(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044752
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】管継手、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
F16L 23/02 20060101AFI20161206BHJP
F16L 27/10 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
F16L23/02 D
F16L27/10 B
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-289232(P2011-289232)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-137088(P2013-137088A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145471
【氏名又は名称】株式会社十川ゴム
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】佐古 吉男
(72)【発明者】
【氏名】小島 博
【審査官】
黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】
実開平6−63988(JP,U)
【文献】
特開平11−63331(JP,A)
【文献】
特開平6−159570(JP,A)
【文献】
特開平7−180789(JP,A)
【文献】
実開昭59−175782(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 23/00 − 23/24
F16L 27/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面ゴム層と当該内面ゴム層の外周に配置される補強層とを有する筒体の少なくとも一方の端部において、少なくとも前記補強層の端部を折り返して補強リングを巻き込み、配管接続用の金属製のフランジ部材を設けた管継手であって、
前記金属製のフランジ部材が、前記補強リングの巻き込み部分を覆うように形成してあり、
前記金属製のフランジ部材は、前記筒体の長手方向に沿って配置された第1フランジ部分と第2フランジ部分とを接合して形成してあり、前記補強リングの巻き込み部分が、前記第1フランジ部分と前記第2フランジ部分との間に挟み込んであり、
前記第1フランジ部分及び前記第2フランジ部分のそれぞれの内側面全体が、前記補強リングの巻き込み部分を含む前記筒体の端部と加硫接着されている管継手。
【請求項2】
前記第1フランジ部分及び前記第2フランジ部分のそれぞれの内側面に段部が形成されており、前記それぞれの段部が組み合わさることによって、前記補強リングの巻き込み部分を収容可能な凹部が形成される請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記第1フランジ部分が前記筒体の先端側に配置され、前記第2フランジ部と接合しない側の前記第1フランジ部の端面に連設する第2の段部が、前記第1フランジの内側面に形成されている請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
防振管継手として使用する請求項1〜3のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項5】
未加硫の内面ゴム層の上に少なくとも未加硫の補強層を積層して形成した筒体の端部において、
少なくとも前記補強層の端部を折り返して補強リングを巻き込み、
前記補強リングの巻き込み部分に対し、金属製の第1フランジ部分と第2フランジ部分とを前記筒体の長手方向の両側から挟み込む際に、前記第1フランジ部分及び前記第2フランジ部分と前記補強リングの巻き込み部分との隙間に未加硫のゴム材を充填し、前記第1フランジ部分と前記第2フランジ部分とを圧着してフランジ部材を形成すると共に、前記第1フランジ部分及び前記第2フランジ部分のそれぞれの内側面全体が、前記補強リングの巻き込み部分を含む前記筒体の端部と加硫接着されるように加硫処理する管継手の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内面ゴム層と当該内面ゴム層の外周に配置される補強層とを有する筒体の少なくとも一方の端部において、少なくとも前記補強層の端部を折り返して補強リングを巻き込み、配管接続用の金属製のフランジ部材を設けた管継手とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の管継手としては、例えば、以下の特許文献1に記載される防振管継手が知られている。ここでは、防振管継手の内面ゴム層が、筒体の両端部に設けられているフランジ部材の外側面まで延設されており、フランジ部材の外側に露出した状態でパッキン部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−159570号公報(
図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の防振管継手を配管に接続する際、防振管継手のパッキン部を、防振管継手のフランジ部材と、配管側のフランジ部材とによって挟み込みボルト・ナットで締結して固定しており、パッキン部がシール材として機能する。
しかしながら、このパッキン部はゴムで構成されているため、長期間の使用で応力緩和やクリープの影響によって永久歪みが生じ、これにより面圧が低下してシール性能が低下するという問題があった。
従って、本発明の目的は、長期間の使用においても高いシール性能が維持される管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る管継手の第1特徴構成は、内面ゴム層と当該内面ゴム層の外周に配置される補強層とを有する筒体の少なくとも一方の端部において、少なくとも前記補強層の端部を折り返して補強リングを巻き込み、配管接続用の金属製のフランジ部材を設けた管継手であって、前記金属製のフランジ部材が、前記補強リングの巻き込み部分を覆うように形成してあり、前記金属製のフランジ部材は、前記筒体の長手方向に沿って配置された第1フランジ部分と第2フランジ部分とを接合して形成してあり、前記補強リングの巻き込み部分が、前記第1フランジ部分と前記第2フランジ部分との間に挟み込んであり、前記第1フランジ部分及び前記第2フランジ部分
のそれぞれの内側面全体が、前記補強リングの巻き込み部分
を含む前記筒体の端部と加硫接着されている点にある。
【0006】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、配管接続用の金属製のフランジ部材が、前記筒体の端部に配置されており、この金属製のフランジ部材がシール材として機能するため、シール材としてゴムを使用する場合と異なり、応力緩和やクリープの影響によって面圧が低下することがなく、長期間の使用においても高いシール性能が維持される。
さらに、フランジ部材は、補強リングの巻き込み部分を覆うように形成してあるため、フランジ部材が筒体から抜け落ちることがない。そのため、フランジ部材を筒体に固定するためのニップルをフランジ部材に設ける必要がなく、筒体の長手方向の長さを短く設定して、管継手の小型化を図ることもできる。
【0007】
また本構成によれば、金属製フランジ部材を第1フランジ部分と第2フランジ部分とを
接合して形成してあり、補強リングの巻き込み部分を第1フランジ部分と第2フランジ部
分との間に挟み込んであるため、補強リングの巻き込み部分を金属製のフランジ部材の内
側に収容でき、金属製フランジ部材が筒体から抜け落ちることがない。
【0008】
本発明に係る管継手の第2特徴構成は、
前記第1フランジ部分及び前記第2フランジ部分のそれぞれの内側面に段部が形成されており、前記それぞれの段部が組み合わさることによって、前記補強リングの巻き込み部分を収容可能な凹部が形成される点にある。
【0009】
本発明に係る管継手の第3特徴構成は、
前記第1フランジ部分が前記筒体の先端側に配置され、前記第2フランジ部と接合しない側の前記第1フランジ部の端面に連設する第2の段部が、前記第1フランジの内側面に形成されている点にある。
【0010】
本発明に係る管継手の第
4特徴構成は、防振管継手として使用する点にある。
【0011】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、配管を伝わる、エンジン、ポンプ、その他の機械類の振動や騒音を吸収して低減することができる。
【0012】
本発明に係る管継手の製造方法の特徴構成は、未加硫の内面ゴム層の上に少なくとも未加硫の補強層を積層して形成した筒体の端部において、少なくとも前記補強層の端部を折り返して補強リングを巻き込み、前記補強リングの巻き込み部分に対し、金属製の第1フランジ部分と第2フランジ部分とを前記筒体の長手方向の両側から挟み込む際に、前記第1フランジ部分及び前記第2フランジ部
分と前記補強リングの巻き込み部分との隙間に未加硫のゴム材を充填し、前記第1フランジ部分と前記第2フランジ部分とを圧着してフランジ部材を形成すると共に
、前記第1フランジ部分及び前記第2フランジ部分のそれぞれの内側面全体が、前記補強リングの巻き込み部分を含む前記筒体の端部と加硫接着されるように加硫処理する点にある。
【0013】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、補強リングの巻き込み部分とフランジ部材との隙間に未加硫のゴム材を充填し、加硫処理するため、フランジ部材と未加硫のゴム材とを加硫接着することができ、漏れのない密封性の高い菅継手を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】本発明の管継手の設置例を示す概略図である。
【
図4】従来の管継手の増締めと締付トルクとの関係を示す図である。
【
図5】本発明の管継手の増締めと締付トルクとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(管継手)
図1に示すように、本発明の管継手1は、流体が通過する流路Rを内部に有する筒体2の端部に、配管接続用の金属製のフランジ部材9を設けて構成される。
【0016】
図2に示すように、筒体2は、その断面構成が複数の被覆層を積層した多層構成となっており、その内面から順に、内面ゴム層3、第1補強層4、補強鉄線6が埋め込まれている第2補強層5、及び外面ゴム層7が積層されている。
【0017】
内面ゴム層3、第1補強層4、第2補強層5、及び外面ゴム層7に適用可能な素材としては、耐磨耗性の高い素材であれば特に限定されるものではないが、例えば、天然ゴム、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等のゴム素材を挙げることができる。
【0018】
また、筒体2の両端部には、第1補強層4の端部を折り返して巻き込んだ状態で補強リング8が埋め込まれており、これにより凸部2a(補強リングの巻き込み部分)が形成されている。
【0019】
金属製のフランジ部材9は、筒体2の両端に凸部2aを覆うように配置され、且つ互いに接合可能な円環状の第1フランジ部分10と第2フランジ部分11とを備えて構成される。第1フランジ部分10には、厚み方向に貫通するボルト挿通用の複数の貫通孔10aが周方向に一定間隔で形成されると共に、内側に段部10bが形成されている。また第2フランジ部分11にも同様に、厚み方向に貫通するボルト挿通用の複数の貫通孔11aが周方向に一定間隔で形成されると共に、内側に段部11bが形成されている
【0020】
第1フランジ部分10と第2フランジ部分11とを接合することにより、それぞれの段部が合わさって凹部12が形成される。そして、筒体2の凸部2aが、凹部12内に収容されることにより、金属製フランジ部材9の抜け止めとなる。
【0021】
(管継手の製造方法)
所定の外径を有する鉄心の外周を、未加硫の、内面ゴム層3、第1補強層4、第2補強層5、及び外面ゴム層7で順に被覆して筒体2を形成する。
次いで、少なくとも第1補強層4の端部を折り返して補強リング8を巻き込んで、凸部2aを形成する。
【0022】
最後に、筒体2の凸部2aを、互いに接合可能な金属製の第1フランジ部分10及び第2フランジ部分11によって筒体2の長手方向から挟み込んで圧着することにより完成する。このとき、筒体2の凸部2aが、凹部12内に収容される。
【0023】
尚、その後必要に応じて、筒体2の凸部2aと、圧着した金属製の第1フランジ部分10及び第2フランジ部分11との隙間に未加硫のゴム材を充填した後、加硫接着するようにしても良い。これにより、筒体2の凸部2aと、圧着した金属製の第1フランジ部分10及び第2フランジ部分11との隙間をゴム材で確実に埋めることができるため、漏れのない密封性の高い菅継手を製造することができる。
【0024】
図3に示すように、本発明の管継手1は、直管13(配管)や、エルボ管14(配管)の間に介装されて使用される。尚、本実施形態においては、本発明の管継手1と配管13,14とをガスケット15を介して接続してあるが、管継手1の金属製フランジ部材9と、配管のフランジ部材との密着性が高い場合は、ガスケット15を使用しなくとも良い。
【0025】
また、本発明の管継手1は、防振管継手としても利用可能であり、配管を伝わる、エンジン、ポンプ、その他の機械類の振動や騒音を吸収して低減することもできる。
【0026】
次いで、本発明の管継手と従来の管継手について、締付トルクと経過時間についての関係を比較するため試験を実施した。
図4に示すように、従来の管継手では、初回締付後、24時間経過後に締付トルクが低下し漏れが生じる可能性があり、ボルト及びナットの増締めを実施する必要がある。
一方、
図5に示すように、本発明の管継手では、特に増締めを実施する必要がなく、長期間にわたって締付トルクが保持された。
【0027】
〔その他の実施形態〕
上述の実施形態では、管継手の筒体が、内面ゴム層3、第1補強層4、第2補強層5、及び外面ゴム層7を備える構成を記載したが、この構成に限定されるものではなく、少なくとも1層の内面ゴム層と、少なくとも1層の補強層とを備えるものであっても良い。また、補強リング8を巻き込む際、必要に応じて、第1補強層4だけでなく、内面ゴム層3や、第2補強層5等と共に巻き込むようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る管継手は、例えば、船舶等に装備される配管系統に用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 管継手
2 筒体
2a 凸部(補強リングの巻き込み部分)
3 内面ゴム層
4 第1補強層
5 第2補強層
6 補強鉄線
7 外面ゴム層
8 補強リング
9 金属製フランジ部材
10 第1フランジ部分
10a 貫通孔
10b 段部
11 第2フランジ部分
11a 貫通孔
11b 段部
12 凹部
13 直管(配管)
14 エルボ管(配管)
15 ガスケット