来のACF回路より印加電圧を低減できるので、より低い耐圧のスイッチ素子を利用できるようになる。さらに、低い耐圧のスイッチ素子は一般に高い耐圧のスイッチ素子よりスイッチング特性がよいため、低い耐圧のスイッチ素子を使用することで、スイッチング損失も低減することができる。また、高い耐圧のスイッチ素子より、体格を小さくすることができる。
【0042】
(4)においては、容量CQ11<容量CQ12であっても、スイッチ素子Q11に並列に蓄電素子Caが接続されているので、容量CQ21+容量CQa>容量CQ22であるので、VCQ11/VCQ12=CQ12/(CQ11+CQa)が成り立ち、図3の接続点TP3、TP4の電圧はVTP3<VTP4となる。そうすると、整流素子D12が導通してVCQ11は(VCr1+VCr2)/2(所定電圧)となる(VCQ11=(VCr1+VCr2)/2)。すなわち、スイッチ素子Q11、Q12に特性のバラツキがある場合でも、(4)の条件が成り立てば、スイッチ素子Q11、Q12に掛かる印加電圧が、電圧(VCr1+VCr2)/2)以上にならないようにできる。また、従来のACF回路より印加電圧を低減できるので、より低い耐圧のスイッチ素子を利用できるようになる。さらに、低い耐圧のスイッチ素子は一般に高い耐圧のスイッチ素子よりスイッチング特性がよいため、低い耐圧のスイッチ素子を使用することで、スイッチング損失も低減することができる。また、高い耐圧のスイッチ素子より、体格を小さくすることができる。
【0043】
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
以上実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記)
アクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路の絶縁トランスの一次側に設けられるスイッチング回路であって、
前記スイッチング回路は、
第1、第2のスイッチ素子が直列に接続される第1の回路と、
前記第1の回路に並列に接続される、第3、第4のスイッチ素子、第1、第2の蓄電素子が直列に接続される第2の回路と、
前記第1、第2のスイッチ素子の接続点にアノード側が接続され、前記第1、第2の蓄電素子の接続点にカソード側が接続される第1の整流素子と、
前記第3、第4のスイッチ素子の接続点にカソード側が接続され、前記第1、第2の蓄電素子の接続点にアノード側が接続される第2の整流素子と、
前記第1、第2のスイッチ素子の接続点と、前記第3、第4のスイッチ素子の接続点と、に接続される第3の蓄電素子と、
を備える、
ことを特徴とするアクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路。
【符号の説明】
【0044】
1 アクティブクランプ方式のフォワード形DC−DCコンバータ回路(ACF回路)
2 制御部、
3 スイッチング回路、
C1、C2、Cr1、Cr2、Ca 蓄電素子、
D1、D2、D12、D21 整流素子、
IN1、IN2 電源入力端子、
L1 インダクタ、
OUT1、OUT2 出力端子、
Q11、Q12、Q21、Q22 スイッチ素子、
T1 絶縁トランス、
図1
図2
図3