【実施例1】
【0011】
[配電管理装置の構成]
図1は、実施例1に係る配電管理装置の機能的構成を示すブロック図である。
図1に示す配電管理装置10は、電気事業者の変電所および需要家の負荷設備の間の配電系統で互いが電気的に接続された設備の配電系統情報を生成した上でクライアント端末30へ表示させる表示制御処理を実行するものである。
【0012】
かかる配電管理装置10の一態様としては、上記の表示制御処理を実行するWebサーバとして実装することとしてもよいし、また、上記の表示制御処理に関するサービスをアウトソーシングにより提供するクラウドとして実装することもできる。他の一態様としては、パッケージソフトウェアやオンラインソフトウェアとして提供される表示制御プログラムを所望のコンピュータにプリインストール又はインストールさせることによっても実装できる。
【0013】
図1に示すように、配電管理装置10は、所定のネットワークを介して、クライアント端末30などの他の装置との間で通信可能に接続される。かかるネットワークには、有線または無線を問わず、インターネット(Internet)、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)などの任意の種類の通信網を採用できる。なお、配電管理装置10は、上記のクライアント端末30を任意の台数収容することができる。
【0014】
このうち、クライアント端末30は、上記の表示制御サービスの提供を受ける側の端末装置である。かかるクライアント端末30の一例としては、パーソナルコンピュータ(PC:personal computer)を始めとする固定端末の他、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)やPDA(Personal Digital Assistant)などの移動体端末も採用できる。なお、クライアント端末30は、電気事業者の所属員、例えば配電部門の担当者や管理者等によって利用される。
【0015】
図1に示すように、配電管理装置10は、通信I/F(interface)部11と、記憶部13と、制御部19とを有する。なお、配電管理装置10は、
図1に示した機能部以外にも既知のコンピュータが有する各種の機能部、例えば各種の入出力デバイスや撮像デバイスなどの機能部を有することとしてもかまわない。
【0016】
通信I/F部11は、他の装置、例えばクライアント端末30との間で通信制御を行うインタフェースである。かかる通信I/F部11の一態様としては、LANカードなどのネットワークインタフェースカードを採用できる。例えば、通信I/F部11は、クライアント端末30から配電系統画面の閲覧要求を受信したり、あるいは配電管理装置10から配電系統画面の表示データをクライアント端末30へ通知したりする。
【0017】
記憶部13は、制御部19で実行されるOS(Operating System)や表示制御プログラムなどの各種プログラムを記憶する記憶デバイスである。記憶部13の一態様としては、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置が挙げられる。なお、記憶部13は、上記の種類の記憶装置に限定されるものではなく、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)であってもよい。
【0018】
記憶部13は、制御部19で実行されるプログラムに用いられるデータの一例として、位置情報14と、設備情報15と、電気接続情報16と、配電系統情報17と、表示設定情報18とを記憶する。なお、上記に例示した情報以外にも、他の電子データ、例えば電気事業者が管轄する管轄区域の全部または一部が収まった地図の電子データなども併せて記憶することもできる。
【0019】
ここで、本実施例に係る配電管理装置10では、設備が設置される位置を管理する位置の管理と、各々の設備を管理する設備の管理と、互いが電気的に接続される設備を管理する電気接続の管理との3つに分けて配電系統が管理される。
【0020】
このうち、位置の管理には、配電系統を形成する設備のうち所定の設備、例えば変電所、電柱、変圧器などが設置される位置「ロケーション(location)」がエンティティとして用いられる。また、設備の管理には、配電系統を形成する設備のうち1つの位置に紐付く設備「ユニット(unit)」と、2つの位置に紐付く設備「スパン(span)」とがエンティティとして用いられる。また、電気接続の管理には、互いの設備が電気的に接続される接続点「ノード(node)」と、複数の接続点によって定まる設備「ブランチ(branch)」とがエンティティとして用いられる。
【0021】
図2は、エンティティの一態様を示す図である。
図2に示すように、ロケーションの一例としては、例えば、電柱Pや柱上変圧器TRなどのように設置形態が架設ではない非架設の設備が設置される位置が挙げられる。この他、図示されていない配電用変電所(SS:SubStation)が設置される位置や変圧器が設置される位置もロケーションの範疇に含まれる。
【0022】
ユニットの一例としては、電柱P、開閉器SW、柱上変圧器TRなどが挙げられる。この他、図示されていない配電用変電所、SVR(Step Voltage Regulator)や各種の計器、例えばスマートメータなどもユニットの範疇に含まれる。なお、ここでは、地上に設置される設備を例示したが、地下に設置される設備、例えばマンホールやハンドホールなどもユニットの範疇に含まれる。
【0023】
スパンの一例としては、配電用変電所および柱上変圧器TRの間で高圧電力が配電される高圧系統に敷設される電線WH、いわゆる「高圧線」が挙げられる。スパンの他の一例としては、柱上変圧器TRおよび需要家の負荷設備の間で低圧電力が配電される低圧系統のうち柱上変圧器TR及び引込線の区間に敷設される電線WL、いわゆる「低圧線」の他、引込線および負荷設備の区間に敷設される電線、いわゆる「引込線」などが挙げられる。スパンの更なる一例としては、地中に埋め込まれたケーブルが挙げられる。なお、高圧線WH及び低圧線WLなどの電線Wについては、電柱Pに架設される単位の本数、例えば3本や2本を1つにまとめてスパンとして扱うことができる。
【0024】
ノードの一例としては、
図2中の拡大
図21に示す高圧線WHと開閉器SWとの接続点、高圧線WHと柱上変圧器TRとの接続点、柱上変圧器TRと低圧線WLとの接続点が挙げられる。この他、
図2中の拡大
図22に示す高圧線WH21aと高圧線WH21bとが接続される点もノードの範疇に含まれる。具体的には、高圧線WH21a及び高圧線WH21bが通り装柱の電柱Pに架設されている場合にも、高圧線WH21a及び高圧線WH21b間が電気的に接続されているものとみなし、高圧線WH同士が接続される点を仮想的なノードとして扱われる。
【0025】
ブランチの一例としては、
図2に示す電柱P、高圧線WH、開閉器SW、柱上変圧器TR、低圧線WLなどの各種の設備が挙げられる。この他、図示されていない配電用変電所、引込線、スマートメータや負荷設備などもブランチの範疇に含まれる。これら配電用変電所や負荷設備などの端点に位置する設備は、1つしかノードを持たない場合がある。
【0026】
これらロケーション、ユニット、スパン、ノード及びブランチなどのエンティティは、
図3に示す関連性を有する。
図3は、エンティティの相互関係の一例を示す図である。
図3に示すように、ユニット及びスパンは、ロケーションとの間で互いに共通して位置が管理される点が関連する。また、ユニットおよびスパンは、ブランチとの間で互いに共通して設備が管理される点が関連する。さらに、ノードは、ロケーション及びブランチとの間で互いに共通して接続点が管理される点が関連する。
【0027】
図1の説明に戻り、位置情報14には、上記のロケーションを管理するロケーションテーブル14aが含まれる。また、設備情報15には、上記のユニットを管理するユニットテーブル15aと、上記のスパンを管理するスパンテーブル15bとが含まれる。さらに、電気接続情報16には、上記のノードを管理するノードテーブル16aと、上記のブランチを管理するブランチテーブル16bとが含まれる。また、後述するように、配電系統情報17には、カレントノードテーブル17aと、カレントブランチテーブル17bとが含まれる。
【0028】
このうち、ロケーションテーブル14aの一態様としては、位置ID(identifier)、位置識別、経度および緯度などの項目が対応付けられたテーブルを採用できる。かかる「位置ID」とは、設備が設置された位置を識別する識別情報を指す。また、「位置識別」とは、位置の種類の識別を指し、例えば、配電用変電所(SS)、電柱(POLE)や負荷設備(LOADL)などの種類が挙げられる。なお、ロケーションテーブル14aに記憶される情報は、例えば、他の既存のシステム、例えば配電系統の設備を管理する配電設備管理システムから変電所、電柱、変圧器などの特定の設備の位置情報を取得することができる。
【0029】
図4は、ロケーションテーブル14aの一例を示す図である。例えば、
図4に示す位置ID「SS0001」のロケーションは、東経128度08分48秒66及び北緯50度27分23秒016に位置し、配電用変電所があることを意味する。また、
図4以降に図示する各種のIDは、例えば、配電用変電所を表す「SS」、電柱を表す「PO」や負荷設備「LL」などの設備の種別を識別可能な文字列をIDを構成する文字列の頭に付加して採番がなされる。この各種IDは、設備の種別を識別可能な文字列を、IDを構成する文字列の頭に付加して採番するに限らず、一意に認識できる値を付与して良い。なお、ここでは、設備の位置を特定する項目として経度および緯度を用いる場合を例示したが、他の項目、例えばローカルな座標値、住所などを用いることもできる。
【0030】
ユニットテーブル15aの一態様としては、設備ID、位置ID、種別及び属性情報などの項目が対応付けられたテーブルを採用できる。かかる「設備ID」とは、設備を識別する識別情報を指し、ユニットテーブル15aではユニットの設備IDだけが格納される。また、「種別」とは、ユニットの種別を指し、例えば電柱(POLE)、開閉器(SW)、柱上変圧器(BANK)や負荷設備(LOADL)などの種類が挙げられる。また、「属性情報」とは、ユニットの属性に関する情報を指し、例えば、ユニットの型番や性能、例えばユニットが変圧器である場合には変圧器の容量が登録される。かかる変圧器の容量は、現系統の設備の電気的な接続情報が抽出された際に電圧降下の計算に用いることができる。例えば、ユニットが変圧器である場合には、抵抗値、リアクタンス値や変圧器の電圧比が登録される。なお、ユニットテーブル15aに記憶される情報は、例えば、他の既存のシステム、例えば配電設備管理システムから取得され、取得された設備の属性情報うちユニットに分類された設備の属性情報が登録される。
【0031】
図5は、ユニットテーブル15aの一例を示す図である。例えば、
図5に示す設備ID「PO0001P1」のユニットは、位置ID「PO0001」に対応する位置、すなわち
図4に示した東経128度08分41秒76及び北緯50度27分23秒021に位置し、電柱であることを意味する。また、
図5に示す設備ID「PO000101」のユニットは、位置ID「PO0001」に対応する位置、すなわち
図4に示した東経128度08分41秒76及び北緯50度27分23秒021に位置し、開閉器であることを意味する。また、
図5に示す設備ID「PO000701」のユニットは、位置ID「PO0007」に対応する位置、すなわち
図4の例で言えば東経128度08分34秒30及び北緯50度27分27秒844に位置し、抵抗値「36800Ω」、リアクタンス値「31300Ω」、電圧比1を持つ柱上変圧器であることを意味する。
【0032】
スパンテーブル15bの一態様としては、設備ID、位置ID
1、位置ID
2、種別および属性情報などの項目が対応付けられたテーブルを採用できる。ここで言う「設備ID」も、設備を識別する識別情報を指すが、スパンテーブル15bにはスパンの設備IDだけが格納される。また、「位置ID
1」とは、スパンに紐付く2つの位置IDのうち一方の位置IDを指し、「位置ID
2」とは、スパンに紐付く2つの位置IDのうち他方の位置IDを指す。また、「種別」とは、スパンの種別を指し、例えば、高圧線、低圧線及び引込線などの種類が挙げられる。また、「属性情報」は、スパンの属性に関する情報を指し、例えば、スパンの型番、太さ、材質、径間、単位(m)当たりの抵抗値や単位(m)当たりのリアクタンス値などが登録される。かかる径間、単位当たりの抵抗値や単位当たりのリアクタンス値は、現系統の設備の電気的な接続情報が抽出された際に電圧降下の計算に用いることができる。なお、スパンテーブル15bに記憶される情報は、例えば、他の既存のシステム、例えば配電設備管理システムから取得され、取得された設備の属性情報うちスパンに分類された設備の属性情報が登録される。
【0033】
図6は、スパンテーブル15bの一例を示す図である。例えば、
図6に示す設備ID「SP0001」のスパンは、位置ID
1「SS0001」に対応する位置および位置ID
2「PO0001」に対応する位置の区間に架設された3相の高圧線であることを意味する。かかる区間は、
図4を用いて説明したように、東経128度08分48秒66及び北緯50度27分23秒016から東経128度08分41秒76及び北緯50度27分23秒021の区間に相当する。さらに、設備ID「SP0001」のスパンの径間、抵抗及びリアクタンスは、それぞれ「21m」、「220Ω/m」、「150Ω/m」であることを意味する。なお、
図6に示す種別が3Hである場合には、スパンが単相3線の高圧線であることを意味し、種別が3Lである場合には、スパンが単相3線の低圧線であることを意味し、また、種別がブランクである場合には、スパンが引込線であることを意味する。
【0034】
ノードテーブル16aの一態様としては、ノードID及び位置IDなどの項目が対応付けられたテーブルを採用できる。かかる「ノードID」は、ノードを識別する識別情報を指す。なお、ノードテーブル16aに記憶される情報は、既存の他のシステム、例えば配電設備管理システムおよび配電系統の監視や開閉器の遠隔操作を行う配電自動化システムから取得される。例えば、配電設備管理システムから取得された低圧系統の設備の情報または配電自動化システムから取得された高圧系統の設備の情報からノードが抽出された後にノードの所在位置と対応付けてノードテーブル16aに登録される。
【0035】
図7は、ノードテーブル16aの一例を示す図である。例えば、
図7に示すノードID「SS0001N01」の接続点は、位置ID「SS0001」に対応する位置、すなわち
図4に示した東経128度08分48秒66及び北緯50度27分23秒016に位置することを意味する。また、
図7に示すノードID「PO0001N01」及び「PO0001N02」の接続点は、いずれも位置ID「PO0001」に対応する同一の位置、すなわち
図4に示した東経128度08分41秒76及び北緯50度27分23秒021に位置することを意味する。
【0036】
ブランチテーブル16bの一態様としては、ブランチID、ノードID
1、ノードID
2、設備IDおよび開閉区分などの項目が対応付けられたテーブルを採用できる。かかる「ブランチID」とは、ブランチを識別する識別情報を指す。また、「ノードID
1」とは、ブランチが持つ2つのノードIDのうち一方のノードIDを指し、「ノードID
2」とは、ブランチが持つ2つのノードIDのうち他方のノードIDを指す。ただし、配電用変電所や負荷設備などの端点に位置するブランチは、ノードID
1またはノードID
2のいずれかにしかノードIDを持たない場合がある。例えば、ノードID
1及びノードID
2のうちノードID
1には、ノードID
2よりも一次側、すなわち変電所寄りの接続点のノードIDが登録されるとともに、ノードID
2には、ノードID
1よりも二次側、すなわち負荷設備寄りの接続点のノードIDが登録される。また、ここで言う「設備ID」も、設備を識別する識別情報を指すが、ブランチテーブル16bにはユニットまたはスパンのいずれかの設備IDが格納される。また、「開閉区分」は、開閉器のスイッチの開閉状態を指す。かかる開閉区分には、ブランチが開閉器である場合には「開状態」または「閉状態」のいずれかが設定されるが、ブランチが開閉器以外である場合には「ブランク」とされる。
【0037】
なお、ブランチテーブル16bに記憶される情報は、既存の他のシステム、例えば配電設備管理システムおよび配電自動化システムから取得される。例えば、配電設備管理システムから取得された低圧系統の設備の情報または配電自動化システムから取得された高圧系統の設備の情報からブランチが抽出された後にブランチが持つノードと対応付けてブランチテーブル16bに登録される。
【0038】
図8は、ブランチテーブル16bの一例を示す図である。例えば、
図8に示すブランチID「BR0001」のブランチは、ノードID
1「SS0001N01」およびノードID
2「PO0001N01」によって定義される設備ID「SP0001」の高圧線であることを意味する。また、
図8に示すブランチID「BR0002」のブランチは、ノードID
1「PO0001N01」およびノードID
2「PO0001N02」によって定義される設備ID「PO000101」の開閉器であり、かつ開閉区分が「1」なので、開閉器が閉状態であることを意味する。なお、
図8に示す開閉区分が「0」である場合には、開閉器が開状態であることを意味し、また、開閉区分がブランクである場合には、設備が開閉器ではないことを意味する。開閉器の閉状態とは、電気を流す状態であり、開状態は電気を流さない状態である。
【0039】
なお、記憶部13に記憶される情報のうち上記の位置情報14、設備情報15及び電気接続情報16以外の配電系統情報17および表示設定情報18については、これらの情報を生成、取得、あるいは使用する機能部の説明に合わせて後述する。
【0040】
制御部19は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部19は、
図1に示すように、検索部19aと、対応付け部19bと、取得部19cと、表示制御部19dとを有する。
【0041】
検索部19aは、電気接続情報16を参照して、所定のノードを起点とし、ノードの組合せに含まれるノードのうち未探索のノードを探索しながら当該組合せに対応するブランチを検索する処理部である。
【0042】
一態様としては、検索部19aは、クライアント端末30を介して配電系統情報の閲覧要求を受け付けた場合や前回に処理が実行されてから一定期間が経過した場合に、処理を起動する。まず、検索部19aは、ロケーションテーブル14aに記憶された位置IDのうち位置種別が配電用変電所「SS」である位置IDを検索する。そして、検索部19aは、図示しない内部メモリに記憶された探索リストに対し、ロケーションテーブル14aから検索されたSSの位置IDを登録する。かかる探索リストには、探索の対象とするSSの位置IDの他、探索時に発見された未探索のノードやブランチが随時登録される。なお、ここでは、ロケーションテーブル14aからSSの位置IDを検索する場合を例示したが、ノードテーブル16aやブランチテーブル16bに記憶されたノードIDのうち文字列が「SS」で始まるノードIDを検索することとしてもかまわない。
【0043】
続いて、検索部19aは、探索リストに登録されたSSの位置IDを1つ選択する。そして、検索部19aは、ノードテーブル16aに記憶されたノードのうち先に選択が実行されたSSの位置IDに対応するノードを検索する。その上で、検索部19aは、ノードテーブル16aから検索されたノードのレコードを、記憶部13に配電系統情報17として記憶されたカレントノードテーブル17aへ登録する。さらに、検索部19aは、ノードテーブル16aから検索されたノードを探索リストに登録する。なお、SSが複数のSSバンクを有する場合には、1つの位置IDを用いて検索がなされた場合でも複数のノードのレコードが検索される。
【0044】
そして、検索部19aは、探索リストに登録されたノードを1つ選択する。続いて、検索部19aは、ブランチテーブル16bに記憶されたブランチのうち先に選択が実行されたノードが含まれるノードIDの組合せ、すなわちノードID
1及びノードID
2の組合せを持つブランチのレコードを検索する。その上で、検索部19aは、ブランチテーブル16bから検索されたブランチのレコードを、記憶部13に配電系統情報17として記憶されたカレントブランチテーブル17bへ登録する。さらに、検索部19aは、ブランチテーブル16bから検索されたブランチを探索リストに登録する。このとき、探索リストに登録されるのは、ブランチを識別できる情報であればよく、例えば、少なくともブランチIDまたは設備IDのいずれかを登録すればよい。
【0045】
続いて、検索部19aは、探索リストに登録されたブランチを1つ選択する。そして、検索部19aは、スパンテーブル15bから先に選択が実行されたブランチの設備IDに対応する属性情報を検索する。このとき、ブランチがスパンである場合には、スパンテーブル15bから属性情報を検索できるが、ブランチがユニットである場合には、属性情報を検索できない。このため、検索部19aは、スパンテーブル15bから属性情報を検索できなかった場合には、ユニットテーブル15aから先に選択が実行されたブランチの設備IDに対応する属性情報を検索する。
【0046】
その後、検索部19aは、ノードの組合せのうち探索に用いられたノードとは対となる他方のノードがブランクではない場合に、当該ブランチが開閉器であるか否かを判定する。そして、検索部19aは、ブランチが開閉器である場合には、開閉器のスイッチが閉状態であるか否か、すなわち開閉区分が「1」であるか否かを判定する。このとき、検索部19aは、開閉器のスイッチが閉状態である場合には、ノードテーブル16aから他方のノードのレコードを検索した上で配電系統情報17のカレントノードテーブル17aへ登録する。さらに、検索部19aは、他方のノードを未探索のノードとして探索リストへ追加する。
【0047】
そして、検索部19aは、探索リストに登録されたブランチを全て探索するまで、未探索のブランチの選択からこれまでの処理を繰り返し実行する。その後、検索部19aは、探索リストに登録されたブランチを全て探索すると、探索リストに登録されたノードを全て探索するまで、未探索のノードの選択からこれまでの処理を繰り返し実行する。そして、検索部19aは、探索リストに登録されたSSの位置IDを全て探索するまで、未探索のSSの位置IDの選択からこれまでの処理を繰り返し実行する。
【0048】
対応付け部19bは、探索が実行された接続点の組合せ及び検索の結果として得られた設備と、設備情報15に含まれる属性情報のうち検索の結果として得られた設備に対応する属性情報とを対応付ける処理部である。一態様としては、対応付け部19bは、探索が実行されたブランチのレコードと、スパンテーブル15bまたはユニットテーブル15aから検索されたブランチの属性情報とを対応付ける。例えば、対応付け部19bは、カレントブランチテーブル17bに記憶されたレコードのうちスパンテーブル15bまたはユニットテーブル15aの検索に用いたブランチの設備IDまたはブランチIDに対応付けて当該ブランチの属性情報を登録する。このとき、対応付け部19bは、ユニットテーブル15aまたはスパンテーブル15bからブランチの設備IDに対応する位置IDを検索した上でその位置IDをさらに対応付けることもできる。
【0049】
ここで、
図4〜
図8の各テーブルを用いて、検索部19a及び対応付け部19bによる処理内容を具体的に説明する。最初に、
図4に示したロケーションテーブル14aに記憶された位置IDのうち位置種別が配電用変電所「SS」である位置ID「SS0001」が検索される。すると、ロケーションテーブル14aから検索されたSSの位置ID「SS0001」が探索リストに登録される。この場合、探索リストには、SSの位置IDが「SS0001」しか登録されていないので、位置ID「SS0001」が選択される。これを受けて、
図7に示したノードテーブル16aに記憶されたノードのうち先に選択が実行されたSSの位置ID「SS0001」に対応するノードID「SS0001N01」が検索される。続いて、ノードテーブル16aから検索されたノードID「SS0001N01」のレコードがカレントノードテーブル17aへ登録される。さらに、ノードテーブル16aから検索されたノードID「SS0001N01」が探索リストにも登録される。この場合、探索リストには、ノードIDが「SS0001N01」しか登録されていないので、ノードID「SS0001N01」が選択される。
【0050】
すると、
図8に示したブランチテーブル16bに記憶されたブランチのうち先に選択が実行されたノードID「SS0001N01」が含まれるノードID
1「SS0001N01」及びノードID
2「PO0001N01」の組合せを持つ設備ID「SP0001」のブランチが検索される。その上で、ブランチテーブル16bから検索された設備ID「SP0001」のブランチのレコードがカレントブランチテーブル17bへ登録される。さらに、ブランチテーブル16bから検索された設備ID「SP0001」が探索リストに登録される。この場合、探索リストには、設備IDが「SP0001」しか登録されていないので、設備ID「SP0001」が選択される。
【0051】
すると、
図6に示したスパンテーブル15bから先に選択が実行された設備ID「SP0001」に対応するスパンの属性情報「径間21m、抵抗R
H1、リアクタンスX
H1」が検索される。なお、ここでは、スパンの属性情報が検索される場合を例示したが、「SP」以外の文字列で始まる設備IDの場合には、スパンテーブル15bからは属性情報が検索されず、
図5に示したユニットテーブル15aからユニットの属性情報が検索されることになる。
【0052】
このようにして得られた属性情報「径間21m、抵抗220Ω/m、リアクタンス150Ω/m」から、抵抗値4621(220×21)Ω、リアクタンス値3150(150×21)Ωがスパンテーブル15bの検索に用いられた設備ID「SP0001」のブランチのレコードに対応付けてカレントブランチテーブル17bに登録される。
【0053】
その後、ノードID
1「SS0001N01」及びノードID
2「PO0001N01」の組合せには、探索に用いられたノードID「SS0001N01」とは対となる他方のノードIDに「PO0001N01」が値として設定されている。このように、他方のノードIDがブランクではないので、当該設備ID「SP0001」のブランチが開閉器であるか否かが判定される。そして、設備ID「SP0001」のブランチは、開閉区分の値がブランクであり、開閉器ではない。よって、ノードテーブル16aから他方のノードID「PO0001N01」のレコードを検索した上で他方のノードID「PO0001N01」のレコードが配電系統情報17のカレントノードテーブル17aへ登録される。さらに、他方のノードID「PO0001N01」が未探索のノードとして探索リストへ追加される。
【0054】
このように、他方のノードID「PO0001N01」が未探索のノードとして探索リストへ登録された時点では、ノードID「PO0001N01」以外にノードIDが登録されていない。このため、ノードID「PO0001N01」が選択された上で探索が継続される。
【0055】
なお、ここでは、他方のノードIDがブランクではない場合を例示したが、他方のノードIDがブランクである場合には、探索リストに登録された未探索のブランチの探索が実行される。また、未探索のブランチがなければ未探索のノードの探索が実行される。そして、未探索のSSの位置IDがなければ探索が終了される。また、ここでは、ブランチが開閉器でない場合を例示したが、開閉器である場合には、開閉器のスイッチが閉状態でなければ他方のノードIDの検索、さらには、探索リストへの他方のノードの追加は実行されない。これは、開閉器のスイッチが開状態である場合に、他方のノードIDの検索や探索リストへの他方のノードの追加を実行すると、電気的に接続されていない異なる配電系統をカレントノードテーブル17aやカレントブランチテーブル17bに誤登録することになるからである。
【0056】
上記の探索によって、ノードテーブル16aに登録されたブランチの中から探索が実行された時点で互いの設備が電気的に接続された配電系統のノードを検索したカレントノードテーブル17aを生成できる。さらに、上記の探索によって、ブランチテーブル16bに登録されたブランチの中から探索が実行された時点で互いが電気的に接続された配電系統のブランチ及びブランチに対応する属性情報を検索した上でブランチ及び属性情報が対応付けられたカレントブランチテーブル17bを生成できる。なお、以下では、探索が実行された時点で互いの設備が電気的に接続された配電系統のことを「現系統」と記載する場合がある。
【0057】
このようにして生成されたカレントノードテーブル17a及びカレントブランチテーブル17bを含む配電系統情報17が記憶部13に登録される。
図9は、カレントノードテーブル17aの一例を示す図である。
図10は、カレントブランチテーブル17bの一例を示す図である。これら
図9及び
図10には、ノードID「SS0001N01」を起点とし、
図4〜
図8に示した各テーブルを用いて生成されたカレントノードテーブル17a及びカレントブランチテーブル17bが図示されている。
【0058】
図9に示すように、カレントノードテーブル17aのレコードのうち需要家の負荷設備と配電系統の設備との接続点であるノード「LL0001N01」、「LL0002N01」、「LL0003N01」、「LL0004N01」、「LL0005N01」、「LL0006N01」、「LL0007N01」及び「LL0008N01」のレコードには、スマートメータ等の計量器によって計量された電力使用量が属性情報の一例として登録される。かかる電力使用量には、負荷設備によって消費される「有効電力」と、負荷設備によって消費されない「無効電力」とが含まれる。このうち、無効電力は、遅れ無効電力とも呼ばれる。これらの電力使用量(有効)および電力使用量(無効)は、各ノードにおける電圧を計算する場合に参照される。
【0059】
図10に示すように、カレントブランチテーブル17bのレコードのうちブランチの設備が開閉器であるレコードには、ブランチテーブル16bに登録されていた開閉区分の値が登録される。例えば、ブランチID「BR0002」、「BR0006」及び「BR0019」の開閉器には、いずれも開閉区分に「1」が登録されているので、開閉器のスイッチが閉状態であり、通電状態にあることを意味する。
図10には、開閉区分が「1」である開閉器を例示したが、開閉器の開閉区分が「0」である場合には、開閉器のスイッチが開状態であり、通電状態にないことを意味する。また、カレントブランチテーブル17bの各レコードには、リアクタンス値Xと抵抗値Rとが属性情報の一例として登録される。このうち、ブランチの設備がユニットである設備、例えば開閉器や変圧器などには、ユニットテーブル15aに登録されていたリアクタンス値Xと抵抗値Rが属性情報としてそのまま登録される。一方、ブランチの設備がスパンである設備には、スパンテーブル15に登録されている単位当たりのリアクタンス値に径間の値が乗算された値がリアクタンス値Xとして登録されるとともに、単位当たりの抵抗値に径間の値が乗算された値が抵抗値Rとして登録される。これらユニット及びスパンのリアクタンス値X及び抵抗値Rは、各ノードにおける電圧を計算する場合に参照される。
【0060】
なお、ここでは、電圧の計算に使用されるパラメータとして、電力使用量(有効)、電力使用量(無効)、抵抗値やリアクタンス値を例示したが、カレントノードテーブル17aまたはカレントブランチテーブル17bのいずれかのテーブルに変圧器が接続される接続相の項目を追加することによって電圧の計算をより精密に行うことができる。例えば、電線が単相3線である場合には、柱上で電線に接続される変圧器の1台目を「接続相1」とし、2台目を「接続相2」とし、3台目を「接続相3」とし、3線の電線のうち1本目と2本目に変圧器が接続される場合には値「A」を登録し、2本目と3本目に変圧器が接続される場合には値「B」を登録し、1本目と3本目に変圧器が接続される場合には値「C」を登録することができる。
【0061】
このように、
図9に示したカレントノードテーブル17a及び
図10に示したカレントブランチテーブル17bは、
図11及び
図12に示す配電系統のグラフ構造を表す。
図11及び
図12は、現系統のグラフ構造の一例を示す図である。
図11及び
図12に示す現系統は、SSバンクと設備ID「SP0001」の高圧線の接続点であるノードID「SS0001N01」のノードを階層構造のルート(1階層)に持つ。さらに、現系統は、ルートから終端となる設備ID「LL000101」、「LL000201」、「LL000301」、「LL000401」、「LL000501」、「LL000601」、「LL000701」、「LL000801」の8つの負荷設備へ向かう経路を持つ。このうち、SSバンクから設備ID「LL000801」の負荷設備までの階層が10階層と最も浅く、SSバンクから設備ID「LL000201」、「LL000301」及び「LL000401」の負荷設備までの階層が19階層と最も深いことがわかる。このように、上記の配電系統情報17を生成することによって、高圧系統や低圧系統といった大雑把な単位ではなく、設備単位、さらには、設備間の接続点単位に細分化して現系統の電気的な繋がりを把握することができる。
【0062】
ここで、カレントノードテーブル17aおよびカレントブランチテーブル17bの他の一例について説明する。
図29は、カレントノードテーブル17aの一例を示す図である。
図30は、カレントブランチテーブル17bの一例を示す図である。なお、
図29及び
図30には、
図7に示したノードテーブル16a及び
図8に示したブランチテーブル16bと略同一のものであるが、異常ブランチの検出に使用される項目を追加して図示する一方で、異常ブランチの検出に使用されない項目については図示を省略している項目も含まれる。例えば、
図29に示すカレントノードテーブル17aには、
図7に示したノードテーブル16aと比べて、異常ブランチの検出に用いる通電状態の項目が追加されている一方で、位置IDは図示していないが、図示が省略されているだけで当然のことながら位置IDも登録されているものとする。また、
図30に示すカレントブランチテーブル17bには、異常ブランチの検出に用いない開閉区分は図示していないが、図示が省略されているだけで当然のことながら開閉区分も登録されているものとする。
【0063】
図1の説明に戻り、取得部19cは、クライアント端末30に表示させる画面の表示設定を取得する処理部である。一態様としては、取得部19cは、クライアント端末30から配電系統画面の閲覧要求を受け付けた場合に、記憶部13に記憶された表示設定情報18を取得することができる。
【0064】
ここで、記憶部13に記憶される表示設定情報18の一例について説明する。かかる表示設定情報18には、例えば、地図の表示範囲および地図の縮尺などの項目が対応付けられたデータを採用できる。このうち、地図の表示範囲の一例としては、最後に配電系統画面が閲覧された時点の地図の表示範囲や電気事業者の管轄区域のうち重要度が高い配電系統が含まれる領域などが挙げられる。かかる地図の範囲は、例えば、配電系統画面上の特定の点、例えば画面の左上の頂点や中心、画面の幅および高さ等の要素によって定義することができる。また、地図の縮尺の一例としては、地図の縮尺そのものであってもよいし、一定の縮尺が対応付けられたレベル、例えば詳細図よりも縮尺が小さい「広域図」および広域図よりも縮尺が大きい「詳細図」などであってもかまわない。
【0065】
他の一態様としては、取得部19cは、クライアント端末30から配電系統画面の閲覧要求を受け付けた場合に、クライアント端末30から配電系統画面の表示設定の入力を受け付けることによって表示設定を取得することもできる。
【0066】
図13及び
図14は、表示設定の受付画面の一例を示す図である。
図13及び
図14に示す表示設定の受付画面200は、一つの配電用変電所が管轄する全域が収まった全域地図が図示されている。
図13には、地図の縮尺が「広域図」である場合に、全域地図上で配電系統画面の表示範囲を設定するのに用いられる照準210が図示されている。一方、
図14には、地図の縮尺が「詳細図」である場合に全域地図上で配電系統画面の表示範囲を設定するのに用いられる照準220が図示されている。かかる受付画面200では、図示しない切替えボタン等を操作することによって照準210または照準220のいずれを用いるかを自在に切り替えることができる。また、地図の縮尺は、プルダウンメニュから選択することとしてもよいし、フォームから任意の縮尺を入力させることとしてもかまわない。また、
図13及び
図14に示す受付画面200上で照準210または照準220を所望の位置に移動させることによって配電系統画面に表示させる地図の表示範囲を設定できる。なお、上記の表示設定の受付画面200は、配電系統画面の閲覧要求を受け付けた場合に一時的に表示させることとしてもよいが、ウィンドウ内で配電系統画面が表示される位置とは別の位置に定常的に表示させることとしてもかまわない。
【0067】
表示制御部19dは、クライアント端末30に対する表示制御を実行する処理部である。一態様としては、表示制御部19dは、取得部19cによって取得された表示設定にしたがって配電系統画面の表示データを生成した上で配電系統画面をクライアント端末30に表示させる。なお、ここでは、表示用データをクライアント端末30に表示させる場合を例示するが、配電管理装置10や他の装置が有する表示部に表示させることとしてもかまわない。
【0068】
これを説明すると、表示制御部19dは、ロケーションテーブル14aから、所定の範囲に含まれる位置IDを取得する。そして、表示制御部19dは、ユニットテーブル15a及びスパンテーブル15bから所定の範囲内にある位置IDを持つユニットおよびスパンのレコードを取得する。続いて、表示制御部19dは、ユニット及びスパンのレコードのうちブランチテーブル16bに設備IDが登録されているレコードを抽出する。これによって、ユニット及びスパンの中でも現系統に含まれるユニット及びスパンが抽出されることになる。その上で、表示制御部19dは、表示設定の地図の縮尺が「広域図」または「詳細図」のいずれであるかを判定する。なお、ここでは、地図の縮尺が「広域図」または「詳細図」のいずれであるかを判定する場合を例示したが、地図の縮尺が所定の閾値以下であるか否かを判定することとしてもかまわない。
【0069】
ここで、地図の縮尺が「広域図」である場合には、詳細図に比べて配電系統画面に表示される設備の量が多くなり、設備の記号や図形の表示サイズが小さくなる。このため、表示制御部19dは、現系統に含まれる設備のうち高圧系統の設備だけを表示させる。例えば、表示制御部19dは、先に読み出されたユニット及びスパンのレコードに含まれる種別を参照して、高圧系統の設備、すなわち変電所、高圧線や開閉器などの設備を抽出する。その上で、表示制御部19dは、ユニット及びスパンの位置IDに対応する緯度及び経度等の位置情報を用いて、記憶部13に記憶された地図情報から切り出された表示範囲の地図画像に高圧系統の設備を配置することによって広域図の表示データを生成する。
【0070】
図15は、配電系統画面の一例を示す図である。
図15には、
図13に示した広域図用の受付画面200上で照準210が
図13に示した位置に設定された場合の広域
図300が図示されている。
図15に示すように、広域
図300には、SSバンクから配電される配電系統が図示されている。ここで、広域
図300には、各配電系統に含まれる設備のうち変電所、高圧線および開閉器を含む高圧系統の設備だけが図示されている一方で、低圧系統の設備は図示されていない。このため、縮尺が小さく設定されて設備の量が多くなり、設備の記号や図形の表示サイズが小さくなっても、低圧系統の設備が表示されない分、高圧系統の設備の視認性が向上する。かかる広域
図300は、高圧系統に含まれる設備の電圧調整がなされる場合に好適に利用できる。
【0071】
一方、地図の縮尺が「詳細図」である場合には、広域図に比べて配電系統画面に表示される設備の量が少なくなり、設備の記号や図形の表示サイズも大きくなる。この場合には、表示制御部19dは、現系統に含まれる設備のうち高圧系統の設備および低圧系統の設備の両方を表示させる。例えば、表示制御部19dは、先に読み出されたユニット及びスパンの位置IDに対応する緯度及び経度等の位置情報を用いて、記憶部13に記憶された地図情報から切り出された表示範囲の地図画像に高圧系統及び低圧系統の設備を配置することによって詳細図の表示データを生成する。
【0072】
図16は、配電系統画面の一例を示す図である。
図16には、
図14に示した詳細図用の受付画面200上で照準220が
図14に示した位置に設定された場合の詳細
図400が図示されている。
図16に示すように、詳細
図400には、M駅周辺の配電系統が図示されている。ここで、詳細
図400には、各配電系統に含まれる設備のうち変電所、高圧線および開閉器を含む高圧系統の設備とともに、柱上変圧器、低圧線、引込線や負荷設備を含む低圧系統の設備も併せて図示されている。このため、縮尺が大きく設定されて設備の量が少なくなり、設備の記号や図形の表示サイズを大きくできる場合には、高圧系統及び低圧系統の両方の設備が表示される分、視認性の劣化を抑制しつつ配電系統を詳細に表示できる。かかる詳細
図400は、柱上変圧器等で電圧調整を行ってその影響範囲を確認する場合に、変圧器を境界に高圧系統および低圧系統の両方への影響を視認できるので、低圧系統に含まれる設備の電圧調整がなされる場合に好適に利用できる。
【0073】
他の一態様としては、表示制御部19dは、クライアント端末30から縮尺の変更要求を受け付けた場合に、当該変更要求を受け付けた縮尺に合わせて地図および設備が拡大または縮小された配電系統画面の表示データを再生成する。
【0074】
例えば、表示制御部19dは、詳細図から広域図へ変更する縮尺の変更要求を受け付けた場合には、変更後の縮尺における所定の範囲に含まれるノードの位置IDを持つユニットおよびスパンのレコードを読み出す。その上で、表示制御部19dは、先に読み出されたユニット及びスパンのレコードに含まれる種別を参照して、高圧系統の設備の位置IDに対応する緯度及び経度等の位置情報を用いて、表示範囲の地図画像に高圧系統の設備を配置することによって広域図の表示データを再生成する。
【0075】
一方、表示制御部19dは、広域図から詳細図へ変更する縮尺の変更要求を受け付けた場合には、変更後の縮尺における所定の範囲に含まれるノードの位置IDを持つユニットおよびスパンのレコードを読み出す。その上で、表示制御部19dは、先に読み出されたユニット及びスパンの位置IDに対応する緯度及び経度等の位置情報を用いて、表示範囲の地図画像に高圧系統及び低圧系統の設備を配置することによって詳細図の表示データを再生成する。なお、ここでは、広域図および詳細図の間で縮尺が変更される場合を例示したが、値によって縮尺を変更することとしてもかまわない。例えば、表示制御部19dは、所定の閾値以下の縮尺に変更された場合に、クライアント端末30に高圧系統の設備だけを表示させ、閾値を超える縮尺に変更された場合に、クライアント端末30に配電系統の設備を表示させる。
【0076】
更なる一態様としては、表示制御部19dは、クライアント端末30から配電系統画面に含まれる設備の指定を受け付けた場合に、当該指定を受け付けた設備および設備が属する配電系統の表示態様を変更する。
【0077】
例えば、表示制御部19dは、広域図の画面上で高圧系統の設備の指定を受け付けた場合には、当該指定を受け付けた位置に存在するブランチをブランチテーブル16bから検索する。そして、表示制御部19dは、ブランチテーブル16bから検索されたブランチを探索リストへ登録する。続いて、表示制御部19dは、探索リストからブランチを1つ選択する。さらに、表示制御部19dは、当該ブランチが持つノードを探索リストへ登録する。そして、表示制御部19dは、探索リストからノードを1つ選択する。続いて、表示制御部19dは、ブランチテーブル16bから先に選択が実行されたノードを持つブランチを検索する。そして、表示制御部19dは、ブランチテーブル16bから検索されたブランチが高圧系統の設備であるか否かを判定する。このとき、表示制御部19dは、ブランチが高圧系統の設備である場合には、当該ブランチを図示しない内部メモリに記憶された表示変更リストへ登録するとともに、当該ブランチを探索リストへ登録する。かかる表示変更リストは、リスト内に登録されていないブランチとは異なる表示態様に変更するブランチのリストである。その後、表示制御部19dは、探索リストに未登録のノードがなくなるまで、ブランチの検索や高圧系統の所属可否の判定を繰り返し実行する。そして、表示制御部19dは、探索リストに未探索のノードがなくなると、探索リストに未探索のブランチがなくなるまで、ブランチの選択から高圧系統の所属可否の判定までの処理を繰り返し実行する。その後、表示制御部19dは、表示変更リストに登録された高圧系統の設備の表示態様が他のブランチの表示態様と異なる表示態様に変更された配電系統画面の表示データを生成する。このとき、表示制御部19dは、表示変更リストに登録された高圧系統の設備以外の設備を地図上から消去することもできる。
【0078】
図17は、配電系統画面の一例を示す図である。
図17には、
図15に示した広域
図300上で高圧系統の設備が表示されている位置P1が指定された場合に、当該高圧系統の設備の表示が変更された広域
図310が図示されている。
図17に示すように、広域
図310には、位置P1上に存在する高圧線が属する高圧系統の色や太さが他の高圧系統の色や太さとは異なる態様で表示される。このため、位置P1の指定がなされた高圧系統が強調された表示を実現できる。さらに、広域
図310には、低圧系統の設備の記号や図形は図示されていないが、所定の標準電圧から所定の許容範囲までの電圧が所定の電圧ごとに色が区別された円形の塗りつぶしで負荷設備における電圧が表現される。
図17に示すように、許容範囲の上限近傍の点の塗りつぶしで表現された部分は、太陽光パネル等の分散型電源を持つ負荷設備であることが容易に把握できる。このような負荷設備からの逆潮流が起こり得る負荷設備の分布や電圧値は、変電所や開閉器でどのような電圧の調整を行えばよいのかを検討するのに有効に活用できる。
【0079】
また、表示制御部19dは、詳細図の画面上で低圧系統の設備の指定を受け付けた場合には、当該指定を受け付けた位置に存在するブランチをブランチテーブル16bから検索する。そして、表示制御部19dは、ブランチテーブル16bから検索されたブランチを探索リストへ登録する。続いて、表示制御部19dは、探索リストからブランチを1つ選択する。さらに、表示制御部19dは、当該ブランチが持つノードを探索リストへ登録する。そして、表示制御部19dは、探索リストからノードを1つ選択する。続いて、表示制御部19dは、ブランチテーブル16bから先に選択が実行されたノードを持つブランチを検索する。そして、表示制御部19dは、ブランチテーブル16bから検索されたブランチが低圧系統の設備であるか否かを判定する。このとき、表示制御部19dは、ブランチが低圧系統の設備である場合には、当該ブランチを表示変更リストへ登録するとともに、当該ブランチを探索リストへ登録する。その後、表示制御部19dは、探索リストに未登録のノードがなくなるまで、ブランチの検索や低圧系統の所属可否の判定を繰り返し実行する。そして、表示制御部19dは、探索リストに未探索のノードがなくなると、探索リストに未探索のブランチがなくなるまで、ブランチの選択から高圧系統の所属可否の判定までの処理を繰り返し実行する。その後、表示制御部19dは、表示変更リストに登録された低圧系統の設備の表示態様が他のブランチの表示態様と異なる表示態様に変更された配電系統画面の表示データを生成する。このとき、表示制御部19dは、表示変更リストに登録された低圧系統の設備を含む配電系統以外の他の配電系統の設備を地図上から消去することもできる。
【0080】
図18は、配電系統画面の一例を示す図である。
図18には、詳細図上で低圧系統の設備が表示されている位置が指定された場合に、当該低圧系統の設備の表示が変更された詳細
図410が図示されている。
図18に示すように、詳細
図410には、位置の指定がなされた低圧系統の色や太さが他の低圧系統の色や太さとは異なる態様で表示される。例えば、詳細
図410には、標準電圧、例えば「101V」から許容範囲、例えば「±6」までの電圧が95Vから106Vまで所定の電圧、例えば1Vごとに色が区別された円形の塗りつぶしで負荷設備の電圧が表現される。このため、低圧系統が強調された表示を実現できる。さらに、詳細
図410には、柱上変圧器から引込線を経由して負荷設備までの経路も図示されている。それ故、柱上変圧器の電圧が変化された場合に影響が生じ得る負荷設備が一目で把握できるので、柱上変圧器における電圧調整に有効活用できる。
【0081】
他の一態様としては、表示制御部19dは、現系統のグラフ構造の表示データを生成することもできる。例えば、表示制御部19dは、記憶部13に記憶されたブランチテーブル16bに含まれる設備IDのうち所定の設備ID、例えばSSの設備IDやクライアント端末30から指定を受け付けた任意の設備IDを選択する。そして、表示制御部19dは、先に選択された設備IDに対応付けられたノードIDの組合せのうちSSに最寄りのノードIDを階層構造のルートに設定する。続いて、表示制御部19dは、ルートから終端となる負荷設備の設備IDへ向けてノードの数を経るほどノードへ付与する階層を下げ、ルートから終端までの各ノード間に設備が配置された現系統のグラフ構造の表示データを生成する。
【0082】
ここで、
図19及び
図20を用いて、グラフ構造を表示するメリットについて説明する。
図19は、配電系統画面の一例を示す図である。
図20は、グラフ構造の表示データの一例を示す図である。これら
図19及び
図20は、
図29に示したカレントノードテーブル17a及び
図30に示すカレントブランチテーブル17bから生成される配電系統が図示されている。
図19に示すように、配電系統画面は、配電系統に含まれる各々の設備については明確に把握できる一方で、各設備の電気的な繋がりは把握しづらい一面がある。例えば、
図19に示す配電系統画面では、開閉器および変圧器の間に高圧線と低圧線とが重なっている。このため、変圧器、低圧線、引込線、負荷設備aの順に低圧電力が配電されていることを把握するまで、高圧線及び低圧線は、電気が開閉器から変圧器の方向へ流れるのか、あるいは変圧器から開閉器の方向へ流れるのかが分かりづらい。一方、
図20に示すように、配電系統のグラフ構造が表示されている場合には、変電所に接続される1階層目のノードから7階層目の負荷設備a〜負荷設備dに接続される各ノードまでが電気の流れに沿って階層的に表示される。このため、高圧線は、開閉器から変圧器の方向へ高圧電力が配電されており、低圧線は、変圧器から開閉器の方向へ低圧電力が配電されていることが一目で把握できる。さらに、設備に故障や事故などの異常が発生したとしても、異常が発生した設備から負荷設備側へ向かって停電の影響があることも把握しやすい。このように、配電系統のグラフ構造を表示するメリットの一態様としては、設備間の電気的な繋がりが一目で把握できる点が挙げられる。
【0083】
なお、制御部19には、各種の集積回路や電子回路を採用できる。また、制御部19が有する機能部の一部を別の集積回路や電子回路とすることもできる。例えば、集積回路としては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)が挙げられる。また、電子回路としては、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などが挙げられる。
【0084】
[処理の流れ]
続いて、本実施例に係る配電管理装置10の処理の流れについて説明する。なお、ここでは、配電管理装置10によって実行される(1)配電管理処理を説明した後に、(2)配電系統画面の表示制御処理、(3)縮尺変更処理、(4)第1の表示変更処理、(5)第2の表示変更処理の順に、説明することとする。
【0085】
(1)配電管理処理
図21〜
図23は、実施例1に係る配電管理処理の手順を示すフローチャートである。この配電管理処理は、クライアント端末30を介して配電系統画面の閲覧要求を受け付けた場合や前回に処理が実行されてから一定期間が経過した場合に、処理が開始される。
【0086】
図21に示すように、検索部19aは、ロケーションテーブル14aに記憶された位置IDのうち位置種別が配電用変電所「SS」である位置IDを検索する(ステップS101)。そして、検索部19aは、ロケーションテーブル14aから検索されたSSの位置IDを探索リストへ登録する(ステップS102)。
【0087】
続いて、検索部19aは、探索リストに登録されたSSの位置IDを1つ選択する(ステップS103)。そして、検索部19aは、ノードテーブル16aに記憶されたノードのうち先に選択が実行されたSSの位置IDに対応するノードを検索する(ステップS104)。
【0088】
その上で、検索部19aは、ノードテーブル16aから検索されたノードのレコードを、記憶部13に配電系統情報17として記憶されたカレントノードテーブル17aへ登録する(ステップS105)。さらに、検索部19aは、ノードテーブル16aから検索されたノードを探索リストへ登録する(ステップS106)。
【0089】
そして、検索部19aは、探索リストに登録されたノードを1つ選択する(ステップS107)。続いて、検索部19aは、ブランチテーブル16bに記憶されたブランチのうちステップS107で選択されたノードが含まれるノードIDの組合せ、すなわちノードID
1及びノードID
2の組合せを持つブランチのレコードを検索する(ステップS108)。
【0090】
その上で、検索部19aは、ステップS108で検索されたブランチのレコードをカレントブランチテーブル17bへ登録する(ステップS109)。さらに、検索部19aは、ステップS108で検索されたブランチを探索リストに登録する(ステップS110)。続いて、検索部19aは、探索リストに登録されたブランチを1つ選択する(ステップS111)。
【0091】
そして、検索部19aは、
図22に示すように、スパンテーブル15bからステップS111で選択されたブランチの設備IDに対応する属性情報を検索する(ステップS112)。このとき、スパンテーブル15bから属性情報を検索できなかった場合、すなわち属性情報がヒットしなかった場合(ステップS113No)には、検索部19aは、次のような処理を実行する。
【0092】
すなわち、検索部19aは、ユニットテーブル15aからステップS111で選択されたブランチの設備IDに対応する属性情報を検索する(ステップS114)。なお、スパンテーブル15bから属性情報を検索できた場合(ステップS113Yes)には、ステップS114の処理をとばしてステップS115の処理へ移行する。
【0093】
そして、対応付け部19bは、カレントブランチテーブル17bに記憶されたレコードのうちスパンテーブル15bまたはユニットテーブル15aの検索に用いたブランチのレコードに対応付けて当該ブランチの属性情報を登録する(ステップS115)。
【0094】
その後、検索部19aは、ステップS108で検索されたブランチが含むノードの組合せのうちステップS108で探索に用いられたノードとは対となる他方のノードがブランクであるか否かを判定する(ステップS116)。
【0095】
このとき、他方のノードがブランクでない場合(ステップS116Yes)には、検索部19aは、当該ブランチが開閉器であるか否かをさらに判定する(ステップS117)。そして、ブランチが開閉器である場合(ステップS117Yes)には、検索部19aは、開閉器のスイッチが閉状態であるか否か、すなわち開閉器がON状態であるか否かをさらに判定する(ステップS118)。
【0096】
ここで、開閉器がON状態である場合(ステップS118Yes)には、検索部19aは、ノードテーブル16aから他方のノードのレコードを検索した上で配電系統情報17のカレントノードテーブル17aへ登録する(ステップS119)。さらに、検索部19aは、他方のノードを未探索のノードとして探索リストへ追加する(ステップS120)。
【0097】
また、ブランチが開閉器でない場合(ステップS117No)にも、検索部19aは、ノードテーブル16aから他方のノードのレコードを検索した上で配電系統情報17のカレントノードテーブル17aへ登録する(ステップS119)。さらに、検索部19aは、他方のノードを未探索のノードとして探索リストへ追加する(ステップS120)。
【0098】
一方、他方のノードがブランクである場合もしくは開閉器がOFF状態である場合(ステップS116NoまたはステップS118No)には、ステップS121の処理へ移行する。
【0099】
その後、検索部19aは、探索リストに登録されたブランチを全て探索したか否かを判定する(ステップS121)。このとき、探索リストに登録されたブランチが全て探索されていない場合(ステップS121No)には、未探索のブランチが選択された後(ステップS111)、ステップS112〜ステップS121までの処理が繰り返し実行される。
【0100】
そして、探索リストに登録されたブランチが全て探索されると(ステップS121Yes)、検索部19aは、探索リストに登録されたノードを全て探索したか否かを判定する(ステップS122)。このとき、探索リストに登録されたノードが全て探索されていない場合(ステップS122No)には、未探索のノードが選択された後(ステップS107)、ステップS108〜ステップS121までの処理が繰り返し実行される。
【0101】
その後、探索リストに登録されたノードが全て探索されると(ステップS122Yes)、検索部19aは、探索リストに登録されたSSの位置IDを全て探索したか否かを判定する(ステップS123)。このとき、探索リストに登録されたSSの位置IDが全て探索されていない場合(ステップS123No)には、未探索のSSの位置IDが選択された後(ステップS103)、ステップS104〜ステップS122までの処理が繰り返し実行される。
【0102】
そして、探索リストに登録されたSSの位置IDが全て探索された場合(ステップS123Yes)には、
図23に示すように、検索部19aは、ブランチテーブル16bに記憶されたブランチのレコードと、カレントブランチテーブル17bに記憶されたブランチのレコードとを突合する(ステップS124)。
【0103】
ここで、ブランチテーブル16bにカレントブランチテーブル17bと一致しないブランチのレコードが存在する場合(ステップS125Yes)には、検索部19aは、当該ブランチのレコードに含まれる設備IDの設備を停電箇所として検出し(ステップS126)、処理を終了する。一方、ブランチテーブル16bにカレントブランチテーブル17bと一致しないブランチのレコードが存在しない場合(ステップS125No)には、そのまま処理を終了する。
【0104】
(2)配電系統画面の表示制御処理
図24は、実施例1に係る配電系統画面の表示制御処理の手順を示すフローチャートである。この表示制御処理は、クライアント端末30から配電系統画面の閲覧要求を受け付けた場合やクライアント端末30から配電管理装置10へのログイン処理等が成功した場合などに処理が実行される。
【0105】
図24に示すように、クライアント端末30から配電系統画面の閲覧要求を受け付けると(ステップS201)、取得部19cは、次のような処理を実行する。すなわち、取得部19cは、記憶部13に記憶された表示設定情報18を取得するか、あるいはクライアント端末30から受付画面を介して表示設定を入力させることによって表示設定を取得する(ステップS202)。
【0106】
そして、表示制御部19dは、ロケーションテーブル14aから地図の表示範囲に含まれる位置IDを取得する(ステップS203)。そして、表示制御部19dは、ユニットテーブル15aから地図の表示範囲内にある位置IDを持つユニットのレコードを取得する(ステップS204)。さらに、表示制御部19dは、スパンテーブル15bから地図の表示範囲内にある位置IDを持つスパンのレコードを取得する(ステップS205)。
【0107】
続いて、表示制御部19dは、ユニット及びスパンのレコードのうちブランチテーブル16bに設備IDが登録されているレコードを抽出する(ステップS206)。これによって、ユニット及びスパンの中でも現系統に含まれるユニット及びスパンが抽出されることになる。
【0108】
ここで、地図の縮尺が「広域図」である場合(ステップS207Yes)には、表示制御部19dは、次のような処理を実行する。すなわち、表示制御部19dは、ステップS204やステップS205で取得されたユニット及びスパンのレコードに含まれる種別を参照して、高圧系統の設備を抽出する(ステップS208)。
【0109】
続いて、表示制御部19dは、ユニット及びスパンの位置IDに対応する緯度及び経度等の位置情報を用いて、地図情報から切り出された表示範囲の地図画像に高圧系統の設備を配置することによって広域図の表示データを生成し(ステップS209)、処理を終了する。
【0110】
一方、地図の縮尺が「詳細図」である場合(ステップS207No)には、表示制御部19dは、ステップS204やステップS205で取得されたユニット及びスパンの位置IDに対応する緯度及び経度等の位置情報を用いて、地図情報から切り出された表示範囲の地図画像に高圧系統及び低圧系統の設備を配置することによって詳細図の表示データを生成し(ステップS210)、処理を終了する。
【0111】
(3)縮尺変更処理
図25は、実施例1に係る縮尺変更処理の手順を示すフローチャートである。この縮尺変更処理は、例えば、広域図や詳細図等の配電系統画面が表示された状態で縮尺の切替えボタンの押下等の縮尺の変更要求が受け付けられた場合に処理が実行される。
【0112】
図25に示すように、詳細図から広域図へ縮尺を変更する要求である場合(ステップS501YesかつステップS502Yes)には、表示制御部19dは、次のような処理を実行する。すなわち、表示制御部19dは、表示範囲の地図画像に高圧系統の設備を配置することによって広域図の表示データを再生成し(ステップS503)、処理を終了する。
【0113】
一方、広域図から詳細図へ縮尺を変更する要求である場合(ステップS501NoかつステップS504Yes)には、表示制御部19dは、次のような処理を実行する。すなわち、表示制御部19dは、表示範囲の地図画像に高圧系統及び低圧系統の設備を配置することによって詳細図の表示データを再生成し(ステップS505)、処理を終了する。
【0114】
なお、詳細図および広域図の間の切り替りがない変更要求である場合(ステップS501YesかつステップS502No、あるいはステップS501Noかつステップ504No)には、地図や設備の縮尺だけがなされて処理が終了される。
【0115】
(4)第1の表示変更処理
図26は、実施例1に係る第1の表示変更処理の手順を示すフローチャートである。この第1の表示変更処理は、例えば、詳細図が表示された状態で設備の指定が受け付けられた場合に処理が実行される。
【0116】
図26に示すように、詳細図の画面上で設備の指定を受け付けると(ステップS301)、表示制御部19dは、指定の設備が低圧系統の設備であるか否かを判定する(ステップS302)。
【0117】
このとき、詳細図の画面上で低圧系統の設備の指定を受け付けた場合(ステップS302Yes)には、表示制御部19dは、当該指定を受け付けた位置に存在するブランチをブランチテーブル16bから検索する(ステップS303)。そして、表示制御部19dは、ブランチテーブル16bから検索されたブランチを探索リストへ登録する(ステップS304)。
【0118】
続いて、表示制御部19dは、探索リストからブランチを1つ選択する(ステップS305)。さらに、表示制御部19dは、当該ブランチが持つノードをブランチテーブル16bから検索する(ステップS306)。その上で、表示制御部19dは、ノードを探索リストへ登録する(ステップS307)。
【0119】
そして、表示制御部19dは、探索リストからノードを1つ選択する(ステップS308)。続いて、表示制御部19dは、ブランチテーブル16bからステップS308で選択が実行されたノードを持つブランチを検索する(ステップS309)。
【0120】
ここで、表示制御部19dは、ブランチテーブル16bから検索されたブランチが低圧系統の設備であるか否かを判定する(ステップS310)。このとき、ブランチが低圧系統の設備である場合(ステップS310Yes)には、表示制御部19dは、当該ブランチを表示変更リストへ登録する(ステップS311)。さらに、表示制御部19dは、当該ブランチを探索リストへ登録する(ステップS312)。
【0121】
一方、ブランチが低圧系統の設備でない場合(ステップS310No)には、ステップS311及びステップS312の処理をとばしてステップS313の処理へ移行する。
【0122】
その後、表示制御部19dは、探索リストに未登録のノードがなくなるまで(ステップS313No)、上記のステップS308〜ステップS312までの処理を繰り返し実行する。
【0123】
そして、探索リストに未登録のノードがなくなると(ステップS313Yes)、表示制御部19dは、探索リストに未探索のブランチがなくなるまで(ステップS314No)、上記のステップS305〜ステップS313までの処理を繰り返し実行する。
【0124】
その後、探索リストに未探索のブランチがなくなると(ステップS314Yes)、表示制御部19dは、表示変更リストに登録された低圧系統の設備の表示態様が他のブランチの表示態様と異なる表示態様に変更された配電系統画面の表示データを生成し(ステップS315)、処理を終了する。
【0125】
(5)第2の表示変更処理
図27は、実施例1に係る第2の表示変更処理の手順を示すフローチャートである。この第2の表示変更処理は、例えば、広域図が表示された状態で設備の指定が受け付けられた場合に処理が実行される。
【0126】
図27に示すように、広域図の画面上で設備の指定を受け付けると(ステップS401)、表示制御部19dは、指定の設備が高圧系統の設備であるか否かを判定する(ステップS402)。
【0127】
このとき、広域図の画面上で高圧系統の設備の指定を受け付けた場合(ステップS402Yes)には、表示制御部19dは、当該指定を受け付けた位置に存在するブランチをブランチテーブル16bから検索する(ステップS403)。
【0128】
そして、表示制御部19dは、ブランチテーブル16bから検索されたブランチを探索リストへ登録する(ステップS404)。続いて、表示制御部19dは、探索リストからブランチを1つ選択する(ステップS405)。さらに、表示制御部19dは、当該ブランチが持つノードをブランチテーブル16bから検索する(ステップS406)。そして、表示制御部19dは、ノードを探索リストへ登録する(ステップS407)。
【0129】
そして、表示制御部19dは、探索リストからノードを1つ選択する(ステップS408)。続いて、表示制御部19dは、ブランチテーブル16bからステップS408で選択が実行されたノードを持つブランチを検索する(ステップS409)。
【0130】
ここで、表示制御部19dは、ブランチテーブル16bから検索されたブランチが高圧系統の設備であるか否かを判定する(ステップS410)。このとき、ブランチが高圧系統の設備である場合(ステップS410Yes)には、表示制御部19dは、当該ブランチを表示変更リストへ登録する(ステップS411)。さらに、表示制御部19dは、当該ブランチを探索リストへ登録する(ステップS412)。
【0131】
一方、ブランチが高圧系統の設備でない場合(ステップS410No)には、ステップS411〜ステップS412までの処理をとばしてステップS413の処理へ移行する。
【0132】
その後、表示制御部19dは、探索リストに未登録のノードがなくなるまで(ステップS413No)、上記のステップS408〜ステップS412までの処理を繰り返し実行する。
【0133】
そして、探索リストに未登録のノードがなくなると(ステップS413Yes)、表示制御部19dは、探索リストに未探索のブランチがなくなるまで(ステップS414No)、上記のステップS405〜ステップS413までの処理を繰り返し実行する。
【0134】
その後、探索リストに未探索のブランチがなくなると(ステップS414Yes)、表示制御部19dは、表示変更リストに登録された高圧系統の設備の表示態様が他のブランチの表示態様と異なる表示態様に変更された配電系統画面の表示データを生成し(ステップS415)、処理を終了する。
【0135】
[実施例1の効果]
上述してきたように、本実施例に係る配電管理装置10は、配電系統の設備に関する表示を行う場合に、画面の縮尺が小さい場合には高圧系統の設備を表示させ、画面の縮尺が大きい場合には配電系統全体の設備を表示させる。このため、縮尺が小さく設定されて表示される設備の量が多くなり、設備の記号や図形の表示サイズが小さくなる場合には、表示させる設備を高圧系統の設備に絞ることができる。また、縮尺が大きく設定されて設備の量が少なくなり、設備の記号や図形の表示サイズを大きくできる場合には、表示させる設備を配電系統全体に拡張できる。したがって、本実施例に係る配電管理装置10によれば、配電系統で電気的に接続された設備の視認性を向上できる。