特許第6044905号(P6044905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044905
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】ボールねじ研磨方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 21/00 20060101AFI20161206BHJP
   B24B 19/06 20060101ALI20161206BHJP
   B23G 1/38 20060101ALI20161206BHJP
   B24B 21/16 20060101ALI20161206BHJP
   B24B 21/12 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B24B21/00 A
   B24B19/06
   B23G1/38
   B24B21/16
   B24B21/12
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-205914(P2014-205914)
(22)【出願日】2014年10月6日
(65)【公開番号】特開2016-74058(P2016-74058A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2015年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】391005156
【氏名又は名称】株式会社サンシン
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
(72)【発明者】
【氏名】細貝 信和
(72)【発明者】
【氏名】吉野 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】安立 隆之
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−103195(JP,A)
【文献】 特開2003−191151(JP,A)
【文献】 特開2013−94867(JP,A)
【文献】 実開昭55−169346(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第2636482(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 21/00
B23G 1/38
B24B 19/06
B24B 21/12
B24B 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールねじのねじ軸のボール溝を研磨テープで研磨するに際し、上記研磨テープを連続的又は間欠的に移送させるテープ移送機構と、該研磨テープを圧接ロールの外周面により折返移送案内して該研磨テープを該圧接ロールの外周面で該ねじ軸のボール溝に圧接させるテープ圧接機構と、該圧接ロールの回転軸線を該ボール溝のリード角に対応して傾斜配置させる傾斜機構と、該圧接ロールを該回転軸線方向に直線揺振動作させる直線揺振機構とを備えてなるテープヘッド部を上記ねじ軸の周方向略三等配位置に三組配設し、上記ねじ軸を回転自在に保持して該軸線を中心として回転させ、上記三組の各テープヘッド部の研磨テープを連続的又は間欠的に移送させ、該三組のテープヘッド部の各研磨テープを圧接ロールの外周面により折返移送案内して該研磨テープを該圧接ロールの外周面で該ねじ軸のボール溝に圧接させ、該各圧接ロールの回転軸線は該ボール溝のリード角に対応して傾斜配置され、該各圧接ロールを該回転軸線方向に直線揺振動作させ、該三組のテープヘッド部の各研磨テープを該ねじ軸の軸線方向に移動させ、該ねじ軸の回転速度と各研磨テープの移動速度とを該ボール溝のリードに対応して同期させ、上記ねじ軸の回転と、上記研磨テープの上記移送及び上記直線揺振動作と、該ねじ軸の回転速度に同期した各研磨テープの移動との複合動作を伴って、該三組のテープヘッド部の各研磨テープを該ねじ軸の半径方向から該ねじ軸の軸線に向けてボール溝に圧接して該ボール溝を各研磨テープで同時研磨することを特徴とするボールねじ研磨方法。
【請求項2】
ボールねじのねじ軸を回転自在に保持する保持機構と、該ねじ軸を該軸線を中心として回転させる回転機構と、該研磨テープを連続的又は間欠的に移送させるテープ移送機構、該研磨テープを圧接ロールの外周面により折返移送案内して該研磨テープを該圧接ロールの外周面で該ねじ軸のボール溝に圧接させるテープ圧接機構、該圧接ロールの回転軸線を該ボール溝のリード角に対応して傾斜配置させる傾斜機構及び該圧接ロールを該回転軸線方向に直線揺振動作させる直線揺振機構からなるテープヘッド部と、該テープヘッド部を該ねじ軸の軸線方向に移動させるテープヘッド移動機構と、該ねじ軸の回転速度と該研磨テープの移動速度とを該ボール溝のリードに対応して同期させる速度同期手段とを備えてなり、上記テープヘッド部を上記ねじ軸の周方向略三等配位置に三組配設し、該各テープヘッド部の研磨テープを該ねじ軸の半径方向から該ねじ軸の軸線に向けてボール溝に圧接して該ボール溝を各研磨テープで同時研磨することを特徴とするボールねじ研磨装置。
【請求項3】
上記直線揺振機構として、上記圧接ロールを該回転軸線方向に直線揺振動作させる偏心機構からなることを特徴とする請求項2記載のボールねじ研磨装置。
【請求項4】
上記速度同期手段として、上記ねじ軸を回転させる回転用制御モータ、上記研磨テープを移動させる移動用制御モータ、及び該回転用制御モータの回転速度と該移動用制御モータの回転速度とを同期制御する同期制御部からなることを特徴とする請求項2又は3記載のボールねじ研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボールねじのねじ軸のボール溝を研磨テープで研磨する際に用いられるボールねじ研磨方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のボールねじ研磨装置として、ねじ軸、ナット及びボールの各要素からなるボールねじのねじ軸のボール溝をバフブラシによるバフ処理で表面仕上げを行う構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−22848
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこの従来構造の場合、ボールねじのねじ軸のボール溝はボールが転走する溝であるにもかかわらず、必ずしも、良好な表面あらさを得ることができないことがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうち、請求項1記載の方法の発明は、ボールねじのねじ軸のボール溝を研磨テープで研磨するに際し、上記研磨テープを連続的又は間欠的に移送させるテープ移送機構と、該研磨テープを圧接ロールの外周面により折返移送案内して該研磨テープを該圧接ロールの外周面で該ねじ軸のボール溝に圧接させるテープ圧接機構と、該圧接ロールの回転軸線を該ボール溝のリード角に対応して傾斜配置させる傾斜機構と、該圧接ロールを該回転軸線方向に直線揺振動作させる直線揺振機構とを備えてなるテープヘッド部を上記ねじ軸の周方向略三等配位置に三組配設し、上記ねじ軸を回転自在に保持して該軸線を中心として回転させ、上記三組の各テープヘッド部の研磨テープを連続的又は間欠的に移送させ、該三組のテープヘッド部の各研磨テープを圧接ロールの外周面により折返移送案内して該研磨テープを該圧接ロールの外周面で該ねじ軸のボール溝に圧接させ、該各圧接ロールの回転軸線は該ボール溝のリード角に対応して傾斜配置され、該各圧接ロールを該回転軸線方向に直線揺振動作させ、該三組のテープヘッド部の各研磨テープを該ねじ軸の軸線方向に移動させ、該ねじ軸の回転速度と各研磨テープの移動速度とを該ボール溝のリードに対応して同期させ、上記ねじ軸の回転と、上記研磨テープの上記移送及び上記直線揺振動作と、該ねじ軸の回転速度に同期した各研磨テープの移動との複合動作を伴って、該三組のテープヘッド部の各研磨テープを該ねじ軸の半径方向から該ねじ軸の軸線に向けてボール溝に圧接して該ボール溝を各研磨テープで同時研磨することを特徴とするボールねじ研磨方法にある。
【0006】
又、請求項2記載の装置の発明は、ボールねじのねじ軸を回転自在に保持する保持機構と、該ねじ軸を該軸線を中心として回転させる回転機構と、該研磨テープを連続的又は間欠的に移送させるテープ移送機構、該研磨テープを圧接ロールの外周面により折返移送案内して該研磨テープを該圧接ロールの外周面で該ねじ軸のボール溝に圧接させるテープ圧接機構、該圧接ロールの回転軸線を該ボール溝のリード角に対応して傾斜配置させる傾斜機構及び該圧接ロールを該回転軸線方向に直線揺振動作させる直線揺振機構からなるテープヘッド部と、該テープヘッド部を該ねじ軸の軸線方向に移動させるテープヘッド移動機構と、該ねじ軸の回転速度と該研磨テープの移動速度とを該ボール溝のリードに対応して同期させる速度同期手段とを備えてなり、上記テープヘッド部を上記ねじ軸の周方向略三等配位置に三組配設し、該各テープヘッド部の研磨テープを該ねじ軸の半径方向から該ねじ軸の軸線に向けてボール溝に圧接して該ボール溝を各研磨テープで同時研磨することを特徴とするボールねじ研磨装置にある。
【0007】
又、請求項3記載の発明は、上記直線揺振機構として、上記圧接ロールを該回転軸線方向に直線揺振動作させる偏心機構からなることを特徴とするものであり、又、請求項4記載の発明は、上記速度同期手段として、上記ねじ軸を回転させる回転用制御モータ、上記研磨テープを移動させる移動用制御モータ、及び該回転用制御モータの回転速度と該移動用制御モータの回転速度とを同期制御する同期制御部からなることを特徴とする請求項2又は3記載のボールねじ研磨装置にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述の如く、請求項1及び2記載の発明にあっては、ボールねじのねじ軸を保持機構により回転自在に保持し、ねじ軸を回転機構により軸線を中心として回転させ、三組のテープヘッド部の各研磨テープをテープ移送機構により連続的又は間欠的に移送し、各研磨テープをテープ圧接機構により圧接ロールの外周面により折返移送案内して各研磨テープを圧接ロールの外周面でねじ軸のボール溝に圧接し、圧接ロールの回転軸線は傾斜機構によりボール溝のリード角に対応して傾斜配置され、直線揺振機構により圧接ロールを回転軸線方向に直線揺振動作させ、テープヘッド移動機構により各研磨テープをねじ軸の軸線方向に移動させ、速度同期手段によりねじ軸の回転速度と各研磨テープの移動速度とをボール溝のリードに対応して同期させ、ねじ軸の回転と、研磨テープの上記移送及び上記直線揺振動作と、ねじ軸の回転速度に同期した研磨テープの移動との複合動作を伴って、三組のテープヘッド部の各研磨テープをねじ軸の半径方向からねじ軸の軸線に向けてボール溝に圧接してボール溝を研磨テープで研磨することができ、ねじ軸の回転速度に同期した研磨テープの移動により研磨テープはボール溝のリードに合致して移動してテープ圧接機構により研磨テープはボール溝に確実に圧接され、研磨テープの連続的又は間欠的な移送及び研磨テープの移送直線揺振動作により研磨テープでボール溝を確実に研磨することができ、三組のテープヘッド部の各研磨テープをねじ軸の半径方向からねじ軸の軸線に向けてボール溝に圧接してボール溝を各研磨テープで同時研磨することができ、研磨テープの圧接によるねじ軸の軸線の芯ぶれを抑制することができて研磨精度を向上することができ、ボール溝の表面あらさを向上することができ、ボール溝の研磨作業性を向上することができる。
【0009】
又、請求項3記載の発明にあっては、上記直線揺振機構として、上記圧接ロールを回転軸線方向に直線揺振動作させる偏心機構からなるので、構造を簡素化することができ、又、請求項4記載の発明にあっては、上記速度同期手段として、上記ねじ軸を回転させる回転用制御モータ、上記研磨テープを移動させる移動用制御モータ、及び回転用制御モータの回転速度と移動用制御モータの回転速度とを同期制御する同期制御部からなるので、ねじ軸の回転速度と研磨テープの移動速度とをボール溝のリードに対応して同期させることができ、研磨テープをボール溝のリードに合致して確実に接触移動させることができ、構造を簡素化することができると共に研磨精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態例の全体平面図である。
図2】本発明の実施の形態例の全体正面図である。
図3】本発明の実施の形態例の部分側面図である。
図4】本発明の実施の形態例の部分拡大平面図である。
図5】本発明の実施の形態例の部分拡大側面図である。
図6】本発明の実施の形態例の部分拡大平断面図である。
図7】本発明の実施の形態例の部分拡大側断面図である。
図8】本発明の実施の形態例の部分側断面図である。
図9】本発明の実施の形態例の部分側断面図である。
図10】本発明の実施の形態例の部分正面図である。
図11】本発明の実施の形態例の説明部分平面図である。
図12】本発明の実施の形態例の説明拡大平面図である。
図13】本発明の実施の形態例の説明拡大側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図13は本発明の実施の形態例であって、この場合、大別して、図1図2図3図4図5の如く、ボールねじのねじ軸Wを回転自在に保持する保持機構1と、ねじ軸Wを軸線Wを中心として回転させる回転機構2と、研磨テープTを連続的又は間欠的に移送Tさせるテープ移送機構3、研磨テープTを回転R自在な圧接ロールRの外周面により折返移送案内して研磨テープTを圧接ロールRの外周面でねじ軸Wのボール溝Bに圧接させるテープ圧接機構4、圧接ロールRの回転軸線Rをボール溝Bのリード角θに対応して傾斜配置させる傾斜機構5及び圧接ロールRを回転軸線R方向に直線揺振動作Yさせる直線揺振機構6からなるテープヘッド部7と、研磨テープTをねじ軸Wの軸線W方向に移動させるテープヘッド移動機構8と、ねじ軸Wの回転速度Qと研磨テープTの移動速度Fとをボール溝BのリードL(ねじ軸Wが一回転したときに、ナットが軸方向に進む距離。)に対応して同期させる速度同期手段9とから構成され、そして、上記テープヘッド部7は三組のテープヘッド部7・7・7から構成され、三組のテープヘッド部7・7・7を上記ねじ軸Wの周方向略三等配位置に配設し、図13中、α=約120度の略等配で配置し、各テープヘッド部7・7・7の研磨テープT・T・Tをねじ軸Wの半径方向からねじ軸Wの軸線Wに向けてボール溝Bに圧接してボール溝Bを各研磨テープT・T・Tで同時研磨するようしている。
【0012】
この場合、上記保持機構1及び上記回転機構2にあっては、図1図2の如く、機体1aに保持台1bを立設し、保持台1bにボールねじのねじ軸Wの一方端部を着脱保持可能なチャック1cを配設すると共にねじ軸Wの他方端部を回転保持可能な芯押し台1dを配設し、チャック1cを回転用制御モータ2aにより回転させてねじ軸Wを回転させるように構成している。
【0013】
この場合、図3の如く、上記三組のテープヘッド部7・7・7は上記ねじ軸Wの周方向略三等配位置にして単一個の移動ベース台Kに配設されている。
【0014】
この場合、上記各テープ移送機構3にあっては、図1図2図3図4図5の如く、取付基台3a上に一対の支持軸3b・3bにより未使用の研磨テープTを巻回した満巻リール3c及び空リール3dを回転自在に配設し、満巻リール3cから解いた研磨テープTをテープ圧接機構4の圧接ロールRの外周面を経て空リール3dに巻き付け、満巻リール3cは巻解用モータ3eにより巻き解き回転すると共に空リール3dは巻取用モータ3fにより巻き取り回転し、かつ、上記満巻リール3cと圧接ロールR、及び圧接ロールRと上記空リール3dとの間に移送用モータ3g・3gにより送り回転する移送ロール3h・3h及び挟圧ロール3i・3iを配設し、巻解用モータ3e、巻取用モータ3f、移送用モータ3g・3gの協動により研磨テープTを満巻リール3cから圧接ロールRを経て空リール3dへと比較的低速で連続的又は間欠的に移送Tするように構成している。
【0015】
又、上記テープ圧接機構4にあっては、図4図5の如く、上記取付基台3a上に取付台4aを立設し、取付台4aに上記直線揺振機構6を介して圧接台4bを配設し、圧接台4bに左右一対のシリンダ機構4c・4c及びこれに直交状にガイド軸4d・4dにより進退部材4eを配設し、圧接台4bに左右一対のガイドロール4f・4fを設けると共に進退部材4eに左右一対の案内ロール4g・4gを設け、この左右一対の案内ロール4g・4gの先方中間部分に上記圧接ロールRを回転自在に配設し、研磨テープTをガイドロール4f・4f、案内ロール4g・4g及び圧接ロールRにより折返移送案内すると共にシリンダ機構4c・4cにより研磨テープTを圧接ロールRの外周面でねじ軸Wのボール溝Bに圧接させるように構成している。
【0016】
この場合、上記研磨テープTは、ポリエステルフィルム、メタル、クロス等の基材に酸化アルミニュウム、酸化クロム、シリコンカーバイド、ダイヤモンド等の所定粒度の研磨粒子をコーティング又は結合してなる構造となっている。
【0017】
また、上記直線揺振機構6にあっては、この場合、図5図6図7図8の如く、偏心機構6aが用いられ、上記取付台4aに摺動部6b・6bにより上記圧接台4bを上記ねじ軸Wの軸線W方向に交差する上下方向に揺振摺動自在に配設し、取付台4aに直線揺振用モータ6cを取り付け、取付台4aに軸筒6dを回転自在に軸受けし、軸筒6dに直線揺振用モータ6cの主軸6eを取り付け、軸筒6dに主軸6eの回転軸線Oに対して偏心量εの偏心軸線Oをもつ偏心軸部6fを形成し、偏心軸部6fに玉軸受け状の偏心輪6gを回転自在に設け、圧接台4bに全体形状が溝形鋼状の駒部材6hを設け、駒部材6hのフランジ状部の内面に偏心輪6gが接する対向一対の接触面6i・6iを形成し、直線揺振用モータ6cの駆動により偏心軸部6f、偏心輪6g、駒部材6hの接触面6i・6i及び摺動部6b・6bで圧接ロールRを回転軸線R方向に直線揺振動作Yさせるように構成している。
【0018】
又、上記テープヘッド移動機構8にあっては、図1図2の如く、上記機体1aに移動基台8aを配設し、この移動基台8aに摺動部8bにより摺動台8cをねじ軸Wの軸線W方向に移動自在に配設し、摺動台8cに上記移動ベース台Kを取り付け、移動ベース台Kに三個の取付面部K・K・Kを形成し、三個の各取付面部K・K・Kに上記三組のテープヘッド部7・7・7をそれぞれ上記ねじ軸Wの周方向略三等配位置に配設し、各取付面部K・K・Kに各テープヘッド部7・7・7の上記傾斜機構5を介して上記テープ移送機構3の取付基台3aを配設し、摺動台8cをねじ軸8d、ナット8eからなるボールねじ機構8f及び移動用制御モータ8gにより摺動台8cを介して研磨テープTをねじ軸Wの軸線W方向に移動させるように構成している。
【0019】
又、上記傾斜機構5にあっては、図1図2図9図10の如く、上記摺動台8c上に傾斜台5aを支点軸5bによりねじ軸Wの軸線Wに対して傾斜自在に設けると共に連結ねじ5c及び取付ナット5dからなる位置固定機構5eにより傾斜位置に位置固定可能に設け、傾斜台5a上に上記テープ移送機構3及びテープ圧接機構4を介して圧接ロールRを配設し、傾斜機構5により圧接ロールRの回転軸線Rをボール溝Bのリード角θに対応して傾斜配置させるように構成している。
【0020】
又、上記速度同期手段9は、上記ねじ軸Wを回転させる回転用制御モータ2a、上記研磨テープTを移動させる移動用制御モータ8g、及び回転用制御モータ2aの回転速度Qと移動用制御モータ8gの回転速度とを同期制御する同期制御部9aからなり、同期制御部9aは、具体的な回路構成等は省略しているが、例えばパソコン等が用いられ、ねじ軸Wの回転速度Qと研磨テープTの移動速度Fとをボール溝BのリードLに対応して同期させるように構成している。
【0021】
この実施の形態例は上記構成であるから、図1図2図5図10図11の如く、ボールねじのねじ軸Wを保持機構1により回転自在に保持し、ねじ軸Wを回転機構2により軸線Wを中心として回転させ、三組のテープヘッド部7・7・7の研磨テープTをテープ移送機構3により移送Tし、各研磨テープT・T・Tをテープ圧接機構4により回転R自在な圧接ロールRの外周面により折返移送案内して各研磨テープT・T・Tを圧接ロールRの外周面でねじ軸Wのボール溝Bに圧接し、圧接ロールRの回転軸線Rは傾斜機構5によりボール溝Bのリード角θに対応して傾斜配置され、直線揺振機構6により圧接ロールRを回転軸線R方向に直線揺振動作Yさせ、テープヘッド移動機構8により各研磨テープT・T・Tをねじ軸Wの軸線W方向に移動させ、速度同期手段9によりねじ軸Wの回転速度Qと各研磨テープT・T・Tの移動速度Fとをボール溝BのリードLに対応して同期させ、図10図11図12図13の如く、ねじ軸Wの回転と、研磨テープTの上記移送T及び上記直線揺振動作Yと、ねじ軸Wの回転速度Qに同期した研磨テープTの移動との複合動作を伴って、三組のテープヘッド部7・7・7の各研磨テープT・T・Tをねじ軸Wの半径方向からねじ軸Wの軸線Wに向けてボール溝Bに圧接してボール溝Bを研磨テープTで研磨することができ、ねじ軸Wの回転速度Qに同期した研磨テープTの移動により研磨テープTはボール溝BのリードLに合致して移動してテープ圧接機構4により研磨テープTはボール溝Bに確実に圧接され、研磨テープTの連続的又は間欠的な移送T及び研磨テープTの直線揺振動作Yにより研磨テープTでボール溝Bを確実に研磨することができ、図13の如く、三組のテープヘッド部7・7・7の各研磨テープT・T・Tをねじ軸Wの半径方向からねじ軸Wの軸線Wに向けてボール溝Bに圧接してボール溝Bを各研磨テープT・T・Tで同時研磨することができ、研磨テープT・T・Tの圧接によるねじ軸Wの軸線Wの芯ぶれを抑制することができて研磨精度を向上することができ、ボール溝Bの表面あらさを向上することができ、ボール溝Bの研磨作業性を向上することができる。
【0022】
又、この場合、上記直線揺振機構6として、上記圧接ロールRを回転軸線R方向に直線揺振動作Yさせる偏心機構6aからなるので、構造を簡素化することができ、又、この場合、上記速度同期手段9として、上記ねじ軸Wを回転させる回転用制御モータ2a、上記研磨テープTを移動させる移動用制御モータ8g、及び回転用制御モータ2aの回転速度Qと移動用制御モータ8gの回転速度とを同期制御する同期制御部9aからなるので、ねじ軸Wの回転速度Qと研磨テープTの移動速度Fとをボール溝BのリードLに対応して同期させることができ、研磨テープTをボール溝BのリードLに合致して確実に接触移動させることができ、構造を簡素化することができると共に研磨精度を向上することができる。
【0023】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、保持機構1、回転機構2、テープ移送機構3、テープ圧接機構4、傾斜機構5、直線揺振機構6、テープヘッド部7、テープヘッド移動機構8、速度同期手段9の構成等は適宜変更して設計されるものである。
【0024】
例えば、上記実施の形態例においては、テープヘッド移動機構8として、単一個の移動ベース台Kに三組のテープヘッド部7・7・7をそれぞれ取り付け、三組のテープヘッド部7・7・7を一緒に移動させるように構成しているが、三組のテープヘッド部7・7・7をそれぞれ独立して移動させる構造を採用することもできる。
【0025】
又、例えば、上記実施の形態例においては、乾式研磨構造としているが、ねじ軸Wのボール溝Bと研磨テープTとの間に各種材質の遊離砥粒や化学剤を含む加工液体や潤滑剤を供給する所謂湿式研磨構造とすることもあり、又、速度同期手段9として旋盤の親ねじ機構に採用されている替歯車機構と同様な機械的な同期回転機構を採用することもあり、その他、ねじ軸Wの種類や研磨条件により選択して設計される。
【0026】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0027】
W ねじ軸
軸線
T 研磨テープ
移送
R 圧接ロール
B ボール溝
回転軸線
θ リード角
Y 直線揺振動作
Q 回転速度
F 移動速度
L リード
1 保持機構
2 回転機構
3 テープ移送機構
4 テープ圧接機構
5 傾斜機構
6 直線揺振機構
7 テープヘッド部
8 テープヘッド移動機構
9 速度同期手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13