特許第6044610号(P6044610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044610
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 19/00 20060101AFI20161206BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20161206BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20161206BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20161206BHJP
【FI】
   F21V19/00 233
   H01L33/00 L
   F21V29/503
   F21V19/00 170
   F21Y115:10
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-181363(P2014-181363)
(22)【出願日】2014年9月5日
(65)【公開番号】特開2016-58149(P2016-58149A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2016年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100115543
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 康男
(72)【発明者】
【氏名】松原 大介
(72)【発明者】
【氏名】村井 卓生
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−32511(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0116266(US,A1)
【文献】 米国特許第7810968(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 19/00
F21V 29/503
H01L 33/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3個以上の光源ユニットと、
装置中心軸を中心とする円周方向に沿って設けられた案内溝を有する光源ユニット支持体と、
を備え、
すべての前記光源ユニット、または、すべての前記光源ユニットのうちの一つ以外の前記光源ユニットが、それぞれ、前記案内溝に沿って案内される被案内部を介して前記光源ユニット支持体に支持され、
前記装置中心軸に平行な方向から見たときに前記3個以上の前記光源ユニットからの光照射方向が放射状になる第一使用状態と、前記装置中心軸に平行な方向から見たときに前記3個以上の前記光源ユニットからの光照射方向が前記第一使用状態に比べて片寄った方向になる第二使用状態とに、前記3個以上の前記光源ユニットの配置状態を変更可能であり、
前記被案内部を前記案内溝に沿って移動させることで、前記第一使用状態と前記第二使用状態とに変更可能である発光装置。
【請求項2】
前記3個以上の前記光源ユニットを全体的に前記装置中心軸を中心として回転可能な全体回転部を備える請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
すべての前記光源ユニットのうち、一つの前記光源ユニットが前記光源ユニット支持体に対し移動不能に固定され、他の前記光源ユニットが、それぞれ、前記被案内部を介して前記光源ユニット支持体に支持されている請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記案内溝は、前記装置中心軸を中心とする円周方向に前記被案内部の移動を案内する第一案内溝と、前記第一案内溝に比べて前記装置中心軸からの半径が小さい円周方向に前記被案内部の移動を案内する第二案内溝とを含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記案内溝は、前記第一案内溝と前記第二案内溝との間を接続する接続部を含み、前記被案内部が前記接続部を通って前記第一案内溝と前記第二案内溝との間を移動可能である請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記被案内部の断面形状が、前記案内溝の幅に対応する直径の円形である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記被案内部の断面形状が、対辺間の距離が前記案内溝の幅に対応する多角形である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記被案内部の断面形状が、前記案内溝の円弧に対応する円弧を有する形状である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記光源ユニットは、発光素子と、前記発光素子の裏面側に設けられたヒートシンクとを有する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、LED光源(12)を取り付ける取付面を有する本体(11)を、口金(コネクタ14)に対して360度回転自在にする枢点部(141)を設けることで、光照射方向を調節可能にしたLEDランプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3179750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のLEDランプは、光照射方向が一方向であるため、全周囲に配光すべき用途には使用できない。全周囲に配光すべき用途に対しては、他のLEDランプを使用する必要がある。全周囲に配光する用途と、特定の方向に配光する用途との両方がある場合には、全周囲に配光するLEDランプと、特定の方向に配光するLEDランプとの両方を用意し、両者を使い分ける必要があるので、コストが高くなる。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、装置中心軸の全周囲に配光する使用状態と、装置中心軸の周囲の一部分に配光する使用状態との双方に対応できる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光装置は、3個以上の光源ユニットと、装置中心軸を中心とする円周方向に沿って設けられた案内溝を有する光源ユニット支持体と、を備え、すべての光源ユニット、または、すべての光源ユニットのうちの一つ以外の光源ユニットが、それぞれ、案内溝に沿って案内される被案内部を介して光源ユニット支持体に支持され、装置中心軸に平行な方向から見たときに3個以上の光源ユニットからの光照射方向が放射状になる第一使用状態と、装置中心軸に平行な方向から見たときに3個以上の光源ユニットからの光照射方向が第一使用状態に比べて片寄った方向になる第二使用状態とに、3個以上の光源ユニットの配置状態を変更可能であり、被案内部を案内溝に沿って移動させることで、第一使用状態と第二使用状態とに変更可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の発光装置によれば、装置中心軸を中心とする円周方向に沿って設けられた案内溝に沿って、光源ユニットの被案内部を移動させることで、装置中心軸の全周囲に配光する第一使用状態と、装置中心軸の周囲の一部分に配光する第二使用状態との双方に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1の発光装置(第一使用状態)を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1の発光装置(第二使用状態)を示す斜視図である。
図3】第二使用状態の発光装置を、装置中心軸が水平になる姿勢にした状態を示す斜視図である。
図4図1に示す発光装置が備える光源ユニットと光源ユニット支持体との連結部分を示す斜視図である。
図5図4の状態から光源ユニットと光源ユニット支持体との連結を解除した状態を示す斜視図である。
図6図1に示す発光装置が備える光源ユニット支持体を装置中心軸に平行な方向から見た図である。
図7】本発明の実施の形態1の発光装置の変形例が備える光源ユニット支持体を装置中心軸に平行な方向から見た図である。
図8】本発明の実施の形態1の発光装置の他の変形例が備える光源ユニット支持体を装置中心軸に平行な方向から見た図である。
図9】本発明の実施の形態1の発光装置が備える光源ユニットの被案内部の構成例を示す図である。
図10】本発明の実施の形態1の発光装置が備える光源ユニットの被案内部の他の構成例を示す図である。
図11】本発明の実施の形態1の発光装置が備える光源ユニットの被案内部のさらに他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の発光装置1A(第一使用状態)を示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1の発光装置1A(第二使用状態)を示す斜視図である。図3は、第二使用状態の発光装置1Aを、装置中心軸が水平になる姿勢にした状態を示す斜視図である。図4は、図1に示す発光装置1Aが備える光源ユニット2と光源ユニット支持体3との連結部分を示す斜視図である。図5は、図4の状態から光源ユニット2と光源ユニット支持体3との連結を解除した状態を示す斜視図である。図6は、図1に示す発光装置1Aが備える光源ユニット支持体3を装置中心軸に平行な方向から見た図である。
【0011】
これらの図に示す本実施の形態1の発光装置1Aは、光源ユニット2と、光源ユニット支持体3と、口金4と、基部5と、全体回転部6とを備える。口金4としては、例えば、E39口金(Φ39mm)、E26口金(Φ26mm)等のねじ込み式の口金が好ましく使用できる。口金4の中心を通る直線が、発光装置1Aの中心軸になる。発光装置1Aの中心軸を「装置中心軸」と称する。口金4は、ソケット(図示省略)に対して固定される。口金4は、光源ユニット2に供給される電力の電気接点としての機能、及び、発光装置1Aを使用箇所に固定する固定部としての機能を有する。本実施の形態1の発光装置1Aは、3個の光源ユニット2を備える。3個の光源ユニット2は、互いにほぼ同様の構成である。
【0012】
光源ユニット支持体3は、中心軸が装置中心軸に一致し、基部5より外径の大きい略円盤状の形状を有する。光源ユニット支持体3には、発光装置1Aが備える3個の光源ユニット2が取り付けられている。光源ユニット支持体3は、装置中心軸を中心とする円周方向に沿って設けられた案内溝3aを有する。案内溝3aは、装置中心軸に平行な方向に光源ユニット支持体3を貫通しており、長穴状をなしている。図6に示すように、案内溝3aは、装置中心軸を中心とする円弧状をなす。本実施の形態1では、光源ユニット支持体3は、複数の案内溝3aを有する。案内溝3aの数は、光源ユニット2の数と同数(本実施の形態1では3個)である。各々の案内溝3aの長さは、互いに等しい。
【0013】
図1に示すように、光源ユニット2は、光源基板2aと、光源基板2aの一面側(表面側)に設けられた発光素子2bと、光源基板2aの他面側(裏面側)に設けられたヒートシンク2cとを有する。光源基板2aは、装置中心軸に対して平行になる。装置中心軸に対して平行な方向の光源ユニット2の長さは、装置中心軸に対して垂直で光源基板2aに平行な方向の長さに比べて、長い。すなわち、光源ユニット2は、装置中心軸に平行な方向を長手方向とする形状を有する。本実施の形態1の光源ユニット2の形状は、光源基板2aに垂直な方向から見て、略長方形である。
【0014】
光源基板2aは、有機材料基板またはセラミックス系基板などでもよいが、アルミニウムまたは鉄などの金属系基板で構成することが好ましい。光源基板2aを金属系基板で構成することにより、放熱性を高めるとともに、振動への耐久性を向上することができる。また、光損失を抑えるため、光源基板2aの表面に、白色系塗料などで表面レジスト処理を行っても良い。
【0015】
本実施の形態1の発光素子2bは、LED(Light Emitting Diode)光源である。例えば、1W〜数W級の面実装型小型LEDパッケージを発光素子2bとして用いることができる。複数の発光素子2bを光源基板2aに実装している。
【0016】
ヒートシンク2cは、光源基板2aを取り付ける取付面を有する平板状の伝熱部2eと、伝熱部2eの当該取付面の反対側の面から突出する複数のフィン2fとを有する。本実施の形態1におけるフィン2fの形状は、光源ユニット2の長手方向に沿って延びる板状であるが、ヒートシンク2cのフィンは、板状のものに限定されることはなく、例えばピンフィン(ピン型のフィン)などでも良い。光源基板2aの裏面は、伝熱部2eの一面側(フィン2fの反対側)に接触する。発光素子2bの熱は、光源基板2aから伝熱部2eへ伝わり、さらにフィン2fへ伝わる。この熱は、フィン2fの表面から、輻射、対流熱伝達などにより、空気中へ放散する。ヒートシンク2cを設けることで、発光素子2bの温度が低くなり、発光効率の向上及び長寿命化が図れる。光源基板2aと、ヒートシンク2cの伝熱部2eとは、一体的に設けられていても良い。
【0017】
本発明において光源ユニット2が用いる発光素子は、図示の構成に限定されるものではない。例えば数千〜数万lm/個の大光束のCOB(Chip on Board)型のLED光源を発光素子として用いてもよい。COB型のLED光源は、金属系基板もしくはセラミック基板等の放熱性基板に複数のLEDベアチップを直接に実装して樹脂封止する構成としたものである。COB型のLED光源を用いる場合、ヒートシンク2cの伝熱部2eの取付面にCOB型LED光源を直接取り付けても良い。また、本発明における光源ユニット2は、LED光源に限らず、例えば有機EL(Electro−Luminescence)光源等を発光素子として用いてもよい。
【0018】
ヒートシンク2cの伝熱部2eと光源基板2aとの接触面は、装置中心軸に対し平行である。本実施の形態1では、光源ユニット2において、ヒートシンク2cの伝熱部2eと光源基板2aとの接触面に対して垂直な方向であって、発光素子2bから発せられた光が進む方向を「光照射方向」と言うものとする。本実施の形態1では、光源ユニット2の光照射方向は、装置中心軸に対して垂直になる。
【0019】
光源ユニット2は、さらに、支持部2d、被案内部2g、フランジ部2h、及びネジ2iを有する。支持部2dは、棒状をなしており、光源ユニット2の長手方向の一端から装置中心軸に平行な方向に突出している。被案内部2gは、支持部2dの突出方向の先に形成されている。被案内部2gは、光源ユニット支持体3の案内溝3a内に位置する。フランジ部2hは、支持部2dと被案内部2gとの境界部分の外周から径方向外方へ鍔状に突出する。フランジ部2hの外径は、案内溝3aの幅より大きい。フランジ部2hが案内溝3aの縁で光源ユニット支持体3に接触することで、装置中心軸に平行な方向に関して光源ユニット2を位置決めできる。ネジ2iは、被案内部2gの端面に形成されたネジ穴(図示省略)に取り付けられる。
【0020】
図5に示すように、ネジ2iを緩めて取り外すことで、光源ユニット2と光源ユニット支持体3との連結を解除し、光源ユニット2を光源ユニット支持体3から取り外すことができる。図4に示すように、ネジ2iを締め付け、ネジ2iの頭とフランジ部2hとが案内溝3aの縁で光源ユニット支持体3を挟み込むことで、光源ユニット2を光源ユニット支持体3に固定できる。被案内部2gが案内溝3aに案内されることで、被案内部2gを含む光源ユニット2が案内溝3aの長手方向に移動可能である。ネジ2iを緩めることで光源ユニット2が案内溝3aの長手方向に移動可能になり、ネジ2iを締め付けることで光源ユニット2を光源ユニット支持体3に固定できる。
【0021】
基部5は、口金4に固定されている。基部5は、中心軸が装置中心軸に一致する略円柱状または略円筒状の形状を有する。全体回転部6は、基部5に対して回転可能に連結されている。全体回転部6は、装置中心軸を中心として、基部5に対して回転可能である。全体回転部6は、中心軸が装置中心軸に一致する略円柱状または略円筒状の形状を有する。全体回転部6の外径は、基部5の外径より小さい。全体回転部6は、光源ユニット支持体3に対し固定または一体化されている。光源ユニット支持体3は、全体回転部6と一体となって、口金4及び基部5に対して回転する。口金4及び基部5に対して全体回転部6を回転させることで、光源ユニット支持体3が口金4及び基部5に対して装置中心軸を中心として回転する。
【0022】
発光装置1Aは、3個の光源ユニット2の配置状態を、図1に示す第一使用状態と、図2に示す第二使用状態とに変更可能である。発光装置1Aは、複数の光源ユニット2(本実施の形態1では2個の光源ユニット2)のネジ2iを緩めた後、当該光源ユニット2の被案内部2gを案内溝3aに沿って移動させることで当該光源ユニット2を案内溝3aの長手方向に移動させた後、ネジ2iを締め付けて当該光源ユニット2を再度固定することで、第一使用状態と第二使用状態とに変更可能である。
【0023】
図1に示す第一使用状態では、装置中心軸に平行な方向から見たときに、3個の光源ユニット2からの光照射方向が放射状になる。第一使用状態では、3個の光源ユニット2は、装置中心軸の周りに、ほぼ等角度間隔(本実施の形態1では120°間隔)で配置される。本実施の形態1では、装置中心軸に平行な方向から見たときに、第一使用状態において、3個の光源ユニット2からの光照射方向は、中心からほぼ等角度間隔(本実施の形態1では120°間隔)で三方へ放射状に広がる。第一使用状態では、発光装置1Aは、装置中心軸を囲む周の全周囲へ配光できる。例えば、装置中心軸を鉛直方向とする姿勢で発光装置1Aを設置するような用途においては、全周囲へ配光できる第一使用状態が適する。第一使用状態では、隣り合う光源ユニット2の間に、ヒートシンク2cを冷却する空気が通過可能な風路10が形成される。風路10を空気が通ることで、ヒートシンク2cからさらに効率良く熱を放散することができ、優れた冷却効果が得られる。本実施の形態1では、3個の光源ユニット2のヒートシンク2cで囲まれる空間に、空気の流れを阻害する構造物が存在しないので、ヒートシンク2cに風をより効率良く当てることができ、特に優れた冷却効果が得られる。
【0024】
図1中で左側にある一つの光源ユニット2以外の二つの光源ユニット2の取り付け位置を、当該一つの光源ユニット2に近付ける方向に移動させることで、図2に示す第二使用状態に変えることができる。第二使用状態では、装置中心軸に平行な方向から見たときに、3個の光源ユニット2からの光照射方向が、第一使用状態に比べて片寄った方向になる。第二使用状態では、発光装置1Aは、装置中心軸を囲む周の一部分へ配光できる。
【0025】
例えば、街路灯のような器具に発光装置1Aを装着して使用する場合には、図3に示すように、装置中心軸が水平になる姿勢、または装置中心軸が水平に近くなる姿勢で発光装置1Aが設置される場合がある。そのような用途においては、第二使用状態とすることで、下方を集中的に照らすことが可能となる。
【0026】
上述したように、発光装置1Aによれば、装置中心軸の全周囲に配光する第一使用状態と、装置中心軸の周囲の一部に配光する第二使用状態との双方に対応できる。このため、一種類の発光装置1Aで多様な用途に対応できるので、コストを抑制できる。
【0027】
第二使用状態では、光源ユニット2同士の間に、大きい風路11と、小さい風路12とが形成される。大きい風路11は一箇所であり、他の箇所は小さい風路12である。大きい風路11は、第一使用状態のときの風路10に比べて大きい。小さい風路12は、第一使用状態のときの風路10に比べて小さい。第二使用状態では、大きい風路11から多くの空気が入ることで、各光源ユニット2のヒートシンク2cから効率良く熱を放散することができ、優れた冷却効果が得られる。
【0028】
図2及び図3に示すように、第二使用状態では、装置中心軸に平行な方向から見たときの、3個の光源ユニット2からの光照射方向が、中心角が180°以下の扇形の範囲に収まる。このように、第二使用状態のときの各光源ユニット2からの光照射方向が、中心角が180°以下の扇形の範囲に収まるようにすることで、第二使用状態のときの配光を特定の方向に十分に集中させることができる。
【0029】
本実施の形態1では、全体回転部6を口金4及び基部5に対して回転させることで、光源ユニット支持体3に支持されたすべての光源ユニット2を全体的に装置中心軸を中心として回転させることができる。対象器具のソケットに口金4をねじ込んだときに口金4が止まる回転位置を予測することは難しい。ソケットに口金4をねじ込んで発光装置1Aを装着した後、全体回転部6を回転させることで、すべての光源ユニット2を全体的に装置中心軸を中心として回転させ、光源ユニット2の向きを最適な向きに調整できる。特に、第二使用状態で発光装置1Aを使用する場合、ソケットにねじ込まれた口金4が止まった位置で、配光が集中する方向が所望の向き(例えば下方)にならない場合がある。そのような場合に、全体回転部6を回転させることで、配光が集中する方向が所望の向きになるように容易に調整できる。
【0030】
基部5と全体回転部6との摺動面(図示省略)の摩擦力により、基部5に対する全体回転部6の回転位置を、任意の位置で固定可能である。その摩擦力に対応するトルクを超えるトルクを全体回転部6に加えることで、全体回転部6を基部5に対して回転させることができる。
【0031】
上述した構成に代えて、基部5に対する全体回転部6の回転位置を固定するネジ等の固定手段(図示省略)を設け、当該固定手段の締め付けを緩めることで全体回転部6が基部5に対して回転可能になり、当該固定手段を再度締め付けることで基部5に対する全体回転部6の回転位置が再度固定されるように構成しても良い。
【0032】
図7は、本実施の形態1の発光装置1Aの変形例が備える光源ユニット支持体3を装置中心軸に平行な方向から見た図である。図7に示す変形例の光源ユニット支持体3の案内溝3aは、第一案内溝3b及び第二案内溝3cを含む。第一案内溝3bは、装置中心軸を中心とする円周方向に被案内部2gの移動を案内する。第二案内溝3cは、第一案内溝3bに比べて装置中心軸からの半径が小さい円周方向に被案内部2gの移動を案内する。第一案内溝3b及び第二案内溝3cのいずれかを選択して光源ユニット2を取り付けることで、装置中心軸から光源ユニット2の取り付け位置までの距離を変えることができる。そのため、光源ユニット2の配置状態をより多様に変えることができ、一種類の発光装置1Aでより多様な用途に対応できる。
【0033】
図8は、本実施の形態1の発光装置1Aの他の変形例が備える光源ユニット支持体3を装置中心軸に平行な方向から見た図である。図8に示す変形例の光源ユニット支持体3の案内溝3aは、第一案内溝3b、第二案内溝3c、及び接続部3dを含む。第一案内溝3bは、装置中心軸を中心とする円周方向に被案内部2gの移動を案内する。第二案内溝3cは、第一案内溝3bに比べて装置中心軸からの半径が小さい円周方向に被案内部2gの移動を案内する。接続部3dは、第一案内溝3bと第二案内溝3cとの間を接続する。第一案内溝3b及び第二案内溝3cのいずれかを選択して光源ユニット2を取り付けることで、装置中心軸から光源ユニット2の取り付け位置までの距離を変えることができる。そのため、光源ユニット2の配置状態をより多様に変えることができ、一種類の発光装置1Aでより多様な用途に対応できる。被案内部2gが接続部3dを通って第一案内溝3bと第二案内溝3cとの間を移動可能である。このため、光源ユニット2を光源ユニット支持体3から取り外さなくても、ネジ2iを緩めるだけで、光源ユニット2の取り付け位置を第一案内溝3bと第二案内溝3cとの間で変えることができる。
【0034】
図9は、本実施の形態1の発光装置1Aが備える光源ユニット2の被案内部2gの構成例を示す図である。図9に示す被案内部2gの断面形状は、案内溝3aの円弧に対応する円弧2j及び2kを有する形状である。円弧2jは、案内溝3aの内壁のうち外周側の円弧に対応する形状である。円弧2kは、案内溝3aの内壁のうち内周側の円弧に対応する形状である。円弧2j及び2k間の距離は、案内溝3aの幅に比べて僅かに狭くなっている。被案内部2gの円弧2j及び2kの面が案内溝3aの内壁に対し摺動することで、被案内部2gが案内溝3aの長手方向に案内される。図9に示す被案内部2gを用いた場合には、発光装置1Aを装置中心軸に平行な方向から見たときに、光源ユニット2の被案内部2gと装置中心軸とを結ぶ線分に対する当該光源ユニット2の光照射方向の角度を一定の角度に保持しつつ、光源ユニット2を案内溝3aの長手方向に移動させることができる。このため、第一使用状態から第二使用状態に変えるとき、またはその逆のときに、光源ユニット2の向きを容易に調整することができる。また、光源ユニット2を案内溝3aの長手方向に移動させても、装置中心軸からの発光装置1Aの最大外径を一定の大きさに維持することができる。
【0035】
図10は、本実施の形態1の発光装置1Aが備える光源ユニット2の被案内部2gの他の構成例を示す図である。図10に示す被案内部2gの断面形状は、案内溝3aの幅に対応する直径の円形である。被案内部2gの直径は、案内溝3aの幅に比べて僅かに狭くなっている。被案内部2gが案内溝3aの内壁に対し摺動することで、被案内部2gが案内溝3aの長手方向に案内される。被案内部2gが円形であるため、光源ユニット2は、被案内部2gを中心として回転可能である。被案内部2gが案内溝3aのどの位置にあるときでも、光源ユニット2を被案内部2gを中心として回転させることで、光源ユニット2の向きを調整できる。そのため、光源ユニット2の配置状態をより多様に変えることができ、一種類の発光装置1Aでより多様な用途に対応できる。
【0036】
図11は、本実施の形態1の発光装置1Aが備える光源ユニット2の被案内部2gのさらに他の構成例を示す図である。図11に示す被案内部2gの断面形状は、正六角形である。この正六角形の対辺間の距離は、案内溝3aの幅に対応する。被案内部2gの正六角形の対辺間の距離は、案内溝3aの幅に比べて僅かに狭くなっている。被案内部2gの正六角形の対辺の面が案内溝3aの内壁に対し摺動することで、被案内部2gが案内溝3aの長手方向に案内される。図11に示す被案内部2gを用いた場合には、発光装置1Aを装置中心軸に平行な方向から見たときに、光源ユニット2の被案内部2gと装置中心軸とを結ぶ線分に対する当該光源ユニット2の光照射方向の角度を一定の角度に保持しつつ、光源ユニット2を案内溝3aの長手方向に移動させることができる。このため、第一使用状態から第二使用状態に変えるとき、またはその逆のときに、光源ユニット2の向きを容易に調整することができる。また、ネジ2iを取り外し、被案内部2gを案内溝3aから抜いた後、被案内部2gを中心として光源ユニット2を60°の倍数だけ回転させた状態で、被案内部2gを案内溝3aに挿入することができる。このような構成により、図11に示す被案内部2gを用いた場合には、被案内部2gを案内溝3aのどの位置に固定するときでも、光源ユニット2の向きを被案内部2gを中心として60°ごとに回転させた他の向きに変えることができる。そのため、光源ユニット2の配置状態をより多様に変えることができ、一種類の発光装置1Aでより多様な用途に対応できる。
【0037】
図11に基づいて説明した構成において、被案内部2gの断面形状を、正六角形に代えて、対辺間の距離が案内溝3aの幅に対応する他の多角形にしても良い。特に、被案内部2gの断面形状を正N角形(例えば、N=4、8、10、12など)にすることで、光源ユニット2の向きを被案内部2gを中心として(360/N)°ごとに回転させた向きに位置決めできる。
【0038】
本実施の形態1では、発光装置1Aが備える光源ユニット2の数が3個の場合を例に説明したが、本発明の発光装置が備える光源ユニットの数は3個以上であれば良く、例えば4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個などとしても良い。発光装置が備える光源ユニットの数をNとしたとき、第一使用状態では、光源ユニットが装置中心軸の周りにほぼ等角度間隔、すなわち(360/N)°間隔で配置されることが好ましい。
【0039】
発光装置1Aが備えるすべての光源ユニット2のうちの一つの光源ユニット2は、被案内部2g及び案内溝3aを介さずに、光源ユニット支持体3に対して移動不能に固定されていても良い。例えば、図1中で左側に位置する一つの光源ユニット2が、被案内部2g及び案内溝3aを介さずに、光源ユニット支持体3に対して完全に固定されていても良い。一つの光源ユニット2を光源ユニット支持体3に対して移動不能に固定した場合には、当該光源ユニット2の光源ユニット支持体3に対する取り付け強度を向上できるとともに、構造を簡素化できる。
【0040】
光源ユニット2は、光源基板2a及び発光素子2bを覆う、透光性を有するカバー部材(図示省略)を備えても良い。このカバー部材は、防水性(防湿性)を有し、光源基板2a及び発光素子2bを外気から密閉するように覆うことが望ましい。このカバー部材の構成材料は、例えば、ポリカーボネート等のプラスチック系材料、あるいはガラス系材料が好ましい。このようなカバー部材を設けることで、発光装置1Aの耐環境性を向上でき、屋外に設置される器具に対しても発光装置1Aを好ましく使用できる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態1について説明したが、本発明の発光装置の適用対象は、本実施の形態1の発光装置1Aのような、口金を有するランプに限定されるものではない。本発明の発光装置は、例えばダウンライト、高天井照明、投光器などを含む、様々な照明器具に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1A 発光装置、2 光源ユニット、2a 光源基板、2b 発光素子、2c ヒートシンク、2d 支持部、2e 伝熱部、2f フィン、2g 被案内部、2h フランジ部、2i ネジ、2j,2k 円弧、3 光源ユニット支持体、3a 案内溝、3b 第一案内溝、3c 第二案内溝、3d 接続部、4 口金、5 基部、6 全体回転部、10,11,12 風路
図1
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図11