【文献】
レイモンド スコット,Ajax on Rails,日本,株式会社オライリー・ジャパン,2007年 7月19日,第1版,pp.94−99
【文献】
谷川 由紀子,ユーザビリティに配慮した配色評価・推薦方式の提案と設計支援ツールへの適用,FIT2011 第10回情報科学技術フォーラム 講演論文集 第3分冊,日本,一般社団法人情報処理学会,2011年 8月22日,pp.523−524
【文献】
矢野 有美,ユーザビリティ評価における配色評価・推薦方式の実システムへの適用,FIT2011 第10回情報科学技術フォーラム 講演論文集 第3分冊,日本,一般社団法人情報処理学会,2011年 8月22日,pp.525−526
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記評価部が前記部分領域に係る前記色情報を適切でないと評価した場合に、前記第1文字列と、前記第1記憶部が記憶する、当該色情報以外の前記色情報に予め関連付けられた前記第2文字列との類似度を計算し、当該類似度が閾値以上であるか否かに応じて、前記第2文字列に予め関連付けられた前記色情報を、前記部分領域に対応する適切な前記色情報として出力する色推薦部
を更に備える、請求項3に記載の色評価装置。
前記部分領域に係る前記色情報を適切であると前記評価部が評価した場合に、前記部分領域に関連付けられた前記第1文字列を、前記第1記憶部が記憶する前記部分領域に係る前記色情報に関連付けられた前記第2文字列の一覧に追加する、
請求項3乃至請求項5のいずれか1項記載の色評価装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る色評価装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1を参照すると、第1の実施形態に係る色評価装置101は、入力画像の部分領域を特定する部分画像特定部である分割部102と、部分領域に含まれる色を特定する色情報と、部分領域に含まれる文字列を取得する情報取得部である取得部103と、色情報と予め関連付けられた文字列を取り出す取出部である取り出し部104と、色情報の適切さを評価する評価部105とを備える。
【0018】
色評価装置101は、評価対象画面情報を入力として受け取る。評価対象画面情報は、表示装置(
図1には図示されない)に表示すべき画像を構成する画像情報(画像データ)を生成するための情報である。評価対象画面情報は、例えば、HyperText Markup Language等の(以降、「HTML」と略記する)言語と、ビットマップ形式等の画像データ等とを使って表現されている。以下では、HTMLやビットマップなどの用語を使って説明を行うが、その他の言語や、フォーマットによって表現されていても、同様の動作をする。
【0019】
分割部102は、表示装置に表示すべき画像を構成する画像情報(画像データ)(以降、「画面」と略記する場合がある)を、少なくとも1つ以上の小領域に分割する。例えば、画面がHTMLを使って記述されている場合には、一つの小領域は、ある開始タグとそれに対応する終了タグとに囲まれた記述に対応する部分であってもよい。以降、ある開始タグとそれに対応する終了タグとに囲まれた記述部分を、「タグスコープ」と記す。分割部102は、そのタグスコープに基づいて、上記のように画像データを各小領域に分ける。評価対象画面情報が画像データを使って記述されている場合には、分割部102は、既存の画像処理技術等を使って、その画像データを、同種の情報を持つ小領域に分割する。例えば、表示すべき画像が
図2に示すようなものとなる評価対象画面情報が入力された場合、分割部102は、以下のように、画面を小領域に分割する。すなわち、分割部102は、画面を、タイトル領域110と、ナビゲーション領域111と、見出し領域112と、入力領域113と、入力領域のラベル領域114と、補助情報領域115と、補助情報領域116と、ボタン領域117と、背景118との9つの小領域に分割する。
【0020】
以下の説明において、「構成部品」は、タグスコープの解析や画像処理技術等を使って分割した小領域を意味している。また、「画面構成」は、画面に存在する構成部品を組み合わせた状態を指す。また、画面構成を調べることは、上述のように、タグスコープを解析することあるいは画像処理技術等により、具体化することができる。なお、「分割」は、構成部品が1つである場合も含んでいる。
【0021】
次に、取得部103は、分割部102が作成した各小領域に存在する色と、情報の意味を表す文字列を取得する。それらの文字列は、小領域ごとに、その画面を、表示装置を利用して見た利用者に伝える意味を表現している。
【0022】
図2は、第1の実施形態における評価対象画面の一例を示す図である。
図2は、第1の実施形態だけでなく、第2乃至5の実施形態における評価対象画面の一例を示す図でもある。この画面は、画面の題名を示すタイトル領域110と、現在位置やその画面で行う操作の説明等を表示するナビゲーション領域111と、見出しを表す見出し領域112と、情報などを入力する入力領域113と、その入力領域のラベルを表す入力領域のラベル領域114等の情報を、各領域に応じて色分けして含んでいる。例えば、見出し領域112は、青色で色づけられている。補助情報領域115は、赤色で色づけられている。また、補助情報領域116は、紫色で色づけられている。すなわち、各領域に応じて色分けられている。この画面は、上記以外の領域を含んでいてもよい。
【0023】
図2に示す評価対象画面において、補助情報領域115は「禁止」を伝える文章を文字列で表示している領域である。すなわち、補助情報領域115は、「禁止」を意味する情報を表示する領域である。領域に関連付けされた情報は、その領域に存在する情報だけではなく、補助情報領域とそれに関連したラベル領域などの情報を含んでいる。
【0024】
図3は、第1の実施形態における領域情報テーブルの一例を示す図である。
図3は、第1の実施形態だけでなく、第2乃至5の実施形態における領域情報テーブルの一例を示す図でもある。領域情報テーブルT2は、画像に存在する各小領域に関する情報を、小領域を区別する識別子と、その位置座標と、その高さと、その幅と、その色を表す表記(以降、「色情報」と略記する。ここでは、さらに符号をつけて「色情報I3」と表記する。)と、そこに関連付けされた表示情報の意味を表す文字列等とを関連付けして、格納している。
【0025】
図2及び
図3を参照しながら、分割部102と取得部103との動作を説明する。以下の説明においては、評価対象画面情報I1は、HTMLを使って記述していると仮定するが、分割部102と取得部103とは、HTML以外の言語であっても、また、画像を使って記述していても、同様の動作をするため、以下では説明を省略する。
【0026】
分割部102は、画面を、少なくとも1つ以上の小領域に分割する。例えば、画面がHTMLを使って記述されている場合には、分割部102は、タグスコープを解析し、上記のような小領域に分ける。
【0027】
次に、取得部103は、各小領域の色情報I3を取得する。取得部103は、カスケーディングスタイルシート(Cascading Style Sheets、以下、CSSと記すことがある)などを参照して、その小領域の色情報I3と、位置座標と、高さと、幅と、小領域の属性などを取得する。なお、取得部103は、小領域内の色が均一でないと判定した場合には、その中央値などをその小領域の色として取得してもよい。
【0028】
次に、取得部103は、分割部102が分割した各小領域において、文字列を取得する。文字列の取得方法は、Optical Character Reader(以降、「OCR」と略記する)であってもよいし、文字列として読み取ってもよい。そして、取得部103は、評価対象としている1つの小領域について、取得した文字列と、取得部103が取得した、色情報I3と、位置座標と、高さと、幅と、小領域の属性などを関連付けて、領域情報テーブルT2に、領域情報テーブルT2の行として、追加する。
【0029】
取得部103は、上記の処理を、分割部102が作成したすべての小領域について行っても良い。また、取得部103は、上記の処理を、文字列を取得することのできる小領域について行っても良い。それにより、取得部103は、分割部102が分割した小領域に対する、領域情報テーブルT2の行を作成する。
【0030】
次に、取り出し部104は、各小領域について、領域情報テーブルT2から色情報を取り出す。そして、取り出し部104は、その取り出した色情報と、あらかじめ関連付けられた色彩イメージを表す文字列を取り出す。ここで、色彩イメージを表す文字列は、色情報と、その色情報についての色彩イメージを表す文字列と、が関連付けされたテーブル(図示しない)や、そのようなテーブルを少なくとも1種類以上記憶するデータベース(図示しない)に記憶されていても良い。取り出し部104は、そのテーブルまたはデータベースを参照することにより、取り出した色情報と、あらかじめ関連付けられた色彩イメージを表す文字列を取り出すことができる。取り出す文字列は複数であっても良い。即ち、取り出し部104は、上記のように取り出した情報と同じ色情報をもつデータを、テーブルから探し、それに関連付けされた文字列を読み出す。次に、取り出し部104は、各小領域について、関連する領域情報テーブルT2の行と、取り出した文字列とを関連付けし、それを組にして、諸元情報テーブルT3の行を作成する(
図4)。ここで、
図4は、第1の実施形態における諸元情報テーブルの一例を示す図である。
図4の例では、取り出し部104が、取り出した文字列を色彩イメージとして領域情報テーブルT2の行と関連付け、諸元情報テーブルT3の行を作成している。
図4は、第1の実施形態だけでなく、第2乃至5の実施形態における諸元情報テーブルの一例を示す図でもある。
【0031】
次に、評価部105は、諸元情報テーブルT3の中から1行を取り出す。テーブルにおける各行は、お互いに関連付けられていることを表している。これは他の部分の説明においても、テーブルの種類によらず、同様である。評価部105は、取り出した1行について、その表示情報の意味を表す文字列と、その色彩イメージとして関連づけられた文字列との比較を行う。色彩イメージとして関連づけられた文字列が複数である場合には、それらに含まれる文字列と、表示情報の意味を表す文字列との比較を行う。このように、色彩と関連付けされた文字列又は文字列群から、文字列を取り出すことを「色彩から連想する」と表現する。
【0032】
評価部105は、その結果、その色彩イメージとして関連づけられた文字列(以降、文字列が複数である場合も含む)の中に小領域の意味を表す文字列と一致する文字列があれば、小領域の色について、「配色に問題なし」と評価する。一方、評価部105は、その色彩イメージとして関連づけられた文字列群の中に小領域の意味を表す文字列と一致する文字列がなければ、小領域の色について、「配色に問題あり」と評価する。評価部105は、それら処理を諸元情報テーブルT3のすべての行について実施しても良い。
【0033】
図5は、第1の実施形態に係る色評価装置の処理に関するフローチャートである。
図5のフローチャートを参照しながら、第1の実施形態に係る色評価装置の動作について説明する。
【0034】
分割部102は、評価の対象である画面データを、小領域に分割する。次に、取得部103は、各小領域の色と文字列を抽出し、抽出した情報を関連付け、領域情報テーブルT2に登録する(ステップS101)。次に、取り出し部104は、外部のテーブル又はデータベースを参照し、諸元情報テーブルT3を作成する(ステップS102)。そして、取り出し部104は、その諸元情報テーブルT3と小領域に割り当てられている文字列とを、評価部105へ送信する。
【0035】
評価部105は、受信した諸元情報テーブルT3において、小領域に割り当てられている文字列と、その小領域に割り当てられている色に関連する色彩イメージとして関連付けられた文字列と、が一致しているか否かを調べる(ステップS103)。評価部105は、その結果、一致する文字列が含まれている場合には、「配色に問題なし」と評価し(ステップS104)、一方、評価部105は、一致する文字列が含まれていない場合には、「配色に問題あり」と評価する(ステップS105)。
【0036】
第1の実施形態に係る色評価装置は、評価対象画面の各小領域に割りあてられた色の色彩イメージを表す文字列と、その小領域の情報を表す文字列とが、一致するか否かを調べ、配色とその小領域に含まれる意味との適切さを評価している。
【0037】
即ち、第1の実施形態に係る色評価装置によれば、評価対象の画像における領域の配色と、その領域に含まれる意味との適切さを評価することが可能になる。
【0038】
なお、上記の説明においては、評価の基準となる地域の名称を示す評価基準地域名I2が1つである場合の例について説明を行った。しかしながら、評価基準地域名が、必ずしも1つである必要はない。色評価装置101を、入力として、評価基準地域名を受け取るよう構成することもできる。この場合、取得部103は、外部のテーブル又はデータベースから、評価基準地域名と関連付けられたテーブルを探し、そのテーブルを参照しながら、ステップS102に代表される、上記のような処理を行っても良い。この場合において、外部のテーブル又はデータベースには、色情報とその色情報についての色彩イメージを表す文字列とが関連付けされたテーブルが、評価基準地域名毎に格納されていても良い。この構成によれば、色評価装置101は、地域に応じた配色評価をすることが可能となる。
【0039】
<第2の実施形態>
次に、上述した第1の実施形態を基本とする第2の実施形態について説明する。以下の説明においては、本実施形態に係る特徴的な部分を中心に説明すると共に、上述した第1の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
【0040】
図6は、第2の実施形態に係る色評価装置の構成を示すブロック図である。
【0041】
図6を参照すると、第2の実施形態に係る色評価装置は、第1の実施形態に係る色評価装置の構成に加え、取り出し部104の代わりに、取り出し部106と記憶部127とを更に備える。
【0042】
記憶部127は、色彩イメージデータベース107を記憶している。色彩イメージデータベース107は、色情報と、その色情報で表現される色を人間が見たときに感じるイメージ(色彩イメージ)を表す文字列とが関連付けされた色彩イメージテーブルT1(以降、単に、「色彩イメージテーブル」と略記する)を、少なくとも1つ以上持っている。その色彩イメージテーブルの構造は以下のようになっている。
【0043】
図7は、第2の実施形態における色彩イメージデータベース107が持つ情報の一例を示す図である。
図7は、第2の実施形態だけではなく、以降に説明する第3乃至5の実施形態における色彩イメージデータベース107が持つ情報の一例を示す図でもある。色彩イメージデータベース107は、少なくとも1つ以上の色彩イメージテーブルを持っている。その色彩イメージテーブルは、評価基準地域名と関連付けされていてもよい。この例では、色彩イメージデータベース107は、日本に関連付けされた色彩イメージテーブル108と、中国に関連付けされた色彩イメージテーブル109を持っている。色彩イメージテーブル108を使って以降の説明を行う。以降の説明は、色彩イメージテーブル108に限定されるものではなく、これ以外の色彩イメージテーブルであってもよい。
【0044】
色彩イメージテーブル108は、色名と、その色に対応する16進数を使った表記(以降、「16進表記」と略記する)と、Hue・Lightness・Saturation値(以降、「HLS値」と略記する)と、色彩イメージを表現する言葉等とが関連付けられている。色彩イメージを表現する言葉は文字列であっても良い。色彩イメージテーブル108は、上記以外の値と関連付けられていてもよいし、ここに例示した全ての項目と、必ずしも関連付いていなくてもよい。例えば、色を数値で表したものには、Red,Green,Blue(以降、「RGB」と略記する)値、HLS値、16進表記などの様々な表現があり、色彩イメージテーブル108は、これらの表現を含んでいてもよい。
【0045】
色彩イメージテーブル108は、入力された評価対象色がどの表記であっても対応できるように、少なくとも1種類以上の表記方法に従った表現を記憶している。色彩イメージテーブル108に存在する色彩イメージを表す文字列は、多くの人が色を見たときに感じるイメージを文字列にて表現し、それを集約したものである。
【0046】
例えば、16進表記で#FF0000の色(すなわち赤色)は、日本近辺では、「情熱、禁止、強引、革命、…」などを意味しており、中国近辺では「禁止、結婚式、花嫁衣装、…」などを意味している。色彩イメージは、地域に応じて異なるため、色彩イメージデータベース107は、評価基準地域名に関連付けされた色彩イメージテーブル108を、少なくとも1種類以上、持つこともできる。
【0047】
取り出し部106は、各小領域について、その領域情報テーブルT2から色情報を取り出し、その取り出した色情報と、記憶部127における色彩イメージテーブル108にある色情報とを比較する。そして、取り出し部106は、色彩イメージテーブル108から、小領域の色情報と関連付いた、色彩イメージを表す文字列を取り出す。次に、取り出し部106は、各小領域について、関連する領域情報テーブルT2の行と、取り出した文字列とを関連付け、それを組にして、諸元情報テーブルT3に登録する(
図4)。
【0048】
上記の説明においては、評価基準地域名が1つである場合の例について説明を行ったが、必ずしも1つである必要はない。色評価装置126が評価基準地域名を受け取った場合に、取得部103は、記憶部127から、その地域名に関連する色彩イメージテーブル108を取り出した後、上記のような処理を行う。
【0049】
次に、上述した第1の実施形態を基本とする第2の実施形態に係る処理に関するフローチャートについて説明する。以下の説明においては、本実施形態における
図8のステップS602を中心に説明する。上述した第1の実施形態と同様な処理のフローチャートについては、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
【0050】
図8は、第2の実施形態に係る色評価装置の処理に関するフローチャートである。
図8のフローチャートを参照しながら、第2の実施形態に係る色評価装置の動作について説明する。
【0051】
取り出し部106は、記憶部127の中から、受けとった評価基準地域名と関連付けられた色彩イメージテーブル108を探し、上述のように諸元情報テーブルT3を作成する(ステップS602)。そして、取り出し部106は、その諸元情報テーブルT3と、小領域の情報を表す文字列とを評価部105へ送信する。
【0052】
第2の実施形態に係る色評価装置は、評価対象画面の各小領域に割りあてられた色と関連付けされた色彩イメージを表す文字列と、その小領域の情報を表す文字列とが、一致するか否かを調べ、配色とその小領域に含まれる意味との適切を評価している。
【0053】
即ち、第2の実施形態に係る色評価装置によれば、評価対象の画像における領域の配色と、その領域に含まれる意味との適切さを評価することが可能になる。加えて、第2の実施形態に係る色評価装置によれば、地域に応じた配色評価をすることが可能となる。
【0054】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。以下の説明においては、上述した第1の実施形態と本実施形態との差異を中心に説明する。上述した第1の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
【0055】
図9は、第3の実施形態に係る色評価装置の構成を示すブロック図である。
【0056】
図9を参照すると、第3の実施形態に係る色評価装置119は、分割部102、取得部103と、取り出し部104と、意味的類似度算出部120と、一致性評価部121とを備える。
【0057】
図10は、第3の実施形態における意味的類似度テーブルT4の一例である。意味的類似度テーブルT4は、領域情報I4と、領域の表示情報の意味S2(以降、小「領域の表示情報の意味を表す文字列」と表す)と、小領域の色彩イメージを表す文字列と、算出した意味的類似度とを関連付けている。ここで、領域情報I4として、各小領域の位置座標、高さ、幅、領域の色を含む情報を用いることができる。意味的類似度テーブルT4は、ここに例示した項目に限定されるものではない。
【0058】
意味的類似度算出部120は、諸元情報テーブルT3の中から1行を取り出す。意味的類似度算出部120は、取り出した1行において、表示情報の意味を表す文字列と、その色彩イメージを表す文字列との類似度を計算する。
【0059】
意味的類似度の計算方法の一例として、潜在意味解析(LSA:Latent Semantic Analysis)が挙げられる。LSAにおいては、小領域の表示情報の意味を表す文字列と、色彩イメージ文字列S1(以降、「色彩イメージを表す文字列」と表す)をそれぞれ意味空間内のベクトルとして表す。次に、LSAは、これらのベクトルが成す角の余弦を計算し、その結果を、小領域の表示情報の意味を表す文字列と、領域の色彩イメージを表す文字列間の意味的類似度とする。意味的類似度の値は、文字列間の類似度が高いほど高い値になる。第3の実施形態における意味的類似度の計算方法は、LSAに限られるものではなく、他の計算手法により計算を行ってもよい。
【0060】
意味的類似度算出部120は、諸元情報テーブルT3から取り出した1行と、上記で行った類似度の結果を対応させて一組にし、それを諸元情報テーブルT3のすべての行について行う。次に、意味的類似度算出部120は、諸元情報テーブルT3のすべての行について類似度を計算した結果、得られたすべての組を、意味的類似度テーブルT4に記憶する。
【0061】
一致性評価部121は、意味的類似度テーブルT4を受け取り、計算した類似度が所定の閾値以上であれば、「配色に問題なし」と評価し、計算した類似度が所定の閾値未満であれば、「配色に問題あり」と評価する。
【0062】
次に、第3の実施形態に係る色評価装置の動作について、
図11のフローチャートを参照して説明する。
図11は、第3の実施形態に係る色評価装置が行う処理に関するフローチャートである。以下の説明においては、本実施形態に係る特徴的な部分を中心に説明すると共に、上述した第1の実施形態と同様な処理については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
【0063】
意味的類似度算出部120は、諸元情報テーブルT3の中から1行を取り出す。意味的類似度算出部120は、取り出した1行について、その表示情報の意味を表す文字列とその色彩イメージを表す文字列との類似度を計算する。次に、意味的類似度算出部120は、諸元情報テーブルT3から取り出した1行と、上記で計算した類似度とを関連付け、その関連付けによって構成された当該1行と類似度とがなす組(ペア)を、意味的類似度テーブルT4に登録する。意味的類似度算出部120は、このような組の生成を、諸元情報テーブルT3のすべての行について行う(ステップS203)。
【0064】
一致性評価部121は、意味的類似度テーブルT4を受け取り、計算した類似度が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS204)。計算した類似度が所定の閾値以上であれば、「配色に問題なし」と評価し(ステップS205)、計算した類似度が所定の閾値未満であれば、「配色に問題あり」と評価する(ステップS206)。
【0065】
第3の実施形態に係る色評価装置は、評価対象画面の各小領域に割りあてられた色と関連付けられた色彩イメージを表す文字列と、その小領域に関連付けされた文字列との類似度を計算し、その結果値が所定の閾値以上が否かを調べ、その結果に応じて、配色とその小領域に含まれる意味との適切さを評価している。
【0066】
即ち、第3の実施形態に係る色評価装置によれば、評価対象の画像における領域の配色と、その領域に含まれる意味との適切さを評価することが可能になる。
【0067】
第3の実施形態に係る色評価装置は、領域に存在する表示情報の意味を表す文字列と、その領域の色彩イメージを表す文字列との意味的類似度を算出することで、類似度を連続値に計算している。従って、第3の実施形態に係る色評価装置によれば、評価対象画面上の各小領域に割り当てられた色を見て感じる色彩イメージと、小領域に表示する情報の意味との類似度を知ることができる。
【0068】
上記説明においては、第3の実施形態に係る色評価装置は、第1の実施形態を基本とするものとした。第3の実施形態に係る色評価装置は、第2の実施形態のように、記憶部127から色彩イメージデータベース107を取得してもよい。その場合であっても、第3の実施形態に係る色評価装置によれば、上記と同様の効果を全て得ることができる。
【0069】
<第4の実施形態>
次に、上述した第1の実施形態を基本とする第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、上述した第2の実施形態を基本とすることもできる。以下の説明においては、本実施形態と第1の実施形態との差異を中心に説明する。上述した第1の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
【0070】
図12は、第4の実施形態に係る色評価装置の構成を示すブロック図である。
図12を参照すると、第4の実施形態における色評価装置122の構成のうち、上述した第1の実施形態との相違点は、さらに、色推薦部123を備えている点である。
【0071】
色推薦部123は、評価部105が「配色に問題あり」と評価した場合、色彩データベースに存在する、色彩イメージテーブルのすべての色彩イメージを表す文字列群の中に、領域の表示情報の意味を表す文字列と一致する文字列があるか否かを検査する。次に、色推薦部123は、一致する文字列がある場合には、それと関連した色情報を取得し、一致する文字列がない場合には、「推薦色なし」を示す情報を生成する。そのようにして、色推薦部123は、その領域にふさわしい色を選ぶ。上記説明においては、色推薦部123は、文字列が一致するか否かを基準としたが、類似度を基準にしても同様の処理を行うことができる。
【0072】
類似度を基準にする場合、例えば、色推薦部123は、LSAなどの手法を使って、色彩イメージを表す文字列群における各文字列と、領域の表示情報の意味を表す文字列との類似度を計算する。次に、色推薦部123は、計算した類似度が最大の文字列に関連付けされた色情報を取得する。そのようにして、色推薦部123は、その領域にふさわしい色を選ぶ。
【0073】
次に、第4の実施形態に係る色評価装置の動作について
図13のフローチャートを参照して説明する。以下の説明においては、本実施形態に係る特徴的な部分を中心に説明すると共に、上述した第1の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
図13は、第4の実施形態に係る色評価装置が行う処理に関するフローチャートを表している。
【0074】
図13を参照すると、色推薦部123は、評価部105が問題ありを示す判定結果情報を生成する場合(ステップS303にてNOと判定)、色彩データベースに存在する、色彩イメージテーブルのすべての色彩イメージを表す文字列の中に、小領域の表示情報の意味を表す文字列と、一致する文字列があるか否かを調べる(ステップS305)。次に、色推薦部123は、一致する文字列がある場合には、それと組になった色情報を取得し、一致する文字列がない場合には、「推薦色なし」を示す情報を生成する。そのようにして、色推薦部123は、その領域にふさわしい色である推薦色を選定する(ステップS306)。上記説明においては、色推薦部123は、文字列が一致するか否かを基準としたが、第3の実施形態に係る色評価装置のように類似度を使っても同様の処理を行うことができる。
【0075】
即ち、第4の実施形態に係る色評価装置によれば、評価対象の画像における領域の配色と、その領域に含まれる意味との適切さを評価することが可能になる。
【0076】
さらに、第4の実施形態に係る色評価装置によれば、上記の効果に加え、評価対象画面上の各小領域に割り当てられた色を見て感じる色彩イメージと、その小領域に表示する情報の意味との一致度を知ることができる。
【0077】
さらに、第4の実施形態に係る色評価装置によれば、上記第3の実施形態に係る効果に加え、領域における配色が不適切な場合には、その領域に関連付けされた文字列が表す意味に適合した色を、表示装置(図示せず)を用いてユーザに提示する。
【0078】
上記説明においては、第4の実施形態に係る色評価装置は、第1の実施形態を基本とするものとした。第4の実施形態に係る色評価装置は、第2の実施形態のように、記憶部127から色彩イメージデータベース107を取得してもよい。その場合であっても、第4の実施形態に係る色評価装置によれば、上記と同様の効果を全て得ることができる。
【0079】
<第5の実施形態>
次に、上述した第3の実施形態を基本とする第5の実施形態について説明する。以下の説明においては、本実施形態と第3の実施形態との差異を中心に説明する。上述した第3の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
【0080】
図14は、第5の実施形態に係る色評価装置の構成を示すブロック図である。
【0081】
図14を参照すると、第5の実施形態に係る色評価装置124は、第3の実施形態に係る色評価装置の構成に加え、さらに、色彩イメージ学習部125を備える。
【0082】
一致性評価部121が、小領域の意味を表す文字列と小領域の色彩イメージを表す文字列とが一致すると判定した場合、色彩イメージ学習部125は、その文字列を、色彩イメージテーブルにおける、文字列が存在する小領域の色と同じ値を持つ色に関連付けられた、色彩イメージを表す文字列に追加する。そのようにすることで、第5の実施形態に係る色評価装置は、色彩イメージを表す文字列の種類を増やすことができる。
【0083】
次に、第5の実施形態に係る色評価装置が行う処理のフローについて説明する。以下の説明においては、本実施形態に係る特徴的な部分を中心に説明すると共に、上述した第3の実施形態と同様な処理については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
【0084】
第5の実施形態に係る色評価装置の動作について、
図15のフローチャートを参照して説明する。
図15は、第5の実施形態に係る色評価装置が行う処理に関するフローチャートである。
【0085】
一致性評価部121が、計算した類似度が所定の閾値以上であると判定した場合、色彩イメージ学習部125は、小領域の意味を表す文字列を、色彩イメージテーブルにおける、文字列が存在する小領域の色と同じ値を持つ行の、色彩イメージを表す文字列に追加する(ステップS407)。
【0086】
第5の実施形態に係る色評価装置は、評価対象画面の各小領域に割りあてられた色の色彩イメージを表す文字と、その小領域の意味を表す文字列との類似度を計算し、その結果値が、所定の閾値以上か否かを調べ、配色とその小領域に含まれる意味との適切さを評価している。
【0087】
即ち、第5の実施形態に係る色評価装置によれば、評価対象の画像における領域の配色と、その領域に含まれる意味との適切さを評価することが可能になる。
【0088】
第5の実施形態に係る色評価装置は、領域に関連付けされた表示情報が伝える意味を表す文字列と、その領域の色彩イメージを表す文字列との意味的類似度を算出することで、類似度を連続値に表現している。すなわち、第5の実施形態に係る色評価装置によれば、上記第4の実施形態に係る効果に加え、評価対象画面上の各領域に割り当てられた色を見て感じる色彩イメージと、その領域に表示する情報の意味との類似度を知ることができる。
【0089】
さらに、第5の実施形態に係る色評価装置は、領域に関連付けされた表示情報が伝える意味を表す文字列と、色彩イメージテーブルにおける色彩イメージを表す文字列との一致性を判定する。その結果が一致する場合には、第5の実施形態に係る色評価装置は、その領域の意味を表す文字列を、色彩イメージテーブルに追加する。そのため、第5の実施形態に係る色評価装置は、色評価を行うごとに、色彩イメージテーブルを最新の状態に保つことが可能になる。すなわち、第5の実施形態に係る色評価装置は、評価のたびに、色彩イメージを学習することができるため、より一層正確に色を評価できるようになる。
【0090】
上記説明においては、第5の実施形態に係る色評価装置は、第3の実施形態を基本とするものとした。第5の実施形態に係る色評価装置は、第2の実施形態のように、記憶部127から色彩イメージデータベース107を取得してもよい。その場合であっても、第5の実施形態に係る色評価装置によれば、上記と同様の効果を全て得ることができる。
【0091】
(ハードウェア構成例)
図16は実施形態に係る色評価装置を実現可能な計算処理装置のハードウェア構成を、概略的に示す図である。
【0092】
次に、上述した各実施形態における色評価装置を、1つの計算処理装置(情報処理装置、コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。但し、係る色評価装置は、物理的または機能的に少なくとも2種類の計算処理装置を用いて実現してもよい。また、係る色評価装置は、専用の装置として実現してもよい。
【0093】
図16は、第1乃至第5の実施形態に係る色評価装置を実現可能な計算処理装置のハードウェア構成を概略的に示す図である。計算処理装置133は、CPU(Central Processing Unit)128、メモリ129、ディスク130、出力装置131、および入力装置132を有する。
【0094】
即ち、CPU128は、ディスク130が記憶しているソフトウェア・プログラム(コンピュータ・プログラム):以下、単にプログラムと称する)を、実行時にメモリ129にコピーし、演算処理を実行する。CPU128は、プログラム実行に必要なデータをメモリ129から読み込む。表示が必要な場合には、CPU128は、出力装置131に出力結果を表示する。外部からプログラムを入力する場合、CPU128は、入力装置132からプログラムを読み取る。CPU128は、メモリ129にある色評価プログラムを解釈して実行する。CPU128は、上述した各実施形態において参照したフローチャート(
図5、
図8、
図11、
図13、
図15)に応じた処理を順次行う。
【0095】
以上実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
尚、前述の各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0096】
(付記1)
入力画像の部分領域を特定する部分画像特定部と、前記部分領域に含まれる色を特定する色情報と、前記部分領域に含まれる第1文字列を取得する情報取得部と、前記色情報と予め関連付けられた第2文字列を取り出す第1取出部と、前記第1文字列と前記第2文字列とを比較した結果に応じて前記色情報の適切さを評価する評価部とを備える色評価装置。
【0097】
(付記2)
前記色情報毎に予め関連付けられた前記第2文字列を記憶する第1記憶部を更に備え、前記第1取出部は、前記第1記憶部から、前記情報取得部が取得した前記色情報に関連付けられた前記第2文字列を取り出す付記1に記載の色評価装置。
【0098】
(付記3)
前記評価部は、前記第1文字列と前記第2文字列との類似度が閾値以上であるか否かに応じて、前記色情報の適切さを評価する付記2に記載の色評価装置。
【0099】
(付記4)
前記評価部が前記部分領域に係る前記色情報を適切でないと評価した場合に、前記第1記憶部が記憶する前記第2文字列の一覧から前記第1文字列を検索し、検索された前記第2文字列に予め関連付けられた前記色情報を、前記部分領域に対応する適切な前記色情報として出力する色推薦部を更に備える、付記2または付記3記載の色評価装置。
【0100】
(付記5)
前記評価部が前記部分領域に係る前記色情報を適切でないと評価した場合に、前記第1文字列と、前記第1記憶部が記憶する、当該色情報以外の前記色情報に予め関連付けられた前記第2文字列との類似度を計算し、当該類似度が閾値以上であるか否かに応じて、前記第2文字列に予め関連付けられた前記色情報を、前記部分領域に対応する適切な前記色情報として出力する色推薦部を更に備える、付記3に記載の色評価装置。
【0101】
(付記6)
前記部分領域に係る前記色情報を適切であると前記評価部が評価した場合に、前記部分領域に関連付けられた前記第1文字列を、前記第1記憶部が記憶する前記部分領域に係る前記色情報に関連付けられた前記第2文字列の一覧に追加する、付記3乃至付記5のいずれか1項記載の色評価装置。
【0102】
(付記7)
前記色情報と前記第2文字列との関連を示すテーブルを、評価基準地域名に関連付けて記憶する第2記憶部を前記第1記憶部の代わりに備え、前記第2記憶部の中から、所定の評価基準地域名と関連付けられた前記テーブルを探し、当該テーブルにおいて、前記部分領域と関連付けられた前記第2文字列を取り出す第2取出部を、前記第1取出部の代わりに備える、付記2乃至付記6のいずれか1項記載の色評価装置。
【0103】
(付記8)
前記部分画像特定部は、タグスコープの解析若しくは画像処理、又はタグスコープの解析及び画像処理の両方に基づいて前記部分領域を特定し、前記第1文字列は、当該第1文字列に関連付けられた前記部分領域の意味を表す文字列であり、前記第2文字列は、当該第2文字列に関連付けられた前記色情報によって表される色彩から連想される単語である、付記1乃至付記7のいずれか1項記載の色評価装置。
【0104】
(付記9)
入力画像の部分領域を特定し、前記部分領域に含まれる色を特定する色情報と、前記部分領域に含まれる第1文字列を取得し、前記色情報と予め関連付けられた第2文字列を取り出し、前記第1文字列と前記第2文字列とを比較した結果に応じて前記色情報の適切さを評価する色評価方法。
【0105】
(付記10)
入力画像の部分領域を特定する特定機能と、前記部分領域に含まれる色を特定する色情報と、前記部分領域に含まれる第1文字列を取得する取得機能と、前記色情報と予め関連付けられた第2文字列を取り出す取出機能と、前記第1文字列と前記第2文字列とを比較した結果に応じて前記色情報の適切さを評価する評価機能とをコンピュータに実現させるコンピュータ・プログラム。
【0106】
この出願は、2012年3月29日に出願された日本出願特願2012−077563を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。