(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044897
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】滴下式包装構造体および滴下式包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20161206BHJP
B65D 33/02 20060101ALI20161206BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20161206BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20161206BHJP
B65D 47/18 20060101ALI20161206BHJP
B65D 33/36 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
B65D83/00 G
B65D33/02
B65D33/00 C
B65D77/04 F
B65D47/18
B65D33/36
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-179137(P2013-179137)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-48084(P2015-48084A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年5月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307028493
【氏名又は名称】株式会社悠心
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二瀬 克規
【審査官】
種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−081983(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/132791(WO,A1)
【文献】
国際公開第2009/078196(WO,A1)
【文献】
特開2003−237838(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3054965(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 33/00
B65D 33/02
B65D 33/36
B65D 47/18
B65D 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装用積層フィルムからなるフレキシブルな包装袋本体の上端部に、中央部分に先細り注出通路を有するフィルム状注出ノズルを突設してなる包装袋内に、液状の被包装物を充填包装した滴下式包装体と、該包装体を収納保持するための弾性枠部材とで構成され、該弾性枠部材とともに傾動もしくは反転させることによって、前記包装体内に充填された液状被包装物を、該フィルム状注出ノズルの先細り注出通路を通して注出させる滴下式包装構造体であって、
前記包装袋は、フィルム状注出ノズルの基端部分外表面を、包装袋本体の内表面に融着接合させることにより形成されてなり、かつその包装袋本体の上方に延在して突設させたフィルム状注出ノズルの表・裏両面を覆う上部切り離し袋が、該包装袋本体上端部から延在して切り離し可能に設けられてなると共に、
前記フィルム状注出ノズルの先端部分が、前記上部切り離し袋の内表面に融着接合されて、その先端開口予定位置に設けられた引裂き誘導疵に沿って、該上部切り離し袋の切り離しと共に引裂き開封可能に構成されたものであり、
前記弾性枠部材は、包装袋本体と対応して位置する押圧力作用部と、前記先細り注出通路に対応して位置し、該注出通路の両側部で相互に当接する支点部と、前記先細り注出通路に形成される先端開口に対応して位置する開閉作動部と、を具え、かつ、前記開閉作動部が、前記押圧力作用部への押圧力の作用によって前記先端開口を開放する一方、該押圧力の解放によって該先端開口を密閉する機能を有することを特徴とする滴下式包装構造体。
【請求項2】
前記フィルム状注出ノズルは、相互に重なり合う表裏の軟質積層フィルムを、基端辺を除く周縁部分で融着接合することによって形成されてなり、包装袋本体内の液状被包装物の注出を、該包装袋本体の傾動または反転下で、液状被包装物の水頭圧によって内表面どうしを離隔して前記先端開口を開放させると共に、前記包装袋本体が液状被包装物の注出量に応じて収縮変形することで包装袋内に外気を取り込むことなく行う一方、
液状被包装物の注出の停止と同時に包装袋を起立復帰することで、被包装物の水頭圧の作用から解放されることに加え、その液状被包装物の薄膜が残存することで濡れた内表面どうしが、前記包装袋本体の収縮変形に基づいて吸着し、前記先端開口を自動的に封止するセルフシール逆止機能を具えるものであることを特徴とする請求項1に記載の滴下式包装構造体。
【請求項3】
前記支点部間の、先細り注出通路に重なる一以上の領域に、フィルム状注出ノズルの外表面に接する流量調整突起を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の滴下式包装構造体。
【請求項4】
前記開閉作動部は、前記先端開口を挟んで位置し、該先端開口の開閉を司る一対の開閉突起を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の滴下式包装構造体。
【請求項5】
前記開閉作動部の正面形状が、上方もしくは下方に凸となる湾曲形状もしくは三角山形状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の滴下式包装構造体。
【請求項6】
前記支点部間の、フィルム状注出ノズルが通過する範囲の正面形状が、上方および下方の少なくとも一方側へ窪む曲線形状からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の滴下式包装構造体。
【請求項7】
前記開閉突起は、前記弾性枠部材よりも軟質の弾性材料からなることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の滴下式包装構造体。
【請求項8】
前記弾性枠部材は、前記包装体の少なくとも両面を挟む板状体からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の滴下式包装構造体。
【請求項9】
前記弾性枠部材が、前記包装体を取り囲む箱状体からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の滴下式包装構造体。
【請求項10】
前記包装袋本体および弾性枠部材が、透明体からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の滴下式包装構造体。
【請求項11】
前記弾性枠部材の支点部から開閉作動部までの間を全体的に覆い、開閉作動部を、注出通路に形成される先端開口の密閉状態に保持するキャップを設けたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の滴下式包装構造体。
【請求項12】
前記キャップが、螺合キャップもしくは摩擦掛合キャップであることを特徴とする請求項11に記載の滴下式包装構造体。
【請求項13】
包装用積層フィルムからなるフレキシブルな包装袋本体の上端部に、中央部分に先細り注出通路を有するフィルム状注出ノズルを突設してなる包装袋内に、液状の被包装物が充填包装された滴下式包装体であって、
前記包装袋は、前記フィルム状注出ノズルの基端部分外表面を、包装袋本体の内表面に融着接合させることにより形成されてなり、かつ包装袋本体の上方に延在して突設させたフィルム状注出ノズルの表・裏両面を覆う上部切り離し袋が、該包装袋本体上端部から延在して切り離し可能に設けられてなると共に、
前記フィルム状注出ノズルの先端部分が、前記上部切り離し袋の内表面に融着接合されて、その先端開口予定位置に設けられた引裂き誘導疵に沿って、前記上部切り離し袋の切り離しと共に引裂き開封可能であることを特徴とする滴下式包装体。
【請求項14】
前記上部切り離し袋は、フィルム状注出ノズルの基端部と先端開口位置との間に幅方向に延びる引裂き誘導疵によって切り離されることを特徴とする請求項13に記載の滴下式包装体。
【請求項15】
前記フィルム状注出ノズルは、相互に重なり合う表裏の軟質積層フィルムを、基端辺を除く周縁部分で融着接合することによって形成されてなり、包装袋本体内の液状被包装物の注出を、該包装袋本体の傾動または反転下で、液状被包装物の水頭圧によって内表面どうしを離隔して前記先端開口を開放させると共に、前記包装袋本体が液状被包装物の注出量に応じて収縮変形することで包装袋内に外気を取り込むことなく行う一方、
液状被包装物の注出の停止と同時に包装袋を起立復帰することで、被包装物の水頭圧の作用から解放されることに加え、その液状被包装物の薄膜が残存することで濡れた内表面どうしが、前記包装袋本体の収縮変形に基づいて吸着し、前記先端開口を自動的に封止するセルフシール逆止機能を具えるものであることを特徴とする請求項13または14に記載の滴下式包装体。
【請求項16】
大気圧下で前記包装袋内に充填した液状被包装物の10%以下のガスが封入されていることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の滴下式包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、滴下式包装構造体および滴下式包装体に関するものであり、とくには、液状の被包装物を抜気状態で充填包装した包装袋内への外気の進入なしに被包装物を注出し、その外気による袋内被包装物の酸化、菌類汚損等のおそれを十分に取り除いた滴下式の包装構造体および包装体、なかでも各種の薬剤、化粧液、消毒液、液体洗剤その他を滴下等するに用いて好適な滴下式包装構造体および滴下式包装体を提案するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、複数回にわたって繰り返し滴下する点眼薬には、各種の防腐剤を添加することが一般的であったが、近年は、防腐剤による角膜上皮障害、アレルギーの発生、炎症、乾きの悪化その他が報告されるに至っていることから、防腐剤フリーの点眼薬容器が各種提案されている。
【0003】
それらの一例として、容器外の大気、ひ
いては大気中の異物や雑菌が容器内の点眼薬に混入するのを防止するため、特許文献1、2に記載されているように、点眼薬の注出通路にフィルターを設けたもの、特許文献3、4に記載されているようにスクイズ変形可能で復元自在な可撓性外層と、その外層から剥離可能で、減容自在な内層とを積層してなる容器本体内への、内容物の逆流および外気の流入を不能にする第1の逆止弁および、外層と内層との間への空気の流入は許容するも、それらの間からの空気の排出を不能とする第2の逆止弁を設けたものがある。
【0004】
そして特許文献5に記載された点眼容器は、点眼薬を充填包装されて、加圧下で圧潰変形されるスクイズボトルに、有底筒状の吐出部を螺合等させることで、点眼液を充填包装したスクイズボトルを閉止する薄膜に孔を穿設するとともに、スクイズボトルを押圧して圧潰変形させることで、弁体支持部に支持されている逆止弁を開口させて点眼液を滴下させる一方で、スクイズボトルの押圧力を解放することで、逆止弁の滴下口を閉止するものである。
【0005】
【特許文献1】特開2002−80055号公報
【特許文献2】特開2005−111094号公報
【特許文献3】特開2003−321038号公報
【特許文献4】特開2003−321074号公報
【特許文献5】特許第4615445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜5に記載されたこれらの従来技術では、滴下容器、なかでも点眼容器の、外気や異物の進入を阻止するための構成部品が多くなって、容器の構造が複雑になるため、容器コストの増加が否めないという問題があった。
【0007】
しかも、点眼薬の注出通路にフィルターを設ける、特許文献1、2に記載された容器では、フィルターに目詰まりが生じる他、フィルター内で菌類が繁殖する等の問題があった。
【0008】
また、第1および第2の逆止弁を用いて、外層と内層との間に入り込んだ空気を、圧縮変形させて点眼薬を滴下させる、特許文献3、4に記載された容器では、外層を押圧した後の空気の圧縮変形を解して点眼薬の滴下をもたらすことから、その滴下に到るまでのタイムラグが大きい他、その滴下のために大きな力が必要となり、これらのことは、内層内の点眼薬が少なくなって、内層の減容量が多くなった場合にとくに重大であった。
【0009】
そして、スクイズボトルを直接的に押圧することで、点眼薬を滴下させる特許文献5に記載された容器では、スクイズボトルを、外気の吸入なしに圧潰変形させることが難しく、点眼薬の滴下中に、逆止弁を経てスクイズボトル内に外気が進入するおそれが高く、また点眼薬の滴下によって圧潰変形されたスクイズボトル、ひいては滴下容器を自立させることが困難になるという問題があった。
【0010】
この発明は、特許文献1〜5に記載されたこれらの従来技術が抱える、上述したような問題点を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、部品点数を少なくするとともに、構造を簡単にして容器コストを十分低く抑えるとともに、大気や異物等の侵入を抑制し、点眼薬等の所期した通りの正確な滴下を担保できる滴下式包装構造体および滴下式包装体を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、包装用積層フィルムからなるフレキシブルな包装袋本体の
上端部に、中央部分に
先細り注出通路を有するフィルム状注出ノズル
を突設
してなる包装袋内に、液状の被包装物を充填包装した
滴下式包装体
と、該包装体を収納保持するための弾性枠部材
とで構成され、該弾性枠部材とともに傾動もしくは反転させることによって、
前記包装体内に充填された液状被包装物を、該フィルム状注出ノズルの先細り注出通路を通して注出させる滴下式包装構造体であって、
前記包装袋は、フィルム状注出ノズルの基端部分外表面を、包装袋本体の内表面に融着接合させることにより形成されてなり、かつその包装袋本体の上方に延在して突設させたフィルム状注出ノズルの表・裏両面を覆う上部切り離し袋が、該包装袋本体上端部から延在して切り離し可能に設けられてなると共に、前記フィルム状注出ノズルの先端部分が、前記上部切り離し袋の内表面に融着接合されて、その先端開口予定位置に設けられた引裂き誘導疵に沿って、該上部切り離し袋の切り離しと共に引裂き開封可能に構成されたものであり、前記弾性枠部材
は、包装袋本体と対応して位置する押圧力作用部と、前記先細り注出通路に対応して位置し、該注出通路の両側部で相互に当接する支点部と、前記先細り注出通路に形成される先端開口に対応して位置する開閉作動部と、を具え
、かつ、前記開閉作動部が、前記押圧力作用部への押圧力の作用によって前記先端開口を開放する一方、該押圧力の解放によって該先端開口を密閉する
機能を有することを特徴とする滴下式包装構造体を提案するものである。
【0012】
ここで、本発明の滴下式包装構造体の、より好ましい解決手段は、
(1)前記フィルム状注出ノズルは、相互に重なり合う表裏の軟質積層フィルムを、基端辺を除く周縁部分で融着接合することによって形成されてなり、包装袋本体内の液状被包装物の注出を、該包装袋本体の傾動または反転下で、液状被包装物の水頭圧によって内表面どうしを離隔して前記先端開口を開放させると共に、前記包装袋本体が液状被包装物の注出量に応じて収縮変形することで包装袋内に外気を取り込むことなく行う一方、液状被包装物の注出の停止と同時に包装袋を起立復帰することで、被包装物の水頭圧の作用から解放されることに加え、その液状被包装物の薄膜が残存することで濡れた内表面どうしが、前記包装袋本体の収縮変形に基づいて吸着し、前記先端開口を自動的に封止するセルフシール逆止機能を具えるものであること、
(2)前記支点部間の、先細り注出通路に重なる一以上の領域に、フィルム状注出ノズルの外表面に接する流量調整突起を設けたこと、
(3)前記開閉作動部は、前記先端開口を挟んで位置し、該先端開口の開閉を司る一対の開閉突起を有すること、
(4)前記開閉作動部の正面形状が、上方もしくは下方に凸となる湾曲形状もしくは三角山形状であること、
(5)前記支点部間の、フィルム状注出ノズルが通過する範囲の正面形状が、上方および下方の少なくとも一方側へ窪む曲線形状からなること、
(6)前記開閉突起は、前記弾性枠部材よりも軟質の弾性材料からなること、
(7)前記弾性枠部材は、前記包装体の少なくとも両面を挟む板状体からなること、
(8)前記弾性枠部材が、前記包装体を取り囲む箱状体からなること、
(9)前記包装袋本体および弾性枠部材が、透明体からなること、
(10)前記弾性枠部材の支点部から開閉作動部までの間を全体的に覆い、開閉作動部を、注出通路に形成される先端開口の密閉状態に保持するキャップを設けたこと、
(11)前記キャップが、螺合キャップもしくは摩擦掛合キャップであること、
である。
【0013】
また本発明は、包装用積層フィルムからなるフレキシブルな包装袋本体の上端部に、中央部分に先細り注出通路を有するフィルム状注出ノズルを突設してなる包装袋内に、液状の被包装物
が充填包装
された滴下式包装体であって、前記包装袋は、前記フィルム状注出ノズルの基端部分外表面を、包装袋本体の内表面に融着接合させることにより形成されてなり、かつ包装袋本体の上方に延在して突設させたフィルム状注出ノズルの表・裏両面を覆う上部切り離し袋
が、該包装袋本体上端部から延在して切り離し可能に設け
られてなると共に、前記フィルム状注出ノズルの先端部分が、前記上部切り離し袋の内表面に融着接合されて、その先端開口予定位置に設けられた引裂き誘導疵に沿って、前記上部切り離し袋の切り離しと共に引裂き開封可能であることを特徴とする滴下式包装体を提案するものである。
【0014】
なお、本発明の滴下式包装体の、より好ましい解決手段は、
(1)前記切り離し袋は、フィルム状注出ノズルの基端部と先端開口位置との間に幅方向に延びる引裂き誘導疵によって切り離されること、
(2)前記フィルム状注出ノズルは、相互に重なり合う表裏の軟質積層フィルムを、基端辺を除く周縁部分で融着接合することによって形成されてなり、包装袋本体内の液状被包装物の注出を、該包装袋本体の傾動または反転下で、液状被包装物の水頭圧によって内表面どうしを離隔して前記先端開口を開放させると共に、前記包装袋本体が液状被包装物の注出量に応じて収縮変形することで包装袋内に外気を取り込むことなく行う一方、液状被包装物の注出の停止と同時に包装袋を起立復帰することで、被包装物の水頭圧の作用から解放されることに加え、その液状被包装物の薄膜が残存することで濡れた内表面どうしが、前記包装袋本体の収縮変形に基づいて吸着し、前記先端開口を自動的に封止するセルフシール逆止機能を具えるものであること、
(3)大気圧下で前記包装袋内に充填した液状被包装物の10%以下のガスが封入されていること
、
である。
【発明の効果】
【0015】
この発明の滴下式包装構造体では、包装体内の液状の被包装物を、弾性枠部材のテコの原理に基づいて、自重によって自然流下等させることにより、包装体内の被包装物の残量の多少にかかわらず、大きな力の作用なしに、小さなタイムラグの下で、十分円滑に流下等させることができる。
しかも、包装体のフィルム状注出ノズルの先端開口は、滴下式包装構造体によって完全に密閉されており、包装体内の液状の被包装物の注出に当たって、滴下式包装構造体を傾動あるいは反転させた後、該滴下式包装構造体に押圧力を作用させるまでは開放されないため、包装体内への外気や異物等の進入を有効に防止することができる。
【0016】
とくに、フィルム状注出ノズルを、セルフシール機能を有する逆止注出ノズルとした場合には、フレキシブルな包装袋本体の収縮変形、潰れ変形等により、包装袋内へ外気を取り込むことがなく、また、注出の停止に当たっては、包装体を起立姿勢に復帰させたときのノズルのセルフシール機能によって、袋内被包装物に濡れた注出通路を、その被包装物の薄膜の介在下で自動的に直ちに密閉させることで、包装体内への外気の進入を有効に防止することができるので、袋内被包装物への防腐剤等の添加なしに、その被包装物を、酸化、菌類汚損等から長期間にわたって十分に保護することができる。
【0017】
また、この発明の滴下式包装構造体は、フィルム状注出ノズルを具える包装体と、この包装体を収納する弾性枠部材との少ない部品点数の下で、簡単な構造の安価なものとすることができる。
そして、この滴下式包装構造体では、フィルム状注出ノズルの注出通路にフィルターを設けるまでもなく、包装体内への外気の進入を十分に防止できるので、フィルターの目詰まり、フィルター内での菌類の繁殖等のおそれを除去することができる。
【0018】
しかも、この発明の滴下式包装構造体では、包装袋本体の潰れ変形した形態とは関係なしに、弾性枠部材およびキャップの作用下で、所要に応じた自立姿勢を容易に実現することができる。
【0019】
ここで、弾性枠部材を、それの形態のいかんにかかわらず、袋内被包装物を消尽した包装体に繰り返し使用できるようにしたときは、容器コストの一層の低減を図ることができる。
したがって、この発明によれば、少ない部品点数の下で、構造が簡単で安価であり、所期したとおりの正確な滴下等を担保できる容器を得ることができる。
【0020】
また、支点部間の、先細り注出通路に重なる一以上の領域に、フィルム状注出ノズルの外表面に接するように、好ましくはフィルム状注出ノズルを挟んで一対の流量調整突起を設けたときは、注出通路内への被包装物の流入を抑制することができると共に、とくに前記押圧力作用部へ押圧力を作用させた場合には、該流量調整突起が先細り注出通路を狭窄する方向に変位するため、滴下式包装構造体を反転等させた状態で、先端開口を開放させたとしても、被包装物の流下が抑制され、被包装物を適量だけ吐出させることができる。
なお、被包装物の先端開口からの吐出量は、前記流量調整突起の突出高さを調整したり、一対の流量調整突起の隙間を調整すること等によりコントロールすることができる。
【0021】
また、開閉作動部の正面形状を、上方もしくは下方に凸となる湾曲形状もしくは三角山形状とした場合は、注出通路の先端開口と対応して逆止注出ノズルの外表面に接触する開閉作動部の長さを、該正面形状を、直線状とするときより長くして、開閉作動部の、先端開口の密閉機能をより高めることができ、このことは、開閉作動部に、先端開口の開閉を司る一対の開閉突起を設けた場合により効果的である。
なお、前記開閉突起を、弾性枠部材より軟質の弾性材料、例えばゴム等の材料により形成した場合には、一対の開閉突起どうしの密着力が高くなり、小さな力の作用下で、上記効果を有効に発揮させることができる。
【0022】
また、支点部間の、逆止注出ノズルが通過する範囲の正面形状は、袋内被包装物の自重に基づく流下等を所要に応じてコントロールできる限りにおいて、適宜に選択できることはもちろんであるが、その正面形状を、上方もしくは下方の少なくとも一方側へ窪む曲線形状とした場合は、とくには、注出通路を所要に応じて狭窄できる利点がある。
【0023】
ところで、弾性枠部材を、前記包装体の両側を少なくとも挟む板状体にて構成したときは、該枠部材の成形等をより容易にして、容器コストを一層低減させることができる。
なお、弾性枠部材は、箱状体にて構成することもでき、これによれば、包装体の、弾性枠部材の側方への食み出しを防止して、包装体をより有効に保護することができる。
そしてこの後者の場合にあっても、スリット等の介在下で、箱状体を所要に応じて開閉できるようにすることで、包装体の交換を容易にすることができる。
【0024】
そして、包装袋本体および弾性枠部材をともに透明体にて形成したときは、袋内被包装物のいかんにかかわらず、包装体内の被包装物の残量を、目視にて容易に、かつ確実に確認することができ、前記キャップを螺合キャップ、もしくは摩擦掛合キャップとしたときは、簡単な構造のキャップによって先端開口の密閉保持を簡易に実現できる。
【0025】
また、本発明の滴下式包装体では、包装袋本体の上方へ突出するフィルム状注出ノズルを、包装袋本体に連続させて設けた包装用積層フィルムからなる上部切り離し袋によって表裏の両面側からカバーすることで、フィルム状注出ノズルの外部への露出が阻止されて、流通時や取り扱い時等にフィルム状注出ノズルに菌類や埃等が付着することがなく、使用開始まで衛生性および安全性を保つことができる。
また、フィルム状注出ノズルの先端部分を、滴下式包装体の前記上部切り離し袋の内表面に融着接合するとともに、ノズルの開口予定位置に引裂き誘導疵を設けた場合には、上部切り離し袋を切り取ると同時に、フィルム状注出ノズルも引裂き開封することができるため、フィルム状注出ノズルの先端部分(開口部分)に触れる必要がなく、衛生性を保つことができる。
【0026】
また、本発明の滴下式包装体では、外気の袋内への進入が抑制されるため、被包装物の注出に伴って包装袋本体の表裏の包装用積層フィルムが密着し、収縮していくが、包装体内に、大気圧下で袋内被包装物の充填量の10%以下の体積のガス、たとえば袋内被包装物が酸化等の反応を起こすおそれがあるか否かに応じて、不活性ガス、活性ガス等の所要のガスを封入した場合には、袋内被包装物の残量が少なくなったとしても、前記ガスが、包装袋本体の表裏の包装用積層フィルムの相互の密着力を緩和し、表面側の包装用積層フィルムと、裏面側の包装用積層フィルムとを大きく離隔変位させるとともに、袋内被包装物の注出に当って、前記封入ガスが、該ガスの占有スペース内への袋内被包装物の流入を誘導(置換)し、袋内被包装物の注出を円滑なものとすることができる。
したがって、フィルム状注出ノズルとして、セルフシール機能を有する逆止注出ノズルを用いたとしても、袋内被包装物の全量を注出することができるとともに、袋内被包装物の、フィルム状注出ノズルの注出通路への到達が十分迅速なものとなり、また注出通路を大きく開放させることができるため、袋内被包装物の残量が減少してなお、被包装物の注出動作の開始から、被包装物が実際に注出されるまでのタイムラグを有効に抑制し、被包装物の注出時のストレスを効果的に減じることができるという効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】この発明の実施に用いる包装体の実施形態を示す平面図である。
【
図2】この発明の実施に用いる包装体の他の実施形態を示す平面図である。
【
図3】包装体および包装体を収納した弾性枠部材を示す略線横断面図である。
【
図4】弾性枠部材を、幅方向の中央部で厚み方向に切断した際の断面状態を示す略線断面図である。
【
図5】開閉作動部および支点部間の、正面側からみた形状を例示する図である。
【
図6】滴下式包装構造体を点眼容器とした場合の作用状態を示す、
図4に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下にこの発明の実施形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1(a)に示す透明な包装体1において、2は、延伸ベースフィルム層をおよびシーラント層を具え、蒸着層、中間層等を具えることもある包装用積層フィルムからなるフレキシブルな包装袋本体を示す。
なお、図に斜線を施して示す部分は、包装袋本体2の内層シーラント層の融着接合部を示す。
【0029】
この包装袋本体2に、相互に重なり合う半折りした一枚の、または二枚の、表裏の軟質積層フィルムからなり、基端辺3を除く、先端をも含む全周縁部分の、図に斜線を施して示す融着接合により、その融着接合部4の中央部分に、包装袋本体2から離れるにつれて先細りとなる注出通路5を、区画される注出ノズル6の基端部分の外表面を、その注出ノズル6が、包装袋本体2から突出する姿勢で、包装袋本体2の内表面に、これも図では、包装袋本体2のシール部7の全長にわたって融着接合させてなる包装袋8の、上端もしくは下端の開口から、所要の液状の被包装物を充填するとともに、包装袋8の前記開口を、液中シール、煩雑物シール等によって抜気状態で融着接合させて包装して包装体1とする。
なお、図示の包装袋本体2は、被包装物の充填包装状態で三方シール状態とされているが、これを四方シール状態とすることもでき、また背貼りシール包装袋本体2とすることもできる。
また、包装袋本体2と注出ノズル6は、
図1に示すようにそれぞれ別体からなる他、相互に重なり合う半折りした一枚の、または二枚の、表裏の積層フィルムによって一体に形成してもよい。
なお、注出ノズル6は、延伸ベースフィルム層(ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、EVOH等)と、これを挟んで積層したそれぞれのシーラント層(ポリエチレン、ポリプロポピレン、アイオノマー、EVA、EVOH等)とを具える積層フィルムにより形成することが好ましく、該積層フィルムは、フラット性に優れるため、上記したように包装袋本体2と注出ノズル6とを一体に形成する場合に好適に用いることができる。
【0030】
図1(b)は、このような包装体1の注出ノズル6を、拡大して示す平面図であり、この注出ノズル6の先細り注出通路5の先端を封止する融着接合部4aは、幾分面積の大きい把持部とされており、この融着接合部4aは、それの基部に設けた、図ではV字状のノッチ9の位置から、図に仮想線で示すように融着接合部4aを引裂き除去等することで、注出通路5に先端開口を形成することができる。
ところで、包装体1内の被包装物の容量を、3〜30ml、なかでも5〜15mlの範囲とするときは、形成される注出通路5の先端開口の正面幅は0.3〜5mmの範囲とすることが好ましい。
また、注出通路5は、被包装物を滴下した後の液だれを防止すると共に、滴下方向性を向上させるため、先端に向かって先細りの形状とし、この効果をより有効に発揮させるためには、
図1(c)および(d)に注出通路5の先端開口部分を拡大して示すように、先端開口面を傾斜させたり、幅方向中央部に向かって凸となるようにして、一点から滴下できるようにすることが好ましい。
【0031】
また、注出ノズル6の注出通路5には、
図1(b)に示すように表裏の積層フィルムを融着させてなる隔壁16を設けてもよく、該隔壁16によって、包装袋本体2から注出通路5への被包装物の流入、通過に対して抵抗がを生じ、被包装物が過剰に先端開口部に進入することを防止し、滴下量をコントロールすることができる。なお、隔壁16の長さや幅、数等は、包装体1の容量や滴下量等に応じて決定する。
【0032】
ところで、注出ノズル6は、セルフシール機能を有する逆止注出ノズルであることが好ましく、これによれば、
図1(a)に斜線を施して示すような三方シール状態、または図示しない四方シール状態とされたフレキシブルな包装袋本体2が、被包装物の注出量に相当する体積だけ収縮ないしは潰れ変形することで、包装体1内に外気を取り込むことなく被包装物を注出することができる一方、被包装物の注出の停止と同時に包装体1を起立復帰することで、被包装物の水頭圧の作用から開放され、液状の袋内被包装物の薄膜の介在によって濡れた先細り注出通路5の内表面どうしが、前記包装袋本体2の収縮変形に基づいて相互に吸着し、注出ノズル6の先端開口を自動的に密閉封止するため、袋内被包装物のたとえば繰り返しの注出に当たっても、包装体1内へ、注出ノズル6を経て外気や異物等を取り込むおそれはなく、袋内被包装物への防腐剤等の添加なしに、その被包装物を、酸化、菌類汚損等から長期間にわたって十分に保護することができる。
【0033】
なお、上記のように注出ノズル6が、セルフシール逆止機能を有する場合、包装体1内への外気の侵入が抑制されるため、被包装物の吐出量に応じて包装体が収縮変形することになる。そのため、袋内被包装物の残量が少なくなってくると、被包装物の水頭圧だけでは注出ノズル6の注出通路5を開口させることができなくなり、被包装物がノズル先端開口から注出されるまでのタイムラグが大きくなったり、被包装物の全量を注出できないおそれがある。
そこで、本発明では、包装体内に、大気圧下で袋内被包装物の充填量の10%以下の体積のガス、たとえば袋内被包装物が酸化等の反応を起こすおそれがあるか否かに応じて、不活性ガス、活性ガス等の所要のガスを封入することが好ましく、これによれば、袋内被包装物の残量が少なくなったとしても、前記ガスが、包装袋本体2の表裏の包装用積層フィルムの相互の密着力を緩和し、表面側の包装用積層フィルムと、裏面側の包装用積層フィルムとを大きく離隔変位させるとともに、袋内被包装物の注出に当って、前記封入ガスが、該ガスの占有スペース内への袋内被包装物の流入を誘導(置換)し、袋内被包装物の注出を円滑なものとすることができる。なお、ガスの封入量は、袋内被包装物の充填量が減少されてしまうこと、および注出通路5から液状被包装物を注出するに当たって、封入ガスもまた注出通路5から流出する危険性があることから、包装体1内に充填した液状被包装物の10%以下とすることが好ましい。
【0034】
図2は、包装体1の他の実施形態を示す平面図である。
この実施形態の包装体1には、包装袋本体2を構成する包装用積層フィルムを、注出ノズル6の表面側および裏面側のそれぞれを全体に覆うように延長させて形成した上部切り離し袋20が設けられている。なお、上部切り離し袋20は、その外縁部分の対向する内表面側のシーラント層どうしが
図2に斜線で示すように融着接合されてなり、該上部切り離し袋20によって注出ノズル6が外部へ露出するのを完全にカバーするように構成されている。
【0035】
また、
図2の包装体1では、注出ノズル6の先端部分(融着接合部4a)を、上部切り離し袋20の内表面側のシーラント層に融着接合させるための、上部切り離し袋20を、融着接合部4aが含まれるように幅方向に横シールしてなる接合部21が設けられている。さらに、この包装体1では、注出ノズル6の先端に、引裂き開封するためのノッチ9と、上部切り離し袋20の、包装袋本体2との融着接合部(シール部7)とノッチ9等が設けられた先端開口位置との間に、幅方向に延びる引裂き誘導
22が設けられている。
これによれば、使用に際して、引裂き誘導疵22に沿って上部切り離し袋20を引裂き開封すると、接合部21によって注出ノズル6の先端部分も引っ張られることになり、ノッチ9を介して注出ノズル6が引裂き開封されることになる。
したがって、上部切り離し袋20の引裂き開封と同時に、注出ノズル6も開口することができるため、注出ノズル6に手指等が触れることがなく、注出ノズル6の衛生性および安全性を担保することができる。
【0036】
なお、引裂き誘導疵22は、積層フィルムの幅方向へ−(マイナス)状に延在させて設けた一本の疵、ミシン目状に穿設した複数の疵、その幅方向に間隔をおいて設けた複数の小孔状の疵、あるいはレーザ光線等をもって連続的もしくは間欠的に設けた溶融痕などの、適宜の形状および数の疵にて形成することができ、このような引裂き誘導疵の、深さ、積層フィルムの幅方向での長さ、その他の寸法は、積層フィルムの厚さ、積層フィルムの構成材料などに応じて選択する。
【0037】
次に、包装体1を収納する弾性枠部材11を、
図3に略線横断面図として示す。
図3では、弾性枠部材11は、ほぼコ字状をなす上下のそれぞれの板状体を主体とし、包装体1の両側部を覆うそれぞれの側壁11aおよび、包装体1の底部(図では右端)を覆う底壁11bを具える他、先細り注出通路5と対応して位置し、その注出通路5の少なくとも一方の側部、図では両側部で、上下の板状体が相互に当接する支点部12と、先細り注出通路5に形成される先端開口に対応して位置し、後述する押圧作用部への押圧力の作用および解放に基づいて形成される、その先端開口を開放し、そして密閉する開閉作動部13とを具える。
なお、弾性枠部材11は、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル等の弾性材料により形成することが好ましい。
また、側壁11aおよび底壁11bは、例えば、弾性枠部材11の上下の板状体よりも軟質な材料を用いたり、壁厚を薄くしたり、折れ線を予め形成しておく等して、後述するように押圧作動部へ押圧力を加えた際に変形できるようにしてもよい。
【0038】
図3に仮想線で示すキャップ14は、弾性枠部材11の支点部12から開閉作動部13までの間を全体的に覆い、開閉作動部13を、注出通路5に形成される先端開口を密閉状態に保持するべく機能する。かかるキャップ14は、弾性枠部材11に螺合させることの他、摩擦掛合させることもできる。
【0039】
図4は、弾性枠部材11を幅方向の中央部で、厚み方向に断面として示す略線断面図である。上下の板状体を主体とするこの弾性枠部材11は、図に示すように、支点部12および開閉作動部13、被包装物を充填包装した包装体1の外表面、より直接的には、包装袋本体2に対応して位置して、それの外表面から常に離隔し、弾性枠部材11の力点として機能する押圧力作用部15を具える。
【0040】
開閉作動部13は、押圧力作用部15へ押圧を加えない状態においては、
図4(a)に示すように、注出通路5の先端開口を上下から強く挟持し、該先端開口を密閉するように構成されている。
一方、押圧力作用部15へ押圧力Fを加えた場合には、
図4(b)に示すように、支点部12を支点として、弾性枠部材11が揺動して変位して、作用点としての開閉作動部13を、白抜矢印Aで示す方向に開放するように動作する。なお、支点部12は、図に示すように弾性枠部材11を構成する上下の板状体と同じ弾性材料で、それと一体に形成してなるものの他、バネ部材を用いたり、ヒンジ構造としてもよい。
【0041】
そして、開閉作動部13には、
図4に示すように、逆止注出ノズル6の外表面に当接して注出通路5に形成される先端開口の開閉を司る、開閉突起13aを設けることが好ましく、また、支点部12間の、先細り注出通路5に重なる一以上の領域には、これも
図4に示すように、注出ノズル6の外表面に当接して、被包装物の流量をコントロールする流量調整突起12aを設けることが好ましい。
【0042】
なお、流量調整突起12aは、被包装物の注出ノズル6内への過剰の流入を抑制するととともに、とくに、押圧力作用部15へ押圧力Fを加えた際には、
図4(b)に示すように、流量調整突起12aの押圧力作用部15側端部が、注出通路5に近接する方向に変位するため、滴下式包装構造体を反転等させた状態で、先端開口を開放させたとしても、被包装物の流下が抑制され、被包装物を適量だけ吐出させることができる。さらに、フィルム状注出ノズル6が、セルフシール機能を有する逆止注出ノズルである場合には、注出通路が膨らむ方向への永久変形するおそれがないため、逆止機能を有効に発揮させることができるという効果も期待できる。
【0043】
流量調整突起12aおよび開閉突起13aはともに、弾性枠部材11と同種の材料にて形成することができ、これによれば、突起12a、13aの形成を容易にするとともに、容器コストを低く抑えることができる。
これに対し、開閉突起13aは、弾性枠部材11よりも軟質の弾性材料、例えばゴム等にて形成することもでき、これによれば、開閉突起13aが、先細り注出通路5の先端開口を挟む位置において、相互に密着して当接し、該先端開口を強い力で挟持して密閉することができるため、被包装物の意図しない漏出を防止することができる。
【0044】
図4(c)は、キャップ14を、
図4(a)の弾性枠部材11に摩擦掛合させた場合の断面図である。このように摩擦掛合キャップ14をもって、開閉作動部13を、図の上下方向により強く挟持した場合には、注出通路5に形成される先端開口をより効果的に密閉することができ、キャップ14の掛合中は、袋内被包装物の意図しない漏出を確実に防止することができる。
【0045】
ここで好ましくは、開閉作動部13の正面形状を、上方もしくは下方に凸となる湾曲形状もしくは三角山形状として、開閉作動部13を横方向に直線状に延在させる場合に比べ、開閉作動部13と、逆止注出ノズル6との接触長さを長くする。
これによれば、開閉作動部13の面圧が小さくても、形成される先端開口を容易に密閉することができる。
【0046】
図5(a)に示すところでは、その正面形状を上方に凸となる湾曲形状としているが、この形状は、所要に応じて適宜変更することができる。
また、
図5(b)は、支点部12間の、逆止注出ノズル6が通過する範囲の正面形状を、上方および下方の双方に窪む曲線形状として、袋内被包装物の、注出通路5での流動を抑制するものである。
なお、支点部12間の正面形状は、方形形状とすることもでき、また上方もしくは下方のいずれか一方側に窪む曲線形状とすることもできる。
【0047】
ところで、弾性枠部材11を、少なくとも包装体1の両面を挟む板状体にて構成したときは、弾性枠部材11の製造をより容易にして、容器コストを一層安価なものとすることができる。
【0048】
なお、弾性枠部材11は、
図3で述べたように、両側部を側壁11aにて、底部を底壁11bにて閉止した箱状体で構成することもでき、これによれば、包装体1の、弾性枠部材11の側方への食み出しを有効に防止して、包装体1をより効果的に保護することができる。
そして、箱状体からなるこの弾性枠部材11にあっても、スリット等を設ける等して、弾性枠部材11の所要に応じた開閉を可能とすることで、被包装物を消尽した包装体1の交換を十分容易なものとすることができる。
【0049】
ここで、包装袋本体および弾性枠部材11をともに透明体としたときは、包装体1内の液状の被包装物の残量を外部から、容易にかつ確実に視認することができ、包装体1の交換を適切なタイミングで行うことができる。
なお、キャップ14は、螺合キャップとすることもでき、これによっても滴下式包装構造体の構造を十分簡単なものとして、注出通路5に形成される先端開口の密閉保持を簡易に実現することができる。
【0050】
図6は、以上のような滴下式包装構造体を、注出ノズル6としてセルフシール機能を有する逆止注出ノズルを用いて、点眼容器として使用した場合を例示する
図4(b)と同様の断面図である。
ここでは、注出ノズル6の先細り注出通路5に形成した先端開口を、下方に向けた姿勢として弾性枠部材11の押圧力作用部15を、図に矢印で示すように押圧することで、該弾性枠部材11の開閉作動部13、ひいては先端開口を開放して、包装体1内の点眼薬をそれの自重に基づいて、先端開口から一滴分(約0.03g)滴下させることができる。
この一方で、滴下の停止は、押圧力作用部15への押圧を解放することに基づく、開閉作動部13による先端開口の閉止をもって行うことができる。
【0051】
この場合、包装体1より直接的にはフレキシブルな包装袋本体2は、注出ノズル6のセルフシール逆止機能によって点眼薬の滴下体積分だけ収縮変形、潰れ変形等することになるので、包装袋本体2は、そこへ外気を取り込むことなしに液滴の滴下を行うことができる。
【0052】
また、点眼薬の所要の滴下を終えて、弾性枠部材11を注出通路5の先端開口が上方に向く姿勢に復帰させる場合は、好ましくは内表面に濡れ処理が施された注出通路5は、点眼薬の薄膜の介在下で密閉されることになるので、点眼薬の滴下の終了後においてもまた、包装袋本体2内への外気の進入は十分に防止されることになる。
したがって、この滴下式包装構造体では、点眼薬への防腐剤の添加なしに、点眼薬を酸化、菌類汚損等から長期間にわたって十分に保護することができる。
【0053】
ここで、点眼薬に濡れた注出通路5の密閉は、毛管現象による点眼薬の拡散、点眼薬の一部が注出通路5から包装袋本体2内へ戻流する際の、その注出通路5への負圧の招来等によって行われることになり、このことは、点眼薬の滴下に伴って収縮変形、つぶれ変形等した、包装袋本体2が元形状に復帰しようとすることに起因する負圧を注出通路5内に及ぼすことによってアシストされることになる。
【0054】
包装袋8内へ充填包装する液状の被包装物は、点眼薬以外の、点滴液その他の薬剤とすることもでき、化粧液、消毒液、液体洗剤その他とすることもできる。
【符号の説明】
【0055】
1 包装体
2 包装袋本体
3 基端辺
4、4a 融着接合部
5 注出通路
6 注出ノズル
7 縦シール部
8 包装袋
9 ノッチ
11 弾性枠部材
11a 側壁
11b 底壁
12 支点部
12a 流量調整突起
13 開閉作動部
13a 開閉突起
14 キャップ
15 押圧力作用部
16 隔壁
20 上部切り離し袋
21 接合部
22 引裂き誘導疵
F 押圧力