特許第6044998号(P6044998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044998
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】管継手及びその雌型管継手部材
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/12 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   F16L37/12
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-226021(P2014-226021)
(22)【出願日】2014年11月6日
(65)【公開番号】特開2016-89974(P2016-89974A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2016年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】北川 浩之
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−142011(JP,A)
【文献】 特開2011−7303(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第4101849(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/08−39/06
F16B 7/04
F16L 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄型管継手部材を受け入れる筒状壁と、
該筒状壁の外周面に取り外し可能に取り付けられて該筒状壁の周方向で延び、一部が該筒状壁を半径方向で貫通するように設けられた開口を通って延びて該筒状壁内に受け入れた雄型管継手部材と係合する状態で、該筒状壁の周囲で締め付けられて該雄型管継手部材を該筒状壁に対して固定するための金属製の締着用ベルトと、
を備える雌型管継手部材であって、
該筒状壁がその外周面に半径方向で突出する軸部と該軸部の先端の頭部とを有する取付用突起を備え、
該締着用ベルトが該筒状壁の該外周面に面する裏面から該裏面と反対側の表面に貫通する、該取付用突起を通すための取付用孔を有する取付用部と該取付用部の両側から延びて筒状本体の周方向に延びるよう設定される一対の締付用部とを備え、
該取付用部には、該取付用部の一側部に一定間隔をあけて設けられた第1係合部及び第2係合部にそれぞれ第1端部及び第2端部が係合することにより該取付用部に対して一定の位置とされた取付用ワイヤ部材が取り付けられ、該取付用ワイヤ部材は該第1端部から該取付用部に接するように延び該取付用孔の外側を通って該取付用部を横断し、折り返して該第2端部に至るようにされており、折り返して該第2端部に至る一部が該取付用孔を横切るように構成されているワイヤ部を有し、
該取付用突起が該締着用ベルトの該取付用孔内に通された状態において、該ワイヤ部の該一部は該軸部の一側面に係合されて該軸部の半径方向外側に変位されることにより該取付用ワイヤ部材が弾性変形されて該締着用ベルトを付勢し、該取付用孔の縁が該軸部の該一側面とは反対側から該取付用突起に押圧され、該取付用孔の該縁及び該ワイヤ部の該一部によって該取付用突起を挟着して該締着用ベルトの該取付用突起に対する軸線方向での保持がなされ、
該取付用ワイヤ部材は外力を加えることにより変形されて該ワイヤ部の該一部が該軸部の該一側面から該半径方向外側に変位して該軸線方向で見ての該頭部との重なる位置から重ならない位置に変位されることにより該締着用ベルトの該取付用突起に対する軸線方向での保持を解除できるようにされている雌型管継手部材。
【請求項2】
該締着用ベルトに取り付けられていない状態の該取付用ワイヤ部材の該第1端部と該第2端部との間の間隔が該第1係合部と該第2係合部との間の間隔より小さく、該第1端部及び該第2端部は、それらの間を拡げて該第1係合部及び該第2係合部に係合されている請求項1に記載の雌型管継手部材。
【請求項3】
該ワイヤ部が該第1係合部に係合された該第1端部から該表面に沿って延び該取付用孔の外側を通って該取付用部を横断し、折り返されて該第2端部に至る部分が、該締着用ベルトの該裏面に沿って延びるようにされている請求項1又は2に記載の雌型管継手部材。
【請求項4】
該取付用孔の該縁が、該頭部の側面に押圧されるようになされた請求項1乃至3のいずれか一項に記載の雌型管継手部材。
【請求項5】
該ワイヤ部は該第1端部から延びて折り返される部分で少なくとも一巻きのループ形状とされてから該第2端部に至るようにされている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の雌型管継手部材。
【請求項6】
該取付用ワイヤ部材は、該ワイヤ部の該一部が該軸部の該一側面から該半径方向外側に変位するように、該第1係合部に係合された該第1端部を中心に回動可能とされている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の雌型管継手部材。
【請求項7】
該取付用部が該第2係合部に連接して形成された端部案内部を有し、該端部案内部は該ワイヤ部の該一部が該軸部の該一側面から該半径方向外側に変位するように該取付用ワイヤ部材が回動されるときに、該第2端部を該第1端部から離れる方向で案内するように構成されている請求項6に記載の雌型管継手部材。
【請求項8】
該第2係合部と該端部案内部とは該第2端部を該第1端部に近づかないように係合する係合端部から第2係合部から離れる方向で延びる細長い孔として形成され、該取付用ワイヤ部材が回動されるときに、該第2端部を該第2係合部としての該係合端部から該細長い孔の縁に沿って該第1端部から離れる方向で案内するように構成されている請求項7に記載の雌型管継手部材。
【請求項9】
該取付用部は、該取付用孔の該一側部においてそれぞれ該第1係合部及び第2係合部から相互に反対方向に延びる第1延出部及び第2延出部を有し、
該第1端部及び該第2端部はそれぞれ該取付用ワイヤ部材の両端を折り曲げて形成され、折り曲げ部分を該第1係合部及び該第2係合部に係合して該取付用部を該表面及び該裏面から挟むように設定されようになされ、
該第1延出部及び該第2延出部は、該第1端部及び該第2端部がそれぞれ該第1係合部及び該第2係合部に係合された状態で、それぞれ該第1係合部及び該第2係合部を中心に該取付用部側に近づくように変形し、該取付用部との間に該第1端部及び該第2端部を保持する空間を形成し、該第2端部を保持する空間が該細長い孔を形成するようになされている請求項8に記載の雌型管継手部材。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の雌型管継手部材と、
該雌型管継手部材の該筒状壁に挿入されて連結される雄型管継手部材と
からなる管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば流動性食品用配管に適した管継手及びそれに用いられる雌型管継手部材に関する。
【背景技術】
【0002】
食品製造業において飲料などの流動性食品を通す配管は雑菌が繁殖を生じやすいために、通常、各操業後に分解して洗浄を行う必要があり、そのために配管を分解しやくする必要がある。このため、そのような分解洗浄をし易くするための管継手が種々開発されてきている。
【0003】
例えば、特開2014−142011(特許文献1)は、雄型管継手部材と、該雄型管継手部材に連結される雌型管継手であって、雄型管継手部材を受け入れる筒状壁と、該筒状壁の外周面に周方向で延びるように取り付けられ、一部が該筒状壁を半径方向で貫通するように設けられた開口を通って延びて該筒状壁内に受け入れた雄型管継手部材と係合した状態で、該筒状壁の周囲で締め付けられて該雄型管継手部材を該筒状壁に対して固定するための金属製の締着用ベルトとを有する雌型管継手部材を備える管継手が開示されている。この管継手においては、雄型管継手部材を雌型管継手部材に挿入し、筒状壁に回転可能に取り付けられた締着用具を締着用ベルトの両端に係合させて回動することにより当該締着用ベルトの締着・締着解除ができるようになっており、配管の分解・連結を簡単に行うことができ、従って上述した洗浄も容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−142011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の管継手は配管の分解・連結を容易に行えるようにするという点では優れているが、十分な洗浄を行うためには、雌型管継手部材の筒状壁の周囲を取り巻くように取り付けられた締着用ベルトを筒状壁から外す必要があり、従って、該締着用ベルトの筒状壁に対する取付・取外も容易に行えるようにすることが望まれる。本発明は、より簡単に取付・取外の行える締着用ベルトを備えた雌型管継手及びそれを備えた管継手を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は
雄型管継手部材を受け入れる筒状壁と、
該筒状壁の外周面に取り外し可能に取り付けられて該筒状壁の周方向で延び、一部が該筒状壁を半径方向で貫通するように設けられた開口を通って延びて該筒状壁内に受け入れた雄型管継手部材と係合する状態で、該筒状壁の周囲で締め付けられて該雄型管継手部材を該筒状壁に対して固定するための金属製の締着用ベルトと、
を備える雌型管継手部材であって、
該筒状壁がその外周面に半径方向で突出する軸部と該軸部の先端の頭部とを有する取付用突起を備え、
該締着用ベルトが該筒状壁の該外周面に面する裏面から該裏面と反対側の表面に貫通する、該取付用突起を通すための取付用孔を有する取付用部と該取付用部の両側から延びて筒状本体の周方向に延びるよう設定される一対の締付用部とを備え、
該取付用部には、該取付用部の一側部に一定間隔をあけて設けられた第1係合部及び第2係合部にそれぞれ第1端部及び第2端部が係合することにより該取付用部に対して一定の位置とされた取付用ワイヤ部材が取り付けられ、該取付用ワイヤ部材は該第1端部から該取付用部に接するように延び該取付用孔の外側を通って該取付用部を横断し、折り返して該第2端部に至るようにされており、折り返して該第2端部に至る一部が該取付用孔を横切るように構成されているワイヤ部を有し、
該取付用突起が該締着用ベルトの該取付用孔内に通された状態において、該ワイヤ部の該一部は該軸部の一側面に係合されて該軸部の半径方向外側に変位されることにより該取付用ワイヤ部材が弾性変形されて該締着用ベルトを付勢し、該取付用孔の縁が該軸部の該一側面とは反対側から該取付用突起に押圧され、該取付用孔の該縁及び該ワイヤ部の該一部によって該取付用突起を挟着して該締着用ベルトの該取付用突起に対する軸線方向での保持がなされ、
該取付用ワイヤ部材は外力を加えることにより変形されて該ワイヤ部の該一部が該軸部の該一側面から該半径方向外側に変位して該軸線方向で見ての該頭部との重なる位置から重ならない位置に変位されることにより該締着用ベルトの該取付用突起に対する軸線方向での保持を解除できるようにされている雌型管継手部材
を提供する。
【0007】
この雌型管継手部材においては、作業者が取付用ワイヤ部材に力を加え変形させることにより締着用ベルトの取り外しが可能となり、また、締着用ベルトの取付用孔を筒状壁の取付用突起に嵌合させることにより締着用ベルトの取付ができるので、当該締着用ベルトの取付・取外が容易に行うことが可能となる。
【0008】
具体的には、
該締着用ベルトに取り付けられていない状態の該取付用ワイヤ部材の該第1端部と該第2端部との間の間隔が該第1係合部と該第2係合部との間の間隔より小さく、該第1端部及び該第2端部は、それらの間を拡げて該第1係合部及び該第2係合部に係合されるようにすることができる。
また、該ワイヤ部が該第1係合部に係合された該第1端部から該表面に沿って延び該取付用孔の外側を通って該取付用部を横断し、折り返されて該第2端部に至る部分が、該締着用ベルトの該裏面に沿って延びるようにすることができる。
このようにすることにより、第1端部と第2端部による締着用ベルトの取付がしっかりしたものとなり、締着用ベルトに対する当該取付用ワイヤ部材の取付を安定的なものとすることを可能とする。
【0009】
また、該取付用孔の該縁が、該頭部の側面に押圧されるように構成することが出来る。このようにすることにより、該ワイヤ部の該一部をそれが係合している軸部側面から離すようにすることにより、当該締着用ベルトをより容易に筒状壁から外すことを可能とする。
【0010】
該ワイヤ部は該第1端部から延びて折り返される部分で少なくとも一巻きのループ形状とされてから該第2端部に至るように構成することが出来る。ループ形状を設けることにより当該取付用ワイヤ部材の可撓性を高め作業者がより容易に取付用ワイヤ部材を変形して当該締着用ベルトを筒状壁から取り外せるようにすることを可能とする。
【0011】
また、該取付用ワイヤ部材は、該ワイヤ部の該一部が該軸部の該一側面から該半径方向外側に変位するように、該第1係合部に係合された該第1端部を中心に回動可能とすることが出来る。
この場合、該取付用部が該第2係合部に連接して形成された端部案内部を有し、該端部案内部は該ワイヤ部の該一部が該軸部の該一側面から該半径方向外側に変位するように該取付用ワイヤ部材が回動されるときに、該第2端部を該第1端部から離れる方向で案内するように構成することができる。
この場合、該第2係合部と該端部案内部とは該第2端部を該第1端部に近づかないように係合する係合端部から第2係合部から離れる方向で延びる細長い孔として形成され、該取付用ワイヤ部材が回動されるときに、該第2端部を該第2係合部としての該係合端部から該細長い孔の縁に沿って該第1端部から離れる方向で案内するように構成することができる。
このようにすることにより作業者が取付用ワイヤ部材に力を加えたときに、該ワイヤ部の該一部がより容易に取付用突起の軸部から離れるように変形することを可能とする。
【0012】
更にこの場合、
該取付用部は、該取付用孔の該一側部においてそれぞれ該第1係合部及び第2係合部から相互に反対方向に延びる第1延出部及び第2延出部を有し、
該第1端部及び該第2端部はそれぞれ該取付用ワイヤ部材の両端を折り曲げて形成され、折り曲げ部分を該第1係合部及び該第2係合部に係合して該取付用部を該表面及び該裏面から挟むように設定されようになされ、
該第1延出部及び該第2延出部は、該第1端部及び該第2端部がそれぞれ該第1係合部及び該第2係合部に係合された状態で、それぞれ該第1係合部及び該第2係合部を中心に該取付用部側に近づくように変形し、該取付用部との間に該第1端部及び該第2端部を保持する空間を形成し、該第2端部を保持する空間が該細長い孔を形成するようにすることができる。
上記のような第1延出部及び第2延出部を設けて、これを変形することにより取付用ワイヤ部材の第1端部及び第2端部を保持するための空間を作るようにしているので、そのような空間を締着用ベルトに予め穴として設けた場合に較べて、第1端部及び第2端部の第1係合部及び第2係合部への係合を容易に行うことが可能となる。
【0013】
本発明はまた、
雌型管継手部材と、
該雌型管継手部材の該筒状壁に挿入されて連結される雄型管継手部材と
からなる管継手を提供する。
【0014】
以下、本発明に係る雌型管継手部材及びそれを備える管継手に関し、添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明に係る管継手の雌型管継手部材及び雄型管継手部材が連結されていない状態を示す平面図である。
図2図2図1のII線断面図である。
図3図3図1の雌型管継手部材及び雄型管継手部材が連結された状態を示す平面図である。
図4図4図3のIV-IV線断面図である。
図5図5図1の雌型管継手部材の筒状壁を示す斜視図である。
図6図6図1の雌型管継手部材の筒状壁の底部の取付用突起、該取付用突起に取り付けられた締着用ベルト及びその取付を行うための取付用ワイヤ部材の関係を示すための拡大図である。
図7図7は雌型管継手部材の筒状壁の底部の取付用突起に取り付けられた締着用ベルトを示す図である。
図8図8は取付用ワイヤ部材が締着用ベルトに取り付けられていない状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1乃至図5に示すように、本発明に係る管継手10は、雄型管継手部材12と、該雄型管継手部材12を受け入れる筒状壁14及び該筒状壁14の(図で見て)底部14aの取付用突起14dに取り付けられて該筒状壁14の周方向に延びるように設けられた金属製の締着用ベルト16からなる雌型管継手部材18とを有する。筒状壁14は、図5に明示するように、左右側部に細長い開口20を有しており、締着用ベルト16は取付用突起14dから開口20に沿って筒状壁14の頂部14bまで延びており、該頂部14bに設けられた突起14cに回動可能に取り付けられた回転締着部材22を図1の位置から図3の位置に時計方向に回動することにより締着用ベルト16の両端部16aが該回転締着部材22のアーム22aに係合されて相互に引き寄せられて筒状壁14の周りで締着され、その一部が開口20を通して、筒状壁14内に挿入されている雄型管継手部材12の係合部12aに係合して、雄型管継手部材12を雌型管継手部材18に連結固定するようになっている。
【0017】
締着用ベルト16は、筒状壁14の底部14aに位置する取付用部16b及びその両側から筒状壁14の頂部14bに延びる一対の締着用部16cを有している(図6参照)。取付用部16bには、筒状壁14の底部14aに設けられた取付用突起14dを通す取付用孔16dが設けられており、取付用孔16dに取付用突起14dを通すことにより、取付用部16bに装着されている取付用ワイヤ部材26が取付用突起14dに係合して、当該締着用ベルト16が取付用突起14dから外れないようにされている。図示の例では、筒状壁14の細長い開口20の中央位置には、該開口20の外側で横断方向に延び締着用ベルト16の締着用部16cを外側から保持する保持部14hが設けられている。
【0018】
取付用ワイヤ部材26は、その第1端部26a及び第2端部26bがそれぞれ折り曲げられてその折り曲げ部分26g,26hが締着用ベルト16の取付用部16bの一側部に間隔をあけて設けられた第1係合部16e及び第2係合部16fにそれぞれ係合されている。取付用ワイヤ部材26は、第1端部26aから取付用部16bの表面に接するように延び取付用孔16dの外側を通って取付用部16bを横断し、折り返して取付用部16bの裏面に接するように延びて第2端部26bに至るワイヤ部26eを備えており、折り返し部分には一巻きのループ部26cが形成され、ループ部26cから第2端部26bに至るワイヤ部26eの一部26fが取付用孔16dを横切るように構成されている。図8に示すように締着用ベルト16に取り付けられていない状態の取付用ワイヤ部材26の第1端部26aと第2端部26b(正確には折り曲げ部分26gと折り曲げ部分26h)との間の間隔は、第1係合部16eと第2係合部16fとの間の間隔より小さく、第1端部26a及び第2端部26bは、それらの間を拡げて第1係合部16e及び第2係合部16fに係合されている。
【0019】
取付用突起14dは短い円柱状の軸部14eと軸部14eより外側に延びる一対の係止部14fを備える頭部14gとを有する。締着用ベルト16をその締着用部16cが筒状壁14の周方向に配置されるようにしながら取付用部16bの取付用孔16dを取付用突起14dに嵌合させると、取付用突起14dの軸部14eがワイヤ部26eの一部26fに係合して軸部14eの半径方向外側(図6で見て右方)に変位させ、それにより取付用ワイヤ部材26は弾性変形され、その変形による弾性付勢力が取付用ワイヤ部材26の第1端部26aを介して締着用ベルト16の第1係合部16eに図6で見て右方に作用し、取付用孔16dの縁16gが図6で見て右側から頭部14gの側面に押圧され、それにより取付用孔16dの縁16g及びワイヤ部26eの一部26fによって取付用突起14dを挟着して締着用ベルト16が取付用突起14dから外れないようにされている。
【0020】
このようにされた取付用ワイヤ部材26は作業者がループ部26cに図7にFで示すように右方への外力を加えることにより変形されてワイヤ部26eの一部26fが軸部14eの側面から半径方向外側に変位して軸線方向で見ての頭部14g(具体的には頭部14gの係止部14f)との重なる位置から重ならない位置に変位されることにより締着用ベルト16の取付用突起14dに対する軸線方向での保持を解除できるようにされている。このときの取付用ワイヤ部材26は、上記外力Fにより第1係合部16eを中心にした回動を起こすような作用を受けて変形を生じるが、図7に示すように、第2係合部16fからは傾斜した端部案内部16hが設けられており、取付用ワイヤ部材26が上記外力を受けると第2端部26bが第1端部26aから離れる方向に案内されるようになっている。
【0021】
図示の例では、取付用部16bはその一側部から相互に反対方向に延びて取付用部16bの縁16iとの間に細長い空間を形成する第1延出部16j及び第2延出部16kを有し、第1延出部16j及び第2延出部16kの根本部分にそれぞれ第1係合部16e及び第2係合部16fが形成され、第2延出部16kの縁が端部案内部16hを構成するようにされている。好ましくは、製作に当たって、図6に示すように、第1延出部16j及び第2延出部16kは初めは一点鎖線で示すような大きな角度とされ、取付用ワイヤ部材26の第1端部26a及び第2端部26bをそれぞれ第1係合部16e及び第2係合部16fに係合された状態で、それぞれ第1係合部16e及び第2係合部16fを中心に取付用部16bの縁16i,16iに近づくように変形し、取付用部16bの縁16i,16iとの間に第1端部26a及び第2端部26bを保持する空間を形成するようにする。
【0022】
以上、本発明に係る管継手及びその雌型管継手部材の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、端部案内部16hは取付用ワイヤ部材26に外力が加えられた場合に当該取付用ワイヤ部材26の変形を生じやすくするものであるが、必ずしもこれを設ける必要は無い。例えばループ部26cにより当該取付用ワイヤ部材26を変形しやすいものとし、第2係合部16e、16fを取付用部16bに設けた単なる穴として、該穴に第2端部26bを嵌着させ、図7に示す如き外力Fが加わった場合に、第1端部26a及び第2端部26bがそれぞれ第1係合部16e及び第2係合部16fにおいて回動して、取付用突起の軸部14eに係合しているワイヤ部材26が該軸部から離れるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0023】
管継手10;雄型管継手部材12;係合部12a;筒状壁14;底部14a;頂部14b;突起14c;取付用突起14d;軸部14e;係止部14f;頭部14g;締着用ベルト16;両端部16a;取付用部16b;締着用部16c;取付用孔16d;第1係合部16e;第2係合部16f;縁16g;端部案内部16h;取付用部の縁16i;第1延出部16j;第2延出部16k;雌型管継手部材18;開口20;回転締着部材22;アーム22a;取付用ワイヤ部材26;第1端部26a;第2端部26b;ループ部26c;ワイヤ部26e;一部26f;折り曲げ部分26g,26h
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8