特許第6044609号(P6044609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044609
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】コネクタの接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/72 20110101AFI20161206BHJP
【FI】
   H01R12/72
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-180654(P2014-180654)
(22)【出願日】2014年9月4日
(65)【公開番号】特開2016-54131(P2016-54131A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2015年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095636
【弁理士】
【氏名又は名称】早崎 修
(72)【発明者】
【氏名】浅井 清
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−116658(JP,A)
【文献】 特開2011−204599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁電線の端末を収容する電線収容室が凹設された直方体状のプラグハウジングと、
電線収容室に収容される絶縁電線に圧接板部が直交するようにプラグハウジングに支持され、電線収容室内で絶縁電線の芯線に圧接板部の圧接溝が圧接接続する導電金属製の圧接コンタクトとを有するコネクタプラグと、
回路基板に配置され、前記電線収容室が前記回路基板の表面に沿った姿勢で前記プラグハウジングが挿入される嵌合凹部が形成されたソケットハウジングと、ソケットハウジングに支持され、コンタクト接触部が嵌合凹部内に臨む接続コンタクトとを有し、
ソケットハウジングから外方に突出する接続コンタクトと回路基板のパターンが半田接続されるコネクタソケットとを備え、
コネクタソケットの嵌合凹部にコネクタプラグのプラグハウジングを挿入することにより、嵌合凹部内でコネクタプラグの圧接コンタクトとコネクタソケットのコンタクト接触部が接触し、絶縁電線の芯線と回路基板のパターンが電気接続するコネクタの接続構造であって、
圧接コンタクトの圧接板部は、回路基板に対して起立する嵌合凹部の内側面に対峙するプラグハウジングの側面から電線収容室内に突出し、前記回路基板の表面に沿って電線収容室に挿入される絶縁電線の側方から圧接板部の圧接溝が芯線に圧接接続することを特徴とするコネクタの接続構造。
【請求項2】
圧接コンタクトの圧接板部は、平板状の接触板部から直角に折り曲げて形成され、
コネクタソケットの嵌合凹部にコネクタプラグのプラグハウジングを挿入することにより、プラグハウジングの前記側面に沿って露出する圧接コンタクトの接触板部と嵌合凹部の前記内側面に臨む接続コンタクトのコンタクト接触部が接触することを特徴とする請求項1に記載のコネクタの接続構造。
【請求項3】
圧接コンタクトは、一対の圧接板部が電線収容室の長手方向に沿った接触板部の両側から電線収容室に向かって直角に折り曲げて形成されることを特徴とする請求項2に記載のコネクタの接続構造。
【請求項4】
ソケットハウジングは、連結枠部の両側から一対の腕部が突設され、回路基板への投影形状をコの字状としたコの字枠体と、コの字枠体の平面側を施蓋する金属蓋体とからなり、回路基板とコの字枠体と金属蓋体とにより、プラグハウジングが挿入される挿入口を除く嵌合凹部の周囲が囲われることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコネクタの接続構造。
【請求項5】
金属蓋体は、それぞれ一対の腕部の外側面に沿って配置され、先端が回路基板に固定される一対の脚部を有することを特徴とする請求項4に記載のコネクタの接続構造。
【請求項6】
一対の脚部は、回路基板の接地パターンに半田付けして固定されることを特徴とする請求項5に記載のコネクタの接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁電線を回路基板へ接続するコネクタの接続構造に関し、更に詳しくは、絶縁電線の芯線に圧接して接続する圧接コンタクトを有するコネクタプラグを回路基板に実装されたコネクタソケットへ接続して、絶縁電線の芯線と回路基板のパターンを接続するコネクタの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁電線の芯線の接続には、芯線の周囲を覆う絶縁被覆をはぎ取って芯線を臨ませる手間がかかることから、圧接板部の圧接溝で絶縁被覆を突き破り、直接その中心の芯線を挟持して接続する圧接コンタクトを用いた電気コネクタが広く用いられている。被覆電線の端末とプリント配線基板などの回路基板との接続には、絶縁ハウジングに圧接コンタクトを支持したコネクタプラグに被覆電線の端末を接続し、そのコネクタプラグを回路基板に実装したコネクタソケットに接続し、絶縁電線の芯線を回路基板のパターンへ電気接続している。
【0003】
以下、このように絶縁電線との接続に圧接コンタクトを用いた特許文献1に記載のコネクタの接続構造100を、図8乃至図10を用いて説明する。図8は、絶縁電線130の端末を接続したコネクタプラグ101の斜視図であり、図示するように、略直方体状の合成樹脂からなるプラグハウジング102に、2本の絶縁電線130の端末をそれぞれ上方から収容する一組の電線収容室103が凹設されるとともに、その後端側(図中斜め左下方側)に後述する接続コンタクト112のコンタクト接触部112aが挿入される一組の縦溝104が凹設されている。
【0004】
電線収容室103に収容される圧接コンタクト105は、図9に示すように、上方から絶縁電線130の端末を収容するように樋状に形成され、前方から圧着バレル106、係止片108、圧接板部107及び二股接触部109が導電製金属板を折り曲げて一体に形成されている。電線収容室103内に圧接コンタクト105が収容された状態で、二股接触部109は、縦溝104で対向する内壁面から突出する。圧接板部107は、電線収容室103に収容される絶縁電線130に直交し、その中央に回路基板120の方向(図9において上方)に開口する圧接溝107aが凹設されている。一組の挟持片107b間の圧接溝107aの幅は、絶縁電線130の図示しない芯線130bの外径よりわずかに短く、これにより絶縁電線130の端末を圧接溝107aの上方から圧入すると、圧接溝107aの内側の刃面が絶縁被覆130aと芯線130bの一部を突き破り、圧接コンタクト105と芯線130bが電気接続する。その後、圧着バレル106を絶縁電線130の絶縁被覆130aに沿って加締め、係止片108を電線収容室103の周囲に係止することにより、圧接コンタクト105を介して絶縁電線130の端末はプラグハウジング102の電線収容室103から抜け止めされる。
【0005】
図10に示すように、回路基板120に実装されるコネクタソケット110は、コネクタプラグ101を嵌合接続する嵌合凹部が形成されたソケットハウジング111と、ソケットハウジング111に起立して支持される一組の導電金属板からなる接続コンタクト112から構成される。接続コンタクト112の下端は、回路基板120の図示しないパターンに半田接続され、また、その上方の嵌合凹部112内で起立するコンタクト接触部112aは、嵌合凹部112にコネクタプラグ101を挿入した際に、コネクタプラグ101側の縦溝104に挿入され、その両側に突出する二股接触部109に接触する。その結果、絶縁電線130の芯線130bは、圧接コンタクト105と接続コンタクト112を介して回路基板120のパターンに電気接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−158730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の従来のコネクタの接続構造100は、図11に示すように、絶縁電線130の端末を圧接板部107の上方に開口する圧接溝107aへ回路基板120に直交する上方から圧入し、圧接溝107aの内側の刃面を絶縁電線130の芯線130bに圧接している。このように鉛直方向で絶縁電線130に対して圧接板部107を圧入する場合には、圧接板部107の回路基板120と平行な水平方向幅Aを絶縁電線130の外径に略等しい長さとすることができるのに対して、回路基板120に直交する鉛直方向幅Bは、圧接溝107aの両側の絶縁電線130の外径に略等しい長さの挟持片107bに一組の挟持片107bを連結する連結片107cの板幅Bαを加えた長さとなり、水平方向幅Aより鉛直方向幅Bが長くなるものであった。
【0008】
このように回路基板120に直交する鉛直方向に圧接板部107を圧入する圧接コンタクト105は、同方向の高さが高くなり、その結果、圧接コンタクト105を収容するコネクタプラグ101やコネクタプラグ101が嵌合接続するコネクタソケット110の回路基板120上の高さも高くなっていた。一方、この種のコネクタの接続構造100は、電子機器の筐体内で回路基板120上の回路素子と他の回路素子とを絶縁電線130で接続する内部配線に採用されるので、小型化した電子機器では、回路基板120に実装されるコネクタソケット110も可能な限りの低背化が求められているが、上述の理由から、その高さは、0.9mm乃至1.2mmが限界であり、その高さ以下とすることができなかった。
【0009】
また、従来のコネクタの接続構造100では、絶縁電線130の端末から更にコネクタプラグ101の挿入方向である後方に圧接コンタクト105の二股接触部109が突出し、更にその後方に配置されるコネクタソケット110のコンタクト接触部112aに接触させる構造であるので、図10に示すように、コネクタプラグ101とコネクタプラグ101が接続するコネクタソケット110の挿入方向に沿った全長が長くなり、回路基板120上の実装面積が拡大し、高密度実装の制約となっていた。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、回路基板に実装されるコネクタソケットやコネクタソケットに接続するコネクタプラグの低背化が可能なコネクタの接続構造を提供することを目的とする。
【0011】
また、コネクタプラグをコネクタソケットに接続した全体の長さを短縮し、回路基板への実装面積を縮小するコネクタの接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するため、請求項1に記載のコネクタの接続構造は、絶縁電線の端末を収容する電線収容室が凹設された直方体状のプラグハウジングと、電線収容室に収容される絶縁電線に圧接板部が直交するようにプラグハウジングに支持され、電線収容室内で絶縁電線の芯線に圧接板部の圧接溝が圧接接続する導電金属製の圧接コンタクトとを有するコネクタプラグと、回路基板に配置され、電線収容室が前記回路基板の表面に沿った姿勢で前記プラグハウジングが挿入される嵌合凹部が形成されたソケットハウジングと、ソケットハウジングに支持され、コンタクト接触部が嵌合凹部内に臨む接続コンタクトとを有し、ソケットハウジングから外方に突出する接続コンタクトと回路基板のパターンが半田接続されるコネクタソケットとを備え、
コネクタソケットの嵌合凹部にコネクタプラグのプラグハウジングを挿入することにより、嵌合凹部内でコネクタプラグの圧接コンタクトとコネクタソケットのコンタクト接触部が接触し、絶縁電線の芯線と回路基板のパターンが電気接続するコネクタの接続構造であって、圧接コンタクトの圧接板部は、回路基板に対して起立する嵌合凹部の内側面に対峙するプラグハウジングの側面から電線収容室内に突出し、回路基板の表面に沿って電線収容室に挿入される絶縁電線の側方から圧接板部の圧接溝が芯線に圧接接続することを特徴とする。
【0013】
圧接コンタクトの圧接板部は、回路基板に対して起立する嵌合凹部の内側面に対峙するプラグハウジングの側面から電線収容室内に突出するので、回路基板に直交する方向の圧接板部の高さが短縮される。
【0014】
請求項2に記載のコネクタの接続構造は、圧接コンタクトの圧接板部は、平板状の接触板部から直角に折り曲げて形成され、コネクタソケットの嵌合凹部にコネクタプラグのプラグハウジングを挿入することにより、プラグハウジングの前記側面に沿って露出する圧接コンタクトの接触板部と嵌合凹部の前記内側面に臨む接続コンタクトのコンタクト接触部が接触することを特徴とする。
【0015】
コネクタプラグの圧接コンタクトとコネクタソケットの接続コンタクトは、電線収容室内に収容される絶縁電線の端末の側方となるプラグハウジングの側面で接触するので、絶縁電線の端末の延長方向に圧接コンタクトや接続コンタクトが配置されず、絶縁電線の配線方向に沿った回路基板上のコネクタプラグとコネクタソケットの長さを短縮できる。
【0016】
請求項3に記載のコネクタの接続構造は、圧接コンタクトの一対の圧接板部が電線収容室の長手方向に沿った接触板部の両側から電線収容室に向かって直角に折り曲げて形成されることを特徴とする。
【0017】
絶縁電線の配線方向に沿った異なる2カ所の位置に一対の圧接板部がそれぞれ圧接するので、絶縁電線は、プラグハウジングに支持される圧接コンタクトの圧接板部によって確実に固定される。
【0018】
請求項4に記載のコネクタの接続構造は、ソケットハウジングが、連結枠部の両側から一対の腕部が突設され、回路基板への投影形状をコの字状としたコの字枠体と、コの字枠体の平面側を施蓋する金属蓋体とからなり、回路基板とコの字枠体と金属蓋体とにより、プラグハウジングが挿入される挿入口を除く嵌合凹部の周囲が囲われることを特徴とする。
【0019】
嵌合凹部の上方は、薄肉としても所定の強度が得られる金属蓋板で覆われ、下方は、コネクタソケットが実装される回路基板で覆われるので、コネクタソケットの回路基板上の高さを、コネクタプラグとほぼ同一高さとすることができる。
【0020】
請求項5に記載のコネクタの接続構造は、金属蓋体は、それぞれ一対の腕部の外側面に沿って配置され、先端が回路基板に固定される一対の脚部を有することを特徴とする。
【0021】
一対の腕部の外側面に回路基板に固定される脚部が配置されるので、腕部が嵌合凹部に挿入するコネクタプラグから側方への力を受けても腕部が開かない。
【0022】
請求項6に記載のコネクタの接続構造は、一対の脚部は、回路基板の接地パターンに半田付けして固定されることを特徴とする。
【0023】
コネクタプラグとコネクタソケットの接続部が接地導体となる金属蓋体で覆われるので、シールドされる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明によれば、回路基板に実装されるコネクタソケットやコネクタソケットに接続するコネクタプラグの高さをコネクタプラグに接続される絶縁電線の外径に近い高さまで低背化できる。
【0025】
請求項2の発明によれば、絶縁電線の端末を接続するコネクタプラグを回路基板に実装されるコネクタソケットに接続したコネクタの接続構造の全体の長さが短縮されるので、回路基板への実装面積が減少し、高密度実装が可能となる。
【0026】
請求項3の発明によれば、絶縁電線に予期しない引き抜き力が加わっても、コネクタプラグから引き抜かれない。
【0027】
また、絶縁電線の異なる2カ所の位置で一対の圧接板部が芯線に圧接するので、圧接コンタクトと絶縁電線の芯線が確実に電気接続する。
【0028】
請求項4の発明によれば、回路基板上に実装されるコネクタソケットの高さを、低背化させたコネクタプラグとほぼ同一高さとすることができる。
【0029】
請求項5の発明によれば、コの字枠体の腕部に回路基板への固定手段を設けずに、一対の腕部が開き止めされる。
【0030】
請求項6の発明によれば、コの字枠体の腕部を開き止めする金属蓋体を利用して、コネクタプラグとコネクタソケットの接続部をシールドできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施の形態に係るコネクタの接続構造1のコネクタプラグ10とコネクタソケット20との接続状態を示す斜視図である。
図2】絶縁電線130に沿って切断した図1の横断面図である。
図3】コネクタプラグ10をコネクタソケット20へ接続する状態を示す斜視図である。
図4】コネクタプラグ10とコネクタソケット20の分解斜視図である。
図5】プラグハウジング11へ一対の圧接コンタクト2を取り付ける状態を示す斜視図である。
図6】ソケットハウジング21のコの字枠体22へ一対の接続コンタクト23を取り付ける状態を示す斜視図である。
図7】コネクタソケット20を回路基板120側からみた斜視図である。
図8】従来のコネクタの接続構造100のコネクタプラグ101を示す斜視図である。
図9】コネクタプラグ101に備えられる圧接コンタクト105の斜視図である。
図10】従来のコネクタの接続構造100のコネクタプラグ101とコネクタソケット110との接続状態を示す斜視図である。
図11】圧接コンタクト105の圧接板部107に沿って切断した絶縁電線130の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施の形態に係るコネクタの接続構造1を、図1乃至図7を用いて説明する。このコネクタの接続構造1は、他側に回路部品等が接続された絶縁電線130をプリント配線基板等の回路基板120のパターンへ電気接続する目的で、圧接コンタクト2を用いて絶縁電線130の端末を接続したコネクタプラグ10を、回路基板120に実装されたコネクタソケット20へ接続するもので、特に、携帯電話機のバイブレータへの駆動信号やマイク、レシーバーなど、2本の絶縁電線130により信号を伝達するコネクタの接続構造である。尚、本実施の形態においては、コネクタプラグ10をコネクタソケット20へ挿入する方向を後方と、抜去方向を前方と、回路基板120に直交する方向を鉛直方向と、その内、コネクタソケット20が実装される回路基板120の表面側を上方として説明する。
【0033】
絶縁電線130は、導電性材からなる単線又は撚線からな芯線130bと芯線130bに同軸上にその周囲を覆う絶縁被覆130aで構成され、コネクタプラグ10は、一組の各絶縁電線130の芯線130bにそれぞれ電気接続する一組の圧接コンタクト2、2と、絶縁電線130の端末部及び一組の圧接コンタクト2、2を保持する絶縁樹脂製のプラグハウジング11とを備えている。
【0034】
圧接コンタクト2、2は、導電性金属板材をプレス加工して、平板長方形状の接触板部3と、接触板部3の長手方向の両端から互いに平行に直角に折り曲げられた一対の圧接板部4とが一体に形成され、図5に示すように鉛直方向からみてコの字状となっている。圧接板部4は、連結片4cの両側から接触片部3と反対側に向かって一対の挟持片4b、4bが連設されることによって、その内側に圧接溝4aが形成される。一対の挟持片4b、4bの圧接溝4a側の内側面と先端面は、テーパー面を形成することにより絶縁電線130の絶縁被覆130aを破断して突き破ることが可能な刃面となっている。圧接コンタクト2の圧接板部4を、絶縁電線130の側方から圧入してその芯線130bに圧接するように、一対の挟持片4b、4bの内側面間の長さ、すなわち圧接溝4aの幅は、絶縁電線130の芯線130bの外径よりわずかに短く、外側面間の長さ、すなわち、圧接板部4の幅は、絶縁電線130の外径に略等しい長さとなっている。
【0035】
プラグハウジング11は、絶縁性樹脂により扁平な直方体状に形成され、その前面の左右の2カ所から、それぞれ2本の絶縁電線130の端末を収容する円筒形の電線収容室12、12が凹設されている。電線収容室12の内径は、絶縁電線130の外径よりわずかに長く、その後端はプラグハウジング11の後壁によって閉鎖されている。従って、前方から電線収容室12に挿入される絶縁電線130の端末部は、抜去方向の前方を除く各方向で電線収容室12内に位置決めされる。
【0036】
図5に示すように、プラグハウジング11の左右の側面には、前後方向に沿って圧接コンタクト2の接触板部3を収容する端子収容部13が凹設されるとともに、端子収容部13の前端と後端から、左右の側面に直交する水平方向に電線収容室12に連通する圧接案内孔14が穿設されている。圧接案内孔14は、圧接コンタクト2の圧接板部4を挿通させる角孔状に形成され、圧接コンタクト2、2の接触板部3を側方から治具などを用いて端子収容部13の方向に押し込むと、圧接板部4がプラグハウジング11の側面に直交する圧接案内孔14を通して電線収容室12内に突出する。この押し込み工程で、圧接板部4の挟持片4bの刃面が電線収容室12に収容される絶縁電線130の絶縁被覆130aを破断して突き破り、芯線130bの側方から圧接板部4の圧接溝4aが圧接する。
【0037】
圧接コンタクト2の接触板部3が完全に端子収容部13内に収容されるまで、圧接板部4を側方から押し込むと、圧接溝4aが絶縁電線130の芯線130bに圧接することにより、圧接コンタクト2と芯線130bが電気接続するとともに、絶縁電線130の前後の2カ所に圧接コンタクト2が圧接するので、絶縁電線130は強固にプラグハウジング11に対して固定される。また、図3に示すように、圧接コンタクト2の接触板部3は、プラグハウジング11の側面に前後方向に沿って露出する。
【0038】
このように、圧接コンタクト2の圧接板部4をプラグハウジング11の側面から水平方向に押し込み、絶縁電線130の芯線130bの側方から圧接板部4の圧接溝4aを圧接する本実施の形態では、図11のAの幅が鉛直方向幅、Bの幅が水平方向幅となり、プラグハウジング11の鉛直方向の高さを、絶縁電線130の外径よりわずかに長い長さまで低背化できる。
【0039】
尚、プラグハウジング11には、コネクタプラグ10をコネクタソケット20の嵌合凹部21aに挿入した際に、嵌合凹部21aの平面前端の位置決め凹部24aに遊嵌する位置決め突起15が平面の前端部中央に突設され、コネクタプラグ10が嵌合凹部21aのほぼ中央に挿入されるように位置決めしている。
【0040】
コネクタソケット20は、前方から2本の絶縁電線130を接続したコネクタプラグ10が挿入される上記嵌合凹部21aを有するソケットハウジング21と、嵌合凹部21aの左右で対向する内側面から嵌合凹部21a内に突出するコンタクト接触部23aを有する一対の接続コンタクト23とを備え、図3に示すように、位置決め突起15を上方とする向きで、コネクタプラグ10を嵌合凹部21aへ挿入すると、プラグハウジング11の両側面に露出する圧接コンタクト2の接触板部3がそれぞれコンタクト接触部23aに弾性接触するようになっている。
【0041】
ソケットハウジング21は、図4に示すように、絶縁合成樹脂で連結枠部25と連結枠部25の両側から前方に突出する一対の腕部26、26とが一体に形成されることによりコの字状に形成されたコの字枠体22と、コの字枠体22の平面を覆う金属カバー24とからなり、コネクタソケット20が実装される回路基板120の表面とコの字枠体22と金属カバー24とにより、前方に開口する嵌合凹部21aが形成されている。
【0042】
一対の腕部26、26には、接続コンタクト23を支持するコンタクト収容溝26aが連結枠部25の後面から腕部26の内側面に沿って形成され、また、連結枠部25には、金属カバー24のストッパー片24bを上下方向に挿通させる受け溝25aが凹設されている。
【0043】
金属カバー24は、コの字枠体22の平面を覆う長方形板状に形成され、その後端の中央から鉛直方向にストッパー片24bが垂設されている。ストッパー片24bは、受け溝25aに挿通する下端が回路基板120の接地パターンに半田接続され、これにより、コネクタプラグ10からソケットハウジング21が強い挿入力を受けても、ストッパー片24bがその挿入力を受け、ソケットハウジング21に支持される後述する接続コンタクト23の半田接続部23cに伝達されない。
【0044】
また、金属カバー24の長方形板状の左右側面の前方には、コの字枠体22の腕部26の外側面に沿って下端が回路基板120の接地パターンに半田接続される脚片24cが垂設されている。一対の脚片24cがそれぞれ左右の腕部26の外側で回路基板120に固定されるので、コネクタプラグ10を嵌合凹部21aに対して斜めに挿入したり、左右に偏って挿入しても、腕部26が外側に撓むことなく、コネクタプラグ10を前後方向に沿って嵌合凹部21aへ案内する。従って、コの字枠体22側に実装する回路基板120に対して位置決めする位置決め手段を設ける必要がなく、絶縁合成樹脂で形成するコの字枠体22を簡単かつ小型の形状で形成できる。
【0045】
このように嵌合凹部21aの下方は、コネクタソケット20を実装する回路基板120の表面で覆い、上方は、薄肉で所定の強度が得られる金属板で覆うので、コネクタソケット20の回路基板上の実装高さを、コネクタプラグ10の高さ、すなわち、絶縁電線130の外径よりわずかに長い長さの例えば、0.6mmまで低背化できる。また、嵌合凹部21aの平面側を覆う金属カバー24が接地パターンに接続して接地されるので、嵌合凹部21a内で露出するコネクタプラグ10の圧接コンタクト2やコネクタソケット20の接続コンタクト23の上方がシールドされる。
【0046】
接続コンタクト23は、導電性金属板材をプレス加工することにより、細長板状の固定片23bと、固定片23bの前端側がU字状に内側(接続コンタクト23がコンタクト収容溝26aに支持された状態で嵌合凹部21aの内方側)に折り返されたコンタクト接触部23aと、固定片23bの後端部の下面からコンタクト接触部23と逆側の外側に水平に連設された半田接続部23cとが一体に形成されている。
【0047】
接続コンタクト23は、図6に示すように、コンタクト収容溝26aの後方から挿入して腕部26の内側面に沿って取り付けられ、図7に示すように、コの字枠体22に取り付けた状態で、コンタクト接触部23aは、前方で嵌合凹部21a内に突出し、半田接続部23cは、後方でコの字枠体22の底面に平行に沿って外側に突出する。一対の半田接続部23cに対向する回路基板120の表面には、それぞれ信号パターンが形成され、金属カバー24のストッパー片24bと一対の脚片24cを接地パターンへ半田付けするとともに、半田接続部23cを信号パターンへ半田付けして、コネクタソケット20が回路基板120上に実装される。
【0048】
このように回路基板120に実装されたコネクタソケット20の嵌合凹部21aへ、図3に示すように、前方から2本の絶縁電線130を接続したコネクタプラグ10を挿入する。金属カバー24の位置決め凹部24aにコネクタプラグ10の位置決め突起15が游嵌される図1の位置まで挿入して、コネクタプラグ10とコネクタソケット20が接続され、この接続状態では、図2に示すように、嵌合凹部21aの両側面から突出する接続コンタクト23のコンタクト接触部23aが、プラグハウジング11の両側面に露出する圧接コンタクト2の接触板部3にそれぞれ弾性接触し、2本の絶縁電線130の芯線130bが回路基板120の対応する信号パターンに電気接続する。
【0049】
コネクタプラグ10の圧接コンタクト2とコネクタソケット20の接続コンタクト23とは、コネクタプラグ10の挿入方向である前後方向に直交する嵌合凹部21a内の側方であるので、嵌合凹部21aの後方に接続コンタクト23や圧接コンタクト2を配置する必要がなくなり、コネクタプラグ10とコネクタソケット20の前後方向の長さを短縮できる。
【0050】
しかしながら、コネクタプラグ10やコネクタソケット20の回路基板120に直交する鉛直方向での低背化のみが目的であれば、コネクタプラグ10の圧接コンタクト2とコネクタソケット20の接続コンタクト23とを、嵌合凹部21aの後方で接続させる構成としてもよい。
【0051】
また、上述の実施の形態では、絶縁電線130の端末部を電線収容室12へ挿入する方向と、コネクタプラグ10を嵌合凹部21aへ挿入させる方向を一致させているが、回路基板120に直交する嵌合凹部21aの左右の内側面に沿って挿入されるプラグハウジング11の側面から、その側面に直交して圧接コンタクト2を絶縁電線130の芯線130bに圧接させる構造であれば、コネクタプラグ10を嵌合凹部21aの鉛直方向から挿入させてもよい。
【0052】
また、1枚の圧接コンタクト2には、前後に一対の圧接溝4aが形成された圧接板部4を形成し、絶縁電線130の長手方向で異なる2カ所に圧接接続させたが、1又は3以上の圧接溝4aを形成したものであってもよい。
【0053】
更に、上述の実施の形態では、コネクタプラグ10に2本の絶縁電線130を接続させた例で説明したが、1本の絶縁電線130のみを接続するコネクタプラグ10であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
圧接コンタクトを用いて絶縁電線に接続するコネクタプラグとコネクタプラグに接続するコネクタソケットの回路基板上の高さを低背化するコネクタの接続構造に適している。
【符号の説明】
【0055】
1 コネクタの接続構造
2 圧接コンタクト
3 接触板部
4 圧接板部
4a 圧接溝
10 コネクタプラグ
11 プラグハウジング
12 電線収容室
20 コネクタソケット
21 ソケットハウジング
21a 嵌合凹部
22 コの字枠体
23 接続コンタクト
23a コンタクト接触部
24 金属カバー(金属蓋体)
24c 脚片(脚部)
25 連結枠部
26 腕部
120 回路基板
130 絶縁電線
130b 芯線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11