(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変形抑制部が、前記ホルダ収容部に前記フレーム部を挿入するホルダ挿入方向において前記フレーム部の前後方向、左右方向へ傾斜する傾斜部と、前記前後方向へ延びる半円形の溝部とである
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のコネクタ。
【背景技術】
【0002】
従来、
図42〜
図44に示すように、ハウジング本体902とカードホルダ903とからなるカード用コネクタが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
なお、
図42〜
図44は下記特許文献1の
図3、
図5、
図6にそれぞれ対応する。但し、図中の符号は変更され、一部の符号は削除されている。
【0004】
合成樹脂製のハウジング本体902の平面904には、
図42に示すように、複数の接続端子905が取り付けられている。ハウジング本体902はプリント回路基板(図示せず)に実装される。接続端子905のコンタクト部906が平面904から突出している(
図43参照)。接続端子905のテール907(
図42参照)はプリント回路基板の接続パッド(図示せず)にはんだ付けされる。
【0005】
図42に示すように、複数の接続端子905の配列方向D1における平面904の両側には、それぞれ溝壁910が設けられている。2つの溝壁910にはそれぞれ溝909が設けられ、溝909同士が配列方向D1で対向している。一方の溝壁910には切欠部911Aが設けられ、他方の溝壁910には切欠部911Bが設けられている。
【0006】
図44に示すように、カードホルダ903を真上から見た形状はほぼ方形である。カードホルダ903の裏面917にはカード収容部918が設けられている。
【0007】
カードホルダ903の一辺には把持部923が設けられ、他の三辺にはそれぞれ縁部925A、縁部925B、縁部925Cが設けられている。縁部925Aには外側へ突出する係合突条927Aが設けられ、縁部925Bには外側へ突出する係合突条927Bが設けられている。縁部925Bには、カード収容部918内へ突出する一対の片持ちビーム921で構成されるカード抑え922が設けられている。カード抑え922がカード(図示せず)を縁部925Aに押し付けるので、カード収容部918が下向きになってもカードは脱落しない。
【0008】
カードホルダ903をハウジング本体902に装填するには、まず、カードホルダ903の裏面917をハウジング本体902の平面904と対向させ、縁部925Aの係合突条927Aと溝壁910の切欠部911Bとを合わせるとともに、縁部925Bの係合突条927Bと溝壁910の切欠部911Aとを合わせて、カードホルダ903の裏面917がハウジング本体902の平面904に接するようにカードホルダ903を落し込み、次に、カードホルダ903を矢印930の方向へ少しスライドさせればよい。その結果、カードの回路接点がハウジング本体902のコンタクト部906に接触し、カードとプリント回路基板とが電気的に接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のようなトレイ型のカード用コネクタの他に、図示しない公知のカード用コネクタがある。このコネクタは、トレイ型カードホルダと、このホルダが収容されるカードホルダ収容部を有するコネクタ本体とを備え、コネクタ本体の前側に位置するホルダ挿入口からコネクタ本体の後側へ向かってカードをカードホルダ収容部に挿入する構造のカード用コネクタである。
【0011】
近年、この種のカード用コネクタもいわゆる多芯化や小型化が進み、コンタクトの接触部の位置がホルダ挿入口に近くなった。
【0012】
したがって、カードを保持していない状態のトレイ型カードホルダを左右に揺らしながらコネクタ本体のホルダ挿入口からカードホルダ収容部内に挿入すると、カードホルダ収容部内に突出しているコンタクトの接触部が、トレイ型カードホルダの前側部分によって塑性変形し、破損するおそれがある。
【0013】
また、カードを保持していない状態のトレイ型カードホルダをコネクタ本体のカードホルダ収容部から引き抜くときも、カードホルダ収容部内に突出しているコンタクトの接触部が、トレイ型カードホルダの前側部分によって塑性変形し、破損するおそれがある。
【0014】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は、ホルダのフレーム部をコネクタ本体のホルダ収容部に挿入したりホルダ収容部から引き抜いたりしたとき、フレーム部によるコンタクトの接触部の損傷を少なくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の課題を解決するため請求項1記載の発明は、板状接続対象物と他の接続対象物とを電気的に接続するコネクタにおいて、前記板状接続対象物が収容される板状接続対象物収容部を形成するフレーム部を有するホルダと、前記他の接続対象物に実装され、前記ホルダを収容するホルダ収容部を有するコネクタ本体とを備え、前記コネクタ本体は、ハウジングと、前記ハウジングに保持されるコンタクトとを有し、前記コンタクトは、前記他の接続対象物に接続される接続部と、前記ホルダ収容部内に突出し、前記ホルダ収容部に前記ホルダが収容されているとき前記板状接続対象物収容部内の前記板状接続対象物に接触する接触部とを有し、前記ホルダを前記ホルダ収容部に挿入したり前記ホルダ収容部から引き抜いたりしたときの前記接触部の変形を抑制する変形抑制部が、前記フレーム部に設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のコネクタにおいて、前記変形抑制部が、前記ホルダ収容部に前記ホルダを挿入するホルダ挿入方向において前記フレーム部の前側に設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のコネクタにおいて、前記変形抑制部が、前記ホルダ収容部に前記ホルダを挿入するホルダ挿入方向において前記フレーム部の前側と後側とに設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載のコネクタにおいて、前記変形抑制部が、前記フレーム部の表面及び裏面に設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載のコネクタにおいて、前記変形抑制部が、前記ホルダ収容部に前記フレーム部を挿入するホルダ挿入方向において前記フレーム部の前後方向、左右方向へ傾斜する傾斜部であることを特徴とする。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載のコネクタにおいて、前記変形抑制部が、前記ホルダ収容部に前記フレーム部を挿入するホルダ挿入方向において前記フレーム部の前後方向、左右方向へ傾斜する傾斜部と、前記前後方向へ延びる半円形の溝部とであることを特徴とする。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項記載のコネクタにおいて、前記ホルダは、前記板状接続対象物収容部内の前記板状接続対象物を前記フレーム部の内周面に押し付けて前記板状接続対象物を支持するばね部を有することを特徴とする。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項7記載のコネクタにおいて、前記ばね部が板状であり、前記ばね部の自由端側に、前記板状接続対象物収容部に斜めに前記板状接続対象物が収容された場合に、前記板状接続対象物を前記板状接続対象物収容部の外へガイドするばね部側傾斜部が、設けられていることを特徴とする。
【0023】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項記載のコネクタにおいて、前記ホルダは、前記フレーム部に設けられ、前記板状接続対象物収容部内の前記板状接続対象物の周縁部を支持する支持部を有することを特徴とする。
【0024】
請求項10記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項記載のコネクタにおいて、前記ホルダは、前記フレーム部に設けられ、前記板状接続対象物収容部内の前記板状接続対象物と対向する底部を有することを特徴とする。
【0025】
請求項11記載の発明は、請求項1〜10のいずれか1項記載のコネクタにおいて、前記ホルダは、前記ホルダ挿入方向において前記フレーム部の後側に設けられ、前記フレーム部を前記ホルダ収容部に挿入したり前記ホルダ収容部から引き抜いたりするための操作部を有し、前記フレーム部を前記ホルダ収容部から引き抜くための治具を引っ掛けるための凹部が、前記操作部の近傍に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、ホルダのフレーム部をコネクタ本体のホルダ収容部に挿入したりホルダ収容部から引き抜いたりしたとき、フレーム部によるコンタクトの接触部の損傷を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】この発明の第1実施形態に係るコネクタを斜め上方から見た斜視図であって、カードホルダをコネクタ本体のホルダ収容部に挿入する前の状態を示す図である。
【
図2】
図1のコネクタを斜め下方から見た斜視図であって、カードホルダをコネクタ本体のホルダ収容部に挿入する前の状態を示す図である。
【
図3】
図1のコネクタを斜め上方から見た斜視図であって、カードホルダをコネクタ本体のホルダ収容部に挿入した後の状態を示す図である。
【
図4】
図1のコネクタを斜め下方から見た斜視図であって、カードホルダをコネクタ本体のホルダ収容部に挿入した後の状態を示す図である。
【
図5】
図1のコネクタを真下から見た底面図であって、カードホルダをコネクタ本体のホルダ収容部に挿入する前の状態を示す図である。
【
図6】
図1のコネクタのカードホルダの表面を示す図である。
【
図7】
図1のコネクタのカードホルダの裏面側の斜視図である。
【
図8】
図1のコネクタのカードホルダの裏面側を
図7とは別の角度から見た斜視図である。
【
図9】
図1のコネクタのカードホルダの表面側の斜視図である。
【
図10】
図1のコネクタのカードホルダの裏面の前側を示す図である。
【
図12】
図1のコネクタのコネクタ本体からシェルを取り除いてコンタクト部分を示した斜視図である。
【
図13】
図1のコネクタ本体のホルダ収容部にカードホルダを左右に揺らしながら挿入する状態を示す図である。
【
図14】
図1のコネクタ本体のホルダ収容部に挿入されたカードホルダの操作部とコネクタ本体が収容された筐体の挿入口との関係を示す図である。
【
図15】カードホルダの操作部の凹部にピン状のツールを引っ掛けてカードホルダをコネクタ本体から引き抜く作業を説明するための図である。
【
図16】カードホルダのカード収容部にカードが正しく収容されている状態を示す図である。
【
図17】カードホルダのカード収容部にカードが正しく収容されている状態を示す前方から見た図である。
【
図18】
図1のコネクタのカードホルダの変形例のカードホルダの裏面側の斜視図である。
【
図20】
図18のカードホルダのばね部のばね部側傾斜部にカードの縁部が接触している状態を示す概念図である。
【
図21】
図18のカードホルダのばね部のばね部側傾斜部によってカードの縁部が上方へ押し上げられた状態を示す概念図である。
【
図22】
図18のカードホルダのカード収容部にカードが斜めに収容されている状態を示す概念図である。
【
図23】
図18のカードホルダのカード収容部にカードが斜めに収容されている状態を前方から見た図である。
【
図24】この発明の第2実施形態に係るコネクタのカードホルダの裏面を示す図である。
【
図25】
図24のカードホルダのカード収容部にカードが収容されている状態を示す図である。
【
図26】
図24のカードホルダのカード収容部に収容されているカードとは異なる種類のカードの平面図である。
【
図27】この発明の第3実施形態に係るコネクタのカードホルダの裏面を示す図である。
【
図32】
図27のカードホルダのカード収容部にカードが収容されている状態を示す図である。
【
図33】この発明の第4実施形態に係るコネクタのカードホルダの裏面側の斜視図である。
【
図41】
図39のカードホルダにカードを収容した状態を示す図である。
【
図42】従来のカード用コネクタのハウジング本体の平面図である。
【
図44】従来のカード用コネクタのカードホルダを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1〜
図5に示すように、この発明の第1実施形態に係るコネクタ1は、コネクタ本体3と、コネクタ本体3にカード(板状接続対象物)20を保持した状態で接続されるカードホルダ(ホルダ)5とを備えている。
【0030】
コネクタ本体3は、
図14に示すように、筐体21内に固定されたプリント基板(他の接続対象物)22に実装される。なお、この発明の実施形態の説明の便宜上、
図14には筐体21やプリント基板22が部分的に示されている。コネクタ1は、カードホルダ5に保持されたカード20(
図2参照)とプリント基板22(
図14参照)とを電気的に接続する。カード20には、例えばSD(Secure Digital)カードやSIM(Subscriber Identity Module)カード(ICチップの無いタイプ)等のメモリカード、IC(Integrated
Circuit)カード等が含まれる。
【0031】
図1〜
図5に示すように、コネクタ本体3は、樹脂製のハウジング2と、ハウジング2を覆う金属製のシェル32と、カードホルダ5を収容するホルダ収容部33と、ハウジング2に保持されたコンタクト6と、カードホルダ5を筐体21(
図14参照)から外部へ脱出させるためのイジェクト機構34とを備えている。この実施形態では、イジェクト機構34として例えばいわゆるプッシュ・イン・プッシュ式の周知のイジェクト機構を用いたので、その詳しい説明を省略する。
【0032】
コネクタ本体3のホルダ収容部33(
図1、
図2参照)は、ハウジング2とシェル32とによって囲まれた空間であり、カードホルダ5のフレーム部51を収容する場所である。
【0033】
コンタクト6は、
図5、
図12に示すように、カード20の電極20Aに接触する接触部6Aとプリント基板22(
図14参照)のパッド(図示せず)に接続される接続部6Bとを有する。接触部6Aはホルダ収容部33内に突出している(
図12参照)。接続部6Bはプリント基板22のパッドにはんだ付けできるようコネクタ本体3の下面32Aから外部へ露出している(
図2、
図4、
図5参照)。ハウジング2には、フレーム部51がホルダ収容部33に収容されたとき、接触部6Aを逃がす逃がし部2Bが設けられている。
【0034】
図6〜
図11に示すように、カードホルダ5は、カード20を収容するカード収容部(板状接続対象物収容部)51Aを有するフレーム部51と、カード収容部51Aに収容されたカード20と対向する底部53と、ホルダ挿入方向IDにおいてフレーム部51の後端に連結される操作部52と、カード収容部51Aに収容されたカード20をフレーム部51の内周面に押し付けるばね部54とを備えている。フレーム部51と底部53と操作部52とばね部54とは合成樹脂で一体成形される。
【0035】
図5〜
図8に示すように、フレーム部51はほぼ矩形の枠体である。フレーム部51の表面H(カード収容部51Aが見えない方の面)には底部53が設けられているので、カードホルダ5はトレイ状の構造になっている。
【0036】
フレーム部51は前部51Fと側部51SRと側部51SLと後部51Rとを有する。
【0037】
ばね部54は側部51SLに設けられている。ばね部54はホルダ挿入方向IDへ延びる細長い板状の形状を有するばねである。ばね部54は、フレーム部51の側部51SLに設けられたばね部収容室56に弾性変形可能に形成されている。ばね部54の自由端はわずかにカード収容部51A内に入り込んでいる(
図5参照)。
【0038】
操作部52は、フレーム部51をホルダ収容部33に挿入する際に指で押したり、あるいはフレーム部51をホルダ収容部33から引き抜いたりする際に指でつまむ部分である。
【0039】
操作部52の中央部付近でフレーム部51の操作部側端部には凹部52Aが設けられている。操作部52を指でつまんでフレーム部51をホルダ収容部33から引き抜くのが困難になったとき、
図15に示すように、ピン状のツール10の先端部を凹部52Aに挿入し操作部52の端部に引っ掛け、カードホルダ5を引き抜くことができる。なお、ピン状のツール10の先端部を引っ掛ける場所を、フレーム部51に設けるようにしてもよい。更に、フレーム部51の前後方向(以下前後方向という)FBに余裕があり、前後方向FBに操作部52を厚くできるときには、凹部52Aを操作部52に設けてもよい。
【0040】
図7〜
図10に示すように、フレーム部51の前部51Fには傾斜部(変形抑制部)S1,S2,S3が設けられている。傾斜部S1,S2,S3はそれぞれ前後方向FBへ傾斜している。傾斜部S1と傾斜部S2との間、傾斜部S2と傾斜部S3との間にはそれぞれ、カード収容部51Aに収容されたカード20の周縁部を受けるカード受け部55が設けられている。カード受け部55には傾斜部(変形抑制部)S4,S5が設けられている。傾斜部S4,S5はそれぞれフレーム部51の左右方向(以下左右方向という)LRへ傾斜している。
【0041】
フレーム部51の側部51SLの前側には傾斜部(変形抑制部)S6が設けられている。傾斜部S6は左右方向LRへ傾斜している。
【0042】
フレーム部51の側部51SRの前側には傾斜部(変形抑制部)S7が設けられている。傾斜部S7は左右方向LRへ傾斜している。
【0043】
なお、この実施形態では、フレーム部51の前部51F、側部51SLの前側、及び側部51SRの前側が位置している領域A1(
図8参照)が、フレーム部51の前側である。
【0044】
カードホルダ5を用いてカード20をコネクタ3に接続するには、まず、
図7、
図8に示すように、カードホルダ5を裏返して(
図7、
図8に示す状態)、カード収容部51Aにカード20を収容する。このとき、ばね部54の自由端をカード20等で押圧してカード収容部51Aから遠ざける方向へ移動させ、カード20をカード収容部51Aに収容する(
図16、
図17に示す状態)。その後、ばね部54の復帰力によって底部53上のカード20が側部51SRの内周面に押し付けられる。その結果、カード20がカード収容部51A内に保持されるので、カードホルダ5を裏返しても(
図6、
図9に示す状態)、カード20はカード収容部51Aから落下しない。
【0045】
次に、指で操作部52をつまんでカードホルダ5の表面Hを上にし(
図6、
図9に示す状態)、
図1に示すように、カードホルダ5のフレーム部51をコネクタ本体3のホルダ収容部33に挿入する。フレーム部51がホルダ収容部33に挿入されると(
図4参照)、ホルダ収容部33に突出していたコンタクト6の接触部6Aがフレーム部51の前部51Fに押されて弾性変形し、ハウジング2の逃がし部2Bに向けて押される。このとき、コンタクト6の接触部6Aまたは先端が逃がし部2B内に押し込まれるように構成してもよい。更に、初期状態においてコンタクト6の先端が逃がし部2B内に位置するように構成してもよい。
【0046】
フレーム部51がホルダ収容部33に所定量以上挿入されたとき、フレーム部51はイジェクト機構34のロック部(図示せず)によってロックされ、ホルダ収容部33内に保持され、カードホルダ5の挿入が完了する。このとき、コンタクト6の接触部6Aの復帰力によってコンタクト6の接触部6Aがカード20の電極20Aに押し付けられる。その結果、カード20とプリント基板22とが電気的に接続される。
【0047】
カードホルダ5をコネクタ本体3のホルダ収容部33から脱出させるには、カードホルダ5の操作部52をカード挿入方向IDへ押せばよい。操作部52が押されると、イジェクト機構34の脱出機能が働いてカードホルダ5の大部分がコネクタ本体3から脱出するので、後は操作部52を指でつまんでカードホルダ5を引けば、カードホルダ5の全部をホルダ収容部33から引き抜くことができる。
【0048】
もし、なんらかの原因によりカードホルダ5が脱出されないときは、筐体21の挿入口21Aに差し込んだピン状のツール10の先端部を凹部52Aに挿入し、操作部52の端部に引っ掛け、操作部52を引っ張ることにより、カードホルダ5をホルダ収容部33から引き抜くことができる。
【0049】
また、カード収容部51Aにカード20が収容されていないカードホルダ5をコネクタ本体3のホルダ収容部33から脱出させる場合、コンタクト6の接触部6Aはカード収容部51Aに入り込んでいるが、カードホルダ5が脱出方向(カード挿入方向IDと反対の方向)へ移動するときコンタクト6の接触部6Aがフレーム部51の傾斜部S1,S2,S3に入り込み、それらの傾斜部S1,S2,S3の斜面上を滑らかにスライドして逃がし部2Bに向けて押されるので、コンタクト6の接触部6Aを損傷(塑性変形)させずにカードホルダ5をホルダ収容部33から引き抜くことができる。
【0050】
更に、
図13に示すように、カード収容部51Aにカード20が収容されていないカードホルダ5又はカード収容部51Aにカード20が収容されているカードホルダ5を、左右に揺らしながら(
図13の符号57参照)、コネクタ本体3のホルダ収容部33に挿入した場合、コンタクト6の接触部6Aがフレーム部51の傾斜部S4,S5,S6,S7に入り込み、その斜面上をスライドして逃がし部2Bに向けて押されるので、接触部6Aの変形が抑制される。その結果、コンタクト6の接触部6Aを損傷させずにカードホルダ5をホルダ収容部33に挿入することができる。
【0051】
この実施形態によれば、カードホルダ5のフレーム部51をコネクタ本体3のホルダ収容部33に挿入したり、ホルダ収容部33から引き抜いたりしたとき、フレーム部51によるコンタクト6の接触部6Aの損傷を少なくすることができる。
【0052】
また、ばね部54の復帰力を利用してカード20をカード収容部51A内に保持する
ことができるので、カードホルダ5を裏返してもカード20はカード収容部51Aから落下しない。
【0053】
更に、なんらかの原因によりホルダ収容部33内のカードホルダ5とコネクタ本体3との間の接触力がイジェクト機構34のホルダ脱出力を超えて、カードホルダ5がホルダ収容部33から脱出できないとき、筐体21の挿入口21Aに差し込んだピン状のツール10の自由端を凹部52Aに挿入し、操作部52の端部に引っ掛け、操作部52を引っ張ることにより、カードホルダ5をホルダ収容部33から引き抜くことができる。
【0054】
次に、この発明の第1実施形態に係るコネクタ1の変形例を
図18〜
図23に基づいて説明する。
【0055】
第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態との主な相違部分についてだけ説明する。
【0056】
この変形例のカードホルダ105では、
図18、
図19に示すように、ばね部54の自由端側に、ばね部側傾斜部54Bが設けられている。
【0057】
ばね部側傾斜部54Bは、ばね部54の自由端側に位置するカード20の外周面に接触する接触部54Aの近傍に位置している。
【0058】
ばね部側傾斜部54Bは、カード20がカード収容部51Aに斜めに収容された場合(即ち、カード20をカード収容部51A内の適正な位置まで収容しない場合)に、カード20をカード収容部51Aの外へガイドする機能と、カード20をカード収容部51Aに収容するときにカード20を押圧することで、ばね部54を弾性変形させる機能とを有する。
【0059】
第1実施形態のコネクタ1及び、この変形例のカードホルダ105では、
図22、
図23に示すように、カード20の位置決め部20Cをフレーム部51のカード位置決め部51C側にしないでカード20をカード収容部51Aに収容すると、即ち誤ってカード20をカード収容部51Aに表裏を逆(カード20の電極20Aを底部側に向けて収容)に、あるいは上下逆に収容すると、カード20がカード収容部51A内で斜めになることがある。または、カード20をカード収容部51Aに収容するときに適正な位置合わせ(位置決め部20Cとカード位置決め部51Cとを合わせる)をして収容したが、最後までカード20を押圧しないでカード収容部51A内に中途半端に収容した場合にも、カード20がカード収容部51A内で斜めになることがある。このとき、左右方向LRにおけるカード20の一端が浮き上がるが、浮き上がっているか否かを目視では判別しにくい。
【0060】
この変形例のカードホルダ105では、カード20がカード収容部51Aに斜めに収容された場合、即ち適正に収容(
図16、
図17参照)されないとカード20の一端のエッジがばね部側傾斜部54Bに位置するので(
図20参照)、ばね部54の復帰力がカード20に作用して、ばね部側傾斜部54Bによってカード20がカード収容部51Aの外へ(
図21の矢印A3の方向へ)ガイドされる(
図21参照)。その結果、カード20の一端の浮き上がりが顕著になり、カード20がカード収容部51Aに正しく収容されているか否かをユーザは目視で判別しやすい。また、この変形例ではカード20の位置決め部20Cをフレーム部51のカード位置決め部51C側に合わせて、即ち適正な位置合わせをしてカード20をカード収容部51Aに収容するときには、カード20を底部側に向けて押圧するだけで、ばね部側傾斜部54Bの働きでばね部54が弾性変形して、カード20をカード収容部51A内に正しく収容することができる。
【0061】
次に、この発明の第2実施形態に係るコネクタを
図24〜
図26に基づいて説明する。
【0062】
第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態との主な相違部分についてだけ説明する。また、コネクタ本体は第1実施形態と共通するので、その説明を省略する。
【0063】
第1実施形態のカードホルダ5では、傾斜部S1〜S7がフレーム部51の前側にだけ設けられているが、第2実施形態のカードホルダ205では、
図24に示すように、傾斜部S1〜S7がフレーム部51の後側にも設けられている。
【0064】
また、フレーム部51の後部51Rに操作部52が設けられていない。
【0065】
図26のカード23の平面の外形とカードホルダ205のカード収容部51Aに収容されたカード20の平面の外形とは同じであるが、カード23のサイズはカード20のサイズより大きい。カードホルダ205の平面の外形、サイズそれぞれはカード23の平面の外形、サイズとほぼ同じであり、カードホルダ205の厚さはカード23の厚さよりわずかに厚い。
【0066】
コネクタ本体3のホルダ収容部33に、カード23を直接挿入することができるし、カード23と種類の異なるカード20をカードホルダ205を介して挿入することもできる。
【0067】
なお、この実施形態では、フレーム部51の後部51R、側部51SRの後側、及び側部51SLの後側の位置している領域A2(
図24参照)が、フレーム部51の後側である。
【0068】
第2実施形態によれば、カードホルダ205を誤って前後逆に挿入したとしても、正しく挿入したとき(カードホルダ205の前側から挿入したとき)と同様に、コンタクト6の接触部6Aの損傷を少なくすることができる。
【0069】
次に、この発明の第3実施形態に係るコネクタを
図27〜
図32に基づいて説明する。
【0070】
第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態との主な相違部分についてだけ説明する。また、コネクタ本体は第1実施形態と共通するので、その説明を省略する。
【0071】
第3実施形態のカードホルダ305には、
図27〜
図29に示すように、第1実施形態のカードホルダ5(
図8参照)のばね部54が採用されていない。カードホルダ305では、フレーム部351の後部351Rにカード挿入方向IDへ突出するように設けられた突出部3511(
図31、
図32参照)と、突出部3511とホルダ厚さ方向UD(
図31参照)で対向する底部53とによって、カード収容部51Aに収容されたカード20を支持する。
【0072】
また、第3実施形態のカードホルダ305では、
図27、
図30、
図32に示すように、傾斜部S1〜S7がフレーム部51の前側にだけ設けられている。
【0073】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
次に、この発明の第4実施形態に係るコネクタを
図33〜
図41に基づいて説明する。
【0075】
第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態との主な相違部分についてだけ説明する。また、コネクタ本体は第1実施形態と共通するので、その説明を省略する。
【0076】
第4実施形態のカードホルダ405には、
図33〜
図37に示すように、底部53が採用されていない。したがって、第4実施形態のカードホルダ405は上述の実施形態のようなトレイ型のカードホルダではない。カードホルダ405には、
図39に示すように、フレーム部451にカード20の周縁部を支持する支持部453が設けられている。支持部453はフレーム部451の側部451SL、後部451R、側部451SRからカード収容部51A内へ突出する突出片である。支持部453は、フレーム部451の側部451SLから後部451Rを経て側部451SRに連なる。なお、フレーム部451の後部451Rには操作部452が設けられている。
【0077】
図41に示すように、支持部453はカード20の周縁部を支持する。
【0078】
また、フレーム部451の表面H及び裏面Bの両方に変形抑制部が設けられている。
【0079】
まず、フレーム部451の裏面Bの変形抑制部について説明する。フレーム部451の前部451Fには溝部(変形抑制部)S41,S42,S43が設けられている。溝部S41,S42,S43はそれぞれ前後方向FBへ延びるほぼ半円形の溝である(
図33、
図37、
図40参照)。溝部S41と溝部S42との間、溝部S42と溝部S43との間にはそれぞれ、カード収容部51Aに収容されたカード20の周縁部を受けるカード受け部55が設けられている。カード受け部55には傾斜部(変形抑制部)S45が設けられている。傾斜部S45は前後方向FBへ傾斜している。溝部S41,S42,S43はそれぞれ第1実施形態の傾斜部S1,S2,S3,S4,S5のように機能する。傾斜部S45は第1実施形態の傾斜部S4,S5のように機能する。
【0080】
フレーム部451の側部451SRの前側には傾斜部(変形抑制部)S47が設けられている。傾斜部S47は左右方向LRへ傾斜している。フレーム部451の側部451SLの前側には傾斜部(変形抑制部)S46が設けられている。傾斜部S46は左右方向LRへ傾斜している。傾斜部S46,S47は第1実施形態の傾斜部S6,S7のように機能する。
【0081】
なお、フレーム部451の前部451F、側部451SRの前側、及び側部451SLの前側の位置している領域が、フレーム部451の前側に相当する。
【0082】
次に、フレーム部351の表面Hの変形抑制部について説明する。フレーム部451の前部451Fには傾斜部(変形抑制部)S48が設けられている。傾斜部S48は前後方向FBへ傾斜している(
図35、
図36参照)。
【0083】
フレーム部451の側部451SLの前側には傾斜部(変形抑制部)S49が設けられている。傾斜部S49は左右方向LRへ傾斜している。フレーム部451の側部451SRの前側には傾斜部(変形抑制部)S50が設けられている。傾斜部S50は左右方向LRへ傾斜している。
【0084】
傾斜部S48は第1実施形態の傾斜部S1,S2,S3,S4,S5のように機能する。傾斜部S49は第1実施形態の傾斜部S6のように機能する。傾斜部S50は第1実施形態の傾斜部S7のように機能する。
【0085】
第4実施形態によれば、フレーム部351の裏面Bに変形抑制部として溝部S41,S42,S43と傾斜部S45,S46,S47とが設けられ、フレーム部351の表面Hに変形抑制部として傾斜部S48,S49,S50が設けられているので、カードホルダ405を誤って表裏逆に挿入したとしても、正しく挿入したとき(カードホルダ405の裏面Bを下にして挿入したとき)と同様に、コンタクト6の接触部6Aの損傷を少なくすることができる。
【0086】
なお、上述の各実施形態では、変形抑制部として傾斜部S1等や溝部S41等を採用したが、変形抑制部はコンタクト6の接触部6Aの変形を抑制する形状であればよく、傾斜部S1等や溝部S41等以外にも様々な形状があり、例えば凹形状や凸形状のR面でもよい。