(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の塗料組成物は、塗装して得られる塗膜のハイライトにおける光輝感を付与することを目的として、半透明な基材を金属酸化物で被覆した光干渉性顔料を含有する。光干渉性顔料としては、具体的には、天然マイカ、人工マイカ、アルミナフレーク、シリカフレーク、ガラスフレーク等の半透明の基材を金属酸化物で被覆した顔料を使用することができる。
【0009】
金属酸化物被覆マイカ顔料は、天然マイカ又は人工マイカを基材とし、基材表面に金属酸化物が被覆した顔料である。天然マイカとは、鉱石のマイカ(雲母)を粉砕した鱗片状基材であり、人工マイカとは、SiO
2、MgO、Al
20
3、K
2SiF
6、Na
2SiF
6等の工業原料を加熱し、約1500℃の高温で熔融し、冷却して結晶化させて合成したものであり、天然のマイカと比較した場合において、不純物が少なく、大きさや厚さが均一なものである。具体的には、フッ素金雲母(KMg
3AlSi
3O
10F
2)、カリウム四ケイ素雲母(KMg
25AlSi
4O
10F
2)、ナトリウム四ケイ素雲母(NaMg
25AlSi
4O
10F
2)、Naテニオライト(NaMg
2LiSi
4O
10F
2)、LiNaテニオライト(LiMg
2LiSi
4O
10F
2)等が知られている。被覆される金属酸化物としては、酸化チタンや酸化鉄を挙げることができる。被覆する厚さによって、干渉色を発現することができるものである。
【0010】
金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料は、アルミナフレークを基材とし、基材表面に金属酸化物が被覆した顔料である。アルミナフレークとは、鱗片状(薄片状)酸化アルミニウムを意味し、無色透明なものである。酸化アルミニウム単一成分である必要はなく、他の金属の酸化物を含有するものであってもよい。被覆される金属酸化物としては、酸化チタンや酸化鉄を挙げることができる。被覆する厚さによって、干渉色を発現することができるものである。
【0011】
金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料とは、鱗片状のガラス基材に金属酸化物を被覆したものであって、基材表面が平滑なため、強い光の反射が生じて粒子感を発現する。被覆する金属酸化物としては、特に制限されるものではないが、酸化チタンや酸化鉄が知られている。
【0012】
金属酸化物被覆鱗片状シリカ顔料は、表面が平滑で且つ厚さが均一な基材である鱗片状シリカを、基材とは屈折率が異なる金属酸化物で被覆したものである。
【0013】
上記光干渉性顔料は、分散性や耐水性、耐薬品性、耐候性等を向上させるための表面処理が施されたものであってもよい。
【0014】
上記光干渉性顔料の大きさは、平均粒子径が5〜50μmの範囲内のものを使用することが、塗装された塗膜の仕上がり性やハイライトの干渉色の発現の点から好ましく、より好ましくは粒子径が7〜35μmの範囲内のものである。厚さは0.05〜7.0μmの範囲内のものを使用することが好ましい。ここでいう粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300(商品名、日機装社製)を用いてレーザー回折散乱法によって測定した体積基準粒度分布のメジアン径を意味する。厚さは、該光干渉性顔料を含む塗膜断面を顕微鏡にて観察して厚さを画像処理ソフトを使用して測定し、100個以上の測定値の平均値として定義するものとする。
【0015】
平均粒子径が、前記上限値を越えると、複層塗膜において、光干渉性顔料による粒子感が過剰になって意匠的に好ましくない場合があり、下限値未満では、干渉色の発現が不十分になる場合がある。
【0016】
また、本発明の塗料組成物における光干渉性顔料の含有量は、塗装して得られる塗膜の仕上がり性や、ハイライトにおける光輝感の点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、合計で0.1〜25質量部の範囲内が好ましく、より好ましくは0.2〜18質量部の範囲内、特に好ましくは0.3〜15質量部の範囲内である。
【0017】
本発明の塗料組成物は、塗膜の明度や色相を調整するために、複合金属酸化物顔料を含有する。複合金属酸化物顔料とは、2種以上の元素の金属酸化物の複合体から成る焼成顔料で、色を発現する金属元素として、(a)Co、Ni、Fe、Mn、Cu、Cr等を必須とし、(b)Ti、Sb、As、Bi等を条件により色を発現する金属元素として、(c)Al、Si、Ca、Mg、Ba等を補助金属元素として用い、これらの金属元素の酸化物の組み合わせと配合比率を変えることにより所望の焼成顔料を得ることができる。これらの複合金属酸化物顔料は、上記の金属元素から成る金属酸化物を金属塩に沈殿剤としてアルカリ水溶液を過剰に加えて、共沈物を生成せしめ、この生成物を析出と同時又は析出後に液相中で酸化処理し、微粒子顔料の前駆体を得た後、水洗、ろ過及び乾燥後、焼成することで得られたものである。
【0018】
本発明の塗料組成物における複合金属酸化物顔料の一次粒子径は、塗装して得られる塗膜の仕上がり性の点から、一次粒子径の平均が5〜500nmの範囲内のものを使用する。また、塗装して得られる塗膜のシェードにおける白ボケを生じさせない点から、8〜100nmの範囲内のものが好ましく、より好ましくは10〜80nmの範囲内のものである。
【0019】
本発明の塗料組成物における複合金属酸化物顔料の一次粒子径は、該複合金属酸化物顔料を透過型電子顕微鏡を使用して撮像した画像を測定した数値として定義するものとする。
【0020】
本発明の塗料組成物に配合せしめることができる複合金属酸化物顔料としては、Black25:Co−Ni、Black26:Cu−Mn−Fe、Black27:Co−Cr−Fe、Black28:Cu−Crなどを挙げることができる。
【0021】
本発明の塗料組成物においては特に、金属元素として銅、マンガン及び鉄を含むものを使用することが、塗装して得られる塗膜の色相の点から好ましい。
【0022】
本発明の塗料組成物における複合金属酸化物顔料の含有量は、塗膜のハイライトにおける明度や色相の点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対し0.01〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量部、特に好ましくは0.2〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
【0023】
本発明の塗料組成物は、塗装して得られる塗膜の色相を微調整することを目的として、上記複合金属酸化物顔料以外の着色顔料を含有することができる。着色顔料としては、特に制限されるものではないが、具体的には、透明性酸化鉄顔料、チタンイエロー等の複合酸化物顔料等の無機顔料やアゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アンスラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、インジゴ系顔料等の有機顔料、カーボンブラック顔料等の中から任意のものを1種もしくはそれ以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
本発明の塗料組成物に着色顔料を配合せしめる場合その含有量は、塗膜のハイライトにおける明度の点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対し0.01〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜25質量部、特に好ましくは0.2〜20質量部の範囲内であることが好ましい。
【0025】
本発明の塗料組成物は、隠ぺい率試験紙に硬化塗膜として20μmとなるように塗装し、乾燥させて得られた塗膜の白素地部分と黒素地部分の塗膜に対して45度の角度から照射した光を正反射光に対して110度の角度で受光した分光反射率から計算されたL*a*b*表色系における色差Δeが、0.1〜2.0の範囲内となるように、上記光干渉性顔料や着色顔料の種類や量を決定することができる。本明細書において、本明細書において、該Δe値は、次に示す方法で得られた数値として定義するものとする。
JIS K5101 4隠ぺい率試験紙法に記載された隠ぺい率試験紙を平らなガラス板の上に水平に固定し、その上にドクターブレードを使用して、硬化塗膜厚が20μmとなるように塗装し、室温にて15分間放置し、ついで、未硬化塗面にクリヤー塗料(ルーガベーククリヤー、関西ペイント製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)をドクターブレードを使用して、硬化塗膜厚が35μmとなるように塗装し、さらに室温にて15分間放置し、その後に熱風乾燥機を使用して140℃で30分加熱して硬化乾燥せしめて得られた塗膜を多角度分光光度計MA−68II(商品名、x−rite社製)を使用して、正反射光に対して45°で受光した分光反射率に基づいて計算した数値で定義するものとする。白素地部分及び黒素地部分の塗膜に対して、45度の角度から照射した光を正反射光に対して110度の角度で受光した分光反射率から計算されたL*a*b*表色系における色差Δeを、多角度分光光度計MA−68II(商品名、x−rite社製)を使用して求める。
【0026】
また、本発明の塗料組成物は、硬化塗膜として20μmとなるように塗装し、乾燥させて得られた塗膜の45度の角度から照射した光を正反射光に対して45度の角度で受光した分光反射率から計算されたL*a*b*表色系における明度L*が10〜20の範囲内となるように、上記光干渉性顔料や着色顔料の種類や量を決定することができる。本明細書において、本明細書において、該明度L*は、次に示す方法で得られた数値として定義するものとする。
【0027】
予めグレー色(N−6)の塗膜を形成した塗板上に、該塗料組成物を塗装に適正な粘度に希釈して、硬化塗膜として20μmの膜厚となるようにエアスプレー塗装し、室温にて15分間放置し、ついで、未硬化塗面にクリヤー塗料(ルーガベーククリヤー、関西ペイント製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)を硬化塗膜として、35μmとなるようにエアスプレー塗装し、さらに室温にて15分間放置し、その後に熱風乾燥機を使用して140℃で30分加熱して硬化乾燥せしめて得られた塗膜を多角度分光光度計MA−68II(商品名、x−rite社製)を使用して、正反射光に対して45°で受光した分光反射率に基づいて計算した数値で定義するものとする。
【0028】
本発明の塗料組成物には、通常、ビヒクルとして、樹脂成分を含有することができる。樹脂成分としては、具体的には、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネ−ト化合物(ブロック体も含む)などの架橋剤とを併用したものが挙げられ、これらは有機溶剤及び/又は水などの溶媒に溶解または分散して使用される。
【0029】
さらに、本発明の塗料組成物には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面調整剤、レオロジーコントロール剤等の各種添加剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
【0030】
本発明の塗料組成物は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製される。塗装時の固形分含有率を、塗料組成物に基づいて、12〜60質量%、好ましくは15〜50質量%に、また、20℃における粘度を15〜20秒/フォードカップ#3に調整しておくことが好ましい。
【0031】
次に本発明の塗膜形成方法について説明する。本発明の塗膜形成方法においては、被塗物に、上記の如き塗料組成物を塗装し、さらに得られた塗膜上にクリヤー塗料を塗装する。
【0032】
被塗物としては、鉄、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム等の金属やこれらを含む合金、及びこれらの金属によるメッキまたは蒸着が施された成型物、ならびに、ガラス、プラスチックや発泡体などによる成型物等を挙げることができる。さらにこれらの素材に応じて適宜、脱脂処理や表面処理を行なったものを被塗物とすることができる。さらに、上記金属素材や成形物に下塗り塗膜や中塗り塗膜を形成させて被塗物とすることもでき、これらのものが特に好ましい。
【0033】
上記下塗り塗膜とは、素材表面を隠蔽したり、素材に防食性及び防錆性などを付与するために形成されるものであり、下塗り塗料を塗装し、乾燥、硬化することによって得ることができる。この下塗り塗料種としては特に限定されるものではなく、例えば、電着塗料、溶剤型プライマー等を挙げることができる。
【0034】
また、上記中塗り塗膜とは、素材表面や下塗り塗膜を隠蔽したり、付着性や耐チッピング性などを付与したり、複層塗膜における明度を調整するために形成されるものであり、素材表面や下塗り塗膜上に、中塗り塗料を塗装し、乾燥、硬化することによって得ることができる。中塗り塗料種は、特に限定されるものではなく、既知のものを使用でき、例えば、熱硬化性樹脂組成物及び着色顔料を必須成分とする有機溶剤系又は水系の中塗り塗料を好ましく使用できる。
【0035】
特に被塗物が、下塗り塗膜あるいは中塗り塗膜を形成されたものである場合においては、下塗り塗膜及び中塗り塗膜を加熱し、架橋硬化後に前述の塗料組成物を塗装することができる。あるいは、下塗り塗膜を加熱し、架橋硬化後に中塗り塗膜を形成せしめ、中塗り塗膜が未硬化の状態で、前述の塗料組成物を塗装することもできる。又は、下塗り塗膜及び中塗り塗膜が未硬化の状態で前述の塗料組成物を塗装してもよい。
【0036】
本発明の塗料組成物は、上記被塗物に静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて5〜30μmの範囲内とするのが、塗膜の平滑性の点から好ましい。通常、所定の膜厚となるように塗装した後に、加熱し、乾燥硬化せしめることができるが、未硬化の状態で後述するクリヤー塗料を塗装することができる。本発明の塗料組成物の塗膜それ自体は、焼き付け乾燥型の場合、通常、約50〜約180℃の温度で架橋硬化させることができ、常温乾燥型又は強制乾燥型の場合には、通常、常温乾燥〜約80℃の温度で硬化させることができる。
【0037】
本発明方法におけるクリヤー塗料は、前述の塗料組成物の未硬化もしくは硬化させてなる塗面に塗装する塗料であり、樹脂成分および溶剤を主成分とし、さらに必要に応じてその他の塗料用添加剤などを配合してなる無色もしくは有色の透明塗膜を形成する液状塗料である。
【0038】
本発明方法におけるクリヤー塗料としては、従来公知のものが制限なく使用できる。例
えば、基体樹脂及び架橋剤を含有する液状もしくは粉体状の塗料組成物が適用できる。基
体樹脂の例としては、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、エポキシ基などの架橋性
官能基を含有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、ウレ
タン樹脂、シリコン含有樹脂などが挙げられる。架橋剤としては、前記基体樹脂の官能基
と反応しうるメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシ
アネート化合物、エポキシ化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水
物、アルコキシシラン基含有化合物又は樹脂等が挙げられる。また、必要に応じて、水や
有機溶剤等の溶媒、硬化触媒、消泡剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、酸化
防止剤、表面調整剤等の添加剤を適宜配合することができる。
【0039】
本発明方法におけるクリヤー塗料には、透明性を損なわない範囲内において、着色顔料
を適時配合することができる。着色顔料としては、インク用、塗料用として従来公知の顔
料を1種あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。その添加量は、適宜決
定されて良いが、クリヤー塗膜中の樹脂固形分100質量部に対して、固形分として30
質量部以下、好ましくは0.01〜15質量部、特に好ましくは0.1〜10質量部の範
囲内である。
【0040】
本発明方法におけるクリヤー塗料は、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて15〜70μmの範囲内とするのが好ましい。クリヤー塗料の塗膜それ自体は、焼き付け乾燥型の場合、通常、約50〜約180℃の温度で架橋硬化させることができ、常温乾燥型又は強制乾燥型の場合には、通常、常温乾燥〜約80℃の温度で架橋硬化させることができる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
実施例1〜7、比較例1〜7
(製造例1)水酸基含有アクリル樹脂の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート50部を仕込み、撹拌混合し、135℃に昇温した。次いで下記のモノマー/重合開始剤の混合物を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10部、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.6部からなる混合物を同温度に保持した1時間30分かけて滴下し、さらに2時間熟成した。次にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを減圧下で留去し、水酸基価54mgKOH/g、数平均分子量20,000、樹脂固形分65質量%の水酸基含有アクリル樹脂を得た。ここで数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものを意味する。
モノマー/重合開始剤の混合物:
メチルメタクリレート38部、エチルアクリレート17部、n−ブチルアクリレート17部、ヒドロキシエチルメタクリレート7部、ラウリルメタクリレート20部及びアクリル酸1部及び2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)2部からなる混合物。
【0042】
(塗料組成物の調製)
製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂75部、ユーバン28−60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)25部からなる樹脂成分100部(固形分)あたり、光輝性顔料及び着色顔料を表1に示す比率で配合して攪拌混合し、塗装に適正な粘度に希釈して、固形分約25%の有機溶剤型塗料を調整し、実施例及び比較例に使用する塗料組成物を調製した。
【0043】
【表1】
【0044】
(明度の測定)
調製した塗料組成物を予めグレー(N−6)色の中塗り塗膜を形成せしめたブリキ板にエアスプレーを使用して硬化塗膜として20μmとなるように塗装し、塗装後、室温にて15分間放置した後に、「ルーガベーククリヤー」(商品名、関西ペイント社製、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)をミニベル型回転式静電塗装機を用いて、ブース温度25℃、湿度75%の条件で硬化塗膜として、30μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥硬化せしめて、測定に供する塗板を作成した。各々の塗板について、45度の角度から照射した光を正反射光に対して45度で受光して得られた分光反射率に基づくL*a*b*表色系における明度L*15を多角度分光光度計MA−68II(商品名、x−rite社製)を使用して測定した分光反射率にも基づいて計算し、結果を表1に示した。
【0045】
(色差の測定)
調製した塗料組成物を、平らなガラス板の上に水平に固定したJIS K5101 4隠ぺい率試験紙法に記載された隠ぺい率試験紙上にドクターブレードを使用して、硬化塗膜厚が20μmとなるように塗装し、室温にて15分間放置し、ついで、未硬化塗面にクリヤー塗料(ルーガベーククリヤー、関西ペイント製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)をドクターブレードを使用して、硬化塗膜厚が35μmとなるように塗装し、さらに室温にて15分間放置し、その後に熱風乾燥機を使用して140℃で30分加熱して硬化乾燥せしめて測定用の塗膜を形成する。白素地部分及び黒素地部分の塗膜に対して、45度の角度から照射した光を正反射光に対して110度の角度で受光した分光反射率から計算されたL*a*b*表色系における色差Δeを多角度分光光度計MA−68II(商品名、x−rite社製)を使用して測定した分光反射率にも素づいて計算し、結果を表1に示した。
(試験板の作成)
基材の調整
脱脂及びりん酸亜鉛処理した鋼板(JISG3141、大きさ400×300×0.8mm)にカチオン電着塗料「エレクロン9400HB」(商品名:関西ペイント社製、エポキシ樹脂ポリアミン系カチオン樹脂に硬化剤としてブロックポリイソシアネート化合物を使用したもの)を硬化塗膜に基づいて膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で20分加熱して架橋硬化させて電着塗膜を得た。
【0046】
得られた電着塗面に、中塗り塗料「ルーガベーク中塗りグレー」(商品名:関西ペイント社製、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系、有機溶剤型)をエアスプレーにて硬化塗膜に基づいて膜厚30μmになるように塗装し、140℃で30分加熱して架橋硬化させて、中塗り塗膜を形成した塗板を基材とした。
塗装
上記基材に実施例1〜7及び比較例1〜7にて調製した塗料組成物をエアスプレーを用いて、硬化塗膜として20μmとなるように塗装し、塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、その後にクリヤー塗料(ルーガベーククリヤー、関西ペイント株式会社製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)を硬化塗膜として、30μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥硬化せしめて試験板を得た。
(評価)
上記試験板の意匠性を以下の要領にて評価し、結果を表1に示した。
(1)目視評価
作成した塗板を、人工太陽灯(セリック社製、色温度6500K)で照明し、試験板の照明に対する角度を変えて観察して、シェードの彩度と鮮明性を目視にて評価した。評価は、色彩開発に3年以上従事するデザイナー2名と技術者3名の計5名が行ない、平均点を採用した。
シェードの濁り:
4:シェードで濁りがなく、黒さが強い。
3:シェードで僅かに濁るが、黒さがある。
2:シェードで濁り、黒さが弱い。
1:シェードで白濁し、黒さがない。
ハイライトの光輝感:
4:ハイライトの光輝感(正反射光近傍で粒子感及び/又は干渉色の発現)が強い。
3:ハイライトの光輝感がある。
2:ハイライトの光輝感が弱い。
1:ハイライトの光輝感がない。
(2)耐候性:スーパーキセノンウェザオメーター(スガ試験機株式会社製)で1000
時間の促進耐候性試験を行った後、塗膜の変色を目視評価した。
4:塗膜に変色が認められない。
3:塗膜に変色が僅かに認められる。
2:塗膜が変色している。
1:塗膜が大きく変色している。