【実施例1】
【0011】
<1>全体構成
本願発明の造波装置の構成を
図1に示す。
本願発明に係る造波装置は、水槽1と、水槽2に底部を没するように配置したチャンバ2と、前記チャンバ2に設ける吸引部3及び給気部4と、少なくとも前記給気部4の動作を制御可能な制御部5と、で構成することができる。
水槽1は、水理実験等に用いる一般的な実験水層であり、詳細な説明を省略する。
【0012】
<2>チャンバ
チャンバ2は、チャンバ2内への水の吸引・吐出により、前記水槽1内で造波を行うための装置である。
チャンバ2の底部近傍には、前記水槽2の水中に没するように設けた開口21を形成する。前記開口21を介した水の流出入により、水槽1内で造波を行う。
チャンバ2の内部は、チャンバ2の外壁と水槽内の水面とで囲まれた気密空間22となる。
【0013】
<3>吸引部
吸引部3は、チャンバ2内の気密空間を負圧状態にして水槽1内の水をチャンバ2内に吸い込むための装置である。
吸引部3は、吸引路に設ける吸引弁31及び吸引ポンプ32でもって構成することができる。吸引ポンプ32による吸引力を吸引弁31の開放で伝えることにより、前記気密空間22を負圧状態にする。チャンバ2において、吸引部3を設ける箇所は特に限定しない。
【0014】
<4>給気部
給気部4は、チャンバ2内の気密空間22に給気して、チャンバ2内に引き込まれた水を吐き出すための装置である。
給気部4は、管路に設ける給気弁41を複数設けることによって構築する。
給気弁41には、短時間で開閉の有無を制御可能な可変式の給気弁が望ましく、例えば、電磁弁を利用することができる。
なお、給気弁41を複数設け、それらの給気弁41を個別制御することで、チャンバ2内の給気量を任意に制御することから、給気弁41について開閉角度の設定を短い応答時間で制御可能な高価な部材を使用する必要は無い。
また、本発明において給気弁41の数、配置箇所等は特に制限されない。
【0015】
<5>制御部
制御部5は、少なくとも前記給気部4を制御するための装置である。
制御部5は、電子計算機などの情報処理装置を用いることができ、前記給気弁4の開閉の有無やタイミングを個別に電子制御可能に構成する。
なお、制御部5は、必要に応じて前記吸引部3も制御可能に構成してもよい。
【0016】
<6>使用方法
次に、本願発明の造波装置の使用方法について説明する。
(1)吸引工程
まず、吸引弁31を開き吸引ポンプ32によりチャンバ2内の空気を吸引する。この時、給気弁41は全て閉じておく。これによりチャンバ2内の圧力が低下し水位が上昇する。所定の高さまで水を吸引したら吸引弁31を閉じる。
【0017】
(2)給気工程
チャンバ2内の水位が上昇した状態から、給気弁41を開放することにより、チャンバ2内の水柱が落下し、開口21より水が排出されることによって、水槽1内で造波を行う。
この時、各給気弁41の解放タイミングを制御部5によって適宜変えることにより、造波波形を変更することができる。
【0018】
<7>造波例
図2〜4に、本願発明の造波装置を用いた水理実験によって確認した結果を示す。これらは、給気弁41を6つ設置したときの例である。
図2は、6つの給気弁41を0.1秒おきに順に開放した場合、
図3は、同様に0.3秒おきに順に開放した場合、
図4は0.3秒おきに6つの給気弁41を順に開放したのち、連続して0.3秒おきに給気弁41を順に閉じた場合の、造波された波の時系列を示している。
【0019】
これらを比較すると、水位の上昇速度や下降速度がそれぞれ異なった造波が可能であることが示されている。
また、不連続で段階的な給気弁41の開度変化にも関わらず、滑らかな波形の造波が可能であることが分かる。
図2〜4は単純な造波例であるが、6つ程度の給気弁41であっても、自由度の高い滑らかな波形の造波が可能であることが分かる。