(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045144
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】空間安定化装置、空間安定化方法、及び空間安定化プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 19/02 20060101AFI20161206BHJP
G01C 21/18 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
G01C19/02 B
G01C21/18
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-269481(P2011-269481)
(22)【出願日】2011年12月8日
(65)【公開番号】特開2013-120166(P2013-120166A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2014年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102864
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】北野 貴久
(72)【発明者】
【氏名】本多 敏
(72)【発明者】
【氏名】舘 和岳
【審査官】
梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−024509(JP,A)
【文献】
特開2010−219942(JP,A)
【文献】
特開平11−075104(JP,A)
【文献】
特開平10−307000(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0238296(US,A1)
【文献】
米国特許第06978965(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/00 − 21/36
G01C 23/00 − 25/00
G01C 15/00
G01S 1/70
G01S 3/78 − 3/789
G01S 5/16
H04N 5/222 − 5/257
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛翔体に設けられ、目標物を撮像して画像データを生成する撮像装置の空間安定を行う空間安定化装置であって、
第1軸及び第2軸を有し、前記第1軸及び前記第2軸の回転により、前記撮像装置の撮像方向を、第1軸周り及び第2軸周りに回転させるジンバル機構と、
前記画像データに基づいて、前記撮像方向が前記目標物を向くように、前記ジンバル機構の動作を制御する制御装置と、
前記飛翔体の動揺角速度を測定する機体角速度センサと
を具備し、
前記制御装置は、
前記飛翔体の前記動揺角速度に基づいて、前記第1軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が解消されるように前記第1軸を回転させ、前記第2軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が解消されるように前記第2軸を回転させるジンバル制御部と、
前記第1軸の回転の応答性の限界により前記第1軸の回転だけでは前記第1軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が補正されない場合に、前記第1軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が補正されるように、前記画像データを変換し、前記第2軸の回転の応答性の限界により前記第2軸の回転だけでは前記第2軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が補正されない場合に、前記第2軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が補正されるように、前記画像データを変換して、変換後画像データを生成する画像変換部と
を備える
空間安定化装置。
【請求項2】
請求項1に記載された空間安定化装置であって、
前記第1軸の回転時の角速度を第1ジンバル角速度として測定し、及び前記第2軸の回転時の角速度を第2ジンバル角速度として測定するジンバル角速度センサ
を更に具備し、
前記制御装置は、前記飛翔体の前記動揺角速度を、前記第1軸周りの動揺角速度、及び前記第2軸周りの動揺角速度に変換する角速度変換部を更に備え、
前記画像変換部は、前記第1軸周りの動揺角速度と前記第1ジンバル角速度との差分に基づいて、前記第1軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が補正されるように、前記画像データを変換し、前記第2軸周りの動揺角速度と前記第2ジンバル角速度との差分に基づいて、前記第2軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が補正されるように、前記画像データを変換する
空間安定化装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された空間安定化装置であって、
前記第1軸は、ロール軸であり、
前記第2軸は、前記ロール軸に直交する軸である
空間安定化装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載された空間安定化装置であって、
前記ジンバル機構は、更に、前記撮像装置の撮像方向を、前記第1軸及び前記第2軸周りに直交する第3軸周りにも回転させるように構成され、
前記ジンバル制御部は、更に、前記飛翔体の前記動揺角速度に基づいて、前記第3軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が解消されるように前記第3軸を回転させるように構成され、
前記画像変換部は、前記第3軸の回転の応答性の限界により前記第3軸の回転だけでは前記第3軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が補正されない場合に、前記第3軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が補正されるように前記画像データを変換する
空間安定化装置。
【請求項5】
請求項4に記載された空間安定化装置であって、
前記機体角速度センサは、前記飛翔体の前記動揺角速度として、前記第1軸回りとしてのロール軸周り前記飛翔体の動揺角速度、前記第2軸回りとしてのピッチ軸周りの前記飛翔体の動揺角速度、及び前記第3軸回りとしてのヨー軸周りの前記飛翔体の動揺角速度を測定する
空間安定化装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載された空間安定化装置であって、
前記撮像装置は、前記第2軸が回転したときに撮像領域がその長手方向である第1方向に沿って移動するように構成され、
前記制御装置は、前記画像データに基づいて、前記目標物の移動点を算出する移動点算出部を更に有し、
前記ジンバル制御部は、前記第1方向が前記目標物の移動方向に合致するように、前記第1軸を回転させるように構成され、
前記画像変換部は、前記第1軸の回転時における前記目標物の前記撮像領域内の位置の変化が解消されるように、前記画像データを変換する
空間安定化装置。
【請求項7】
飛翔体に設けられ、目標物を撮像し、画像データを生成する撮像装置の空間安定を行う空間安定化装置であって、
ロール軸に一致する第1軸、及び前記第1軸に直交する第2軸を有し、前記第1軸及び前記第2軸の回転により、前記撮像装置の撮像方向を、第1軸周り及び第2軸周りに回転させるジンバル機構と、
前記画像データに基づいて、前記撮像方向が前記目標物を向くように、前記ジンバル機構の動作を制御する制御装置と
を具備し、
前記撮像装置は、前記第2軸が回転したときに撮像領域がその長手方向である第1方向に沿って移動するように構成され、
前記制御装置は、
前記画像データに基づいて、前記目標物の移動点を算出する移動点算出部と、
前記第1方向が前記目標物の移動方向に合致するように、前記第1軸を回転させるジンバル制御部と、
前記画像データを変換し、変換後画像データを生成する画像変換部と
を備え、
前記画像変換部は、前記第1軸の回転に伴う前記撮像領域内における前記目標物の位置の変化が解消されるように、前記画像データを変換する
空間安定化装置。
【請求項8】
飛翔体に設けられ、目標物を撮像し、画像データを生成する撮像装置の空間安定を行う空間安定化方法であって、
ジンバル機構の第1軸及び第2軸を回転させることにより、前記撮像装置の撮像方向を、第1軸周り及び第2軸周りに回転させるステップと、
前記画像データに基づいて、前記撮像方向が前記目標物を向くように、前記ジンバル機構の動作を制御するステップと、
前記飛翔体の動揺角速度を測定するステップと
を具備し、
前記制御するステップは、
前記飛翔体の動揺角速度に基づいて、前記第1軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が解消されるように前記第1軸を回転させ、前記第2軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が解消されるように前記第2軸を回転させるステップと、
前記第1軸の回転の応答性の限界により前記第1軸の回転だけでは前記第1軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が補正されない場合に、前記第1軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が補正されるように、前記画像データを変換し、前記第2軸の回転の応答性の限界により前記第2軸の回転だけでは前記第2軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が補正されない場合に、前記第2軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が補正されるように、前記画像データを変換して、変換後画像データを生成するステップと
を備える
空間安定化方法。
【請求項9】
請求項8に記載された空間安定化方法であって、
前記第1軸の回転時の角速度を第1ジンバル角速度として測定し、及び前記第2軸の回転時の角速度を第2ジンバル角速度として測定するステップ
を更に具備し、
前記制御するステップは、前記飛翔体の前記動揺角速度を、前記第1軸周りの動揺角速度、及び前記第2軸周りの動揺角速度に変換するステップを更に備え、
前記変換後画像データを生成するステップは、前記第1軸周りの動揺角速度と前記第1ジンバル角速度との差分に基づいて、前記第1軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が補正されるように、前記画像データを変換し、前記第2軸周りの動揺角速度と前記第2ジンバル角速度との差分に基づいて、前記第2軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が補正されるように、前記画像データを変換するステップを備える
空間安定化方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載された空間安定化方法であって、
前記飛翔体の動揺角速度を測定するステップは、前記飛翔体の動揺角速度として、ロール軸周りの前記飛翔体の動揺角速度、ピッチ軸周りの前記飛翔体の動揺角速度、及びヨー軸周りの前記飛翔体の動揺角速度を測定するステップを含んでいる
空間安定化方法。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか一項に記載された空間安定化方法であって、
前記ジンバル機構は、更に、前記撮像装置の撮像方向を、前記第1軸及び前記第2軸に直交する第3軸周りにも回転させるように構成され、
前記制御するステップは、前記飛翔体の前記動揺角速度に基づいて、前記第3軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が解消されるように前記第3軸を回転させるステップを更に含み、
前記変換後画像データを生成するステップは、前記第3軸の回転の応答性の限界により前記第3軸の回転だけでは前記第3軸周りの前記飛翔体の動揺の影響が補正されない場合に、前記第3軸周りの動揺の影響が補正されるように前記画像データを変換するステップを更に含んでいる
空間安定化方法。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか一項に記載された空間安定化方法であって、
前記第1軸は、ロール軸であり、
前記第2軸は、前記ロール軸に直交する軸である
空間安定化方法。
【請求項13】
請求項12に記載された空間安定化方法であって、
前記撮像装置は、前記第2軸周りに前記ジンバル機構が回転したときに撮像領域がその長手方向である第1方向に沿って移動するように構成され、
前記制御するステップは、
前記画像データに基づいて、前記目標物の移動点を算出するステップと、
前記第1方向が前記目標物の移動方向に合致するように、前記第1軸を回転させるステップと
を更に含み、
前記変換後画像データを生成するステップは、更に、前記第1軸の回転による前記撮像領域内における前記目標物の位置の変化が相殺されるように、前記画像データを変換するステップを含む
空間安定化方法。
【請求項14】
飛翔体に設けられ、目標物を撮像し、画像データを生成する撮像装置の空間安定を行う空間安定化方法であって、
ジンバル機構のロール軸に一致する第1軸、及び前記第1軸に直交する第2軸を回転させることにより、前記撮像装置の撮像方向を、前記第1軸周り及び前記第2軸周りに回転させるステップと、
前記画像データに基づいて、前記撮像方向が前記目標物を向くように、前記ジンバル機構の動作を制御するステップと
を具備し、
前記撮像装置は、前記第2軸が回転したときに撮像領域がその長手方向である第1方向に沿って移動するように構成され、
前記制御するステップは、
前記画像データに基づいて、前記目標物の移動点を算出するステップと、
前記第1方向が前記目標物の移動方向に合致するように、前記第1軸を回転させるステップと、
前記画像データを変換して、変換後画像データを生成するステップと
を備え、
前記変換後画像データを生成するステップは、前記第1軸の回転に伴う前記撮像領域内における前記目標物の位置の変化が解消されるように、前記画像データを変換するステップを含んでいる
空間安定化方法。
【請求項15】
請求項8乃至14のいずれか一項に記載された空間安定化方法を、コンピュータにより実現するための、空間安定化プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間安定化装置、空間安定化方法、及び空間安定化プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
飛翔体には、目標を追尾するために、目標を撮像する撮像装置が設けられる場合がある。追尾時には、撮像装置により画像データが得られ、画像データに基づいて目標物の方向が算出される。算出結果に基づいて、目標へ向かうように、飛翔体の進路が制御される。
【0003】
飛翔体は、飛行中に、動揺することがある。動揺により、画像データ中における目標の位置が、安定しなくなる。その結果、目標の方向を正確に算出することが困難になる場合がある。そこで、画像データ中における目標の位置を安定させる処理、すなわち、空間安定処理が実施される。
【0004】
図1は、空間安定処理を行なう為の空間安定化装置の一例を示す概略図である。この空間安定化装置100は、ジンバルにより空間安定処理を実施するように構成されている。すなわち、空間安定化装置100は、角速度センサ104及びジンバル機構106を有している。図示していないが、撮像装置は、ジンバル機構106に搭載される。ジンバル機構106は、ピッチ軸周り及びヨー軸周りに回転するように構成されている。角速度センサ104は、ロール軸周り、ピッチ軸、及びヨー軸周りの飛翔体の動揺角速度を測定する機能を有している。また、角速度センサ101は、ジンバル機構106から、ジンバル軸の駆動角速度を示すデータを取得する。そして、角速度センサ104が、飛翔体の角速度とジンバル軸の駆動角速度とに基づいて、撮像装置の空間安定が行われるように、ジンバル機構106の動作を制御する。
【0005】
図2は、空間安定化装置の他の例を示す概略図である。この空間安定化装置100は、ジンバルではなく、画像変換により空間安定処理を実施するように構成されている。すなわち、この空間安定化装置100は、角速度センサ104及び計算機105を備えている。撮像装置(図示せず)は、飛翔体に直接に取り付けられている。角速度センサ104は、ロール軸周り、ピッチ軸、及びヨー軸周りの飛翔体の角速度を測定する。計算機105は、角度センサ104の測定結果に基づいて、撮像装置により得られた画像データを変換し、飛翔体の動揺による影響を抑制する。
【0006】
上記に関連して、特許文献1(特開平4−24509号公報)には、ジンバル上の撮像部の動揺に対する補正方式が開示されている。この補正方式では、レートセンサによる飛翔体の動揺角速度が、ジンバル2軸回り及び撮像部の視軸周りの動揺角速度に変換される点、ジンバル2軸周りの動揺角速度がジンバルに供給され、撮像部の空間安定が図られる点、及び、視軸周りの動揺に対してはジンバルが回転できないため、視軸周り動揺角速度を撮像部の画像処理部に供給して画像変換を行なうことにより、視軸周りの動揺を補正する点が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−24509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載される補正方式によれば、ジンバル2軸周りの動揺角速度が、ジンバル2軸の回転により、補正される。しかしながら、ジンバル機構の応答性には限界がある。すなわち、ジンバル軸の回転速度には、限界がある。そのため、ジンバル軸の回転速度の限界を超えて飛翔体が動揺した場合、空間安定が困難になるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る空間安定化装置は、飛翔体に設けられ、目標物を撮像し、画像データを生成する、撮像装置と、第1軸周り及び第2軸周りに回転することにより、前記撮像装置の撮像方向を、前記第1軸周り及び前記第2軸周りに回転させる、ジンバル機構と、前記画像データに基づいて、前記撮像方向が前記目標物を向くように、前記ジンバル機構の動作を制御する、制御装置と、前記飛翔体の動揺角速度を測定する、機体角速度センサと、前記第1軸周りの前記ジンバル機構の角度である、第1軸ジンバル角度、及び前記第2軸周りの前記ジンバル機構の角度である、第2軸ジンバル角度を測定するジンバル角度センサとを具備する。前記制御装置は、前記飛翔体の動揺角速度を、前記第1軸周りの動揺角速度、前記第2軸周りの動揺角速度、及び前記第1軸及び前記第2軸周りに直交する第3軸周りの動揺角速度に変換する、角速度変換部と、前記変換された第1軸周りの動揺角速度に基づいて、前記第1軸周りの動揺が解消されるように、前記ジンバル機構が前記第1軸周りを回転し、前記変換された第2軸周りの動揺角速度に基づいて、前記第2軸周りの動揺が解消されるように、前記ジンバル機構を前記第2軸周りに回転させる、ジンバル制御部と、前記画像データを変換し、変換後画像データ(変換後目標方向)を生成する、画像変換部とを備える。前記画像変換部は、前記第1軸周りの前記ジンバル機構の回転だけでは前記第1軸周りの動揺が解消されない場合に、前記第1ジンバル角速度及び前記第1軸周りの動揺角速度に基づいて、前記第1軸周りの動揺が解消されるように、前記画像データを変換し、前記第2軸周りの前記ジンバル機構の回転だけでは前記第2軸周りの動揺が解消されない場合に、前記第2軸ジンバル角速度及び前記第2軸周りの動揺角速度に基づいて、前記画像データを、前記第2軸周りの動揺が解消されるように、変換し、前記第3軸周りの動揺角速度に基づいて、前記第3軸周りの動揺が解消されるように、前記画像データを変換する。
【0010】
本発明に係る他の空間安定化装置は、飛翔体に設けられ、目標物を撮像し、画像データを生成する、撮像装置と、ロール軸周り及びロール軸に直交する直交軸周りに回転することにより、前記撮像装置の撮像方向を、前記ロール軸周り及び前記直交軸周りに回転させる、ジンバル機構と、前記画像データに基づいて、前記撮像方向が前記目標物を向くように、前記ジンバル機構の動作を制御する、制御装置とを具備する。前記撮像装置は、第2軸周りに前記ジンバル機構が回転したときに撮像領域が第1方向に沿って移動するように構成される。前記撮像領域は、前記第1方向に長くなるように構成されている。前記制御装置は、前記画像データに基づいて、前記目標物の移動点を算出する、移動点算出部と、前記第1方向が前記目標物の方向に合致するように、前記ジンバル機構を前記ロール軸周りに回転させるジンバル制御部と、前記画像データを変換し、変換後画像データ(変換後目標方向含む)を生成する、画像変換部とを備える。前記画像変換部は、前記ジンバル機構の前記ロール軸周りの回転に伴う前記撮像領域内における前記目標物の動揺が解消されるように、前記画像データを変換する。
【0011】
本発明に係る空間安定化方法は、飛翔体に設けられた撮像装置により、目標物を撮像し、画像データを生成するステップと、ジンバル機構を第1軸周り及び第2軸周りに回転させることにより、前記撮像装置の撮像方向を、前記第1軸周り及び前記第2軸周りに回転させるステップと、前記画像データに基づいて、前記撮像方向が前記目標物を向くように、前記ジンバル機構の動作を制御するステップと、前記飛翔体の動揺角速度を測定するステップと、前記第1軸周りの前記ジンバル機構の角速度である、第1軸ジンバル角速度、及び前記第2軸周りの前記ジンバル機構の角速度である、第2軸ジンバル角速度を測定するステップとを具備する。前記制御するステップは、前記飛翔体の動揺角速度を、前記第1軸周りの動揺角速度、前記第2軸周りの動揺角速度、及び前記第1軸及び前記第2軸周りに直交する第3軸周りの動揺角速度に変換するステップと、前記変換された第1軸周りの動揺角速度に基づいて、前記第1軸周りの動揺が解消されるように、前記ジンバル機構を前記第1軸周りに回転させ、前記変換された第2軸周りの動揺角速度に基づいて、前記第2軸周りの動揺が解消されるように、前記ジンバル機構を前記第2軸周りに回転させるステップと、前記画像データを変換し、変換後画像データを生成するステップとを備える。前記変換後画像データを生成するステップは、前記第1軸周りの前記ジンバル機構の回転だけでは前記第1軸周りの動揺が解消されない場合に、前記第1ジンバル角速度及び前記第1軸周りの動揺角速度に基づいて、前記第1軸周りの動揺が解消されるように、前記画像データを変換し、前記第2軸周りの前記ジンバル機構の回転だけでは前記第2軸周りの動揺が解消されない場合に、前記第2軸ジンバル角速度及び前記第2軸周りの動揺角速度に基づいて、前記画像データを、前記第2軸周りの動揺が解消されるように、変換し、前記第3軸周りの動揺角速度に基づいて、前記第3軸周りの動揺が解消されるように、前記画像データを変換するステップを含んでいる。
【0012】
本発明に係る空間安定化プログラムは、上述の空間安定化方法を、コンピュータにより実現するための、プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ジンバル機構の応答性能に関係なく、十分に空間安定を行うことができる、空間安定化装置、空間安定化方法、及び空間安定化プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】空間安定化装置の他の例を示す概略図である。
【
図3】第1の実施形態に係る空間安定化装置が搭載された飛翔体を示す概略図である。
【
図4】空間安定化装置を示す機能ブロック図である。
【
図6】第1の実施形態に係る空間安定化装置の作用効果を概念的に示す図である。
【
図8】第2の実施形態に係る空間安定化装置を示す機能ブロック図である。
【
図10】第3の実施形態に係る空間安定化装置を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図3は、本実施形態に係る空間安定化装置が搭載された飛翔体1を示す概略図である。
図3(a)には、飛翔体1を側面から見た図が示されており、
図3(b)には、飛翔体1を後方から見たときの図が示されている。
図3(a)に示されるように、飛翔体1には、ロール軸(X軸)、ピッチ軸(Y軸)、及びヨー軸(Z軸)が設定される。ロール軸とは、飛翔体1の進行方向に沿う軸である。ピッチ軸は、ロール軸に直交する軸である。ヨー軸は、ロール軸及びピッチ軸の双方に直交する軸である。
【0017】
図3(a)に示されるように、飛翔体1には、カメラ3(撮像装置)、及び空間安定化装置6が搭載されている。
【0018】
カメラ3は、追尾目標を撮像し、画像データを生成する機能を有している。カメラ3は、進行方向の前方を向くように、取り付けられている。
【0019】
空間安定化装置6は、カメラ3を空間安定させる装置である。空間安定化装置6は、ジンバル機構2、角速度センサ5、及び制御装置4を有している。
【0020】
ジンバル機構2は、3軸ジンバルであり、飛翔体1に取り付けられている。ジンバル機構2は、カメラ3の撮像方向及び撮像領域を、回転させる機能を有している。
図3(a)に示される例では、カメラ3は、飛翔体1に取り付けられており、光が、ジンバル機構2に設けられた光学部材等を介して、カメラ3に入射する。そのため、ジンバル機構2に含まれる軸を回転させることにより、カメラ3の撮像方向及び撮像領域も回転するようになっている。尚、カメラ3は、ジンバル機構2上に搭載されていてもよい。
【0021】
ジンバル機構2は、ロール軸に一致する第1軸、ロール軸に直交する第2軸、及び第1軸と第2軸の双方に直交する第3軸を備えている。第1軸乃至第3軸の各軸は、回転可能である。各軸の駆動角度が基準角度である場合、第2軸はピッチ軸に沿い、第3軸はヨー軸に沿うようになっている。
図3(b)に示されるように、ジンバル機構2は、第1軸(X軸)が回転した場合に、カメラ3の撮像領域が第1軸(ロール軸)周りに回転するように、設けられている。また、ジンバル機構2の第2軸(ピッチ軸Yg)が回転した場合、カメラ3の撮像方向は、第2軸周りに回転する。更に、ジンバル機構2の第3軸(ヨー軸Zg)が回転した場合、カメラ3の撮像方向は、第3軸周りに回転する。
【0022】
図4は、空間安定化装置6を示す機能ブロック図である。上述の通り、空間安定化装置6は、角速度センサ5、制御装置4、及びジンバル機構2を備えている。
【0023】
角速度センサ5は、飛翔体1の動揺による角速度を測定する機能を有している。具体的には、角速度センサ5は、ロール軸周りの飛翔体1の動揺角速度、ピッチ軸周りの飛翔体1の動揺角速度、及びヨー軸周りの飛翔体1の動揺角速度を測定する。測定結果は、飛翔体の動揺角速度データとして、制御装置4に通知される。
【0024】
制御装置4は、飛翔体1の動揺角速度データに基づいて、空間安定用コマンドを生成し、ジンバル機構2の動作を制御する機能を有している。制御装置4は、例えば、予めインストールされた空間安定化プログラムがCPUにより実行されることにより、実現される。
【0025】
ジンバル機構2は、既述のように、第1乃至3軸を有している。また、ジンバル機構2は、ジンバル制御用計算機7、ジンバル駆動部8、及び角度センサ9を有している。ジンバル駆動部8は、第1乃至第3軸を回転させる機能を有している。ジンバル制御用計算機7は、空間安定用コマンドに基づいて、ジンバル駆動部8を制御する為の信号を生成し、ジンバル駆動部8に供給する機能を有している。角度センサ9は、第1軸乃至第3軸の駆動角度を測定する機能を有している。
【0026】
本実施形態における空間安定化装置6では、制御装置4が、角速度センサ5から、ロール軸周りの飛翔体1の動揺角速度、ピッチ軸周りの飛翔体1の動揺角速度、及びヨー軸周りの飛翔体1の動揺角速度の測定結果を取得する。制御装置4は、その測定結果に基づいて、カメラ3が撮像する画像において飛翔体1の動揺による影響が相殺されるように、空間安定用コマンドを生成し、ジンバル機構2の各軸の回転を制御する。
【0027】
ジンバル機構2は、空間安定用コマンドに応じて、第1軸乃至第3軸周りに回転する。具体的には、ジンバル制御用計算機7が、空間安定用コマンドを取得する。ジンバル制御用計算機7は、角度センサ9より、各軸の駆動角度を示すデータを取得する。そして、ジンバル制御用計算機7は、空間安定用コマンド及び駆動角度を示すデータに基づいて、空間安定用コマンドに示される指示に従って各軸(第1軸、第2軸、及び第3軸)が回転するように、ジンバル駆動部8の動作を制御する。これにより、第1軸乃至第3軸が回転し、カメラ3が撮像する画像において飛翔体1の動揺による影響が相殺される。また、このとき、角度センサ9は、第1軸乃至第3軸の駆動角度を測定し、制御装置4に通知する。
【0028】
上述のような機能により、カメラ3の空間安定を行うことができる。カメラ3が撮像した画像データは、制御装置4に通知され、制御装置4は、画像データに基づいて、目標の方向を算出する。算出された目標の方向は、飛翔体1の進路を制御する為等に使用される。
【0029】
しかしながら、飛翔体1の動揺角速度が、ジンバル機構2の応答性(第1軸および第2軸の回転速度の限界)を超えていた場合、ジンバル機構2の回転だけでは飛翔体1の動揺による影響を相殺することができない場合がある。その結果、カメラ3の空間安定が困難となる場合がある。そこで、本実施形態では、ジンバル機構2の応答性に関わらず空間安定を行うことができるように、制御装置4の構成及び動作が工夫されている。以下に、制御装置4の構成及び動作について説明する。
【0030】
図5は、制御装置4を示す機能ブロック図である。制御装置4は、角速度変換部10、ジンバル制御部11、画像変換部12、及びジンバル角速度センサ13を備えている。
【0031】
角速度変換部10は、角速度センサ5から取得した飛翔体1の動揺角速度データに基づいて、飛翔体1の動揺角速度を、第1軸周りの動揺角速度、第2軸周りの動揺角速度、及び第3軸周りの動揺角速度に変換する機能を有している。
【0032】
ジンバル制御部11は、第1乃至第3軸周りの動揺角速度に基づいて、飛翔体1の動揺による影響が抑えられるように、ジンバル機構2を制御するための空間安定用コマンドを生成する。例えば、ジンバル機構2の各軸が、飛翔体1が動揺する方向とは逆向きに、各軸周りの飛翔体1の動揺角速度で回転すれば、カメラ3が撮像する画像において、飛翔体1の動揺による影響が相殺される。従って、制御装置4は、空間安定用コマンドとして、各軸を飛翔体1の動揺角速度で逆向きに回転させるようなコマンドを生成し、ジンバル機構2に供給する。
【0033】
ジンバル角速度センサ13は、ジンバル機構2から、各軸の駆動角度を示すデータを取得し、取得したデータに基づいて、第1軸のジンバル角速度、第2軸のジンバル角速度、及び第3軸のジンバル角速度を算出する。
【0034】
画像変換部12は、カメラ3から、画像データを取得する。また、画像変換部12は、角速度変換部10から、第1乃至第3軸周りの飛翔体1の動揺角速度を示すデータを取得する。更に、画像変換部12は、ジンバル角速度センサ13から、第1軸乃至第3軸周りのジンバル角速度を示すデータを取得する。画像変換部12は、第1軸乃至第3軸のそれぞれについて、飛翔体1の動揺角速度と、ジンバル角速度とを比較する。なお、比較対照は飛翔体1の動揺角度と、ジンバル駆動角度でもよい。飛翔体1の動揺角速度がジンバル角速度よりも大きい場合には、飛翔体1の動揺が、ジンバル機構2の応答性を超えていることになる。従って、この場合、画像変換部12は、各軸に関する飛翔体1の動揺角速度とジンバル角速度との差分を計算し、計算結果に基づいて、残存した動揺成分が打ち消されるように、画像データを変換し、変換後画像データを生成する。
【0035】
変換後画像データは、目標の方向の算出等に用いられ、算出結果に基づいて、飛翔体1の進路が制御される。なお、前記残存した動揺成分の打消しは、画像データを変換して算出した目標方向に対して実施し、変換後目標方向を生成しても良い。
【0036】
図6は、本実施形態に係る空間安定化装置の作用効果を概念的に示す図である。
図6(a)は、飛翔体1が動揺する前における、カメラ3の撮像領域14を示している。
図6(a)には、ジンバル機構2の第1軸(ロール軸X)、第2軸(Yg)、第3軸(Zg)、飛翔体1のピッチ軸(Y)、及びヨー軸(Z)が示されている。
図6(a)に示されるように、動揺前においては、第2軸Ygはピッチ軸Yに一致しており、第3軸Zgはヨー軸Zに一致している。また、撮像領域14には、中央付近に、目標15が写っている。
【0037】
ここで、
図6(b)に示されるように、飛翔体1が、ロール軸X(第1軸)周りに、単位時間当たり、角度aだけ、動揺(回転)したとする。この場合、ピッチ軸Yは、動揺前の位置から、角度aだけずれ、ヨー軸Zも、動揺前の位置から角度aだけずれる。この動揺の影響を抑えるためには、第1軸Xを、角度aだけ、動揺の方向とは逆向きに回転させる必要がある。しかしながら、
図6(b)に示される例においては、ジンバル機構2の応答性能から、第1軸は、角度bしか回転できていない。すなわち、動揺後の第2軸Yg、及び動揺後の第3軸Zgは、それぞれ、動揺前の位置から、依然として、角度cだけずれている。その結果、撮像領域14において、中央部分に目標15を捉えることが困難となる。しかしながら、本実施形態では、画像変換部12により、角度aと角度bの差分である角度cだけ撮像領域14が回転するように、画像データが変換される。これにより、撮像領域14の中央付近に目標15を捉えることが可能になり、空間安定を行うことができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、ジンバル機構2の回転速度が飛翔体1の動揺に追いつかない場合であっても、画像変換部12により、飛翔体1の動揺が相殺されるように、画像データが変換される。従って、ジンバル機構2の応答性能に関係なく、十分にカメラ3の空間安定を行うことができる。
【0039】
<第1の実施形態の変形例>
尚、本実施形態では、ジンバル機構2が、3軸ジンバルである場合について説明した。但し、ジンバル機構2は、必ずしも3軸ジンバルである必要はなく、例えば、2軸ジンバルであってもよい。本変形例では、ジンバル機構2が、第1軸(ロール軸)周り、及びロール軸に直交する第2軸周りに回転するものとする。
【0040】
本変形例では、ジンバル制御部11は、第1軸周りの飛翔体1の動揺角速度、及び第2軸周りの飛翔体1の動揺角速度に基づいて、第1軸及び第2軸を回転させる旨の指示を空間安定用コマンドとして生成し、ジンバル機構2に通知する。これにより、ジンバル機構2では、第1軸及び第2軸が回転する。
【0041】
そして、制御装置4の画像変換部12は、第1軸及び第2軸のそれぞれについて、飛翔体1の動揺角速度とジンバル角速度とを比較し、比較結果に応じて、画像データを変換し、変換後画像データを生成する。なお、比較対照は飛翔体1の動揺角度と、ジンバル駆動角度でもよい。なお、前記変換後画像データは、前記画像データを変換した目標方向に対して実施し、変換後目標方向を生成しても良い。また、ジンバル機構2では、飛翔体1の第3軸周りの動揺を相殺することは出来ない。従って、画像変換部12は、第3軸周りの飛翔体1の動揺角速度に基づいて、第3軸周りの動揺が解消されるように、画像データを変換する。
【0042】
以上の構成、動作により、本変形例によっても、ジンバル機構2において、第1軸及び第2軸の回転速度の限界を超えて飛翔体1が動揺する場合であっても、空間安定を行うことが可能になる。
【0043】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態に対して、制御装置4の構成及び動作が変更されている。その他の点については、第1の実施形態と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0044】
図7は、撮像領域14を示す概念図である。
図7を参照して、本実施形態の概要を説明する。
図7(a)には、初期状態が示されている。
図7(a)に示されるように、カメラ3は、撮像領域14の長手方向が第1方向となるように、構成されている。そして、第1方向は、第2軸Ygが回転したときに、撮像領域14が移動する方向となっている。ここで、撮像領域14には、目標15が写っている。
【0045】
ここで、
図7(a)に示されるように、目標15は、撮像領域14において、第1方向とは直交する方向(Y軸に沿う方向)に移動しているものとする。このような場合、目標15の移動方向と第1方向とが異なっているので、目標15が、撮像領域14から外れやすい。そこで、本実施形態では、目標15が撮像領域14から外れてしまうことを防止するため、
図7(b)に示されるように、撮像領域14の長手方向(第1方向)が目標15の移動点に一致するように、第1軸(X軸)が回転させられる。その後、第2軸(Yg軸)が回転することにより、目標15の移動に対応するように撮像領域14が第1方向に沿って移動し、目標15が撮像領域14内に収められる。なお実際は前記第1軸と前記第2軸は連動して移動する。
【0046】
ここで、第1軸(X)を回転させると、撮像領域14内における目標15の位置が、変化してしまう。そこで、本実施形態は、このときの目標15の位置の変化が相殺されるように、画像データが変換される。これにより、目標15を撮像領域14内に収めるために第1軸が回転した場合であっても、撮像領域14内における目標15の位置を安定させることができ、空間安定処理を実施することが可能になる。
【0047】
以下、本実施形態について具体的に説明する。
【0048】
図8は、本実施形態に係る空間安定化装置6を示す機能ブロック図である。本実施形態では、制御装置4が、カメラ3から、画像データを取得すると、目標ロスト防止用コマンドを生成し、ジンバル機構2に供給する。目標ロスト防止用コマンドは、目標がカメラ3の撮像領域から外れることを防止するためのコマンドであり、ロール軸(第1軸)の回転を指示するコマンドである。ジンバル機構2は、目標ロスト防止用コマンドに基づいて、目標がカメラ3の撮像領域から外れないように、第1軸を回転させる。
【0049】
図9は、制御装置4を示す機能ブロック図である。制御装置4は、移動点算出部16、ジンバル制御部11、画像変換部12、及びジンバル角速度センサ13を備えている。
【0050】
移動点算出部16は、画像データに基づいて、撮像領域14内における目標15の移動点を算出し、算出結果を示す移動点データを生成する。
【0051】
ジンバル制御部11は、移動点データに基づいて、第1方向を目標15の移動方向に一致させる為に必要な第1軸の回転量を計算し、第1軸を必要な回転量だけ回転させるコマンドを、目標ロスト防止用コマンドとして、ジンバル機構2に通知する。その結果、ジンバル機構2では、目標ロスト防止用コマンドに従って、第1軸が回転する。
【0052】
ジンバル角速度センサ13は、ジンバル機構2に含まれる角度センサ9から、第1軸の駆動角度(ジンバル駆動角度)を示すデータを取得する。そして、ジンバル角速度センサ13は、駆動角度を示すデータの計時変化に基づいて、第1軸の角速度を計算し、計算結果を示すデータを画像変換部12に通知する。
【0053】
画像変換部12は、第1軸の角速度、第2軸の角速度を示すデータに基づいて、第1軸の回転が相殺されるように、画像データを回転させ、変換後画像データを生成する。なお、前記変換後画像データは、前記画像データに基づいて算出した目標方向を回転させ、変換後目標方向を生成しても良い。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、目標15を撮像領域14内に捉える為にジンバル機構2の第1軸が回転した場合であっても、画像変換により、その回転に伴う撮像領域14内の目標15の位置の変化が抑えられる。第1軸の回転にもかかわらず、撮像領域14内における目標15の位置を安定させることができる。すなわち、空間安定処理を施すことが可能になる。
【0055】
尚、本実施形態においても、第1の実施形態の変形例と同様に、ジンバル機構2として、3軸ジンバルではなく、2軸ジンバルが採用されてもよい。2軸ジンバルが用いられる場合、ジンバル機構2の2つの軸のうちの一方は、ロール軸(第1軸)になる。このように、ジンバル機構2として、2軸ジンバルを用いた場合であっても、3軸ジンバルを用いた場合と同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0056】
(第3の実施形態)
続いて、第3の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態と第2の実施形態とが組み合わせられている。
【0057】
図10は、本実施形態に係る空間安定化装置6を示す機能ブロック図である。この空間安定化装置6は、カメラ3から画像データを取得する制御装置4、角速度センサ5、及びジンバル機構2を備えている。制御装置4は、角速度センサ5から、ロール軸、ピッチ軸及びヨー軸周りの飛翔体1の動揺角速度を示すデータを取得し、第1の実施形態と同様に、飛翔体1の動揺を相殺するための空間安定用コマンドを生成する。また、第2の実施形態と同様に、制御装置4は、画像データに基づいて、目標ロスト防止用コマンドを生成する。ジンバル機構2では、空間安定用コマンド及び目標ロスト防止用コマンドに基づいて、飛翔体1の動揺が相殺され、撮像領域内に目標が収まるように、第1乃至第3軸が回転させられる。そして、制御装置4は、角度センサ9から、ジンバル機構2の各軸の駆動角度を示すデータを取得し、各軸の角速度を求める。そして、求めた角速度に基づいて、画像データを変換し、変換後画像データを生成する。
【0058】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、ジンバル機構2の応答性能に関係なく、十分にカメラ3の空間安定を行うことができる。また、第2の実施形態と同様に、目標ロスト防止用コマンドによって、ジンバル機構2の第1軸が回転した場合であっても、画像変換により、その回転に伴う撮像領域14内の目標15の位置の変化が抑えられる。
【0059】
また、本実施形態においても、既述の実施形態と同様に、ジンバル機構2として、3軸ジンバルではなく、2軸ジンバルを用いることが可能である。
【0060】
以上、本発明について、第1乃至第3の実施形態を用いて説明した。尚、これらの実施形態は互いに独立するものではなく、矛盾のない範囲内で組み合わせて用いることも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 飛翔体
2 ジンバル機構
3 カメラ(撮像装置)
4 制御装置
5 角速度センサ
6 空間安定化装置
7 ジンバル制御用計算機
8 ジンバル駆動部
9 角度センサ
10 角速度変換部
11 ジンバル制御部
12 画像変換部
13 ジンバル角速度センサ
14 撮像領域
15 目標
100 空間安定化装置
104 角速度センサ
102 ジンバル制御用計算機
103 ジンバル駆動部
105 計算機
106 ジンバル機構