【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明装置(
図1)では、外径が約160mmの二個の円柱に形成された凹凸一組の斜面で圧力室10が構成されており、この一部が切り欠かれてノズル1が形成されている。すなわち、モータファン3収納容器の外壁に、約8度の凸斜面8が形成され、この対向面に、外周の一部がノズル1用に切欠かれた、約15度の凹斜面9を持つ蓋(
図2)が固定されている。
【0013】
蓋(
図2)の形状は、両端13a、13b間の水平距離は約130mm、凹凸の間隔はノズルの出口で約2mm、斜面の長さは約30mmである。即ち、ノズル1からは良く絞られ、減衰の少ない100m/秒以上の空気流が噴出される。
【0014】
ノズル1の凹凸斜面9,8は全周にわたって作られているので、この空間が圧力室(アキュームレータ)10の役割をして、モータファン3からの空気圧を安定化させる。従って、ノズル1から噴出される空気流は安定で、乱流の発生は防止されている。
【0015】
本発明装置(
図1)では、ノズル1からより高速の空気を噴出させるために、風量は少ないが、より高い風圧を発生出来る二枚羽根を持つターボファンなどのモータファン3が採用される。また、この整流子モータの巻線の線径はやや細く、鉄心には熱間圧延珪素鋼板が使用される。これらは電気的損失が多少多いが、製造原価が安いうえ、次に述べる温風の発生や、突入電流抑制の効果がある。
【0016】
一般に、この種装置では装置内を流通する空気で、モータファン3の巻線や鉄心が空冷される。本発明装置(
図1)では、流通する空気の流量は少ないので、ノズル1から出る空気流の温度は、これらの損失熱を吸収して、室温より約15℃上昇している。即ち、加熱素子22が無くても、必要な温風が得られる。
【0017】
本発明装置(
図1)では、カバ12はノズル前方に位置する部分が大きく切り欠かれており、外気取入口2は、このカバ12と蓋
図2との間の空間に形成されている。この外気取入口2は、ノズル1の前方に位置するので、手の平から脱水された水分は装置内部には取り込まれない。従って、現行装置図(4)に組み込まれている空気抵抗の大きな水分濾過フィルタ25は不要である。
【0018】
本発明装置(
図1)では、カバ12はノズル1の上部で、外気取込口2として、大きく切り欠かれているので、見通しが良く、手の平を自然な形で、円柱の一部に作られたノズル1を囲む形で接近させる事が出来る。すなわち、手の平全体はノズル1と同心円状に配置されるので、手の平全体の想定位置はノズル1により近く、空気流の減速が、より少ない位置で脱水が行われる。なお、手の甲側は油脂質なので、ここに付着した水分は、ノズル1から多少離れていても、容易に脱水される。
【0019】
上記のように、本発明装置(
図1)では、現行装置(
図4)の加熱素子22および水分濾過フィルタ25は不要、手の平の想定位置はノズル1により近いので、モータファンの消費電力は約400W以下と半減されている。この場合、例えばモータの突入電流抑制回路は省略できる。即ち、本発明装置(
図1)の消費電力は半減されているので、突入電流も少ない上、モータ巻線は細く設定されているので、電気抵抗が大きく、鉄心はB−H曲線が緩やかな熱間圧延珪素鋼板が使用されている。これらは突入電流抑制に効果がある。このように、本発明装置では制御回路の一部は省略され、あるいは小型化されるので、外気取込口2から、モータファン吸入口6に至る空間に、空気通路のスペースが確保された。
【0020】
次に、外気取入口2から取り込まれた空気を、装置吸入口4に導くために、
図3に示すように、ファンモータ3を収納する容器の両側面にリブ16a、16bが取り付けられている。これにより外気取入口2以外からの空気は遮断される。従って、水分を含まない空気だけが、装置内部に吸込まれる。
【0021】
本発明装置(
図1)ではノズル1の外周は円筒状で、蓋(
図2)の凹斜面9の傾斜は約15度である。この場合、ノズル1を出た空気流の水平断面の形状は、例えば、拡げた傘の張り紙の一部のような形で噴出されるので、空気流は、手の平から脱水された水滴を囲むようにして下方へ流れる。従って、装置の両側方向に散らされる水滴は少ない。これはまた、装置の横幅を小さくすることが出来ることを意味する。
【0022】
なお極寒地などでの使用のためには、本発明による装置
図1のモータファン吸込口6の周辺に、平板状発熱素子15を貼り付けることが出来る。この平板状発熱素子15の表面積は広いため、現行装置(
図4)のノズル21内部に組込まれたPTCなどの発熱素子22のように、高温にする必要は無く、安全性が高いうえ、ノズル1からの空気流に乱流などの悪影響を与えることはない。