(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の監視カメラ(高温炉内監視装置)においては、3重管又は4重管構造で構成され、冷却構造が大型化している。そして、このように大型化した冷却構造を備えることで重量が増大し、取扱いが困難となり、常設として運用するか、又は炉内監視実施回数を制限して運用することが必要になる。
【0006】
また、監視カメラを常設にした場合には、冷却管にスラグやクリンカが堆積するため、この堆積物が成長することにより、監視不能、すなわち冷却管、カメラの損傷を招いたり、監視カメラを取り外すことが困難になるなどの不都合が生じてしまう。
【0007】
さらに、覗き窓から監視カメラを挿入する場合、覗き窓がスラグやクリンカで塞がっているため、それを除去した後に、監視カメラを挿入する必要があるが、このとき、監視カメラが大型でその径が大きいほど、スラグやクリンカを除去する作業に多大な労力を要することになる。このため、極力小型化することが強く求められている。
【0008】
また、従来の監視カメラにおいては、冷却構造(多重の管同士)が溶接などで一体形成されているため、スラグやクリンカがカメラに堆積してしまった場合や、カメラが故障した場合などであっても、装置を分解することができず、カメラのメンテナンス、交換、カメラの位置・向きなどの微調整もできないことになる。
【0009】
さらに、上記従来の監視カメラにおいては、水冷および空気冷却した監視カメラを炉内に直接挿入して炉内を撮像する際、炉内の堆積物の有無を確認することは可能であるが、浮遊スラブ、煤塵が多い環境であるが故に、また、高温状態によって堆積物にコントラストが付かず、撮影した画像が2次元的に見えてしまうが故に、堆積物までの距離、そして堆積物の大きさを判断することができない。
【0010】
そして、
図11に示すように、堆積物の大きさが判断できないことで、補助バーナの出力調整を堆積物の大きさに基づいて制御することができず、現状では、作業者の経験と勘によって補助バーナの出力を決めて堆積物の解除作業を行っている。さらに、ガス化炉(ごみ焼却炉)では、補助バーナを着火した場合に、ごみ処理量を低下させて溶融炉の負荷を落とす必要があるが、堆積物の大きさが判断できないことによって、堆積物の解除作業時にごみ処理量を適性に制御することもできないことになる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の高温炉内監視装置は、有底筒状に形成されるとともに、軸線方向後端側に冷却水が導入される冷却水供給口及び該冷却水が排出される冷却水排出口が形成され、高温の炉内に挿入される外筒と、有底筒状に形成され、前記外筒の内部に挿入して配置されるとともに、
内部と外部を連通させる空気供給口が形成されている内筒と、
前記空気供給口を通じて前記内筒の内部に冷却空気を供給する空気供給手段と、前記内筒の内部に配置され、前記外筒の外部を撮像する撮像手段と、前記外筒の内面と前記内筒の外面の間に配設され、前記外筒の内面との間に前記冷却水を軸線方向先端側に導く第一流路及び冷却水を後端側に導く第二流路を画成するとともに、前記外筒の底部との間に前記第一流路と第二流路を連通させる連通路を画成する仕切り部材とを備え
、前記内筒には、内面から外面に貫通する内筒撮像口が形成されるとともに、該内筒撮像口に内部を連通させつつ軸線直交方向外側に突出する筒状のプラグ接続部が一体に設けられ、前記外筒には、内面から外面に貫通する外筒撮像口が形成され、前記外筒撮像口を通じて前記外筒の外側から、略筒状の止水用プラグを前記プラグ接続部に互いの内部を連通させた状態で接続させ、前記止水用プラグ及び前記プラグ接続部を介して前記外筒と前記内筒が着脱可能に一体に形成されるとともに、前記止水用プラグによって前記第一流路及び前記第二流路の水密性を確保しつつ、前記内筒撮像口と前記プラグ接続部の内部と前記外筒撮像口と前記止水用プラグの内部が互いに連通し、前記撮像手段で前記外筒の外部を撮像するための撮像孔が形成されることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の高温炉内監視装置において、前記内筒には、内面から外面に貫通し、その内部に前記撮像手段を出し入れするための出し入れ口が形成されるとともに、該出し入れ口を閉塞する蓋部材が着脱可能に設けられていることがさらに望ましい。
【0014】
また、本発明の高温炉内監視装置においては、前記内筒の内部に複数の前記撮像手段を備えており、該複数の前記撮像手段は、隣り合う前記撮像手段の一部の撮像領域が互いに重なるように配設されていることが望ましい。
【0015】
本発明の高温炉内監視システムは、高温の炉内に挿入配置されて前記炉内の堆積物の生成状態を監視する上記のいずれかに記載の高温炉内監視装置と、前記炉内に設けられ、前記堆積物を解除するための補助バーナと、前記炉内に被燃焼/溶融物を供給する被燃焼/溶融物供給装置とを備えるとともに、前記高温炉内監視装置の撮像手段で取得した画像から前記堆積物の大きさを判別し、該堆積物の大きさに基いて前記補助バーナ及び前記被燃焼/溶融物供給装置の駆動を制御する制御装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の高温炉内監視装置においては、外筒と内筒の2重管構造の中に仕切部材(堰)を設けることにより、外筒と内筒の間の空間の半分を冷却水の供給流路(往路)としての第一流路、もう半分を冷却水の返送流路(復路)にすることができ、これにより、従来の3重管又は4重管構造で構成した場合と比較し、装置を大幅に小型化、軽量化することが可能になる。
【0017】
よって、本発明の高温炉内監視装置によれば、従来と比較し、その取扱い性がよく、適宜炉内監視を行なう際に、その都度、装置を炉内に挿入設置するようにしても大きな負担が生じることがなく、炉内監視実施回数の制限をなくし、好適に監視作業を行うことができる。また、装置を炉内に挿入する際に使用する覗き窓がスラグやクリンカで塞がっている場合であっても、装置が小型化しているため、従来と比較し、スラグやクリンカを除去する作業を大幅に軽減することが可能になる。
【0018】
また、本発明の高温炉内監視装置においては、止水用プラグを介して外筒と内筒を着脱可能に接続して2重管構造を構成することができるため、止水用プラグを取り外すことにより外筒から内筒を取り外すことができる。これにより、CCDカメラやファイバースコープなどの撮像手段の交換やメンテナンス、撮像手段の視野方向の調整などを容易に行なうことが可能になる。よって、高温炉内監視装置の取扱い性の向上を図ることが可能になるとともに、より精度よく効率的に高温の炉内の監視を行なうことが可能になる。
【0019】
さらに、本発明の高温炉内監視装置においては、内筒に出し入れ口が形成され、この出し入れ口が着脱可能な蓋部材で閉塞されているため、適宜蓋部材を取り外し、出し入れ口を通じて撮像手段の交換やメンテナンス、撮像手段の視野方向の調整などをさらに容易に行なうことが可能になる。
【0020】
また、本発明の高温炉内監視装置においては、内筒の内部に複数の撮像手段を備え、隣り合う撮像手段の一部の撮像領域が互いに重なるように配設されていることにより、すなわち、撮像手段がステレオ化していることで、撮像領域が重なる部分で撮像した堆積物の3D化した画像を取得することができる。これにより、高温炉内において、堆積物との間の距離を正確に計測することが可能になり、これに伴い堆積物の大きさを精度よく判別することが可能になる。よって、堆積物の大きさに応じた好適なタイミングで補助バーナを駆動して堆積物を解除することが可能になり、従来のように、作業者の経験と勘によって補助バーナの出力を決めたり、堆積物が大きく成長してしまい、炉の運転を停止し人力で堆積物を解除することをなくすことができる。
【0021】
本発明の高温炉内監視システムにおいては、上記の高温炉内監視装置の作用効果を得ることが可能になるとともに、制御装置が、高温炉内監視装置の撮像手段で取得した画像から堆積物の大きさを判別し、この堆積物の大きさに基いて補助バーナ及び被燃焼/溶融物供給装置の駆動を制御する。これにより、堆積物の成長を判別して最適な補助バーナの稼働制御を自動的に行うことができ、燃料コストを低減できるとともに、炉損傷を防ぐことが可能になる。また、補助バーナの出力量に応じて被燃焼/溶融物の投入量(供給量)が減少するように被燃焼/溶融物供給装置の駆動を制御することで、補助バーナを着火した場合に、自動的に被燃焼/溶融物処理量を低下させて炉の負荷を落とすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、
図1から
図10を参照し、本発明の一実施形態に係る高温炉内監視装置及びこれを備えた高温炉内監視システムについて説明する。なお、本実施形態では、高温炉内監視装置及び高温炉内監視システムが都市ごみなどの被焼却物(被燃焼/溶融物)をガス化・溶融処理する設備に具備されているものとして説明を行う。勿論、本発明にかかる高温炉内監視装置及び高温炉内監視システムは、灰溶融炉などの炉内に浮遊スラグ、煤塵が多く発生する他の炉に適用してもよく、例えば炉内温度が700〜1600℃程度となる炉に対し好適に用いることができる。
【0024】
本実施形態の焼却設備Aは、
図1に示すように、被焼却物(被燃焼/溶融物)1を一時的に貯留するホッパ(ホッパシュート)2と、被焼却物1を低酸素状態で加熱してガス化するガス化炉3と、ホッパ2から被焼却物1をガス化炉3内に投入させる被焼却物供給機(被燃焼/溶融物供給装置)4と、ガス化炉3で生成した可燃性ガスと炭が投入されて例えば1300℃以上の高温で燃焼しつつ灰(炭)を溶融する溶融炉(炉)5と、溶融炉5内を監視する高温炉内監視装置Bと、高温炉内監視装置Bの監視結果に基いて溶融炉5の内部に配設された補助バーナ6と被焼却物供給機4の駆動を制御する制御装置7とを備えて構成されている。また、本実施形態では、高温炉内監視装置Bと制御装置7と補助バーナ6と被焼却物供給機4により高温炉内監視システムCが構成されている。
【0025】
溶融炉5は、旋回溶融炉であり、第1熱分解ダクト8を介してガス化炉3に接続され、この第1熱分解ダクト8を通じてガス化炉3から可燃性ガスと炭が投入される。また、溶融炉5には溶融処理後の排ガスを溶融炉5から外部に排出するための第2熱分解ダクト9が接続されている。そして、溶融炉5内には、第1熱分解ダクト8と第2熱分解ダクト9の接続口8a、9aに向けて火炎を放射するように、両ダクト8、9の接続口8a、9a側にそれぞれ補助バーナ6が配設されている。また、各補助バーナ6には、エアと燃料ガスをそれぞれ供給するエア供給手段と燃料供給手段が接続されている。これらエア供給手段と燃料供給手段には、供給するエア量、燃料量を調整するための弁などを調整操作する出力調整手段10が設けられ、この出力調整手段10が制御装置7によって制御されている。
【0026】
さらに、溶融炉5には、下部に、投入した炭が溶融して生成した溶融スラグを排出するためのスラグ排出口11が設けられている。また、溶融炉5の上部には、炉内を目視観察したり、高温炉内監視装置Bを炉内に挿入配置するための例えば直径150mm程度の覗き窓12が複数設けられている。
【0027】
一方、本実施形態の高温炉内監視装置Bは、
図2及び
図3(
図1、
図4及び
図5)に示すように、断面方形状で有底筒状に形成された外筒15と、外筒15の内部に互いの軸線O1、O2を同軸上に配した状態で挿入配置される断面方形状で有底筒状に形成された内筒16と、内筒16の軸線O2方向先端16a側に挿入配置され、内筒16及び外筒15の側面に貫通形成された外筒撮像口18、内筒撮像口17を通じて外筒15の外部を撮像するCCDカメラ、ファイバースコープなどの撮像手段19とを備えて構成されている。
【0028】
さらに、この高温炉内監視装置Bは、外筒15の内面と内筒16の外面の間に配設され、外筒15の内面との間に冷却水を軸線O1、O2方向先端15a、16a側に導く冷却水供給流路の第一流路R1、及び冷却水を後端15b、16b側に導く冷却水返送流路の第二流路R2を画成するとともに、外筒15の底部との間に第一流路R1と第二流路R2を連通させる連通路R3を画成する仕切り部材20、21とを備えて構成されている。
【0029】
外筒15は、
図4(
図2及び
図3)に示すように、例えば、一辺60mm程度の略有底角筒状に形成されるとともに、2500mm程度の軸線O1方向の長さで形成されている。また、外筒15の先端15a側の一側面15cには、軸線O1方向に所定の間隔をあけて、例えば100〜300mmの間隔をあけて、内面から外面に貫通する2つの外筒撮像口18が形成されている。さらに、外筒15には、後端15bに軸線O1直交方向外側に突出し全周にわたって延びる内筒取付フランジ部15dが設けられている。また、軸線O1方向後端15b側の所定位置、例えば先端15aから軸線O1方向に2000mm程度の位置に、外面から軸線O1直交方向外側に突出する本体取付フランジ部15eが設けられている。
【0030】
さらに、外筒15は、外筒撮像口18が形成された一側面15cに直交する前側側面と後側側面の本体取付フランジ部15eよりも軸線O1方向後端15b側の所定位置に、内面から外面に貫通する貫通孔が形成されており、前側側面の貫通孔が冷却水排出口22とされ、後側側面の貫通孔が冷却水供給口23とされている。
【0031】
内筒16は、
図5(
図2及び
図3)に示すように、一辺の長さが外筒15よりも小さい略有底角筒状に形成されるとともに、外筒15と同様に2500mm程度の軸線O2方向の長さで形成されている。また、内筒16は、後端16b側の所定位置に、外面(側面)から軸線O1直交方向外側に突出し全周にわたって延びる取付フランジ部16cが設けられている。さらに、本実施形態では、先端16aとともに内筒16の後端16bも閉塞され、取付フランジ部16cと後端16bの軸線O2方向の間の所定位置に、内筒16の内部と外部を連通させつつ外面から軸線O2直交方向外側に突出する筒状の空気供給口24が形成されている。
【0032】
さらに、内筒16の先端16a側の一側面には、軸線O2方向に所定の間隔をあけて、例えば100〜300mmの間隔をあけて、内面から外面に貫通する2つの内筒撮像口17が形成されている。さらに、これら2つの内筒撮像口17の形成位置にはそれぞれ、外面から軸線O2直交方向外側に突出するプラグ接続部25が設けられ、各プラグ接続部25は、その内部が内筒撮像口17を通じて内筒16の内部と連通するように配設されている。また、各プラグ接続部25は、内筒16の一側面に接合する基端から突出方向先端に向かうに従い漸次その外径が小となるテーパー状に形成されるとともに、その外面に雄ネジの螺刻が施され、テーパーネジとされている。
【0033】
そして、このテーパーネジの各プラグ接続部25には、止水用プラグ26が取り付けられる。止水用プラグ26は、外径が外筒撮像口18の内径と同等の寸法、且つ内径がプラグ接続部25の外径と同等の寸法の略円筒状に形成されるとともに、その内面に雌ネジの螺刻を施して形成されている。さらに、止水用プラグ26は、中心軸方向後端に、径方向外側に突出し周方向の全周にわたって延びる環状のフランジ部26aが形成されている。さらに、フランジ部26aには、先端側を向く面に、後端側に向けて凹み、周方向に延びて繋がる環状のシール材挿入溝26bが形成され、このシール材挿入溝26bに金属製のOリングなどのシール材27が挿入して配設されている。
【0034】
また、内筒16には、内筒撮像口17が形成された一側面と対向する他側面に、内面から外面(他側面)に貫通し、撮像手段19を出し入れするための略矩形状の出し入れ口28が形成されている。この出し入れ口28は、一側面の2つの内筒撮像口17と軸線O2直交方向に重なるようにして、内筒16の先端16a側に形成されている。そして、この出し入れ口28を通じて内筒16の内部に、CCDカメラやファイバースコープなどの撮像手段19が着脱可能に挿入設置されている。また、このように内筒16の内部に撮像手段19を挿入設置した状態で、出し入れ口28を閉塞する板状の蓋部材31が内筒16の他側面に着脱可能に取り付けられている。
【0035】
このとき、
図2に示すように、互いに連通する内筒撮像口17、プラグ接続部25の内部、外筒撮像口18、プラグ接続部25に螺合した止水用プラグ26の内部によって撮像孔30が形成され、撮像手段19は、この撮像孔30を通じ、例えば60度以上の視野角を確保した状態で外部を撮像できるように設けられている。また、
図1及び
図2に示すように、隣り合う2つの撮像手段19は、隣り合う撮像手段19の一部の撮像領域P1、P2が互いに重なるように配設されている。
【0036】
さらに、
図5(
図2及び
図3、
図4)に示すように、内筒16には、一側面と他側面にそれぞれ、一側端を接続して軸線O2直交方向外側に突出し、内筒16の先端16a側から取付フランジ部16cまで延びる略矩形平板状の一対の仕切り部材20、21が一体に設けられている。また、このとき、各仕切り部材20、21は、一側面と他側面の幅方向略中央に一側端を接続して配設されている。さらに、一側面に設けられた一方の仕切り部材20は、2つのプラグ接続部25と重なる部分を切り欠きして形成され、他側面に設けられた他方の仕切り部材21は、蓋部材31と重なる部分を切り欠きして形成されている。そして、これら一対の仕切り部材20、21は、内筒16を含む一方の仕切り部材20の他側端から他方の仕切り部材21の他側端までの幅寸法t1が外筒15の内径t2よりも僅かに小さくなるようにして形成されている。
【0037】
本実施形態の高温炉内監視装置Bにおいては、
図2から
図5に示すように、内部に撮像手段19を挿入設置して蓋部材31を取り付けるとともに止水用プラグ26を取り外した状態の内筒16を、先端16a側から外筒15の内部に挿入する。そして、内筒16の取付フランジ部16cが外筒15の内筒取付フランジ部15dに当接して重なり合った状態で、これらフランジ部16c、15d同士をボルトとナットで固定し、外筒15と内筒16を着脱可能に一体にする。さらに、このように内筒16を外筒15と一体にした状態で、内筒16の2つのプラグ接続部25がそれぞれ外筒撮像口18と軸線O1、O2直交方向に重なり合って配設されるとともに、内筒16と外筒15の互いの軸線O1、O2が同軸上に配設される。この状態で、外筒15の外側から止水用プラグ26を内筒16のプラグ接続部25に互いの雄ネジと雌ネジを螺合させて取り付けることで、止水用プラグ26を介して外筒15と内筒16が着脱可能に一体化するとともに、止水用プラグ26のフランジ部26aのシール材27が外筒15の一側面に当接してシールする。
【0038】
これにより、止水用プラグ26によって、第一流路R1及び第二流路R2の水密性を確保しつつ、内筒16の内部がプラグ接続部25と止水用プラグ26の内部を通じて外部と連通して撮像孔30が形成され、撮像手段19によって視野角60度以上で外部の撮像が行なえる。また、これとともに、止水用プラグ26及びプラグ接続部25を介して外筒15と内筒16が着脱可能に一体形成される。なお、このとき、内筒16の内部には、主に撮像手段19の温度を計測するための熱伝対が設置される。
【0039】
また、内筒16に一対の仕切り部材20、21が設けられているため、外筒15の内部に内筒16を挿入すると、外筒15の内面と内筒16の外面の間の空間が仕切り部材20、21によって区画される。すなわち、外筒15内に仕切り部材20、21が配置されると、外筒15の内面との間に、冷却水供給口23を通じて外部に連通し、冷却水供給口23に接続した冷却水供給手段から供給した冷却水Wを先端15a側に導く冷却水供給流路としての第一流路R1と、冷却水排出口22を介して外部に連通し、外筒15の内面との間の冷却水Wを後端15b側に導く冷却水返送流路としての第二流路R2が画成される。また、このとき、外筒15の底部と内筒16の底部、仕切り部材20、21の端部の間に第一流路R1と第二流路R2を連通させる連通路R3が画成される。
【0040】
これにより、本実施形態の高温炉内監視装置Bにおいては、冷却水供給手段から冷却水供給口23を通じて第一流路R1を流通した冷却水Wが連絡路R3を通じて第二流路R2を流通し、冷却水排出口22から排出される。そして、例えば35L/分程度の流量で冷却水Wを流通させることによって、撮像手段19、高温炉内監視装置B全体が所定の温度以上にならないように冷却される。
【0041】
また、このとき、本実施形態の高温炉内監視装置Bでは、プラグ接続部25及び止水用プラグ26、蓋部材31が設けられた内筒16の一側面と他側面にそれぞれ仕切り部材20、21を取り付け、これら一対の仕切部材20、21によって外筒15の内面と内筒16の外面の間の空間を左右対称の形状で区画している。すなわち、各仕切り部材20、21によって第一流路R1と第二流路R2が左右対称の同径同大の空間として形成され、第一流路R1と第二流路R2の冷却水流通抵抗を同じにすることができる。これにより、プラグ接続部25及び止水用プラグ26、蓋部材31を備えた2重管構造で構成し、高温炉内監視装置Bを小型化した場合であっても、確実に冷却性能を確保することができる。
【0042】
また、この高温炉内監視装置Bでは、空気供給手段から空気供給口24を通じて内筒16の内部に空気Sを供給する。この空気Sは、内筒16の後端16b側から先端16a側に向けて流通し、撮像手段19の配設位置に穿設された内筒撮像口17からプラグ接続部25の内部、外筒撮像口18、止水用プラグ26の内部を通じて、すなわち撮像孔30を通じて外筒15の外部に噴出排気される。このように空気Sが内筒16の内部から撮像孔30を通じて外部に噴出することで、外部から異物(スラグやクリンカ)が内筒16の内部、撮像手段19側に侵入することを防止でき、撮像手段19にスラグやクリンカが付着することを防止できる。
【0043】
そして、このように冷却水Wと空気Sがそれぞれ供給されて流通する本実施形態の高温炉内監視装置Bは、
図1(
図2及び
図3)に示すように、溶融炉5の覗き窓12を設けた部分に先端15a側から挿入して高温の溶融炉5内に配設される。このとき、従来と比較し、2重管構造にして軽量で小型であるため、高温炉内監視装置Bの溶融炉5への設置、さらには撤去が容易に行なえる。また、覗き窓12がスラグやクリンカで塞がっていても、スラグやクリンカを除去する際、小型化した装置Bの大きさ(径)に見合った小さな孔を開ければよく、この覗き窓12のスラグやクリンカの除去作業を大幅に軽減することが可能になる。
【0044】
そして、溶融炉5内に高温炉内監視装置Bを挿入すると、外筒15の本体取付フランジ部15eが覗き窓12のフランジなど、溶融炉5に当接し、高温炉内監視装置Bが所定の長さ分だけ溶融炉5内に配設される。そして、2つの撮像手段19で熱分解ダクト9(8)の接続口9a(8a)を撮像するようにして、外筒15の本体取付フランジ部15eを溶融炉5に固定する。
【0045】
これにより、撮像手段19で熱分解ダクト9(8)の接続口9a(8a)側の炉内が撮像され、その撮像データが制御装置7に送られる。そして、このとき、本実施形態の高温炉内監視装置Bにおいては、2つの撮像手段19で撮像しているため、これら2つの撮像手段19の撮像領域(視野領域)P1、P2が重なる部分P3の撮像データは3D化(ステレオ化)される。このため、撮像領域が重なる部分P3が熱分解ダクト9(8)の接続口9a(8a)に配されるように、撮像手段19の間隔、高温炉内監視装置Bの取付位置などを設定しておくことで、スラグやクリンカが熱分解ダクト9(8)の接続口9a(8)に堆積した際に、その堆積物Mまでの距離を計測することが可能になり、この距離計測ができることで堆積物Mの大きさを特定することが可能になる。
【0046】
ここで、例えば、2つの撮像手段19の間隔を100mm(200mm)にすると、堆積物Mまでの距離計測を誤差±20mm(±10mm)で行なうことが確認されている。また、2つの撮像手段19の間隔は、50mmより小さくすると、距離計測の誤差が大きくなりすぎ、300mmより大きくすると、同じ場所を撮像する際に装置自体が邪魔になってしまう。このため、隣り合う2つの撮像手段19(複数の撮像手段)の間隔は、50mm以上(300mm以下)が好ましい。
【0047】
本実施形態の高温炉内監視装置B及び高温炉内監視システムCでは、
図1及び
図6、
図7、
図8に示すように、高温炉内監視装置Bで撮像・計測した映像、温度データが制御装置7に送られ、スラグやクリンカの堆積物Mの発生(有無)が随時監視されるとともに、堆積物Mが発生した際にはその大きさが随時計測される。そして、堆積物Mの大きさが予め設定したクライテリア以上になった場合には、制御装置7が補助バーナ6を点火駆動するとともに、堆積物Mの大きさに応じた出力となるように補助バーナ6を制御する。これにより、堆積物Mの大きさに応じた適正な補助バーナ6の出力によって堆積物Mを解除することができる。
【0048】
また、制御装置7は、上記のように補助バーナ6の駆動を制御するとともに、補助バーナ6の出力量に応じてごみの投入量(被燃焼/溶融物の供給量)が減少するように被焼却物供給機4の駆動を制御する。これにより、補助バーナ6を着火した場合に、自動的にごみ処理量を低下させて溶融炉5の負荷が落ちる。
【0049】
したがって、本実施形態の高温炉内監視装置Bにおいては、外筒15と内筒16の2重管構造の中に仕切り部材(堰)20、21を設けることにより、外筒15と内筒16の間の空間の半分を冷却水Wの供給流路(往路)としての第一流路R1、もう半分を冷却水Wの返送流路(復路)としての第二流路R2にすることができ、これにより、従来の3重管又は4重管構造で構成した場合と比較し、装置Bを大幅に小型化、軽量化することが可能になる。
【0050】
よって、本実施形態の高温炉内監視装置Bによれば、従来と比較し、その取扱い性がよく、適宜炉内監視を行なう際に、その都度、装置Bを炉内に挿入設置するようにしても大きな負担が生じることがなく、炉内監視実施回数の制限をなくし、好適に監視作業を行うことができる。また、装置Bを炉内に挿入する際に使用する覗き窓12がスラグやクリンカで塞がっている場合であっても、装置Bが小型化しているため、従来と比較し、スラグやクリンカを除去する作業を大幅に軽減することが可能になる。
【0051】
また、本実施形態の高温炉内監視装置Bにおいては、止水用プラグ26を介して外筒15と内筒16を着脱可能に接続して2重管構造を構成することができるため、止水用プラグ26を取り外すことにより外筒15から内筒16を取り外すことができる。これにより、CCDカメラやファイバースコープなどの撮像手段19の交換やメンテナンス、撮像手段19の視野方向の調整などを容易に行なうことが可能になる。よって、高温炉内監視装置Bの取扱い性の向上を図ることが可能になるとともに、より精度よく効率的に高温の炉内の監視を行なうことが可能になる。
【0052】
さらに、内筒16に出し入れ口28が形成され、この出し入れ口28が着脱可能な蓋部材31で閉塞されているため、適宜蓋部材31を取り外し、出し入れ口28を通じて撮像手段19の交換やメンテナンス、撮像手段19の視野方向の調整などをさらに容易に行なうことが可能になる。
【0053】
また、内筒16の内部に複数の撮像手段19を備え、隣り合う撮像手段19の一部の撮像領域P3が互いに重なるように配設されていることにより、すなわち、撮像手段19がステレオ化していることで、撮像領域が重なる部分P3で撮像した堆積物Mの3D化した画像を取得することができる。これにより、高温炉内において、堆積物Mとの間の距離を正確に計測することが可能になり、これに伴い堆積物Mの大きさを精度よく判別することが可能になる。よって、堆積物Mの大きさに応じた好適なタイミングで補助バーナ6を駆動して堆積物Mを解除することが可能になり、従来のように、作業者の経験と勘によって補助バーナ6の出力を決めたり、堆積物Mが大きく成長してしまい、炉5の運転を停止し人力で堆積物Mを解除することをなくすことができる。
【0054】
また、本実施形態の高温炉内監視システムCにおいては、上記の高温炉内監視装置Bの作用効果を得ることが可能になるとともに、制御装置7が、高温炉内監視装置Bの撮像手段19で取得した画像から堆積物Mの大きさを判別し、この堆積物Mの大きさに基いて補助バーナ6及び被焼却物供給機4(被燃焼/溶融物供給装置)の駆動を制御する。これにより、堆積物Mの成長を判別して最適な補助バーナ6の稼働制御を自動的に行うことができ、燃料コストを低減できるとともに、炉損傷を防ぐことが可能になる。また、補助バーナ6の出力量に応じて被焼却物(被燃焼/溶融物)の投入量が減少するように被焼却物供給機4の駆動を制御することで、補助バーナ6を着火した場合に、自動的に被燃焼物処理量を低下させて炉5の負荷を落とすことができる。
【0055】
以上、本発明に係る高温炉内監視装置及びこれを備えた高温炉内監視システムの一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0056】
例えば、本実施形態では、高温炉内監視装置Bに2つの撮像手段19が設けられているものとしたが、2以上の複数の撮像手段19を設けるようにしてもよい。また、1つの高温炉内監視装置Bに1つの撮像手段19を設け、
図9に示すように、2以上の高温炉内監視装置Bを炉内に挿入設置して観察を行うようにしてもよい。このとき、複数の高温炉内監視装置Bの各撮像手段19の撮像領域P1、P2が互いに重なるように配設することで、本実施形態と同様、堆積物Mの3D化した画像を取得することができ、堆積物Mの大きさを精度よく計測することが可能になる。
【0057】
また、本実施形態の高温炉内監視装置Bは、炉内に常設しても、適宜炉内に挿入するようにして使用してもよい。また、
図10に示すように、突き棒32などと組に合わせて炉に取り付けておき、適宜選択的に使用できるようにしてもよい。