(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045142
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】機械式駐車装置の扉装置
(51)【国際特許分類】
E05D 13/00 20060101AFI20161206BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
E05D13/00 K
E04H6/42 Z
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-267577(P2011-267577)
(22)【出願日】2011年12月7日
(65)【公開番号】特開2013-119726(P2013-119726A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2014年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】林 洋輔
【審査官】
佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−052307(JP,A)
【文献】
特開2007−177429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/42
E05D 13/00
E06B 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械式駐車装置の入出庫階層に設けられて左右に開閉する扉装置であって、左右方向へ移動可能に上部を支持された扉と、該扉の開閉方向に沿って床面に敷設した下部ガイドレールとを備え、該下部ガイドレールは、1本の中空の略角筒形部材が、長手方向を水平にして、その上面と前記床面が面一となるように前記床面に埋設され、その上面全体に、床面より上方に向けて突出し、前記長手方向に延びる、逆V字形状断面のレール突起部が形成され、該レール突起部のみが前記床面より上方に突出しており、前記扉の下面には、前記レール突起部に嵌合するように逆V字形状断面の扉溝部を設けており、該扉溝部は前記扉の下面全体を覆う硬質樹脂で形成されていることを特徴とする機械式駐車装置の扉装置。
【請求項2】
機械式駐車装置の入出庫階層に設けられて左右に開閉する扉装置であって、左右方向へ移動可能に上部を支持された扉と、該扉の開閉方向に沿って床面に敷設した下部ガイドレールとを備え、該下部ガイドレールは、1本の中空の略角筒形部材が、長手方向を水平にして、その上面と前記床面が面一となるように前記床面に埋設され、その上面全体に、床面より下方に向けて窪み、前記長手方向に延びる、V字形状断面のレール溝部が形成され、該レール溝部を含めた前記下部ガイドレール全体が前記床面より上方に突出しておらず、前記扉の下面には、前記レール溝部に嵌合するようにV字形状断面の扉突起部を設けており、該扉突起部は前記扉の下面全体を覆う硬質樹脂で形成されていることを特徴とする機械式駐車装置の扉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置の車両出入口に設けられる扉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置は、地上に建設した建屋内部や地下に形成した空間に機械装置を配設し、多数の車両を立体的に格納する設備であり、エレベータ式、垂直循環式、水平循環式、平面往復式等種々の方式が用いられている。これらいずれの方式の機械式駐車装置においても、車両が機械装置に乗り込むための入出庫部を備えており、この入出庫部には扉が設けられ車両の出入庫時以外は、機械装置が配設された内部と外部とを遮断するようにしている。
【0003】
これらの扉に用いられる方式は、大別して扉が上下方向に開閉する方式と、引き戸式に扉が左右に開閉する方式とがあり、電動機等により駆動されて開閉動作を行う。このうち、左右方向に開閉する引き戸式の扉においては、扉本体の下部をガイドするために凸形状や凹形状のガイドレールをフロア上に敷設し、扉本体の一部がこれらのガイドレールに係合して誘導されるようにしている。例えば、特許文献1には凹形状のガイドレールを用いた扉の構成が記載されており、特許文献2には凸形状のガイドレールを用いた扉の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−138076号公報(第7図)
【特許文献2】特開平7−259422号公報(
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、高齢者や車椅子の利用者に配慮して、様々な設備においてバリアフリー化が実施されており、機械式駐車装置においてもバリアフリー化が進められている。このようなバリアフリー化された機械式駐車装置においては、基本的に床面に極力凹凸がないことが求められる。したがって、従来技術のように扉のガイドレールとして凸状のガイドレールを採用することは、バリアフリー化するのに好ましくなかった。
【0006】
また、凹形状のガイドレールを採用した場合には、溝にゴミなどの異物が入り易く常に溝を点検し異物の除去を行わなければならず、石等の固形物が車両に踏みつけられて強固に溝に挟まってしまった場合などは、これを除去するために労力を要するという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、床面に極力凹凸を形成することなく、また、メンテナンスも容易である機械式駐車装置の扉装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、機械式駐車装置の入出庫階層に設けられて左右に開閉する扉装置であって、左右方向へ移動可能に上部を支持された扉と、該扉の開閉方向に沿って床面に敷設した下部ガイドレールとを備え、該下部ガイドレールは、
1本の中空の略角筒形部材が
、長手方向を水平にして
、その上面と前記床面が面一となるように前記床面に埋設され、その上面
全体に、床面より上方に向けて突出し、前記長手方向に延びる、逆V字形状断面のレール突起部が形成され、該レール突起部のみが前記床面より上方に突出しており、前記扉の下面には、前記レール突起部に嵌合するように逆V字形状断面の扉溝部を設け
ており、該扉溝部は前記扉の下面全体を覆う硬質樹脂で形成されている。
【0009】
また、請求項2の発明は、機械式駐車装置の入出庫階層に設けられて左右に開閉する扉装置であって、左右方向へ移動可能に上部を支持された扉と、該扉の開閉方向に沿って床面に敷設した下部ガイドレールとを備え、該下部ガイドレールは、
1本の中空の略角筒形部材が
、長手方向を水平にして
、その上面と前記床面が面一となるように前記床面に埋設され、その上面
全体に、床面より下方に向けて窪み、前記長手方向に延びる、V字形状断面のレール溝部が形成され、該レール溝部を含めた前記下部ガイドレール全体が前記床面より上方に突出しておらず、前記扉の下面には、前記レール溝部に嵌合するようにV字形状断面の扉突起部を設け
ており、該扉突起部は前記扉の下面全体を覆う硬質樹脂で形成されている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、下部ガイドレールのレール突起部は、傾斜面で形成されているので、車椅子が通過し易くなり、また、利用者がつまずきにくくなる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明によれば、下部ガイドレールのレール溝部は、傾斜面で形成されているので、車椅子が通過し易くなるとともに、小石やゴミ等の除去が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】扉が閉じた状態を示す入出庫階における平面図
【
図2】扉が閉じた状態を示す入出庫階における正面図
【
図3】扉が開いた状態を示す入出庫階における平面図
【
図4】扉が開いた状態を示す入出庫階における正面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の詳細について図を参照して説明する。機械式駐車装置の一例として、エレベータ式駐車装置の入出庫階における平面図を
図1に、正面図を
図2に示す。機械式駐車装置10は、駐車塔11の中央部に昇降リフト12を配置し、この昇降リフト12上には、車両を搭載するパレット13が載置される。昇降リフト12は四隅に接続されたワイヤロープにより吊り下げられており、このワイヤロープを駆動することにより駐車塔11内の昇降路を上下に移動する。
【0014】
昇降路の両側には多数段の駐車棚が配設されており、入出庫階で昇降リフト12上に載置されたパレット13に車両が乗り込んだ後、昇降リフト12が上昇して所定の棚まで移動し、各棚にパレット13と共に車両を移動させて格納するようになっている。また、出庫の際にはこれと逆の動作が行われ、所定の棚からパレット13及び車両が入出庫階に移送される。パレット13は上面が略平面となっており、昇降リフト12が入出庫階に停止したときに入出庫階のフロア17とパレット13の上面とが略同一となり、車椅子の利用者等が利用し易くなっている。
【0015】
駐車塔11には、車両が機械式駐車装置10に進入するための開口部15が設けられており、この開口部15には両開き式の扉14,14が備えられている。なお、
図1及び
図2においては、入出庫階の開口部15は扉14,14により閉鎖された状態を示している。
【0016】
図3及び
図4は、入出庫階の扉14,14が開かれて開口部15が開放された状態の正面図及び平面図である。扉14は上部にローラ30を有しており、このローラ30を介して開口部15の上部に固設した上部ガイドレール31から吊り下げられ、機械的な機構により左右に移動するようにしている。一方、扉14の下部には、下部ガイドレール16がフロア17に敷設されており、扉14の下部を案内するようにしている。
【0017】
図5は、扉14の下部及び下部ガイドレール16を示した、扉14が移動する方向に直交する方向の断面図である。下部ガイドレール16上面の中央部には、レール突起部18をフロア17の上面から上方へ突出して逆V字形状に形成している。一方、扉14の下端面には、レール突起部18と略同一形状の逆V字形状に扉溝部19を形成している。レール突起部18と扉溝部19は、若干の隙間を有して嵌合するように設置され、扉14は下部ガイドレール16によってガイドされる。扉14の扉溝部19は、耐摩耗性や摺動性を考慮して、例えばナイロン樹脂等の硬質樹脂により構成することもできる。
【0018】
この構成によれば、下部ガイドレール16はフロア面よりも突出するものの、その突出部は傾斜面であるので、車椅子であっても通過し易くなり、また、通常の利用者であっても、つまずくことが少なくなる。
【0019】
図6は、上記とは別の形態による扉14aの下部及び下部ガイドレール16aを示した、扉14aが移動する方向に直交する方向の断面図である。下部ガイドレール16a上面の中央部には、レール溝部18aをフロア17の上面から下方へ窪めてV字形状に形成している。一方、扉14aの下端面には、レール溝部18aと略同一形状のV字形状に扉突起部19aを形成している。レール溝部18aと扉突起部19aは、若干の隙間を有して嵌合するように設置され、扉14aは下部ガイドレール16aによってガイドされる。また、上記と同様に、扉14aの扉突起部19aは、耐摩耗性や摺動性を考慮して、例えばナイロン樹脂等の硬質樹脂により構成することもできる。
【0020】
この構成によれば、上記と同様に車椅子の通過が容易であり、また、利用者がつまずくことが少ない。さらに、下部ガイドレール16aの溝形状がV字形状であるので、石やゴミ等が溜まりにくく、また、これらが溜まった場合であっても容易に取り除くことができる。
【符号の説明】
【0021】
10 機械式駐車装置
11 駐車塔
12 昇降リフト
13 パレット
14 扉
14a 扉
15 開口部
16 下部ガイドレール
16a 下部ガイドレール
17 フロア
18 レール突起部
18a レール溝部
19 扉溝部
19a 扉突起部
30 ローラ
31 上部ガイドレール