特許第6045250号(P6045250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045250
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】固体撮像装置および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/369 20110101AFI20161206BHJP
   H01L 27/14 20060101ALI20161206BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H04N5/335 690
   H01L27/14 D
   H01L27/14 A
   H01L27/14 F
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-178741(P2012-178741)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-39078(P2014-39078A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100086379
【弁理士】
【氏名又は名称】高柴 忠夫
(74)【代理人】
【識別番号】100129403
【弁理士】
【氏名又は名称】増井 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】青木 潤
【審査官】 鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−017079(JP,A)
【文献】 特開2011−103335(JP,A)
【文献】 特開2008−227091(JP,A)
【文献】 特開2008−048313(JP,A)
【文献】 特開2011−233862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30 − 5/378
H04N 5/222− 5/257
H01L 21/339
H01L 27/14 −27/148
H01L 29/762
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元状に配置された複数の第1の光電変換部を有する第1の基板と、
2次元状に配置された複数の第2の光電変換部を有し、前記第1の基板に積層された第2の基板と、
前記第1の基板を透過し前記第2の光電変換部に入射する光線の角度を選択する選択部と、
を有し、1つの前記第1の光電変換部が配置された前記第1の基板の領域に対応する前記第2の基板の領域に複数の前記第2の光電変換部が配置され、
前記選択部は、
前記第1の基板に設けられ、前記第1の光電変換部に入射する光を集光するマイクロレンズと、
前記第1の基板に設けられ、前記マイクロレンズによって集光された光を、前記第2の光電変換部が配置された前記第2の基板の領域に導くライトパイプと、
を有し、
前記第1の光電変換部に蓄積された信号電荷に基づく撮像信号を読み出し、前記第2の光電変換部に蓄積された信号電荷に基づくライトフィールド信号を読み出す
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記第1の基板はさらに、前記第1の光電変換部に蓄積された信号電荷を前記第2の基板に転送する転送部を有し、
前記第2の基板はさらに、
前記転送部によって転送された信号電荷に基づく撮像信号を読み出す第1の読み出し部と、
前記第2の光電変換部に蓄積された信号電荷に基づくライトフィールド信号を読み出す第2の読み出し部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
第3の基板をさらに有し、
前記第1の基板はさらに、前記第1の光電変換部に蓄積された信号電荷を前記第2の基板に転送する第1の転送部を有し、
前記第2の基板はさらに、
前記第1の転送部によって転送された信号電荷を前記第3の基板に転送する第2の転送部と、
前記第2の光電変換部に蓄積された信号電荷を前記第3の基板に転送する第3の転送部と、
を有し、
前記第3の基板は、
前記第2の転送部によって転送された信号電荷に基づく撮像信号を読み出す第1の読み出し部と、
前記第3の転送部によって転送された信号電荷に基づくライトフィールド信号を読み出す第2の読み出し部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記ライトパイプが絶縁体であることを特徴とする請求項に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
2次元状に配置された複数の第1の光電変換部を有する第1の基板と、
2次元状に配置された複数の第2の光電変換部を有し、前記第1の基板に積層された第2の基板と、
前記第1の基板を透過し前記第2の光電変換部に入射する光線の角度を選択する選択部と、
を有し、1つの前記第1の光電変換部が配置された前記第1の基板の領域に対応する前記第2の基板の領域に複数の前記第2の光電変換部が配置され、
前記選択部は、
前記第1の基板に設けられ、前記第1の光電変換部に入射する光を集光するマイクロレンズと、
前記第1の基板に設けられ、前記マイクロレンズによって集光された光を、前記第2の光電変換部が配置された前記第2の基板の領域に導くライトパイプと、
を有し、
前記第1の光電変換部に蓄積された信号電荷に基づく撮像信号を読み出し、前記第2の光電変換部に蓄積された信号電荷に基づくライトフィールド信号を読み出す固体撮像装置を備えることを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基板を有し、撮像信号およびライトフィールド信号を取得する固体撮像装置、およびこの固体撮像装置を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビデオカメラや電子スチルカメラなどが広く一般に普及している。これらのカメラには、CCD(Charge Coupled Device)型や増幅型の固体撮像装置が使用されている。増幅型の固体撮像装置は、光が入射する画素の光電変換部が生成・蓄積した信号電荷を、画素に設けられた増幅部に導き、増幅部が増幅した信号を画素から出力する。増幅型の固体撮像装置では、このような画素が二次元マトリクス状に複数配置されている。増幅型の固体撮像装置には、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを用いたCMOS型固体撮像装置等がある。
【0003】
また、CMOS型固体撮像装置上で撮像信号を得るだけでなく、ライトフィールド信号を得て、被写体の深度情報を得ることを目的とするものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、撮像信号を得るための画素と、ライトフィールド信号を得るための画素とが同一になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8155456号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、多くのライトフィールド信号を得るために画素数が多くなっており、それぞれの画素の大きさが小さくなる。このため、1つの画素から得られる撮像信号のS/N比が悪くなる。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、撮像信号のS/N比を犠牲にすることなくライトフィールド信号を取得することができる固体撮像装置および撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、2次元状に配置された複数の第1の光電変換部を有する第1の基板と、2次元状に配置された複数の第2の光電変換部を有し、前記第1の基板に積層された第2の基板と、前記第1の基板を透過し前記第2の光電変換部に入射する光線の角度を選択する選択部と、を有し、1つの前記第1の光電変換部が配置された前記第1の基板の領域に対応する前記第2の基板の領域に複数の前記第2の光電変換部が配置され、前記選択部は、前記第1の基板に設けられ、前記第1の光電変換部に入射する光を集光するマイクロレンズと、前記第1の基板に設けられ、前記マイクロレンズによって集光された光を、前記第2の光電変換部が配置された前記第2の基板の領域に導くライトパイプと、を有し、前記第1の光電変換部に蓄積された信号電荷に基づく撮像信号を読み出し、前記第2の光電変換部に蓄積された信号電荷に基づくライトフィールド信号を読み出すことを特徴とする固体撮像装置である。
【0008】
また、本発明は、2次元状に配置された複数の第1の光電変換部を有する第1の基板と、2次元状に配置された複数の第2の光電変換部を有し、前記第1の基板に積層された第2の基板と、前記第1の基板を透過し前記第2の光電変換部に入射する光線の角度を選択する選択部と、を有し、1つの前記第1の光電変換部が配置された前記第1の基板の領域に対応する前記第2の基板の領域に複数の前記第2の光電変換部が配置され、前記選択部は、前記第1の基板に設けられ、前記第1の光電変換部に入射する光を集光するマイクロレンズと、前記第1の基板に設けられ、前記マイクロレンズによって集光された光を、前記第2の光電変換部が配置された前記第2の基板の領域に導くライトパイプと、を有し、前記第1の光電変換部に蓄積された信号電荷に基づく撮像信号を読み出し、前記第2の光電変換部に蓄積された信号電荷に基づくライトフィールド信号を読み出す固体撮像装置を備えることを特徴とする撮像装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮像信号を得るための光電変換部と、ライトフィールド信号を得るための光電変換部とがそれぞれ異なる基板に配置されているので、撮像信号のS/N比を犠牲にすることなくライトフィールド信号を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態による固体撮像装置の部分断面図である。
図2】本発明の第1の実施形態による固体撮像装置の部分平面図である。
図3】本発明の第1の実施形態による固体撮像装置の部分断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態による固体撮像装置の部分断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態による固体撮像装置の部分平面図である。
図6】本発明の第3の実施形態による撮像装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態による固体撮像装置100の構成を断面図で示している。固体撮像装置100は、複数の光電変換部115(第1の光電変換部)が形成された第1の基板110と、複数の光電変換部125(第2の光電変換部)や、信号を読み出すためのMOSトランジスタ等が形成された第2の基板120とを有して構成されている。第1の基板110、第2の基板120は、積層構造を有しており、互いの主面が向かい合うように重ねられ、貼り合わされている。図中の上側から光が入射するようになっており、第1の基板110の表面には、被写体からの光を結像するマイクロレンズ101(選択部)と、所定の色に対応したカラーフィルタ102とが形成されている。
【0013】
第1の基板110は、図1に示すように、光電変換部115、浮遊拡散層118が形成された半導体基板111と、絶縁膜112、配線層113、ビア114、ライトパイプ116(選択部)、転送トランジスタ117(ゲート電極)が形成された多層配線層とから構成されている。光電変換部115は、例えば、P型ウェル層に形成されたN型ウェルと、N型ウェルに接する領域であって、P型ウェル層の表面側に形成されたP+型不純物領域とで構成される埋め込み型フォトダイオードである。
【0014】
配線層113は、絶縁膜112を介して積層され、ビア114によって各配線層を接続することで多層配線層を形成している。図1では配線層113は4層形成されている。配線層113は、第1の基板210内の信号の伝送や電源電圧あるいはグランド電圧の供給に使用されるため、導電性を有する材料(例えば、アルミニウムや銅などの金属)で構成されている。ライトパイプ116は、1つの光電変換部115に対して複数設けられ、絶縁膜112を貫くように形成されている。ライトパイプ116は、絶縁膜112とは異なる屈折率を有する誘電体(絶縁体)である。転送トランジスタ117、ビア114は、光電変換部115に蓄積された信号電荷を第2の基板120に転送する転送部として機能する。
【0015】
第2の基板120は、図1に示すように、光電変換部125、浮遊拡散層127,129,131が形成された半導体基板121と、絶縁膜122、配線層123,133、ビア124,132、ライトパイプ126、転送トランジスタ128(ゲート電極)が形成された多層配線層とから構成されている。光電変換部125は、光電変換部115と同様に、例えば、フォトダイオードである。1つの光電変換部115に対して複数の光電変換部125が設けられている。
【0016】
配線層123は、絶縁膜122を介して積層され、ビア124によって各配線層を接続することで多層配線層を形成している。図1では配線層123は3層形成されている。配線層123は、第2の基板120内の信号の伝送や電源電圧あるいはグランド電圧の供給に使用されるため、導電性を有する材料(例えば、アルミニウムや銅などの金属)で構成されている。ビア124は、第1の基板110のビア114に対して、第1の基板110と第2の基板120の界面で電気的に接続される。ビア124は、第1の基板110から第2の基板120に転送された信号電荷を浮遊拡散層127に転送する。転送トランジスタ128は、浮遊拡散層127に転送された信号電荷に基づく撮像信号を第2の基板120から読み出すための読み出し部の一部を構成する。
【0017】
ライトパイプ126は、ライトパイプ116に対して1対1に設けられ、絶縁膜122を貫くように形成されている。また、ライトパイプ126は、光電変換部125に対して1対1に設けられている。ライトパイプ126は、絶縁膜122とは異なる屈折率を有する誘電体(絶縁体)である。好ましくは、ライトパイプ126はライトパイプ116と同一の材料で形成されている。ライトパイプ116,126は、固体撮像装置100に入射した光を光電変換部125に導く導波路として機能する。転送トランジスタ130、ビア132、配線層133は、光電変換部125に蓄積された信号電荷に基づくライトフィールド信号を第2の基板120から読み出すための読み出し部の一部を構成する。
【0018】
図2は、図1に示した固体撮像装置100における4画素分のみを平面的に見た状態を示している。4つの画素は2次元の行列状に配置されている。1つの画素に対応する領域に1つのマイクロレンズ101、カラーフィルタ102が配置され、マイクロレンズ101が配置された領域の内側に1つの光電変換部115が配置されている。また、光電変換部115が配置された領域に複数の光電変換部125が配置されている。
【0019】
固体撮像装置100に入射した光は、マイクロレンズ101によって集光され、カラーフィルタ102を介して光電変換部115に入射する。この光は光電変換部115で光電変換され、光量に応じた信号電荷が生成される。光電変換部115で生成された信号電荷は、転送トランジスタ117を介して浮遊拡散層118に転送される。浮遊拡散層118に転送された信号電荷は、第1の基板110の多層配線層、第2の基板120の多層配線層を介して浮遊拡散層127に転送される。浮遊拡散層127に転送された信号電荷は、転送トランジスタ128を介して浮遊拡散層129に転送され、さらに図示していない回路により電圧信号となり、撮像信号として出力される。
【0020】
また、固体撮像装置100に入射した光の一部は、ライトパイプ116,126を介して第1の基板110、第2の基板120の絶縁膜122を透過し、第2の基板120の光電変換部125に入射する。この光は光電変換部125で光電変換され、光量に応じた信号電荷が生成される。光電変換部125で生成された信号電荷は、転送トランジスタ130を介して浮遊拡散層131に転送される。浮遊拡散層131に転送された信号電荷は、ビア132、配線層133を介して転送され、さらに図示していない回路により電圧信号となり、ライトフィールド信号として出力される。
【0021】
固体撮像装置100に入射し、マイクロレンズ101、カラーフィルタ102を透過した光の一部は、マイクロレンズ101への入射角度に応じた位置に設けられたライトパイプ116に入射する。例えば、図3に示すように、第1の入射角度でマイクロレンズ101に入射する光線150と、第2の入射角度でマイクロレンズ101に入射する光線151とが、マイクロレンズ101で屈折し、それぞれの入射角度に応じた異なるライトパイプ116に入射する。マイクロレンズ101、ライトパイプ116によって、光電変換部125に入射する光を2次元的に選択することは、固体撮像装置100に入射する光の光線角度を選択することと等しい。よって、光電変換部125で得られる信号は、固体撮像装置100に入射した光の光線角度に応じたものとなる。
【0022】
上述したように、本実施形態によれば、撮像信号を得るための光電変換部115と、ライトフィールド信号を得るための光電変換部125とがそれぞれ異なる基板に配置されているので、撮像信号を得るのに十分な大きさに光電変換部115を形成することが可能となる。このため、撮像信号のS/N比を犠牲にすることなくライトフィールド信号を取得することができる。
【0023】
また、撮像信号とライトフィールド信号とを、第2の基板120に設けられた読み出し部を介して読み出すことができる。さらに、ライトパイプ116,126が設けられていることによって、固体撮像装置100に入射した光のクロストークを低減しつつ、光電変換部125に光を導くことができる。さらに、ライトパイプ116,126を絶縁体で形成することによって、半導体プロセスの後工程によりライトパイプ116,126を実現することができる。
【0024】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図4は、本実施形態による固体撮像装置200の構成を断面図で示している。固体撮像装置200は、複数の光電変換部215(第1の光電変換部)が形成された第1の基板210と、複数の光電変換部225(第2の光電変換部)が形成された第2の基板220と、信号を読み出すためのMOSトランジスタ等が形成された第3の基板230とを有して構成されている。第1の基板210、第2の基板220、第3の基板230は、積層構造を有しており、互いの主面が向かい合うように重ねられ、貼り合わされている。図中の上側から光が入射するようになっており、第1の基板210の表面には、被写体からの光を結像するマイクロレンズ201と、所定の色に対応したカラーフィルタ202とが形成されている。
【0025】
第1の基板210は、図4に示すように、光電変換部215、浮遊拡散層218が形成された半導体基板211と、絶縁膜212、配線層213、ビア214、ライトパイプ216(選択部)、転送トランジスタ217(ゲート電極)が形成された多層配線層とから構成されている。光電変換部215は、例えば、P型ウェル層に形成されたN型ウェルと、N型ウェルに接する領域であって、P型ウェル層の表面側に形成されたP+型不純物領域とで構成される埋め込み型フォトダイオードである。
【0026】
配線層213は、絶縁膜212を介して積層され、ビア214によって各配線層を接続することで多層配線層を形成している。図4では配線層213は4層形成されている。配線層213は、第1の基板210内の信号の伝送や電源電圧あるいはグランド電圧の供給に使用されるため、導電性を有する材料(例えば、アルミニウムや銅などの金属)で構成されている。ライトパイプ216は、1つの光電変換部225に対して複数設けられ、絶縁膜212を貫くように形成されている。ライトパイプ216は、絶縁膜212とは異なる屈折率を有する誘電体(絶縁体)である。ライトパイプ216は、固体撮像装置200に入射した光を光電変換部225に導く導波路として機能する。転送トランジスタ217、ビア214は、光電変換部215に蓄積された信号電荷を第2の基板120に転送する転送部として機能する。
【0027】
第2の基板220は、図4に示すように、光電変換部225、貫通ビア226が形成された半導体基板221と、絶縁膜222、配線層223、ビア224が形成された多層配線層とから構成されている。光電変換部225は、光電変換部215と同様に、例えば、フォトダイオードである。1つの光電変換部215に対して複数の光電変換部225が設けられている。
【0028】
貫通ビア226は、第1の基板210のビア214に対して、第1の基板210と第2の基板220の界面で電気的に接続され、第2の基板220のビア224に対して、半導体基板211と絶縁膜222の界面で電気的に接続される。貫通ビア226は、半導体基板221とは絶縁されている。
【0029】
配線層223は、絶縁膜222を介して積層され、ビア224によって各配線層を接続することで多層配線層を形成している。図4では配線層223は3層形成されている。配線層223は、第2の基板220内の信号の伝送や電源電圧あるいはグランド電圧の供給に使用されるため、導電性を有する材料(例えば、アルミニウムや銅などの金属)で構成されている。絶縁膜222、配線層223、ビア224を含む多層配線層は、光電変換部215で生成された信号電荷を転送する多層配線層と、光電変換部225で生成された信号電荷を転送する多層配線層とのそれぞれについて形成されている。貫通ビア226、ビア224は、第1の基板210から転送された信号電荷、光電変換部225で生成された信号電荷のそれぞれを第3の基板230に転送する転送部として機能する。
【0030】
第3の基板230は、図4に示すように、浮遊拡散層235,237,238,240が形成された半導体基板231と、絶縁膜232、配線層233、ビア234、転送トランジスタ236,239(ゲート電極)が形成された多層配線層とから構成されている。配線層233は、絶縁膜232を介して積層され、ビア234によって各配線層を接続することで多層配線層を形成している。図4では配線層233は3層形成されている。配線層233は、第3の基板230内の信号の伝送や電源電圧あるいはグランド電圧の供給に使用されるため、導電性を有する材料(例えば、アルミニウムや銅などの金属)で構成されている。ビア234とビア224は、第2の基板220と第3の基板230の界面で電気的に接続される。絶縁膜232、配線層233、ビア234を含む多層配線層は、光電変換部215で生成された信号電荷を転送する多層配線層と、光電変換部225で生成された信号電荷を転送する多層配線層とのそれぞれについて形成されている。
【0031】
転送トランジスタ236は、浮遊拡散層235に転送された信号電荷に基づく撮像信号を第3の基板230から読み出すための読み出し部の一部を構成する。また、転送トランジスタ239は、光電変換部225に蓄積された信号電荷に基づくライトフィールド信号を第3の基板230から読み出すための読み出し部の一部を構成する。
【0032】
図5は、図4に示した固体撮像装置200における4画素分のみを平面的に見た状態を示している。4つの画素は2次元の行列状に配置されている。1つの画素に対応する領域に1つのマイクロレンズ201、カラーフィルタ202が配置され、マイクロレンズ201が配置された領域の内側に1つの光電変換部215が配置されている。また、光電変換部215が配置された領域に複数の光電変換部225が配置されている。
【0033】
固体撮像装置200に入射した光は、マイクロレンズ201によって集光され、光電変換部215に入射する。この光は光電変換部215で光電変換され、光量に応じた信号電荷が生成される。光電変換部215で生成された信号電荷は、転送トランジスタ217を介して浮遊拡散層218に転送される。浮遊拡散層218に転送された信号電荷は、第1の基板210の多層配線層、第2の基板220の貫通ビア226、多層配線層、第3の基板230の多層配線層を介して浮遊拡散層235に転送される。浮遊拡散層235に転送された信号電荷は、転送トランジスタ236を介して浮遊拡散層237に転送され、さらに図示していない回路により電圧信号となり、撮像信号として出力される。
【0034】
また、固体撮像装置200に入射した光の一部は、ライトパイプ216を介して第1の基板210を透過し、第2の基板220の光電変換部225に入射する。この光は光電変換部225で光電変換され、光量に応じた信号電荷が生成される。光電変換部225で生成された信号電荷は、第2の基板220の多層配線層、第3の基板230の多層配線層を介して浮遊拡散層238に転送される。浮遊拡散層238に転送された信号電荷は、転送トランジスタ239を介して浮遊拡散層240に転送され、さらに図示していない回路により電圧信号となり、ライトフィールド信号として出力される。
【0035】
固体撮像装置200に入射し、マイクロレンズ201、カラーフィルタ202を透過した光の一部は、マイクロレンズ201への入射角度に応じた位置に設けられたライトパイプ216に入射する。マイクロレンズ201、ライトパイプ216によって、光電変換部225に入射する光を2次元的に選択することは、固体撮像装置200に入射する光の光線角度を選択することと等しい。よって、光電変換部225で得られる信号は、固体撮像装置200に入射した光の光線角度に応じたものとなる。
【0036】
上述したように、本実施形態によれば、撮像信号を得るための光電変換部215と、ライトフィールド信号を得るための光電変換部225とがそれぞれ異なる基板に配置されているので、撮像信号を得るのに十分な大きさに光電変換部215を形成することが可能となる。このため、撮像信号のS/N比を犠牲にすることなくライトフィールド信号を取得することができる。
【0037】
また、撮像信号とライトフィールド信号とを、第3の基板230に設けられた読み出し部を介して読み出すことができる。さらに、撮像信号とライトフィールド信号とを読み出すための読み出し部が、光電変換部225が配置された第2の基板220と異なる第3の基板230に配置されているので、撮像信号とライトフィールド信号とを処理するための回路の自由度を高めることができる。これにより、例えば、トランジスタのサイズを大きくしたり、トランジスタの数を増やしたりすることができる。また、半導体の拡散領域が露光されると、ノイズが発生し、信号電荷にノイズが混入するが、第3の基板230に浮遊拡散層238,240が形成されているので、第2の基板120に浮遊拡散層127,131が形成されている第1の実施形態と比較して、浮遊拡散層238,240が露光されにくくなるので、ノイズの発生を低減することができる。
【0038】
また、ライトパイプ216が設けられていることによって、固体撮像装置200に入射した光のクロストークを低減しつつ、光電変換部225に光を導くことができる。さらに、ライトパイプ216を絶縁体で形成することによって、半導体プロセスの後工程によりライトパイプ216を実現することができる。
【0039】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、第1の実施形態の固体撮像装置100または第2の実施形態の固体撮像装置200を搭載した撮像装置について説明する。図6は、第1の実施形態の固体撮像装置100を搭載した撮像装置(例えば、デジタル一眼カメラ)の概略構成を示したブロック図である。
【0040】
図6に示した撮像装置7は、レンズユニット部2、固体撮像装置100、画像信号処理装置3、記録装置4、カメラ制御装置5、表示装置6から構成される。
【0041】
レンズユニット部2は、カメラ制御装置5によってズーム、フォーカス、絞りなどが駆動制御され、被写体像を固体撮像装置100に結像させる。固体撮像装置100は、カメラ制御装置5によって駆動・制御され、レンズユニット部2を介して固体撮像装置100内に入射した被写体光を電気信号に変換し、入射光量に応じた画像信号を画像信号処理装置3に出力する。
【0042】
画像信号処理装置3は、固体撮像装置1から入力された画像信号に対して、信号の増幅、画像データへの変換および各種の補正、画像データの圧縮などの処理を行う。画像信号処理装置3は、各処理における画像データの一時記憶手段として図示しないメモリを利用する。記録装置4は、半導体メモリなどの着脱可能な記録媒体であり、画像データの記録または読み出しを行う。表示装置6は、固体撮像装置1に結像され、画像信号処理装置3によって処理された画像データ、または記録装置4から読み出された画像データに基づく画像を表示する液晶などの表示装置である。カメラ制御装置5は、撮像装置7の全体の制御を行う制御装置である。
【0043】
図6に示した撮像装置7では第1の実施形態の固体撮像装置100が搭載されているが、固体撮像装置100に代えて第2の実施形態の固体撮像装置200を搭載することも可能である。
【0044】
上記に述べたように、本実施形態の撮像装置は、第1の実施形態の固体撮像装置100または第2の実施形態の固体撮像装置200を搭載する。これにより、撮像信号を得るための光電変換部と、ライトフィールド信号を得るための光電変換部とがそれぞれ異なる基板に配置されているので、撮像信号のS/N比を犠牲にすることなくライトフィールド信号を取得可能な撮像装置を提供することができる。
【0045】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0046】
100,200・・・固体撮像装置、110,210・・・第1の基板、111,121,211,221,231・・・半導体基板、112,122,212,222,232・・・絶縁膜、113,123,133,213,223,233・・・配線層、114,124,132,214,224,234・・・ビア、115,125,215,225・・・光電変換部、120,220・・・第2の基板、117,128,130,217,236,239・・・転送トランジスタ、118,127,129,131,218,235,237,238,240・・・浮遊拡散層、226・・・貫通ビア、230・・・第3の基板、101,201・・・マイクロレンズ、102,202・・・カラーフィルタ、116,126,216・・・ライトパイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6