(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記選択手段は、前記ファクシミリ装置が設置される国に応じて、前記第1モード、前記第2モード、又は、前記検知手段による回線電圧の検知を行わない第3モードを選択することを特徴とする請求項3に記載のファクシミリ装置。
前記選択手段は、前記ファクシミリ装置が設置される国に応じて、前記第1モード、前記第2モード、又は、前記検知手段による回線電流の検知を行わない第3モードを選択することを特徴とする請求項7に記載のファクシミリ装置。
前記閾値よりも高い電流値の電流は、前記トランジスタがアバランシェ状態になった場合に流れる電流の電流値よりも低い電流であることを特徴とする請求項11に記載のファクシミリ装置。
前記表示制御手段によって前記エラー表示を表示部に表示した後に、装置の再起動が行われると、オフフック状態へ移行可能とすることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載のファクシミリ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
<第1の実施例>
<通信装置の構成>
以下では、
図1乃至
図7、
図11を参照して、本発明の第1の実施例について説明する。まず、
図1を参照して、本実施例における通信装置の構成について説明する。以下では、通信装置の一例として、ファクシミリ装置について説明する。
【0014】
ファクシミリ装置100は、システム全体を統括的に制御するシステム・オン・チップ(SOC)101を備える。ファクシミリ装置100におけるCPU200は、SOC101上に実装される。SOC101に接続されたメモリ140は、主記憶装置であり、SOC101のCPUのシステムワークメモリ、本実施例に係る処理を実行するための制御プログラムを格納するメモリとして機能する。また、メモリ140は、ファクシミリ送信又はファクシミリ受信等の際に、画像データや各種情報を一時的に記憶するためのメモリとしても機能する。また、ユーザが設定した情報を格納する。
【0015】
メモリ140に格納されるSDAAプログラム202は、モデム102に転送され、RAM204に展開された後に、DSP205で実行されるプログラムである。221は、回線電圧/電流のDC成分を検知して過大電圧/電流から保護するプログラムである。222は、回線電圧/電流のAC成分を検知して過大電圧/電流から保護するプログラムである。223は、221と222の保護機能の入っていないプログラムである。
【0016】
SOC101には、操作パネル118、読取部121、記録部122、インタフェース(IF)部123が接続されている。操作パネル118は、表示器119及びキーボード類(KEY類)120を備え、これらはユーザ・インタフェースとして機能する。表示器119は、装置の状態やメニューに関する表示を行う。また、キーボード類120は、ユーザからの各種の指示の入力を受け付けるボタンやテンキー等のキーボードである。ユーザがこのキーボードを用いて、ユーザ設定情報を入力することが可能である。
【0017】
読取部121は、原稿から画像を読み取って、画像データを生成し、出力する。出力された画像データは、通信回線130を介して相手側装置に対してファクシミリ送信されてもよいし、記録部122で記録媒体へ記録されてもよい。インタフェース(IF)部123は、各種の情報機器が外部から接続される場合のインタフェースとして機能する。
【0018】
モデム102は、SOC101に接続されており、SOC101による制御に基づいて動作する変復調器である。モデム102は、ファクシミリ送信の対象となる、読取部121で読み取られた画像データを用いた変調処理と、通信回線130を介して受信した信号の復調処理を行う。モデム102は、絶縁素子103を介してSDAA(すなわちシリコンDAA)104と接続されている。
【0019】
モデム102には、ROM203、RAM204、DSP205、及びレジスタ206が含まれる。ROM203は、RAM204に展開され、DSP205に実行されるプログラムを格納しているROMである。RAM204は、ホストから転送されるプログラム202とROM203の内容を展開し、DSP205のワーク領域として使用される。DSP205は、RAM204の内容に基づいてモデム102の動作を制御する。
【0020】
206は、SDAA104の状態を格納、あるいは、SOC101からの指示を格納するためのレジスタである。
【0021】
SDAA104は、網制御手段の一例であって、半導体NCU(ネットワーク制御ユニット)である。SDAA104は、通信回線130と接続されており、ファクシミリ装置100と外部の公衆回線(通信回線)130とのインタフェースとして機能する網制御装置である。また、SDAA104は、通信回線130を介して相手側装置との間で通信を行う際に、回線の接続(捕捉)状態を制御する。通信回線130には、ファクシミリ装置100に外付けされた電話機128も接続される。電話機128は、Hリレー110を介して通信回線130に接続されており、SDAA104は、電話機128と並列に通信回線130に接続されている。SDAA104は、ファクシミリ送受信を行う場合に、回線を捕捉してその通信を制御するだけでなく、電話機128が通信回線130を介して相手側装置との間で音声通信を行う場合にも、回線の捕捉状態を制御する。SDAA104は、これらの制御をSOC101の制御に基づいて実行する。
【0022】
SDAA104は、回線捕捉部105を使用して回線の直流捕捉状態を制御する。この回線捕捉部105により直流捕捉される場合の直流インピーダンスは可変である。このインピーダンスは、予め設定された、直流的な電圧に対する電流特性(以下、DC−VI特性と称する。)により制御されることにより得られる。電圧検知部150は、回線上の電圧を監視する。電流検知部151は、回線上の電流を監視する。ACフィルタ部201は、電圧検知部150又は電流検知部151の前段に接続され、電圧検知部150又は電流検知部151でDC電圧又は電流を検知する場合に、AC成分による誤検知を防ぐためのものである。
【0023】
直流捕捉回路152は、トランジスタなどにより構成されるSDAA104の周辺回路であり、直流捕捉を行いながら、SDAA104の制御で直流インピーダンスの調整を行うことに供される回路である。直流捕捉回路152は、回線開放状態を作り出したり、回線に対する選択信号の1種であるダイヤルパルス送出にも使用される。整流回路155は、ダイオードブリッジ等からなり、回線からの信号を整流してSDAA104側へと伝えるものである。受信IF回路153は、通信回線130を介して受信されるファクシミリの受信信号などを受信するためのインタフェース回路である。交流インピーダンス整合回路154は、例えば、日本の場合は、交流インピーダンスを600オームに合わせる。通信中の交流インピーダンスを合わせるための回路である。
【0024】
ノイズ除去回路156は、通信回線130からの雷サージ、電磁ノイズなどを抑制し、逆に130を介して、100のノイズが送出されることを防ぐ回路である。CI検知回路108は、通信回線130に接続されており、通信回線から受信した呼び出し信号(以下では、「CI信号」と称する。)を検知する。CI検知回路108は、通信回線からのCI信号を検知すると、そのことを示すCI検知信号109をSOC101に対して送信する。SOC101は、CI検知信号109に基づいて、通信回線130からCI信号の着信があったか否かを判断することができる。
【0025】
Hリレー110は、フック検知回路117を介して接続される外付けの電話機128をDC電源113又は通信回線130に接続するための回路である。Hリレー110は、切替手段の一例であって、外付けの電話機128を通信回線130へ接続した接続状態と、通信回線130から切断した切断状態との間の切り替えを行う。また、Hリレー110は、Hリレー駆動信号111を用いて、SOC101によって制御される。なお、
図1に示すようにHリレー110で電話機がPSTN回線210から切り離されている場合、CI着信しても電話機は鳴動しない。いわゆるファクシミリ装置100の無鳴動着信状態となる。DC電源113は、電流をフック検知回路117に対して供給する回路である。
【0026】
フック検知回路117は、検知手段の一例であり、電話機128と接続されており、電話機128のオフフック又はオンフックを検知する回路である。フック検知回路117は、電話機128のオフフック又はオンフックの検知結果を、フック検知信号114を用いてSOC101へ伝達する。SOC101は、フック検知信号114に基づいて、電話機128におけるフックの状態を判定することができる。フック検知回路117は、Hリレー110によって、通信回線130に直接接続された場合、及びDC電源113に接続された場合の何れも、電話機128に流れる電流を検知する。これによって、電話機128におけるオフフック又はオンフックの状態を検知する。
【0027】
擬似CI送出回路116は、擬似CI信号を電話機128に対して送出する回路である。疑似CI信号とは、通信回線130を介して相手側装置からのCI着信があった場合に、回線から切断された状態にある電話機128を鳴動させるために、電話機128に対して送られる信号である。擬似CI送出回路116は、SOC101からの擬似CI駆動信号115による送出指示に応じて、擬似CI信号を電話機128に対して送出する。
【0028】
210は、公衆回線網PSTNである。220は、相手FAXである。230は、ヒューズ等で構成される電流保護素子である。
【0029】
<ビジネスホンシステム>
次に、
図2を参照して、ビジネスホンシステムの構成例について説明する。2001は、光ネットワークである。2002は、回線終端装置で、光信号をLANなどの電気信号に変更するユニットである。2003は、ビジネスホンシステムの主装置である。2004は、専用のビジネスホンである。100は、PSTNに接続される
図1に示すファクシミリ装置である。2006は、専用ビジネスホン2004を接続するための接続ユニットである。2007は、FAX又は電話機を接続するための接続ユニットである。
【0030】
2009は、専用ビジネスホン2004とビジネスホン接続ユニット2006を接続するための回線である。2010は、FAX/TEL接続ユニット2007とファクシミリ装置100を接続するための回線である。回線2009、2010には、RJ11という、同じモジュラージャックコネクタ用のケーブルが用いられている。また、同じ信号ピンを使用している。回線2010からの電流は、PSTNの技術基準に基づいて約20mA〜120mAの範囲で制限されている一方、回線2009の電流は、そういったPSTNと同様の制限はなく、PSTNの4倍以上の約600mA流れる場合もある。したがって、回線2009の先に誤ってファクシミリ装置が接続された場合には、過電流が流れることとなり、装置の故障に繋がってしまう。本実施例では、このような誤接続が発生した場合であっても、過電流や過電圧による装置の故障を防止する技術について説明する。
【0031】
<直流捕捉回路の構成>
次に、
図3を参照して、直流捕捉回路152の構成例について説明する。直流捕捉回路152の内部には、直流捕捉時に回線を捕捉する直流抵抗3002を含んでいる。この直流抵抗3002の抵抗値は、約50Ω〜300Ωに設定されている。直流捕捉トランジスタ3003は、制御信号3004により、ベース電流を流し、ON状態、即ち、コレクタ−エミッタ間が飽和して、電圧が0Ωに近くなることにより、直流抵抗3002により、回線を捕捉することが可能である。
【0032】
<レジスタ>
次に、
図4を参照して、レジスタ206の内容について説明する。レジスタ206は、過大電圧/電流表示フラグ4002、回線電流モニタ値4003、回線電圧モニタ値4004、電話回線切断表示フラグ4005、オフフック/オンフック指示フラグ4006、及び過大電圧/電流閾値4007を含む。過大電圧/電流表示フラグ4002は、SDAA104で検知した電流、電圧値が、設定された過大電圧/電流閾値4007を超えたことを示すフラグである。回線電流モニタ値4003は、SDAA104で検知した電流値を保持するレジスタ値である。回線電圧モニタ値4004は、SDAA104で検知した電圧値を保持するレジスタ値である。電話回線切断表示フラグ4005は、過大電圧/電流表示フラグ4002が設定されたとき、即ち、回線電圧/電流が、過大電圧/電流閾値4007を超えたときに、SDAA104が回線切断、即ち、オンフック状態に移行したことを示すフラグである。オフフック/オンフック指示フラグ4006は、ホスト、即ち、SOC101からの指示で、SDAA104が直流捕捉、即ち、オフフック状態になるか、又は、回線切断、即ち、オンフック状態になるかを示す設定フラグである。なお、レジスタ206に設けられた各フラグは、2種類の状態を示すフラグ、例えば、オフフック/オンフック指示フラグ4006であれば、オンフック指示、又は、オフフック指示を示すフラグのみであれば1bitの領域に設けられる。この場合、例えば0がオンフック指示を示し、1がオフフック指示を示すように定義される。一方、3種類以上の状態を示すフラグには、種類に応じて2bit以上の領域が与えられる。また、回線電圧モニタ値4004や過大電圧/電流閾値4007は、値に応じた領域が与えられる。
【0033】
<SOCの動作フロー>
次に、
図5を参照して、ホストであるSOC101の動作フローチャートについて説明する。以下で説明する処理は、SOC101のCPU200が統括的に制御する。
【0034】
S501において、SOC101は、過大電圧/電流閾値4007を設定する。ここでは、SOC101が当該設定を認識するものであり、KEY類120を介したユーザ入力によって、SOC101が当該設定を認識する場合もあるし、予め設定された設定値を認識する場合もある。S502において、SOC101は、オフフック/オンフック指示フラグ4006を設定する。
【0035】
次に、S503において、SOC101は、電話回線切断表示フラグ4005を参照し、当該フラグが設定されているか否かを判定する。設定されていればS505に進み、設定されていなければS504進む。S504において、SOC101は、他のタスクからの要求により、オンフックするかどうかを判定する。オンフックするのであればS507に進み、オンフックしないのであればS503に戻る。
【0036】
S505において、SOC101は、電話回線を強制的に切断した旨を通知する、例えば
図6に示すエラー表示内容を表示器119に表示し、処理を終了する。具体的には、SOC101は、表示制御手段として機能し、強制的にオンフック状態へ移行したことを示すとともに、接続回線の確認を促すエラー表示を表示器(表示部)119に表示する。一方、S507において、SOC101は、オフフック/オンフック指示フラグ4006をオンフック状態に設定し、処理を終了する。
【0037】
<DSPの動作フロー>
次に、
図7を参照して、DSP205の動作フローチャートについて説明する。S701において、DSP205は、SOC101からのオフフック/オンフック指示フラグ4006のオフフック設定を検知する。続いて、S702において、DSP205は、SDAA104を制御して、オフフック状態に遷移させる。S703において、DSP205は、ACフィルタ部201を有効(イネーブル)にする。つまり、ここでは、ACフィルタ部201は、電圧/電流のAC成分をカットする。
【0038】
S704において、DSP205は、AC成分のカットされた、電話回線上のDC電圧/電流を、電圧検知部150、電流検知部151を使って検知する。S705において、DSP205は、電圧検知部150で検知した値を、回線電圧モニタ値4004に設定する。続いて、S706において、DSP205は、電流検知部151で検知した値を、回線電流モニタ値4003に設定する。
【0039】
次に、S707において、DSP205は、回線電圧モニタ値4004又は回線電流モニタ値4003の値が過大電圧/電流閾値4007を超えたか否かを判定する。ここで、超えていればS708に進み、超えていなければS711に進む。S708において、DSP205は、過大電圧が印加されるか又は過大電流が流れる可能性があるため、回線捕捉部105を制御して、オンフック状態に移行させる。続いて、S709において、DSP205は、電話回線切断表示フラグ4005を設定し、処理を終了する。
【0040】
一方、S711において、DSP205は、SOC101が当該設定を認識する場合もあるし、予め設定された設定値を認識する場合もある。S502において、SOC101は、オフフック/オンフック指示フラグ4006のセット状態を検知し、オンフック指示があったかどうかを判定する。ここで、オンフック指示があればS712に進み、オンフック指示がなければS707に戻る。S712において、DSP205は、回線捕捉部105を制御して、オンフック状態に移行させる、処理を終了する。
【0041】
<回線電圧>
次に、
図11を参照して、回線2010、2009の回線電圧について説明する。1400は、PSTN回線210又はビジネスホンシステムのFAX用IFである回線2010の回線電圧例を示す。ここで、1401では、直流捕捉回路152は、オンフック状態、即ち、直流捕捉状態になっておらず、直流捕捉トランジスタ3003はOFF状態になっている。この時の電圧値は、約48Vである。直流捕捉回路152の回線から見た直流抵抗値は、1MΩ以上になっている。ここで、オンフック状態、即ち、直流捕捉トランジスタ3003がONになり、直流抵抗3002で回線捕捉を行うと、直流捕捉回路152の回線から見た直流抵抗値は、約50Ω〜300Ωになる。オフフック後1402の電圧値A1は、PSTN回線210又は回線2010の電流制限機能により、電流値が20mA〜120mAに制限されるために、大きく降下する。例えば、回線電流20mAで、抵抗80Ωとすると、電圧は、1.6Vになる。
【0042】
1500は、ビジネスホンシステムの専用IFである回線2009の回線電圧例を示す。ここで、1501,1502では、直流捕捉回路152は、オンフック状態、即ち、直流捕捉状態になっておらず、直流捕捉トランジスタ3003はOFF状態になっている。このときの電圧値は、約53VのDC電圧に約10Vp−pの断続的な交流信号がのった形となる。ここに専用ビジネスホン2004が接続された場合には、これらの電圧値はほとんど変わらない。このうち1501の交流信号の部分は、専用ビジネスホン2004とビジネスホン接続ユニット2006との間でのデータのやり取りを行うモデム信号である。ビジネスホン接続ユニット2006からは、PSTN回線210の呼び出し信号、即ち、CI信号は送られてこず、CIに相当するモデム信号が、ビジネスホン接続ユニット2006から専用ビジネスホン2004に送出される。また、専用ビジネスホン2004のハンドセットがオフフック状態の場合は、当該専用ビジネスホン2004は、直流抵抗3002で回線捕捉せずに、オフフックに相当するモデム信号をビジネスホン接続ユニット2006に送出する。
【0043】
仮に、ファクシミリ装置100を、回線2009に接続すると、ファクシミリ装置100のオフフック時には、当該ファクシミリ装置100に過大電流が流れる。例えば、電話回線の5倍以上の600mAの電流が流れ、ファクシミリ装置100の直流捕捉回路152にダメージを与える。1503は、その状態が発生した場合の電圧を示している。ファクシミリ装置100の直流捕捉回路152の抵抗値が80Ωで、電流が600mAの場合、電圧値A2は、直流捕捉しているにも関わらず、48Vという高電圧になる。
【0044】
ビジネスホンシステム2003における回線2009へのファクシミリ装置100の誤接続など、PSTN回線210とは違うIFが、ファクシミリ装置100へ誤接続された場合に、本実施例に係るファクシミリ装置100は、過大電圧/電流を検知して、自動的にオンフック状態へ移行する。それにより、直流捕捉トランジスタ3003と直流抵抗3002に過大電流が継続して流れることを防止する。そして、直流捕捉回路152とそれを含む100の故障を防ぐ。また、再度オフフック状態には移行しないことにより、ファクシミリ装置100に対するダメージを最小限に抑える。また、エラー表示することにより、ユーザへ接続回線の確認を促し、誤接続の発見を早めることができる。
【0045】
<第2の実施例>
次に、
図12を参照して、第2の実施例について説明する。本実施例では、正常にファクシミリ装置100が回線2010又はPSTN回線210に接続された場合において、当該回線において発生するオフフック時の一過性の交流電圧による障害を防止する。従来、電話回線上に、
図12のような一過性の交流電圧が、商用電源等から漏洩することが知られている、ブラジルなどの海外では、これが数百ボルトに達する場合もある。これに対する保護としては、AC電圧を検知して、一時的にオンフック状態に移行することが考えられる。
【0046】
図12は、海外の一部地域で発生する、混触と呼ばれている過大AC電圧が、回線上に発生した場合の回線電圧例を示す。この場合、ファクシミリ装置100は、通常のPSTN回線に繋がれている。1601では、直流捕捉回路152が直流捕捉状態である。本実施例におけるファクシミリ装置100は、オフフック時において、1601に示すような所定の閾値を超える交流信号を検知すると、オンフック状態に移行する。なお、本実施例では、ACフィルタ部201を有効にすることによって、AC成分をカットし、DC電圧又はDC電流と、閾値とを比較する。
【0047】
オンフック状態へ移行すると、1602のようにファクシミリ装置100にはほとんど電流が流れずに、電圧は、A4の状態からA5の状態に変化する。ここで、一般的に1602のAC電圧は、一過性のものであり、通常1秒程度で消滅する。そのため1603のように通常のオンフック状態に戻り、約48Vの電圧レベルに遷移する。この状態を検知すると、ファクシミリ装置100は、再び1604のオフフック状態に遷移する。A3では、混触によるAC電圧はなくなり、A4,A5よりも小さくなる。なお、本実施例の処理手順については、後述する
図9の動作フローにおいて、AC成分のカットしたDC成分のみで当該閾値を超えるか否かを判定する制御で異なるものの、他の処理については同様である。
【0048】
<第3の実施例>
次に、
図8乃至
図10、及び
図13を参照して、第3の実施例について説明する。本実施例では、ファクシミリ装置100で、ACフィルタ部201によるAC成分のカットを行わずに(ACフィルタ部を無効にする。)、AC電圧又はAC電流を検知し、予め設定されたAC電圧又はAC電流値を超えた場合に、オンフック状態へ移行するモードを有する。また、本実施例では、上記モードと、上記第2の実施例の制御モードとを選択可能とする例について説明する。
【0049】
本実施形態に係るファクシミリ装置100は、
図1に示すようにSDAA104の半導体NCU1つで、各国の電話回線規格、回線状況に対応する。従来は、国毎に違っていたNCU、即ち、DAAで対応することが一般的であった。一方、本実施例におけるファクシミリ装置100は、SDAA104のファームウェアを変更することで、各国に対応可能となっている。例えば、ブラジルでは、
図12のような一過性のAC過大電圧/電流が回線上に漏えいすることがある。それを解決するためには、AC成分を検知して一時的にオンフック状態へ移行することが必要である。上記第2の実施例では、DC成分を検知するためにAC成分をカットしている。しかし、本実施例では、このDC検知とAC検知を、切り替えることによりファクシミリ装置100を、各国向けに共通化することを可能にする。共通化により、工場での管理費が抑えられる等のコストダウンメリットを得ることができ、ユーザに低コストの装置を供給可能とする。
【0050】
<制御プログラムの実行>
まず、
図8を参照して、本実施例におけるDSP205において制御プログラムを読み込んで実行する際の動作フローについて説明する。以下で説明する処理により制御プログラムが実行されるが、
図10で説明するモードの選択では、SOC101によって該当する制御プログラムが選択されて、DSP205へ転送される。S801において、DSP205は、装置のメイン電源がONされたことを検知し、起動処理を開始する。続いて、S802において、DSP205は、ROM203等に格納された制御プログラムをRAM204に展開する。S804において、DSP205は、SOC101から転送されたSDAAプログラム202を、RAM204に展開する。S805において、DSP205は、RAM204に展開された制御プログラムを実行する。
【0051】
<DSPの動作フロー>
続いて、
図9を参照して、回線の過大AC電圧/電流を検知した場合のDSP205の動作フローについて説明する。S901において、DSP205は、ホストからのオフフック/オンフック指示フラグ4006の設定におけるオフフック指示を検知する。S902において、DSP205は、SDAA104を制御して、オフフック状態へと遷移する。S903において、DSP205は、電圧検知部150、電流検知部151で検知した電流/電圧の変動を検知することにより、回線上の過大AC電圧/電流を検知する。S904において、DSP205は、検知したAC電圧/電流値が、過大電圧/電流閾値4007の閾値を超えたか否かを判定する。ここで、閾値を超えている場合はS905に進み、超えていない場合はS908に進む。
【0052】
S905において、DSP205は、SDAA104を制御して、オンフック状態へ移行させる。S906において、DSP205は、オンフック状態に移行後、一定時間経過したか否かを判定する。経過するとS907に進み、DSP205は、SDAA104を制御して、オフフック状態へ移行し、処理をS903に戻す。
【0053】
一方、S904でAC電圧/電流値が閾値を超えていないと判定すると、S908に進み、DSP205は、オフフック状態を保持するか、あるいはオフフック状態へ移行する。S909において、DSP205は、ホストからのオンフック指示、即ち、オフフック/オンフック指示フラグ4006のオンフック指示設定があったか否かを判定する。オンフック指示設定があった場合はS910に進み、そうでない場合はS903に進む。S910において、DSP205は、回線捕捉部105を制御して、オンフック状態に移行させ、処理を終了する。
【0054】
<SOCの動作フロー>
次に、
図10を参照して、本実施例におけるSOC101の動作フローについて説明する。S1001において、SOC101は、メイン電源がONされたことを検知して起動処理を実行する。続いて、S1002において、SOC101は、国設定を確認する。ここで、国設定とは、当該ファクシミリ装置100が設置される国を示す設定である。国設定はデフォルトで決まっている場合もあるし、キーボード類120からのユーザ入力により設定される場合もある。
【0055】
次に、S1003において、SOC101は、S1002の設定により決定するDC過大電圧/電流検知保護設定か否かを判定する。DC保護設定(第1モード)221である場合はS1004に進み、そうでない場合はS1005に進む。S1004において、SOC101は、DC保護221のDC過大電圧/電流保護プログラムを選択する。
【0056】
一方、S1003でDC保護設定でないと判定した場合はS1005に進み、SOC101は、AC過大電圧/電流検知保護設定か否かを判定する。AC保護(第2モード)222の場合はS1006に進み、AC保護でない場合はS1007に進む。S1006において、SOC101は、AC保護222の大電圧/電流保護プログラムを選択する。また、S1007において、SOC101は、保護無(第3モード)223の過大電圧/電流保護なし制御プログラムを選択する。
【0057】
S1008において、SOC101は、S1004、S1006、又はS1007において選択された制御プログラムを、メモリ140からモデム102へ転送し、処理を終了する。その後、DSP205は、
図8で説明したフローチャートに基づいて、当該制御プログラムを実行する。
【0058】
<フック状態>
次に、
図13を参照して、DC電圧/電流値において過大電流/電圧を検知した場合と、AC電圧/電流値においてにおいて過大電流/電圧を検知した場合とのフック状態の制御について説明する。
図13の1701は、DC電圧/電流値において過大電流/電圧を検知した場合を示す。1702は、AC電圧/電流値において過大電流/電圧を検知した場合を示す。
【0059】
1701に示すように、DC過大電圧/電流検知で、オフフック状態からオンフック状態に移行すると、電流/電圧が閾値よりも下がった場合でも、オフフック状態には復帰しない。一方、1702に示すように、AC過大電圧/電流検知で、オフフック状態からオンフック状態に移行後、電流/電圧が閾値よりも下がった場合には、オフフック状態に復帰する。このように、本実施例では、AC過大電圧/電流を検知した場合には、一過性のものであると判断し、閾値以下、若しくは、一定時間が経過すると、オフフック状態に復帰させる。
【0060】
<変形例>
また、上記実施例では、
図10に示すように、国の設定を確認し、確認した情報に基づいてSOC101がモデム102へ送る制御プログラムを選択した。しかし、本発明は、これに限らず様々な変形が可能である。例えば、電源オン時に選択された情報に基づいて、モデムへ送る制御プログラムの内容を変えるように制御してもよい。
【0061】
図2に示すビジネスホンシステムにおいて1500に示す信号は、日本で確認されている。一方、
図12に示す信号は、ブラジルで確認されている。このように回線への混蝕、回線IFの誤接続によるFAXへの過大電圧/電流の印加状況は、国によって異なる。他方、言語の違いなどもあり、FAXを共通化して各国へ出荷する場合、工場又は市場での国設定を行っている。この国設定に上記AC検知又はDC検知の切り替えを連動させることにより、設定を簡略化させるとともに、各国の回線事情に自動的に適応できるように制御してもよい。
【0062】
<第4の実施例>
次に、
図14を参照して、第4の実施例について説明する。1101,1201,1301はプログラムRAM領域を示すが、これらのプログラム領域は有限である。一方、
図7や
図9の動作フローを実行するための制御プログラムの必要なRAM領域は多大である。そのため、従来から備えられている機能のうち、一部の機能を削除して、RAM領域を確保することが必要となる。本実施例によるファクシミリ装置100は、選択された制御プログラムに連動して、削除する機能を選択する。それにより少ないDSPのRAM要領で、
図7又は
図9の動作を可能にする。
【0063】
図14は、RAM204に格納された制御プログラムの様子を示す。まず、1101は、保護無223の過大電圧/電流保護なし制御プログラムが選択された場合を示す。MASK ROM1103の内容は、ROM203がMASK ROMである場合に、転送され展開されたプログラム内容を示す。1107は、保護無223が転送されたプログラム領域を示す。1102,1104,1105,1106は、予めMASK ROM1103に入っている機能1〜4を示す。
【0064】
1201は、DC保護221のDC過大電圧/電流保護プログラムが選択された場合を示す。1207は、DC過電流/電圧保護機能である。その他は、1101と同じである。ここで、1206のみSOC101から転送されたプログラム1208に消されている。1301は、AC保護222のAC過大電圧/電流保護プログラムが選択された場合を示す。1307は、AC過電流/電圧保護機能である。その他は、1101、1201と同じである。ここで、1304,1305は、SOC101から転送されたプログラム1309に消されている。このように、本実施例によれば、SOC101から転送されたプログラムをRAM204に既に格納されているMASK ROM1103の内容に上書きすることによってメモリを効率的に使用することができる。また、上書きされる制御プログラムは、RAM204に予め展開されているプログラムの中で、選択されたプログラムにおいて必要のない機能に対応する制御プログラムとなる。つまり、本実施例に係るファクシミリ装置は、選択した制御プログラムをRAM204に展開する際に、当該選択した制御プログラム(モード)において必要のない制御プログラムであって、既にRAM204に展開されている制御プログラムに対して、選択した制御プログラムを上書きで展開する。
【0065】
削除される機能は、例えば、省エネモード機能、呼び出し信号検知機能、混蝕対応機能などである。省エネモード時の電力は、国により要求項目が異なり、モデムの有する省エネモード機能が有効でない場合もある。そのような国の場合には、その省エネモード機能を使わずにSDAA104、モデム102の電源を切ってしまう場合もある。呼び出し信号検知機能は、外付けのCI検知回路108をつければ検知可能である。省エネモードでモデムの電源を切ってしまう場合は、この呼び出し信号検知機能は動作しない。
【0066】
この場合、省エネモード時も有効な外付けのCI検知回路108で検知可能である。逆に省エネ時の電力が厳しくなければ、省エネモード機能、呼び出し信号検知機能を残して、外付けのCI検知回路108を削除して、装置のコストダウンを達成することも可能である。混蝕対応機能は、国により回線状況が違うので、予めROM203に機能が設けられていた場合でも、有効ではなく、
図7又は
図9のプログラム転送により削除可能となる。
【0067】
<第5の実施例>
次に、
図15を参照して、第5の実施例について説明する。本実施例によれば、ファクシミリ装置100をオフフック状態にするための直流捕捉回路152が直流捕捉トランジスタ3003で構成され、過電圧又は過電流によるオンフック状態への移行時に、トランジスタをオフする信号3004でオンフック状態に移行する。また、過大電流の設定値(S501)よりも高い電流値で動作する保護素子230を設け、トランジスタをオフするための信号3004が、オフ状態にする電圧又は電流値に設定されている場合に、高い電流値がトランジスタに流れた場合に、保護素子230にて装置がオンフック状態に移行する(1803のT5)。
【0068】
1801は、ファクシミリ装置100がPSTN回線210に接続された場合を示す。上段縦軸は、回線電流、下段縦軸は、直流捕捉トランジスタ3003のベース電流を示す。横軸は、上下段ともに時間を示している。上下段のタイミングは、同期している。PSTN回線210に接続している場合には、過大電圧/電流閾値4007の閾値を超えないので、オンフック状態には移行しない。
【0069】
1802は、ファクシミリ装置100がビジネスホン専用IFである回線2009に接続された場合を示す。上段縦軸は、回線電流、下段縦軸は、直流捕捉トランジスタ3003のベース電流を示す。横軸は、上下段ともに時間を示している。上下段のタイミングは、同期している。T1Bの部分では、過大電圧/電流の閾値を超えている。そのため2000で直流捕捉トランジスタ3003をオフして、オンフック状態に移行する。直流捕捉トランジスタ3003をオンさせるためのベース電流が流れる時間、T1Aと、ほぼ同期して直流捕捉トランジスタ3003のON/OFFが行われる。そのためT1AとT1Bは、ほぼ同じ時間である。このT1Bの時間は、十分短いために、直流捕捉トランジスタ3003のジャンクション温度は、上昇が抑えられて、アバランシェ状態にはならずに、ベース電流が下がると3003はOFFして、オンフック状態へ移行する。ここで、アバランシェ状態とは、半導体の所定の耐圧を超えて電流が急激に流れる現象を示す。このように、過大電圧/電流を検知して、即座に直流捕捉トランジスタ3003をオフするように制御すれば、直流捕捉トランジスタ3003は制御が有効でOFFとなり、コレクタ電流は、ほぼゼロになる。
【0070】
1803は、ファクシミリ装置100がビジネスホン専用IFである回線2009に接続された場合を示す。上段縦軸は、回線電流、下段縦軸は、直流捕捉トランジスタ3003のベース電流を示す。横軸は、上下段ともに時間を示している。上下段のタイミングは、同期している。1802に対して、直流捕捉トランジスタ3003をオンさせるためのベース電流が流れる時間T3Aが、T1Aと同じ時間T2Aよりも長い。そのため、直流捕捉トランジスタ3003のジャンクション温度が上昇する。そして、直流捕捉トランジスタ3003はアバランシェ状態になる。一度アバランシェ状態になると、ベース電流をT4のようにゼロにしてもT6のように直流捕捉トランジスタ3003はOFF状態にならずに、逆に直流捕捉トランジスタ3003のコレクタ−エミッタ間の抵抗値が下がり、電流値が増加する。そして、保護素子230の作動電流値に達して、T5のように回線から整流回路155側(直流捕捉回路152)を切り離して、オンフック状態へと移行する。
【0071】
このように、DSP205のファーム暴走や例外処理で、1803のように直流捕捉トランジスタ3003をオフするタイミングが遅れると、制御がきかなくなり、ベース電流をゼロにしてもトランジスタがショートモードに近くなり、コレクタ電流が増大する。しかし、本実施例によれば、トランジスタの制御がきかずにショートモードに近くなった時でも、保護素子230により、回線から整流回路155側を切り離し、ファクシミリ装置100の熱的なダメージを最小限に抑えることができる。
【0072】
<変形例>
上記実施例では保護素子230の作動電流値は、アバランシェ状態になり過大電流が流れた場合の電流値T6よりも、低く設定されてもよい。つまり、ファクシミリ装置100への影響が出る前に、回線から整流回路155側を切り離すようにしてもよい。トランジスタのジャンクション温度が急激に上昇するとアバランシェ状態になることが知られている。トランジスタのベース電流をオフしても、トランジスタはオフせずに、アバランシェ状態になり、コレクタ電流が増大する。回線電流が途絶えない限り、この電流は継続し、やがてトランジスタを熱破壊に至らしめる。熱破壊する時には、トランジスタの実装されたPCBパターン経由で、周辺回路に熱を伝導させる。この熱により、直流捕捉トランジスタ3003だけでなくファクシミリ装置100の別の回路部品も破壊する可能性もある。
【0073】
このアバランシェ現象を利用して、アバランシェ状態になった時に増大する電流値に合わせて、保護素子230の駆動電流を設定する。それにより、トランジスタを熱破壊する前の状態で止め、熱破壊による周辺部品への影響を防止する。その結果、ファクシミリ装置100のダメージを最小限に防ぐことができる。
【0074】
<第6の実施例>
以下では、その他の実施例について説明する。本発明は、上記実施例に限らず様な変形が可能である。例えば、ファクシミリ装置100が再起動した際に、エラー状態を解除するように制御することにより、当該装置をオフフック状態へ移行可能とするようにしてもよい。
図16は、再起動時のSOC101の処理について説明する。
【0075】
S2201において、SOC101は、エラー終了状態であることを認識する。例えば、SOC101は、電話回線切断表示フラグ4005を参照することにより、エラー終了状態であることを認識してもよいし、他のフラグを参照することにより認識してもよい。続いて、S2202において、SOC101は、装置電源がオフされたことを検知し、終了処理を実行する。その後、S2203において、SOC101は、装置電源がオンされたことを検知し、起動処理を実行する。さらに、S2204において、SOC101は、起動処理が終了すると、エラー終了状態であるエラーを解除する。具体的には、SOC101は、レジスタ206の中のエラー終了状態を示すフラグの設定を解除する。ここで、SOC101は、当該フラグの設定を解除する前に、
図5のフローチャートと同様の制御を実行することにより、エラー原因、即ち、誤接続が解除されているか否かを判定することが望ましい。なお、エラー原因が解除されていない場合は、処理を終了する。エラーを解除すると、S2205に進み、SOC101は、ファクシミリ装置100をオフフック状態へ移行可能に制御し、処理を終了する。
【0076】
<その他の実施例>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。