特許6044760IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

煙道内のガス等の各種ガス濃度をレーザ光により測定するレーザ式ガス分析計に関するものである。

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

この種のレーザ式ガス分析計は、例えばゴミ焼却場等の煙道に設置されることが多い。この煙道内には測定対象ガス以外に煤塵(ダスト)や水が存在する。ダストによる光量減衰の影響は、特許文献2に記載された従来技術によって補正することが可能であり、仮に煙道内にダストが存在しても、ガス濃度を正確に測定することができる。 しかしながら、近年、ゴミ焼却等の分野においては最適なプロセス制御の実現を狙って、排ガス処理プロセス内のSO2,NO,NO2等のガス濃度をきめ細かく測定したいというニーズが増加している。
これらのガスは、中赤外領域に光吸収スペクトルが存在する。例えば、図23はSO2の光吸収スペクトルであり、このような光吸収スペクトルを検出するためには、レーザ光源として、量子カスケードレーザ等の中赤外領域の波長のレーザ光を出射するものを用いることが好ましい。 しかし、この中赤外領域には、測定対象ガスであるSO2の光吸収スペクトル以外に、水の光吸収スペクトルが多数存在している。図24は、水の光吸収スペクトルを示しており、この光吸収スペクトルを外してSO2濃度を測定することは非常に困難である。
すなわち、測定対象空間の水分濃度が高い場合、レーザ光源としての量子カスケードレーザから出射されるレーザ光は測定対象ガス以外に水の影響を受けるため、著しく減衰してしまう。 例えば、SO2の光吸収スペクトル波長(約7.2μm)を検出する条件において、水による吸収の影響を実験的に調べた場合の受光信号(言い換えれば受光光量)のレベルを図25に示す。
受光光量の減衰がダストによる影響だけであれば、特許文献2に記載された方法により補正が可能であるが、図25によれば、水分濃度(体積濃度)が高くなるにつれて受光光量が減衰することがわかる。このため、従来のレーザ式ガス分析計では、測定対象空間に水分が存在すると測定対象ガスの測定値が減衰してしまい、ガス濃度を正確に測定できないという問題があった。 また、ガス濃度測定方法は、特許文献1にも記載のように、吸収スペクトルのピーク付近をその発振波長付近で発光するレーザ素子などによってスキャンし、光量のわずかな変化を捉える方法である。例えば、図26に示すようなスペクトルを持つHClガスは、使用する近赤外レーザ素子が走査できる波長範囲に、測定対象ガス成分の吸収を受けない波長の光を含むことが可能である。そのため、測定対象ガス成分の吸収を受けない波長の光を利用して受光光量補正を用いた正確なガス濃度測定が可能である。 ところが、図27に示すようなスペクトルを持つSO2ガスは、使用する中赤外レーザ素子の発光可能な波長範囲に測定対象ガス成分の吸収を受けないような波長の光が含まれていない。そのため、測定対象ガスによってDC的な吸収が発生する。ダストによる光量減少はDC的であり、SO2のようなガスを中赤外光で測定する場合は、測定対象ガスによる吸収なのか、ダストによる光量減衰なのかを判定し、受光光量補正を行い正確なガス濃度測定を行うことが困難である。 そこで本発明の解決課題は、高濃度の水分やダストが存在する測定環境であっても測定対象ガスの濃度を高精度に測定可能としたレーザ式ガス分析計を提供することにある。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

課題を解決するため、請求項1に係る発明は、 測定対象ガスの光吸収スペクトルを含む中赤外領域の波長のレーザ光を出射する中赤外レーザ発光部と、 前記中赤外レーザ発光部を駆動する中赤外レーザ駆動部と、 前記中赤外レーザ発光部から出射されたレーザ光をコリメートして測定対象ガスが存在する測定対象空間に照射する中赤外レーザ光学部と、 前記中赤外レーザ光学部から照射されたレーザ光を受光・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
本発明によれば、高濃度の水分やダストが存在する環境において、中赤外レーザ発光部を用いてSO2等のガス濃度を測定する場合にも、測定対象空間に存在する水分の影響を除去して測定に必要なレーザ光量を確保することができ、目的とするガス濃度を高精度に測定することができる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】本発明の第1,第2のレーザ式ガス分析計の構成図である。

【図2】本発明の第1のレーザ式ガス分析計の回路ブロック図である。

【図3】レーザ発光部およびレーザ駆動部の回路ブロック図である。

【図4】発光波長の説明図であり、図4(a)はレーザ素子の発光波長と電流との関係を示す特性図、図4(b)はレーザ素子の発光波長と温度との関係を示す特性図である。

【図5】波長走査駆動信号を示す図である。

【図6】レーザ素子に対する駆動信号を示す図である。

【図7】ガス濃度演算部、光量減少量検出部および水分濃度演算部のブロック図である。

【図8】受光光量レベルとガス吸収波形の振幅レベルとの関係を示す特性図である。

【図9】ダストがない環境下での受光信号波形図である。

【図10】ダストがある環境下での受光信号波形図である。

【図11】ダストがない環境下での同期検波部の出力波形図である。

【図12】ダストがある環境下での同期検波部の出力波形図である。

【図13】ダストがない環境下でのフィルタ部の出力波形図である。

【図14】ダストがある環境下でのフィルタ部の出力波形図である。

【図15】ダスト量に対する近赤外光の受光光量と中赤外光の受光光量との関係を示す特性図である。

【図16】近赤外光の受光光量減少量と中赤外光の受光光量減少量との関係を示す特性図である。

【図17】本発明の第2のレーザ式ガス分析計の回路ブロック図である。

【図18】波長領域1.3〜1.5μmの水(H2O)の光吸収スペクトルを示す図である。

【図19】アンモニア(NH3)の光吸収スペクトルを示す図である。

【図20】差分吸収方式による濃度測定原理を示す図である。

【図21】周波数変調方式による濃度測定原理を示す図である。

【図22】特許文献2に記載された従来のレーザ式ガス分析計の構成図である。

【図23】二酸化硫黄(SO2)の光吸収スペクトルを示す図である。

【図24】波長領域7.1〜7.7μmの水(H2O)の光吸収スペクトルを示す図である。

【図25】水による吸収の影響がある場合の受光信号レベルを示す図である。

【図26】HClガスの分光特性を示す図である。

【図27】SO2ガスの分光特性を示す図である。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

1:煙道内部(測定対象空間)   2:中赤外レーザ光   3:発光部ケース   4:発光部回路基板   5:受光部ケース   6:受光部回路基板   7:中赤外レーザ発光部   7a:中赤外レーザ素子   7b:温度検出部(サーミスタ)   7c:温度調節部(ペルチェ素子)   8:近赤外レーザ発光部   8a:近赤外レーザ素子   9,14:レンズ   10,15:凹面ミラー   11,16:開口部   12:中赤外受光素子   13:近赤外受光素子   17:近赤外レーザ光   18,19:ウィンドウ   20:中赤外レーザ駆動部   20a:波長走査駆動信号発生部   20b:高周波変調信号発生部   20c:レーザ駆動信号発生部   20d:温度制御部   21:近赤外レーザ駆動部   22:ガス濃度演算部   23:光量減少量検出部   24:ガス濃度補正部   25:水分濃度演算部   26:ガス濃度補正部   101a,101b:煙道壁   201a:発光部フランジ   201b:受光部フランジ   203a:発光部筺体   203b:受光部筺体

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