(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(第1実施形態)
まず、
図1を参照して、第1実施形態によるパワーモジュール101a、101bおよび101cを含む3相インバータ装置100の構成について説明する。なお、パワーモジュール101a〜101cおよび3相インバータ装置100は、「電力変換装置」の一例である。
【0013】
図1に示すように、3相インバータ装置100は、U相、V相およびW相の電力変換をそれぞれ行う3個のパワーモジュール101a、101bおよび101cが電気的に並列に接続されることにより構成されている。
【0014】
パワーモジュール101a、101bおよび101cは、それぞれ、直流電源(図示せず)から入力端子PおよびNを介して入力される直流電力を3相(U相、V相およびW相)の交流電力に変換するように構成されている。そして、パワーモジュール101a、101bおよび101cは、それぞれ、上記のように変換したU相、V相およびW相の交流電力を、出力端子U、VおよびWを介して外部に出力するように構成されている。なお、出力端子U、VおよびWは、モータ(図示せず)などに接続されている。
【0015】
パワーモジュール101aは、2個の横型スイッチ素子11aおよび12aと、2個の横型スイッチ素子の各々に接続された2個の制御用スイッチ素子13aおよび14aと、スナバコンデンサ15とを含む。なお、横型スイッチ素子11aおよび12aは、共に、ノーマリオン型のスイッチ素子(ゲート電極G1aおよびG2aに印加される電圧が0Vのときにドレイン電極D1aおよびD2aとソース電極S1aおよびS2aとの間で電流が流れるように構成されたスイッチ素子)である。また、制御用スイッチ素子13aおよび14aは、共に、ノーマリオフ型のスイッチ素子(ゲート電極G3aおよびG4aに印加される電圧が0Vのときにドレイン電極D3aとソース電極S3aとの間、および、ドレイン電極D4aとソース電極S4aとの間で電流が流れないように構成されたスイッチ素子)である。また、制御用スイッチ素子13aおよび14aは、横型スイッチ素子11aおよび12aにカスコード接続される。
【0016】
横型スイッチ素子11a(12a)のゲート電極G1a(G2a)は、制御用スイッチ素子13a(14a)のソース電極S3a(S4a)に接続されている。これにより、制御用スイッチ素子13a(14a)は、ゲート電極G3a(G4a)に入力される制御信号に基づいてスイッチングを行うことにより、横型スイッチ素子11a(12a)の駆動(スイッチング)の制御を行うように構成されている。その結果、ノーマリオン型の横型スイッチ素子11a(12a)と、ノーマリオフ型の制御用スイッチ素子13a(14a)とからなるスイッチ回路は、全体として、ノーマリオフ型として制御されるように構成されている。
【0017】
また、上記パワーモジュール101aと同様に、パワーモジュール101bも、ノーマリオン型の2個の横型スイッチ素子11bおよび12bと、2個の横型スイッチ素子の各々にカスコード接続されたノーマリオフ型の2個の制御用スイッチ素子13bおよび14bと、スナバコンデンサ16とを含む。そして、ノーマリオン型の横型スイッチ素子11b(12b)と、ノーマリオフ型の制御用スイッチ素子13b(14b)とによって、ノーマリオフ型のスイッチ回路が構成されている。なお、制御用スイッチ素子13b(14b)は、ゲート電極G3b(G4b)に入力される制御信号に基づいてスイッチングを行うことにより、横型スイッチ素子11b(12b)のスイッチングの制御を行うように構成されている。
【0018】
また、上記パワーモジュール101aおよび101bと同様に、パワーモジュール101cも、ノーマリオン型の2個の横型スイッチ素子11cおよび12cと、2個の横型スイッチ素子の各々にカスコード接続されたノーマリオフ型の2個の制御用スイッチ素子13cおよび14cと、スナバコンデンサ17とを含む。そして、ノーマリオン型の横型スイッチ素子11c(12c)と、ノーマリオフ型の制御用スイッチ素子13c(14c)とによって、ノーマリオフ型のスイッチ回路が構成されている。なお、制御用スイッチ素子13c(14c)は、ゲート電極G3c(G4c)に入力される制御信号に基づいてスイッチングを行うことにより、横型スイッチ素子11c(12c)のスイッチングの制御を行うように構成されている。
【0019】
次に、
図2〜
図11を参照して、第1実施形態によるパワーモジュール101a、101bおよび101cの具体的な構成(構造)について説明する。なお、パワーモジュール101a、101bおよび101cは、それぞれ略同様の構成を有するので、以下では、U相の電力変換を行うパワーモジュール101aについてのみ説明する。
【0020】
図2〜
図4に示すように、パワーモジュール101aは、第1基板1と、第2基板2と、2個の横型スイッチ素子11aおよび12aと、2個の制御用スイッチ素子13aおよび14aと、1個のスナバコンデンサ15と、2個の熱伝導抑制部材18aおよび18bと、2個の熱伝導部材19aおよび19bと、封止樹脂20とを備える。
【0021】
また、第2基板2、横型スイッチ素子11a(12a)、熱伝導抑制部材18a(18b)、第1基板1および制御用スイッチ素子13a(14a)が、この順番で下(Z1方向)から積層されている。
【0022】
第1基板1は、約0.5〜約1W/mKの熱伝導率を有し、第2基板2は、約50W/mKの熱伝導率を有する。熱伝導抑制部材18aおよび18bは、約0.1W/mKの熱伝導率を有し、熱伝導部材19aおよび19bは、約1〜約5W/mKの熱伝導率を有する。封止樹脂20は、約0.1〜約0.5W/mKの熱伝導率を有する。
【0023】
図3に示すように、第1基板1と第2基板2とは、互いに対向するように、上下方向(Z方向)に所定の間隔を隔てて配置されている。具体的には、第1基板1が上方(Z2方向側)に配置されているとともに、第2基板2が下方(Z1方向側)に配置されている。また、横型スイッチ素子11a、横型スイッチ素子12aおよびスナバコンデンサ15(
図4参照)は、第1基板1の下面(Z1方向側の面)と、第2基板2の上面(Z2方向側の面)との間に配置されている。また、制御用スイッチ素子13a、制御用スイッチ素子14aは、第1基板1の上面に配置されている。また、第1基板1の下面と第2基板2の上面との間には、封止樹脂20が充填されている。
【0024】
図4および
図6に示すように、第1基板1は、第1基板1の上下方向(Z方向)に貫通するように形成された貫通穴21a、22aおよび23aが設けられている。また、
図6に示すように、第1基板1の上方(Z2方向)の表面には、導電パターン24a、25a、26a、27a、28a、29a、30aおよび31aが設けられている。また、
図7に示すように、第1基板1の下方(Z1方向)の表面には、導電パターン24d、25c、28d、29c、32および33が設けられている。
【0025】
また、
図6および
図7に示すように、導電パターン24aおよび24dは、第1基板1の内部を貫通する電極24bにより接続されている。導電パターン24aおよび32は、第1基板1の内部を貫通する電極24cにより接続されている。導電パターン25aおよび25cは、第1基板1の内部を貫通する電極25bにより接続されている。導電パターン28aおよび28dは、第1基板1の内部を貫通する電極28bにより接続されている。導電パターン28aおよび33は、第1基板1の内部を貫通する電極28cにより接続されている。導電パターン29aおよび29cは、第1基板1の内部を貫通する電極29bにより接続されている。なお、電極24bおよび28bは、「貫通電極」の一例である。
【0026】
図3に示すように、電極24b(28b)は、熱伝導抑制部材18a(18b)と制御用スイッチ素子13a(14a)とを接続するように構成されている。また、
図2および
図3に示すように、電極24b(28b)は、平面視において(Z方向に見て)、制御用スイッチ素子13a(14a)に対してずれた位置に配置されている。
【0027】
また、第1基板1は、主に、熱伝導率が約0.5〜約1W/mKの材料により形成されている。つまり、第1基板1は、熱伝導部材19a(19b)(熱伝導率約1〜約5W/mK)よりも熱伝導率が低い。
【0028】
図9に示すように、第2基板2の上方(Z2方向)の表面には、導電パターン34、35、36、37、38、39および40が設けられている。また、
図3〜
図5に示すように、第2基板2の下方(Z1方向)の表面には、導電パターン41が設けられている。また、第2基板2は、主に、熱伝導率が約50W/mKの材料により形成されている。つまり、第2基板2は、主に、熱伝導部材19a(19b)(熱伝導率約1〜約5W/mK)および熱伝導抑制部材18a(18b)(熱伝導率約0.1W/mK)よりも熱伝導率が高い。
【0029】
図2および
図4に示すように、第1基板1の貫通穴21a、22aおよび23aを介して、それぞれ、柱状導体21、22および23が配置されている。柱状導体21は、一方が入力端子Pに接続され、他方が第2基板2の導電パターン34に接続されている。柱状導体22は、一方が入力端子Nに接続され、他方が第2基板2の導電パターン40に接続されている。柱状導体23は、一方が出力端子Uに接続され、他方が第2基板2の導電パターン37に接続されている。
【0030】
図5に示すように、第1基板1の上方(Z2方向)の表面の導電パターン26aには、柱状電極26bが接続されている。柱状電極26bは、外部の電極(図示せず)に接続されている。導電パターン27aには、柱状電極27bが接続されている。柱状電極27bは、制御用スイッチ素子13aのゲート電極G3aを制御する制御信号を発生させる回路(図示せず)に接続されている。導電パターン30aには、柱状電極30bが接続されている。柱状電極30bは、外部の電極(図示せず)に接続されている。導電パターン31aには、柱状電極31bが接続されている。柱状電極31bは、制御用スイッチ素子14aのゲート電極G4aを制御する制御信号を発生させる回路(図示せず)に接続されている。
【0031】
図3、
図7および
図10に示すように、第1基板1の導電パターン25cと、第2基板2の導電パターン36とは、柱状電極36aにより接続されている。また、第1基板1の導電パターン29cと、第2基板2の導電パターン39とは、柱状電極39aにより接続されている。
【0032】
図7および
図10に示すように、第1基板1の導電パターン24dと、第2基板2の導電パターン35とは、柱状電極35aにより接続されている。また、第1基板1の導電パターン28dと、第2基板2の導電パターン38とは、柱状電極38aにより接続されている。
【0033】
図5、
図7および
図10に示すように、第1基板1の導電パターン24dと、第2基板2の導電パターン37とは、柱状電極37aにより接続されている。
図4、
図7および
図10に示すように、第1基板1の導電パターン28dと、第2基板2の導電パターン40とは、柱状電極40aにより接続されている。
【0034】
図11に示すように、横型スイッチ素子11a(12a)は、ゲート電極G1a(G2a)と、ソース電極S1a(S2a)と、ドレイン電極D1a(D2a)とがそれぞれ同じ側の面(表面)に設けられるように構成されている。つまり、横型スイッチ素子11a(12a)は、駆動する際に、各電極が設けられた片側の面側を主に電流が流れるため、各電極が設けられた側の面から主に発熱する。言い換えると、横型スイッチ素子11a(12a)は、各電極が設けられた側の面が発熱面となる。また、横型スイッチ素子11a(12a)は、GaN(窒化ガリウム)を含む半導体材料により構成されている。また、横型スイッチ素子11a(12a)は、約200℃の温度の耐熱性を有する。
【0035】
また、横型スイッチ素子11a(12a)は、
図3および
図10に示すように、ドレイン電極D1a(D2a)が、第2基板2の導電パターン34(37)に接続されている。また、横型スイッチ素子11a(12a)は、ソース電極S1a(S2a)が、第2基板2の導電パターン36(39)に接続されている。また、横型スイッチ素子11a(12a)は、ゲート電極G1a(G2a)が、第2基板2の導電パターン35(38)に接続されている。
【0036】
図3に示すように、横型スイッチ素子11a(12a)は、下方(Z1方向)に設けられたゲート電極G1a(G2a)、ソース電極S1a(S2a)およびドレイン電極D1a(D2a)が、下方の第2基板2の各導電パターンに半田などからなる接合層を介して接合されている。つまり、横型スイッチ素子11a(12a)は、発熱面を第2基板2側に向けて、第2基板2に接合されている。
【0037】
制御用スイッチ素子13a(14a)は、ゲート電極G3a(G4a)と、ソース電極S3a(S4a)と、ドレイン電極D3a(D4a)とを有する縦型デバイスにより構成されている。具体的には、制御用スイッチ素子13a(14a)は、ゲート電極G3a(G4a)およびソース電極S3a(S4a)が上方(Z2方向)側に配置され、ドレイン電極D3a(D4a)が下方(Z1方向)側に配置されている。また、制御用スイッチ素子13a(14a)は、ケイ素(Si)を含む半導体材料により構成されている。また、制御用スイッチ素子13a(14a)は、約150℃の温度の耐熱性を有する。
【0038】
また、制御用スイッチ素子13a(14a)は、第1基板1の上方(Z2方向)の表面に配置されている。具体的には、制御用スイッチ素子13a(14a)は、
図2および
図3に示すように、ドレイン電極D3a(D4a)が、第1基板1の導電パターン25a(29a)に半田などからなる接合層を介して接続されている。また、制御用スイッチ素子13a(14a)は、ソース電極S3a(S4a)が、第1基板1の導電パターン24aおよび26a(28aおよび30a)に、それぞれ、アルミニウムまたは銅などの金属からなるワイヤ131および132(141および142)を介して接続されている。また、制御用スイッチ素子13a(14a)は、ゲート電極G3a(G4a)が、第1基板1の導電パターン27a(31a)に、アルミニウムまたは銅などの金属からなるワイヤ133(143)を介して接続されている。また、制御用スイッチ素子13a(14a)は、横型スイッチ素子11a(12a)の発熱面とは反対側(Z2方向側)に熱伝導抑制部材18a(18b)を介して配置されている。
【0039】
スナバコンデンサ15は、
図10に示すように、第2基板2の導電パターン40と、導電パターン34とを接続するように配置されている。
【0040】
ここで、第1実施形態では、
図3に示すように、熱伝導抑制部材18a(18b)は、横型スイッチ素子11a(12a)と制御用スイッチ素子13a(14a)との間に、横型スイッチ素子11a(12a)から発生した熱が制御用スイッチ素子13a(14a)に伝わるのを抑制するように配置されている。具体的には、熱伝導抑制部材18a(18b)は、横型スイッチ素子11a(12a)の発熱面とは反対側(Z2方向側)の面全体を覆うように横型スイッチ素子11a(12a)の上方(Z2方向)に配置されている。また、熱伝導抑制部材18a(18b)は、絶縁性部材(たとえば、ナノポーラスシリカ)と、絶縁性部材の表面に形成されたメタライズ層とを含む。
【0041】
また、熱伝導抑制部材18a(18b)のメタライズ層は、制御用スイッチ素子13a(14a)のソース電極S3a(S4a)と電気的に接続されている。具体的には、
図8に示すように、熱伝導抑制部材18a(18b)のメタライズ層の上方(Z2方向)側の表面は、第1基板1の導電パターン24d(28d)に半田などからなる接合層を介して接続されている。また、熱伝導抑制部材18a(18b)のメタライズ層の下方(Z1方向)側の表面は、横型スイッチ素子11a(12a)の各電極が配置されている表面と反対側(Z2方向側)の表面と半田などからなる接合層を介して接続されている。
【0042】
また、第1実施形態では、熱伝導抑制部材18a(18b)よりも熱伝導率の高い熱伝導部材19a(19b)は、横型スイッチ素子11a(12a)に対して制御用スイッチ素子13a(14a)とは反対側(Z1方向側)に配置されている。また、熱伝導部材19a(19b)は、絶縁性の部材により構成されている。具体的には、熱伝導部材19a(19b)は、セラミック製(たとえば、BN(窒化ホウ素))のフィラーが分散されたポリイミド系の樹脂により構成されている。
【0043】
また、熱伝導部材19a(19b)は、横型スイッチ素子11a(12a)の発熱面側(Z1方向側)に配置されている。つまり、熱伝導部材19a(19b)は、横型スイッチ素子11a(12a)と第2基板2との間に充填されている。これにより、横型スイッチ素子11a(12a)の発熱面(Z1方向側の表面)から発生する熱は、熱伝導部材19a(19b)を介して、第2基板2側(Z1方向側)に伝達されるように構成されている。
【0044】
封止樹脂20は、第1基板1の下面(Z1方向側の面)と第2基板2の上面(Z2方向側の面)との間に充填されている。つまり、横型スイッチ素子11a(12a)、熱伝導抑制部材18a(18b)および熱伝導部材19a(19b)は、封止樹脂20により封止されている。また、封止樹脂20は、熱伝導部材19a(19b)よりも低い熱伝導率を有する。また、封止樹脂20は、高耐熱性を有する。また、封止樹脂20は、たとえば、エポキシ系の樹脂により構成されている。
【0045】
次に、
図3および
図12〜
図16を参照して、第1実施形態によるパワーモジュール101aの組立方法について説明する。
【0046】
パワーモジュール101aの組立方法は、第1基板1に制御用スイッチ素子13a(14a)を搭載する工程と、第2基板2に各部品を搭載する工程と、第2基板2に熱伝導部材19a(19b)を充填する工程と、第1基板1、第2基板2および熱伝導抑制部材18a(18b)を接合する工程と、制御用スイッチ素子13a(14a)をワイヤ配線する工程と、封止樹脂20で封止する工程とを備えている。
【0047】
第1基板1に制御用スイッチ素子13a(14a)を搭載する工程では、
図12に示すように、制御用スイッチ素子13a(14a)が、第1基板1の横型スイッチ素子11a(12a)とは反対側(Z2方向側)の表面に配置される。具体的には、制御用スイッチ素子13a(14a)のドレイン電極D3a(D4a)が、第1基板1の導電パターン25a(29a)に半田などからなる接合層を介して接続される。
【0048】
第2基板2に各部品を搭載する工程では、
図10および
図13に示すように、第2基板2の上方(Z2方向)の表面に、横型スイッチ素子11a、12a、スナバコンデンサ15、柱状導体21、22、23、柱状電極35a、36a、37a、38a、39aおよび40aが搭載(配置)される。
【0049】
第2基板2に熱伝導部材19a(19b)を充填する工程では、
図14に示すように、熱伝導部材19a(19b)が、横型スイッチ素子11a(12a)と第2基板2との間に充填される。
【0050】
第1基板1、第2基板2および熱伝導抑制部材18a(18b)を接合する工程では、
図15に示すように、下から第2基板2、熱伝導抑制部材18a(18b)、第1基板1の順に積層されて、接合層を介して互いに接合される。
【0051】
制御用スイッチ素子13a(14a)をワイヤ配線する工程では、
図2および
図16に示すように、制御用スイッチ素子13a(14a)のソース電極S3a(S4a)が、第1基板1の導電パターン24aおよび26a(28aおよび30a)に、それぞれ、アルミニウムまたは銅などの金属からなるワイヤ131および132(141および142)を介して接続されるとともに、制御用スイッチ素子13a(14a)のゲート電極G3a(G4a)が、第1基板1の導電パターン27a(31a)にアルミニウムまたは銅などの金属からなるワイヤ133(143)を介して接続される。
【0052】
封止樹脂20で封止する工程では、
図3に示すように、封止樹脂20が、第1基板1の下面(Z1方向側の面)と第2基板2の上面(Z2方向側の面)との間に充填されて封止される。これにより、パワーモジュール101aが完成する。なお、パワーモジュール101a単体の組立方法について説明したが、パワーモジュール101b、101cも同様にして組み立てられる。また、パワーモジュール101a〜101cを同一の第1基板および第2基板により一体的に組み立ててもよい。
【0053】
第1実施形態では、上記のように、横型スイッチ素子11a(12a)と制御用スイッチ素子13a(14a)との間に配置され、横型スイッチ素子11a(12a)から発生した熱が制御用スイッチ素子13a(14a)に伝わるのを抑制するための熱伝導抑制部材18a(18b)を設けることによって、横型スイッチ素子11a(12a)から発生する熱が制御用スイッチ素子13a(14a)に伝わるのを抑制することができるので、制御用スイッチ素子13a(14a)の電気的特性が低下するのを抑制することができる。その結果、パワーモジュール101a(3相インバータ装置100)の電力変換機能が低下することを抑制することができる。
【0054】
また、第1実施形態では、上記のように、横型スイッチ素子11a(12a)に対して制御用スイッチ素子13a(14a)とは反対側(Z1方向側)に配置され、熱伝導抑制部材18a(18b)よりも熱伝導率の高い熱伝導部材19a(19b)を設けることによって、横型スイッチ素子11a(12a)から発生する熱が熱伝導部材19a(19b)を介して制御用スイッチ素子13a(14a)とは反対側に良好に伝達されるので、熱が制御用スイッチ素子13a(14a)に伝わるのを効果的に抑制することができる。
【0055】
また、第1実施形態では、上記のように、熱伝導部材19a(19b)を、絶縁性の部材により構成することによって、横型スイッチ素子11a(12a)の各電極間が短絡するのを防止しつつ、横型スイッチ素子11a(12a)から発生する熱を制御用スイッチ素子13a(14a)とは反対方向に伝達することができる。
【0056】
また、第1実施形態では、上記のように、熱伝導部材19a(19b)を、横型スイッチ素子11a(12a)の発熱面側(Z1方向側)に配置することによって、横型スイッチ素子11a(12a)から発生する熱を熱伝導部材19a(19b)により効率よく伝達することができる。
【0057】
また、第1実施形態では、上記のように、制御用スイッチ素子13a(14a)を、横型スイッチ素子11a(12a)の発熱面とは反対側(Z2方向側)に熱伝導抑制部材18a(18b)を介して配置することによって、横型スイッチ素子11a(12a)の発熱面から発生する熱が制御用スイッチ素子13a(14a)に伝わるのをより効果的に抑制することができる。
【0058】
また、第1実施形態では、上記のように、熱伝導抑制部材18a(18b)を、横型スイッチ素子11a(12a)の発熱面とは反対側(Z2方向側)の面全体を覆うように配置することによって、横型スイッチ素子11a(12a)の発熱面から発生する熱が制御用スイッチ素子13a(14a)に伝わるのをさらに効果的に抑制することができる。
【0059】
また、第1実施形態では、上記のように、横型スイッチ素子11a(12a)を、熱伝導部材19a(19b)よりも熱伝導率の低い封止樹脂20により封止することによって、横型スイッチ素子11a(12a)に異物が侵入するのを抑制しつつ、横型スイッチ素子11a(12a)から発生する熱が制御用スイッチ素子13a(14a)に伝わるのを抑制することができる。
【0060】
また、第1実施形態では、上記のように、熱伝導抑制部材18a(18b)と制御用スイッチ素子13a(14a)との間に配置された第1基板1を設けることによって、第1基板1により配線を行うとともに、制御用スイッチ素子13a(14a)に熱が伝わるのを第1基板1によっても抑制することができる。
【0061】
また、第1実施形態では、上記のように、第1基板1を、熱伝導部材19a(19b)よりも熱伝導率の低い材料により形成することによって、熱伝導抑制部材18a(18b)および第1基板1の両方により、制御用スイッチ素子13a(14a)に熱が伝わるのを効果的に抑制することができる。
【0062】
また、第1実施形態では、上記のように、制御用スイッチ素子13a(14a)を、第1基板1の横型スイッチ素子11a(12a)とは反対側(Z2方向側)の表面に配置することによって、横型スイッチ素子11a(12a)から発生する熱が制御用スイッチ素子13a(14a)に伝わるのを抑制しつつ、第1基板1に制御用スイッチ素子13a(14a)を容易に配置することができる。
【0063】
また、第1実施形態では、上記のように、第1基板1に、第1基板1を貫通するように、熱伝導抑制部材18a(18b)と制御用スイッチ素子13a(14a)とを接続する導電部材からなる電極24b(28b)を設け、電極24b(28b)を、平面視において(Z方向に見て)、制御用スイッチ素子13a(14a)に対してずれた位置に配置する。これにより、横型スイッチ素子11a(12a)から発生する熱が、電極24b(28b)を介して制御用スイッチ素子13a(14a)に伝達されるのを抑制することができる。
【0064】
また、第1実施形態では、上記のように、熱伝導抑制部材18a(18b)のメタライズ層を、制御用スイッチ素子13a(14a)と電気的に接続することによって、熱伝導抑制部材18a(18b)のメタライズ層と横型スイッチ素子11a(12a)の電極とは反対側(Z2方向側)の面とを接続して、横型スイッチ素子11a(12a)の電極とは反対側(Z2方向側)の面の電位を固定して安定させることができる。
【0065】
また、第1実施形態では、上記のように、熱伝導部材19a(19b)に対して横型スイッチ素子11a(12a)とは反対側(Z1方向側)に配置され、横型スイッチ素子11a(12a)が配置される第2基板2を設けることによって、横型スイッチ素子11a(12a)から発生する熱が制御用スイッチ素子13a(14a)側に伝わるのを抑制しつつ、第2基板2に横型スイッチ素子11a(12a)を容易に配置することができる。
【0066】
また、第1実施形態では、上記のように、熱伝導部材19a(19b)を、横型スイッチ素子11a(12a)と第2基板2との間に充填することによって、横型スイッチ素子11a(12a)から発生する熱を熱伝導部材19a(19b)を介して第2基板2に良好に伝達することができるので、熱が制御用スイッチ素子13a(14a)側に伝わるのを容易に抑制することができる。
【0067】
また、第1実施形態では、上記のように、第2基板2を、熱伝導部材19a(19b)および熱伝導抑制部材18a(18b)よりも熱伝導率の高い材料により形成することによって、横型スイッチ素子11a(12a)から発生する熱を制御用スイッチ素子13a(14a)とは反対側の第2基板2側から容易に放熱することができる。
【0068】
また、第1実施形態では、上記のように、第2基板2、横型スイッチ素子11a(12a)、熱伝導抑制部材18a(18b)、第1基板1および制御用スイッチ素子13a(14a)を、この順番で積層することによって、電力変換機能の低下を抑制することが可能なパワーモジュール101a(3相インバータ装置100)を容易に組み立てることができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、制御用スイッチ素子13a(14a)を、横型スイッチ素子11a(12a)にカスコード接続することによって、制御用スイッチ素子13a(14a)のゲート電極G3a(G4a)に入力される制御信号に基づいてスイッチングを行うことにより、横型スイッチ素子11b(12b)のスイッチングの制御を容易に行うことができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、制御用スイッチ素子13a(14a)は、縦型デバイスを含む。これにより、縦型デバイスの制御用スイッチ素子13a(14a)を用いたパワーモジュール101a(3相インバータ装置100)の電力変換機能が低下することを抑制することができる。
【0071】
(第2実施形態)
次に、
図17および
図18を参照して、第2実施形態によるパワーモジュール102aについて説明する。この第2実施形態では、横型スイッチ素子11aおよび12aを、それぞれ、熱伝導抑制部材18aおよび18bにより覆う構成の上記第1実施形態と異なり、横型スイッチ素子11aおよび12aを、共通の熱伝導抑制部材18cにより覆う構成の例について説明する。なお、パワーモジュール102aは、「電力変換装置」の一例である。
【0072】
第2実施形態によるパワーモジュール102aの構成について説明する。なお、このパワーモジュール102aは、3相インバータ装置においてU相の電力変換を行うものとする。すなわち、この第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、パワーモジュール102aと略同様の構成を有する2つのパワーモジュール(V相およびW相の電力変換を行うパワーモジュール)がパワーモジュール102aとは別個に設けられている。以下では、簡単化のため、U相の電力変換を行うパワーモジュール102aについてのみ説明する。
【0073】
ここで、第2実施形態では、
図17に示すように、熱伝導抑制部材18cは、第1基板1の下方(Z1方向)側の面を覆うように1つ配置されている。また、熱伝導抑制部材18cは、第1基板1の導電パターン24d、25c、28d、29c、32および33を露出するように切り込みまたは貫通孔が設けられている。また、
図18に示すように、熱伝導抑制部材18cは、横型スイッチ素子11aおよび12aの両方を覆うように1つ配置されている。
【0074】
また、熱伝導抑制部材18cは、横型スイッチ素子11aおよび12aと制御用スイッチ素子13aおよび14aとの間に、横型スイッチ素子11a(12a)から発生した熱が制御用スイッチ素子13a(14a)に伝わるのを抑制するように配置されている。具体的には、
図18に示すように、熱伝導抑制部材18cは、横型スイッチ素子11aおよび12aの発熱面とは反対側(Z2方向側)の面全体を覆うように横型スイッチ素子11aおよび12aの上方(Z2方向)に配置されている。また、熱伝導抑制部材18cは、約0.1W/mKの熱伝導率を有する。
【0075】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0076】
第2実施形態では、上記のように、熱伝導抑制部材18cを、2つの横型スイッチ素子11aおよび12aの発熱面とは反対側(Z2方向側)の面全体を覆うように1つ配置することによって、部品点数を減少させつつ、広い範囲で熱の伝わりを抑制することができる。
【0077】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0078】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0079】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、電力変換装置の一例として3相インバータ装置を示したが、3相インバータ装置以外の電力変換装置であってもよい。
【0080】
また、上記第1および第2実施形態では、ノーマリオン型の横型スイッチ素子を用いる例を示したが、ノーマリオフ型の横型スイッチ素子を用いてもよい。
【0081】
また、上記第1および第2実施形態では、横型スイッチ素子は、GaN(窒化ガリウム)を含む半導体材料により構成されている例を示したが、横型スイッチ素子は、GaN以外のIII−V族の材料や、C(ダイヤモンド)などのIV族の材料により構成されていてもよい。
【0082】
また、上記第1および第2実施形態では、熱伝導抑制部材が、横型スイッチ素子の発熱面とは反対側の面全体を覆うように配置されている例を示したが、熱伝導抑制部材が、横型スイッチ素子の一部を覆うように配置されていてもよい。
【0083】
また、上記第1および第2実施形態では、熱伝導抑制部材が、絶縁性部材と、メタライズ層とを含む例を示したが、横型スイッチ素子から発生した熱が制御用スイッチ素子に伝わるのを抑制することができれば、熱伝導抑制部材は、絶縁性部材と、メタライズ層とからなる構成以外であってもよい。