(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料の流れに沿って、順に、第1の容積室(54)、第2の容積室(62)、燃料を加圧するプランジャ(74)が往復移動可能に配置されている第3の容積室(72)、および第4の容積室(84)を区画するケーシング(48)と、
前記第1の容積室から前記第2の容積室への流れを許容し前記第2の容積室から前記第1の容積室への流れを阻止する吸入弁装置の第2の弁部材であって、可動の第1の弁部材(58)によって閉弁方向への移動が妨げられることがあり、直噴型燃料噴射ポンプを通る燃料の流れを制御するための可動の第2の弁部材(64)とを備える直噴型燃料噴射ポンプの制御方法において、
前記直噴型燃料噴射ポンプは、さらに、
前記第2の容積室に設けられ、前記第2の弁部材が着座、または離座する弁座(66)と、
前記第2の容積室に設けられ、前記第2の弁部材が前記弁座から離座し向かうストッパとしての座部(104)とを備え、
前記第2の弁部材を前記弁座から前記座部に向けて移動させる工程と、
前記第1の弁部材を前記第2の弁部材に向けて移動させる工程とを備え、
前記第2の弁部材は、前記直噴型燃料噴射ポンプがその吸入行程を開始すると、前記第1の弁部材が移動する前に移動を開始することを特徴とする直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
さらに、励磁状態と非励磁状態とに切換えられることによって前記第1の弁部材の移動を制御するソレノイドコイル(56)を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
さらに、前記第1の容積室に設けられ、前記第1の弁部材を前記第2の弁部材に向けて押す第1のスプリング(60)を備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
前記第2の弁部材を前記弁座から前記座部に向けて移動させる工程は、前記第1の弁部材から離して前記第2の弁部材だけを移動させることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0013】
(第1実施形態)
図1−15を参照して、本発明の一実施形態に係る直噴型燃料噴射装置を説明する。この説明において、直噴型燃料噴射装置を含む車両用燃料供給装置と、直噴型燃料噴射装置に含まれる直噴型燃料噴射ポンプおよびその制御方法が明らかにされる。
【0014】
図1および
図2において、例えば自動車のような車両10は、エンジン12、燃料供給経路14、燃料タンク16、および燃料ポンプモジュール18を備えるものとして図示されている。燃料ポンプモジュール18は、フランジを用いることによって、燃料タンク16の内部に収容されている。燃料ポンプモジュール18は、燃料タンク16が液体の燃料を有しているとき、量が変動する燃料タンク16内の液体の燃料の中に浸漬されているか、または囲まれている。燃料ポンプモジュール18内の電動燃料ポンプは、燃料タンク16から直噴型燃料噴射ポンプ22へ燃料供給通路14を通して燃料を供給する。直噴型燃料噴射ポンプ22は、高圧ポンプである。直噴型燃料噴射ポンプ22に到達すると、液体燃料は、その後に、コモンレール24に向けて供給される前にさらに加圧される。コモンレール24からは、複数の燃料噴射弁26がエンジン12の燃焼シリンダ内における最終的な燃焼のための燃料を受け取る。直噴型燃料噴射装置は、制御装置(Controller)13を備える。制御装置13は、少なくとも直噴型燃料噴射ポンプ22を制御する。制御装置13は、エンジン制御装置、またはポンプ制御装置とも呼ばれる。
【0015】
図3Aは、この実施形態に係る高圧の直噴型燃料噴射ポンプ22を示す側面図である。直噴型燃料噴射ポンプ22は、例えばカムフォロワのようなフォロワ(従動部材)23に対する力を維持するためにフォロワスプリング27を備える。フォロワ23は、
図3Bに図示されている。フォロワ23は、その一部にローラ25を備えることができる。ローラ25は、カム86と接触するための部材である。より具体的には、ローラ25は、カム86のカム山と接触するための部材である。フォロワスプリング27がフォロワ23に対して一定の力を維持するから、ローラ25はカム86の径方向外側の面に対して連続的な接触状態を維持する。
【0016】
さらに、
図4を含む複数の図面を参照して、直噴型燃料噴射ポンプ22の構成と、制御装置13によって実行される直噴型燃料噴射ポンプ22に関連付けられた制御方法を説明する。直噴型燃料噴射ポンプ22は、全体のケーシングまたは外側のケーシング48を有する。ケーシング48は、複数の容積室を区画形成し、複数の構造および複数の構成部品を収容する内部収容室50を区画形成する。複数の構造および複数の構成部品は、直噴型燃料噴射ポンプ22を通過する燃料を加圧し、制御するために作動する。液体の燃料、例えばガソリンは、燃料供給経路14を通って流れる。燃料供給経路14は、直噴型燃料噴射ポンプ22の圧力制御弁の部分の入口52に接続されるか、または最終的にそこに導かれる、圧力制御弁はPCVとも呼ばれる。ケーシング48は、ポンプケーシングとも呼ばれる。ケーシング48は、入口52と出口96とを区画形成している。ケーシング48は、入口52と出口96との間に、入口52から出口96への燃料の流れに沿って、順に、第1の容積室54、第2の容積室62、第3の容積室72、および第4の容積室84を区画形成している。これら複数の容積室54、62、72、84の間は、壁によって仕切られているが、壁には燃料の流れを許容する通路が形成されている。第1の容積室54と第2の容積室62との間には、第1の容積室54から第2の容積室62への流れを許容し、第2の容積室62から第1の容積室54への流れを阻止する吸入弁装置64、66、68が設けられている。第3の容積室72と第4の容積室84との間には、第3の容積室72から第4の容積室84への流れを許容し、第4の容積室84から第3の容積室72への流れを阻止する逆止弁装置78、80、82が設けられている。矢印44に従って流れる燃料は、入口52を通過し、第1の容積室54に流入する。第1の容積室54は、ニードル58とニードル58の端部に対して力をおよぼすニードルスプリング60とを収容している。ニードル58は、可動の第1の弁部材58とも呼ばれる。ニードルスプリング60は、可動の第1の弁部材58のための第1のスプリング60とも呼ばれる。電磁的な駆動手段としてのソレノイドコイル56は、第1の容積室54の外側に設けられている。第2の容積室62は、吸入弁64を収容している。吸入弁64は、直噴型燃料噴射ポンプ22を通る燃料の流れを制御するために、弁座66に着座、または離座することができる。吸入弁64は、ニードル58との関連によって、ニードル58と共同して作動することができる。吸入弁64の閉弁方向への移動は、ニードル58によって妨げられることがある。ニードル58は、吸入弁64の閉位置への移動を妨げる状態と、吸入弁64の閉位置への移動を許容する状態とに切換え可能である。ニードル58は、吸入弁64の閉位置への移動を妨げる状態にあるとき、さらに、吸入弁64を開位置に向けて操作することができる。ニードル58と吸入弁64とは、ニードル58が吸入弁64に対して、吸入弁64を開位置へ向かわせる方向に沿って衝突することができるように配置されている。吸入弁64は、可動の第2の弁部材64とも呼ばれる。吸入弁64は、スプリング68によって押されている。吸入弁64は、スプリング68によって閉弁方向へ向けて押されている。スプリング68は、壁70に対して壁70を固定端として吸入弁64を押す。吸入弁64が弁座66から離座すると、燃料は第3の容積室72に流入する。第3の容積室72は、加圧室72とも呼ばれる。加圧室72内には、望ましい圧力まで燃料を加圧するプランジャ74が往復移動可能に配置されている。プランジャ74の外径は、加圧室72の内径または内面76に対してシール性を提供しながら、その移動を許容する。加圧室72から出力される燃料の圧力は、適用対象となっている内燃機関の要求圧力に依存して設定される。出口の逆止弁78は、弁座80に着座、または離座することができる。逆止弁78は第4の容積室84に収容されている。逆止弁78はスプリング82のバネ定数にしたがって、弁座80との着座および離座を切換える。逆止弁78は、直噴型燃料噴射ポンプ22が吸入行程にあるときに燃料配管の中に高圧を維持するために貢献する。加圧室72内における燃料の加圧をさらに促進するために、プランジャ74の端部89はフォロワ23を介してカム86のカム山の上に沿って摺動するか、または接触する、カム86は、エンジン12の回転によって直接的に、または間接的に駆動される。したがって、プランジャの長さの違いと、カム山の高さの違いが、加圧室72内における燃料の加圧に影響する。
【0017】
図5A−
図5Bに加えて、さらに
図6を参照することによって、この実施形態における直噴型燃料噴射ポンプの制御方法をより詳細に説明する。
図6の横軸は時間(Time)を示し、縦軸はカムのリフト量(Cam Lift)を示す。
図5Aは、矢印44によって示されるように第1の容積室54に燃料が流入する吸入行程を示している。吸入行程における矢印44の流れは、ソレノイドコイル56への通電が遮断され、非励磁になることで可能となる。ソレノイドコイル56が非励磁であるとき、ニードルスプリング60は、ニードル58がソレノイドコイル56から離れるように力をおよぼすことが可能である。スプリング60の力によって、ニードル58が吸入弁64に向けて移動する。吸入弁64が弁座66から休止部または座部としてのストッパ突起104に向けて移動しているときに、ソレノイドコイル56が非励磁になる。吸入弁64が弁座66からストッパ突起104に向けて最高の速度で移動しているときに、ソレノイドコイル56が非励磁になる。ニードル58は、吸入弁64が弁座66からストッパ突起104に向けて最高の速度で移動しているときに、吸入弁64に追いつくようにして、吸入弁64に衝突する。これにより、ニードル58が吸入弁64に接触し、ニードル58がスプリング68に抗してスプリング68が圧縮されるように吸入弁64を押す。スプリング68が圧縮されると、燃料が吸入弁64を通過し加圧室72に流入することを許容するように、吸入弁64は、弁座66から離れるように移動する。矢印44に示される燃料の流れは、
図4に関連して説明されたように、プランジャ74の端部89がフォロワ23を介してカム86の表面に沿って摺動することによって、矢印88で示されるように下向きに移動するプランジャ74によって助長され、促進される。プランジャ74の下向きの移動は、加圧室72内に生成される負圧に起因する吸引力を生じる。プランジャ74が加圧室72から離れるように矢印88に示されるように移動すると、逆止弁78は、弁座80に対して着座し、シール性を提供する。プランジャ74による吸引行程の間中、スプリング82の力は、弁座80への逆止弁78の着座を促進する。さらに、加圧室72に生じた負圧も、弁座80に向けて逆止弁を吸引する。よって、
図5Aは、ソレノイドコイル56が電気的に非活性化され、その結果、燃料がプランジャ74によって加圧室72に吸い込まれる様子を示している。
図6に図示されるように、
図5Aの吸入行程におけるプランジャ74の位置は、カムのリフト量の減少過程または低下過程において生じ、例えば曲線73の位置75である。
【0018】
図5Bおよび
図6において、プランジャ74がシリンダまたはスリーブ90内を矢印88に沿って上方向へ移動するとき、プレストロークまたは予備加圧行程と呼ばれる行程範囲が図示されている。
図6に図示されるように、プレストロークの行程は、
図4に図示されるカム86がプランジャ74を持ち上げる過程の動きからなる。しかし、燃料は、直噴型燃料噴射ポンプ22から矢印92によって示されるように流出することができ、よって、燃料はまだ加圧室72の中において加圧されない。吸入弁64が弁座66に着座するまで、この状態は継続する。よって、
図5Bは、ソレノイドコイル56がOFF状態または非励磁状態であるとき、ニードルスプリング60の力がプランジャ74によって作り出される燃料92の流れの力より大きく、燃料が加圧室72から直噴型燃料噴射ポンプ22を通ってケーシングの入口またはポンプの入り口52から流出する様子を示している。逆止弁78は、プランジャ74が上向きに動き始めた直後の短期間である
図5Bのプレストロークの間中、弁座80に着座している。
図6に図示されるように、
図5Bのプレストロークにおけるプランジャ74の位置は、カムのリフト量が増加している過程において生じ、例えば曲線73の位置77である。
【0019】
図5Cは、ソレノイドコイル56が励磁され、そして
図5Bの予備加圧行程に連続するものとして、矢印88に示されるように、プランジャ74がさらに上方向へ向けてまたは加圧室72に向けて移動するポンプ行程、または加圧行程を示している。スリーブ90内をプランジャ74が移動すると、燃料は加圧室72内において加圧される。
図6に図示されるように、加圧行程は、図示されるカム86の上昇可能範囲または移動可能範囲における、カム86がプランジャ74を上死点に向けて、そして上死点まで上昇させる行程または移動させる行程によって構成されている。上死点はTDCとも呼ばれる。しかし、燃料は、矢印94で示されるように出口96において、直噴型燃料噴射ポンプ22を通り、この直噴型燃料噴射ポンプ22から出ることができる。よって、燃料は加圧室72内において加圧される。よって、
図5Cは、ソレノイドコイル56がON状態または励磁状態であるとき、励磁されたソレノイドコイル56の力がニードル58を吸引し、それによってニードルスプリング60を圧縮し、ニードルの端部98を吸入弁64との接触から引き離す様子を示している。よって、スプリング68はその後に吸入弁64を弁座66に向けて押す。これにより、燃料が第1の容積室54または入口室54から流入することが阻止され、代わりに、燃料は第4の容積室84または出口室84に流入し、逆止弁のスプリング82が圧縮されるとき、出口96から流出するように流される。
【0020】
図5Cに引き続き、燃料が出口96から流出するとき、燃料の流れの力、および/または容積室72内の圧力は、燃料が出口96から流出できるように、スプリング82の圧縮と逆止弁78の移動とを許容するために、逆止弁78に対するスプリング82の抵抗力または圧縮力より大きい。スプリング68は、吸入弁64が閉じようとしているとき、そしてその後に閉じられるとき、壁100を固定端として吸入弁64に力をおよぼす。スプリング68は、吸入弁64の閉位置(
図5C参照)においては吸入弁64に力をおよぼさない。スプリング68は、吸入弁64の開位置(
図5A、
図5B、
図5E参照)においては吸入弁64に力をおよぼす。スプリング68は、吸入弁64の中間位置と開位置との間においてのみ、スプリング68を閉位置に向けて押す力をおよぼす。同様に、スプリング82は、逆止弁78が開こうとしているとき、または閉じようとしているとき、壁102に対して壁102を固定端として逆止弁78に力をおよぼす。よって、
図5Aから
図5Cのそれぞれは、プランジャ74の位置、ソレノイドコイル56の対応する状態、例えばON状態またはOFF状態、および直噴型燃料噴射ポンプ22における燃料の流れへのプランジャ74の位置とソレノイドコイル56の状態との影響および効果を示している。
図6に図示されるように、
図5Cの加圧行程におけるプランジャ74の位置は、カムのリフト量が上昇する過程において生じ、例えば曲線73の位置79である。
【0021】
図5Dは、ニードル58および吸入弁64のような内部部品の位置を示している。より具体的には、ニードル58の位置は、プランジャ74がTDCに接近しているときのTDCの直前である。この状態は、加圧室72に最も近いプランジャ74の端部と反対側の端部がフォロワ23を介してカムの一部に接触しているときに発生する。ソレノイドコイル56は通電され励磁されているから、ニードル58は吸入弁64から離れるように吸引されている。その結果、プランジャ74がTDCに接近しているとき、ニードル58は吸入弁64に接触していない。また、
図5Dは、吸入弁64が休止部または座部としてのストッパ突起104に接触していないことも図示している。
図6に図示されるように、
図5Dの加圧行程におけるプランジャ74の位置は、カムのリフト量が上昇する過程において生じ、例えば曲線73の位置81である。位置81は、プランジャ74のTDCの位置85の直前である。
【0022】
図5Eは、カム86のTDC直後における、ニードル58および吸入弁64のような内部部品の位置を示している。すなわち、プランジャ74はTDCから離れ始めており、吸入行程の初期位置にある。
図5Eにおいて、ソレノイドコイル56は依然として励磁され、よってニードル58は依然としてソレノイドコイル56に吸引され、吸入弁64から離れるように固定されている。したがって、互いに接触したひとつの質量体としてのニードル58と吸入弁64との組み合わせ物の場合とは逆に、
図5Eにおいては、吸入弁64だけがストッパ突起104に接触している。ニードル58はソレノイドコイル56に接触しないから、ニードルのためのストッパが設けられてもよい。吸入弁64は、プランジャによる負圧によって、エンジン回転数のほとんどの値(ほとんどの回転数領域)において浮動状態にある。浮動状態とは、吸入弁64が弁座66とストッパ突起104との間にあり、しかもどちらにも接触していない状態を指している。吸入弁64がストッパ突起104に接触するためには、ソレノイドコイル56が非励磁にされ、ニードル58が吸入弁64をストッパ突起104に向けて押さなければならない。プランジャ74の負圧は、それ自身、吸入弁64をストッパ突起104に接触させるために十分な力を発生しない。
【0023】
プランジャ74がTDCから離れるように動き始めた直後においては、吸入弁64はストッパ突起104に向けて接近するかもしれないが、ストッパ突起104には接触しない。加圧室72内の圧力の低下によって燃料が再び入口52へ吸い込まれ吸入弁64を通過し加圧室72に吸入されるために、スプリング68の圧縮を許容する所定圧まで加圧室72内の圧力が低下する。よって、ニードル58はソレノイドコイル56によって吸入弁64から離れて保持され、吸入弁64だけがストッパ突起104に向けて移動する。言い換えると、吸入弁64は、浮動状態になる。プランジャ74が発生させる負圧だけでは、吸入弁64をストッパ突起104に接触させることができない。すなわち、プランジャ74がTDCを過ぎた後においては、特に、プランジャ74が下降を開始した直後においては、吸入弁64が浮動状態にある。しかも、吸入弁64が開位置の近傍において浮動するように、スプリング68が吸入弁64に閉方向の力をおよぼす。スプリング68は、そのような状態を作るよう強度が設定され、吸入弁64の中間位置と開位置との間においてのみ吸入弁64に力をおよぼす形状、例えば長さに設定されている。
【0024】
ソレノイドコイル56への通電が遮断され、非励磁にされることによって、
図5Aに図示された行程に戻る過程において、まず、TDCの後にニードル58が解放される。次に、スプリング60によって押されたニードル58と、浮動する吸入弁64とが衝突する。その後、ニードル58と吸入弁64とが短い距離を一体となって移動する。さらに、その後に、ニードル58と吸入弁64との一体物がストッパ突起104に衝突する。次に、ソレノイドコイル56が非励磁状態にされ、ニードル58がソレノイドコイル56から離れるように吸入弁64に向けて移動し、やがて吸入弁64に衝突する。ニードル58は、吸入弁64が弁座66からストッパ突起104に向けて移動するとき、すなわち浮動状態にあるときの、最高の移動の速度において吸入弁64に追いつくようにして吸入弁64に衝突する。その後、ニードル58と吸入弁64との組み合わせられた質量体がストッパ突起104に接触する。組み合わせられた質量による移動距離は、TDCの後にソレノイドコイル56を非励磁にすることによって減少される。このような部品の挙動は、モーメントを低減する。そして、さらには、衝突エネルギと、その衝突からの対応する騒音を抑制する。
【0025】
TDCの直後の点に引き続いて、例えばスプリング82が出口の逆止弁78が閉じることを許容する程度に加圧室72内の圧力が充分に低くなる時に、プランジャ74は再び吸入行程を開始する。加圧室72への燃料の吸入を開始するために、ソレノイドコイル56を非励磁状態にすることによって、ニードル58はソレノイドコイル56から解放され、ニードル58が吸入弁64に衝突することが許容される。ニードル58が吸入弁64に衝突するとき、聞き取り可能な騒音が発生するおそれがある。よって、
図5Dを参照して上述された挙動によると、吸入弁64が浮動しているか、ストッパ突起104に到達していないけれどもストッパ突起104に向けて移動しているときに、その吸入弁64にニードル58が衝突したときに、車両10の外にいる者によって聞き取られるような第1の騒音が発生する。このような騒音発生過程は、ニードル58と吸入弁64とが互いに接触したひとつの質量体として、それらが共に長い距離を移動することを許容され、その後にストッパ突起104に衝突する騒音発生過程に比べて、小さい騒音を発生する。
図6に図示されるように、
図5Eの行程におけるプランジャ74の位置は、カムのリフト量の減少過程の初期段階において発生し、それは例えばプランジャ74のTDC位置85の直後である曲線73の位置83である。吸入弁64がストッパ突起104に向けて移動するとき、流体はまだ吸入弁64の周りを通過し、第3の容積室72に流入することができる。
【0026】
図7A−
図7Cは、直噴型燃料噴射ポンプ22の内部部品を目立つ態様で示している。例えば、
図7Bと
図7Cは、直噴型燃料噴射ポンプ22の部品の騒音発生位置を目立つ態様で示している。
図7Aはプランジャ74がTDCに到達する直前におけるニードル58と吸入弁64との位置を示している。吸入弁64は、図示された位置においては、吸入弁64はまだストッパ突起104に衝突していないから、いなかる騒音も発生しない。
図7Bにおいて、プランジャ74が下方向へ移動すると、加圧室72内の圧力が変化し、低くなる(
図5E参照)。この圧力の低下は、吸入弁64がストッパ突起104に向けて吸われ、移動することを補助する。しかし、ソレノイドコイル56は通電されるか、または励磁されており、よって、ニードル58はソレノイドコイル56の近くに吸引され、吸入弁64から引き離される。この結果、ニードル58は吸入弁64から離れるように吸引され、吸入弁64に接触することができ
ない。さらに、
図7Cは、ソレノイドコイル56が非励磁状態になりニードル58を解放した後に、吸入弁64に衝突するニードル58を図示している。ニードル58は、ニードル58に対して力を作用させるニードルスプリング60の力によって移動する。同時に、吸入弁64へ向かうニードル58の動きを促進するように、吸入弁64が浮動状態のままで、加圧室72の圧力が減少する。
図7Cに図示されるように、ニードル58が吸入弁64に衝突するにあたり、ギザギザの模様108によって示されるように聞き取り可能な騒音が発生するおそれがある。次に、ニードル58と吸入弁64とは共に移動し、ストッパ突起104に衝突する。この衝突は、第2の聞き取り可能な騒音を発生する。このようなニードル58と吸入弁64とが共にストッパ突起104に接触した状態は、
図5Aに図示されている。それぞれの聞き取り可能かもしれない複数の衝撃は、ニードル58と吸入弁64とが一体の大きい質量をもつ質量体となって、共に移動し、共に衝突した場合に比べて小さい。ニードル58と吸入弁64とが一体の大きい質量をもつ質量体となって、共に移動し、共に衝突した場合は、ひとつの大きい音の衝撃を生じる。すなわち、弁座66に着座している吸入弁64にニードル58が衝突し、その後、ニードル58と吸入弁64とが共にひとつの質量体としてストッパ突起104に衝突した場合である。このひとつの大きい音の衝撃は、独立した複数の質量体による複数の衝撃、または分離された衝撃より大きい。独立した複数の質量体は、例えば、ニードル58と吸入弁64との各々である。反対に、まとめられた質量体、または組み合わせられた質量体は、ニードル58と吸入弁64との両方である。
【0027】
作動において、プランジャ74がTDCを通過した後、プランジャ74は下向きの移動を開始するか、または第3の容積室72から離れるように移動を開始する。このプランジャ74の移動は、第3の容積室72内における吸引力または負圧と、吸入弁64に対する吸引力とを生じる。吸引力は、吸入弁64が弁座66から離座し、ストッパ突起104に向かう移動を吸入弁64に開始させるが、吸入弁64をストッパ突起104にまで到達させることはない。ソレノイドコイル56はプランジャ74がTDCを通過した後に非励磁にされる。このとき、吸入弁64は、浮動状態にある。浮動状態とは、吸入弁64が弁座66とストッパ突起104との間にあることを意味する。ソレノイドコイル56が非励磁になることによって解放されたニードル58は、浮動状態の吸入弁64に衝突する。このとき、聞き取り可能な騒音が発生することがある。ニードル58と吸入弁64とは、互いに接触し、吸入弁64がストッパ突起104に衝突するまでひとつの質量体として共に移動する。しかし、ニードル58と吸入弁64とが共に移動する距離は、短く減らされている。なぜなら、吸入弁64は、ニードル58と衝突する前に、すでに加圧室72の負圧によってストッパ突起104へ向けて所定距離だけ移動しているからである。よって、ニードル58と吸入弁64とが共にストッパ突起104に衝突する衝撃は、減らされている。よって、聞き取り可能な騒音が抑制され、低減される。加えて、ニードル58の吸入弁64への衝突は、吸入弁64が最高の移動の速度にあるときに発生するように発生時刻が調節されている。この結果、ニードル58と吸入弁64とが共に、一体のまたは組み合わせられた質量体としてストッパ突起104に衝突する前に、ニードル58が吸入弁64に衝突するときの聞き取り可能な騒音が抑制される。
【0028】
図8は、一実施形態のフローチャートを示している。
図9は、他の実施形態のフローチャートを示している。これらのフローチャートにおいては、特徴的な直噴型燃料噴射ポンプの制御または騒音抑制制御を開始するための決定が実行される。この決定は、例えば車両10のような車両のエンジン12が運転されているときの速度、例えば1分当たりの回転数、またはRPMに基づいて実行される。より具体的には、
図8の場合、制御装置13は、ステップS11において処理を開始する。ステップS12において、車両のエンジン12がアイドリング状態にあると、例えば600と1000rpmとの間において回転していると、ステップS13に進む。ステップS13では、騒音抑制制御が開始される。車両のエンジン12がアイドリング状態にないと、例えば1000rpmを越えて回転していると、ステップS14に進むことにより通常制御が開始される。
図9に図示された他の実施形態においては、制御装置13は、ステップS21において処理を開始する。ステップS22において、車両のエンジンが低回転であるとステップS23に進む。ステップS21においては、エンジン12が1000−1300RPMの範囲で運転されているときにのみ、またはエンジン12が2000RPMを下回って運転されているときにのみ、エンジン12が低回転であると判定することができる。ステップS23では、騒音抑制制御が開始される。車両のエンジン12が低回転ではないと、ステップS24に進むことにより通常制御が開始される。
図10は、さらに他の実施形態のフローチャートを示している。このフローチャートにおいては、直噴型燃料噴射ポンプ22のための騒音抑制制御を開始するか否かの決定は、複数の決定、すなわち条件判断に依存している。具体的には、制御装置13は、ステップS31において処理を開始する。ステップS32において、車両のエンジン12が低回転であると、ステップS33に進む。ステップS33において、車両のアクセルペダルがオフ状態であると、すなわち踏み込まれていないと、ステップS34に進む。ステップS34では、騒音抑制制御が開始される。この例では、エンジン12の回転数が閾値条件を満たし、かつ、アクセルペダルが踏み込まれていないときに騒音抑制制御が開始さえる。閾値条件は、エンジン12の回転数が1000−1300RPMの範囲内にあることを採用することができる。ステップS32またはS33において条件が満たされない場合、ステップS35に進むことにより通常制御が開始される。すなわち、騒音抑制制御が開始されない場合、通常制御が開始される。騒音抑制制御は、
図5A−
図5Eとの関連の下で説明された作動および手順、および
図7A−
図7Cとの関連の下で説明された作動および手順の一部または全部を備えることができる。
図8−
図10における騒音抑制制御、または通常制御は、TDCに先立ってソレノイドへの通電を遮断し消勢する工程を含んでいる。
【0029】
図11は、一実施形態に係る直噴型燃料噴射ポンプ22の制御方法による各部の挙動を示すグラフである。
図11Aは、時間に対するカムのリフト量を示す。カムのリフト量は、x軸とy軸との交点から、y軸または縦軸に沿って増加する。時間は、x軸とy軸との交点から、x軸または横軸に沿って増加する。
図11B−
図11Fのそれぞれの間での対比のために、
図11Aは、共通の基準を示している。
図11Aは、
図6に図示された吸入行程110、プレストローク行程112、および加圧行程114の繰り返しを示している。プランジャ74の位置116は、プランジャ74の下死点を示す。下死点はBDCとも呼ばれる。プランジャ74の位置118は、プランジャ74のTDCを示す。
図11Bは、時間に対する通常の制御信号(Typical Signal)の変化を示す。
【0030】
図11Cは、この実施形態における上述の騒音抑制制御において利用されるソレノイドコイル56の制御信号の第1例(Option 1 Signal)を
示す。カム86のTDC位置は、プランジャ74のTDC位置に対応している。
【0031】
図11Dは、この実施形態における上述の騒音抑制制御において利用されるソレノイドコイル56の制御信号の第2例(Option 2 Signal)を示す。第2例の制御信号は、パルス信号であり、第1例の制御信号に比べて短い期間だけON状態に切換えられる。すなわち、制御信号は、プランジャ74のTDC位置118の直後において、パルス状にON状態に切換えられ、その後OFF状態に切換えられる。
図11Eは、この実施形態における上述の騒音抑制制御において利用されるソレノイドコイル56の制御信号の第3例(Option 3 Signal)を示す。第3例の制御信号は、遅延型の信号である。遅延型の制御信号のエネルギは、徐々に減少する。図示の例においては、制御信号のエネルギが直線的に減少する。制御信号のエネルギは、TDCの直前のカムの位置から減少させることができる。制御信号の遅延は、TDCの後であって、かつBDCの前の位置において終了する。
図11Fは、この実施形態における上述の騒音抑制制御において利用されるソレノイドコイル56の制御信号の第4例(Option 4 Signal)を示す。第4例の制御信号は、遅延型の信号である。遅延型の制御信号のエネルギは、ステップ状に減少する。制御信号のエネルギは、1つのステップ、または複数のステップをなすように減少させることができる。図示の例においては、制御信号のエネルギが中間値を経て1段のステップ状に減少する。制御信号のエネルギは、TDCの直前のカムの位置から減少させることができる。制御信号の遅延は、TDCの後であって、かつBDCの前の位置において終了する。
【0032】
図12は、カムの回転角度位置(横軸)に対するプランジャのリフト量(縦軸)の関係と、カムの回転角度位置(横軸)に対する圧力制御弁またはソレノイド56の状態の関係とを示すグラフである。カムの回転角度位置は、カム角(Cam angle)とも呼ばれる。カム角の単位は、度(deg.)である。4つのカム山をもつカムの場合、それぞれのカム山の間は90度である。圧力制御弁またはソレノイドコイル56の状態は、通電状態に対応するON状態、および非通電状態に対応するOFF状態によって示されている。圧力制御弁は、PCVとも呼ばれる。
図12において、圧力制御弁(PCV)に関連して図示された実線は、通常の制御(Normal)における圧力制御弁のON期間、およびOFF時期を示している。ソレノイドコイル56は、カム角におけるTDC前の−15度においてON状態になり、TDC前の所定時期までON状態に維持される。
図12において、圧力制御弁(PCV)に関連して図示された破線は、カム角に対する時刻のずれ、または延期を示している。破線は、圧力制御弁の長いON期間(Longer PCV duration)を示している。ソレノイドコイル56は、カム角におけるTDC前の−15度においてON状態になり、TDCを越えてもなおON状態に維持される。破線の例では、TDC後の20度と25度との間の範囲までON状態に維持される。さらに、ソレノイドコイル56は、カム角における75度において再びON状態になり、カム角における110度と115度との間の範囲までON状態に維持される。カム角の−45度、45度、および135度は、プランジャのBDCを示す。カム角の0度、および90度は、プランジャのTDCを示す。
【0033】
よって、直噴型燃料噴射ポンプ22を制御する制御方法は、第1の容積室54、第2の容積室62、第3の容積室72、および第4の容積室84を区画形成するケーシング48をもつ直噴型燃料噴射ポンプ22を準備することを必要とする。この制御方法は、さらに、第1の容積室54への流体の入口52と、第4の容積室84からの流体の出口とを準備することを必要とする。可動の第1の弁部材が第1の容積室に設けられ、可動の第2の弁部材が第2の容積室に設けられ、そして、可動の第3の弁部材が第4の容積室に設けられる。この制御方法は、さらに、第1の容積室54の中において第1の弁部材58を移動させるためのソレノイドコイル56を備える第1の容積室54を準備することを必要とする。可動のプランジャ74が第3の容積室72から離れるように第3容積室72内を移動することによって、第3の容積室72内に負圧が発生し、燃料が入口52を通り、第1の容積室54を通り、第2の容積室62を通って、第3の容積室72に吸い込まれる。直噴型燃料噴射ポンプ22の吸入行程の期間において、燃料のような流体は、可動のプランジャ74が第3の容積室72から離れるように第3容積室72内を移動することによって、第1の容積室54に吸入される。この制御方法は、出口96を通して燃料が流出することを阻止するために、第3の弁部材78を弁座80に向けて移動させることを必要とする。第3の弁部材78は、逆止弁78または出口弁78とも呼ばれる。
【0034】
第3の容積室72の中における圧力が上昇する直噴型燃料噴射ポンプ22の加圧行程の期間において、この制御方法は、ソレノイドコイル56に通電し励磁する工程を含むことができる。そして、同時に、またはソレノイドコイル56の通電および励磁において、加圧を許容するように第3の容積室72を流体的に隔離するために、第1の弁部材58をソレノイドコイル56へ向けて吸引する行程、例えばスプリング68の力によって、第2の弁部材64を弁座66に向けて移動させる工程、および、例えばスプリングの力によって、第3の弁部材78を弁座80に向けて移動させる工程を含むことができる。この制御方法は、プランジャ74の上死点の前と後とにおいてソレノイドコイル56の通電状態および励磁状態を維持する工程を含むことができる。より具体的には、プランジャ74は、複数のカム山を有するカム86の回転によって移動する。プランジャ74が第3の容積室72内に最も深く入り込んでいるとき、プランジャ74は上死点(TDC)にあると考えることができる。プランジャ74が第3の容積室72から最も遠く離れているとき、例えば、プランジャ74の端部がフォロワ23を介してカム86のカム山とカム山との等間隔位置と接触しているとき、プランジャ74は下死点(BDC)にあると考えることができる。
【0035】
プランジャ74が上死点に到達すると、新しい吸入行程が再び開始される。よって、プランジャ74の上死点の後、直噴型燃料噴射ポンプ22の制御方法は、さらに、流体が入口52から流れ、第1の容積室54を通り、第2の容積室62に入り、その後、第3の容積室72に入るように、第2の弁部材64を弁座66から離れるように移動させる工程を含むことができる。直噴型燃料噴射ポンプ22の作動の期間中に騒音を抑制するために、直噴型燃料噴射ポンプ22がその吸入行程をその繰り返し運転の中で再び開始したときに、第2の弁部材64が、弁のストッパ突起104に向けて移動する。第2の弁部材64は、それ自身によって、弁のストッパ突起104に向けて移動する。第2の弁部材64は、他の隣接した弁、またはそれに接続または接触したニードルを伴うことなく、弁のストッパ突起104に向けて移動する。ソレノイドへの通電が遮断され非励磁になった直後に、吸入弁64が弁座66とストッパ突起104との間において浮動状態にあるとき、第1の弁部材58は第2の弁部材64に接触し、騒音を発生する。このときの騒音は、騒音Aと呼ばれる。その後、ニードル58またはコア、および吸入弁64は、ストッパ突起104に衝突し、他の騒音を発生させる。このときの騒音は、騒音Bと呼ばれる。しかし第1の弁部材58が吸入弁64に接触し(騒音C)、それらが弁座66からストッパ突起104までの全体の距離をひとつの質量体として共に移動し、ストッパ突起104において衝突し騒音(例えば、騒音D)を発生する場合より、騒音Bは小さい。
【0036】
上述の制御方法によると、スプリング60は、ソレノイドコイル56によって少なくとも部分的に取り囲まれている。スプリング60は、第1のスプリングとも呼ばれる。第2の容積室62は、第1の容積室54のすぐ隣に配置することができる。第1の容積室54と第2の容積室62との間は、分離壁によってだけ仕切られる。例えば、分離壁は、第1の連通穴53を区画形成している。すなわち、第1の連通穴53は、第1の容積室54と第2の容積室62との間の連通路を提供する。第1の弁部材58は、ニードル58とも呼ばれる。第1の弁部材58は、少なくとも部分的に第1の連通穴53を貫通して配置されているか、または第1の連通穴53の中にある。すなわち、第1の弁部材58は、第1の容積室54内に部分的に通っているか配置されており、さらに、第2の容積室62内に部分的にある。吸入弁のスプリング68は、吸入弁64に装着される。吸入弁のスプリング68は、壁70を固定端として吸入弁64を移動させるように吸入弁64を押すことができる。吸入弁のスプリング68は、第2のスプリングとも呼ばれる。第3の容積室72は、加圧室72とも呼ばれる。スリーブ90またはシリンダ90は、プランジャ74を収容している。プランジャ74は加圧室72内の燃料を加圧する。逆止弁のスプリング82は、逆止弁78に装着される。逆止弁のスプリング82は、第4の容積室84を第3の容積室72からシールするために、逆止弁78を弁座80に対して押す。逆止弁のスプリング82は、第3のスプリングとも呼ばれる。弁座80は、互いに隣接している第3の容積室72と第4の容積室84とを区画し、仕切る壁の一部である。複数のカム山を有するカム86は回転するように駆動され、プランジャ74の端部89に作用的に接触する。
【0037】
別の観点では、直噴型燃料噴射ポンプ22は、複数の容積室を形成するケーシング48、ケーシング48により形成された第1の容積室54、ケーシング48により形成された第1の容積室54への入口52を備える。直噴型燃料噴射ポンプ22は、さらに、第1の連通穴53を区画形成する第1の壁66を備える。直噴型燃料噴射ポンプ22は、さらに、第1の容積室54の近傍に配置されたソレノイドコイル56、およびソレノイドコイル56の励磁または非励磁に応じて移動が制御される第2の弁部材58を備える。第1の容積室54は、ソレノイドコイル56を収容することができる。直噴型燃料噴射ポンプ22は、さらに、ケーシング48により形成された第2の容積室62であって、第1の容積室54に隣接して設けられた第2の容積室62、第1の容積室54と第2の容積室62との間の流体通路を提供する第1の連通穴53を区画する第1の壁、および第2の容積室62に設けられた吸入弁64を備える。直噴型燃料噴射ポンプ22は、さらに、ケーシング48により形成され、プランジャ74を収容する筒状のスリーブ90に連通する第3の容積室72を備える。直噴型燃料噴射ポンプ22は、さらに、第2の容積室62と第3の容積室72との間の流体通路を提供する第2の連通穴71を区画する第2の壁70を備える。直噴型燃料噴射ポンプ22は、さらに、ケーシング48により形成された第4の容積室84、第4の容積室84に設けられた第3の弁部材78(出口弁78)、および第3の容積室72と第4の容積室84との間の流体通路を提供する第3の連通穴87を区画する第3の壁80を備える。本発明に係る方法は、上述の直噴型燃料噴射ポンプ22の構成要素を提供する工程を含むものとして解することもできる。
【0038】
制御方法は、入口52、第1の容積室54、および第2の容積室62を通して第3の容積室72へ流体を吸入する工程を含む。制御方法は、第1の壁66に対して第2の弁部材64を衝突させ着座させる第1の弁部材58の移動を生じさせるようにソレノイドコイル56を励磁する工程を含む。制御方法は、次に、第3の容積室72の中の流体を加圧することを許容するために、第3の容積室72の中へプランジャ74の上死点まで、プランジャ74を移動させる工程を含む。制御方法は、その後に、プランジャ74が上死点を通過する際に、第2の弁部材58がソレノイドコイル56に対して、またはストッパ上に維持されることを許容するようにソレノイドコイル56の励磁を維持する工程を含む。制御方法は、次に、ソレノイドコイル56の励磁を停止し、つまり非励磁にし、第1の弁部材58を移動させ、第1の弁部材58を第2の弁部材64に衝突させる工程を含むことができる。ソレノイドコイル56によって吸引されたときにソレノイドコイルの近くに位置してストッパに衝突する第1の弁部材58の端部は、第2の弁部材64に衝突する第1の弁部材58の端部の反対側の端部である。ストッパとしての座部が設けられた壁70に衝突する第2の弁部材64の端部は、第1の弁部材58が衝突する第2の弁部材64の端部の反対側の端部である。直噴型燃料噴射ポンプ22は、さらに、第1の弁部材58を押すように配置され、ソレノイドコイル56の中心軸の近傍に延在し、ソレノイドコイル56によって少なくとも部分的に囲まれた第1の弁部材のためのスプリング60を備える。本発明に係る方法は、スプリング60を提供する工程を含むものとして解することもできる。直噴型燃料噴射ポンプ22は、第1の弁部材58を部分的に第1の容積室54内に配置し、部分的に第2の容積室62内に配置している。さらに、直噴型燃料噴射ポンプ22は、第2の弁部材64に装着された第2の弁部材のスプリング68を備える。このスプリング68は、第2の弁部材64を、その座部または壁70に対して押すように配置されている。本発明に係る方法は、スプリング68を提供する工程を含むものとして解することもできる。
【0039】
直噴型燃料噴射ポンプ22は、複数のカム山をもつカム86、およびプランジャ74の端部に設けられたフォロワ23を備える。制御方法は、さらに、プランジャ74を第3の容積室72の中へ、または第3の容積室72から離れるように移動させるために、カム86を回転させ、プランジャ74の端部89をフォロワ23を介してカムの複数のカム山に接触させる工程を含む。さらに、直噴型燃料噴射ポンプ22は、第3の弁部材78に装着された第3の弁部材のスプリング82を備える。このスプリング82は、第3の容積室72から第4の容積室84をシールするように、第3の弁部材78を壁80に対して押すように配置されている。本発明に係る方法は、スプリング82を提供する工程を含むものとして解することもできる。
【0040】
図13は、カム角(Cam Angle)(横軸)に対する、カムのリフト量(CamLift)(縦軸)と、圧力制御弁の状態(PCVCmd.)(縦軸)と、ニードル弁のリフト量(Needlelift)(縦軸)との関係を示すグラフである。圧力制御弁の状態は、そのON状態およびOFF状態によって示されている。ON状態とOFF状態とは、圧力制御弁の指令信号、または通電状態に対応している。
図14は、カムの回転角度位置(横軸)に対する、プランジャのリフト量(縦軸)と、プランジャの速度(縦軸)との関係を示すグラフである。
図13および
図14は、吸入弁64が浮動しているときのOFF時期を決定するための工程の一部において利用することができる。先に説明したように、吸入弁64は第2の弁部材64でもある。
図4において、吸入弁64の浮動状態は、吸入弁64が第1の壁66に着座している状態と、
図5Eに図示されるように壁70またはストッパ突起104に着座している状態との間にあるときに発生する。
図5A−
図5Eとの関連の下で上述された説明の一部は、ソレノイドコイル56を消勢することにより、そして弁部材64が弁座66とストッパ突起104との間においてストッパ突起104に対向しながら浮動している間に、ニードル58が弁部材64に衝突することを許容することにより騒音を低減するための制御方法を説明している。
【0041】
他の制御方法において、
図6を参照し、曲線73の吸入行程における位置120は、それと関連付けられた対応するカム角を有している。位置120は、圧力制御弁の対応するOFF時期、つまりソレノイドコイル56の対応するOFF時期におけるカム角を示している。同様に、曲線73の吸入行程における位置122は、それと関連付けられた対応するカム角を有している。位置122は、弁64の対応するピーク速度におけるカム角を示している。例えば、
図13は、
図4に図示されたカム86のカム角における差を示している。
図4には、3つのカム山をもつカムが図示されているが、4つのカム山をもつカムも使用することができる。よって、
図13は、吸入弁64(
図5E参照)に対するニードル58の衝突目標(Impact target)を実現するためのカム角に対応するY度(Y°)を示している。さらに、
図13は、衝突目標を示すY度の直前のカム角に対応するX度(X°)を示している。X度は、圧力制御弁のOFF時期(PCV OFF)を示している。X度は、吸入弁64に対するニードル58の衝突目標、すなわち衝突目標時期の望ましい時期を実現するために、ソレノイドコイル56への通電が遮断されOFF状態にされるべきカムの角度位置を示している。よって、X度に対応するカム角において、ソレノイドコイル56への通電は遮断され、ソレノイドコイル56は消勢される。その後、Y度に対応するカム角において、ニードル58が吸入弁64に衝突する。ニードル58が吸入弁64に衝突する時刻において、吸入弁64とストッパ突起104との間にはまだ距離または隙間があり、プランジャ74はまだその最高の速度にある。さらに、圧力制御弁のOFF時期は、ニードル58の応答時間を補償するように設定されるべきである。ニードル58の応答時間は、衝突目標であるY時点に先立って設定されたOFF時期であるX時点によって、フォロワ23を介してプランジャ74に接触しているカムが、X度とY度との間を回転するために必要な時間に等しい。
【0042】
さらに、
図13は、カム86のようなプランジャ74を駆動するカムの角度位置(Cam Angle)に対する、カムのリフト量(CamLift)、圧力制御弁の状態(PCV Cmd.)、およびニードルのリフト量(Needlelift)を示している。圧力制御弁の状態は、圧力制御弁の指令信号によって示されており、OFFは通電遮断状態、ONは通電状態に対応している。図示されるように、ニードル58のリフト量は、ソレノイド58への通電が遮断されると減少する。ニードルのリフト量は、圧力制御弁が通電されているときの、吸入弁64に対向するニードル58の端部と、吸入弁64との間の距離に対応している。このようなニードルのリフト量、すなわち距離は、ソレノイド58への通電が遮断されると減少する。しかし、カムのリフト量、またはカム角は、まだBDCに向けて接近を続けており、まだBDCには到達していない。
【0043】
図14は、カム角(度)に対するプランジャのリフト量(mm)の軌跡124と、カム角(度)に対するプランジャの速度(mm/度)の軌跡126とを示す。
図14に図示された複数の軌跡により与えられる利点は、プランジャの瞬間的な速度を視覚的に示すことができる点と、いつプランジャが、例えばプランジャ74が、最高の速度になるかを特定することができる点とである。
図14において、プランジャ74は、横軸に沿って図示されたY度において、最高の速度になる。
図14におけるY度の位置は、カム角における75度、または75度の近傍に対応し、プランジャの速度の0.15mm/度、または0.15mm/度の近傍に対応し、さらに、プランジャのリフト量の0.05mmと0.1mmとの間に対応する。プランジャ74を移動させるために使用されるカムは、3つのカム山をもつカム、または4つのカム山をもつカムなどの複数のカム山をもつカム、または他のカムによって提供することができる。よって、ソレノイド56のOFF時期は、プランジャ74の端部に接触するカムのY度より前に発生するか、または、
図14に示された例においては、カム角の75度の前に発生する。よって、ソレノイドコイルへの通電の遮断、すなわち消勢は、最高速度の角度より数度、例えば1−5度、早く、またはその最高速度の角度より前において発生する。最高速度の角度は、第2の弁部材、例えば吸入弁、が最高の速度となる角度、またはプランジャ74が最高の速度となる角度である。
【0044】
図15は、一実施形態に係る高圧の直噴型燃料噴射ポンプを示す断面図である。複数の図面の図示にわたって、対応する参照符号は、対応する部分を指している。
【0045】
以上に述べた実施形態の説明は、図示と説明のために与えられたものである。そこには、発明を限定する意図や、網羅的にする意図はない。それぞれの個別の構成要素、または特定の実施形態の特徴は、その特定の実施形態に限定されない。しかし、具体的に図示され説明されていない限り、適用可能であれば、それらは互いに入れ替え可能であり、特定の選ばれた実施形態において利用可能である。それぞれの個別の構成要素、または特定の実施形態の特徴は、多くの手法に変形可能でもある。それらの変形例は本発明からの派生物として考慮されるべきではなく、すべてのそれらの変形例は本発明の技術的範囲に属するべきものとして意図されている。ここに説明された方法における工程、処理、および操作は、それらの実行順序が具体的に特定されている場合を除いて、ここに説明され、図示された特定の実行順序でのそれらの実行が必ず要求されるものとしては構成されていない。工程、処理、および操作は、異なる順序によって実行することができる場合がある。さらに、追加的な、または代替的な工程を採用することができることも理解されるべきである。
【0046】
構成要素または構成層が、他の構成要素または構成層に対して、「上に」、「連結され」、「接続され」、または「結合され」と記載されて表現されるとき、それは、他の構成要素または構成層に対して上に直接にあるか、直接に連結されているか、直接に接続されているか、または直接に結合されていることを意味しているか、または、他の介在要素または介在層が存在していることを意味している。反対に、構成要素または構成層が、他の構成要素または構成層に対して、「上に直接に」、「直接に連結され」、「直接に接続され」、または「直接に結合され」と記載されて表現されるとき、そこには他の介在要素または介在層が存在しないことを意味している。構成要素の間の関係を表現する他の用語も、同様に解釈されるべきである。例えば、「間に」と「間に直接に」との意味、および「隣接して」と「直接に隣接して」との意味である。ここでは、用語「および/または」は、関連付けて挙げられた複数の要素のうちのひとつまたは複数の組み合わせのいかなるものも、そしてすべてを含むものである。
【0047】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【0048】
例えば、制御装置が提供する手段と機能は、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御装置をアナログ回路によって構成してもよい。
【0049】
この明細書および添付の図面には、下記の技術的思想が開示されている。
【0050】
1.第1の容積室(54)、第2の容積室(62)、第3の容積室(72)、および第4の容積室(84)を区画するケーシング(48)と、前記第1の容積室に設けられた可動の第1の弁部材(58)と、前記第2の容積室に設けられた可動の第2の弁部材(64)とを備える直噴型燃料噴射ポンプの制御方法において、前記第2の弁部材を弁座に対して移動させる工程と、前記第1の弁部材を前記第2の弁部材に対して移動させる工程とを備えることを特徴とする直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0051】
2.前記第2の弁部材は、前記第1の弁部材の前に移動を開始することを特徴とする上記1.に記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0052】
3.前記ケーシングは、前記第1の容積室への流体の入口(52)を区画しており、前記第2の弁部材が前記弁座(66)に着座しているとき、前記入口から前記第1の容積室への流体の流入を妨げることを特徴とする上記2.に記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0053】
4.前記第1の弁部材と前記第2の弁部材とが、物理的に分離した部材であることを特徴とする上記1.から上記3.のいずれかに記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0054】
5.前記第1の弁部材と前記第2の弁部材とが分離していることを特徴とする上記4.に記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0055】
6.前記第1の容積室と前記第2の容積室との間を連通する流体の通路(53)を区画形成している壁を備えることを特徴とする上記1.から上記5.のいずれかに記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0056】
7.さらに、励磁状態と非励磁状態とに切換えられることによって前記第1の弁部材の移動を制御するソレノイドコイル(56)を備えることを特徴とする上記1.から上記6.のいずれかに記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0057】
8.さらに、前記第2の容積室に設けられ、前記第2の弁部材を押す第2のスプリング(68)を備えることを特徴とする上記1.から上記7.のいずれかに記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0058】
9.さらに、前記第1の容積室に設けられ、前記第1の弁部材を前記第2の弁部材に向けて押す第1のスプリング(60)を備えることを特徴とする上記1.から上記8.のいずれかに記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0059】
10.第1の容積室(54)、第2の容積室(62)、第3の容積室(72)、および第4の容積室(84)を区画するポンプケーシング(48)と、前記第1の容積室に設けられた可動の第1の弁部材(58)と、前記第2の容積室に設けられた可動の第2の弁部材(64)と、前記第4の容積室に設けられた可動の第3の弁部材(78)と、ソレノイドコイル(56)とを備え、第1の容積室に設けられた流体の入口(52)と、第4の容積室に設けられた流体の出口(96)とを有する直噴型燃料噴射ポンプの制御方法において、前記直噴型燃料噴射ポンプの吸入行程において、前記第3の容積室の容積が増加するように前記第3の容積室から離れるようにプランジャ(74)を移動させ、前記入口から前記第1の容積室と前記第2の容積室とを通って前記第3の容積室へ燃料を吸入するための負圧を前記第3の容積室の中に発生させる工程と、前記出口からの燃料の流出を阻止するように弁座(80)に対して前記第3の弁部材を移動させる工程と、前記直噴型燃料噴射ポンプの加圧行程において、前記ソレノイドコイルを励磁し、同時に、前記第1の弁部材を前記ソレノイドコイルに向けて吸引し、前記第2の弁部材を弁座(66)に対して移動させる工程と、前記プランジャの上死点の前、そして上死点の後において前記ソレノイドコイルの励磁を維持する工程とを備えることを特徴とする直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0060】
11.さらに、前記プランジャの上死点の後に、燃料が前記入口から前記第1の容積室を通って前記第2の容積室に流入するように、前記第2の弁部材(64)を前記弁座(66)から離れるように移動させる工程を備えることを特徴とする上記10.に記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0061】
12.さらに、前記第2の弁部材を移動させる工程を備えることを特徴とする上記11.に記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0062】
13.さらに、前記第2の弁部材に対して前記第1の弁部材を移動させる工程を備えることを特徴とする上記11.に記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0063】
14.複数の容積室を形成するケーシング(48)、前記ケーシングにより形成された第1の容積室(54)、前記ケーシングにより形成された前記第1の容積室への入口(52)、前記第1の容積室の近傍に配置されたソレノイドコイル(56)、前記ソレノイドコイルの励磁または非励磁に応じて移動が制御されるニードル(58)、前記ケーシングにより形成された第2の容積室であって、前記第1の容積室に隣接して設けられた第2の容積室(62)、前記第1の容積室と前記第2の容積室との間の流体通路を提供する第1の連通穴(53)を区画する第1の壁、前記第2の容積室に設けられた吸入弁(64)、前記ケーシングにより形成され、プランジャ(74)を収容するスリーブ(90)に連通する第3の容積室(72)、前記第2の容積室と前記第3の容積室との間の流体通路を提供する第2の連通穴(71)を区画する第2の壁、前記ケーシングにより形成された第4の容積室(84)、前記第4の容積室に設けられた出口弁(78)、および 前記第3の容積室と前記第4の容積室との間の流体通路を提供する第3の連通穴(87)を区画する第3の壁を備える直噴型燃料噴射ポンプの制御方法において、前記入口、前記第1の容積室、および前記第2の容積室を通して前記第3の容積室へ流体を吸入する工程と、前記第1の壁に対して前記吸入弁を着座させる前記ニードルの移動を生じさせるように前記ソレノイドコイルを励磁する工程と、前記第3の容積室の中の流体を加圧するために、前記第3の容積室の中へ前記プランジャの上死点まで、前記プランジャを移動させる工程と、前記プランジャが上死点を通過する際に、前記ニードルを前記ソレノイドコイルに対して維持するように前記ソレノイドコイルの励磁を維持する工程とを備えることを特徴とする直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0064】
15.さらに、前記ソレノイドコイルを非励磁にし、前記ニードルを移動させ、前記ニードルを前記吸入弁に衝突させる工程を備えることを特徴とする上記14.に記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0065】
16.さらに、前記ニードルを押すように配置され、前記ソレノイドコイルの中心軸の近傍に延在し、前記ソレノイドコイルによって少なくとも部分的に囲まれたニードルスプリングを備えることを特徴とする上記14.または上記15.に記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0066】
17.前記ソレノイドコイルを非励磁にする工程は、前記吸入弁の最高の速度の前に発生することを特徴とする上記14.から上記16.のいずれかに記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0067】
18.前記ソレノイドコイルを非励磁にする工程は、前記吸入弁の最高の速度において発生することを特徴とする上記14.から上記16.のいずれかに記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0068】
19.さらに、前記吸入弁を前記吸入弁の座に対して押すように配置された吸入弁のスプリング(68)を備えることを特徴とする上記14.から上記18.のいずれかに記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。
【0069】
20.さらに、前記直噴型燃料噴射ポンプは、複数のカム山をもつカム(86)、および前記プランジャの端部に設けられたフォロワ(23)を備え、さらに、前記プランジャを移動させるために、前記カムを回転させ、前記フォロワを前記カムの複数の前記カム山に接触させる工程を備えることを特徴とする上記14.から上記19.のいずれかに記載の直噴型燃料噴射ポンプの制御方法。