【実施例】
【0012】
(構成)
まず、
図1を用いて本実施例の車椅子用の尿パック保持具1の全体構成を説明する。本実施例の車椅子用の尿パック保持具1は、
図1の斜視図に示すように、車椅子の座面に掛止することのできる掛止腕2、2と、掛止腕2、2と一体に構成され、車椅子の座面の下方に配置される枠体3と、枠体3を覆うように取り付けられるカバー4と、を備えている。さらに、本実施例の車椅子用の尿パック保持具1では、枠体3の上前枠311(
図5参照)の略中央に引っ掛けるためのリング5が取り付けられている。
【0013】
この尿パック保持具1は、右側面と左側面と後面(背面)と底面の4面がカバー4によって覆われている一方で、前面(正面)と上面とがカバー4によって覆われておらず開口している。したがって、前面(正面)から尿パック(後述)を出し入れしやすくなっている。
【0014】
また尿パック保持具1は、
図2の正面図及び
図3の背面図に示すように、上面よりも下面のほうが広く形成された台形断面となっている。また、
図4の側面図に示すように、前から後ろに向かって傾斜した底面を備えている。このような形状によって、尿パック保持具1の内部で尿パックが安定して保持され、脱落することがないようになっている。
【0015】
掛止腕2は、金属製や樹脂製の薄板によって舌状に形成され、枠体3の上前枠311(
図5参照)に固定されている。なお、掛止腕2は、枠体3と同じ棒状の材料をU字状等に屈曲させて形成することもできる。掛止腕2は、使用時には、車椅子の座面の上において、座面とクッションとの間に挿し込まれる。
【0016】
枠体3は、金属製や樹脂製の棒部材(例えば、直径7〜8mm)を連結したり屈曲させたりして、後部が下がった台形枠状(台形骨組み状)に形成される。枠体3は、
図5の斜視図に示すように、上前枠311と、上後枠312と、上右枠313と、上左枠314と、によって構成される上部の四角形の枠と、下前枠321と、下後枠322と、下右枠323と、下左枠324と、によって構成される下部の四角形の枠と、を4本の柱枠(右前柱331、左前柱332、右後柱333、左後柱334)によって連結することによって構成される。
【0017】
ここにおいて、上部の四角形の枠は、下部の四角形の枠よりも左右の幅が狭く形成されているため、4本の柱枠は上部から下部に向かって外側に開くように傾斜している。さらに、下右枠323と下左枠324は、前側より後側が下になるように傾斜している。
【0018】
カバー4は、布や紙などによって十字状に形成されるものであり、底部41と、背面部42と、右側面部43と、左側面部44と、によって構成されている。そして、カバー4の4つの端部近傍には、折り返して固定できる雄雌の面ファスナーがそれぞれ取り付けられて、交換したり洗濯したりできるようになっている。
【0019】
すなわち、底部41の前端には、面ファスナー41a、41bが取り付けられている。同様に、背面部42の後端には、面ファスナー42a、42bが取り付けられている。そして、右側面部43の右端及び左側面部44の左端には、それぞれ面ファスナー43a、43b、44a、44bが取り付けられている。これらの各面ファスナー41a、41b〜44a、44bは、位置を調整できるように、十分な幅を有して形成されている。
【0020】
(作用)
次に、本実施例の車椅子用の尿パック保持具1の奏する作用・効果について説明する。
【0021】
(1)上述してきたように、本実施例の車椅子用の尿パック保持具1は、
図8に示すように、車椅子90の座面91に掛止することのできる掛止腕2、2と、掛止腕2、2と一体に構成され、車椅子90の座面91の下方に配置される枠体3と、枠体3を覆うように取り付けられるカバー4と、を備えている。このような構成によれば、車椅子90でも安全かつ快適に外出・旅行できるようになる。
【0022】
すなわち、
図8に示すように、尿パック80を車椅子90の座面91の下方に収納することで安全性が向上するうえ、目立たない場所に尿パック保持具1を取り付けることで利用者や周囲の人が不快になることもない。なお、通常、座面91の上には、クッション92を設置するため、掛止腕2が臀部と接触することはない。
【0023】
(2)また、カバー4は、取り付け/取り外し自在に構成されることで、交換したり洗濯したりして再使用することが容易である。また、洗濯しやすいため、尿臭を抑制することもできる。なお、洗い替え用に複数のカバー4を備えていれば、乾くまで待つ必要がない。
【0024】
(3)さらに、カバー4の端縁近傍には折り返されて互いに貼りつく面ファスナー41a〜44bが取り付けられ、深さ又は幅を調整することができるようになっている。このように、面ファスナー41a〜44bの幅を広くとることで、簡易な方法によって深さ又は幅を調整することができるようになっている。
【0025】
(4)さらに、枠体3は、尿パック80に貯留された尿が逆流しないように、開口している前方が上で後方が下になるように傾斜している。このような構成によれば、尿パック80に貯留された尿が逆流しない。さらに、尿パック80自体の滑落を防止することもできる。
【0026】
(5)また、枠体3には、吊下用のリング5がさらに取り付けられているため、ベッドの柵に吊り下げることもでき、ベッド用の保持具を準備する必要がなくなる。さらに、尿を捨てる際にも、本体から取り出さずに捨てることができる。
【0027】
上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0028】
例えば、実施例では、下部の四角形の枠の方が上部の四角形の枠よりも幅が広いとして説明したが、これに限定されるものではなく、上部の四角形の枠と下部の四角形の枠は、幅が同じであってもよい。
【0029】
また、下部の四角形の枠には、間に縦桟や横桟が入っていてもよい。例えば、下前枠321から下後枠322に1つ又は複数の補助枠が架け渡されていてもよい。