【0016】
本発明に用いる取付金具は、前記梁材と前記ジョイナーとの2種類の形鋼を連結する部材であって、化粧面部の左右端にそれぞれ外方が開口する係合溝と、配設状態において前記梁材の横片部の先端に引掛け可能なフック部と、前記梁材の横片部の基端及び縦片部の下端に下方から添設可能な添設部と、を備える通し材である。
前記化粧面部は、配設状態において梁材の下面側に配設されて室内側から見上げた際に梁材やビス打ちしたビスを隠す役割を果たす略水平状の横片である。この化粧面部の左右端に設けられる係合溝は、前記ジョイナーの延出部が挿入される部分であるから、この係合溝は前記ジョイナーの延出部の厚さより僅かに広幅に形成される。
前記フック部は、前述のように前記梁材の横片部の先端に引掛け可能であればどのような形状でもよい。例えば後述する図示実施例のように梁材としてC形鋼(リップ溝形鋼)を用いた場合には、横片部は下フランジに上向き片が延設された形状であるから、この横片部の先端とは、上向き片の上端を指し、フック部を略L字状に形成した。さらに、例えば梁材としてL形鋼や溝形鋼を用いた場合には、横片部は上向き片が形成されずに単なる横片状となるから、フック部をやや内向きに傾斜させた起立片状に形成すればよい。
前記添設部は、前述のように配設状態において前記梁材の横片部の基端及び縦片部の下端に下方から添設可能な部位である。前述のように梁材の横片部と縦片部とは垂直面部を形成しているので、この添設部も略垂直状に形成される。
【実施例】
【0022】
図1に示す第1実施例の後付け断熱天井板の取付工法は、下地として、流れ方向に直交するように配されている梁材1に、取付金具2を取り付け、ジョイナー3を梁材1と直交するように配設して断熱天井板4を配設する構成であり、取付金具2とジョイナー3とは格子状に組み合わされているので、断熱天井板4を容易に且つ安定に取り付けることができるものである。
【0023】
この第1実施例における下地を構成する前記梁材(C形鋼)1は、縦片部(ウエブ)11が略鉛直状に、横片部(下フランジ)12が略水平状に延在し、これらのウエブ11及び下フランジ12を略直交状に連結した形状、即ち垂直面部を形成した形状を備える。また、このC形鋼である梁材1において、下フランジ12には上向き片121が延設されているので、後述する取付金具2のフック部23を引掛ける「横片部12の先端」とは、上向き片121の上端を指す。なお、図中に示す符号13は上フランジ、131は上フランジに設けた下向き片である。
【0024】
この第1実施例における取付金具2は、前記梁材1と後述するジョイナー3との2種類の形鋼を連結する部材であって、化粧面部21の左右端にそれぞれ外方が開口する係合溝22,22と、配設状態において前記梁材1の「横片部12の先端」に引掛け可能なフック部23と、前記梁材1の横片部(下フランジ)12の基端及び縦片部(ウエブ)11の下端に下方から添設可能な添設部24と、を備える通し材である。なお、「横片部12の先端」とは、上向き片121の上端を指すことは前述のとおりである。
【0025】
前記化粧面部21は、略水平状の横片に形成され、この化粧面部21の左右端に設けられる係合溝22,22は、後述するジョイナー3の延出部34の厚さより僅かに広幅に形成されている。
前記フック部23は、前述のように前記梁材1がC形鋼(リップ溝形鋼)であるから、前述のように「横片部12の先端」とは、上向き片121の上端を指すから、このフック部23を略L字状に形成した。
また、前記添設部24は、前述のように配設状態において前記梁材1の下フランジ12の基端及びウエブ11の下端に下方から添設するので、梁材1の下フランジ12とウエブ11と同様に略垂直状に形成されている。
【0026】
また、この第1実施例におけるジョイナー3は、下フランジ32と上フランジ33とそれらの中央を連結するウエブ31とからなるアルミ押出型材(H形鋼)であって、一般的なH形鋼とは異なり、前記下フランジ32には長さ方向へ突出する延出部34が設けられている。また、このジョイナー3は、隣接する取付金具2,2間に直交状に配設するものであるから、隣接する取付金具2,2の配設間隔に応じた長さに形成されている。
【0027】
また、この第1実施例における断熱天井板4は、略一定厚みのボード状であって、その下面に沿わせて金属製の落下防止網材5を配設するようにした。
【0028】
そして、まず第1の工程として、
図1(a)に示すように、前記梁材1の上向き片121に前記取付金具2のフック部23を引掛けた状態で太矢印にて示すように前記取付金具2を回動させる操作を行い、その後、下フランジ12の基端及びウエブ11の下端に下方から添設部24を添設させた状態で該添設部24の側方からウエブ11の下端に太矢印にて示すようにビス(25)打ちする操作とを行う。この添設部24は、取付金具2の化粧面部21の上方に形成されるので、ビス打ちしたビス25の頭部は室内側に露出しないので、意匠性を損なうことがない。
【0029】
次に、第2の工程として、前記第1の工程により固定した隣接する取付金具2,2間に断熱天井板4及び落下防止網材5を回転させつつ設置する。より具体的には、
図1(b)に点線にて示した隣接する取付金具2,2間より僅かに幅狭に形成した断熱天井板4及び落下防止網材5の右端を、右方(水下側)に位置する梁材1の開口部に挿入した傾斜状とし、太矢印にて示すように断熱天井板4及び落下防止網材5の左端を回動させ、左方(水上側)に位置する取付金具2の化粧面部21に載置状に配置させると共に、その右端も右方に位置する取付金具2の化粧面部21上に載置状に配設した。
【0030】
続いて、第3の工程として、前記梁材1及び取付金具2に対して格子状となるようにジョイナー3を取り付ける。より具体的には、
図1(c)〜(e)に示すように固定した取付金具2,2の端部の係合溝22,22に、太矢印にて示すようにジョイナー3の両端の延出部34,34をそれぞれ差し込むと共に一方面側(
図1(c)ではジョイナー3の左側)を断熱天井板4の側面に臨ませて配設する。このジョイナー3は、隣接する取付金具2,2の配設間隔に応じた長さに形成されているので、取付金具2,2の係合溝22,22に側方から延出部34,34を差し込むことで配設することができる。
【0031】
その後、第4の工程として、
図1(f),(g)に示すように配設したジョイナー3の他方側(
図1(f)ではジョイナー3の右側)に、取付金具2を配設すると共に断熱天井板4及び落下防止網材5を取り付けた。ジョイナー3と取付金具2との連結は、前記第3の工程と全く同様(主体が逆))であり、取り付けたジョイナー3の延出部34に対し、太矢印にて示すように取付金具2の係合溝22が嵌合するように配設する。そして、取り付けた取付金具2,2間に断熱天井板4及び落下防止網材5を配設すればよい。
【0032】
なお、取付金具2とジョイナー3との連結は、前記第3の工程においても、この第4の工程においても係合溝22への延出部34の差し込みと説明し、
図1(c)〜(g)には省略しているが、後述する
図2(a),(b)に示すように室内側から当該箇所にビス26を打ち込んでスレ止め用としてもよい。
【0033】
前記
図1(b)における符号6は、梁材1の上フランジ13に載置状に固定された野地材であり、前記取付工法を室内側から実施する場合には、梁材1の上フランジ13に既設の野地材6やその上方の屋根構造が残存しているケース等が想定される。この場合には、後述する
図2に示すように野地材6の上方の屋根構造を補修すると共に、前述の天井構造を室内側から施工すればよい。
なお、前記取付工法を梁材1側から実施する場合には、前記野地材6やその上方の屋根構造が残存していないケース等が想定され、前述の天井構造を梁材1側から施工した後、最後に野地材6を梁材1の上フランジ13に固定すればよい。
【0034】
図2は、前記
図1の天井構造の外側に屋根構造を補修した例を示すものであって、前述のように梁材1の上フランジ13に既設の野地材6やその上方の屋根構造の一部が残存している例である。
この例において、既設の野地材6の上面には、既設の屋根構造7が敷設され、該既設の屋根構造7は、略平坦状の面板部の両端を立ち上げた屋根材7Aと、断面が略U字状の樋材7Bと、該樋材7Bの解放上部を覆う横片状の蓋材7Cとからなり、これらの屋根材7Aの側端、樋材7Bの側壁、及び蓋材7Cの側縁をカシメて一体化した構成であり、流れ方向に延在する縦桟が形成される構造である。
そして、前記既設の屋根構造7の上に、上下分割式の保持部材8(8A,8B)を用いて新設の屋根構造9を取り付けるのであるが、具体的には、前記既設の屋根構造の縦桟を跨ぐように略門状の下部保持部材8Aを取り付け、その左右の脚部の下端に設けた固定部に固定具8c,8cを打ち付け、前記野地材6を貫通して前記梁材1の上フランジ13に達するように固定した。この下部保持部材8Aの左右の側壁から外方へ弧状に突出する係合片が設けられ、この係合片に、略平坦状の面板部の左右端を傾斜状に立ち上げた外装材9Aを弾性嵌合させて保持させた状態で、略中央に弾性連結部を備える略蓋状の上部保持部材8Bを上方から押さえ付けるように配設することで、外装材9Aの傾斜状側縁部を下部保持部材8Aと上部保持部材8Bとで挟み込むように保持するので、外装材9Aはより安定に且つ強固に取り付け保持されるものとなる。そして、上部保持部材8Bを覆うようにカバー材9Bを冠着することで、新設の屋根構造が施工されている。
【0035】
このように施工される第1実施例の後付け断熱天井板の取付工法は、梁材1としてC形鋼を用いたが、このC形鋼だけではなく、L形鋼や溝形鋼などの各種の梁材にも対応できることは自明であり、梁材1の寸法誤差にも十分な取付強度を備えつつ断熱天井板4を容易に且つ安定に取り付けることができる。
また、本発明の取付工法を構成する第1〜第4の工程は、何れも室内側からでも梁材1側からでも作業が可能であるため、比較的大きな工場や体育館等の天井施工でも、比較的小型の倉庫等の天井施工でも、或いはその施工全般の手順に適宜に対応させて施工することが可能である。