(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表示部、時計機構を内装したケース本体と、腕に装着するためのリストバンドと、少なくとも血流センサーを含んだ生体情報計測センサーと、該生体情報計測センサーで検知した生体情報を収集して、記憶するデータ処理部とを備えた、バイタルデータ計測機能を有した腕時計であって、
前記ケース本体および/または前記リストバンドは、炭素繊維強化炭素複合材料で構成されていることを特徴とする、バイタルデータ計測機能を有した腕時計。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような健康増進器具を用いても、その器具を装着した者が、どの程度の効果があるのかを定量的に確認することができず、また、定量的に計測した生体情報を一定期間計測し記憶させて、診断に使用することはできなかった。
【0006】
また、このような炭素材を腕時計に適用する場合、皮膚に触れるリストバンドを炭素材で構成することが想定できるが、腕時計は昼間、常時身に付けているものであるから、軽くて着用しやすく、かつ丈夫なものが求められる。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、軽くて丈夫であり、かつ時計を炭素材で構成することで、炭素材が放射する遠赤外線による血流促進効果が得られ、表示部などで定量的に迅速に確認できる、バイタルデータ計測機能を有した腕時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のバイタルデータ計測機能を有した腕時計(以下、たんに「腕時計」という)は、表示部、時計機構を内装したケース本体と、腕に装着するためのリストバンドと、少なくとも血流センサーを含んだ生体情報計測センサーと、生体情報計測センサーで検知した生体情報を収集して、記憶するデータ処理部とを備えたバイタルデータ計測機能を有した腕時計であって、ケース本体および/またはリストバンドは炭素繊維強化炭素複合材料で構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、ケース本体および/またはリストバンドの皮膚に接触する部分に等方性高密度炭素材が添設されたものとしてもよい。
【0010】
更に、本発明は、等方性高密度炭素材を通電加熱するための通電加熱制御部を更に備えた構成としてもよい。
【0011】
更に、本発明は、ケース本体、リストバンドのうちで、皮膚に接触する部分に超高熱伝導グラファイトが設けられた構成としてもよい。
【0012】
更に、本発明は、データ処理部で収集、記憶した生体情報を外部の情報処理機器に通信伝送するための無線通信接続部を更に備えた構成としてもよい。
【0013】
更に、本発明は、生体情報計測センサーが、血流音を検知する血流音センサーで構成されたものとしてもよい。
【0014】
更に、本発明は、無線通信機能を備えたGPS計測手段を更に備えた構成としてもよい。
【0015】
更に、本発明は、リストバンドの炭素材で形成された表面に、DLC処理、イオンプレーティング処理を施すことで配色処理をしたものとしてもよい。炭素材としては、炭素繊維強化炭素複合材、等方性高密度炭素材、超高熱伝導グラファイトが含まれる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、生体情報計測センサーとデータ処理部を備えているため、装着時に、生体情報計測センサーにより検出した生体情報を計測し記憶保持でき、本体ケースの表示部に、計測した生体情報を定量的に表示して確認できる。また、ケース本体やリストバンドが炭素繊維強化炭素複合材料で構成されているため、従来の金属と比べて著しく軽くでき、強度を高くすることもできるので、丈夫で使いやすいものとすることができる。
【0017】
また、他の本発明によれば、腕時計を装着している際には、ケース本体やリストバンドに設けた等方性高密度炭素材が人体の体温で加熱され、人体の組織と共鳴して、遠赤外線を放射するので、人体の深奥部を加熱して、血流促進効果を高めることができる。
【0018】
更に他の本発明によれば、通電加熱制御部を設けて等方性高密度炭素材を通電加熱できる構成にしているので、腕時計を人体の温度よりも高い温度に加熱でき、それにより人体に有益な遠赤外線を効率よく放射して、血行増進効果を向上することができる。
【0019】
更に他の本発明によれば、超高熱伝導グラファイトの高熱伝導性により、更に効率よく遠赤外線の放射ができ、より迅速な人体の加温もできる。
【0020】
更に他の本発明によれば、無線通信接続部を備えているので、データ処理部で収集し記憶した生体情報をパソコンやスマートフォン、タブレット端末などに送信でき、それらの情報処理機器で、専用のアプリやプログラムを用いて種々の診断を行うことができる。
【0021】
更に他の本発明によれば、生体情報計測センサーとして、血流音をモニタリングするだけの血流音センサーが設けてあるため、血流音を計測することで、血流の流れ具合や血管の血栓によるつまり具合が判断できる。
【0022】
更に他の本発明によれば、無線通信機能を備えたGPS計測手段を更に備えているため、徘徊癖のある痴呆患者や要介護者、独居老人などの位置情報をGPS機能を用いて検索することができる。
【0023】
更に他の本発明によれば、リストバンドの表面に配色処理がなされているので、使用者の趣味などに合わせて腕時計の外観意匠を特定して、ファッション性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態に係る腕時計について、添付図面を参照して説明する。
まず、腕時計10の概略基本構成について説明する。
【0026】
本腕時計10は、表示部23、時計機構を内装したケース本体11と、腕に装着するためのリストバンド12と、生体情報計測センサー20と、生体情報計測センサー20で検知した生体情報を収集して、記憶するデータ処理部21とを備えている。ここに、ケース本体11とリストバンド12は、炭素繊維強化炭素複合材料で構成されており、更に、それぞれの皮膚に接触する部分は等方性高密度炭素材が添設されている。生体情報計測センサー20は、加速度センサー、脈波センサーを備えてもよいが、少なくとも血流センサー20aを含んだ構成となっている。
【0027】
ついで、本腕時計10について詳細な構成および動作について説明する。
【0028】
この腕時計10は、腕に嵌めて利用する装着具であり、
図1に示すように、時計文字盤やデジタル値を表示する表示部23を設けたケース本体11と、リストバンド12とを有している。
【0029】
ケース本体11は、表示部23を有し、時計機構が組み込まれている。リストバンド12は、炭素繊維強化炭素複合材料(以下、CCコンポジットという)で成形された複数片のピースを連結具を用いて帯状に連結して構成されている。
【0030】
表示部23は、アナログ表示、デジタル表示などで構成され、操作部22を操作することで、生体情報計測センサー20で測定した生体情報を必要なときに表示させて、視認できるようになっている。
図1の例では、時計の文字盤は、長針と短針のあるアナログ時計を画像表示されたものを想定しており、所定の操作を行うことで、時計の文字盤の画像表示を、計測した生体情報をデジタル数値またはグラフで表示する構成にしている。
【0031】
表示部23を有した時計機構と、データ処理部21とは電源を必要とするが、充電可能な2次電池モジュールを搭載したものであれば、電池を取り替えることなく、2次電池を充電することで繰り返し使用できる。
【0032】
このような時計は、通信機能、健康増進機能、動画・音楽視聴機能などを備えた公知の多機能腕時計、たとえばアップルウォッチ(登録商標)のようなものの基本構成に、新たな機能を付加して構成したものであってもよい。
【0033】
リストバンド12の内側の皮膚に接触する面、およびケース本体11の裏面の皮膚に接触する面には、等方性高密度炭素材の薄膜がCCコンポジットに重なるように貼り付けられている。等方性高密度炭素材は、リストバンド12、ケース本体11の両方に設けることが望ましいが、いずれか一方でもよいし、設ける場所は限定されない。また、等方性高密度炭素材をリストバンド12に配する場合は、一部のピースにのみであってもよい。リストバンド12の内側の面は、皮膚のべたつきをなくすために微小凹凸を形成したものが望ましい。
【0034】
また、等方性高密度炭素材に代えてあるいは加えて、炭素材として熱伝導率が特に高い、熱伝導率が1700W/(m・K)程度の超高熱伝導グラファイトを設けてもよい。
【0035】
リストバンド12の表面には、DLC処理、イオンプレーティング処理を施すことで、外側から視認できる表面に玉虫色、単色、艶消しの黒色などの高級感のある配色処理をすることが可能となり、炭素材の表面処理によって配色することで、ファッション性を高めることができる。
【0036】
CCコンポジットは、炭素を炭素繊維で強化したもので、たとえば繊維強化複合材である炭素繊維強化プラスチックを熱処理し、母材のプラスチックを炭化させて作ることができる。このCCコンポジットは、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチックなどに比べて、軽量で高強度などのすぐれた特性があるので、リストバンド12の厚みを薄くできる。このCCコンポジットは、等方性高密度炭素材と比較して、強度が高く、たわみにくく、磨耗しにくく、割れ・欠けが発生しにくいので、ケース本体11やリストバンド12の材料に適しており、製品の寿命が長く、省エネに繋がり環境にも優しい。
【0037】
また、CCコンポジットは高い熱伝導性を有しているので、人体の体温を伝えるのに適しており、生体親和性もよいが、CCコンポジットに添設される等方性高密度炭素材や超高熱伝導グラファイトは、更に熱伝導性が高い。
【0038】
等方性高密度炭素材は、つぎのように生成される。まず、黒鉛、竹炭などの炭化物の粒子状の炭素材料にフェノール系接着剤、ピッチ又はタールなどのバインダを5重量%程度加えて、弾性を有する型(たとえば、ゴム製の型)に充填する。そして、その型をシールし、圧力容器内に水没させて圧力媒体である水で加圧する。こうすれば、炭素材料は全方向より等圧的に加圧されるので、ランダムに配向し等方性(異方比1.0〜1.1)の塊が生成される。その後、型から取り出した炭素材料の塊を酸素を欠乏させた状態で加熱し、最終的には2000〜3000℃程度で焼成する。焼成の途中、フェノール成分、ピッチ又はタールは昇温途中の約1200℃程度で揮発するので、炭素材料は結晶化(黒鉛化)し、高密度で整った結晶構造となる。
【0039】
これらの炭素材、特に等方性高密度炭素材や超高熱伝導グラファイトは、上述したように熱伝導率が高く、外部の熱や光などの形で吸収したエネルギーにより多量の遠赤外線を放射する素材である。また、これらの炭素材は腐食のおそれもなく、人体を形成する有機物の構成物質と同じであるため、生体親和性がよく、人体への安全性も高く、金属アレルギーの心配もない。
【0040】
人体は、身体組成の60%は水分、25%は炭素であり、36.5℃の平均体温で常に10ミクロンの遠赤外線を放射しているので、人体の皮膚に等方性高密度炭素材や超高熱伝導グラファイトが触れると、人体が遠赤外線を吸収して加温される。すなわち、等方性高密度炭素材や超高熱伝導グラファイトと、人との間で同じ波長の遠赤外線を放射し合って炭素材は約36.5℃を維持する一方で身体の中では水分子が激しく衝突して、この振動が運動エネルギーとなって、熱に変換され身体が加温される。
【0041】
その結果、遠赤外線が皮下組織や血管などに作用して血流が改善されるが、本発明者によれば、抹消、中枢の血流に15%の上昇効果があることが確認されている。また、これらの炭素材は、α波を発生して、身体を癒し健康増進に寄与する。
【0042】
リストバンド12はCCコンポジットが主材料となっているため、軽量で高強度に形成できる。リストバンド12を軽量にすることで、腕時計10の取り扱いがしやすく、高強度であるため傷つきにくいので、スポーツ用の腕時計10として適している。また、炭素材は導電性があるため静電気の発生も緩和することができる。
【0043】
なお、リストバンド12の内側の全面およびケース本体11の裏面全体に等方性高密度炭素材や超高熱伝導グラファイトを設けることが遠赤外線効果を高めるうえで望ましいが、一部であってもよい。リストバンド12の一部に等方性高密度炭素材、超高熱伝導グラファイトを設けたものでも、CCコンポジットによる遠赤外線効果が得られる。腕時計の装着時における遠赤外線効果は、時計の使用目的に応じて、適宜設計すればよい。
【0044】
本腕時計10は、このように人体が炭素材で温められ、血流が促進されることを、計測された生体情報を表示部23に表示することで迅速にかつ具体的に確認できるようになっており、
図1に示す実施例では、バンド12の裏面で装着時に腕側の動脈に対向する側に血流を検知する血流センサー20aが取り付けられている。
【0045】
この血流センサー20aは、血流音を入力するマイクロフォン素子(血流音センサー)で構成されている。入力した血流音は、後述するデータ処理部21で必要に応じてノイズが除去され、デジタルデータとして記憶される。血流音センサーによる血流音のモニタリングは雑音の除去などの処理が必須となるが、腕時計10の構成が簡易となる。
【0046】
また、血流センサー20aとしては、皮膚透過率の高いレーザ光を発するレーザダイオードと、端面入射型フォトダイオードとを同一基板上に集積したセンサーチップを用いてもよい。このセンサーは、レーザダイオードからのレーザ光を皮膚下に照射し、静止組織である皮膚面から反射された後方散乱光と、移動組織である毛細血管内で反射してきたレーザ光とのドップラシフト量を検出して血液の流速と流量を検出する血流計アルゴリズムを用いて分析を行う構成となっているが、超音波式や電磁式など他方式の血流センサーを用いてもよい。
【0047】
また、血流センサー20aの取付部位としては、ケース本体11の裏面などでもよいが、リストバンド12を腕に取り付けたときに、手首の動脈と対向する部位(たとえば
図1に示した部位)に設けることが望ましい。
【0048】
また、本腕時計10に、生体情報計測センサー20として、歩行検知用センサー、体脂肪センサーなどを設けて、他の身体データを収集するようにしてもよい。更に、種々の健康増進機能を有したアップルウォッチ(登録商標)といっしょに用いて、血流データとともに他の身体データを収集、保存、転送を行うようにしてもよい。
【0049】
生体情報計測センサー20として備えた血流センサー20aは、血液の流速、流量、血流音などを検出する。生体情報計測センサー20は、電池などの電源によって電力が供給され、駆動するようになっているので、上述した電池や2次電池モジュールから電源を供給するように構成すればよい。
【0050】
ついで、
図2にもとづいて、血流センサー20aを含む本腕時計10の内部基本構成について説明する。
【0051】
腕時計10は、外部のリューズ22aや表示部23上のソフトウェア・スイッチなどを含む操作部22と、血流センサー20aのデータ収集など種々のデータ処理をするデータ処理部21と、時計表示や計測された生体情報の表示を行う表示部23と、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などの外部の情報処理機器31と通信接続するための無線通信接続部24と、電源部25と、データが保存される記憶部26と、CCコンポジットや等方性高密度炭素材に通電して加熱する通電加熱制御部27と、GPS計測手段28とを備えている。
【0052】
データ処理部21は、CPUおよびプログラムなどよりなり、血流センサー20aで検出した血流データの記憶部26への収集、保存を行う。また、データ処理部21は、操作部22の操作による各部の指示、制御などを行う制御部としても動作する。更に、表示部23への表示データの編集や、後述する通信接続部24へのデータ送出、通電加熱制御部27、GPS計測手段28の駆動制御なども行う。
【0053】
電源部25はボタン電池を有してなり、ケース本体11内に収容されている。血流センサー20aや無線通信接続部24の駆動用に、前述した電池や2次電池モジュール、その他の電池をリストバンド12に内臓してもよい。また、補助電源として、室内光でも充電できるソーラーパネルを搭載させてもよい。
【0054】
通電加熱制御部27は、電極および電池電源を有し、リストバンド12の等方性高密度炭素材や超高熱伝導グラファイトを通電加熱するようになっている。通電加熱制御部27で等方性高密度炭素材や超高熱伝導グラファイトに通電し、人体の温度よりも高い温度に加熱することで、更に、人体に有益な遠赤外線を効率よく放射し、人体を加温することができる。通電加熱制御部27には、炭素材による発熱温度を調節できる手段を設けておけば、環境温度に応じて加温の温度が調節でき、冬場など環境温度が低い場合にも、人体を温めて、冷えを抑制できる。
【0055】
操作部22では、血流データを収集するための操作ができるようになっている。また、収集したデータをグラフ表示するための操作など、表示部23に対する操作ができるようになっている。
【0056】
表示部23は、時計本体11の表示部23に搭載した液晶ディスプレイなどよりなり、タッチ操作も可能とされている。表示部23には、時刻表示の他、収集した血流データのグラフ表示(
図4参照)ができるようになっている。
【0057】
GPS計測手段28は、人工衛星により現在地を測定するシステムであり、無線通信機能を備えており、腕時計10の利用者の現在地が表示部23に地図表示されるようになっている。
【0058】
無線通信接続部24は、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などの情報処理機器31、31と接続してデータ送受信のための通信制御を行う。USBコネクタなどによる有線接続でもよいが、ブルートゥース、赤外線などの無線接続が望ましい。もちろんWi−Fiを利用してもよい。
【0059】
血流センサー20aによるデータ測定および収集は、たとえば
図3のフローチャートに示すような動作によりなされる。
【0060】
操作部22で血流データの測定および収集の機能の開始操作がされると、5分ごとのN回の血流データ収集が開始される。開始操作(S100)がされると、データ処理部21(制御部)はまず血流センサー20aを駆動し(S101)、次の動作(S102〜S108)をN回繰り返す。
【0061】
制御部は、血流センサー20aに血流を検出させ、検出した血流データを入力する(S103)。血流検出を複数回リトライさせ、入力した血流値の平均をとるようにしてもよい。
制御部は入力した血流データの正常、異常を判定し、それらを表示部23の表示などで報知する(S104〜S106)。たとえば、予め、一般的な正常値の値域データを取得、保存しておき、それとの比較を行い、表示部23へ正常または異常の報知を行うようにすればよい。また、使用者にとっての正常値の値域データを用いてもよい。血流データの収集は血流促進効果を確認するためのものであるから、前回(5分前)のデータと比較して所定の上昇率が得られた場合に正常とし、そうでない場合には異常を報知する。
そして、収集したデータを記憶部26に保存する(S107)。
5分ごとに上記処理を繰り返し、N回の処理が終了すれば、血流データ測定および収集の機能を終了する。
【0062】
こうして収集した血流データは、操作部22の操作により、数値データとして表示部23に表示できるようになっている。
【0063】
図4のグラフは、5分ごとの折れ線グラフで、縦軸は血流の変化率を表し、横軸は経過時間を表している。
図4に示したグラフは、腕時計10を装着していないときの血流データを記憶部26に保存しておき、そのときの血流を1.0(図中の直線N)とし、時間の経過にともなってどの程度の変化があるかを示したグラフである。
【0064】
以上に説明したように、本腕時計10によれば、等方性高密度炭素材などの炭素材が放射する遠赤外線による血流促進効果を表示部23に表示させて定量的に迅速に確認することができる。
【0065】
また、本腕時計10を安静時のみならず日常生活において利用することで、血流センサー20aにより、日々の血流促進効果を監視したり、血流データの統計をとったりすることができる。これらにより、無呼吸症候群や不整脈、脳梗塞や心筋梗塞、肺炎などの予防対策にも寄与できる。生体情報の計測は、静止時や運転中に利用できる。また、運動中にモニタリングすることでスポーツ災害も防止できる。
【0066】
このように、本腕時計10を用いれば、種々の生体情報をウェアラブル計測でき、生体を傷つけることのない理想的な非侵襲診断が可能となる。
【0067】
また、血流センサー20aで測定した血流データなどの生体情報は、腕時計10の記憶部26に保存、蓄積してもよいが、それに代えて、あるいはそれに加えて、無線通信接続部24を介して、外部の情報処理機器31、31に転送し、保存するようにしてもよい(
図2参照)。それらの情報処理機器31、31では、種々のプログラム(アプリ)を用いて、血流データをさまざまなグラフや表で表現すればよく、そうすることで血流データをさまざまな様式で簡易に視覚化することができる。
【0068】
また、血流データなどの生体情報は、インターネットLを通じて、医療サーバ32のデータベース32aに利用者ごとに割り付けて保存されるようにしてもよい。医療機関において、それらのデータを健康維持や診断に利用することもできる。
【0069】
更に、本腕時計10はGPS計測手段28を備えているため、自宅のパソコンやスマートフォンのアプリを用いて腕時計10の存在を検索することで、装着者の位置を確認することができる。装着者が徘徊の癖のある痴呆患者や要介護者、独居老人である場合には、他の情報機器で装着者の位置を監視するようにすればよい。たとえば、医療サーバ32と連携させれば、外部の医療機関が、日々の健康管理および身体異常の監視に加えて、患者の現在地の監視を行うこともできる。
【0070】
また、本腕時計10を複数の利用者で利用できるように、個人認証ができるようにしてもよい。個人認証は、操作部22で入力されたユーザID、パスワードによるものでもよいし、他の生体認証手段を備え、それにより判別するものでもよい。生体認証手段としては、たとえば、指紋センサーをケース本体11の裏側の盤体の裏面に組み込んでもよいし、リストバンド12に静脈センサーを組み込んでもよい。
【0071】
このような個人認証手段を利用して、本腕時計10の使用許可、禁止を判断して、セキュリティ対応できる構成にしてもよい。医療サーバ32に送出する場合は、個人認証による個人識別データを血流データに関連付けて転送するようにすればよい。
軽くて丈夫であり、かつ時計を構成する炭素材が放射する遠赤外線によって血流促進効果が得られ、その効果を表示部などで定量的に迅速に確認できる、バイタルデータ計測機能を有した腕時計を提供する。
腕時計10は、時計機構を内装したケース本体11と、腕に装着するためのリストバンド12と、少なくとも血流センサー20aを含んだ生体情報計測センサー20と、生体情報計測センサー20で検知した生体情報を収集して、記憶するデータ処理部21とを備えており、ケース本体かつ/またはリストバンド12は炭素繊維強化炭素複合材料で構成されている。