特許第6044939号(P6044939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6044939触感的な感覚を呈示する方法およびその装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044939
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】触感的な感覚を呈示する方法およびその装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20161206BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20161206BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   G06F3/041 480
   G06F3/01 560
   G06F3/041 422
   G06F3/044 124
【請求項の数】5
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-522417(P2014-522417)
(86)(22)【出願日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】JP2013003871
(87)【国際公開番号】WO2014002450
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2015年12月14日
(31)【優先権主張番号】特願2012-147244(P2012-147244)
(32)【優先日】2012年6月29日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-159780(P2012-159780)
(32)【優先日】2012年7月18日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-159783(P2012-159783)
(32)【優先日】2012年7月18日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-159785(P2012-159785)
(32)【優先日】2012年7月18日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-171418(P2012-171418)
(32)【優先日】2012年8月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100125874
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 純市
(72)【発明者】
【氏名】和久田 大介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 武
(72)【発明者】
【氏名】小掠 哲義
(72)【発明者】
【氏名】平野 浩一
【審査官】 笠田 和宏
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/002451(WO,A1)
【文献】 特開2012−114920(JP,A)
【文献】 特開2004−319255(JP,A)
【文献】 特開2008−146649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G06F 3/01
3/03− 3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一平面上に、絶縁膜で覆われた複数の第1の電極を配置し、
同一平面上に、上面を外部に露出した複数の第2の電極を配置し、
前記複数の第1の電極のうちの一部の第1の電極に時間的に変化する第1の電圧を印加し、その一部の第1の電極により変化する電界を発生する第1の動作と、前記複数の第2の電極のうちの一部の第2の電極に時間的に変化する第1の電流を加え、その一部の第2の電極から導体を介して、その一部の第2の電極とは異なる第2の電極へ電流を流す第2の動作と、を並行して行い、
更に、前記複数の第1の電極のうちの一部の第1の電極に時間的に変化する第2の電圧を印加し、その状態において残りの第1の電極のうちの少なくとも一部の第1の電極に生じる電圧を検出し、検出した電圧に基づいて自装置近傍に存在する誘電体の位置を検出する第3の動作を行い、
前記第3の動作と、前記第1の動作とを、時分割で又は空間分割で行い、
前記第1の動作を発生させる前記第1の電極の場所と、
前記第2の動作を発生させる前記第2の電極の場所とが、
前記第3の動作で検出される自装置近傍に存在する誘電体の位置に基づき決定されることを特徴とする
触感呈示方法。
【請求項2】
同一平面上に、絶縁膜で覆われた複数の第1の電極を配置し、
同一平面上に、上面を外部に露出した複数の第2の電極を配置し、
前記複数の第1の電極のうちの一部の第1の電極に時間的に変化する第1の電圧を印加し、その一部の第1の電極により変化する電界を発生する第1の動作と、前記複数の第2の電極のうちの一部の第2の電極に時間的に変化する第1の電流を加え、その一部の第2の電極から導体を介して、その一部の第2の電極とは異なる第2の電極へ電流を流す第2の動作と、を並行して行い、
更に、前記複数の第1の電極のうちの一部の第1の電極に時間的に変化する第2の電圧を印加し、その状態において残りの第1の電極のうちの少なくとも一部の第1の電極に生じる電圧を検出し、検出した電圧に基づいて自装置近傍に存在する誘電体の位置を検出する第3の動作を行い、
前記複数の第2の電極のうちの一部の第2の電極に時間的に変化する第3の電圧を印加し、その状態において残りの第2の電極のうちの少なくとも一部の第2の電極に生じる電圧を検出し、検出した電圧に基づいて自装置近傍に存在する誘電体の位置を検出する第4の動作と、
前記第2の動作とを、時分割で又は空間分割で行い、
前記第1の動作を発生させる前記第1の電極の場所と、
前記第2の動作を発生させる前記第2の電極の場所とが、
前記第4の動作で検出される自装置近傍に存在する誘電体の位置に基づき決定されることを特徴とする
触感呈示方法。
【請求項3】
同一平面上に、絶縁膜で覆われた複数の第1の電極を配置し、
同一平面上に、上面を外部に露出した複数の第2の電極を配置し、
前記複数の第1の電極のうちの一部の第1の電極に時間的に変化する第1の電圧を印加し、その一部の第1の電極により変化する電界を発生する第1の動作と、前記複数の第2の電極のうちの一部の第2の電極に時間的に変化する第1の電流を加え、その一部の第2の電極から導体を介して、その一部の第2の電極とは異なる第2の電極へ電流を流す第2の動作と、を並行して行い、
更に、前記複数の第1の電極のうちの一部の第1の電極に時間的に変化する第2の電圧を印加し、その状態において残りの第1の電極のうちの少なくとも一部の第1の電極に生じる電圧を検出し、検出した電圧に基づいて自装置近傍に存在する誘電体の位置を検出する第3の動作を行い、
前記複数の第1の電極のうちの一部の第1の電極に時間的に変化する第2の電圧を印加し、その状態において残りの第1の電極のうちの少なくとも一部の第1の電極に生じる電圧を検出し、検出した電圧に基づいて自装置近傍に存在する誘電体の位置を検出する第3の動作と、
前記第1の動作とを、時分割で又は空間分割で行い、
前記複数の第2の電極のうちの一部の第2の電極に時間的に変化する第3の電圧を印加し、その状態において残りの第2の電極のうちの少なくとも一部の第2の電極に生じる電圧を検出し、検出した電圧に基づいて自装置近傍に存在する誘電体の位置を検出する第4の動作と、
前記第2の動作とを、時分割で又は空間分割で行い、
前記第1の動作を発生させる前記第1の電極の場所と、
前記第2の動作を発生させる前記第2の電極の場所とが、
前記第3の動作と、
前記第4の動作とで
検出される自装置近傍に存在する誘電体の位置に基づき決定されることを特徴とする
触感呈示方法。
【請求項4】
画像と重畳して、画像に対応した触感を提示することを特徴とする、請求項1乃至3のうちのいずれか一に記載の触感呈示方法。
【請求項5】
前記時間的に変化する第1の電圧の電圧強度およびその周期およびその間隔と、
前記時間的に変化する第1の電流の電流強度およびその周期およびその間隔とが
呈示する触感に従って決定されることを特徴とする
請求項1乃至4のうちのいずれか一に記載の触感呈示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、操作者に対し触感的な感覚を呈示する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やゲーム機器等のタッチパネル操作機器において、液晶画面上に表示されたボタンやアイコンを視認しながら、同時に指やペン等で画面上に積層されたタッチパネル上の特定部分を触ることにより機器を操作することが増加している。
【0003】
しかしながら、画面上に表示されるボタンやアイコンは画像のみであり物理的・触感的な形状を有しない。そのため、操作者は、視覚による表示位置の認識が不可欠であり、一方、押下感等の実際の入力感覚を持つことはない。
【0004】
なお、特許文献1に記載の感覚刺激のための方法および装置は、静電気力を用いることにより、操作者に触感を呈示する。また、特許文献2に記載の触感呈示装置及びその駆動方法は、皮膚表面に直接電気的な刺激を印加することにより、操作者に触感を呈示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−87359号公報
【特許文献2】特開2005−85048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の感覚刺激のための方法および装置は、感覚刺激装置表面に配置された2つの平面電極に異なる電位を発生させ、それぞれの電極付近に指を近接させることにより、電極−指−電極の回路を構成する。指−電極間に静電気力が発生することで、擬似的に感覚刺激を発生させている。しかしながら、静電気力による刺激は指表面にのみ作用するため、表現可能な触感が限定される。
【0007】
特許文献2に記載の触感呈示装置およびその駆動方法は、電極アレイに指をのせ、接触した皮膚に電流を通電させ皮膚の感覚神経を刺激することにより、触覚情報を呈示している。しかしながら、電流通電による刺激も表現可能な触感が限定される。
【0008】
本開示は、電流刺激による触感呈示と静電気力による触感呈示とによる複雑な触感の呈示を可能とする触覚呈示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る触感呈示装置は、
同一平面上に配置された、絶縁膜で覆われた複数の第1の電極と、
同一平面上に配置された、上面を外部に露出した複数の第2の電極と、
前記複数の第1の電極のうちの一部の第1の電極に時間的に変化する第1の電圧を印加し、その一部の第1の電極により変化する電界を発生する第1の動作と、前記複数の第2の電極のうちの一部の第2の電極に時間的に変化する第1の電流を加え、その一部の第2の電極から導体を介して、その一部の第2の電極とは異なる第2の電極へ電流を流す第2の動作と、を並行して行う制御部と、
を備える
触感呈示装置である。
【発明の効果】
【0010】
本開示における触感呈示装置は、静電気力を利用する静電型触感呈示力の低下を招くことなく、電流刺激による触感呈示と静電気力による触感呈示とを両立させ、複雑な触感を呈示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(1)は、本発明の実施の形態1に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置の一部の平面図である。図1(2)は、図1(1)に示す触感呈示装置の「A−A」を通る平面での縦断面図である。
図2図2(1)は、図1(1)に示す触感呈示装置における第1の電極を静電型触感呈示電極として機能させた状態の一例を示す図である。図2(2)は、電圧源が発生する電圧の駆動波形である。図2(3)は、図2(1)の触感呈示装置における第1の電極表面上に指を配置した際の状況を示す一部断面図である。
図3図3(1)は、図1(1)に示す触感提示装置における第2の電極を電流型触感呈示電極として機能させた状態の一例を示す図である。図3(2)は、電流源が発生する電流の駆動波形である。図3(3)は、図3(1)の触感提示装置における第2の電極表面上に指を配置した際の状況を示す一部断面図である。
図4図1(1)に示す触感呈示装置における第1の電極をタッチセンサとして機能させた状態の一例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態2に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置における第1の電極の構成を示す図である。
図6図6(1)は、本発明の実施の形態3に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置の一部の平面図である。図6(2)は、図6(1)に示す触感呈示装置の「A−A」を通る平面での縦断面図である。
図7図7(1)は、電流型触感呈示機能とタッチセンサ機能とを兼用する電極の組み合わせパターンを示す表である。図7(2)は、静電型触感呈示機能とタッチセンサ機能とを兼用する電極の組み合わせパターンを示す表である。
図8図1に示すような、静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが同一平面に配置される触感呈示装置において、電流型触感呈示電極とタッチセンサ電極とが、及び、静電型触感呈示電極とタッチセンサ電極とが、空間分割若しくは時分割により機能を分割する際の、分割組み合わせを示す表である。
図9図6に示すような、静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが別平面に配置される触感呈示装置において、電流型触感呈示電極とタッチセンサ電極とが、及び、静電型触感呈示電極とタッチセンサ電極とが、空間分割若しくは時分割により機能を分割する際の、分割組み合わせを示す表である。
図10】電流型触感呈示電極が、無次元方式、パッシブマトリックス方式、若しくはアクティブマトリックス方式を用いることを示す表と、静電型触感呈示電極が、無次元方式、パッシブマトリックス方式、若しくはアクティブマトリックス方式を用いることを示す表である。
図11】触感呈示電極の組み合わせの一例を実現する触感呈示装置の構成を示す図である。
図12図12(1)は、図11に示す触感呈示装置における第1の電極が、静電型触感呈示電極として動作する様子を示す図である。図12(2)は、図11に示す触感呈示装置における第2の電極が、電流型触感呈示電極として動作する様子を示す図である。
図13】触感呈示電極の組み合わせの一例を実現する触感呈示装置の構成を示す図である。
図14図14(1)は、図13に示す触感呈示装置における第1の電極が、タッチセンサ電極若しくは静電型触感呈示電極として動作する様子を示す図である。図14(2)は、図13に示す触感呈示装置における第2の電極が、電流型触感呈示電極として動作する様子を示す図である。
図15A】静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが同一平面に配置される触感呈示装置であって、電流型触感呈示電極と静電型触感呈示電極とが何れも専用電極として機能する触感呈示装置の製造方法の概略を示している。
図15B】静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが同一平面に配置される触感呈示装置であって、電流型触感呈示電極と静電型触感呈示電極とが何れも専用電極として機能する触感呈示装置の製造方法の概略を示している。図15Aとは、断面の位置が異なる。
図16A】静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが同一平面に配置される触感呈示装置であって、電流型触感呈示電極と静電型触感呈示電極とが何れも専用電極として機能する触感呈示装置の製造方法の概略を示している。
図16B】静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが同一平面に配置される触感呈示装置であって、電流型触感呈示電極と静電型触感呈示電極とが何れも専用電極として機能する触感呈示装置の製造方法の概略を示している。図16Aとは、断面の位置が異なる。
図17A】静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが別平面に配置される触感呈示装置であって、電流型触感呈示電極と静電型触感呈示電極とが何れも専用電極として機能する触感呈示装置の製造方法の概略を示している。
図17B】静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが別平面に配置される触感呈示装置であって、電流型触感呈示電極と静電型触感呈示電極とが何れも専用電極として機能する触感呈示装置の製造方法の概略を示している。図17Aとは、断面の位置が異なる。
図18A】静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが別平面に配置される触感呈示装置であって、電流型触感呈示電極と静電型触感呈示電極とが何れも専用電極として機能する触感呈示装置の製造方法の概略を示している。
図18B】静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが別平面に配置される触感呈示装置であって、電流型触感呈示電極と静電型触感呈示電極とが何れも専用電極として機能する触感呈示装置の製造方法の概略を示している。図18Aとは、断面の位置が異なる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特許文献1に記載の感覚刺激のための方法および装置は、静電気力による触感呈示を可能とするものである。一方、特許文献2に記載の触感呈示装置およびその駆動方法は、電流刺激による触感呈示を可能とするものである。これら装置及び方法による、電流刺激による触感呈示と静電気力による触感呈示とを、一つの触感呈示装置に搭載すれば、静電気力による間接的な触感と電流刺激による直接的な触感との異なる触感を同時に呈示することができる。しかしながら、静電気力による触感呈示装置に電流刺激による触感呈示電極を形成した場合、静電気力を利用する触感呈示電極層は、絶縁膜をはさみ電流刺激による触感呈示電極層の背面に配置されることになる。この場合、静電型触感呈示力の低下が避けられない。
【0013】
そこで、本開示では、静電気力を利用する静電型触感呈示力の低下を招くことなく、電流刺激による触感呈示と静電気力による触感呈示とを両立させ、複雑な触感の呈示を可能とする触覚呈示装置を提供している。
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
(実施の形態1)
1.1.触感呈示装置の構成
図1(1)は、本発明の実施の形態1に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置2の一部の平面図であり、図1(2)は、図1(1)に示す触感呈示装置2の、AAを通る平面での縦断面図である。
【0016】
図1に示す触感呈示装置2において、第1の電極101は、同一平面状に配置された100nm厚のITO(酸化インジウムスズ)からなる複数の静電型触感呈示電極4である。第1の電極101の形状は、一辺が0.8mmである正方形の略4分の3を占める五角形であり、正方形の中心間ピッチ1mm、電極間隔0.2mmで同一平面状に並べられている。
【0017】
第2の電極102は、同一平面状に配置された100nm厚のITO(酸化インジウムスズ)からなる複数の電流型触感呈示電極6である。第2の電極102の形状は、一辺が0.8mmである正方形であり、正方形の中心間ピッチ2mm、第1の電極101と間隔0.2mm隔てて同一平面状に並べられている。
【0018】
第1の引き出し電極103は、第1の電極101の下部に配置され、面内の一方向に引き出された複数の電極である。第2の引き出し電極104は、第1の電極101の下部に配置され、第1の引き出し電極103とは異なる一方向に引き出された複数の電極である。それぞれ、厚さ100nm、線幅50μmのITO(酸化インジウムスズ)から構成されている。
【0019】
第3の引き出し電極105は、第2の電極102の下部に配置され、面内の一方向に引き出された複数の電極である。第4の引き出し電極106は、第2の電極102の下部に配置され、第3の引き出し電極105とは異なる一方向に引き出された複数の電極である。それぞれ、厚さ100nm厚、線幅50μmのITO(酸化インジウムスズ)から構成されている。
【0020】
絶縁膜107は、第1の電極101の上部を覆うようにして配置されたガラスよりなる絶縁体であり、第1の電極101の表面における厚みが1μmである。基板108は、第1の電極101、及び、第2の電極102の下部に接する、ガラスよりなる絶縁体である。
【0021】
複数の第1の電極101は、それぞれの下部において第1の引き出し電極103若しくは第2の引き出し電極104に電気的に接続されている。同様に、複数の第2の電極102は、それぞれの下部において第3の引き出し電極105若しくは第4の引き出し電極106に電気的に接続されている。
【0022】
以下に説明するように、図1(1)に示す触感呈示装置2は、第1の電極101を静電型触感呈示電極として機能させ、第2の電極102を電流型触感呈示電極として機能させ、更に、第1の電極101をタッチセンサ電極として機能させる。
【0023】
本実施形態の触感提示装置2では、パッシブマトリックス方式を採用している。これにより、複数の第1の電極101のうち静電型触感呈示電極として機能させる第1の電極101を第1の引き出し電極103の単位または第2の引き出し電極104の単位で選択することができる。
また、複数の第2の電極102のうち電流型触感呈示電極として機能させる第2の電極102を第3の引き出し電極105の単位または第4の引き出し電極106の単位で選択することができる。
更に、複数の第1の電極101のうちタッチセンサ電極として機能させる第1の電極101を第1の引き出し電極103の単位または第2の引き出し電極104の単位で選択することができる。
触感呈示装置2の制御部は、第1の電極101を、静電型触感呈示電極またはタッチセンサ電極として、時分割で機能させる。なお、制御部は後述するデータ処理部により構成される。
【0024】
なお、上述の各電極の大きさや配置ピッチは一例に過ぎず、もちろん別のものであってもよい。
【0025】
1.2.触感呈示装置における静電触感呈示の動作
図2(1)は、図1(1)に示す触感呈示装置2における第1の電極101を、静電型触感呈示電極として機能させた状態の一例を示す図である。図2(1)に示す触感呈示装置2において、第1の電極101のうちの一部が正の静電作用電極111として使用されており、残りの第1の電極101のうちの一部が負の静電作用電極112として使用されている。正の静電作用電極111には規定の電圧が印加される。
【0026】
図2(3)は、図2(1)の触感呈示装置2における第1の電極101表面上に指を配置した際の状況を示す一部断面図である。図2(3)に示すように、正の静電作用電極111と負の静電作用電極112との上部を覆うように絶縁膜107が形成されており、人間の指等の誘電体110は、その絶縁膜107上に置かれる。なお、正の静電作用電極111と負の静電作用電極112との間には、電圧源113が設定されている。
【0027】
図2(2)は、電圧源113が発生する電圧の駆動波形である。電圧源113により、正の静電作用電極111には正の電圧が、負の静電作用電極112には負の電圧が印加される。このとき、絶縁膜107を挟んで誘電体(指)110には、対向する電界が発生する。具体的には、正の静電作用電極111に対向する部分には負の電荷が、負の静電作用電極112に対向する部分には正の電荷が発生する。このことにより、誘電体(指)110の電荷と正の静電作用電極111との間、及び、誘電体(指)110の電荷と負の静電作用電極112の間には、静電気力が働き、誘電体(指)110は、静電作用電極111、112の方向に静電気力を受ける。電圧源113の電圧を時間的に変動させることにより、誘電体(指)110が受ける静電気力は変化し、誘電体(指)110はその表面で振動を感じることになる。
【0028】
通常、指を物体表面に平行に移動させると、物体表面の凹凸から振動を受け、その振動の強度及び周波数により、ざらざら、すべすべなどの触感を感じる。前述の静電気力を利用して指に振動を感じさせることにより、擬似的にざらざら感やすべすべ感を与えることができる。
【0029】
具体的には、正の静電作用電極111に5〜200V、負の静電作用電極112に0V、周波数20〜500Hzの電圧を印加すると、ざらざらする感触を得ることができる。更に、高い電圧である程ざらざらの強度が強く、低い電圧である程ざらざらの強度が弱い。印加される電圧が0〜5Vであれば、ざらざら感を得ることはなく、ガラスのような滑らかな触感を得ることができる。また、低い周波数では荒い表面の感覚が得られ、高い周波数では細かな表面の感覚が得られる。このように、0〜200Vの電圧、0〜500Hzの周波数において、ガラスのような滑らかな触感から、ざらざらの触感までを表現することができる。
【0030】
1.3.触感呈示装置における電流触感呈示の動作
図3(1)は、図1(1)に示す触感提示装置2における第2の電極102を、電流型触感呈示電極として機能させた状態の一例を示す図である。図3(1)に示す触感提示装置2において、第2の電極102のうちの一部が正の電流作用電極115として使用されており、残りの第2の電極102のうちの一部が負の電流作用電極116として使用されている。正の電流作用電極115には規定の電流が流される。
【0031】
図3(3)は、図3(1)の触感提示装置2における第2の電極102表面上に指を配置した際の状況を示す一部断面図である。図3(3)に示すように、正の電流作用電極115と負の電流作用電極116との上部を覆って、人間の指等の導体114が置かれる。なお、正の電流作用電極115と負の電流作用電極116との間には、電流源117が設定されている。
【0032】
図3(2)は、電流源117が発生する電流の駆動波形である。電流源117により、正の電流作用電極115から負の電流作用電極116に電流が流れる。即ち、導体である指114に電流が流れる。このことにより、皮膚の感覚神経が直接刺激される。電流源117の電流を時間的に変動させることにより、導体(指)114が受ける刺激は変化し、導体(指)114は振動を感じることになる。
【0033】
通常、指を段差のある表面に平行に移動させると、段差の部分から振動を受け、その振動の強度及び周波数により、段差の大きさや段差の間隔などの触感を感じる。前述の電流刺激を利用して振動を感じさせることにより、擬似的に段差による凹凸感を与えることができる。
【0034】
具体的には、正の電流作用電極115と負の電流作用電極116の間に0〜10mA、周波数1〜1200Hzの電流を印加すると、段差による凹凸感を得ることができる。更に、大きい電流である程段差は大きく、小さい電流である程段差は小さく感じられる。電流が0.5mA未満であれば、段差を感じることはなく、平らなガラスのような触感を得ることができる。従って、0〜10mAの電流、1〜1200Hzの周波数において、平らなガラスのような触感から、段差を有する面をなぞった触感までを表現することができる。
【0035】
前述のように、静電用触感呈示電極は、ざらざら感やすべすべ感を与えることができる。一方、電流型触感呈示電極は、段差による凹凸感を与えることができる。微細な電極である両電極を多数混合して併せ持つ本実施形態の触感呈示装置は、ざらざら感と凸凹感とを混合させた複雑な触感を与えることができる。
【0036】
1.4.触感呈示装置におけるタッチパネルの動作
【0037】
図4は、図1(1)に示す触感呈示装置2における第1の電極101を、タッチセンサ電極として機能させた状態の一例を示す図である。
【0038】
図4に示す例では、複数の第2の引き出し電極104のうちの、第2の引き出し電極104Bに、ドライブ電圧(タッチ駆動)を印加し、各第1の引き出し電極103の電位を順次検出する(タッチセンス)。これにより、複数の第1の電極101のうち、第2の引き出し電極104Bに電気的に接続された第1の電極101がドライブ電極101Bとして動作し、第1の引き出し電極103に接続された第1の電極101がセンス電極101Aとして動作する。
【0039】
ドライブ電極101Bに例えば交流信号を印加した場合、ドライブ電極101Bとセンス電極101Aの間の容量に応じた交流信号が第1の引き出し電極103から得られる。ドライブ電極101Bとセンス電極101Aの位置に人間の指等の誘電体が存在する場合と存在しない場合とで、ドライブ電極101Bとセンス電極101Aの間の静電容量が異なる。このため、ドライブ電極101Bに交流電圧を印加し、センス電極101Aの波形を測定することにより、ドライブ電極101Bとセンス電極101Aの間の容量を検出することができる。そして、この容量に基づいて、人間の指等の誘電体の有無を検出することができる。また、駆動した第2の引き出し電極104と信号を検出した第1の引き出し電極103の位置により人間の指等の誘電体の位置を特定することが可能になる。さらに、交流電圧を印加する第2の引き出し電極104を例えば隣接する第2の引き出し電極104に順次変更することにより、ドライブ電極101Bとして機能させる第1の電極101を順次変更することができる。これにより、複数の第1の電極101が配置された触感呈示装置2をタッチパネルとして動作させ、タッチパネルのタッチ面内における人間の指等の誘電体の位置を検出することができる。
【0040】
1.5.本実施形態の変形例
本実施形態では、第1の電極101が、タッチセンサのドライブ電極、タッチセンサのセンス電極、触感提示用の正の静電作用電極、及び触感提示用の負の静電作用電極として動作するように構成されている。もちろん、第2の電極102が、タッチセンサのドライブ電極、タッチセンサのセンス電極、触感提示用の正の電流作用電極、及び触感提示用の負の電流作用電極として動作するように、第3の引き出し電極105及び第4の引き出し電極106が構成されることも可能である。
【0041】
本実施形態において、第1の電極101の形状は5角形としたが、静電触感呈示機能またはタッチパネル機能に使用するためには、人間の指等との間に静電容量を形成するものであれば、特に限定されない。例えば、正方形や長方形、6角形、円形などでもよい。
【0042】
また、第2の電極102の形状は正方形としたが、電流触感呈示機能に使用するためには、人間の指等に電流を流すことができれば特に限定されない。例えば、長方形、6角形、円形などでもよい。
【0043】
また、第1の電極101、第2の電極102、第1の引き出し電極103、第2の引き出し電極104、第3の引き出し電極105、第4の引き出し電極106を構成する材料は、100μm厚のITOとしたが、電気的に導体であればこれに限定されないことは明らかである。例えばITOの他に、ZnO(酸化亜鉛)などの金属酸化物や、AlやCu、Ag、Auなどの金属、導電性有機材料などを使用してもよい。
【0044】
また、絶縁膜107および基板108としてガラスを用いたが、絶縁材料であれば特に材料は限定されない。例えば、PET、ポリイミド等の有機絶縁体などを用いてもよい。また、第1の電極101、第2の電極102、第1の引き出し電極103、第2の引き出し電極104、第3の引き出し電極105、第4の引き出し電極106、及び、絶縁膜107の材料として、ITOやZnO、ガラスなどの可視光線に対して「透明」な材料を用いれば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイなどの画像表示装置の前面にタッチパネル機能つき触感提示装置を配置しても、画像表示装置の表示機能を損なうことがない。
ここで、「透明」とは人間の目で見たときに画像を視認することができるという意味である。したがって、可視光域の波長の光の透過率が低くともディスプレイに表示される画像を視認できる程度であれば良い。
また、第1の電極101、第2の電極102、第1の引き出し電極103、第2の引き出し電極104、第3の引き出し電極105、第4の引き出し電極106は、可視光の波長域で透明でなくとも人間の目に視認できない程度に細いAgなどの金属やカーボン繊維を用いることも可能である。
【0045】
本実施形態において、第1の電極101の表面を覆う絶縁膜107の厚みは1μmとしたが、厚みはこれに限定されない。
【0046】
正の静電作用電極111と負の静電作用電極112の間に時間的に変化する電圧が印加されている状態において、誘電体(指)110が絶縁膜107の表面近傍に存在しているときにおける、誘電体(指)110が第1の電極101から受ける単位面積あたりの静電気力の変化量Δf/Sは、以下の数1の式により表される。
【数1】
【0047】
数1の式において、Δfは誘電体(指)101が受ける力の変化量、Sは第1の電極101が構成する平面への誘電体(指)101の投影面積、つまり、誘電体(指)101と第1の電極101とが構成する容量の面積、εrは絶縁膜107の比誘電率、ε0は真空中の誘電率、ΔVは第1の電極101と誘電体(指)110の間に発生する電位差の最大値(正の静電作用電極111と負の静電作用電極112の間の電位差であり、正の静電作用電極111(負の静電作用電極112)の電位の時間的変化量でもある)、hは第1の電極101と誘電体(指)110の間の距離である。使用中においては、通常、誘電体(指)110は絶縁膜107の表面に接触しているので、hは、第1の電極1表面側の絶縁膜7の厚みとなる。数1の式より、単位面積当たりの力の変化量Δf/Sは電圧差ΔVの2乗に比例し、絶縁膜107の厚みhの2乗に反比例することがわかる。本実施形態において、絶縁膜107の厚みhが1μm、電圧ΔVが0〜200Vにおいて触感提示機能が得られた。ΔV/h>5[V/μm]をみたせば十分な単位面積当たりの力の変化量Δf/Sが得られる。例えば、絶縁膜107の厚みが10μmであれば、電圧ΔVが50V以上の範囲において触感提示機能が得られる。
【0048】
1.6.まとめ
本実施形態の触感呈示装置は、静電型触感呈示電極と、電流型触感呈示電極とが同一平面上に配置されている。このことにより、本実施形態の触感呈示装置は、静電型触感呈示力の低下を招くことなく、電流刺激による触感呈示と静電気力による触感呈示とが両立され、よって複雑な触感の呈示を可能としている。
【0049】
(実施の形態2)
2.1.アクティブマトリックス方式の構成及び動作
本発明の実施の形態1に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置2は、パッシブマトリックス方式を採用している。これにより、複数の第1の電極101のうち静電型触感呈示電極として機能させる第1の電極101を第1の引き出し電極103の単位または第2の引き出し電極104の単位で選択している。また、実施の形態1に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置2は、複数の第1の電極101のうちタッチセンサ電極として機能させる第1の電極101を第1の引き出し電極103の単位または第2の引き出し電極104の単位で選択している。更に、実施の形態1の触感呈示装置2の制御部は、第1の電極101を、静電型触感呈示電極またはタッチセンサ電極として、時分割で機能させる。
【0050】
これに対して、本発明の実施の形態2に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置2は、アクティブマトリックス方式を採用している。つまり、実施の形態2の触感呈示装置2の制御部は、第1の電極101を、静電型触感呈示電極またはタッチセンサ電極として、アクティブマトリックス方式で時分割で機能させる。以下、実施の形態2に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置2について、実施の形態1に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置2との差異を中心に説明する。
【0051】
図5は、実施の形態2に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置2における第1の電極101の構成を示す図である。図5に示す実施の形態2に係る触感呈示装置2における第1の電極101には、第1の引き出し電極103、及び、第2の引き出し電極104が接続している。更に、図5に示すように、第1の引き出し電極103、及び、第2の引き出し電極104は、いずれも、複数の信号線を含む。複数の信号線は、半導体回路71〜74に接続する。
【0052】
このような、第1の引き出し電極103、第2の引き出し電極104、及び、半導体回路71〜74を介して、実施の形態2の触感呈示装置2の制御部は、第1の電極101を、静電型触感呈示電極またはタッチセンサ電極として、時分割で機能させる。
【0053】
実施の形態2における、第1の引き出し電極103、第2の引き出し電極104、及び、半導体回路71〜74の構成について説明する。
【0054】
本実施形態では、第1の引き出し電極103は、Y方向選択線(タッチ駆動)21、Y方向選択線(触感正)22、Y方向選択線(タッチセンス)23、Y方向選択線(触感負)24の4本の選択線を含む。
【0055】
第2の引き出し電極104は、ドライブ線(タッチ駆動)31、X方向選択線(タッチ駆動)32、ドライブ線(触感正)33、X方向選択線(触感正)34、ドライブ線(タッチセンス)35、X方向選択線(タッチセンス)36、ドライブ線(触感負)37、X方向選択線(触感負)38の8本の導線を含む。半導体回路7は、4つの同一の半導体回路71〜74を含む。
【0056】
半導体回路71は、X方向選択線(タッチ駆動)32、ドライブ線(タッチ駆動)31、Y方向選択線(タッチ駆動)21の交点に配置されている。半導体回路72は、X方向選択線(触感正)34、ドライブ線(触感正)33、Y方向選択線(触感正)22の交点に配置されている。半導体回路73は、X方向選択線(タッチセンス)36、ドライブ線(タッチセンス)35、Y方向選択線(タッチセンス)23の交点に配置されている。半導体回路74は、X方向選択線(触感負)38、ドライブ線(触感負)37、Y方向選択線(触感負)24の交点に配置されている。各半導体回路71〜74は第1の電極101に接続されている。
【0057】
図5に示す半導体回路71〜74のうち、所定の機能に関する半導体回路をON状態とすることにより、第1の電極101を、タッチセンサのドライブ電極101B、タッチセンサのセンス電極101A、触感提示機能の正の静電作用電極111、触感提示機能の負の静電作用電極112のうちのいずれかの電極として、機能させることが可能になる。
【0058】
具体的に、第1の電極101をタッチセンサのドライブ電極101Bとして機能させる場合を説明する。まず、タッチセンサのドライブ電極101Bとして機能させる第1の電極101に対応するX方向選択線(タッチ駆動)32とY方向選択線(タッチ駆動)21をON電圧にし、これらの選択線21、32の交点に位置する半導体回路71を充電する。次に、X方向選択線(触感正)34、X方向選択線(タッチセンス)36、X方向選択線(触感負)38をON電圧にした後、Y方向選択線(触感正)22、Y方向選択線(タッチセンス)23、Y方向選択線(触感負)24をOFF電圧にし、半導体回路72、73、74の電荷を放電する。こうすることにより、ドライブ線(タッチ駆動)31の電圧が第1の電極101に現れるとともに、この第1の電極101の電圧が、ドライブ線(触感正)33、ドライブ線(タッチセンス)35、ドライブ線(触感負)37の電圧に左右されなくなる。
【0059】
さらには、一定時間経過後、半導体回路71〜74を該当する第1の引き出し電極103および第2の引き出し電極104を用いて再充電もしくは放電することにより、各第1の電極101において異なる機能を持たせることが可能になる。
【0060】
前述の例では、半導体回路71〜74のうちの半導体回路71について示したが、半導体回路73の場合、当該半導体回路73を半導体回路71同様に動作させることにより、第1の電極101に表れる電荷・電位をドライブ線35を介して制御部に導くことができる。また、半導体回路72の場合、当該半導体回路72を半導体回路71同様に動作させることにより、触感提示用のドライブ電圧(触感正)をドライブ線33を介して制御部から第1の電極101に印加することができる。また、半導体回路74の場合、当該半導体回路74を半導体回路71同様に動作させることにより、触感提示用のドライブ電圧(触感負)をドライブ線37を介して制御部から第1の電極101に印加することができる。
【0061】
図5に示す構成では、1つの第1の電極101に対して4個の半導体回路71〜74が接続されている。そして、1個の第1の電極101が、タッチセンサのドライブ電極、タッチセンサのセンス電極、触感提示用の正の静電作用電極、及び触感提示用の負の静電作用電極のうちのいずれかの電極として時分割で機能するようになっている。しかしながら、1つの第1の電極101が前記4種類の電極としての機能をすべて果たすことが必要なわけではない。例えば、複数の第1の電極101のうちの半数がタッチセンサのドライブ電極としての機能と触感提示用の正の静電作用電極としての機能を果たし、残りの半数がタッチセンサのセンス電極としての機能と触感提示用の負の静電作用電極としての機能を果たすようにしてもよい。この場合、複数の第1の電極101全体でタッチセンサとしての機能と触感提示デバイスとしての機能を果たすことが可能となる。この場合、1つの第1の電極101に対して半導体回路71は2個だけでよくなり、半導体回路71の面積の縮小化と低価格化が可能になる。
【0062】
第1の電極101をタッチセンサとして機能させるか、触感提示デバイスとして機能させるかは、第1の電極101に与える信号の違いにより決まる。本実施形態では、第1の電極101に与える信号を、第1の電極101の下部に設けた4つの半導体回路71〜74により切り換える。しかし、これに限らない。例えば、制御部において第1の電極101に与える信号を切り替えることも可能である。その場合、1つの第1の電極101に対して4つの半導体回路71〜74を設ける必要はない。つまり、制御部から供給されるドライブ電圧等を第1の電極101に対して与えるか否かを制御するための半導体回路を1個だけ設ければよい。これにより、半導体回路7の面積の縮小化と低価格化が可能になる。
【0063】
2.1.本実施形態の変形例
本実施形態では、第1の電極101が、タッチセンサのドライブ電極、タッチセンサのセンス電極、触感提示用の正の静電作用電極、及び触感提示用の負の静電作用電極として動作するように構成されている。もちろん、第2の電極102が、タッチセンサのドライブ電極、タッチセンサのセンス電極、触感提示用の正の電流作用電極、及び触感提示用の負の電流作用電極として動作するように、第3の引き出し電極105及び第4の引き出し電極106が構成されることも可能である。
【0064】
(実施の形態3)
図6(1)は、本発明の実施の形態3に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置2の一部の平面図であり、図6(2)は、図6(1)に示す触感呈示装置2の、AAを通る平面での縦断面図である。
【0065】
図6及び図1に示すように、実施の形態3に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置は、実施の形態1に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置と略同様の構成を備える。但し、実施の形態1に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置では、第1の電極101と第2の電極102が同一平面状に配置されるのに対して、実施の形態3に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置では、第2の電極102と第1の電極101が、別の平面に配置される。
【0066】
即ち、図6(2)に示す実施の形態3に係る触感呈示装置基板2では、まず、基板108上面に複数の第1の電極(静電型触感呈示電極)101が配置される。複数の第1の電極(静電型触感呈示電極)101及び基板108を覆うようにして、絶縁膜107が配置される。更に、その絶縁膜107上面に、第2の電極(電流型触感呈示電極)102が配置される。
【0067】
第1の引き出し電極103が第1の電極101の下部に配置され、面内の一方向に引き出された複数の電極であること、及び、第2の引き出し電極104が第1の電極101の下部に配置され、第1の引き出し電極103とは異なる一方向に引き出された複数の電極であることは、実施の形態1の触感呈示装置と同様である。
また、第3の引き出し電極105が第2の電極102の下部に配置され、面内の一方向に引き出された複数の電極であること、及び、第4の引き出し電極106が第2の電極102の下部に配置され、第3の引き出し電極105とは異なる一方向に引き出された複数の電極であることも、実施の形態1の触感呈示装置と同様である。
更に、複数の第1の電極101が夫々の下部において第1の引き出し電極103若しくは第2の引き出し電極104に電気的に接続されていること、及び、複数の第2の電極102が夫々の下部において第3の引き出し電極105若しくは第4の引き出し電極106に電気的に接続されていることも、実施の形態1の触感呈示装置と同様である。
なお、実施の形態3に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置2の製造方法については後で説明する。
【0068】
その他、実施の形態3に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置2は、実施の形態1に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置と略同様の構成を備え、パッシブマトリックス方式のタッチパネル機能つき触感呈示装置として動作する。
【0069】
更に、図6に示す実施の形態3に係るタッチパネル機能つき触感呈示装置2において、第1の引き出し電極103、第2の引き出し電極104、第3の引き出し線105、第4の引き出し電極106、及び、半導体回路71〜74(図示せず)を適切に構成することにより、アクティブマトリックス方式のタッチパネル機能つき触感呈示装置として動作させることができる。
【0070】
(実施の形態4)
実施の形態1乃至実施の形態3にて説明したように、触感呈示装置における静電型触感呈示電極、及び、電流型触感呈示電極は、パッシブマトリックス方式として構成することができるし、アクティブマトリックス方式として構成することもできる。更に、図10に示すように、静電型触感呈示電極及び電流型触感呈示電極は、無次元方式として構成することもできる。ここで、無次元方式とは、全ての電極にて、同じ電圧若しくは電流が印加され、どの電極も同じ触感を呈示する方式である。
【0071】
また、実施の形態1乃至実施の形態3にて説明したように、タッチパネル機能つき触感呈示装置におけるタッチセンサ電極も、パッシブマトリックス方式として構成することができるし、アクティブマトリックス方式として構成することもできる。
【0072】
また、実施の形態1乃至実施の形態3における、電極(第1の電極101、第2の電極102)は、触感呈示電極の機能とタッチセンサ電極の機能を兼ね備えるものである。実施の形態1乃至実施の形態3においては、触感呈示電極の機能とタッチセンサ電極の機能とは、時分割により切り替わることを説明したが、触感呈示電極と、タッチセンサ電極とが、空間分割されて配置されていてもよい。図7(1)は、電流型触感呈示機能とタッチセンサ機能とを兼用する電極の組み合わせパターンを示す表であり、図7(2)は、静電型触感呈示機能とタッチセンサ機能とを兼用する電極の組み合わせパターンを示す表である。図7(1)(2)及び図10に示すように、触感呈示電極は、無次元方式、パッシブマトリックス方式、及び、アクティブマトリックス方式として構成され得る。タッチセンサ電極は、パッシブマトリックス方式、及び、アクティブマトリックス方式として構成され得る。
【0073】
図7(1)(2)に示すように、触感呈示電極の機能とタッチセンサ電極の機能を兼ね備える電極において、触感呈示電極と、タッチセンサ電極とは、空間分割されて配置され得る。触感呈示電極とタッチセンサ電極の何れかがアクティブマトリックス方式で構成される場合には、各電極は半導体回路(TFT)7を備える必要がある。このようにアクティブマトリックス方式で構成される場合には、一つの電極において触感呈示電極の機能とタッチセンサ電極の機能とが時分割で提供され得る。
【0074】
4.1.静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが同一平面に配置される触感呈示装置における組み合わせ
図8は、図1に示すような、静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが同一平面に配置される触感呈示装置において、電流型触感呈示電極とタッチセンサ電極とが、及び、静電型触感呈示電極とタッチセンサ電極とが、空間分割若しくは時分割により機能を分割する際の、分割の組み合わせを示す表である。
【0075】
例えば、図8における番号(1)は、電流型触感呈示電極が専用電極として機能し、静電型触感呈示電極がタッチセンサ電極と空間分割により機能を分割する、触感呈示装置における組合せを示している。「露出電極」の項では、電流型触感呈示電極が露出されていることを示しており、「非露出電極」の項では、タッチセンサ電極を兼ねる電圧(静電)型触感呈示電極が非露出である(即ち、絶縁膜で覆われている)ことを示している。
【0076】
また、例えば、図8における番号(3)は、電流型触感呈示電極が専用電極として機能し、静電型触感呈示電極がタッチセンサ電極と空間分割及び時分割により機能を分割する、触感呈示装置における組合せを示している。
【0077】
また、例えば、図8における番号(6)は、静電型触感呈示電極が専用電極として機能し、電流型触感呈示電極がタッチセンサ電極と空間分割及び時分割により機能を分割する、触感呈示装置における組合せを示している。
【0078】
また、例えば、図8における番号(9)は、電流型触感呈示電極がタッチセンサ電極と空間分割により機能を分割し、静電型触感呈示電極がタッチセンサ電極と空間分割及び時分割により機能を分割する、触感呈示装置における組合せを示している。
【0079】
また、例えば、図8における番号(12)は、電流型触感呈示電極がタッチセンサ電極と時分割により機能を分割し、静電型触感呈示電極がタッチセンサ電極と空間分割及び時分割により機能を分割する、触感呈示装置における組合せを示している。
【0080】
また、例えば、図8における番号(15)は、電流型触感呈示電極がタッチセンサ電極と空間分割及び時分割により機能を分割し、静電型触感呈示電極がタッチセンサ電極と空間分割及び時分割により機能を分割する、触感呈示装置における組合せを示している。
【0081】
更に、例えば、図8における番号(16)は、電流型触感呈示電極が専用電極として機能し、静電型触感呈示電極が専用電極として機能する、触感呈示装置における組合せを示している。この組み合わせの場合、触感呈示装置は、タッチパネル機能を備えない。
【0082】
4.2.静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが別平面に配置される触感呈示装置における組み合わせ
次に、図9は、図6に示すような、静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが別平面に配置される触感呈示装置において、電流型触感呈示電極とタッチセンサ電極とが、及び、静電型触感呈示電極とタッチセンサ電極とが、空間分割若しくは時分割により機能を分割する際の、分割の組み合わせを示す表である。
【0083】
図9に示す表は、図8に示す表と略同様のものであるが、図9に示す表には、電流型触感呈示電極が専用電極として機能し、静電型触感呈示電極が専用電極として機能する、触感呈示装置における組合せは示していない。
【0084】
4.3.1.触感呈示装置における触感呈示電極の組み合わせの例(1)
図11は、触感呈示電極の組み合わせの一例を実現する触感呈示装置の構成を示す図である。図11に示す触感呈示装置は、図8に示す番号(16)の組合せを実現するものであり、更に、図10に示すアクティブマトリックス方式を使用するものである。つまり、第1の電極101が静電型触感呈示電極としてのみ用いられ、第2の電極102が電流型触感呈示電極としてのみ用いられるものである。図11(1)は、触感呈示装置の、第1の電極101、第2の電極102、第1の引き出し電極103、第2の引き出し電極104、第3の引き出し電極105、及び、第4の引き出し電極106の構成を示す平面図である。図11(2)は、図11(1)に示す触感呈示装置の(a)及び(b)における縦断面図である。図11(3)は、データ処理部50、静電触感ドライバ部52、及び電流触感ドライバ部54を含めた触感呈示装置のブロック構成図である。
【0085】
図11(1)及び図11(2)に示されるように、第1の電極101及び第2の電極102の下部には、半導体回路(TFT)7が設けられている。また、図5でも示したように、第1の引き出し電極103、第2の引き出し電極104、第3の引き出し電極105、及び、第4の引き出し電極106は、複数の信号線により構成されている(αからの矢印参照)。更に、図11(3)に示すように、第1の引き出し電極103及び第2の引き出し電極104は、静電触感ドライバ部52に接続し、第3の引き出し電極105及び第4の引き出し電極106は、電流触感ドライバ部54に接続する。よって、データ処理部50は、静電触感ドライバ部52によって、第1の引き出し電極103及び第2の引き出し電極104を介して第1の電極101に与える信号を制御する。同様に、データ処理部50は、電流触感ドライバ部54によって、第3の引き出し電極105及び第4の引き出し電極106を介して第2の電極102に与える信号を制御する。
【0086】
ここで、データ処理部50は、入力される信号やデータの処理を行い、各種制御信号や制御データを出力することによって、触感呈示装置を構成する各部や外部装置の制御を行う制御部である。このデータ処理部50は、本実施形態に係る機能を実現するためのプログラムをプロセッサで実行することにより各機能を実現する。なお、データ処理部50は、本実施形態に係る機能を実現することが可能なハードワイヤードな素子により構成してもよい。
【0087】
なお、図11(3)に示すように、データ処理部50は、外部画像表示部56に係るデータの処理も行う。従って、図11に示す触感呈示装置は、外部画像表示部56と組み合わせて利用され得るものである。
【0088】
また、図11(3)に示すように、データ処理部50は、外部接触検知部58に係るデータの処理も行う。外部接触検知部58は、外部のタッチセンサ装置であり、操作者の身体の一部が近接した場合にその位置を検出する接触位置検出部を備えるものである。この機能を備えることにより、接触した身体の一部に対応する電極にのみに電気信号を出力することができる。係る態様では、触感により提示される情報量を減ずることなく、消費電力を小さくすることができる。
【0089】
この外部接触検知部58における接触位置検出部は、接触位置を触感的な感覚を呈示する装置に対して面方向に走査し、検出する走査機構で構成するものであってもよい。この走査機構は、接触位置をレーザ光の変化より検出するXYレーザスキャナを備えたものであってもよい。また、外部接触検知部58における接触位置検出部は、接触位置を触感的な感覚を呈示する部分の物性の変化より検出する検出機構で構成するものであってもよいし、接触位置を触感的な感覚を呈示する部分の圧力の変化より検出する圧力センサを備えるものであってもよい。
【0090】
次に、図12(1)は、図11に示す触感呈示装置における第1の電極101が、静電型触感呈示電極として動作する様子を示す図である。図12(2)は、図11に示す触感呈示装置における第2の電極102が、電流型触感呈示電極として動作する様子を示す図である。
【0091】
図12(1)に示す触感呈示装置において、斜線のハッチングの付された第1の電極101と、点々のハッチングの付された第1の電極101との間で、周期的な電圧が印加される。従って、これらの間に誘電体(指)が存在すれば、誘電体(指)にざらざらした触感が与えられ得る。
【0092】
また、図12(2)に示す触感呈示装置において、細かい目のハッチングの付された第2の電極102と、粗い目のハッチングの付された第2の電極102との間で、周期的な電流が流される。従って、これらの間に導体(指)が存在すれば、導体(指)に凸凹感が与えられ得る。
【0093】
4.3.2.触感呈示装置における触感呈示電極の組み合わせの例(2)
図13は、触感呈示電極の組み合わせの一例を実現する触感呈示装置の構成を示す図である。図13に示す触感呈示装置は、図8に示す番号(3)の組合せを実現するものであり、更に、図10に示すアクティブマトリックス方式を使用するものである。つまり、第1の電極101が、静電型触感呈示電極として若しくはタッチセンサ電極として空間分割で及び時分割で用いられ、第2の電極102が電流型触感呈示電極としてのみ用いられるものである。図13(1)は、触感呈示装置の、第1の電極101、第2の電極102、第1の引き出し電極103、第2の引き出し電極104、第3の引き出し電極105、及び、第4の引き出し電極106の構成を示す平面図である。図13(2)は、図13(1)に示す触感呈示装置の(a)及び(b)における縦断面図である。図13(3)は、データ処理部50、静電触感ドライバ部52、電流触感ドライバ部54、及び静電接触検知部60を含めた触感呈示装置のブロック構成図である。
【0094】
図13(1)及び図13(2)に示されるように、第1の電極101及び第2の電極102の下部には、半導体回路(TFT)7が設けられている。また、図5でも示したように、半導体回路(TFT)7に接続する第1の引き出し電極103、第2の引き出し電極104、第3の引き出し電極105、及び、第4の引き出し電極106は、複数の信号線により構成されている(αからの矢印参照)。なお、半導体回路(TFT)7に接続しない第1の引き出し電極103、第2の引き出し電極104は単数の信号線により構成されている(βからの矢印参照)。更に、図13(3)に示すように、第1の引き出し電極103及び第2の引き出し電極104は、静電触感ドライバ部52及び静電接触検知部60に接続し、第3の引き出し電極105及び第4の引き出し電極106は、電流触感ドライバ部54に接続する。よって、データ処理部50は、静電触感ドライバ部52及び静電接触検知部60によって、第1の引き出し電極103及び第2の引き出し電極104を介して第1の電極101に与える信号を制御する。同様に、データ処理部50は、電流触感ドライバ部54によって、第3の引き出し電極105及び第4の引き出し電極106を介して第2の電極102に与える信号を制御する。
【0095】
なお、図13(3)に示すように、データ処理部50は、外部画像表示部56に係るデータの処理も行う。従って、図13に示す触感呈示装置は、外部画像表示部56と組み合わせて利用され得るものである。
【0096】
次に、図14(1)は、図13に示す触感呈示装置における第1の電極101が、タッチセンサ電極若しくは静電型触感呈示電極として動作する様子を示す図である。図14(2)は、図13に示す触感呈示装置における第2の電極102が、電流型触感呈示電極として動作する様子を示す図である。
【0097】
図14(1)に示す触感呈示装置において、クロスハッチングの付された第1の電極101は、他の第1の電極101に対して、空間分割によりタッチセンサ電極として動作する。
【0098】
また、図14(1)に示す触感呈示装置において、(略中央に位置する)左下がり斜線のハッチングの付された第1の電極101と、右下がり斜線のハッチングの付された第1の電極101との間で、周期的な電圧が印加される。従って、これらの間に誘電体(指)が存在すれば、誘電体(指)にざらざらした触感が与えられ得る。更に、これら斜線のハッチングの付された第1の電極101は、時分割によりタッチセンサ電極としても動作する。
【0099】
また、図14(2)に示す触感呈示装置において、細かい目のハッチングの付された第2の電極102と、粗い目のハッチングの付された第2の電極102との間で、周期的な電流が流される。従って、これらの間に導体(指)が存在すれば、導体(指)に凸凹感が与えられ得る。
【0100】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態に係る触感呈示装置の製造方法について説明する。
【0101】
5.1.静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが同一平面に配置される触感呈示装置の製造方法
図15A及び図15B並びに図16A及び図16Bは、静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが同一平面に配置される触感呈示装置であって、電流型触感呈示電極と静電型触感呈示電極とが何れも専用電極として機能する触感呈示装置の製造方法の概略を示している(図8に示す表の番号(16)参照)。なお、図15A及び図16Aは、第1の電極101に接続するビア202を通る縦断面での縦断面図を示しており、図15B及び図16Bは、第2の電極102に接続するビア202を通る縦断面での縦断面図を示している(但し、図15A(j’)は、第2の電極102に接続するビア202を通る縦断面での縦断面図を示しており、図16A(g’)は、第1の電極101に接続するビア202を通る縦断面での縦断面図を示している)。
【0102】
図15A及び図15Bに示す方法では、下部の基板108aに係る部分をまず作成し((a)〜(d))、続いて上部の保護用基板108bに係る部分を作成し((e)〜(i))、最後に両者を貼り合わせている((j))。まず、基板108a上に第2の引き出し電極104、及び第4の電極106を配置し((a)、(b))、一部の第2の引き出し電極104上に半導体回路7を配置する((c))。基板108a、第2の引き出し電極104、第4の引き出し電極106、及び半導体回路7を覆って層間絶縁膜109が設けられる。更に、第1の引き出し電極103、及び第3の引き出し電極105を半導体回路7上に配置する((d))。
【0103】
一方、保護用基板108bにはビア202を形成し((e)、(f))、保護用基板108bの上面にビア202と接続する第1の電極101及び第2の電極102を、保護用基板108bの下面にビア202と接続する接続電極204を、夫々配置する((g))。保護用基板108b上面に配置された第1の電極101を覆って絶縁膜107が設けられる((h))。最後に、保護用基板108b下面に接着剤206が塗布され((i))、位置合わせをした上で基板108aの上面と保護用基板108b下面が接着される((j))。なお、図15A(j’)は、第2の電極102に接続するビア202を通る縦断面での縦断面図である。第2の電極102に接続するビア202が接続電極204、第3の引き出し電極105、半導体回路7、及び第4の引き出し電極106と接続していることを示している。
【0104】
図16A及び図16Bに示す方法では、触感呈示装置が下部の基板108aに係る部分から順次上方に向かって作成されている((a)〜(g))。まず、基板108a上に第2の引き出し電極104、及び第4の電極106を配置し((a)、(b))、一部の第2の引き出し電極104上に半導体回路7を配置する((c))。基板108a、第2の引き出し電極104、第4の引き出し電極106、及び半導体回路7を覆って層間絶縁膜109が設けられる。更に、第1の引き出し電極103、及び第3の引き出し電極105を半導体回路7上に配置する((d))。
【0105】
第1の引き出し電極103、及び第3の引き出し電極105を覆って絶縁層108cが設けられる((e))。このとき、第2の引き出し電極104、半導体回路7、及び第1の引き出し電極103の上部には、適宜、ビア202用の穴が設けられている。絶縁層108cの設置の後、半導体回路7等と接続するビア202、並びに、ビア202と接続する第1の電極101及び第2の電極102が配置される((f))。最後に、第1の電極101を覆って絶縁膜107が設けられる((g))。なお、図16A(g’)は、第2の電極102に接続するビア202を通る縦断面での縦断面図である。第2の電極102に接続するビア202が第3の引き出し電極105、半導体回路7、及び第4の引き出し電極106と接続していることを示している。
【0106】
5.2.静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが別平面に配置される触感呈示装置の製造方法
図17A及び図17B並びに図18A及び図18Bは、静電型触感呈示電極と電流型触感呈示電極とが別平面に配置される触感呈示装置であって、電流型触感呈示電極と静電型触感呈示電極とが何れも専用電極として機能する触感呈示装置の製造方法の概略を示している(図8に示す表の番号(16)参照)。なお、図17A及び図18Aは、第1の電極101に接続するビア202を通る縦断面での縦断面図を示しており、図17B及び図18Bは、第2の電極102に接続するビア202を通る縦断面での縦断面図を示している(但し、図17A(j’)は、第2の電極102に接続するビア202を通る縦断面での縦断面図を示しており、図18A(h’)は、第1の電極101に接続するビア202を通る縦断面での縦断面図を示している)。
【0107】
図17A及び図17Bに示す方法では、下部の基板108aに係る部分をまず作成し((a)〜(d))、続いて上部の保護用基板108bに係る部分を作成し((e)〜(i))、最後に両者を貼り合わせている((j))。まず、基板108a上に第2の引き出し電極104、及び第4の引き出し電極106を配置し((a)、(b))、一部の第2の引き出し電極104上に半導体回路7を配置する((c))。基板108a、第2の引き出し電極104、第4の引き出し電極106、及び半導体回路7を覆って層間絶縁膜109が設けられる。更に、第1の引き出し電極103、及び第3の引き出し電極105を半導体回路7上に配置する((d))。
【0108】
一方、保護用基板108bにはビア202を形成し((e)、(f))、保護用基板108bの上面にビア202と接続する第1の電極101を、保護用基板108bの下面にビア202と接続する接続電極204を、夫々配置する((g))。保護用基板108b上面に配置された第1の電極101を覆って絶縁膜107が設けられる((h))。絶縁膜107の上面に、ビア202と接続する第2の電極102が配置され、保護用基板108b下面に接着剤206が塗布される((i))。最後に、位置合わせをした上で基板108aの上面と保護用基板108b下面が接着される((j))。なお、図17A(j’)は、第2の電極102に接続するビア202を通る縦断面での縦断面図である。第2の電極102に接続するビア202が、接続電極202、第3の引き出し電極105、半導体回路7、及び第4の引き出し電極106と接続していることを示している。
【0109】
図18A及び図18Bに示す方法では、触感呈示装置が下部の基板108aに係る部分から順次上方に向かって作成されている((a)〜(h))。まず、基板108a上に第2の引き出し電極104、及び第4の引き出し電極106を配置し((a)、(b))、一部の第2の引き出し電極104上に半導体回路7を配置する((c))。基板108a、第2の引き出し電極104、第4の引き出し電極106、及び半導体回路7を覆って層間絶縁膜109が設けられる。更に、第1の引き出し電極103、及び第3の引き出し電極105を半導体回路7上に配置する((d))。
【0110】
第1の引き出し電極103、及び第3の引き出し電極105を覆って絶縁層108cが設けられる((e))。このとき、第2の引き出し電極104、半導体回路7、及び第1の引き出し電極103の上部には、適宜、ビア202用の穴が設けられている。絶縁層108cの設置の後、半導体回路7等と接続するビア202、並びに、ビア202と接続する第1の電極101が配置される((f))。第1の電極101及び絶縁層108cを覆って絶縁膜107が設けられる((g))。最後に、絶縁膜107の上面に、ビア202と接続する第2の電極102が配置される((h))。なお、図18A(h’)は、第2の電極102に接続するビア202を通る縦断面での縦断面図である。第2の電極102に接続するビア202が、第3の引き出し電極105、半導体回路7、及び第4の引き出し電極106と接続していることを示している。
【0111】
(発明の一態様の概要)
(1)本発明の第1の態様の触感呈示方法は、
同一平面上に、絶縁膜で覆われた複数の第1の電極を配置し、
同一平面上に、上面を外部に露出した複数の第2の電極を配置し、
前記複数の第1の電極のうちの一部の第1の電極に時間的に変化する第1の電圧を印加し、その一部の第1の電極により変化する電界を発生する第1の動作と、前記複数の第2の電極のうちの一部の第2の電極に時間的に変化する第1の電流を加え、その一部の第2の電極から導体を介して、その一部の第2の電極とは異なる第2の電極へ電流を流す第2の動作と、を並行して行う。
【0112】
静電気力による触感呈示電極は擬似的なざらざら感やすべすべ感を与えるものである。一方、電流刺激による触感呈示電極は擬似的な凹凸感を与えるものである。微細な電極である両電極を多数混合して用いる本態様の触感呈示方法は、ざらざら感と凸凹感とを混合させた複雑な触感を与えることができる。
【0113】
(2)本発明の第2の態様の触感呈示方法は、本発明の第1の態様の触感呈示方法において、
前記複数の第1の電極のうちの一部の第1の電極に時間的に変化する第2の電圧を印加し、その状態において残りの第1の電極のうちの少なくとも一部の第1の電極に生じる電圧を検出し、検出した電圧に基づいて自装置近傍に存在する誘電体の位置を検出する第3の動作と、
前記第1の動作とを、時分割で又は空間分割で行ってもよい。
【0114】
これにより、静電型触感呈示とタッチセンサとを兼用する電極を用いることができ、実施する装置全体の構成を小型化・簡素化できる触覚呈示方法を提供することができる。
【0115】
(3)本発明の第3の態様の触感呈示方法は、本発明の第2の態様の触感呈示方法において、
前記第1の動作を発生させる前記第1の電極の場所と、
前記第2の動作を発生させる前記第2の電極の場所とが、
前記第3の動作で検出される自装置近傍に存在する誘電体の位置に基づき決定されてもよい。
【0116】
これにより、静電型触感呈示とタッチセンサとを兼用する電極を用いることができ、実施する装置全体の構成を小型化・簡素化できる触覚呈示方法を提供することができる。
【0117】
(4)本発明の第4の態様の触感呈示方法は、本発明の第1の態様の触感呈示方法において、
前記複数の第2の電極のうちの一部の第2の電極に時間的に変化する第3の電圧を印加し、その状態において残りの第2の電極のうちの少なくとも一部の第2の電極に生じる電圧を検出し、検出した電圧に基づいて自装置近傍に存在する誘電体の位置を検出する第4の動作と、
前記第2の動作とを、時分割で又は空間分割で行ってもよい。
【0118】
これにより、電流型触感呈示とタッチセンサとを兼用する電極を用いることができ、実施する装置全体の構成を小型化・簡素化できる触覚呈示方法を提供することができる。
【0119】
(5)本発明の第5の態様の触感呈示方法は、本発明の第4の態様の触感呈示方法において、
前記第1の動作を発生させる前記第1の電極の場所と、
前記第2の動作を発生させる前記第2の電極の場所とが、
前記第4の動作で検出される自装置近傍に存在する誘電体の位置に基づき決定されてもよい。
【0120】
これにより、電流型触感呈示とタッチセンサとを兼用する電極を用いることができ、実施する装置全体の構成を小型化・簡素化できる触覚呈示方法を提供することができる。
【0121】
(6)本発明の第6の態様の触感呈示方法は、本発明の第1の態様の触感呈示方法において、
前記複数の第1の電極のうちの一部の第1の電極に時間的に変化する第2の電圧を印加し、その状態において残りの第1の電極のうちの少なくとも一部の第1の電極に生じる電圧を検出し、検出した電圧に基づいて自装置近傍に存在する誘電体の位置を検出する第3の動作と、
前記第1の動作とを、時分割で又は空間分割で行い、
前記複数の第2の電極のうちの一部の第2の電極に時間的に変化する第3の電圧を印加し、その状態において残りの第2の電極のうちの少なくとも一部の第2の電極に生じる電圧を検出し、検出した電圧に基づいて自装置近傍に存在する誘電体の位置を検出する第4の動作と、
前記第2の動作とを、時分割で又は空間分割で行ってもよい。
【0122】
これにより、静電型触感呈示とタッチセンサとを兼用する電極と、電流型触感呈示とタッチセンサとを兼用する電極とを用いることができ、実施する構成全体を更に小型化・簡素化できる触覚呈示方法を提供することができる。
【0123】
(7)本発明の第7の態様の触感呈示方法は、本発明の第6の態様の触感呈示方法において、前記第1の動作を発生させる前記第1の電極の場所と、
前記第2の動作を発生させる前記第2の電極の場所とが、
前記第3の動作と、
前記第4の動作とで
検出される自装置近傍に存在する誘電体の位置に基づき決定されてもよい。
【0124】
これにより、静電型触感呈示とタッチセンサとを兼用する電極と、電流型触感呈示とタッチセンサとを兼用する電極とを用いることができ、実施する構成全体を更に小型化・簡素化できる触覚呈示方法を提供することができる。
【0125】
(8)本発明の第8の態様の触感呈示方法は、本発明の第1乃至第7の態様の触感呈示方法において、
画像と重畳して、画像に対応した触感を提示するものであってもよい。
【0126】
これにより、静電型触感呈示とタッチセンサとを兼用する電極と、電流型触感呈示とタッチセンサとを兼用する電極とを用いることができ、実施する構成全体を更に小型化・簡素化できる触覚呈示方法を提供することができる。
【0127】
(9)本発明の第9の態様の触感呈示方法は、本発明の第1乃至第8の態様の触感呈示方法において、
前記時間的に変化する第1の電圧の電圧強度およびその周期およびその間隔と、
前記時間的に変化する第1の電流の電流強度およびその周期およびその間隔とが
呈示する触感に従って決定されてもよい。
【0128】
これにより、静電型触感呈示とタッチセンサとを兼用する電極と、電流型触感呈示とタッチセンサとを兼用する電極とを用いることができ、実施する構成全体を更に小型化・簡素化できる触覚呈示方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本開示のタッチパネル機能つき触感提示装置は、スマートフォンやスマートパッドなどの携帯情報端末、自動車や家電製品の操作パネル、及び、盲人用の案内板等に適用することができる。
【符号の説明】
【0130】
2・・・タッチパネル機能つき触感呈示装置、
4・・・静電型触感呈示電極、
6・・・電流型触感呈示電極、
7・・・半導体回路、
21・・・Y方向選択線(タッチ駆動)、
22・・・Y方向選択線(触感正)、
23・・・Y方向選択線(タッチセンス)、
24・・・Y方向選択線(触感負)、
31・・・ドライブ線(タッチ駆動)、
32・・・X方向選択線(タッチ駆動)、
33・・・ドライブ線(触感正)、
34・・・X方向選択線(触感正)34、
35・・・ドライブ線(タッチセンス)、
36・・・X方向選択線(タッチセンス)、
37・・・ドライブ線(触感負)、
38・・・X方向選択線(触感負)、
50・・・データ処理部、
52・・・静電触感ドライバ部、
54・・・電流触感ドライバ部、
56・・・外部画像表示部、
58・・・外部接触検知部、
60・・・静電接触検知部、
101・・・第1の電極、
102・・・第2の電極、
103・・・第1の引き出し電極、
104・・・第2の引き出し電極、
105・・・第3の引き出し電極、
106・・・第4の引き出し電極、
107・・・絶縁膜、
108a・・基板、
108b・・保護用基板、
108c・・絶縁層、
109・・・層間絶縁膜、
110・・・誘電体、
111・・・正の静電作用電極、
112・・・負の静電作用電極、
113・・・電圧源、
114・・・導体、
115・・・正の電流作用電極、
116・・・負の電流作用電極、
117・・・電流源、
202・・・ビア、
204・・・接続電極、
206・・・接着剤。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B