【実施例1】
【0034】
[撮像装置]
本実施例において、撮像装置3は、例えば監視カメラとして設置されるIPカメラであり、動画像を撮像する撮像部31と、撮像した動画像をエンコード処理して第一ストリームデータを生成するエンコード部32と、生成された第一ストリームデータを出力する出力部33と、を有する。
【0035】
撮像部31は、レンズ及び撮像素子(CCD又はCMOSなど)を備えている。被写体からの光はレンズを通って撮像素子上に結像し、撮像素子で光電変換されてRGB画像データに変換される。撮像部31は、設定に応じてRGB画像データをエンコード部32に供給し、又は、輝度信号と色差信号からなるYUV画像データに変換し、YUV画像データをエンコード部32に供給する。本実施例において、画像データのサイズは1980×1080pixelで、フレームレートは30fpsである。
【0036】
本実施例において、エンコード部32は、画像データのサイズ及びフレームレートを変更しないで、色差信号をYUV4:2:2フォーマット又はYUV4:2:0フォーマットに間引き処理し、H.264規格で圧縮処理して第一ストリームデータを生成する。生成された第一ストリームデータは、内部メモリに一時的に保存され、出力部33から出力される。出力部33は、RTSPやHTTPで要求されたストリームデータを伝送装置1に出力する。
【0037】
エンコード部32は、動画像データをH.264規格で圧縮処理するものに限らず、MPEG−1、MPEG−2、MPEG−4やH.263規格など他の規格で圧縮処理してもよい。また、撮像装置3は、図示しない記憶装置を備え、エンコード部32が第一ストリームデータの他にMotion JPEG規格の動画像データを生成し、記憶装置に記憶する構成であってもよい。
【0038】
撮像装置3は、撮像した動画像データをリアルタイムで出力することができる構成であればよく、広く普及しているIPカメラなど動画像を撮影可能な種々のカメラを使用することができる。
【0039】
[伝送装置]
伝送装置1は、撮像装置3から第一ストリームデータを受信する受信部11と、受信又は生成したストリームデータを記憶する記憶部12と、記憶部12に記憶された第一ストリームデータを再エンコード処理して圧縮した第二ストリームデータを生成する処理部13と、第二ストリームデータを送信する送信部14と、を有する。
【0040】
伝送装置1と撮像装置3は、PoE接続など通信ケーブル2を介して伝送装置1から撮像装置3へ電力供給可能に接続されている。図示の実施例では、1台の伝送装置1に1台の撮像装置3が接続されているが、伝送装置1には複数の撮像装置3を接続してもよい。また、撮像装置3の電源が確保できる場合には、有線又は無線LANなどの一般的なネットワークを介して相互に接続してもよい。
【0041】
実施例において、伝送装置1は、ルータ機能を備えており、インターネットなどの広域ネットワーク4に無線接続されている。撮像装置3は、伝送装置1を介してネットワーク4に接続されており、ネットワーク4にアクセス可能な受信端末6に動画像を配信することができる。また、撮像装置3は、受信端末6から撮影条件など各種設定が可能になっている。なお、伝送装置1は、ネットワーク4に有線で接続してもよいが、撮像装置3の設置可能範囲が広がることから、無線接続できることが好ましい。
【0042】
受信部11は、通信ケーブル2を介して撮像装置3からリアルタイムで第一ストリームデータを受信し、記憶部12にストリームプロファイルデータをそのまま一時保存する。
【0043】
記憶部12は、例えばROMやRAMなどのメモリ及びハードディスクを備えている。記憶部12には、処理部13の各種処理を実行するためのプログラムなどが格納されるプログラム領域と、このプログラムの実行過程で生成される作業データなどを一時的に記憶するワーク領域などが割り当てられている。また、記憶部12には、撮像装置3から受信した第一ストリームデータと、処理部13で生成される第二ストリームデータを記憶する。
【0044】
処理部13は、プロセッサなどの電子回路であり、伝送装置1の制御と、記憶部12に記憶された第一ストリームデータの再エンコード処理などを行う。本実施例において、処理部13は、第一ストリームデータに対して、デコードしないで再エンコードするトランスコード処理を行う。処理部13は、第一ストリームデータのYUV画像データから更に色差信号を間引く間引き処理を行い、次に、画像データのサイズを縮小する縮小処理を行う。画像データサイズは、例えば1280×720pixelに縮小される。本実施例では、動画像のスムーズな再生のために、フレームレートは30fpsから変更しない。
【0045】
色差信号の間引き処理は、YUV画像データの輝度信号(Y)はそのままにして、色差信号(U,V)のみ間引き処理を行う。本実施例では、UとVそれぞれの水平方向と垂直方向を半分に間引いた4:2:0フォーマットに変換される。処理部13は、第一ストリームデータをH.264規格で再エンコード処理し、生成される第二ストリームデータのビットレートが500kbps程度になるように、一般的なトランスコード処理に加えて色差信号の間引き処理を行う。例えば、動画像データは、ベースラインプロファイルのレベル3で圧縮される。なお、動画像データの圧縮処理は、現在の規格ではH.264規格で圧縮することが好ましいが、規格やフォーマットは実施例に限らず、他の規格やフォーマットを用いてもよい。
【0046】
処理部13は、YUV画像データの構成要素を変更するYUVフィルタを備えている。YUVフィルタは、YUVそれぞれにスケール用パラメータが設定されており、Yパラメータは輝度を調整し、Uパラメータは青色のカラーバランスを調整し、Vパラメータは赤色のバランスを調整する。
【0047】
受信部11で受信した第一ストリームデータがRGBフォーマットの場合、処理部13は、第一ストリームデータの画像データを輝度信号(Y)と色差信号(U,V)からなるYUV画像データに変換した後、色差信号を間引く間引き処理を行う。処理部13は、画像データのUとVそれぞれの水平方向と垂直方向を半分に間引いた4:2:0フォーマットに変換する。処理部13は、第一ストリームデータをH.264規格で再エンコード処理し、生成される第二ストリームデータのビットレートが500kbps程度になるように、一般的なトランスコード処理に加えて色差信号の間引き処理を行う。受信部11は、第一ストリームデータの形式にかかわらず、プログレッシブ形式で第二ストリームデータを生成することが好ましい。
【0048】
処理部13で生成された第二ストリームデータは、記憶部12に記憶されると共に、送信部14からネットワーク4を介してクラウドシステム5及び受信端末6へ送信される。
【0049】
送信部14は、無線通信機能を備えており、インターネットなどの広域ネットワーク4に無線接続されている。送信部14は、生成された第二ストリームデータをリアルタイムで受信端末6へ送信すると同時にクラウドシステムへアップロードする。また、送信部14は、受信端末からの要求に応じて、記憶部12に記憶された第二ストリームデータを録画配信する。なお、送信部14は、ネットワーク4に有線で接続してもよい。
【0050】
[受信側機器]
クラウドシステム5は、ネットワーク4を介して伝送装置1と接続されており、API(アプリケーションプログラミングインターフェース)を使用して連携している。クラウドシステム5は、伝送装置1からアップロードされた第二ストリームデータを記憶装置に記憶する。クラウドシステム5は、第二ストリームデータをリアルタイムで受信端末に送信することができ、また、受信端末からの要求に応じて第二ストリームデータを録画配信する。
【0051】
受信端末6は、インターネットなどの広域ネットワーク4に接続可能なパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどである。受信端末6は、伝送装置1又はクラウドシステム5にアクセスして、撮像装置3が撮像した動画像をライブ視聴又は録画視聴することができる。また、受信端末6は、クラウドシステム5にアクセスして、クラウドシステム5の機器管理やリモート操作、伝送装置1の設定変更などの管理を行うことができる。
【0052】
[伝送装置の動作]
以下、
図2を参照しながら、本実施例1に係る伝送装置1の動作について説明する。
図2は、本発明に係る動画像伝送方法の一実施例を示すフローチャートである。
【0053】
本発明の動画像伝送方法は、ネットワーク4に接続された動画像の撮像装置3から配信される第一ストリームデータを伝送する方法であって、撮像装置3から第一ストリームデータを受信する受信工程と、受信した第一ストリームデータを一時的に記憶する一時記憶工程と、記憶された第一ストリームデータを再エンコード処理して圧縮した第二ストリームデータを生成する処理工程と、第二ストリームデータを記憶する記憶工程と、第二ストリームデータを送信する送信工程と、を有する。
【0054】
撮像装置3は、撮像部31で動画像を撮像すると、赤(R)緑(G)青(B)の各画像からなるRGB画像データを輝度信号(Y)と色差信号(U,V)からなるYUV画像データに変換する(ステップS1)。撮像装置3による動画像の撮像は、ネットワーク4を介して制御することができる。
【0055】
撮像装置3は、エンコード部32において、色差信号(U,V)をYUV4:2:0フォーマットに間引き処理し、H.264規格で圧縮処理して第一ストリームデータを生成する(ステップS2)。第一ストリームデータは、例えば画像データのサイズが1980×1080pixelで、フレームレートが30fpsである。第一ストリームデータは撮像装置3の最大解像度でプログレッシブ信号を使用することが好ましい。
【0056】
撮像装置3は、生成された第一ストリームデータを内部メモリに一時的に保存する(ステップS3)。
【0057】
撮像装置3は、伝送装置1からのリクエストを待機する(ステップS4)。伝送装置1は、受信端末6又はクラウドシステム5からの指示によって、撮像装置3に第一ストリームデータを出力するようにリクエストする。出力部33は、伝送装置1からのリクエストを受けて、第一ストリームデータをリアルタイムで出力する(ステップS5)。
【0058】
伝送装置1は、受信部11で第一ストリームデータを受信すると、記憶部12にストリームプロファイルデータをそのまま一時保存する(ステップS6)。このとき、データはMPEG形式で保存する。
【0059】
伝送装置1は、処理部13において、YUV画像データの輝度信号(Y)はそのままにして、色差信号(U,V)のみ間引き処理を行う(ステップS7)。処理部13は、人の視覚特性を利用して、色差信号の間引き処理が行われている第一ストリームデータにおいて更に色差信号の間引き処理を行う。
【0060】
処理部13は、ルックアップテーブルYUVフィルタを用いて、YUVの画素形式を部分的に修正する。色差信号(U,V)の間引き処理は、画素の間引きと諧調の圧縮とを組み合わせて行うことができる。
【0061】
処理部13は、色差信号の間引き処理が行われた画像データのサイズを縮小する縮小処理を行う(ステップS8)。画像データのサイズは、例えば1280×720pixelに縮小される。なお、フレームレートは30fpsから変更しない。撮像装置3で生成される第一ストリームデータは、インターレース信号のものとプログレッシブ信号のものがあるため、処理部13は、プログレッシブ信号を使用してストリームデータを生成する。
【0062】
処理部13は、動画像データをH.264規格で再エンコード処理して、第二ストリームデータを生成する(ステップS9)。処理部13は、生成される第二ストリームデータのビットレートが500kbps以下になるように指定し、フレーム間予測やエントロピー符号化などの圧縮処理も行う。
【0063】
伝送装置1は、生成された第二ストリームデータを記憶部12に保存すると同時に、送信部14において、ネットワーク4を介して第二ストリームデータを受信端末6又はクラウドシステム5へ送信する(ステップS10)。
【0064】
本発明の動画像伝送方法は、色情報を視覚的にもきれいな動画像を維持しつつ、従来にない高圧縮処理を可能にした。本動画像伝送方法は、ハイビジョン画質と一般的なフレームレートを維持しつつ500kbps以下まで動画像データのサイズを小さくすることができた。これにより、上りの通信速度が1Mbps程度しかないネットワークを介してもきれいな動画像データを安定的にライブ配信することが可能になった。また、本発明の動画像伝送方法は、動画像データの圧縮処理を分散させたことにより、撮像装置3やクラウドシステム5の負担を軽減させることができる。