(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部に液体が流れる流水管を補修するための流水管補修工法であって、 前記流水管の補修対象箇所の上にパッチ部材を貼着又は接着材1を配置する工程1;及び 前記パッチ部材が貼着又は接着材1が配置された前記流水管を防水性に囲んで覆う包囲カバーを取り付ける工程2を有し、 前記流水管が、建築物内に配管され、
少なくとも、前記工程1の後から前記工程2において前記包囲カバーを取り付けるまでの間、前記補修対象箇所からの液体の漏洩が停止しており、
前記工程2で取り付けられた前記包囲カバーが、前記工程2以降に、
前記包囲カバー内の前記流水管からの漏水が流れることができる水管の役目を果たすことができる、流水管補修工法。
前記工程2において、前記包囲カバーの内壁が前記パッチ部材、前記接着材1又は前記接着材3に接触するように前記包囲カバーを取り付ける請求項1〜3のいずれか1項記載の流水管補修工法。
前記工程2において、複数本の前記包囲カバーを、前記流水管が延びる方向に沿って連結して前記流水管を防水性に囲んで覆う請求項1〜4のいずれか1項記載の流水管補修工法。
前記工程2において、前記包囲カバーが、前記包囲カバーの延びる方向に沿って延設された結合部を有する、少なくとも2つに分割されたものであり、前記結合部同士を合わせて固定することによって前記流水管を防水性に囲んで覆う請求項1〜5のいずれか1項記載の流水管補修工法。
請求項1〜9のいずれか1項記載の流水管補修工法で補修されて得られうる、 建築物内に配設し、内部に水を流すための、 前記流水管、前記パッチ部材又は前記接着材1、並びに、前記包囲カバーを備える複合管。
請求項1〜9のいずれか1項記載の前記パッチ部材を貼着又は接着材1を配置された、請求項1〜9のいずれか1項記載の流水管が、 請求項1〜9のいずれか1項記載の包囲カバーで囲んで覆われた、 建築物内に配設し、内部に水を流すための複合管。
請求項1〜9のいずれか1項記載の流水管補修工法、 請求項10記載の複合管、又は、請求項記載11記載の複合管に使用するための請求項1〜9のいずれか1項記載の包囲カバー。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔本発明の流水管補修方法〕
本発明の流水管補修方法は、
内部に液体が流れる流水管を補修するための流水管補修工法であって、
前記流水管の補修対象箇所の上にパッチ部材を貼着又は接着材1を配置する工程1;
及び
前記パッチ部材が貼着又は接着材1が配置された前記流水管を防水性に囲んで覆う包囲カバーを取り付ける工程2を有し、
前記流水管が、建築物内に配管され、
少なくとも、前記工程1の後から前記工程2において前記包囲カバーを取り付けるまでの間、前記補修対象箇所からの液体の漏洩が停止している流水管補修工法である。
【0020】
以下、本発明の補修対象箇所のうち、流水管内の液体の微少な漏洩が生じている箇所であって、工程1を行うことによって、即ち、補修対象個所上にパッチ部材を貼着又は接着材1を配置することで、工程1の後から工程2において包囲カバーを取り付けるまでの間、液体の漏洩が停止する程度の箇所を、微少漏洩箇所ともいう。
【0021】
〔流水管〕
本発明の工法の補修対象は内部を液体が流れる流水管であり、従来から使用されてきた金属管、近年使用されてきている塩化ビニル、ポリブテン、ビニルエステル等の合成樹脂製、ガラス繊維と組合せた繊維強化樹脂(FRP(Fiber Reinforced Plastics))製、セラミックス製等も補修対象として好ましいが、本工法の補修対象数が圧倒的に多いという観点から、金属管を補修対象とすることがより好ましい。
【0022】
以下、本発明の工法について、金属管を例にして説明するが、説明は他の材質の流水管にも妥当する。
また、流水管の内部を流れる液体は、水に限らず、酸、アルカリ、溶剤等であってもよい。
但し、金属管以外の流水管及び水以外の液体の場合、後述する包囲カバー、パッチ部材及び接着材1〜3は、流水管の材質に適し、これらの液体に対して耐性を有し、防水性を確保することができるものを選択することが好ましい。
【0023】
〔工程1〕
本発明の流水管補修工法は、工程1において、
上述した補修対象箇所の上にパッチ部材を貼着又は接着材1を配置して、
工程1の後から工程2において包囲カバーを取り付けまでの間、
補修対象箇所が潜在漏洩箇所であっても微少漏洩箇所であっても、その部分からの液体の漏洩を阻止する。
【0024】
(1)パッチ部材
パッチ部材は、補修対象箇所を被覆できるだけの面積を有する、液体が浸透し難い板状の部材である。
パッチ部材は、形状に限定されることなく、四辺形に形成してもよく、円形や三角形、その他の多角形であっても良い。
【0025】
パッチ部材は、金属管の外壁面に沿って補修対象箇所を被覆できるように屈曲性又は弾力性を有することが好ましい。
屈曲性又は弾力性を有するパッチ部材を構成するには、パッチ部材がガラス、合成樹脂あるいは金属で作られた板状の部材であることが好ましい。
【0026】
パッチ部材がガラス又は金属で構成されている場合、パッチ部材はガラスクロスや金属繊維で構成された布帛状であってよい。
パッチ部材が合成樹脂又は金属で構成されている場合は、屈曲性又は弾力性を有する薄いシート状であってもよいし、硬めのシート状である場合であっても屈曲性を付与できる観点から、所定方向に延びる可変部が形成されていることが好ましく、この可変部は、例えば溝を形成して肉薄とし、容易に屈曲可能にした部分であってよい。
【0027】
なお、後述する接着材2又は3を、シート状パッチ部材の溝が形成された側に塗布すると、接着材2又は3が溝に沿ってシート状パッチ部材の貼着面の隅々に行き渡り、また溝が接着材2又は3に対してアンカー効果を付与して、シート状パッチ部材のより安定な貼着に寄与する。
【0028】
従って、シート状パッチ部材の可変部又は接着材の拡散路となる溝は、金属管の外壁と対向する貼着面に形成することが好ましい。
【0029】
さらに、パッチ部材は、金属管の補正対象箇所を視認しながら作業できる、確実な張尺ができる観点から、材質が半透明又は透明であることが好ましく、透明であることがより好ましい。
【0030】
可変部が形成されているパッチ部材の1例を、
図1によって説明する。
このパッチ部材(20)は、所定方向に延びる可変部(21)が形成されている。図(1)では、直線状に延びる複数の可変部(21)が互いに平行になるように形成されている。
【0031】
この可変部(21)を有することにより、パッチ部材(20)を水管(10)に貼着する際に、可変部(21)の延びる方向を水管(10)が延びる方向に一致させて、パッチ部材(20)を可変部(21)のところで適宜に曲げてパッチ部材(20)の全体を水管(10)の外周壁(11)の円筒面に沿うように湾曲させることができる。
【0032】
パッチ部材が合成樹脂で構成されている場合、合成樹脂としては、強度、屈曲性、弾力性及び防水性の観点から、ポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、ポリブテン、ポリエステル、ビニルエステル、ポリ塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ポリイミド等のエンジニアプラスチック又はゴム類が好ましく、液体が水の場合はポリエステル、ビニルエステル又はエポキシ樹脂が好ましく、液体が溶剤であっても溶剤耐性に優れるビニルエステルがより好ましい。
パッチ部材は、さらに、強度、屈曲性、弾力性及び防水性の観点から、合成樹脂と繊維で構成されるFRP(Fiber Reinforced Plastics)が好ましい。
FRPの場合、合成樹脂はポリエステル、エポキシ樹脂及びビニルエステルであり、繊維はガラス繊維であることがより好ましい。
【0033】
パッチ部材の厚みは、工程2で金属管を防水性に囲って覆う包囲カバーの大きさが不必要に大きくならないようにする観点から、薄いことが好ましく、0.1〜10mmが好ましく、0.2〜5mmがより好ましく、0.3〜3mmが更に好ましく、0.4〜2mmが更に好ましく、0.4〜1mmが更に好ましい。
【0034】
パッチ材の補修対象箇所に対する貼着面が、例えば、パッチ部材の材質に由来して金属管外壁に対する粘着性や密着性を有する場合などは、補修対象箇所にパッチ部材を直接貼着することによって、工程1の後から工程2において包囲カバーを取り付けるまでの間、補修対象箇所が潜在漏洩箇所であっても微少漏洩箇所であっても、その箇所からの液体漏洩を阻止できる場合がある。
【0035】
また、パッチ部材を補修対象箇所に直接貼着する場合、工程1の後、工程2において包囲カバーを取り付けるまでを、工事振動等を抑制し短時間で行い、包囲カバーの内壁がパッチ部材に接触してパッチ部材を押さえつけるように包囲カバーを取り付けることで、金属管の補修を完了することもできる。
【0036】
(2)接着材1
接着材1は、金属管との付着性、防水性及び速硬性があり、補修対象箇所に接着材1を配置する工程1の後、工程2における包囲カバーの取り付けまでの間、補修対象箇所が潜在漏洩箇所であっても微少漏洩箇所であっても、その箇所からの液体の漏洩を阻止できればよい。
接着材1は、例えば、金属管の補修対象箇所の上に、接着材1を塗布することで配置できる。
【0037】
接着材1は、例えば、溶剤系接着材(ポリマー有機溶剤に溶解し有機溶剤が揮散することで固化する接着材で、ゴム系又は樹脂系がある)、熱可塑性樹脂・熱可塑性エラストマーを主成分とするホットメルト系接着材、シリコーン、変性シリコーン及びシリル化ウレタン系接着材等の弾性接着材、熱硬化性及び光硬化性等の反応性接着材、アクリル系、ゴム系及びシリコーン系等の感圧性接着材(粘着剤)及びシーリング材の各種接着材からなる群からから少なくとも1種を好ましく選択することができるが、
速硬性及び防水性の観点から、反応性接着材がより好ましく、エポキシ系接着材が更に好ましい。
【0038】
接着材1は、上記の好適な接着材を使用できるが、工程1の後から工程2において包囲カバーを取り付けるまでの間、液体の漏洩を阻止する機能を有すれば、防食材、ライニング用塗材等の液状の態様を有する組成物を接着材1として使用してよい。
【0039】
接着材1の配置によって、工程1の後から工程2において包囲カバーを取り付けるまでの間、液体の漏洩を阻止できるのであれば、工程1において接着材1が硬化する前に、工程2を行い、接着材1の配置部分に接触している金属管外壁(補修対象箇所)と包囲カバー内壁とが接着材1を介して接着硬化されてもよいが、
工程1の後から工程2において包囲カバーを取り付けるまでの間、液体の漏洩を安定して阻止する観点から、配置された接着材1は工程2の前に硬化していることが好ましい。
【0040】
(3)接着材2
工程1の後から工程2における包囲カバーの取り付けまでの間、液体の漏洩を安定して阻止する観点から、
補修対象箇所の上に接着材2を介して前記パッチ部材を貼着することが好ましい。
接着材2を、パッチ部材の貼着面側に予め、例えば塗布して配置しておいてパッチ部材を貼着面上に塗布した接着材2と共に貼着してもよいし、
パッチ部材を貼着する前に、補修対象箇所の上に予め接着材2を配置した上で、パッチ部材をその上に貼着してもよいが、後者が好ましい。
【0041】
パッチ部材を貼着する前に、補修対象箇所の上に予め接着材2を配置する場合、
接着材2を介してパッチ部材を貼着することで、工程1の後から工程2における包囲カバーの取り付けまでの間、液体の漏洩を阻止できるのであれば、工程1において、接着材2が硬化する前にパッチ部材を貼着することが好ましい。
【0042】
接着材2は、接着材1で好適として例示された接着材を使用できるが、貼着面上の塗布性の観点から液状であることが好ましく、工程1の後から工程2における包囲カバーの取り付けまでの間、液体の漏洩を阻止する機能を有すれば、防食材、ライニング用樹脂等の液状の態様を有する組成物を接着材2として使用してよい。
【0043】
(4)接着材3
工程1の後から工程2における包囲カバーの取り付けまでの間、液体の漏洩を安定して阻止する観点から、
工程2において、包囲カバーを、パッチ部材の上の接着材3を介して前記金属管を囲んで覆うことが好ましい。
【0044】
工程2において、包囲カバーを、パッチ部材の上の接着材3を介して前記金属管を囲んで覆うには、
(4−1)接着材3をパッチ部材の貼着面と反対の面上に予め、例えば塗布して配置しておいたパッチ部材を貼着しておいてもよいし、
(4−2)貼着されているパッチ部材の上に、接着材3を、例えば塗布して配置しておいてもよいし、
(4−3)工程1の後、工程2において、包囲カバーを、金属管を囲んで覆った後に、金属管と包囲カバーの隙間から接着材3をパッチ部材の上に、例えば注入して配置してもよい。
工程1の後から工程2における包囲カバーの取り付けまでの間、液体の漏洩を安定して阻止する観点から、貼着されているパッチ部材の上に、接着材3を、例えば塗布して配置することが好ましい。
【0045】
接着材3は、包囲カバーを、パッチ部材の上の接着材3を介して金属管を囲んで覆うことができるように、少なくとも、パッチ部材の上に相当する部分に配置されているが、
工程2の後に、金属管の補修対象箇所の腐食の進行に対しても液体の漏洩を安定して阻止する観点から、
パッチ部材の上に相当する部分以外の金属管と包囲カバーの間隙部分にも配置されていることが好ましく、
金属管と包囲カバーの間隙部分の略全体に配置されていていることが更に好ましい。
【0046】
貼着されているパッチ部材の上に、接着材3を配置する場合、
工程1の後から工程2における包囲カバーの取り付けまでの間、液体の漏洩を阻止できるのであれば、接着材3が硬化する前に、包囲カバーを取り付けることが好ましい。
【0047】
接着材3は、接着材1で好適として例示された接着材を使用できるが、貼着面上の塗布性の観点から液状であることが好ましく、工程1の後から工程2における包囲カバーの取り付けまでの間、液体の漏洩を阻止する機能を有すれば、防食材、ライニング用樹脂等の液状の態様を有する組成物を接着材3として使用してよい。
【0048】
補修対象箇所の上に接着材2を介して前記パッチ部材を貼着することと、
工程2において、包囲カバーを、パッチ部材の上の接着材3を介して前記金属管を囲んで覆うこととは、
どちらかを行うことが好ましく、
少なくとも補修対象箇所の上に接着材2を介して前記パッチ部材を貼着することを行うことがより好ましく、
両方を行うことが更に好ましい。
【0049】
〔工程2〕
(1)包囲カバー
工程2においては、パッチ部材が貼着又は接着材1が配置された金属管を防水性に囲んで覆う包囲カバーを取り付ける。
【0050】
金属管を防水性に囲んで覆うとは、工程2において包囲カバーを取り付けた後に、金属管の老朽化に伴う腐食等が進行し、金属管からの液体の漏洩がパッチ部材の貼着又は接着材1の配置によって停止できなくなった場合でも、包囲カバーから外部に液体が漏洩せず、健全な金属管と同程度に液体の通る管の役目を果たすことができるように包囲カバーを取り付けることをいう。
【0051】
金属管を防水性に囲んで覆う観点から、包囲カバーは、液体が浸透しにくく、腐食し難い材質で構成することが好ましく、合成樹脂、金属又はセラミックス製であることがより好ましく、軽量で取り扱い易いという観点から、合成樹脂製であることが更に好ましい。
【0052】
合成樹脂としては、強度、屈曲性、弾力性及び防水性の観点から、ポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、ポリブテン、ポリエステル、ビニルエステル、ポリ塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ポリイミド等のエンジニアプラスチックが好ましく、液体が水の場合はポリエステル、ビニルエステル又はエポキシ樹脂が好ましく、液体が溶剤であっても溶剤耐性に優れるビニルエステルがより好ましい。
【0053】
包囲カバーは、同様の観点から、さらに、合成樹脂と繊維で構成されるFRPが好ましく、FRPでは、合成樹脂が、液体が水の場合はポリエステル、ビニルエステル又はエポキシ樹脂が好ましく、液体が溶剤であっても溶剤耐性に優れるビニルエステルがより好ましく、繊維がガラス繊維であることが更に好ましい。
【0054】
包囲カバーは、工程2の後も、補修対象箇所からの液体の漏洩を阻止し続ける観点から、包囲カバーの内壁がパッチ部材、接着材1又は接着材3に接触するように包囲カバーを取り付けることが好ましく、接触がパッチ部材、接着材1又は接着材3を押圧する程度に強いことがより好ましい。
【0055】
包囲カバーは、補修対象箇所からの液体の漏洩を阻止し続ける観点から、包囲カバーの内壁の、パッチ部材、接着材1又は接着材3に接触する箇所が、凹凸領域を有していることが好ましく、
包囲カバーの内壁は、パッチ部材の場合は貼着領域、接着材1又は接着材3の場合は配置された領域の全てに接触し、
包囲カバーの内壁の、パッチ部材、接着材1又は接着材3との接触領域の、
50%以上が凹凸領域を有していることがより好ましく、
60%以上が凹凸領域を有していることがさらに好ましく、
70%以上が凹凸領域を有していることがさらに好ましく、
80%以上が凹凸領域を有していることがさらに好ましく、
90%以上が凹凸領域を有していることがさらに好ましく、
100%が凹凸領域を有していることがさらに好ましい。
【0056】
包囲カバー及び/又はパッチ部材は、補修対象箇所からの液体の漏洩を阻止し続ける観点から、
包囲カバーの内壁及び/又は貼着時にパッチ部材の金属管に対向する面(以下、パッチ部材の内壁ともいう)の凹凸領域の凹部の底と凸部の頂の差の最大が、
0.1〜10mmが好ましく、0.2〜5mmがより好ましく、0.3〜3mmが更に好ましく、0.4〜1.5mmが更に好ましい。
【0057】
包囲カバー及び/又はパッチ部材の内壁の凹凸領域の凹凸は、
鋳型成形(モールディング)、型押付成形(エンボッシング)、印刷(プリンティング)、流込成形(キャスティング)、焼結(シンタリング)、フォト−イメージング、化学的エッチング等によって成形できるが、
生産性の観点から、内壁の所望の位置と面積の領域に、凹凸パターンを有するモールドを使用して、包囲カバー及び/又はパッチ部材を鋳型成形して得ることが好ましい。
【0058】
包囲カバーは、包囲カバーを取り付けた際に、包囲カバーの内壁が、パッチ部材、接着材1又は接着材3に接触するように、金属管の外壁周の半径よりも、貼付されたパッチ部材の厚み、配置された接着材1の厚み、又はパッチ部材と接着材2及び/若しくは3を組合せた厚み程度大きい半径を有する内壁周を有していル事が好ましい。
【0059】
(2)包囲カバー及びパッチ部材の製造例
(包囲カバー)
包囲カバーがその延びる方向に沿って延設された結合部を有する、2つに分割されたものである場合の分割された1つ(以下、分割包囲カバーという)についての製造例を説明する。
分割包囲カバーの内壁の凹凸パターンに対応するチヂミ柄パターンが全面に形成された半円柱(断面外周の直径は105mm)のメス型上に離型剤を塗布し、その上に、液状のビニルエステル、メチルエチルケトンパーオキサイド系硬化剤、ジメチルアニリン系硬化促進剤及び黒色顔料を含む液状混合物を塗布し、その上に無機ガラス繊維のマットを重ね、さらに上記液状混合物を塗布してFRP樹脂層を形成させる。液状混合物の塗布量及びガラス繊維シートの坪量は、FRP樹脂層が硬化して得られるFRP成形体が所望の厚みとなるように調整・選択をする。
FRP樹脂層が固化してFRP成形体となった後、FRP成形体をメス型から剥離させ、FRP成形体をトリミングして所望の形態の分割包囲カバーに仕上げた(
図13)。分割包囲カバーは、
長さ300mm、フランジ幅50mm、両フランジ端間距離220mm、厚み約4mmの、長さ方向両端に連結部33となるフランジ部と、分割包囲カバーがその延びる方向に沿って延設された結合部(32)とからなるフランジ部とを有する分割包囲カバー1(
図1左、14及び15)、及び、
長さ98mm、フランジ幅50mm、両フランジ端間距離220mm、厚み約4mmの、長さ方向片端に連結部33となるフランジ部と、分割包囲カバーがその延びる方向に沿って延設された結合部(32)となるフランジ部とを有する分割包囲カバー2(
図1右、16及び17)を得た。
分割包囲カバーの内壁面に形成された凹凸パターンは、
図17に示されるチヂミ柄パターンであり、凹凸領域の凹部の底と凸部の頂の差の最大が約0.5mmだった。
包囲カバーの長さは、施工効率を考慮すると1〜4m程度が好ましい場合が多いと考えられる。
【0060】
(パッチ部材)
金属管と対向するパッチ部材の面(パッチ部材の内壁面ともいう)の凹凸パターン(
図17に示されるチヂミ柄パターン)に対応するパターン1が全面に、加えて可変部(21)に対応する線状パターンに対応するパターン2が所定の位置に形成されている半円柱(断面外周の直径は105mm)のメス型上に離型剤を塗布し、その上に、液状のビニルエステル、硬化剤及び硬化促進剤の透明の液状混合物を塗布し、その上にガラス繊維シートを重ね、さらに上記透明の液状混合物を塗布してFRP樹脂層を形成させる。液状混合物の塗布量及びガラス繊維シートの坪量は、FRP樹脂層が硬化して得られるFRP成形体が所望の厚みとなるように調整・選択をする。
FRP樹脂層が固化した後、FRP成形体をメス型から剥離させ、FRP成形体をトリミングして所望の形態の透明なパッチ部材に仕上げた(
図18)。パッチ部材は、
長さ91mm、長さ方向両サイド間距離94mm、厚み約2.5mmで、
金属管に対向する貼着面側に、
図17に示されるチヂミ柄パターンのパターン1と、
線状パターンを構成する溝長さ91mm、溝深さ1.5mm、溝間距離10mmのパターン2が形成された。
【0061】
図18に示されるようなパッチ部材は、後述する、予め金属管(10)の規格に合わせて金属管(10)の外周壁(11)に略一致するような曲率半径を有しているため、例えば、研磨工程(ステップS2)後、直ぐにパッチ部材(20)を水管(10)に貼着する作業を開始することができ、施工時間の一層の短縮を図ることができる。
【0062】
(3)包囲カバーの取り付け態様
複数の包囲カバーを一体的に防水性に接続する取り付け態様として、以下が挙げられる。
【0063】
金属管の延びる方向に沿って複数本の包囲カバーを連結して、金属管を囲んで覆い、
金属管を防水性に囲んで覆う観点から、連結部に液体が漏洩しうる隙間があれば、その隙間を接着材4で封鎖することが好ましく、連結した包囲カバー全体を接着材4でライニングすることがより好ましい。
【0064】
接着材4は、包囲カバーの材質に対して接着性を有し、防水性及び速硬性があることが好ましく、接着材1〜3で好適として例示された接着材がより好ましく、接着材1〜3として使用してもよいとされた防食材、ライニング用樹脂等の液状の組成物を接着材4として使用してもよい。
【0065】
例えば、
図7〜12に示すように、金属管(10)同士がフランジのような接合部(12)で接合されているものをその接合部(12)を含めて金属管(10)を囲んで覆う場合には、金属管(10)同士の接合部(12)を覆う接合部カバー部(34)を有する包囲カバー(30)を使用すればよい。これにより、接合部(12)を含めて金属管(10)全体を包囲カバー(30)によって覆うことができる。
【0066】
例えば、
図1及び3〜10に示すように、包囲カバー(30)がその延びる方向に沿って延設された結合部(32)を有する、少なくとも2つに分割されたものであり、結合部(32)同士を合わせて固定することによって金属管(10)を囲むようにするものである場合には、配管された金属管(10)と壁等との空間が狭いような場合にも容易に金属管(10)を覆うように取り付けることができる。
【0067】
結合部(32)に液体が漏洩しうる隙間があれば、その隙間を接着材4で封鎖することが好ましく、結合した包囲カバー全体を接着材4でライニングすることがより好ましい。
【0068】
〔本発明の流水管補修工法の実施態様の例〕
(1)本発明の流水管補修工法の施工の例
内部に水が流れる金属製の下水管や上水管は、経年劣化によって錆が発生して微小孔等の微少漏洩箇所が生じたり、振動などの物理的刺激によって小孔が開くような破損の生じる直前の状態まで腐食が進んでいたりする等の潜在漏洩箇所が生じていることがある。これら下水管や上水管等の金属管(10)のこのような状態は、金属管(10)からの水漏れ等の微少漏洩によって発見される。
【0069】
このような潜在漏洩箇所を有する又は水漏れ等の微少漏洩箇所を有する金属管(10)の補修は、金属管(10)の外部に施すのでその際には、金属管(10)内を流れる水を止水する必要はない。
【0070】
本発明に係る流水管補修工法の施工例によれば、先ず、通常の使用状態で水管(10)の微小孔等の微少漏洩箇所や脆弱部分等の潜在漏洩箇所に耐水性の接着材2を塗布する。
これにより、微小孔から漏れ出る水等の微少漏洩があれば、微少漏洩を止める。
また、脆弱部分等の潜在漏洩箇所が破損し難いようにしておく。
【0071】
次に、塗布した接着材2が固化したら、接着材2を塗布した補修対象箇所の周辺部を必要に応じて研磨して錆を落とす。
【0072】
次に、この補修対象箇所又は補修対象箇所および研磨した周辺部を覆うように、板状のパッチ部材(20)を湾曲させて接着材2を用いて貼着する。
なお、パッチ部材に用いる接着材2は、補修対象箇所に先に塗布した接着材2と同じでも異なっていてもよい。
【0073】
工程1の後から工程2における包囲カバーの取り付けまでの間、液体の漏洩を阻止できるのであれば、補修対象箇所に先に塗布した接着材2が固化する前に、この固化していない接着材2の上にパッチ部材(20)を直接貼着してもよいし、最初に接着材2を補修対象箇所に塗布しないで、予め接着材2を塗布したパッチ部材(20)を補修対象箇所に接着材2を介して貼着してもよい。
【0074】
また、工程1の後から工程2における包囲カバーの取り付けまでの間、液体の漏洩を阻止できるのであれば、接着材2を介さずに、直接パッチ部材(20)を補修対象箇所に貼着してもよい。
この場合、パッチ部材(20)の金属管外壁と対向する面が、パッチ部材(20)の材質、又は、例えば微細な凹凸が形成されている等の面形状に由来して、金属管外壁との粘着性や密着性がよいことが好ましい。
【0075】
パッチ部材(20)が金属管(10)に貼着したときに金属管(10)の長手方向に延びる可変部(21)が形成されたものである場合には、可変部(21)で曲げてパッチ部材(20)の全体を前記金属管(10)の外周壁(11)に沿って湾曲させた状態で前記金属管(10)に貼着する。これにより、金属管(10)の外周壁(11)にパッチ部材(20)をより良く貼着することができる。
【0076】
次に、パッチ部材(20)の貼着領域の上、若しくは、貼着領域及びその周辺の上、又は、パッチ部材(20)を貼着した金属管(10)の略全体に接着材3を塗布して、その上から、好ましくは合成樹脂製の包囲カバー(30)で、好ましくは、包囲カバー(30)の内壁が接着材3に接触するように、金属管(10)を囲んで覆うことによって補修が完了する。
【0077】
接着材3をパッチ部材(20)の上に予め塗布しておいて、パッチ部材(20)を貼着した後に、包囲カバー(30)で、好ましくは、包囲カバー(30)の内壁が接着材3に接触するように、金属管(10)を囲んで覆ってもよい。
【0078】
包囲カバーは、接着材3を使用せずに、包囲カバー内壁がパッチ部材(20)と接着材3を介さずに接触するように、金属管(10)を囲んで覆ってもよい。
この場合、パッチ部材(20)の包囲カバーと対向する面が、パッチ部材の材質、又は、例えば微細な凹凸が形成されている等の面形状に由来して、包囲カバー内壁との密着性がよいことが好ましい。
【0079】
なお、例えば、包囲カバー(30)をFRP製にした場合には、金属管(10)の延びる方向に沿って複数本の包囲カバー(30)を連結して金属管(10)を囲んで覆い、連結した包囲カバー(30)全体を接着材4で塗布又はライニングする。これにより、連結した包囲カバー(30)が一体と成り、包囲カバー(30)自体が管体となる。
したがって、金属管(10)自体から新たに水漏れ等が発生しても包囲カバー(30)によって水が外に漏れることはない。
【0080】
包囲カバー(30)がその延びる方向に沿って延設された結合部(32)を有する、少なくとも2つに分割されたものであり、結合部(32)同士を合わせて固定することによって金属管(10)を囲むようにするものである場合には、配管された金属管(10)と壁等との空間が狭いような場合にも容易に金属管(10)を覆うように取り付けることができる。
【0081】
また、金属管(10)同士がフランジのような接合部(12)で接合されているものをその接合部(12)を含めて金属管(10)を囲んで覆う場合には、金属管(10)同士の接合部(12)を覆う接合部カバー部(34)を有する包囲カバー(30)を使用すればよい。これにより、接合部(12)を含めて金属管(10)全体を包囲カバー(30)によって覆うことができる。
【0082】
また、パッチ部材(20)が所定方向に延びる可変部(21)を形成してあるものである場合には、可変部(21)で曲げて全体を金属管(10)の外周壁(11)に沿うように湾曲させることが容易であるので、金属管(10)に容易且つ良好に貼着することができる。
【0083】
本発明にかかる流水管補修工法によれば、補修は金属管の外側で行うので、金属管内を流れる水を止水することなく施工することができ、以って、金属管が配設された建築物のテナントや建築物の利用者や建築物の居住者等に不都合をかけることなく金属管の補修をすることができる。
【0084】
また、金属管内を流れる水を止水することなく施工することができるので、施工の時間帯は特に制限されず、施工期間を大幅に短縮することができる。
【0085】
さらに、包囲カバーは、一体になって管体となるので、内側の金属管の腐食が進んで新たに穴が開いても、包囲カバーから水が漏れることはなく、包囲カバーが水管の役目を果たすことができる。
【0086】
(2)本発明の流水管補修工法の図面による実施態様の説明
(構成部材)
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る流水管補修工法によって補修されている金属製の水管を示す斜視図であり、
図2は、本発明の一実施の形態に係る流水管補修工法を示すフローチャートである。
図3は、水管に包囲カバーを取り付けた状態を示す側面図であり、
図4は、
図3におけるA−A線断面図である。
図5は、補修した水管の包囲カバーの速結部を示す側面図であり、
図6は、
図5におけるB−B線断面図である。なお、
図6において、断面を示すハッチングは、水管の断面にのみ入れてある。
【0087】
図1に示すように、本発明は、主として上水管や下水管など内部に水が流れる金属製の水管(10)を補修するための捕修工法である。
この補修工法は、水管(10)に生じた微小孔等の微少漏洩箇所や錆つきが進んで破損する可能性が有る脆弱部分等の潜在漏洩箇所に対して水管(10)の外周壁(11)側に板状のパッチ部材(20)を貼着し、さらに水管(10)全体を包囲カバー(30)で囲んで覆うようにするものである。
【0088】
パッチ部材(20)は、好ましくは、ガラス(繊維)、合成樹脂あるいは金属で作られた板状の部材である。特にFRP(Fiber Reinforced Plastics)が好ましい。このパッチ部材(20)は、好ましくは、所定方向に延びる可変部(21)が形成されている。この可変部(21)は、例えば溝を形成して肉薄とし、容易に屈曲可能にした部分である。図示した例では、直線状に延びる複数の可変部(21)が互いに平行になるように形成されている。
【0089】
この可変部(21)を有することにより、パッチ部材(20)を水管(10)に貼着する際に、可変部(21)の延びる方向を水管(10)が延びる方向に一致させて、パッチ部材(20)を可変部(21)のところで適宜に曲げてパッチ部材(20)の全体を水管(10)の外周壁(11)の円筒面に沿うように湾曲させることができる。例示したパッチ部材(20)は、四辺形に形成したものであるが、形状に限定されることなく、円形や三角形、その他の多角形であっても良い。
【0090】
包囲カバー(30)は、パッチ部材(20)を微小孔等の微少漏洩箇所や脆弱部分等の潜在漏洩箇所に貼着したのちに水管(10)を囲んで覆うものである。包囲カバー(30)は、合成樹脂製であるが、FRPが好適である。本実施の形態では、包囲カバー(30)をFRP製のものとして説明する。
【0091】
図示した包囲カバー(30)は、好ましくは、円筒体をその長手方向に沿った平面で2等分するように少なくとも2つに分割した形状のものから成り、2分割の場合は、2つ一組で水管(10)を囲んで覆うことができる。
この分割数は2つに限定されるものではなく、3分割以上に分割しても良い。
【0092】
また、円筒体をその長手方向に沿って分割する面は平面に限らず、平面を捩ったような面であってもよい。
さらに、分割せずに長手方向に沿った全長にわたって、1本の切込みを入れても良い。
この場合、切込み部分を拡げて、この拡げた部分から水管を内側に収めるように被せれば良い。
【0093】
包囲カバー(30)は、好ましくは、円筒形の一部を成す側壁部(31)と、該側壁部(31)の長手方向に沿って延びる縁部から半径方向外側に延びるフランジである結合部(32)と、包囲カバー(30)の両端縁に沿って該両端縁から半径方向外側に延びるフランジである連結部(33)とを有して成る。
【0094】
結合部(32)には、好ましくは、包囲カバー(30)の長手方向に沿って、ボルトbを通すための複数の開口が穿設されている。
この開口は、一組の包囲カバー(30)で水管(10)を囲んで覆った後に、一組の包囲カバー(30),(30)それぞれの結合部(32)に穿設された開口の位置を合致させて、各開口にボルトbを通してからボルトbにナットnを螺合させることによって一組の包囲カバー(30),(30)を一体に固定するためのものである。
【0095】
また、速結部(33)にもボルトbを通すための複数の開口が穿設されている。
この開口は、水管(10)に沿って複組の包囲カバー(30)を互いに連結するためのものであり、隣り合う組それぞれの連結部33に穿設された開口の位置を合致させて、各開口にボルトbを通してからボルトbにナットnを螺合させることによって一組の包囲カバー(30),(30)が連続して一体となるように固定するためのものである。
【0096】
次に本発明の実施の形態に係る水管(10)の補修工法の工程を説明する。
微小孔等の微少漏洩箇所が生じていたり、腐食が進んで小孔が開き易くなっていたりする脆弱部等の潜在漏洩箇所を補修するには、例えば、
図2に示したような工程にしたがって行う。
なお、補修の間、水管(10)内を流れる水を止水する必要はない。
【0097】
(工程1)
補修は先ず、前処理工程(ステップS1)から始める。この前処理工程では、水管(10)の微小孔等の微少漏洩箇所や脆弱部分等の潜在漏洩箇所に接着材2を塗布する。例えば、エポキシ系の接着材等の耐水性に優れた接着材を塗布する。この処理は、微小孔等の微少漏洩箇所についてはそこから漏れ出る水(微少漏洩)を止めるためであり、脆弱部分等の潜在漏洩箇所への塗布は、施工中の振動等によって脆弱部等の潜在漏洩箇所が破損してしまうことを防止するためである。
【0098】
次に、塗布した接着材2が固化したら、必要に応じて、研磨工程(ステップS2)を実施する。この研磨工程では、接着材2を塗布した補修対象箇所の周辺部を研磨して錆を落とす。
この処理は、以降の工程で行う接着材による接着等を良好に行うことができるようにするためのものである。
【0099】
次に、補修対象箇所と前記研磨した周辺部を覆うように、パッチ部材(20)を貼着するパッチ工程(ステップS3)を実施する。
パッチ部材(20)は、可変部(21)の延びる方向が水管(10)の長手方向となるように貼着する。その際、可変部(21)を適宜に曲げて、パッチ部材(20)全体が水管(10)の外周壁(11)の湾曲に沿うように変形させてから、予め補修対象箇所に塗布しておいた接着材2の上に貼着する。
これにより、確実に開口を塞ぐことができ、また、脆弱部分を補強することができる。
【0100】
補修対象箇所が潜在漏洩箇所であるか、微少漏洩していても止めることができるのであれば、補修対象箇所に先に塗布した接着材2が固化する前に、この固化していない接着材2の上にパッチ部材(20)を直接貼着してもよいし、最初に接着材2を補修対象箇所に塗布しないで、予め接着材2を塗布したパッチ部材(20)を補修対象箇所に接着材2を介して貼着してもよい。
【0101】
また、補修対象箇所が潜在漏洩箇所であるか、微少漏洩していても止めることができるのであれば、接着材2を介さずに、直接パッチ部材(20)を補修対象箇所に貼着してもよい。
この場合、パッチ部材(20)の金属管外壁と対向する面が、パッチ部材(20)の材質、又は、例えば微細な凹凸が形成されている等の面形状に由来して、金属管外壁との粘着性や密着性がよいことが好ましい。
【0102】
なお、補修対象箇所が極めて脆弱であり、前処理工程(ステップS1)を施した後であっても研磨工程(ステップS2)で発生する振動によって補修対象箇所が破損するおそれがあるときは、パッチ工程(ステップS3)と研磨工程(ステップS2)とを逆にしても良い。
【0103】
(工程2)
次に、水管(10)を包囲カバー(30)で囲んで覆うようにする包囲カバー取付け工程(ステップS4)を行う。
この工程では、パッチ部材(20)の貼着領域の上、若しくは、貼着領域及びその周辺の上、又は、パッチ部材(20)を貼着した水(管10)の略全体に接着材3を塗布し、次に2つの分割された包囲カバー(30)によって水管(10)を囲んで覆う。
【0104】
接着材3をパッチ部材(20)の上に予め塗布しておいて、パッチ部材(20)を貼着した後に、包囲カバー(30)で、好ましくは、包囲カバー(30)の内壁が接着材3に接触するように、金属管(10)を囲んで覆ってもよい。
【0105】
包囲カバーは、接着材3を使用せずに、包囲カバー内壁がパッチ部材(20)と接着材3を介さずに接触するように、金属管(10)を囲んで覆ってもよい。
この場合、パッチ部材(20)の包囲カバーと対向する面が、パッチ部材の材質、又は、例えば微細な凹凸が形成されている等の面形状に由来して、包囲カバー内壁との密着性がよいことが好ましい。
【0106】
さらに、包囲カバー(30),(30)それぞれの側壁部(31)に穿設された開口を合致させてボルトbを通し、ナットnをボルトbに螺合させて一体に固定する。
さらに、側壁部(31)およびその周辺部または側壁部(31)を含む包囲カバー(30)全体に、FRP用の接着材4を塗布又はライニングする。
これにより、一組の包囲カバー(30),(30)が一体となった管体となる。
【0107】
一組の包囲カバー(30),(30)は、複数組を連結することができる。
この場合、隣り合う一組の包囲カバー(30),(30)同士は、それぞれの結合部(32)に穿設された開口を合致させてボルトbを通し、ナットnをボルトbに螺合させて連結する。
結合部(32)に液体が漏洩しうる隙間があれば、その隙間を接着材4で封鎖することが好ましく、連結された包囲カバー全体を接着材4でライニングすることがより好ましい。 包囲カバーがFRPの場合には、結合部(32)に接着材4としてFRP用の接着材4を塗布又はライニングすることが好ましい。
【0108】
このように連結したものは、一本の管体のようになる。
これにより、連結された複数組の包囲カバー(30),(30)が一体となった管体となる。
【0109】
このようにして、一体となった包囲カバー(30)は、内側の、例えば金属製の水管(10)の腐食がすすんでも、包囲カバー(30)が水の通る水管の役目を果たすことができる。
【0110】
以上のようにして、水管(10)内を流れる水を止水することなく、水管(10)の微小孔等の微少漏洩箇所や脆弱部等の潜在漏洩箇所を速やかに且つ確実に補修することができる。
【0111】
次に、包囲カバー(30)の変形例を説明する。
なお、前記の包囲カバー(30)と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
図7は、変形例の包囲カバー(30)Aを使用して金属管の補修工法を施工されている水管(10)を示す斜視図であり、
図8は、包囲カバー(30)Aを長手方向に沿って切断した状態を示す縦断面図であり、
図9は、包囲カバー(30)Aを接合部カバー部(34)の所で切断した状態を示す横断面斜視図である。
また、
図10は、金属管の補修工法を施工されている水管(10)を包囲カバー(30)Aを開いた状態で示す斜視図であり、
図11は、包囲カバー(30)Aの内側を示す側面図である。
さらに、
図12は、包囲カバー(30)Aを使用して金属管の補修工法を施工されている水管(10)を側面から見た説明図である。
【0112】
図10および
図12から分かるように、包囲カバー(30)Aは、水管(10)がフランジ(12)で接合されている部分を含めて覆うことができるものである。
このため、包囲カバー(30)Aには、水管(10)のフランジ(12)を覆う接合部カバー部(34)が設けられている。
【0113】
接合部カバー部(34)は、包囲カバー(30)Aの結合部(32)同士を合わせて固定したときの内径が水管(10)のフランジ(12)の外径よりも大きく、幅はフランジ(12)の厚みの2倍よりも広く形成されている。
この接合部カバー部(34)は、包囲カバー(30)Aの中間部に一体に成形してもよいし、別体に成形して施工時に接着材を使用して両側の包囲カバー(30)Aと一体となるように接着しても良い。
【0114】
水管(10)の外周壁(11)に包囲カバー(30)Aを装着し、フランジ(12)を覆うように接合部カバー部(34)を装着した後、接合部等に、液体が漏洩しうる隙間があれば、その隙間を接着材4で封鎖することが好ましく、包囲カバー(30)Aおよび接合部全体を接着材4によって塗布又はライニングすることがより好ましい。
また、例えば包囲カバー(30)Aの素材がFRPであるならば、水管(10)の外周壁(11)に包囲カバー(30)Aを装着し、フランジ(12)を覆うように接合部カバー部(34)を装着した後、包囲カバー(30)Aおよび接合部カバー部(34)にFRP用の接着材4を塗布又はライニングしてそれらが一体となるようにしてもよい。
【0115】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0116】
例えば、前記実施の形態では、パッチ部材(20)は所定方向に延びる可変部(21)が形成されているものとして説明したが、パッチ部材(20)は、予め水管(10)の規格に合わせて水管(10)の外周壁(11)に略一致するように曲率半径の異なるものを複数種類用意しておき、施工の都度、現場の水管(10)の外径に合うものを選択して使用するようにしてもよい。
この場合、例えば、研磨工程(ステップS2)後、直ぐにパッチ部材(20)を水管(10)に貼着する作業を開始することができ、施工時間の一層の短縮を図ることができる。
【0117】
また、外周壁(11)に錆が発生していない状態であるが何らかの原因で微小孔が開いたような場合に研磨の必要が無いときは、研磨工程(ステップS2)を省略しても良い。
【0118】
さらに、補修する金属管として直線状に延びる水管(10)を図示して説明したが、Y字やT宇に分岐した形状の水管やエルボ形の水管を補修するときは、その水管の外周壁が延びる形状に合わせた形状に成形された包囲カバーを使用すれば良いことは言うまでもないことである。
【0119】
以上の実施態様の例から、本発明の金属補修方法は、以下の態様も開示する。
[1] 内部に液体が流れる金属管(10)の管壁に微小孔や振動等の刺激によって小孔が発生する恐れのある脆弱部分が生じたものを補修するための金属管捕修工法であって、
金属管(10)の微小孔や脆弱部分に接着材を塗布し、
補修対象箇所の上に板状のパッチ部材(20)を貼着し、
前記金属管(10)およびパッチ部材(20)の上から接着材を塗布し、その上から前記金属管(10)を囲んで覆う合成樹脂製の包囲カバー(30)を取り付けることを特徴とする金属管補修工法。
【0120】
[2] 内部に水が流れる金属管(10)の管壁に微小孔や振動等の刺激によって小孔が
発生する恐れのある脆弱部分が生じたものを補修するための金属管補修工法であって、
金属管(10)の微小孔や脆弱部分に耐水性の接着材を塗布し、
補修対象箇所の上に板状のパッチ部材(20)を貼着し、
前記金属管(10)およびパッチ部材(20)の上から接着材を塗布し、その上から前記金属管(10)を囲んで覆うFRP製の包囲カバー(30)を取り付けることを特徴とする金属管補修工法。
【0121】
[3] 前記金属管(10)の延びる方向に沿って複数本の包囲カバー(30)を連結して前記金属管(10)を囲んで覆い、連結した前記包囲カバー(30)全体を接着材4でライニングして前記包囲カバー(30)が一体と成るように形成することを特徴とする項[1]または[2]に記載の金属管補修工法。
【0122】
〔4] 前記包囲カバー(30)は、該包囲カバー(30)の延びる方向に沿って延設された結合部(32)を有する、少なくとも2つに分割されたものであり、前記結合部(32)同士を合わせて固定することによって前記金属管(10)を囲むようにすることを特徴とする項[1]から[3]のいずれか一項に記載の金属管補修工法。
【0123】
[5] 前記金属管(10)同士が接合されている接合部(12)を含めて前記金属管(10)を囲んで覆う場合は、前記包囲カバー(30)は、前記金属管(10)同士の接合部(12)を覆う接合部カバー部(34)を有するものを使用することを特徴とする項[1]から[4]のいずれか一項に記載の金属管補修工法。
【0124】
[6] 前記パッチ部材(20)は、所定方向に延びる可変部(21)が形成されたものであり、前記可変部(21)で曲げて全体を前記金属管(10)の外周壁(11)に沿って湾曲させた状態で前記金属管(10)に貼着することを特徴とする項[1]から[5]のいずれか一項に記載の金属管補修工法。
【0125】
[7] 前記項[1]から[6]のいずれか一項に記載された金属管補修工法に使用する包囲カバー(30)。