特許第6045110号(P6045110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045110
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   H01L21/60 321E
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-44589(P2013-44589)
(22)【出願日】2013年3月6日
(65)【公開番号】特開2014-175364(P2014-175364A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100129403
【弁理士】
【氏名又は名称】増井 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】玉手 登志幸
【審査官】 溝本 安展
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−076675(JP,A)
【文献】 特開平04−233247(JP,A)
【文献】 特開2004−047800(JP,A)
【文献】 特開2012−209444(JP,A)
【文献】 特開2006−294729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状に形成されたダイパッドと、該ダイパッドに電気的に接続された半導体素子と、該半導体素子を挟んで前記ダイパッドに対向して形成され、前記半導体素子の一面を覆うよう広がる接続板と、を備え、
前記接続板の一部には、前記半導体素子に電気的に接続された接続片が形成されており、
前記接続片は前記接続板に設定された第一領域内において、前記接続板の周縁に接しないように設定した四角形のうちの三辺を切り込み、残りの一辺を屈曲辺として、切り込まれた三辺で囲まれた部分を前記半導体素子の一面に形成された電極に向けて折り曲げた部分からなり、前記屈曲辺と前記接続板の一辺との成す角度が0°よりも大きく、90°よりも小さい角度範囲で傾斜していること、を特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記接続板の周囲は、絶縁性の封止樹脂によって覆われていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記接続片は、前記半導体素子の一面に形成された電極の中央部分に接するように形成したことを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記接続片は、前記接続板に複数形成され、前記半導体素子の一面に形成された1つの電極に対して、前記複数の接続片を接続させてなることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記接続板は、少なくとも前記半導体素子の一面を覆う部分において、蛇腹状に繰り返し屈折させた部分をもつことを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱特性に優れた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置の一例として特許文献1が挙げられる。図6は、従来の半導体装置の一例を示す斜視図である。半導体装置10のうち、リード12,12は、それぞれ金属細線18,18を介して、半導体素子17の一面に形成された端子14,14にそれぞれ電気接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−034601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の半導体装置10は、半導体素子17の端子14とリード12とを金属細線18によって接続している。金属細線18は、リード12や端子14と比べると断面積が小さく、流すことができる電流量の上限も低い。このため、大電流が流れるパワーモジュールなどに、こうした構成の半導体装置10を適用することが困難であるという課題があった。また、金属細線18は板状部材などと比べると表面積が小さいので、金属細線18で発生した熱を、半導体装置10の外部に効率よく放熱することが難しいという課題があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、大電流化に対応でき、かつ放熱性に優れた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のいくつかの態様は次のような半導体装置を提供した。
すなわち、本発明の半導体装置は、板状に形成されたダイパッドと、該ダイパッドに電気的に接続された半導体素子と、該半導体素子を挟んで前記ダイパッドに対向して形成され、前記半導体素子の一面を覆うよう広がる接続板と、を備え、
前記接続板の一部には、前記半導体素子に電気的に接続される接続片が形成されており、
前記接続片は前記接続板に設定された第一領域内において、前記接続板の周縁に接しないように設定した四角形のうちの三辺を切り込み、残りの一辺を屈曲辺として、切り込まれた三辺で囲まれた部分を前記半導体素子の一面に形成された電極に向けて折り曲げた部分からなり、前記屈曲辺と前記接続板の一辺との成す角度が0°よりも大きく、90°よりも小さい角度範囲で傾斜していること、を特徴とする。
【0008】
前記接続板の周囲は、絶縁性の封止樹脂によって覆われていることを特徴とする。
【0010】
前記接続片は、前記半導体素子の一面に形成された電極の中央部分に接するように形成したことを特徴とする。
【0012】
前記接続片は、前記接続板に複数形成され、前記半導体素子の一面に形成された1つの電極に対して、前記複数の接続片を接続させてなることを特徴とする。
【0013】
前記接続板は、少なくとも前記半導体素子の一面を覆う部分において、蛇腹状に繰り返し屈折させた部分をもつことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の半導体装置によれば、リードと半導体素子の電極とを、半導体素子の一面を覆うよう大きく広がる板状の接続板によって接続するようにしたので、従来のように金属細線を使用した場合と比較して大電流を流すことが可能となる。
【0015】
また、半導体装置を流れる電流量が大きくなると、熱の発生も多くなる。しかし、本発明の半導体装置によれば、半導体素子の一面を覆う表面積の大きい板状の接続板を用いることにより、放熱面積が大きくなるので、接続板で生じた熱を効率よく外部に放熱することができる。よって、半導体素子の高温化による特性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第一実施形態における半導体装置を示す平面図、および断面図である。
図2】本発明の第二実施形態における半導体装置を示す平面図である。
図3】本発明の第三実施形態における半導体装置を示す平面図である。
図4】本発明の第四実施形態における半導体装置を示す平面図である。
図5】本発明の第五実施形態における半導体装置を示す断面図である。
図6】従来の半導体装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の半導体装置の一実施形態について説明する。なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0018】
(第一実施形態)
本発明の半導体装置の第一実施形態を図1に示す。図1(a)は、封止樹脂を除いた半導体装置を上側から見た平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A線に沿った断面図である。
本発明の半導体装置20は、板状に形成されたダイパッド21と、このダイパッド21の一面21aに配された半導体素子22と、この半導体素子22を挟んで、ダイパッド21に対向して形成された接続板23と、を備えている。また、これら半導体素子22、接続板23、およびダイパッド21の一面21aは、絶縁性の封止樹脂(モールド)27によって覆われている。
【0019】
封止樹脂27は、外形が例えば板状となるように形成されている。封止樹脂27は、絶縁性および熱伝導性に優れた樹脂材料、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。なお、封止樹脂27は、少なくとも接続板23を覆っていればよい。なお、ダイパッド21の任意の部分は、封止樹脂27で覆われずに露出していてもよい。
【0020】
ダイパッド21は、例えば、金属板からなる。ダイパッド21の一面21aには、半導体素子22が載置される。半導体素子22は、例えばはんだ層を介してダイパッド21の一面21aに接続されていればよい。なお、図1においては、ダイパッド21に1つの半導体素子22が載置されているが、複数の半導体素子を配置してもよい。ダイパッド21は、一端側が封止樹脂27よりも外側まで延長され、封止樹脂27の外側に露出する。このダイパッド21の露出部分は、リード(接続端子)21bとして外部の配線に接続される。
【0021】
半導体素子22は、例えば、外形が板状を成し、一面22aに電極29aが、また、他面22bに電極29bがそれぞれ形成されている。電極29aは、例えば半導体素子22の一面22aの中央部分に設けられている。電極29aは、半導体素子22の一面22aのほぼ全体に広がるように形成されていてもよく、また、半導体素子22の一面22aの中心領域だけに形成されていてもよい。また、電極29bは、例えば半導体素子22の他面22bの中央部分に設けられている。
【0022】
半導体素子22が例えばダイオードである場合、電極29aは半導体素子22のアノード側電極を構成し、また、電極29bは、半導体素子22のカソード側電極を構成する。電極29bとダイパッド21とは、例えば、はんだによって電気的に接続されればよい。
なお、半導体素子22は、ダイオード以外であってもよく、例えば、トランジスタ、コンデンサ、集積回路など、各種チップであればよく、限定されるものではない。
【0023】
接続板23は、導電性、および放熱性に優れた金属板、例えば、銅板、アルミニウム板、銀板、ステンレス板などから構成される。接続板23は、上面から見た時に略四角形に形成される。ただし、ここでは四辺のうちの一辺の中心部分を四角形に切り欠いた形状を成している。接続板23は、半導体素子22を挟んでダイパッド21に対向して形成され、半導体素子22の一面22aを覆うよう広がる。接続板23は、上面から見た時に半導体素子22の一面22aを覆う平坦な第一領域23aと、この第一領域23aに連なり、端部でリード(接続端子:アウターリード)26a,26bにそれぞれ接続される2つの第二領域23bとがある。
【0024】
接続板23の第一領域23aは、少なくとも半導体素子22の一面22aの半分以上、好ましくは一面22a全体、更に好ましくは一面22aの外縁よりも外側まで広がる大きさを持つ。接続板23の第一領域23aは、半導体素子22の一面22aとの間で封止樹脂27を介して、半導体素子22を覆うよう形成されている。接続板23全体は、封止樹脂27内に収まる。接続板23は、封止樹脂27の外面よりも外側に露出する部分が無いことが好ましい。
一例として、接続板23の第二領域23bから最も遠い辺の一端と封止樹脂27の外面との幅(封止樹脂27の形成幅)Δtは、0.1〜3mm程度であればよい。接続板23全体を封止樹脂27内に収めることで、接続板23の絶縁性が確保される。
【0025】
接続板23の第一領域23aを成す部分には、接続片24が形成されている。接続片24は、接続板23の周縁に接しない接続板23の中心領域に配されている。具体的には、接続板23の第一領域23a内において、接続板23の周縁に接しないように設定した四角形Sのうちの三辺を切り込む。残りの一辺を折り曲げ線(屈曲辺23L)として、切り込まれた三辺で囲まれた接続板23の部分を半導体素子22の電極29aに向けて折り曲げる。この折り曲げた部分が接続片24となる。
【0026】
なお、本実施形態では、更に屈曲辺23Lの両端から中心方向に向かってそれぞれ所定幅だけ切り込んでいる。そして、この切り込み幅分だけ、接続片24は先端に向かって両側が切り欠かれ、屈曲辺23Lに沿った方向の幅が狭められている。さらに、接続片24の先端部分も半円形に丸めている。
【0027】
接続片24は、屈曲辺23Lから先端までの全長のうち、屈曲辺23Lから半分程度までは接続板23の一面から半導体素子22の電極29aに向かって垂直に延びる。さらに、接続片24は、この垂直に延びた部分から屈曲して、電極29aの一面に沿って延びる。接続片24は、この電極29aの一面に沿って延びる部分で、電極29aに対して接続される。
【0028】
なお、接続片24は、電極29aの一面に沿って延びる部分を設けずに、接続板23の一面から半導体素子22の電極29aに向かって垂直に延びる部分の端部を、電極29aに当接させてもよい。また、接続片24のうち、接続板23の一面から半導体素子22の電極29aに向かって延びる部分は、接続板23の一面に対して垂直でなくてもよく、任意の角度で傾斜していればよい。
【0029】
本実施形態では、接続片24の形成にあたって、接続板23の第一領域23a内に切り込む対象の領域として四角形Sを設定しているが、切り込む対象の領域は四角形に限定されるものではない。例えば、接続板の第一領域内に三角形を設定し、三角形の二辺を切り込んで、残りの一辺を折り曲げ線(屈曲辺)として、切り込まれた二辺で囲まれた部分を半導体素子の電極に向かって折り曲げることによって、接続片を形成してもよい。また、例えば、接続板の第一領域内に円形を設定し、円形の半分程度を切り込んで、切り込まれた半円形の部分を半導体素子の電極に向かって折り曲げることによって、接続片を形成してもよい。なお、接続片24の先端部分は半円形に限らず、任意の形状に形成されていればよく、限定されるものではない。
【0030】
更に、本実施形態では、接続板23の周縁に接しないように設定された四角形Sに接続片24を形成しているが、これに限定されるものではない。例えば、接続板23の周縁から中心に向けて切り込みを形成し、接続板23の周縁から中心領域に向けて延びる接続片を形成してもよい。
【0031】
接続片24は、例えば、はんだによって、半導体素子22の一面22aに形成された電極29aに接続される。これによって、接続板23、およびリード26a,26bは、半導体素子22の電極29aに対して電気的に接続される。なお、接続片24と電極29aとは、はんだによって接続する以外にも、例えば、接続片24の弾性によって、接続片24の先端が電極29aに押し付けられるように構成することで電気的に接続されてもよい。
【0032】
リード26a,26bは、一端が接続板23に接続され、他端が外部の配線に接続される。リード26a,26bは、例えば、銅板、アルミニウム板、銀板、ステンレス板などから構成される。
【0033】
以上のような構成の半導体装置の作用を説明する。
図1に示す半導体装置20によれば、リード26a,26bと半導体素子22の電極29aとの接続に、板状の接続板23に形成した舌片状の接続片24を用いている。こうした接続板23と、舌片状の接続片24とは、リードと半導体素子の端子とを金属細線によって接続する場合と比較して、電子の流れる方向に対する断面積が大幅に大きい。従って、金属細線よりも大きい電流を流すことが可能である。よって、大電流化に対応した半導体装置20を実現することができる。
【0034】
一方、半導体装置20を流れる電流量が大きくなると、熱の発生も多くなる。しかし、本発明の半導体装置20によれば、リード26a,26bと半導体素子22の電極29aとの接続に、板状の接続板23を用いている。板状の接続板23は、リードと半導体素子の端子とを金属細線によって接続する場合と比較して、表面積が圧倒的に大きい。表面積が大きいため、放熱効果を高めることができる。従って、接続板23で生じた熱を効率よく外部に放熱することができる。よって、半導体素子22の高温化による特性の低下を防止することができる。
【0035】
さらに、上述した接続板23は、接続板23に設定した四角形Sのうち、リード26a,26bから最も離れた一辺を、接続片24を形成するための屈曲辺23Lとしている。これによって、リード26a,26bから半導体素子22の電極29aに向けて流れる電流は、図1中の矢印Rに示すように、接続板23全体に広がるように流れる。従って、接続板23全体で熱を放熱することができる。
【0036】
また、接続片24の先端を、半導体素子22の電極29aの中心領域に接続させることによって、電極29a全体に均一に電流が広がり、電極29a内において電流が局部的に流れることを防止できる。これにより、電極29aの抵抗を減少させることができる。
【0037】
なお、上述した実施形態では、接続片24は接続板23の一部に切り込みを形成し、屈曲させて形成している。即ち、接続片24は接続板23と一体の部材からなる。しかし、接続片と接続板とを別な部材として形成し、接続板の一部に接続片を接続した構成であってもよい。
【0038】
以下、本発明の半導体装置における接続板の形状例をいくつか列挙する。
【0039】
(第二実施形態)
本発明の半導体装置の第二実施形態を図2に示す。上述した第一実施形態では、2つのリードが形成されているが、半導体装置が接続される電気回路の構成によっては、2つのうちの一方のリードのみ使用されることがある。この場合、一方のリードはダミーリードとされ、リードそのものは残されるものの、接続板に対して電気的に接続しない構成をとる。
【0040】
図2は、封止樹脂を除いた半導体装置を上側から見た平面図である。なお、図1に示す実施形態と同様の構成には同一の番号を付し、その説明を省略する場合もある。
本発明の半導体装置30は、板状に形成されたダイパッド21と、このダイパッド21の一面21aに配された半導体素子22と、この半導体素子22を挟んで、ダイパッド21に対向して形成された接続板33と、を備えている。また、これら半導体素子22と、接続板33と、およびダイパッド21の一面21aとは、絶縁性の封止樹脂27によって覆われている。この実施形態では、接続板33に接続されるリード(接続端子)36と、接続板33には接続しないダミーリード(ダミー端子)38とを有している。
【0041】
接続板33は、半導体素子22の一面22aを覆うよう広がる第一領域33aと、この第一領域33aから延び、端部でリード36に接続される第二領域33bとがある。接続板33の第一領域33aは、上から見た時に、少なくとも半導体素子22の一面22aの半分以上、好ましくは一面22a全体、更に好ましくは一面22aの外縁よりも外側まで広がる大きさに形成される。また、接続板33は全体が封止樹脂27内に収まり、封止樹脂27の外面よりも外側に露出する部分が無いことが好ましい。
【0042】
接続板33の第一領域33aには、接続片34が形成されている。接続片34は、例えば、接続板33の一部に切り込みを形成して屈曲させた舌片状部材からなる。具体的には、接続板33の第一領域33a内において、接続板33の周縁に接しないように設定した四角形Sのうちの三辺を切り込む。残りの一辺を屈曲辺33Lとして、切り込まれた三辺で囲まれた部分を半導体素子22の電極29aに向けて折り曲げる。この折り曲げた部分が接続片34となる。
【0043】
そして、屈曲辺33Lは、上面から見た時に接続板33のうちのリード36から最も離れた一辺33Mに対して、例えば45°傾斜して形成されている。なお、屈曲辺33Lと接続板33の一辺33Mとの成す角度は、45°に限定されるものではなく、0°よりも大きく、90°よりも小さい角度範囲であればよい。例えば、屈曲辺Lは、リード36に対して切り込みよりも遠い位置に形成されていればよい。
【0044】
これにより、接続板33に設定した四角形Sは、接続板33に電気的に接続しないダミーリード38に向けて、屈曲辺33Lが45°傾斜した形態となる。このような形状の接続板33によれば、接続板33に対して電気的に接続されたリード36から接続片34に向けて流れる電流を、接続板33全体に広げることができ、ダミー端子が存在する場合のレイアウトに対応して、バランスよく放熱することができる。
【0045】
接続片34は、例えば、はんだによって、半導体素子22の一面22aに形成された電極29aに接続される。この時の電流は、リード36から接続片34に向けて接続板33全体に広がるように流れる。
【0046】
(第三実施形態)
本発明の半導体装置の第三実施形態を図3に示す。図3は、封止樹脂を除いた半導体装置を上側から見た平面図である。なお、図1に示す実施形態と同様の構成には同一の番号を付し、その説明を省略する場合もある。
本発明の半導体装置40は、板状に形成されたダイパッド21と、このダイパッド21の一面21aに並べて配された2つの半導体素子42A,42Bと、この半導体素子42A,42Bをそれぞれ挟んで、ダイパッド21に対向して形成された接続板43A,43Bと、を備えている。また、これら半導体素子42A,42B、接続板43A,43B、およびダイパッド21の一面21aは、絶縁性の封止樹脂27によって覆われている。
【0047】
接続板43Aは、半導体素子42Aの一面42Aaに重なる第一領域43Aaと、この第一領域43Aaから延び、端部でリード26aに接続される第二領域43Abとがある。また、接続板43Bは、半導体素子42Bの一面42Baに重なる第一領域43Baと、この第一領域43Baから延び、端部でリード26bに接続される第二領域43Bbとがある。
【0048】
接続板43Aの第一領域43Aaには、接続片44Aが形成されている。接続片44Aは、例えば、接続板43Aの一部に切り込みを形成して屈曲させた舌片状部材からなる。接続片44Aは、例えば、はんだによって、半導体素子42Aの一面42Aaに形成された電極49Aaに接続される。接続板43Bの第一領域43Baには、接続片44Bが形成されている。接続片44Bは、例えば、接続板43Bの一部に切り込みを形成して屈曲させた舌片状部材からなる。接続片44Bは、例えば、はんだによって、半導体素子42Bの一面42Baに形成された電極49Baに接続される。
【0049】
このような構成の半導体装置40では、1つのダイパッド21に複数の半導体素子42A,42Bを配した構成であっても、それぞれの半導体素子42A,42Bを覆うように広がる板状の接続板43A,43Bをそれぞれ用いることによって、それぞれの接続板43A,43Bで生じた熱を封止樹脂27を介して効率よく外部に放熱することができる。
【0050】
(第四実施形態)
本発明の半導体装置の第四実施形態を図4に示す。図4は、封止樹脂を除いた半導体装置を上側から見た平面図である。なお、図1に示す実施形態と同様の構成には同一の番号を付し、その説明を省略する場合もある。
本発明の半導体装置50は、板状に形成されたダイパッド21と、このダイパッド21の一面21aに配された半導体素子22と、この半導体素子22を挟んで、ダイパッド21に対向して形成された接続板53と、を備えている。また、これら半導体素子22、接続板53、およびダイパッド21の一面21aは、絶縁性の封止樹脂27によって覆われている。
【0051】
接続板53は、半導体素子22の一面22aに重なる第一領域53aと、この第一領域53aから延び、端部で2つのリード26a,26bに接続される第二領域53bとがある。接続板53の第一領域53aは、上から見た時に、少なくとも半導体素子22の一面22aの半分以上、好ましくは一面22a全体、更に好ましくは一面22aの外縁よりも外側まで広がる大きさに形成される。
【0052】
接続板53の第一領域53aには、2つの接続片54A,54Bが形成されている。接続片54A,54Bは、例えば、接続板53の一部に切り込みを形成して屈曲させた舌片状部材からなる。接続片54A,54Bは、例えば、はんだによって、半導体素子22の一面22aに形成された電極29aに接続される。
【0053】
接続片54A,54Bは、接続板53の第一領域53a内に設定した四角形Sのうち、対向する二辺と、この二辺のそれぞれの中央どうしを結ぶ部分を切り込んで、残りの対向する二辺を折り曲げて屈曲辺53La,53Lbとすることで、互いに対向する2つの接続片54A,54Bを形成している。なお、それぞれの接続片54A,54Bの先端は、更に半円形に加工されていればよい。
【0054】
このような構成の半導体装置50では、半導体素子22の一面22aに形成された1つの電極29aに対して、接続板53から屈曲した2つの接続片54A,54Bを接続することによって、2か所で電極29aと接続板53との間に電流を流すことができる。そして、増加した電流量に応じて発生する熱を、表面積の大きい板状の接続板53によって効率よく外部に放熱することができる。
【0055】
(第五実施形態)
本発明の半導体装置の第五実施形態を図5に示す。図5は、半導体装置を側面から見た時の断面図である。なお、図1に示す実施形態と同様の構成には同一の番号を付し、その説明を省略する場合もある。
本発明の半導体装置60は、板状に形成されたダイパッド21と、このダイパッド21の一面21aに配された半導体素子22と、この半導体素子22を挟んで、ダイパッド21に対向して形成された接続板63と、を備えている。また、これら半導体素子22、接続板63、およびダイパッド21の一面21aは、絶縁性の封止樹脂27によって覆われている。
【0056】
接続板63は、半導体素子22の一面22aに重なる第一領域63aと、この第一領域63aから延び、端部で2つのリード26a,26bに接続される第二領域63bとからなる。本実施形態における接続板63の第一領域63aは、蛇腹状に繰り返し屈折させた形状となっている。
【0057】
接続板63の第一領域63aには、接続片64が形成されている。接続片64は、例えば、接続板63の一部に切り込みを形成して屈曲させた舌片状部材からなる。接続片64は、例えば、はんだによって、半導体素子22の一面22aに形成された電極29aに接続される。
【0058】
このような構成の半導体装置60では、接続板63の第一領域63aを蛇腹状に繰り返し屈折させた形状とすることで、平板状の場合と比較して表面積を大きく増加させることができる。よって、電流量に応じて発生する熱を、封止樹脂(モールド)27を介してより一層効率よく外部に放熱させることができる。
【0059】
なお、上述した第二実施形態〜第五実施形態に示す構成どうしを、任意に組み合わせた形状の接続板を形成することも好ましい。例えば、半導体素子の1つの電極に対して、複数の接続片を接続させ、かつ、接続板を蛇腹状に繰り返し屈折させた構成などが挙げられる。
【符号の説明】
【0060】
20,30,40,50,60…半導体装置、21…ダイパッド、22…半導体素子、23,33,43A,43B,53,63…接続板、24,34,44A,44B,54,64…接続片、27…封止樹脂、29a,29b…電極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6