(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態1)
<リレー駆動装置の構成>
本発明の実施の形態1に係るリレー駆動装置100の構成について、
図3を用いて説明する。リレー駆動装置100は、例えば、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、PEV(Plug-in Electric Vehicle)またはEV(Electric Vehicle)といった蓄電池の電力で走行する車輌に搭載される車載充電装置に設けられている。
【0013】
リレー駆動装置100は、制御部101と、トランジスタ102と、リレースイッチ103と、抵抗104と、時定数回路105と、トランジスタ106とから主に構成されている。制御部101、時定数回路105及びトランジスタ106は、電圧調整部を構成している。
【0014】
制御部101の端子301は、トランジスタ102の導通と非導通とを切り替えるための制御信号をトランジスタ102に出力する。制御部101の端子301は、図示しない電子機器に対して電源の供給を開始する際に、制御信号を時定数回路105に出力し、制御信号の出力の開始から所定時間経過後に制御信号の出力を停止する。ここで、所定時間とは、例えば、制御信号の出力を開始してから1秒である。
【0015】
トランジスタ102のベースは、制御部101の端子301に接続している。トランジスタ102のエミッタは、電源に接続している。トランジスタ102のコレクタは、コイル201の一端に接続されている。
【0016】
リレースイッチ103は、コイル201及びスイッチ202を有している。コイル201は、一端がトランジスタ102のコレクタに接続され、他端が抵抗104を介して接地されている。コイル201の一端(電源側)には、トランジスタ102が導通した際に、トランジスタ102を介して電源より所定の電圧が印加される。コイル201は、電流が流れることにより磁力を生じる。スイッチ202は、電源と図示しない電子機器との接続を開閉し、オンした際に電源を電子機器に供給する。スイッチ202は、コイル201の電圧が所定値以上の場合に、コイル201からの磁力の影響を受けてオンする。また、スイッチ202は、コイル201から生じる磁力の消滅によりオフする。
【0017】
抵抗104は、コイル201とグランドとの間に直列に挿入されている。抵抗104は、コイル201の電圧を調整するための抵抗である。
【0018】
時定数回路105は、抵抗401及びコンデンサ402を用いて構成されている。時定数回路105は、制御部101の端子302とトランジスタ106との間に設けられている。時定数回路105は、制御部101の端子302から入力した制御信号を遅延させてトランジスタ106のベースに出力する。時定数回路105は、制御部101の端子302からの制御信号の出力が停止した際に、制御信号に過渡的変化を生じさせる。そして、時定数回路105は、過渡的変化を生じさせた制御信号をトランジスタ106のベースに出力する。
【0019】
トランジスタ106は、コイル201の電圧を調整する。トランジスタ106のベースは、抵抗401に接続されている。トランジスタ106のコレクタは、コイル201の他端(接地側)に接続されている。トランジスタ106のエミッタは、接地されている。トランジスタ106は、時定数回路105からベースに制御信号が入力した際に導通し、コイル201を流れた電流を引き込んで、抵抗104を介さずにグランドに流す引き込み動作を行う。トランジスタ106は、制御部101の端子302からの制御信号の出力停止後に、時定数回路105において過渡的変化を生じた制御信号がベースに入力することにより、コイル201を流れた電流の引き込み量を徐々に少なくする。
【0020】
<リレー駆動装置の動作>
本発明の実施の形態1に係るリレー駆動装置100の動作について、
図3〜
図5を用いて説明する。
【0021】
まず、
図4に示すように、時刻t0において、制御部101は、端子301より制御信号をトランジスタ102のベースに供給してトランジスタ102を導通させる。また、制御部101は、端子302より制御信号をトランジスタ106のベースに供給してトランジスタ106を導通させる。
【0022】
これにより、電源から供給される電流は、トランジスタ102、コイル201、トランジスタ106、及びグランドの順に流れる。即ち、コイル201を流れた電流は、トランジスタ106に引き込まれてトランジスタ106を経由してグランドに流れる。この際、コイル201の一端と他端との電位差が大きくなるので、コイル201の電圧は高くなる。例えば、コイル201の電圧は、
図5に示すようにv10になる。
【0023】
次に、制御部101は、時刻t0から所定時間経過後の時刻t10において、端子302からの制御信号の出力を停止する。この際、時定数回路105は、制御信号に過渡的変化を生じさせ、過渡的変化を生じさせた制御信号をトランジスタ106のベースに出力する。この結果、トランジスタ106では、
図4に示すように、オンからオフへの切り替えを緩やかにすることができ、コイル201を流れた電流の引き込み量を徐々に少なくすることができる。即ち、電源、トランジスタ102、コイル201、トランジスタ106及びグランドの順に流れる電流は、徐々になくなる。
【0024】
上記より、時刻t10経過後において、コイル201を流れた電流は、暫くはトランジスタ106を経由してグランドに流れるので、コイル201の電圧が急激に小さくなることを防ぐことができる。従って、時刻t10以降において、コイル201の電圧は、
図5に示すように、リレーの開放電圧Vr未満にならない。この結果、時刻t10以降において、リレースイッチ103は、オフになることはない。
【0025】
そして、コイル201を流れた電流は、トランジスタ106が非導通になった場合には、抵抗104を経由してグランドに流れる。これにより、コイル201の電圧は、電圧V11を維持する。
【0026】
<実施の形態1の効果>
本実施の形態では、リレースイッチ103のコイル201を流れた電流を引き込んでコイル201の電圧を高電圧にした場合において、コイル201を流れた電流の引き込み量を徐々に少なくしてコイル201の電圧を低下させることにより、コイル201の電圧を低下させる際にリレースイッチ103がオフすることを防ぐことができる。
【0027】
また、本実施の形態によれば、電源の供給開始時にコイル201の電圧を高電圧にするので、リレー駆動装置100を車載充電装置等の高温度環境に設けた場合であっても、リレースイッチ103を確実にオン動作させることができる。
【0028】
また、本実施の形態によれば、電源の供給を開始した後の所定時間経過後にコイル201の電圧を低下させるので、省電力にすることができる。
【0029】
(実施の形態2)
<リレー駆動装置の構成>
本発明の実施の形態2に係るリレー駆動装置600の構成について、
図6を用いて説明する。リレー駆動装置600は、例えば、HEV、PEVまたはEVといった蓄電池の電力で走行する車輌に搭載される車載充電装置に設けられている。
【0030】
図6に示すリレー駆動装置600は、
図3に示す実施の形態1に係るリレー駆動装置100と比較して、トランジスタ102を除き、トランジスタ602を追加し、制御部101の代わりに制御部601を有している。なお、
図6において、
図3と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0031】
リレー駆動装置600は、リレースイッチ103と、抵抗104と、時定数回路105と、トランジスタ106と、制御部601と、トランジスタ602とから主に構成されている。時定数回路105、トランジスタ106及び制御部601は、電圧調整部を構成している。
【0032】
制御部601の端子701は、図示しない電子機器に電源を供給する際に制御信号を、時定数回路105に出力する。制御部601の端子702は、トランジスタ602の導通と非導通とを切り替えるための制御信号をトランジスタ602に出力する。
【0033】
リレースイッチ103のコイル201は、一端が電源に接続され、他端が抵抗104及びトランジスタ602を介して接地されている。コイル201の一端には、電源より所定の電圧が印加される。なお、リレースイッチ103の上記以外の構成は上記実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
【0034】
抵抗104は、コイル201とトランジスタ602との間に直列に挿入されている。
【0035】
トランジスタ602のベースは、制御部601の端子702に接続している。トランジスタ602のコレクタは、抵抗104に接続している。トランジスタ602のエミッタは、接地されている。
【0036】
時定数回路105は、制御部601の端子701とトランジスタ106との間に設けられている。時定数回路105は、制御部601の端子701から入力した制御信号を遅延させてトランジスタ106のベースに出力する。時定数回路105は、制御部601の端子701からの制御信号の出力停止後に、制御信号に過渡的変化を生じさせる。なお、時定数回路105における上記以外の構成は上記実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
【0037】
<リレー駆動装置の動作>
本発明の実施の形態2に係るリレー駆動装置600の動作について、
図4〜
図6を用いて説明する。なお、トランジスタ106のオンとオフとの切り替えタイミングは
図4と同一であり、コイル201の電圧変化の時間推移は
図5と同一であるので、リレー駆動装置600の動作の説明には、
図6に加えて、
図4及び
図5を用いる。
【0038】
まず、
図4に示すように、時刻t0において、制御部601は、端子702より制御信号をトランジスタ602のベースに供給してトランジスタ602を導通させる。また、制御部601は、端子701より制御信号をトランジスタ106のベースに供給してトランジスタ106を導通させる。
【0039】
これにより、電源から供給される電流は、コイル201、トランジスタ106、及びグランドの順に流れる。即ち、コイル201を流れた電流は、トランジスタ106に引き込まれてトランジスタ106を経由してグランドに流れる。この際、コイル201の一端と他端との電位差が大きくなるので、コイル201の電圧は高くなる。例えば、コイル201の電圧は、
図5に示すようにV10になる。
【0040】
次に、制御部601は、時刻t0から所定時間経過後の時刻t10において、端子701からの制御信号の出力を停止する。この際、時定数回路105は、制御信号に過渡的変化を生じさせ、過渡的変化を生じさせた制御信号をトランジスタ106のベースに出力する。この結果、トランジスタ106では、
図4に示すように、オンからオフへの切り替えを緩やかにすることができ、コイル201を流れた電流の引き込み量を徐々に少なくすることができる。即ち、電源、コイル201、トランジスタ106及びグランドの順に流れる電流も、徐々になくなる。
【0041】
上記より、時刻t10経過後において、コイル201を流れた電流は、暫くはトランジスタ106を経由してグランドに流れるので、コイル201の電圧が急激に小さくなることを防ぐことができる。従って、時刻t10以降において、コイル201の電圧は、
図5に示すように、リレーの開放電圧Vr未満にならない。この結果、時刻t10以降において、リレースイッチ103は、オフになることはない。
【0042】
そして、コイル201を流れた電流は、トランジスタ106が非導通になった場合には、抵抗104及びトランジスタ602を経由してグランドに流れる。これにより、コイル201の電圧は、電圧V11を維持する。
【0043】
<実施の形態2の効果>
本実施の形態では、リレースイッチ103のコイル201を流れた電流を引き込んでコイル201の電圧を高電圧にした場合において、コイル201を流れた電流の引き込み量を徐々に少なくしてコイル201の電圧を低下させることにより、コイル201の電圧を低下させる際にリレースイッチ103がオフすることを防ぐことができる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、電源の供給開始時にコイル201の電圧を高電圧にするので、リレー駆動装置600を車載充電装置等の高温度環境に設けた場合であっても、リレースイッチ103を確実にオン動作させることができる。
【0045】
また、本実施の形態によれば、電源の供給を開始した後の所定時間経過後にコイル201の電圧を低下させるので、省電力にすることができる。
【0046】
(実施の形態3)
<リレー駆動装置の構成>
本発明の実施の形態3に係るリレー駆動装置800の構成について、
図7を用いて説明する。リレー駆動装置800は、例えば、HEV、PEVまたはEVといった蓄電池の電力で走行する車輌に搭載される車載充電装置に設けられている。
【0047】
図7に示すリレー駆動装置800は、
図3に示す実施の形態1に係るリレー駆動装置100と比較して、トランジスタ102、時定数回路105及びトランジスタ106を除き、可変抵抗802及びトランジスタ803を追加し、制御部101の代わりに制御部801を有している。なお、
図6において、
図3と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0048】
リレー駆動装置800は、リレースイッチ103と、抵抗104と、制御部801と、可変抵抗802と、トランジスタ803とから主に構成されている。制御部801及び可変抵抗802は、電圧調整部を構成している。
【0049】
制御部801の端子901は、図示しない電子機器に対する電源の供給開始時及び供給開始後に、可変抵抗802に対して制御信号を出力して、可変抵抗802の抵抗値を変化させる。制御部801の端子902は、トランジスタ803の導通と非導通とを切り替えるための制御信号をトランジスタ803のベースに出力する。
【0050】
リレースイッチ103のコイル201は、一端が電源に接続され、他端が抵抗104及びトランジスタ803を介して接地されている。コイル201の一端には、電源より所定の電圧が印加される。なお、リレースイッチ103の上記以外の構成は上記実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
【0051】
抵抗104は、コイル201とトランジスタ803との間に直列に挿入されている。
【0052】
可変抵抗802は、一端がコイル201の他端に接続され、他端が接地されている。可変抵抗802は、電子機器に対する電源の供給開始時に、制御部801から入力する制御信号による制御に従って抵抗値を可変し、コイル201を流れた電流を引き込んで、抵抗104を介さずにグランドに流す引き込み動作を行う。可変抵抗802は、電子機器に対する電源の供給開始後に、制御部801から入力する制御信号による制御に従って抵抗値を可変し、コイル201を流れた電流の引き込み量を徐々に少なくする。
【0053】
トランジスタ803のベースは、制御部801の端子902に接続している。トランジスタ803のコレクタは、抵抗104に接続している。トランジスタ803のエミッタは、接地されている。
【0054】
<リレー駆動装置の動作>
本発明の実施の形態3に係るリレー駆動装置800の動作について、
図7〜
図9を用いて説明する。
【0055】
まず、
図8に示すように、時刻t0において、制御部801は、端子902より制御信号をトランジスタ803のベースに供給してトランジスタ803を導通させる。また、制御部801は、端子901より制御信号を可変抵抗802に供給して、可変抵抗802の抵抗値をXΩに低下させる。なお、抵抗値Xは、抵抗104の抵抗値に比べて、極めて小さい(抵抗値X<<抵抗104の抵抗値)。
【0056】
これにより、電源から供給される電流は、コイル201、可変抵抗802、及びグランドの順に流れる。即ち、コイル201を流れた電流は、可変抵抗802に引き込まれて可変抵抗802を経由してグランドに流れる。この際、コイル201の一端と他端との電位差が大きくなるので、コイル201の電圧は高くなる。例えば、コイル201の電圧は、
図9に示すようにV20になる。
【0057】
次に、制御部801は、時刻t0から所定時間経過後の時刻t20において、端子901より制御信号を可変抵抗802に供給して可変抵抗802の抵抗値を、
図8に示すように、XΩからY(X<Y)Ωまで徐々に高くする。この結果、可変抵抗802では、コイル201を流れた電流の引き込み量を徐々に少なくすることができる。即ち、電源、コイル201、可変抵抗802及びグランドの順に流れる電流は、徐々になくなる。なお、抵抗値Yは、抵抗104の抵抗値に比べて、極めて大きい(抵抗値Y>>抵抗104の抵抗値)。
【0058】
上記より、時刻t20経過後において、コイル201を流れた電流は、暫くは可変抵抗802を経由してグランドに流れるので、コイル201の電圧が急激に小さくなることを防ぐことができる。従って、時刻t20以降において、コイル201の電圧は、
図9に示すように、リレーの開放電圧Vr未満にならない。この結果、時刻t20以降において、リレースイッチ103は、オフになることはない。
【0059】
そして、コイル201を流れた電流は、可変抵抗802の抵抗値がYΩになった場合には、抵抗104及びトランジスタ803を経由してグランドに流れる。これにより、コイル201の電圧は、電圧V21を維持する。
【0060】
<実施の形態3の効果>
本実施の形態では、上記実施の形態1の効果に加えて、リレースイッチ103のコイル201を流れた電流を、可変抵抗802を用いて引き込むので、簡易な構成にすることができる。
【0061】
<全ての実施の形態に共通の変形例>
上記実施の形態1〜実施の形態3において、電子機器に対して電源の供給を開始してから所定時間経過後に引き込み量を徐々に少なくしたが、温度センサーにより検出した温度が所定温度以下になった場合に引き込み量を徐々に少なくするようにしてもよい。これにより、リレー駆動装置を高温度の環境で使用する場合に、高温度の環境においてリレースイッチを確実にオンさせることができ、かつ比較的低温度の環境において省電力にすることができる。
【0062】
また、上記実施の形態1〜実施の形態3において、リレー駆動装置を車載充電器に設けたが、リレー駆動装置を車載充電器以外の任意の装置に設けることができる。